『とある休日、突然海未に呼び出されたμ’s一同……』
――部室――
穂乃果「海未ちゃんたち遅いね」
にこ「ことりも来ないし、どうなってるのかしら」
凛「いったいなんのようだろ」
花陽「ううーん、緊急ミーティングとかかな?」
希「でも、ライブならこないだ終わったし……」
真姫「エリーも何も聞かされてないの?」
絵里「ええ、悪いけど全く……」
ガチャッ
海未「すいません、遅くなりました」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「ふむ、みんな揃っていますね。休日なのに突然の呼び出し、申し訳ありません」ペコリ
真姫「まだことりが来てないわよ?」
海未「いえ、ことりでしたら既にある場所で待機しています」
凛「ある場所?」
にこ「前置きはいいわよ。で、用件は何?」
海未「さすがはにこですね、話が早くて助かります」
海未「じつは今日あなたたちを呼び出したのは他でもないのですが」
海未「本日は記念すべき100回記念なのです」
μ’s「100回記念?」
海未「ええ、ちょうどラブライブSSの100話目です」
μ’s「」
『メタ発言を堂々と言い放つ海未』
絵里「ハラショー……」
穂乃果「SSってなに?」キョトン
花陽「あはは……穂乃果ちゃんは知らないほうがいいかも」
真姫「なにこの展開、いみわかんない……」
海未「オリジナルSSでここまでこれたことを記念し、今日は盛大な日にしなければいけません」
希「初見の人は分からないと思うし、いつも通りでいったほうが……」
凛「よくわからないけど、おめでたいのはいいことにゃ!」
海未「凛、あなたならそういってくれると思っていました」
海未「せっかくの100話目です、なにか記憶に残るようなことをしたいと思いまして」
にこ「まさか、ことりが何かするわけ?」
海未「察しがいいですね。その名も――決死のローラー作戦です」
ほのりん「ローラー作戦?」
海未「はい、あなたたちはローラー車をご存知ですか?」
海未「アスファルトを押し固めるために使われるあの車です」
絵里「ええ、それは知ってるけど……」
海未「今回は100話目を記念し、ことりがあのローラーにひかれてみようというわけです」
μ’s「!」
海未「地面に横になったことりの上を、ローラー車に通り過ぎてもらいます」
『ローラー車の下敷きになるということり』
にこ「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
希「ローラー車って……」
真姫「あんな重たい車が人の上なんて走ったら……」
花陽「ぴゃああぁっ!」
穂乃果「そんなの無茶だよ!」
凛「ことりちゃん死んじゃうにゃ!」
海未「心配無用です、呼吸さえ整えれば大丈夫だと言っていました」
海未「呼吸とタイミングさえ合えば、一瞬の間地面と同化できるということです」
『一瞬のタイミングが成功への秘訣だと悟ったことり』
にこ「その説明を聞いても全く納得できないのはにこだけ……?」
希「大丈夫にこっち、今回ばかりはウチも……」
真姫「よりにもよってどうしてローラー車なわけ?」
海未「100という数字ともうすぐ冬だということを汲み取った結果、ローラー車に行き着いたとのことです」
『長考の末、ローラー車という結論に至ったことり』
ほのりん「……………………」
絵里「100といえばローラー車……日本って不思議ね」
花陽「絵里ちゃん鵜呑みにしちゃうのぉ!?」
海未「詳しい話は後にしましょう、とりあえずグラウンドまで来てください」
海未「ことりが待ちかねているはずです」
のぞにこまきぱな「……………………」
穂乃果「……よし、わかったよ」
のぞにこまきぱな「?」
凛「ことりちゃんの生き様、凛たちが見届けるにゃ!」
のぞにこまきぱな「!」
絵里「決行しましょう、決死のローラー作戦!」
のぞにこまきぱな「」
『今回の挑戦を見届ける覚悟を決めた潔いほのえりりん』
海未「さすがです、あなたたちならそう言ってくれると信じていました」
海未「にこ、希、花陽、真姫、あなたたちもいいですね?」
のぞにこまきぱな「……………………」
海未「」ドカン!
