ごちうさSS リゼ「病床の千夜」(閲覧注意)

 

 

………………。
 
 
自身にとって。
 
 
都合の悪いものは。
 
 
常に。
 
 
自身が目を逸らそうとしている。
 
 
紛れもない『真実』である。
 
 
………………。

 

 

 (※途中で挿入されている音楽を流したまま最後まで読むと、より一層世界観に入り込めます)

 

 

――AM 9:02 病院――

 

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………あ」

 

看護師「」ペコリ

 

リゼ「おはようございます」

 

リゼ「――はい、いつものお見舞いです」

 

リゼ「――こちらこそ、お世話になって」ペコリ

 

リゼ「――では……」

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「…………」トントン

 

 

??「だれ?」

 

 

リゼ「千夜、わたしだ」

 

千夜「リゼちゃん!入って」

 

リゼ「……」ガラッ

 

千夜「来てくれたの?」

 

リゼ「昨日約束しただろう」

 

リゼ「あっ、今そっちに行くから立たなくていいぞ」

 

リゼ「――おはよう、よく眠れたか?」ナデナデ

 

千夜「うんっ」

 

リゼ「…………」

 

千夜「朝ご飯はお魚だったわ、全部残さず食べたの」

 

リゼ「そうか。偉いな、千夜は」

 

千夜「ふふっ」ニコッ

 

リゼ「……ほら、昨日言ってた折り紙もってきたぞ」

 

千夜「約束守ってくれたの?ありがとうリゼちゃん」

 

――スッ

 

リゼ「んっ……?」

 

千夜「ギュってしましょう?」

 

リゼ「……ああ」

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「嬉しい……」

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「リゼちゃんはいい匂いね」スリスリ

 

リゼ「………………」ジッ

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

リゼ「あっ……ごめん」

 

リゼ「千夜こそいい匂いだぞ」

 

千夜「どんな匂い?」

 

リゼ「……そうだな、安心する匂いだ」

 

千夜「リゼちゃん。ここ、横に座って」

 

リゼ「…………」スッ

 

千夜「お布団も入らなきゃダメ」

 

リゼ「看護師さんに怒られないかな……」バサッ

 

千夜「今日もたくさん遊びましょう」ギュッ

 

リゼ「……ああ」

 

千夜「折り紙したい」

 

リゼ「しよう。千夜がしたいこと、なんでも言えよ」

 

 

 

 

千夜「♪~♪♪」

 

リゼ「………………」

 

千夜「できたわ、お魚」

 

リゼ「可愛いな、顔でも描くか?」スッ

 

千夜「うんっ」

 

千夜「♪~♪♪」

 

リゼ「………………」

 

リゼ「千夜」

 

千夜「?」

 

リゼ「……あのな」

 

千夜「どうしたの?」

 

リゼ「…………っ」

 

千夜「……?」

 

リゼ「……なんでもない、ごめん」

 

千夜「なにか悩んでる?」

 

リゼ「何も悩んでないぞ」

 

千夜「ほんとう?」

 

リゼ「ああ、本当だ」

 

リゼ「千夜は何も心配しなくていい」ナデナデ

 

千夜「んっ……」

 

リゼ「……ごめんな」

 

千夜「リゼちゃん、元気出して」

 

リゼ「大丈夫だぞ……」

 

リゼ「次は何を作ろう、ウサギでも折るか?」

 

千夜「うさぎ!教えて」

 

リゼ「いいぞ、まず最初にここを折って――」

 

 

 

 

リゼ「今日のおやつは、『もなか』だ」

 

千夜「もなか、好き」

 

リゼ「そうか、ここのはおいしいぞ」

 

リゼ「ほら」

 

千夜「ありがとうリゼちゃん。いただきます」

 

千夜「はむっ……」

 

リゼ「……どうだ?」

 

千夜「おいしい、甘くて」

 

リゼ「………………」

 

千夜「食べないの?」

 

リゼ「え……ああ、食べるぞ」

 

リゼ「…………」モグモグ

 

千夜「♪」モグモグ

 

