――天々座家 リゼの部屋 AM 10:21――
リゼ「………………」カキカキ
シャロ「………………」モクモク
シャロ「あっ、違う……」
リゼ「ここは3か……」
ここあ「りーぜちゃんっ」
リゼ「んっ?どうしたここあ?」
ここあ「よんだだけ♪」
リゼ「そうか~//」
シャロ「………………」
リゼ「なら、ここは2で……」
ここあ「りーぜちゃん」
リゼ「なんだ~?//」ニコッ
ここあ「よんだだけ~♪」
リゼ「そうか~//」ニヘラ
シャロ「…………っ」
リゼ「さっきからいたずらで呼んでくるやつは誰だ?」ヒョイ
ここあ「わぁ//」
リゼ「悪い奴は食べてやるぞ~//」ハムッ
ここあ「やっ~//」キャッキャッ
リゼ「ふへへ……//」スリスリ
シャロ「リゼ先輩っ!」
リゼ「どうしたシャロ?」
シャロ「課題に集中してください!先輩がここあと二人だと課題が手に付かないって言うから勉強会してるんですよ!」
シャロ「ここあも、リゼ先輩の邪魔しちゃダメよ?」ナデナデ
ここあ「なまえよんじゃだめ?」
シャロ「今二人で課題を終わらせてるから。終わったらみんなで遊びましょうね」
リゼ「いや、わたしはいくら呼ばれても全然――」
シャロ「リゼ先輩は黙っててください」
シャロ「それまで静かにできる?」
ここあ「うんっ」ニコッ
シャロ「良い子ね、あとでクッキー焼いてあげるわ」
ここあ「ほんと?ありがとうしゃろちゃん」
リゼ「ここあと遊ぶためにも早く終わらせよう」カキカキ
シャロ「最初からそうしてください!?」
ここあ「………………」
リゼ(さっきからずっとタブレットを見てる……なにかな?)チラッチラッ
シャロ「リゼ先輩」
リゼ「あっ、ああ」ビクッ
ここあ「…………」(みんなとの思い出写真閲覧中)
ここあ「……えへへ//」ニコッ
リゼ(可愛い、写真撮らないと。スマホどこにやったかな?)キョロキョロ
シャロ「リゼ先輩!」
リゼ「シャロ、静かにしろ。シャッターチャンスを逃す」
シャロ「課題を終わらせる方が先決です!」バンバン
ここあ「」マドノソト チラッ
ここあ「!」
ここあ「」ピョン
リゼ「あっ!」
シャロ「ここあ、どうしたの?」
ここあ「おそといってもいい?」
リゼ「わたしを置いて一人でか?そんなの寂し――」
シャロ「いいわよ、家から出るなら使用人さんに付き添ってもらって」
ここあ「いえっさー」
リゼ「シャロの鬼、勉強の悪魔!」
シャロ「褒め言葉です」フフン
ここあ「いってきます」
リゼ「あぁ……ここあ」ガクッ
シャロ「さて、そろそろ本格的に課題を――」
リゼ「…………」カキカキ
シャロ「早い!?」
――天々座家 ガーデン――
メイド「」ドサッ
使用人「あといくつくらいですかい?」
メイド「」ビッ
使用人「4つですか、今日中に全部乾きそうですね」
ここあ「ゆうしゃさん。なにしてるの?」テクテク
使用人「小さいお嬢、どうも」
メイド「」ペコリ
ここあ「せんたく?」
使用人「ええ、今日は快晴ですから」
ここあ「わたしもてつだう!」
使用人「気持ちはありがたいですが、小さいお嬢の背丈ですと届きませんね」
ここあ「わたしじゃできない?」
使用人「なら洗濯物を取ってきてもらえますか?」
ここあ「いえっさー!」
使用人(小さいお嬢のカゴは軽めに)ハンドシグナル
メイド「」グッ
ここあ「めいどさん、いこう」
メイド「」コクリ
ここあ「めいどさん、そんなにたくさんもてるの?」
メイド「」グッ
ここあ「ちからもちだね、りぜちゃんといっしょ♪」
メイド「」テレテレ
ここあ「またいっしょに『あまうさあん』いこうね」
メイド「」コクコク
メイドB「あっ!」
メイドB「もう、こんなところにいたんですか」
メイド「?」
ここあ「こんにちは」
メイドB「小さいお嬢様こんにちは。いつもお手伝い誠に感謝いたします」ナデナデ
ここあ「ん……//」
メイドB「それよりも、メイド長」
メイド「!」
メイドB「今日の役割担当はどうなってるんです?確認したけど白紙でしたよ」