のぞにこまきぱな「!」
海未「いいですね?」ニコッ
花陽「…………うん」
にこ「…………わかったわ」
『ようやく覚悟を決めたのぞにこまきぱな』
海未「それではいきましょう!」
――
――――
――――――
――音ノ木坂学園グラウンド――
穂乃果「あれ、ことりちゃんいないね?」キョロキョロ
凛「あっ、あれじゃないかな」
海未「ことり、こんなところにいたのですか」
『グラウンドのベンチに座っていたことり』
ことり「……………………」ウツムキ
にこ「精神統一中なの……?」
海未「ええ、恐らくそうでしょう」
『精神統一のために俯き、気持ちを落ち着かせていることり』
海未「……ことり、いいですか?」
ことり「……ん?」パチッ
ことり「ふぁ~あ……みんな、おはよう♪」プワプワーオ
μ’s「…………」
『気持ちが整理できずに寝ぼけているように見えることり』
海未「ことり、精神統一は終わりましたか?」
ことり「うん、おかげさまでよく眠れたよ」ニコッ
海未「くっ…………」(笑)
『ことりの強がりについ涙をこらえる海未』
希「こ、ことりちゃん、もしかして寝てたん?」
海未「そんなはずないでしょう」
ことり「うん、精神統一してたんだよ」
海未「私たちは用意がありますのでこの白線より先には出ないでください」
海未「挑戦決行の前に、何かことりに一言ありますか?」
穂乃果「ことりちゃん、ほんとに大丈夫なの?」
ことり「うん、100回記念だし、ここでひくわけには行かないから」
『全てを自分ひとりで背負おうとする勇敢なことり』
真姫「だから100回記念てなんなのよ……」
凛「ことりちゃん、死んだら嫌だよ……?」
ことり「大丈夫、任せて」フンス
にこ「絶対無理よね、ローラー車でしょ……」
絵里「ビデオにとってもいいかしら?」ハァハァ
希「えりち…………」
海未「ええ、その白線より外側ならいくらでも」
穂乃果「ここからだとちょっと遠いね……でも、穂乃果たち一生懸命応援するから!ファイトだよ!」
花陽「万が一のために救急車とか呼ばなくて大丈夫?」
海未「心配無用です、正露丸と安全ピンもありますし」
ことり「っ…………」(笑)
『みんなのあたたかい応援につい涙がこぼれそうになることり』
海未「ではことり、そろそろいきましょうか」
ことり「みんな見てて、絶対に成功させるから」
ことり「行って来ます!」
ほのえりりん「いってらっしゃい!」
のぞにこまきぱな「……………………」
――5分後――
海未「ことり、準備はできましたか?」
海未「ことり…………」
『極度の緊張のためか、白目をむいていることり』
海未「おなかは空いていませんか?」
海未「やり残したことは無いですか?」
『海未の言葉も耳に入らないほど集中することり』
海未「ことり……なんだか身体が柔らかくなってますね」
『地面と同化するために身体を柔らかくすることり』
海未「……これ以上の心配は野暮ですね」
海未「ことり、あなたの生き様……全員で見届けさせていただきます!」
海未「ローラー……お願いします!」
ブロロロロロロ!
海未「ことりっ!」
――――グシャッ!
海未「ことりーーっ!」
ブロロロロロロ……
海未「ことり!」タッタッタ
海未「大丈夫ですか!?」
海未「早く控え室に!こっちです!」
『ことりを連れて控え室へと戻る海未』
ガチャッ バタン
――ガチャッ
ことり「はぁ……はぁ……死ぬかと思ったよ」
海未「ことり、歩けますか!?」
ことり「うん、大丈夫、無傷だよ!」
海未「……!」パァ
海未「やりましたね!」
ことり「早くみんなのところに戻ろう」ニコッ
海未「ええ、みんなの驚く顔が目に浮かびます」
ことり「みんなお待たせ」
海未「どうです、やりましたよ!」
μ’s「……………………」
海未「んっ、どうしたんですか?」
μ’s「………………」
海未「ことりは生きて帰ってきたんですよ」
μ’s「…………」
ことり「あっ、びっくりし過ぎて呆気に取られてるのかな?」
海未「あなたたち……そこまでことりのことを……!」
μ’s「……」
海未「んっ……なんですその顔は?」
穂乃果「…………いまの……」
凛「ずっと見てたんだけど……その…………」
花陽「あれ……人形……」
海未「はっ?」
ほのりんぱな「」ビクッ
バン!
