ラブライブ SS 穂乃果「なんだか最近つけられてる気がする……」

 

――学校――

 

ことり「つけられてるって、後を?」

 

穂乃果「うん……祝日とか学校の帰りとか、一人でいるときにどこか視線を感じるの」

 

ことり「怖いね……ストーカーとかかな」

 

ことり「μ’sや音ノ木坂が有名になるにつれ、そういうのには気をつけないと……」

 

穂乃果「うぅ……ことりちゃん、どうしよう……」

 

穂乃果「穂乃果の勘違いかもしれないけど……でも、もし本当にそうだったら……」グスッ

 

ことり(穂乃果ちゃん……こんなに怯えて……)

 

ことり「……大丈夫、ことりに任せて」グッ

 

ことり「ことりが――ことりたちが、絶対に穂乃果ちゃんを守ってみせるから」

 

ことり(まずは海未ちゃんに相談しないと!)

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

海未「穂乃果がストーカー被害にっ!!?」

 

ことり「う、うん……さっき相談されて」キーン

 

海未「ああ穂乃果!わたしの大事な穂乃果がっ!……くっ!」

 

海未「ことり、穂乃果の様子はどうでした?」

 

ことり「それがすっかり怯えてて……涙目になって――」

 

海未「写真は?」

 

ことり「……へ?」

 

海未「穂乃果の涙目の写真です、お礼にチーズケーキをあげますので交換ということで」スッ

 

ことり「ふぁあ、おいしそう……あっ、そうじゃなくて!」

 

ことり「写真なんて取ってないよ!真剣な悩みを明かされて写真撮ってたらそれこそ変だよ」

 

海未「そうですか……」シュン

 

ことり「なんでそんなに落ち込んでるの……」

 

海未「涙目の弱々しい穂乃果はSR級のレアだという……残念です」

 

ことり「ということで、ことりにそのレアチーズケーキを……」ジュルリ

 

海未「お預けです」サッ

 

ことり「ふぇぇえんやっぱり……」

 

海未「ところでなんの話でしたっけ」モグモグ

 

ことり「わぁ自分で食べるんだ、大好物と言ってはばからない子を目の前にして……」

 

ことり「穂乃果ちゃんのストーカー被害のことだよ」

 

海未「はっ!……ごほっげほっ!」

 

ことり「海未ちゃん!?」

 

海未「ことり、水を……炭酸以外で!」

 

ことり「はい、お茶だけど!」

 

海未「んっ……ん……!」ゴクゴク

 

海未「ぷはぁ……危うく三途の川を渡るところでした」

 

海未「ところで、なんの話でしたっけ?」

 

ことり「もうなんなの海未ちゃん」

 

ことり「」カクカクシカジカ

 

海未「」

 

海未「穂乃果が……ストーカーに……」

 

ことり「うん……」

 

海未「………………」

 

ことり「………………」

 

海未「くっ!!」ダン!

 

ことり「ひっ!?」

 

海未「わたしとしたことが……わたしは穂乃果の幼馴染失格です!」ガンガン!

 

ことり「!?海未ちゃん壁に頭ぶつけないで!血、血出ちゃうから!」

 

海未「ああ穂乃果……ごめんなさい、ごめんなさい…………うっ」バタン

 

海未「」チーン

 

ことり「……海未ちゃん?」

 

海未「」バッ!

 

ことり「ひぃ!?」

 

海未「ことり……実はですね――!」

 

ことり「海未ちゃん、まずは血を拭いて!怖い、怖いからぁ!」

 

海未「実は2週間ほど前、誰かにつけられてる気がするとわたしも相談を受けていたんです」

 

ことり「えっ……そうなの?」

 

海未「はい、本人は気のせいだと言っていたのですが、心配になって密かに護衛していたんです。それはもうありとあらゆる物を持って」

 

海未「わたしの天使の笑顔を曇らせる存在は、誰であろうと敵ですからね……」フフフ

 

ことり「…………」ブルブル

 

海未「ところが今で2週間近くずっと監視しているのですが、一向に姿を現しません」

 

ことり「……えっ?」

 

海未「穂乃果の勘違いが濃厚だと思っていましたが、わたしの目を欺いて穂乃果をつけているとか……さてはプロですね」

 