メイド「」カクカクシカジカ
メイドB「自分がやるから心配いらない?そういうワンマンプレーはやめてくださいと常々言ってますよね」ジッ
メイド「」アセアセ
メイドB「……たまにはわたしたちに任せてゆっくりしてください」
メイド「」ポリポリ
メイドB「では、わたしたちは昼食の支度をしておきますので」
メイド「」コクリ
メイドB「では……」
ここあ「めいどさん、おこられちゃった?」
メイド「」フルフル
ここあ「みんなやさしいよね」ニコッ
メイド「」コクリ
メイドC「あの、メイド長?」
メイド「!」
メイド「」タタタ
ここあ「あっ、まって~」
メイドC「……はぁ」
―――――――――――――――――――――
使用人(このあとはお昼の買い出しに行って……)
ここあ「おまたせ~」
使用人「お、持ってきてくれましたか、助かりま――……?」
メイド「」ヨイショヨイショ
使用人「何してるんですか?」
ここあ「おぼん さんとうりゅうだよ、ちやちゃんにおしえてもらったんだって」
使用人「すごい身体バランスですね……ってそうじゃなくて!」
使用人「やめてください、カゴが落ちたらまた洗濯しなおしですよ」ヒョイ
メイド「?」
ここあ「みて~、わたしもできるよ」
使用人「小さいお嬢まで……とにかくありがとうございます」
ここあ「せんたくものおわったらゆうしゃさんもあそぼっ」
使用人「あっしもですかい?しかし、お昼ごはんの用意が」
メイド「」カクカクシカジカ
使用人「メイドたちが?そうですかい、なら」
ここあ「あそべる?」
使用人「ええ、なにします?」
ここあ「さばいばるげーむ!」
使用人「」
使用人(まずい……お嬢の悪い影響がついにここまで、どうにかしないと……)
使用人「お嬢に言ってやってくだせぇ。この子に軍事教育は控えるようにと」
メイド「♪」ワクワク
使用人「やる気満々!?」
ここあ「おとうさんもいれてみんなでやろっ」
――――――――――――――――――――――
リゼ父「……さて、この辺で待つか」
使用人「確かにここなら絶好の的、奇襲をかける最高のポイントですね」
リゼ父「アンブッシュして近づいてくるか、遠距離からスナイプの二択だな」
使用人「チーム分け、あっしかあなたが小さいお嬢と組んだほうが良かったのでは?」
リゼ父「小さいのと組むほうは手加減なしに本気でやっていいハンデだ、俺でもお前でもあいつでも、誰だっていい」
使用人「本気でですかい……」
リゼ父「油断してたら怪我するぞ、一生もののな」
使用人「どんなサバゲーです!?」
リゼ父「……」ピクッ
リゼ父「……そろそろ動いてくるな」
使用人「ですね」
ここあ「すきありだよ!」バサッ
リゼ父「ふっ……」サッ!
ここあ「あっ!」
使用人(小さいお嬢にはボディショットのみ……と)
ここあ「あたらないよ!」サッ
使用人「やりますね」
バシュバシュバシュ
リゼ父「きたな」ビュッ!
メイド「」バシュ
ここあ「めいどさん!」
使用人「!」バシュ
メイド「」サッ!
メイド「」ミドルキック!
使用人「え、ちょ……!?」ガード
ここあ「わぁ……!」
使用人「待ってくだせぇ、これはサバゲーで……!」
リゼ父「そうこなくちゃな、俺たちの反撃は銃のみだ」
使用人「めちゃくちゃだ!」
メイド「」マワシゲリ!
リゼ父「当たらん」ヒョイ
メイド「」バシュ
リゼ父「!」
リゼ父「……油断した」
メイド「」グッ
使用人「簡単にやられないでくだせぇ!?」
メイド「」カカトオトシ!
使用人「おっと!」
メイド「」サマーソルト!
使用人「スカートの中が見えますから、上段攻撃は控えてもらえませんか?//」
メイド「」タタタ!
使用人(くっ……撃ち辛いふところに!)
メイド「!?」ガッ
メイド「」ドタッ!
使用人「こけた!?だがもらった!」
メイド「!」
千夜「誰かいますか?」ヒョイ
ここあ「あっ、ちやちゃん」
使用人「!?」
メイド「」キラーン
メイド「」ケリアゲ!