ほのりんぱな「ひっ!」
海未「あなたたち、冗談とはいえ言っていいことと悪いことがありますよ?」
海未「人形とはどういうことですか?」
海未「まさかあなたたち……今の挑戦に細工があったというのでないでしょうね?」
ほのりんぱな「……………………」
ことり「そんな…………」
『いわれの無い疑いにショックを隠しきれないことり』
海未「はぁ……悲しいですね、凛と花陽は後輩、穂乃果に至っては幼馴染だというのに……」
海未「あなたたち三人は人を悪く言うような人ではないと思っていたのに……」ハァ
ほのりんぱな「…………」ウツムキ
海未「これではことりが浮かばれません……」
海未「まさか恩を仇で返すようなメンバーがμ’sにいるなんて……」
海未「……花陽、凛」
りんぱな「!」ビクッ
海未「先輩がここまで言ってるんですよ?」
ことり「二人なら信じてくれるよね?」
りんぱな「………………」ウツムキ
海未「」ドカン!
りんぱな「!」
海未「」ニコッ
りんぱな「…………」グスッ
凛「…………はい」
花陽「ことりちゃん、疑ってごめんね……」
海未「さすがはμ’sの妹です」
ことり「穂乃果ちゃんは?」
穂乃果「うっ…………で、でも、穂乃果は――」
ことり「なんだか雨の日のマラソンを思い出すなぁ」
穂乃果「!」ビクッ
海未「あの時は大変でした……しかし、穂乃果は心を入れ替えてくれたはずです」
海未「そうですよね、穂乃果?」
穂乃果「…………」グスッ
ことり「穂乃果ちゃん、どうだった?」
穂乃果「……ことりちゃん、すごかったよ……ごめんね、変なこと言って」
ことり「ううん、気にしないで」
海未「それでこそ穂乃果です」
海未「ところで……真姫、希、にこ、あなたたちはどうなんですか?」
真姫「えっ!」ビクッ
希「っ……そ、それは…………」
にこ「……あれ、寝そべり………」
海未「……一人ぼっちは嫌ですよね?」ニコッ
のぞにこまき「え……?」
ことり「真姫ちゃんも希ちゃんもにこちゃんも、一人ぼっちの辛さは知ってるもんね」
のぞにこまき「…………!」
海未「……仲間は、信じないとダメですよ?」
海未「一人になって後悔してからでは遅いですからね」ニコッ
のぞにこまき「」ブルブル
真姫「…………はい」
希「……信じます」
にこ「……ごめんなさい」
海未「あなたたちならそういってくれると思っていました」
ことり「それじゃあ、今回の挑戦は大成功だね」
絵里「はらしょー!」ピョンピョン
ことうみ「!」
絵里「ことり、すごかったわ!」
絵里「決死のローラー作戦、しかと見届けたわ」
ことうみ「…………」ポカーン
絵里「?」
海未「……さ、さすが絵里です!」
ことり「絵里ちゃんだけはちゃんと見てくれてたんだね!」
絵里「当然よ、かしこいもの」フンス
にこ「……希、絵里のこのビデオカメラ……」
希「…広角モード……」
μ’s「」
絵里「ことり、海未、感動をありがとう!」
絵里「ラブライブSS 100回記念、見事成功ね!」
μ’s「……………………」
ことうみ「」
――おしまい♪
感想
祝!100回記念☆
毎回楽しみにしています♪
いろいろ大変だと思いますが無理せずに頑張って下さい!応援してます!
ありがとうございます♪
こういった温かいお言葉を頂くと、諦めずにここまでやってきて良かったと実感します。
感謝の気持ちはSSを書くことでしかお返しできませんが、これからもご期待に添えられるよう頑張ります。
お気持ち、確かにお受け取りしました。
記念すべき100話目がこんなシュールなSSとなってしまい、ごめんなさい;