リゼ「………………」

 

千夜「ごちそうさま」

 

リゼ「………………」

 

千夜「?」

 

リゼ「……おいしかったか?」

 

千夜「うんっ」

 

リゼ「……おいしいよな、ここのもなか」

 

千夜「そうね」

 

リゼ「……最後の一口、千夜にあげよう」

 

リゼ「ほら、あーんしろ」

 

千夜「あーん……♪」

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「どうする、腹ごなしに散歩でもするか?」

 

千夜「看護師さんが、外に行っちゃダメだって」

 

リゼ「わたしと一緒なら平気だ、千夜が行きたいなら行こう」

 

千夜「…………」

 

――ポスッ

 

リゼ「千夜?」

 

千夜「リゼちゃん、いつも優しいわ」

 

リゼ「……!」

 

千夜「どうして?」

 

リゼ「それは…………」

 

千夜「?」

 

リゼ「………………」

 

リゼ「……千夜のこと、好きだからだよ」

 

千夜「わたしも、リゼちゃん好きよ」

 

リゼ「ありがとう」ナデナデ

 

千夜「んっ……」

 

リゼ「……行こう、外」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「寒いわね、お外」

 

リゼ「手袋持ってくれば良かったな」

 

千夜「じゃあ、手繋ぎましょう?」

 

リゼ「ああ」

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「あったかいわ」

 

リゼ「…………」

 

千夜「ここのお庭、綺麗よね」

 

リゼ「……そうだな」

 

千夜「わたしね、ここの景色が一番好きなの」

 

リゼ「…………」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

リゼ「……!」

 

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

リゼ「千夜……」

 

千夜「どこかで聞いた歌……リゼちゃん知らない?」

 

リゼ「……分からない」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

リゼ「……なんだか、悲しい曲だな」

 

千夜「リゼちゃんも一緒に歌いましょう?」

 

リゼ「……ああ」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

 

リゼ「ラーラーラー ラーラーラー ラーラーラララー……」

 

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

 

千夜「あら……――リゼちゃん?」

 

 

リゼ「…………」ポロポロ

 

 

千夜「どうしたの?どこか痛い?」

 

リゼ「ううん……グスッ、何でもないぞ」ポロポロ

 

千夜「……?」

 

リゼ「っく……ヒック…………」ポロポロ

 

千夜「泣かないで……」

 

リゼ「っ……」ギュッ

 

千夜「……?」

 

リゼ「千夜……っ」ポロポロ

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

リゼ「ヒック……エゥ…………」ポロポロ

 

千夜「…………?」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「ん…………」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「…………すぅ」Zzz

 

千夜「…………」Zzz

 

リゼ「…………」

 

リゼ「おやすみ」

 

リゼ「…………」スッ

 

リゼ「すぐに戻ってくるからな」

 

 

 

 

――医療相談室――

 

 

リゼ「――はい」

 

リゼ「――ダメでした」

 

リゼ「いえ、大丈夫です。あいつはもっと辛いでしょうし……」

 

リゼ「――夜中に迷惑とかかけてませんか?」

 

リゼ「――歌を……そうですか……」

 

リゼ「――すいません」ペコリ

 

リゼ「何かあったら、頭を撫でてあげてください。落ち着くと思いますから」

 

看護師「あの」ガラッ

 

リゼ「?」

 

看護師「宇治松さんが――」

 

リゼ「――!」

 

 

 

 

千夜「リゼちゃん、どこ……!」ポロポロ

 

看護師「すぐに来られますから……!」

 

千夜「きっとわたしのこと嫌いだから、帰っちゃったの……!」ポロポロ

 

千夜「うぇぇううっ……!」ポロポロ

 

リゼ「――千夜!」

 

千夜「!」

 

 

――ギュッ

 

 

リゼ「よしよし……ごめんな」ナデナデ

 

リゼ「ひとりぼっちにしてごめん……約束、破っちゃったな……」

 

千夜「リゼちゃん……帰って来てくれたの?」ポロポロ

 