使用人「ぐほぉ!!?」
メイド「!」
リゼ父「1メートル……飛んだな」
千夜「使用人さん、大丈夫ですか!?」
使用人「ええ、なんとか……うっ」ガクッ
千夜「メイドさんと何が……まさか喧嘩……!?」
リゼ父「いや、ただのサバゲーだ」
ここあ「ゆうしゃさん、しっかりして」
リゼ父「とりあえず宿直室まで運ぶか」
メイド「」コクリ
――――――――――――――――――――
使用人「いつつ……」
メイド「」ペコペコ
千夜「顎の下、赤くなってますね」
ここあ「ごめんなさいしてるからゆるしてあげて?」
使用人「ええ、気にしてませんよ。あっしの不注意です」
リゼ父「今日はゆっくり休め、寝ていろ」ガチャッ バタン
使用人「どうも……」
ここあ「でもめいどさんかっこよかったよ」
メイド「」テレテレ
千夜「今度わたしにもぜひ教えてください」
メイド「」グッ
使用人「ダメですって、やめてください」
メイド「」ガシッ
使用人「あ……すいません、安静にしておきます」
メイド「」ピタッ
使用人「なぜ聴診器!?」
ここあ「めいどさん、それなあに?」
メイド「」スッ
ここあ「?」
千夜「体の中の音を聴く医療道具ね。こうして耳にはめて、これを相手の身体にくっつけるの」
ここあ「おとがきこえるの?」
千夜「試してみる?」
ここあ「うん!」
千夜「待ってね」シュル
使用人「!」
メイド「」バサッ
使用人「うぷっ……」
使用人「……どうも」
メイド「」グッ
千夜「ここあちゃん、この辺に当ててみて」
ここあ「ここ?」ピトッ
ここあ「――あっ、きこえたよ!」
千夜「なにか鳴ってる?」
ここあ「どくんどくん ていってる」
千夜「それはしんぞうのおとね」
ここあ「からだのなかっておとがするの?」
千夜「ええ、みんな鳴ってるわ。チノちゃんもリゼちゃんもシャロちゃんも」
ここあ「……!」
ここあ「めいどさん、これきょうだけかして?」
ここあ「みんなのおと、ききたい!」
メイド「」コクリ
千夜「ラビットハウスにいくの?」
ここあ「うん!ちのちゃんのおとをきいてくる」
千夜「一緒にいくわ、ちょっと待ってね」
千夜「これ、リゼちゃんとシャロちゃんに差し入れの和菓子です、みなさんの分も入ってますので」
メイド「」ペコリ
千夜「使用人さん、無理しちゃダメですよ」
使用人「お気遣い感謝します」
ここあ「ちやちゃん、はやく~」
千夜「それではまた」
ガチャッ バタン
使用人「………………」
使用人「動かない方がいいですかね」
メイド「」コクリ
使用人「正直これくらいの怪我ならなんともないんですが」
メイド「」フルフル
使用人「……承知しました」
メイド「」ホッ
――――――――――――――――――――――――――
――ラビットハウス 厨房――
チノ「…………ふぅ」スッ
チノ「やっと完成しました」
チノ「おじいちゃん、どうですか?」
ティッピー「ふむ、上出来じゃろう。あとは味じゃな」
チノ(お父さん、部屋にいるかな……?)ガチャッ
タカヒロ「料理の練習かい?」
チノ「っ!?」ビクッ
タカヒロ「いい匂いがしてきたからね」キラン
チノ「えっと、昨日言っていたカツ丼を作ってみたので」
タカヒロ「なるほど……」
チノ「味見してもらえますか?」
タカヒロ「もちろんだよ」
タカヒロ「……頂きます」
チノ「……」ゴクリ
タカヒロ「…………」モグモグ
チノ「…………」ドキドキ
タカヒロ「………………」
チノ「うぅ……」
ティッピー「早く言わんか、チノが不安がる」
タカヒロ「おいしい」
チノ「ぁ……!」パアァ
タカヒロ「アドバイスをするなら、卵のとくときにわざと少し卵白を残すといいだろう」
