ごちうさSS 天々座家、夏休みの深夜 Vol.4 リゼ

 

 

――PM7:21 ラビットハウス チノの部屋――

 

 

チノ「ふぅ…………」

 

チノ(夏休みの課題、もう終わっちゃった……)

 

チノ(メグさんとマヤさんはまだかかりそうですし、しばらくはおうちでゆっくり――)

 

 

――トントン

 

 

チノ「?」

 

タカヒロ「チノ、今いいかい?」ガチャッ

 

チノ「はい」

 

タカヒロ「外に出てきてごらん」

 

チノ「外?」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

タカヒロ「ほら、見なさい」

 

チノ「!」

 

 

 

チノ「花火……!」

 

タカヒロ「綺麗だね」

 

チノ「花火大会はまだなのに……あんなに大きい花火を」

 

タカヒロ「あの方角は、リゼくんの家だろう」

 

チノ「リゼさんのおうち……――あっ」

 

チノ(もしかして――)

 

 

Prrrrrrrrr

 

 

チノ「!」

 

チノ「もしもし」スッ

 

チノ「-――ここあさん、こんばんは」

 

チノ「――はい、父と一緒に見てますよ」

 

チノ「――ふふ、そうだと思いました」

 

チノ「リゼさんにおめでとうと伝えておいてください」

 

チノ「――良かったですね、ここあさん//」ニコッ

 

 

タカヒロ(お祝いもかねての、みんなへのお礼ということか)

 

タカヒロ「ウサギ耳をつけて頑張った甲斐があったな、親父」

 

ティッピー「ワシはつけておらん!」

 

チノ「お父さん、見てください……!」

 

タカヒロ「水色の花火……」フッ

 

ティッピー「ふむ」ピョン

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「おばあちゃん、花火とっても綺麗よ?一緒に見ましょう」

 

お婆「ふん、いまさら花火くらいで思うことなんて無いよ」ストンストン

 

シャロ「きっとここあからおばあちゃんへのお礼の意味もあるはずだし、見ておかないと後悔するかも?」

 

お婆「お礼される覚えもないからいいんだよ。ぶつくさ言ってないでスイカでも食べな」スッ

 

千夜「まぁ、ありがとう」

 

シャロ(さっきからスイカを用意してくれてたんだ……)

 

お婆「ほら、二人とも両端に詰めな。邪魔だよ」

 

千夜「?」

 

シャロ「おばあちゃん?」

 

お婆「真ん中、座れないだろ」

 

シャロ「!」

 

千夜「ふふっ……」

 

お婆「まったく……」スッ

 

千夜シャロ「♪」ニコッ

 

千夜「あ、おばあちゃん見て、あの花火」

 

シャロ「緑色……!黄色!」

 

お婆「最近の花火は随分こじゃれてるね」

 

アンコ「」ピョンピョン

 

お婆「アンコもしっかり見ときな」ヒョイ

 

アンコ「」フムフム

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 ガーデン――

 

 

使用人「今ので最後です」

 

リゼ父「そうか、ご苦労だったな」

 

使用人「届いたでしょうか」

 

リゼ父「ああ」

 

 

ここあ「ちのちゃん、『はなび』みてくれてたって!」

 

リゼ「千夜とシャロからもメールが来たぞ。お……ユラからも」

 

ここあ「みんなにとどいたね」

 

リゼ「きっとマヤもメグも見てくれただろう。よかったな、ここあ」ヒョイ

 

ここあ「りぜちゃん、おめでとう」ギュッ

 

リゼ「これで思う存分遊べるぞ~//」スリスリ

 

ここあ「んっ……//」

 

 

使用人「お嬢にとって長い一週間でしたね」

 

リゼ父「俺には短すぎた」

 

使用人「まだ何かするつもりだったんですかい?」

 

リゼ父「あと一か月もある。追い追いな」

 

使用人「騒ぎのタネが尽きませんね、こりゃ」

 

リゼ父「暇しなくていいだろ」

 

使用人「フッ……ええ」

 

 

ここあ「あのね、ちのちゃんと『ぱずる』をつくったんだよ。ちやちゃんから『きんつば』のつくりかたもおしえてもらったの。あと、しゃろちゃんとぬいぐるみのふくもつくったよ」

 

リゼ「いっぱい新しいこと覚えたんだな、えらいぞ」ナデナデ

 

ここあ「りぜちゃんもいっしょになにかしてくれる?」

 

リゼ「当たり前だろう。ここあのしたいこと、ゲームでも料理でもお出かけでも全部一緒にしよう」

 

リゼ「何でもしてやるぞ~//」

 

ここあ「//」キャッキャッ

 