リゼ「先生とお話ししてただけだ、千夜のこと見捨てたわけじゃないぞ」

 

千夜「どこにもいっちゃだめ……行くならちゃんと指切りして……」ポロポロ

 

リゼ「そうだったな……ごめん」

 

リゼ「勝手に帰ったりしないぞ、帰る前は必ず千夜に言うから」

 

千夜「んっ……」グスッ

 

リゼ「ほら……病室に戻ろう」スッ

 

千夜「うん……」

 

 

ザワザワ ガヤガヤ

 

 

リゼ「っ…………」

 

リゼ(やめろ……千夜をそんな目で見ないであげてくれ……)

 

リゼ(おかしくなんかない……千夜だって一生懸命なんだ……)ギリッ

 

千夜「リゼちゃん……」ギュッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「わしゃわしゃわしゃ~」

 

千夜「きゃっ……♪」

 

千夜「リゼちゃん、もう一回やって?」

 

リゼ「いいぞ。そらっ」

 

千夜「ふふっ……//」ニコッ

 

リゼ「落ち着いたか?」

 

千夜「うん」

 

千夜「リゼちゃんはどこにもいかない、ずっと一緒」

 

千夜「わたしのこと、好き」

 

リゼ「ああ、どこにも行かないし、千夜のこと好きだ」

 

千夜「明日も会える?」

 

リゼ「……会えるよ、また来る」

 

千夜「よかった」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「リゼちゃん、時々悲しい目をするわね」

 

リゼ「え……そうか?」

 

千夜「やっぱりなにかある?」

 

リゼ「何もないぞ。千夜が心配するようなことは、何も」

 

千夜「……?」

 

リゼ「ほら、わしゃわしゃしてやる」

 

千夜「ぁ……!して、早く//

 

リゼ「わしゃわしゃ」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

………………。
 
 
物事の善悪、真相、及び概念は。
 
 
生半可に知っているよりは。
 
 
何も知らないほうが。
 
 
遥かに良い。
 
 
………………。   

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

千夜「リゼちゃん、お外行きたい」

 

リゼ「んっ……そうだな」チラッ

 

リゼ「夕食を食べ終わってからにしよう」

 

千夜「食べたら連れて行ってくれる?」

 

リゼ「でも暗いから少しだけだぞ」

 

千夜「うん」

 

 

――ガラッ

 

 

シャロ「千夜……リゼ先輩」

 

リゼ「シャロ……」

 

千夜「シャロちゃん!」

 

シャロ「そこで配っていたから、千夜の夕食貰ってきたわ」コトッ

 

千夜「シャロちゃん、こっちに来て」

 

シャロ「ええ……」チラッ

 

リゼ「…………」コクリ

 

リゼ「千夜、わたしは少し先生と話があるから、シャロと遊んでてくれるか?」

 

千夜「わかったわ。終わったらリゼちゃんも一緒に遊びましょう?」

 

リゼ「ああ、良い子にしてるんだぞ」ポンッ

 

リゼ「シャロ……このあと散歩だ、頼めるか?」

 

シャロ「はい。……リゼ先輩、いつもすいません」ペコリ

 

リゼ「気にするな、わたしもすぐに合流するから」

 

 

――バタン

 

シャロ「………………」

 

千夜「シャロちゃん?」

 

シャロ「……千夜、遅くなってごめんね」

 

千夜「ううん、来てくれてありがとう」

 

シャロ「……ご飯、食べましょうか」

 

千夜「シャロちゃんも一緒に食べましょう」

 

シャロ「わたしの分はあるわ、大丈夫よ」

 

千夜「じゃあ隣に座って」

 

シャロ「…………」スッ

 

千夜「ふふっ、シャロちゃんぎゅっー」ギュッ

 

シャロ「……千夜」

 

シャロ「っ…………」

 

千夜「?」

 

シャロ「――ご飯、食べさせてあげるわ」ニコッ

 

千夜「ほんとう?」

 

シャロ「ほら、早く食べて散歩に行きましょう」

 

千夜「いただきます」

 