タカヒロ「カツを揚げる時間もマニュアルではなく、チノのタイミングでいいと思う」
チノ「は、はい」
タカヒロ「ここあくんと一緒に作る時は、この二つに気を付けていれば十分だよ」
タカヒロ「味は完璧だ、さすがはチノだね」
チノ「//」テレテレ
ティッピー「ふん、当然じゃわい」
タカヒロ「このカツ丼、食べてしまってもいいかい?」
チノ「もちろんです。お父さん、いつもありがとうございます」
タカヒロ「かまわないよ、これからもどんどん挑戦していきなさい」
チノ「次は何にしましょうか、おじいちゃん」
ティッピー「他人丼とかどうじゃ?」
チノ「またドンブリですか」
ここあ「ちーのちゃん!」
チノ「!」
―――――――――――――――――
チノ「ここあさん、千夜さん」ガチャッ
千夜「お休みなのにごめんなさいね」
チノ「いえ、ちょうど用事が済んだところだったので」
ここあ「ちのちゃん!」ギュッ
チノ「今日は千夜さんと外で遊んでるんですか?」ナデナデ
ここあ「りぜちゃんとしゃろちゃんがおうちでおべんきょうしてるの」
チノ「邪魔しないようにですか、偉いですね」
ここあ「だからちのちゃんのからだのおとをききにきたんだよ~」
チノ「?」
ここあ「ちのちゃん、ふくぬいで?」
チノ「え……//」
千夜「メイドさんからこれを借りてきたの」
チノ「聴診器?」
ここあ「こうしてからだにあてたらきこえるんだよ~」
チノ「なるほど……分かりました」
チノ「ですが、ここではちょっと……わたしの部屋でなら//」
ここあ「おじゃましまーす♪」
チノ「千夜さん、あれって本物ですか?」
千夜「だと思うわ、ちゃんと音が聞こえるし」
チノ「おもちゃにしても平気なんでしょうか?」
千夜「ここあちゃんと仲良しのメイドさんのだから」ニコッ
――――――――――――――――――――
ここあ「んっ……」ピタッ
チノ「…………//」
ここあ「きこえたよ!」
ここあ「ちやちゃんよりも、たくさんどくんどくんっていってる」
千夜「きっと緊張してるのね」
ここあ「おちついて~だいじょうぶだよ」ナデナデ
チノ「ひゃっ……こ、ここあさん、胸を撫でたらダメです//」
ここあ「ふぉぇ?」
千夜「お腹の方はどう?」
ここあ「おなか?」
チノ「千夜さん……//」
千夜「ここあちゃん楽しそうだから」クスッ
ここあ「ん……」ピタッ
ここあ「へんなおとがなってるよ」
千夜「もしかしてチノちゃんお腹すいてる?」
チノ「ぅ……お昼、まだ食べていなくて……//」
千夜「ここあちゃん、診断結果が出たわ」
ここあ「うん!ちのちゃん、わたしがごはんつくってあげる」
チノ「ここあさんが?」
ここあ「おなかいっぱいになったらきっとなおるよ!」
チノ「えっと……」アセアセ
千夜「先生に逆らっちゃダメよ、チノちゃん」
チノ「あぅ……では、お願いします//」
ここあ「わたしにまかせなさーい♪」ガシッ
――――――――――――――――――――
ここあ「ちのちゃんよろこんでくれたね」
千夜「診察するだけじゃなくちゃんと処置もするのね、偉いわ」
ここあ「ちのちゃんとちやちゃんはこれでだいじょうぶ。あとはゆらちゃんだね」
千夜「そういえばユラ先輩のおうちってどこかしら」
ここあ「わいるどぎーすにきけばわかるよ」タタタ
千夜「?」
ここあ「わいるどぎーす、おいで」
ワイルドギース「?」
ここあ「きょうはゆらちゃんみた?」
ワイルドギース「」フルフル
ここあ「みてない?」
ワイルドギース「」フン
ここあ「ゆらちゃんのおうち、しってる?」
ワイルドギース「………………」
ここあ「やさいかってきてあげたらおしえてくれる?」
ワイルドギース「…………」
千夜(ここあちゃん、動物と話せるの……?)