リゼ「まずはお風呂に入ろう、今夜からは部屋で一緒に寝ような」

 

ここあ「りぜちゃんとおふろ~♪」

 

リゼ(ようやくいつも通りだ……)ギュッ

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

ガチャッ

 

タカヒロ「いらっしゃい」

 

リゼ父「…………」

 

タカヒロ「ん……お前か」

 

リゼ父「ほら」ゴトッ

 

タカヒロ「ワイン?」

 

リゼ父「1週間のお礼だ。小さいのが世話になったな」

 

タカヒロ「ふっ……ここあくんのためだ、娘になにかしてあげることを苦に思うわけがない」キュポン

 

リゼ父「俺の娘だ」

 

タカヒロ「水掛け論はよそう。せっかくの酒の席だ」トクトク

 

リゼ父「いずれは白黒付けてやる」

 

タカヒロ「乾杯」

 

リゼ父「ああ」

 

タカヒロ「…………」ゴクッ

 

リゼ父「うまいな」

 

タカヒロ「なにかいるか?」

 

リゼ父「チェダーチーズをくれ」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

――宿直室――

 

 

使用人「乾杯」

 

メイド「♪」

 

使用人B「どうも」

 

メイドD「」ゴクゴク

 

メイドB「わたしお酒弱いんですけど……」

 

使用人「まぁまぁ、せっかくですし」

 

メイド「」ゴクゴクゴクゴク

 

メイドB「こら、一気飲みしないでください。身体に悪い」

 

メイド「?」

 

使用人「固いこと言わずに、もう仕事もありませんから」

 

メイドB「まったく、みんなしてメイド長のこと甘やかしすぎです」ゴクゴク

 

メイドB「この前だってバスルームに着替えを持っていくのを忘れて裸で廊下を徘徊するし」

 

使用人D「ブッ!?//」

 

メイドB「なにニヤけてるんです?」

 

使用人D「あ、いや……!」

 

使用人「本人に自覚がないのがどうも……」

 

メイド「」ゴクゴクゴクゴク

 

メイドB「最近では『お盆三刀流』なる新技を覚えて、頭の上と両手に洗濯カゴを乗せて運んでるんですよ」ゴクゴク

 

使用人「!」

 

メイドB「小さいお嬢様の模倣でしょうか」

 

使用人「ははっ……かもしれません」

 

メイド「」ゴクゴクゴクゴク

 

メイドB「微笑ましいって言って誰も注意しませんし、わたしだって怒りたくて怒ってるわけじゃないのに」ゴクゴク

 

使用人「いつもすいません、お疲れ様です」

 

メイドB「んっ……//」ヒック

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

使用人B「…………//」Zzz

 

メイドD「スゥ…………//」Zzz

 

使用人「ここで飲んで正解ですね」

 

メイド「」コクコク

 

使用人「雑魚寝で申し訳ないですが、せめて掛け布団だけでも」バサッ

 

メイドB「うぅ…………//」ポワポワ

 

メイド「」ナデナデ

 

メイドB「ん…………//」Zzz

 

メイド「」ヨシヨシ

 

使用人「いつもと反対ですね」

 

メイド「」バサッ

 

メイドB「…………//」Zzz

 

使用人(いい夜だな……きっとお嬢たちも、今頃――)

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「ここあ、電気消すぞ~」

 

ここあ「りぜちゃんまって。これ」

 

リゼ「んっ?」

 

ここあ「すたんぷ、きょうのぶんおして?」

 

リゼ「おっと。すまない、忘れるところだった」ガラッ

 

リゼ「――今日も良い子にできたな」

 

ここあ「7つたまったよ!」

 

リゼ「今週も達成だな、えらいぞ」ナデナデ

 

ここあ「はい、りぜちゃん」

 

リゼ「確かに受け取った。ほら、新しいスタンプカードだ」スッ

 

ここあ「…………」ドキドキ

 

リゼ「さて……――今週のご褒美、なにがいい?」

 

ここあ「えっとね……//」モジモジ

 

リゼ「?」

 

ここあ「……きす//」

 

リゼ「キス……口にか?」

 

ここあ「……//」コクリ

 

リゼ「いつも同じお願いだけど、いいのか?」

 

ここあ「うん。……して?//」

 

リゼ「そうか……」ベッド ポスッ

 

リゼ「ほら――おいで」

 

ここあ「んっ//」ギュッ

 

リゼ「…………//」スッ

 

 

――チュッ

 

 

ここあ「ぁ……//」

 

リゼ「もう一回するか?//」

 

ここあ「ううん、だめ」

 

ここあ「りぜちゃん、ありがとう//」ニコッ

 

