ラブライブ ＳＳ 絵里「寂しがりな希を慰める」（百合）

――生徒会室――

希「……………………」ﾏﾄﾞﾉｿﾄ

希「………………ん？」

希「あっ、穂乃果ちゃん…………ふふっ」ﾌﾘﾌﾘ

希「……………………」

ｶﾞﾁｬｯ

希「？」ｸﾙﾘ

絵里「……やっぱりここにいたのね」

希「えりち……」

絵里「………………」ﾊｧ

希「くすっ、わざわざ探しに来てくれたん？」

絵里「そうよ、寂しがりの誰かさんがすぐに失踪するから」

希「……………………」

絵里「……希って、ほんとに不思議ね」

希「？」

絵里「人のことだと誰よりも親身になってあげられるくせに、自分のことだと急に臆病になるんだもの」

希「……………………」

絵里「探してほしいくせに、困らせないようにいつもここにいて……ほんと変」

希「……だって……えりちのこと困らせて、嫌われたくないし……」

希「それに、ここに来れば二人きりになれるから……えりちが、ウチだけを見てくれるし……」

絵里「……もう、だから――」

ｷﾞｭｯ

希「！」

絵里「こんな遠回しなことしないで、直接そう言えばいいじゃない」

希「……言えないよ、人にはっきりわがままなんて」

絵里「わたしにだけは遠慮しないって約束したでしょ」

希「………………」

絵里「希の嘘つき」

希「……ごめん」

絵里「寂しがりで、そのくせ人一倍気遣い屋で、素直じゃなくて弱虫で……希ってほんとに卑怯ね」

希「そうやね……絵里ちの言う通りや」

絵里「……でもね」

――ﾁｭｯ

希「！」

絵里「わたしはそんな希が好きなの……ううん、そんな希だからこそ、好きになったの」

絵里「だからせめてわたしの前では希らしくいて……ねっ？」

希「……うん」ｷﾞｭｯ

希「ふふっ、えりち……」ﾎﾟｽｯ

絵里「よしよし……なんだかいつも逆ね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

希「二人でいる時くらい甘えさせてよ」ｽﾘｽﾘ

絵里「もう、お昼休みが終わるまでだからね」

希「……♪」ﾆｺｯ

――――――――――――――――――――

――土曜日　希のマンション――

絵里「希、おはよう」

希「んっ……えりち？」

絵里「朝ご飯できてるわよ、きつねうどんとおにぎりだけど」

希「ふぁあ……どうしてえりちが……」ﾌﾟﾜﾌﾟﾜ

絵里「いいから顔洗ってきなさい」

希「……あっ、そういえば昨日えりちが泊まっていったね」

絵里「ええ、夜遅くまで一緒にテレビ見たでしょ？」

希「えりちは早起きやねぇ……ふぁあ」

絵里「30分前に起きたところだけど」

希「ふふっ、えりちはいいお嫁さんになれるよ」

絵里「そう？ならよかったわ、ずっと希のお嫁さんだもの」

希「えりち……ありがとうね」

絵里「ふふん、惚れ直したかしら？」

希「うん、それは毎日」

―――――――――――――――――――――――

希「……………………」

絵里「…………………」

希「……ねぇ、えりち？」

絵里「どうしたの？」

希「いつもこうして部屋でダラダラしてるだけやけど……楽しい？」

絵里「あら、希は楽しくないの？」

希「ううん、ウチはえりちとこうしていられるだけで楽しいよ」

絵里「そう、ならわたしも楽しいから安心して」

希「……えりちは優しいね」ｷﾞｭｯ

絵里「これは本心よ、希といられるだけで幸せだもの」

希「うん……ウチもえりちのおかげで、いますごく幸せやん」

希「μ’sのみんながいて、えりちがいて……」

絵里「……希、もう寂しくない？」

希「うん、寂しかった気持ちなんて忘れちゃうくらいに」

絵里「そう……よかったわ」

絵里「もう寂しい思いはさせないからね、ずっと……ずっと」

希「ありがとう、えりち」ﾎﾟｽｯ

絵里「んっ……」

――ﾁｭｯ

――――――――――――――――――――――――――

――深夜――

希「えりち、ほんとに帰らんでも大丈夫？」

絵里「ええ、今日は雪穂ちゃんがお泊りに来るらしいの。わたしがいないほうが気楽でしょ」

希「でも、中学生二人なんて危なくない？」

絵里「心配ないわ、亜里沙はまだしも雪穂ちゃんはしっかりしてるし」

希「亜里沙ちゃん、えりちの妹やんね……」

絵里「やっぱり姉妹って反対の性格になっちゃうのかしら」

希「それ、遠回しに穂乃果ちゃんをディスってるよね」

絵里「何気に自分の評価も上げてるわ」ﾌﾌﾝ

希「うーん、でもえりちもたまにうっかりさんなところがあるし、亜里沙ちゃんに似てるかも」

絵里「わたしが亜里沙に？希、冗談でも笑えないわよ？」

希「いや、冗談や無くてほんとうにそう思うから……」

絵里「」ﾑｯ

絵里「――えい！」ｶﾞｼｯ

希「ちょ、えりち――！？」

ﾄｻｯ

絵里「……………………」ｳﾏﾉﾘ

希「え、えりち……さすがにこの体勢は……//」

絵里「……ねぇ、希？」

絵里「わたしのこと、好き？」

希「えっ……うん、それはもちろん……」

絵里「そう……なら少しだけ、二人で悪いことしてみない……？」

希「えっ……悪いこと……それって……//」

絵里「ええ……希が思っているようなことよ」

希「っ……で、でもえりち、まだ早いんやないかな//」

絵里「そんなことないわ、わたしはずっと希を見ていたのよ」

絵里「出会った時から３年間、ずっと……」

希「えりち……」

絵里「せっかく恋人同士になれたんだもの、もう我慢も限界なの……」

絵里「希……ほんとに嫌ならやめるから、返事を聞かせて？」

絵里「わたしは希のこと、自分のものにしたい……」ｷﾞｭｯ

希「………うん」ｷﾞｭｯ

希「ウチも、ずっとえりちのことを見てたよ……」

希「えりちのことが好きで、えりちを自分だけのものにしたい……」

絵里「！……それじゃあ」

希「うん……♪」

希「えりち……お手柔らかに、お願いね？//」ﾆｺｯ

絵里「……承諾しかねるわ」

希「あはは……ならできる限りで//」

絵里「希……希っ！」

――

――――

――――――

希「んっ……はぁ……//」

絵里「希……かわいいわ、希……//」

希「……ふふっ」ｼﾞﾜｯ

絵里「っ！？希、どうしたの？どこか痛かった？」

希「ううん、違うよ……」ｳﾙｯ

希「ただ、えりちと出会えて……μ’sと出会えて、良かったなって♪」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

絵里「……希」

希「うれしいのに涙が……おかしいよね、あれ……？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

絵里「バカね……そんなことで泣くなんて」ｷﾞｭｯ

絵里「希はこれから、ずっと幸せでいていいのよ」

希「うん……えりちがいれば、大丈夫」ｷﾞｭｯ

絵里「……過去の辛い体験とかトラウマ以上の幸福を手に入れたとき、人間ってこう思えるらしいわ」

希「うん、今ならウチにもあの言葉の意味がわかるよ」

のぞえり「生きてきて、良かったって」

のぞえり「」ﾆｺｯ

――ﾁｭｯ

絵里『涙も苦しみも、いつか得る幸せのために』

――おしまい♪