ここあ「わいるどぎーす?」
ユラ「千夜ちゃんとここあちゃん二人で押しかけ?ウェルカムだよ~」ポンッ
千夜「!」
ここあ「ゆらちゃん!いた!」
ユラ「何の遊び~?ユラちゃんも混ぜてよ~」
千夜「ユラ先輩、どうしてここが?」
ユラ「ワイルドギースにエサをあげに来ただけだよ~会えたのは偶然」
ユラ「わたしのこと探してくれてたの~?」
ここあ「ゆらちゃん、ふくぬいで!」
ユラ「わぁ、ここあちゃんてば大胆だね~いいよ~」シュル
千夜「診察ごっこしてるんです、メイドさんから聴診器をお借りしたので」
ユラ「そういうことか~勘違いしちゃったよ~」
ここあ「?」
ユラ「とりあえずここじゃ寒いし、甘兎庵にお邪魔してもいい~?」
千夜「はい、もちろん」
ここあ「ゆらちゃんはどんなおとがするの?」
ユラ「心臓の音?ん~銃撃音かも」
ここあ「ほんと!?」
ユラ「嘘だよ~ユラちゃんジョーク」コチョコチョ
ここあ「くすぐっちゃやだぁ//」
ユラ「ふふ~可愛いね~」
―――――――――――――――――――――――
ユラ「そっか~リゼとシャロちゃんが勉強中なんだね~」
千夜「さっきチノちゃんを診療し終わったところです」
ここあ「ゆらちゃんのおと、ちやちゃんといっしょだね」
ユラ「面白くなくてごめんね~いくらユラちゃんでも心臓の音は変えられないのさ~」
ここあ「ゆらちゃん、おなかすいてない?」
ユラ「さっき携帯食料食べてスタミナ回復したところだよ~」
ここあ「れーしょん?」キョトン
ユラ「それよりここあちゃん、その聴診器ユラちゃんにも貸してくれる~?」
ここあ「いいよ、はい」
ユラ「ありがと~」
千夜「ユラ先輩?」
ユラ「千夜ちゃん、もしものことがあったらリゼには秘密にしててね」
千夜「え……」
ユラ「たぶん平気だけどさ~」
千夜「……――あ」
ユラ「ここあちゃん?ユラちゃんにも音聞かせてくれる~?」
ここあ「わたしのおと?いいよ!」シュル
千夜「あ、あの……」
ユラ「怖い~?わたしもだよ」
千夜「……っ」
ここあ「ちやちゃんどうしたの?」
ユラ「じっとしててね~」ピトッ
千夜「!」
ここあ「んっ…………」
ユラ「………………」
千夜「ゆ、ユラ先輩……?」
ユラ「……んふふ~」
ここあ「ゆらちゃん、どうだった?」
ユラ「ここあちゃんと同じで元気な音が鳴ってるよ~」
ここあ「ほんと!」
千夜「……!」
ユラ「心配いらないよ~千夜ちゃん」
千夜「……はい」ホッ
ユラ「良かったね~わたしも安心したよ」
ここあ「ちやちゃん、だいじょうぶ?」
千夜「ここあちゃん……ええ、平気よ」ヒョイ
千夜「良かった……」ギュッ
ここあ「?」
ユラ「そろそろリゼの家に戻ろっか~」ポンッ
ここあ「おべんきょう、もうおわったかな?」
ユラ「たぶんね~シャロちゃんも一緒でしょ~?」
千夜「――あ」
ユラ「どしたの~?」
千夜「リゼちゃんからの着信履歴が……」スッ
『15件』
ユラ「」
ここあ「?」
――――――――――――――――――――――
――ラビットハウス 厨房――
ティッピー「チノや」
チノ「なんですかおじいちゃん」
ティッピ―「一緒に遊びにいかんで良かったのか?」
チノ「後片付けや洗い物がありますから」
ティッピー「そんなもの後で構わんのに」
チノ「ここあさんの前でそんないい加減なことできません」
ティッピー「ふむ」ピョン
チノ「あの手料理、すごくおいしかったです」
ティッピー「チノが教えたからの」
チノ「でも……わたしの作るものとは違います」
チノ「……懐かしい味」ボソッ
ティッピー「………………」
チノ「…………//」
リゼ「ここあっ!!」ガチャッ
チノ「!?」ビクッ
リゼ「チノ!ここに千夜とここあが来なかったか!?」
チノ「千夜さんとここあさんでしたら、さっきユラさんを探しに行くと――」
リゼ「あいつか……!」
シャロ「リゼ先輩!」ゼェゼェ
リゼ「どうしたシャロ?」
シャロ「千夜からメールが来ました、いまリゼ先輩の家の前にいると」
リゼ「入れ違いだと!?」
シャロ「ですから家で待った方がいいって言ったじゃないですか!」
リゼ「そうと分かれば早く帰るぞ!チノ、シャロ急げ!」
チノ「わたしも!?」
リゼ「振り回され隊、全速力だ!返事は!?」
シャロ「い、いえっさーっ!!」