海未「穂乃果……あなたを少しでも疑ったわたしをどうか許してください」ガクッ

 

ことり「海未ちゃん、ちょっと待って」

 

海未「はい、なんでしょう?」

 

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃんのこと監視してるの?」

 

海未「ええ、2週間くらい前からずっと」

 

ことり「祝日も、学校帰りも?」

 

海未「ひとりの時が一番危ないんです」

 

ことり「本人には一切知らせずに?」

 

海未「穂乃果が気を遣いますから。最初の三日間だけは一緒に帰っていたのですが、さすがに休日までずっと一緒というわけには……わたしは全然かまいませんが!」フンス

 

ことり「」

 

海未「休日に親のおつかいでひとり買い物にいく穂乃果、私服がとてもキュートでした。残りのお金でお菓子を買ってもよいと言われたのか、嬉々としてチョコパイを買い物かごに入れるときの表情がまた……えへへ」ニヘラ

 

ことり「………………」

 

海未「あっ、写真見ます?」

 

ことり「イヤケッコウデス」ブンブン

 

ことり「………………」

 

ことり(つまり……)

 

ことり(2週間前に海未ちゃんに相談←穂乃果ちゃんの勘違い)

 

ことり(この2週間海未ちゃんが密かに監視←穂乃果ちゃんが勘付く)

 

ことり(ことりへの相談←海未ちゃんの監視をストーカーと勘違い)

 

ことり(こういうことだよね……)

 

海未「ストーカー……許しませんよ、わたしの可愛い穂乃果を!」

 

海未「ことり、すぐに対策を立てましょう!」

 

ことり「そうだね…………」トオイメ

 

海未「ことり、どうしたんですか?そんな魂が抜けたような顔して?」

 

ことり「ううん……世の中で自分だけが真実を知ってしまったとき、人ってどうすればいいのかなって……あはは」

 

海未「ふむ、哲学的ですね」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

ことり(後日、ことりと海未ちゃんは穂乃果ちゃんの許可を得て、ストーカー捕獲作戦を決行することになりました)

 

 

穂乃果「海未ちゃんことりちゃん、迷惑かけてごめんね」

 

海未「安心してください穂乃果、ストーカーは必ず捕まえますから」

 

海未「ことり、頑張りましょうね」

 

ことり「えっ、う、うん……!」

 

ことり(どうしよう……つい真実を教えるのが怖くてこんなことにまで……)

 

穂乃果「えっと……これからも、家までの帰り道は一人で帰ればいいのかな?」

 

海未「はい、わたしとことりは遠くから見守っていますので」

 

穂乃果「そっか……それなら大丈夫、かな……えへへ」

 

ことり(穂乃果ちゃん、そんな顔しないで……ことりの罪悪感がすごいよ……)

 

ことり(でも言えない……海未ちゃんが原因だなんて、穂乃果ちゃんにも海未ちゃん本人にも言えないよ!)

 

ことり「ふぇぇ……ごめんなさい穂乃果ちゃん……ことり、こんな幼馴染でごめんね!」ビェーン

 

穂乃果「ことりちゃん、どうしたの!?」

 

海未「そうですよことり、自分を責めることはありません。むしろ……それはわたしのセリフです」

 

ことり(うん、そうだね)ピタッ

 

穂乃果「?」

 

海未「では、作戦開始です!」

 

 

――

――――

――――――

 

穂乃果「」テクテク

 

 

海未「ふむ……今日も現れませんね」

 

ことり(そりゃ犯人は海未ちゃんだからね……)

 

海未「それとも、わたしたち二人の目を欺いてどこかから……?」キョロキョロ

 

ことり「それはないんじゃないかな、たぶん」

 

ことり「とりあえず海未ちゃん、その弓矢仕舞ってこう、ねっ?」

 

海未「いえ、心配無用です。この2週間ずっと持ち歩いていましたし」

 

ことり「よく捕まらなかったね、世の中って平和だなぁ」

 

海未「平和じゃありません、穂乃果がストーカー被害に遭っているんですから」

 

海未「ん……――――!」

 

海未「ことり!カメラを!」

 

ことり「えっ!?」

 

ことり(まさか、本物のストーカーが!?)