リゼ「ここあが良いならいくらでもしてあげるのに。ご褒美なんかじゃなくても」

 

ここあ「とくべつじゃなくなるからだめ。ごほうびがいい//」ギュッ

 

リゼ「じゃあほっぺにしてやろう」チュッ

 

ここあ「えへへ……りぜちゃん、すき//」

 

リゼ「わたしも好きだぞ」ギュッ

 

ここあ「きょうはりぜちゃんもねぐりじぇだね//」

 

リゼ「もう課題も終わったからな」

 

リゼ「ここあと一緒に寝るなら、こっちのほうがいい」

 

ここあ「りぜちゃんのにおい、すき……//」

 

リゼ「電気、消そうか」パチッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「………………//」

 

ここあ「ん……//」スリスリ

 

リゼ(今日はえらくあまえんぼうだ……やっぱり寂しかったんだろう)

 

リゼ「よく頑張ったな」ナデナデ

 

ここあ「りぜちゃん……あのね」

 

リゼ「?」

 

ここあ「あした、いっしょにおでかけしよ?」

 

リゼ「いいぞ、ここあの好きな場所にいこう」

 

ここあ「りぜちゃんとふたりきりがいい」

 

リゼ「分かった、みんなには内緒だ」

 

ここあ「とおいところ、いこう?」

 

リゼ「遠いところか。それじゃあちょっとだけ電車にでも乗るか?」

 

ここあ「うん!ありがとう//」

 

リゼ「明日が楽しみだな」

 

リゼ(ここあとふたりでおでかけか……なんだか久しぶりだな)

 

リゼ(寂しくさせた分、たくさん楽しませてあげないと……)

 

 

ここあ「りぜちゃん、わたしの~//」ギュッ

 

リゼ「ああ、ここあのだぞ~//」ニヘラ

 

 

――おしまい?

 

 

 

――AM2:14 外――

 

 

リゼ父「うっ……ヒック…………//」

 

使用人「歩けなくなるまで飲まないでください」

 

リゼ父「つい盛り上がってな……うっ゛……」

 

メイド「」アセアセ

 

リゼ父「……懐かしいな」

 

使用人「そうですね」

 

リゼ父「大きくなったな、お前も……」ポンッ

 

メイド「」ニコ

 

使用人「みんなお嬢やあなたのおかげです」

 

リゼ父「お前たちがクズなら俺は容赦なく見捨ててたぞ……」

 

使用人「ならなおさらですよ」

 

メイド「」コクリ

 

リゼ父「ふっ……ヒック……//」

 

使用人「……………………」フッ

 

メイド「」テクテク

 

リゼ父「う゛っ……!」

 

メイド「!?」

 

使用人「吐かないでくださいよ!?」

 

 

――おしまい♪

感想

  1. luka2000 より:

    課題という敵に打ち勝った後のリゼちゃんがここあと夜のやりとりに一々妄想してしまう癖がついてしまった…
    二人が可愛いすぎるのが悪いんですよ。

    僕の親戚にもここあと同じくらいの子が何人かいるのですが、どうしてもここあとリゼちゃんの絡みのせいで、無性にもふもふしたくなります。もはや病気の類ですねこれはぁ…
    ( ゚д゚)
    次回も楽しみに待ってます!

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      深夜に営み的なことをしていてもおかしくないほど仲良しですからね……。
      キスを特別なものにしているあたりに、ここあちゃんなりにリゼちゃんへの一線があるのかもです。

      リゼちゃんの親バカ病は感染する類のようですね……チノちゃんも徐々に感染してきております。
      もふもふするならまだしも、リゼちゃんの場合ほっぺたハムハムしてますからね。重病です。
      次回は二人で小さな新婚旅行です、ご期待ください!

  2. Beyond the Average より:

    あぁ、めっちゃ平和で温かいお話でした!
    夏の課題を、「まだ1か月もあるぞ」ということは7月末に終わらせてしまったリゼは相当頑張りましたね!その体力なら大学入試も最後に滝登りして勝利ですよ!!
    これは見守ってた大人たちも相当安心しますよね。傍から見れば関係ないはずの使用人さんやメイドさんたちがお酒で乾杯するのも納得です。
    ……はは、1か月もここあと自由に過ごせるとか楽園すぎてうらやましい!!でも私ですら楽園から現実に帰るのが無理そうなのでリゼは壮絶な8/31を迎えそうですね。
    リゼさん、お疲れ様でした! ゴクゴクゴクゴク(笑)

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      使用人さんやメイドさんたちもリゼちゃんが課題をやってる間はここあちゃんが寂しくないように遊んであげたりしてましたので、肩の荷が下りた気分だったのでしょう。

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