シャロ「はい、あーん」

 

千夜「あーん……」

 

シャロ「……おいしい?」

 

千夜「うんっ」モグモグ

 

シャロ「そう……残さず食べましょう」

 

千夜「シャロちゃん、まるでおねえさんみたいね」

 

シャロ「………………」

 

シャロ「同い年でしょう……わたしたち、幼馴染なんだから」

 

千夜「シャロちゃんとわたし、幼馴染、仲良し♪」

 

シャロ「そうよ、千夜と仲良し」

 

 

シャロ「………………」

 

 

シャロ「っ……」ウルウル

 

千夜「シャロちゃん?」

 

シャロ「ほら……あーんして」

 

千夜「あーん……」

 

シャロ「…………」グスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「もしもし、ココアか?」

 

リゼ「――ああ、大丈夫だ」

 

リゼ「モナカを食べさせてみたけど……やっぱりだめだった」

 

リゼ「今はシャロが代わりに面倒見てくれてるよ」

 

リゼ「――心配するな」

 

リゼ「泣くなよ……絶対治るって」

 

リゼ「今は、みんなで千夜を支えてやろう……」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

千夜「シャロちゃんとお散歩、嬉しいわ」ニコッ

 

シャロ「……わたしもよ」

 

千夜「今日ね、リゼちゃんと折り紙して遊んだの」

 

シャロ「なにを折ったの?」

 

千夜「……これ」スッ

 

シャロ「これは……?」

 

千夜「うさぎ。シャロちゃんのおうちの」

 

シャロ「……!」

 

千夜「折り方、リゼちゃんに教えてもらったわ」

 

千夜「シャロちゃんにあげる」

 

シャロ「…………」

 

千夜「……?」

 

シャロ「ありがとう……千夜。大切にするわね」

 

シャロ「おうちに飾っておくわ」

 

千夜「ほんとう?」

 

シャロ「だから――早く治って、見に来て」

 

千夜「わかった」

 

シャロ「クスッ……約束よ」

 

千夜「寒いわね、お外」

 

シャロ「もう冬だものね」

 

千夜「……ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

シャロ「!」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

シャロ「………………」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

シャロ「……千夜」

 

千夜「ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラ~♪ラ~ラ~ラララ~♪」

 

シャロ「……――っ!」

 

――ギュッ

 

千夜「……シャロちゃん?」

 

シャロ「大丈夫だから……」グスッ

 

シャロ「今度はわたしが、千夜のこと助けるからね……」ジワッ

 

シャロ「ずっと、支えるから……」ポロポロ

 

千夜「…………?」

 

千夜「寂しいの?シャロちゃんぎゅーっ」ギュッ

 

シャロ「っ……千夜……」ポロポロ

 

千夜「わたし、シャロちゃんのこと好きよ?」ナデナデ

 

シャロ「っく……ヒックッ……」ポロポロ

 

千夜「泣かないで……?」

 

シャロ「…………」グシグシ

 

千夜「シャロちゃん?」

 

シャロ「……ごめんね、もう大丈夫よ」

 

シャロ「……病室、戻りましょう」スッ

 

千夜「――うん」ギュッ

 

 

 

……。

 

…………。

 

………………。

 

 

この世に、事実というものは存在しない。
 
 
存在するのは――解釈だけである。

 

 

………………。

 

…………。

 

……。

 

 

――病室――

 

 

シャロ「千夜……待ってるからね」ナデナデ

 

千夜「んっ……」Zzz

 

リゼ「また明日も来るからな……」

 

シャロ「おやすみなさい……」カチッ

 

千夜「………………」Zzz

 

 

――おしまい。

感想

  1. おさkaな より:

    目が熱くなる内容でした。
    千夜が歌い出した後から(物語の理解)どういう状況かわかっていくと苦しくなりますね。
    そして読み返しの時に、音楽を入れて読みました。
    無理、涙腺崩壊。
    当事者、関係者の心境のあぁ語彙力
    とにかく泣かせていただきました、ありがとうございます。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      この感想を読むと……もしや猫さんは本作のカタルシスをご理解いただけた?
      そうです、本作はヤンデレではなく悲しいストーリーなのです。
      涙まで流してくださっている辺り、やはりご理解頂けているのかもしれませんね。
      わたしの本来の作風丸出しでしたが、お楽しみいただけたようでなによりです。

  2. 匿名 より:

    千夜がリゼに対するヤンデレになっていること以外は状況があまり見えてこないな。次回を見れば状況が分かってくるのかな?