 

海未「くっ……撮り逃がしました!」

 

ことり「穂乃果ちゃんは大丈夫なの!?」

 

海未「ええ、呑気にコーンポタージュを飲んでいます」

 

ことり「……え?」

 

海未「服の袖を手袋代わりに慣れない手つきで熱いコーンポタージュを飲む穂乃果……ああ、最高のシャッターチャンスが」

 

ことり「………………」

 

海未「あっ、こちらに手を振ってますよ。可愛いですねもう」ニコニコ

 

ことり「穂乃果ちゃん……海未ちゃんもう手遅れっぽいし、いっそのこと捕獲してもいいかな」

 

海未「穂乃果、こっち向いてください!はい、いいですよ~」パシャパシャ

 

ことり「………………」

 

ことり(ことりが黙っていればみんな幸せだね、これは………うん)

 

ことり「ねぇ……海未ちゃん、いま思ったんだけど、ずっと監視するくらいなら帰り道も休日もできる限り穂乃果ちゃんのそばにいてあげたらどうかな?」

 

海未「ふむ、確かにいいアイデアですが、それではその場凌ぎにしかならないでしょう」

 

ことり「ううん、大丈夫、そのうちストーカーもいなくなると思うから」

 

海未「しかし、そんな保証はどこにも……」

 

ことり「穂乃果ちゃんが百合だって思わせれば、ストーカーもあきらめるんじゃないかな」

 

海未「!」

 

ことり「例えば、海未ちゃんと穂乃果ちゃんが手を繋いだり、わざと抱きしめあったりすれば……」

 

海未「!!」

 

ことり「それをストーカーに見せつければきっと……」

 

海未「………………」

 

ことり「海未ちゃん?」

 

ことり(さすがに強引すぎたかな?)チラッ

 

海未「ことり、あなたは最高ですっ!」ハァハァ

 

ことり「」

 

――

――――

――――――

 

 

――学校 昼休み――

 

穂乃果「海未ちゃんことりちゃん、ありがとう!」ニコッ

 

海未「良かったですね、穂乃果」ナデナデ

 

海未「ことり、あなたが教えてくれた作戦のおかげで最近では穂乃果のストーカーがめっきり姿を消しました」

 

ことり「そうなんだ、よかったぁー」ボウヨミ

 

海未「この手で直々に断罪できなかったのが唯一の心残りですが」

 

ことり「わぁ、このチョコパンおいしいなぁー」モグモグ

 

海未「まぁ、穂乃果の笑顔が戻ったのでよしとしましょう」ナデナデ

 

穂乃果「穂乃果、海未ちゃんとことりちゃんがいてくれれば恐いものなんてないよ。だかこれからも、ずっと穂乃果の親友でいてね?」

 

海未「もちろんですよ、もう穂乃果は♪」ニヘラ

 

穂乃果「えへへ、海未ちゃん♪」ギュッ

 

ことり(かくして、今回のストーカー事件は無事解決しました)

 

ことり(もちろん、海未ちゃんも穂乃果ちゃんも事の真相は知らないままです)

 

ことり(ことりは大切な幼馴染二人に嘘をつきました……でも)

 

ことり「平和な世界だから、これでいいよね……」トオイメ

 

海未「どうしたんですか、ことり?」

 

ことり「ううん、世の中には知らないほうが幸せなことってたくさんるんだなぁって」

 

海未「また哲学ですか、ずいぶんのめり込んでいますね」

 

海未「元気がないようでしたら、チーズケーキでも食べますか?」サッ

 

ことり「海未ちゃんいつも持ち歩いてるの!?」

 

穂乃果「わぁ、おいしそう……」ジュルリ

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    さすがことりちゃんw
    エリートバランサーですね^^

    2年生トリオはギャグ・シリアスに関わらず誰をどのポジションに置いてもイキイキ動く本当に良いトリオですね。
    読んでいて凄く楽しいです。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      タイトルとは裏腹に完全にギャグ回だったので、ガッカリされないか心配でした。
      『ほのことうみ』にはまた挑戦したいと思います。

  2. 匿名 より:

    ことりちゃんがまともなの草
    俺の知ってる殆どのことりのSSはほのキチだから…

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