リゼ「チノ、返事がないぞ!」
チノ「い……いえっさー!」
リゼ「よし!」
ティッピー(良かったのう、チノ)ピョン
―――――――――――――――――――――――
――宿直室――
使用人「あの」
メイド「?」
使用人「さっきの聴診器はどこから?」
メイド「」カクカクシカジカ
使用人「物置部屋から出てきたんですかい」
メイド「」コクリ
使用人「いったい何のために誰が……」
メイド「」サッ
使用人「もうひとつ!?いくつあったんですか!」
メイド「」ジー
使用人「へっ?」
メイド「」ジー
使用人「まさか、やってみたいとかでは……」
メイド「」コクコク
使用人「……はぁ」バサッ
メイド「」パアァ
メイド「」ポスッ
使用人「馬乗りにならなくても……」
メイド「」プチップチッ
使用人「ボタン外せますか?」
メイド「」コクリ
使用人「胸の部分に当てるんです」
メイド「……」ピタッ
使用人「どうです?」
メイド「……!」ドクンドクン
メイド「//」ニコッ
使用人「それは良かった……」
――ガチャッ
リゼ父「おい、ちゃんと休んでる……か……?」
使用人「」
メイド「?」
リゼ父「………………」
使用人「あ、あのですね、これは……」
リゼ父「プレイ中か……すまない、邪魔したな//」ガチャッ バタン
使用人「ひでぇ誤解だ!?」
メイド「??」キョトン
――――――――――――――――――――
――リゼの部屋――
シャロ「どう?」
ここあ「しゃろちゃん、ちのちゃんよりもどくんどくんしてるよ?」
シャロ「さっきまで全力疾走してたからね……」
ここあ「わたしのことさがしてくれてたんでしょ、ちやちゃんからきいたよ」
ここあ「だからね、しゃろちゃんにおれいのぷれぜんとがあるの」ガサゴソ
シャロ「ぷれぜんと?」
ここあ「しゃろちゃんがすきな『めろんぱん』だよ~」
シャロ「ここあ……クスッ、ありがとう。あとで半分こして食べましょう」ナデナデ
ここあ「んっ……//」
シャロ(ユラ先輩、千夜、ありがとう)ペコリ
千夜「♪」フリフリ
ユラ「いいのさ~」
千夜「ところでチノちゃん、さっきから気分が悪そうだけど大丈夫?」
チノ「食事した後に全力疾走したので……すぐに治ると思います」ハァハァ
リゼ「次はわたしだな」
ここあ「りぜちゃん、じっとしててね」
――ピタッ
ここあ「…………――!」
リゼ「どうだ?」
ここあ「りぜちゃん、びょうき」
シャロ「えぇ!?」
リゼ「びょうき……?」
ここあ「あのね――」ギュッ
リゼ「!」
ここあ「わたしのことだっこして、なでなでしてくれたらなおるよ//」ニヘラ
リゼ「ならすぐに完治だな!」ギュッ
ここあ「わわっ……//」
リゼ「もう課題は終わったからな、わたしとここあを阻む壁は何もないぞ!//」スリスリ
ここあ「えへへ//」
シャロ(ある意味いつもの病だけど)
ユラ「ユラちゃんもその病気にかかったみたい~ここあちゃんおいで~」
リゼ「さわるな!」シャー
千夜「みんな、チノちゃんが本当に病気みたいなんだけど」
チノ「ぅぷ……」バタリ
シャロ「チノちゃん!?」
――おしまい♪
感想
ユラ先輩がここあに聴診器を当てるシーンから胸騒ぎがして、ユラ先輩の言うもしものこととはつまり…、でもここあとハグするとあったかい、…はずだからまさか、ねぇ。
ユラ先輩は拍動が聞こえた(らしい)ですがユラ先輩、嘘じゃないよね…?
とにかく、リゼが課題に追われている裏でとんでもない実験をユラ先輩はやってしまった!ことが頭から離れません!
ユラ先輩のここあちゃん診察シーン、本シリーズにしては珍しくかなりブラックな描写でしたね。
Beyondさんのようにあのシーンの意味に気付かれた方が他にいらっしゃるのでしょうか……。
ユラ先輩は冗談は言いますけど嘘は言わない人っぽいので、恐らく本当と捉えても良いかと思います。
千夜ちゃんも思わずビクビクしておりました……。
やっぱり砂水さんの小説は最高ですね。
良い作品をありがとうございます。
こちらこそ、お褒めのお言葉及びご訪問いただき誠に感謝いたします。
(お問い合わせ欄から下さったメール、拝見させて頂きました。またあなたとこうしてここでお会いできること、心待ちにしております。それまで砂水クジラ、頑張りますよ~)