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      千夜ちゃんはヤンデレにはなっていませんよ、恐らく先にシャロちゃんが来ても同じ反応をしていたかと。
      今作は次回には続きません、これでおしまいとなっております。

  3. 匿名 より:

    おもしろかったです。途中のBGMは ゼルダの伝説 ムジュラの仮面のBGMですね。って言うか千夜どこからそのBGM知ったんだ?

  4. Beyond the Average より:

    今回はリゼの狂気日記よりも難しいお話で、5回ぐらい読みました。
    以下はそんな私の拙い考察です…。
    千夜は辛い経験をし、その『真実』から目を逸らしている。(リゼはそんな千夜を一生懸命だと思っている。)
    千夜のもなかへの反応から、和菓子への熱意がもはや無いことがわかります。あと、千夜のセリフ一つ一つが短いこと、妙に明るくしようとするのが引っ掛かりました。(精神が通常でない、としか言いようが無い)
    さて、その「事実」とは何なのか、
    私は「千夜のおばあちゃんが亡くなった」と解釈しました。
    リゼに勝手にいなくならないで欲しいこと、和菓子への熱意が失われたこと、「亡くなった者の魂を癒すことができる(らしい)」いやしの歌を口ずさむこと、リゼやシャロが『真実』に関する言及をできないことから、千夜が思い出したくない、つまり大切な人を失ったのだと思い、この「解釈」をしました。
    (事実は存在せず解釈のみがある、とは読者へのメッセージだと「解釈」しました。)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      Oh………………。
      素晴らしい、なにも言うことはありません。
      まさか見抜かれる読者さんがいらっしゃるなんて……。

      あなたは見事この話の真実を理解しました。
      わたしがわざわざ回答を描く必要はありません、1~100まで、あなたがここに描かれた答えが全てです。
      様々な解釈ができる中、わたしの隠した答えに辿り着かれましたね。
      本当に、お見事です……1寸も狂いもありません。

      執筆者として、作家として、最高の賛辞をあなたに贈ります。
      読んで下さり、ありがとうございます。
      From 砂水クジラ

  5. みー より:

    もう既にネタバレを見てしまったので何も説得力がないように感じますが…ところどころヒントは隠されているどころか思い切りばら撒かれていたように感じました。 折紙を教わる所、寂しさで泣きだす、最中を食べさせる… このような展開は新しいですね。
    存在するのは解釈だけ…何処かで聞いたような言葉ですがこの作品にびったり?な言葉ですね。辛い事を知らない方が楽に決まってますから。
    最近益々忙しくなってしまってゆっくりと作品を読み進めることも出来なくなってきてしまってコメントできる機会が滅法少なくなってしまっていますが、どうかご容赦の程を。執筆お疲れ様でした。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      こんにちは、ミーさん。
      『存在するのは解釈だけ』これは哲学者、ニーチェの言葉ですね。

      この物語の真実は、既にこのコメント欄で読者さんによって解明されております。
      答え合わせの際はそちらをご覧ください。

      当サイトには、時間が空いたとき、訪れたいと思った時にどうぞお越しください。
      義務や責任感で読むことはありません、更新をゆっくり追いかけてきてくださいね。
      いつもお気遣い、ありがとうございます。

  6. 虹見だいふく より:

    初コメです。
    このお話や「ヤンデレリゼとここあ」シリーズは自身の境遇と重なる所があり、キャラクターの心理に共感できました。

    ひとつ気になったのですが、このお話で千夜ちゃんはリゼちゃん達のことは覚えていたのに、もなか(甘兎庵?)について何も言わない(思い出さない)のは序文の都合の悪いものだからでしょうか?
    長文失礼しました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      初めまして、執筆者の砂水クジラです。
      ご感想ありがとうございます。

      序文……?『自分』の誤りでしょうか?
      千夜ちゃんの記憶障害……この物語の真実は、既に感想欄で読者さんによって解明されております。
      よろしければそちらをご覧ください。

      『狂気』がテーマの世界観を気に入って頂き、ありがとうございます。
      『ヤンデレリゼとここあ』シリーズを全て読んで下さったあなたに感謝です。
      またここでお会いできることを楽しみしてますね。

  7. 太刀洗 より:

    初めてコメントします。
    楽しく拝読させていただきました。
    実は砂水さんの小説を読むのはこれが初めてではないのですが、当作品は僕がこれまで読んだ小説の中で最も惹かれました。
    第一印象は、漂う「不条理」の感情です。
    作中では明かされないけれど千夜は何らかの影響で希望を失い、リゼが唯一の生きる希望となっているようにも見えます。リゼはリゼで、彼女は千夜に奉仕している自分に気づかないまま責任の重圧を負い、互いに共依存となり、負のスパイラルに陥ってしまっているような…
    祖母から受け継いだ和菓子への思いを失うほどの悲劇とは何だったのでしょうか。鎮魂歌の持つ雰囲気がより一層物語への洞察を深めさせてくれますね。
    またココアやチノちゃん達が登場しないのも仕掛けなのかなと思いました。彼女たちやその他の描写(風景描写など)を省略し、二人のみの世界に集約させることで冷んやりとした空気感がひしひしと伝わってくるような感じがします。
    僕も去年の冬、母を亡くしました。かなり迷惑をかけてきて親孝行もできず、大学に来年の春、復学する意思を固めた時のことでいきなりだったので、心に穴が空いたような感情を持つ暇もなく、葬式の準備に追われ、今更ながら現実がありありと襲ってきています。
    砂水さんの小説を読んでいると、自分と向き合えるといいますか、ディテールにもこだわってお書きになられているのが分かるので、真剣に物語の中に入れますし、読んでいて楽しいです。
    これからも応援しています。長文失礼いたしました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      つくるさんですか。
      初めまして、砂水クジラです。

      読者さんからの考察には執筆者として誠心誠意の返信をさせて頂きます。
      無礼はどうぞお許しください。

      まず、作中の千夜ちゃんについてですが。
      千夜ちゃんはリゼちゃんのことを一人特別扱いしているわけではありません。
      恐らくお見舞いに来た相手がチノちゃんやココアちゃんでも同じ反応をしていたことでしょう。
      リゼちゃん自身も、あくまで千夜ちゃんの症状に対して一友人として向き合っています。
      砂水クジラが共依存を描くのであれば、狂気日記のような恐ろしい世界観になりますので。

      千夜ちゃんがこうなってしまった原因についてですが、既に感想欄において鋭い感性を持つ読者さんが完璧に解明していらっしゃいます。
      あくまであるのは解釈だけですが、砂水クジラがこの物語に隠していた真実は正にそれです。
      本作にココアちゃんとチノちゃんが登場しないのはおっしゃる通りの演出ですが、リゼちゃんの他にシャロちゃんも登場しているので二人だけの世界、という意図はございません。
      この作品はヤンデレでは無く、『解釈の無いパンドラの箱』というのがモチーフです。

      ご家族を亡くされましたか……それもあろうことかお母さまを。お気持ち、お察します。
      恩返しする前に大切な人を無くした後悔と喪失感、言葉にできないほどの自責に囚われてしまいますよね。
      ですがお母様のためにも、落ち込むだけ落ち込んで、その後は辛くてもどうか前を向いて進んであげてください。
      きっとあなたが大学を卒業してくださることを天国で望まれているはずです。

      ロクな経験をしていない落ちこぼれの作家が運営する当サイトですが、また遊びに来てくださいね。
      作家として全力を注いで作品を更新しつつ、お待ちしております。

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