ごちうさSS 「意味深なごちうさSS Case5:シャロ」

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

――PM7:15 帰り道――

 

 

シャロ「……………………」

 

シャロ「ふぅ…………」

 

シャロ(今日も疲れた……)

 

 

シャロ「………………」

 

 

シャロ(この橋……)

 

 

シャロ「………………」

 

シャロ(もうあれから、どれくらい経つんだろう……)

 

シャロ「…………」スッ

 

シャロ「………………」

 

シャロ「…………」

 

シャロ「……」

 

 

シャロ(……大丈夫)

 

 

シャロ(わたしは、生きてる)

 

 

 

 

シャロ(この現実は……――嘘じゃない)

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 現実ヲ 

 

現実ナノカト

 

疑ッタ時

 

人ハ

 

人間デハ

 

無クナルラシイ

 

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

しゃろ「わぁ……!」

 

しゃろ「ぬいぐるみ……!」キラキラ

 

ちや「きにいってくれた?」

 

しゃろ「うんっ!かわいいくまさん//

 

しゃろ「ありがとうちや、ずっとだいじにするねっ。わたしのたからもの//」ギュッ

 

ちや「おたんじょうびおめでとうしゃろちゃん」ナデナデ

 

しゃろ「えへへ……//

 

 

 

4歳の誕生日に。

 

 

 

しゃろ「くまさん、いっしょにいこっ」

 

 

 

千夜からもらった、大切なクマのぬいぐるみ。

 

 

 

しゃろ「さむくない?おやすみなさい」

 

 

 

それ以来、ずっと。

 

 

 

しゃろ「おばあちゃん、くまさんよごれちゃった……」

 

 

 

ずっとずっと、わたしの宝物だった。

 

 

 

しゃろ「きれいになったね、えへへ……//」スリスリ

 

 

 

どこに行くのだって一緒。

 

 

 

しゃろ「きょうはとおくにおでかけだって//」ニコッ

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

――――――

――――

ーー

 

 

――公園――

 

 

しゃろ「………………」キョロキョロ

 

しゃろ(うぅ……ちや、みつからないよぉ……)←かくれんぼ

 

しゃろ(あっちのほうかな……?)

 

しゃろ「ちやぁ、どこ~?」

 

ちや(あっちのほうでしゃろちゃんよんでる……そろそろわざとみつかってあげようかな)

 

しゃろ「ちやぁ~」

 

しゃろ「……――!」

 

しゃろ(あのかいだんのところかな?)

 

しゃろ「ちや、みつけた!」タタタ

 

 

――ガッ

 

 

しゃろ「きゃっ!?」

 

――コロコロ

 

しゃろ「あっ……!」

 

しゃろ(くまさんが……!)

 

 

――グシャッ!

 

 

しゃろ「!!」

 

しゃろ「ぁ…………」

 

ザワザワ

 

通行人A「轢かれた!?――って、ぬいぐるみか……」

 

通行人B「階段の方から転がってきたわ」

 

通行人C「これ、あなたの?バラバラになっちゃったけど……」スッ

 

しゃろ「………………」

 

しゃろ(くまさんが……ぬいぐるみが…………)

 

しゃろ「……ふぇ」ジワッ

 

しゃろ(どうしよう……ちやからもらったものなのに……)ポロポロ

 

しゃろ「くまさん……ぐすっ、ばらばらに……」グスグスッ

 

ちや「しゃろちゃーん?どこー?」

 

しゃろ「!」

 

ちや「しゃろちゃーん、わたしはここよー?」

 

しゃろ「っ……!」タタタ

 

ちや「しゃろちゃん?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――橋の上――

 

 

しゃろ「うっ……グスッ……」ポロポロ

 

しゃろ(どうしよう……)

 

しゃろ「…………」スッ

 

しゃろ(ちやがみたら……きっとかなしんじゃう……)

 

しゃろ(おばあちゃんにそうだんして……でも、ちやがさがしてるからはやくこうえんにもどらないと……)

 

しゃろ(………………)

 

しゃろ「」グスッ

 

しゃろ「うっ……ひっく……ううっうぇええぇ……!」ポロポロ

 

しゃろ「ちや゛……ごめん゛ね゛……」ポロポロ

 

 

 

……………………

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

〈――直シタイ?〉

 

 

しゃろ「ふぇ……?」グスッ

 

 

〈ヌイグルミ――直シタイ?〉

 

 

しゃろ「だれ……?」キョロキョロ

 

 

〈直シテ――アゲル〉

 

 

しゃろ「おばけ……!?ちやぁ!」ダダッ

 

 

〈イイノ?――戻ッテモ〉

 

 

しゃろ「!」

 

 

〈ヌイグルミ――壊レテルンダヨ?〉

 

 

しゃろ「…………」

 

 

〈コノママダト――大事ナ人ガ、泣イチャウヨ?〉

 

 

しゃろ「…………」グスッ

 

 

〈直シテ――アゲヨウカ?〉

 

 

しゃろ「え……」

 

 

〈ヤリ直セバ――イインダヨ〉

 

 

しゃろ「やり直す……?」

 

 

〈コウナッテシマッタ現実ヲ――嘘ニスレバ、イイ〉

 

 

しゃろ「……?」

 

 

〈ヌイグルミヲ直ス方法――教エテアゲル〉

 

 

しゃろ「ほんと……!?」

 

 

〈後ロヲ――見テゴラン〉

 

 

しゃろ「?」

 

 

〈ソノ花ハ――キンセンカ〉
1年ヲ通シテ懸命ニ咲ク――トテモ頑張リ屋ナ花〉

 

 

しゃろ「きれい……」

 

 

〈――ムシリ取ッテ〉

 

 

しゃろ「え……!だ、だめ……せっかくさいてるのに」

 

 

〈大事ナ幼馴染ガ――悲シムヨ?〉

 

 

しゃろ「――!」

 

 

〈大切ナ――ヌイグルミナンデショウ?〉

 

 

しゃろ「…………ちや」

 

 

しゃろ「……………………」

 

しゃろ「……っ」

 

しゃろ「…………」プチッ

 

しゃろ「おはなさん……ごめんなさい」プチップチッ

 

しゃろ「……10ぽん、とったよ?」

 

 

〈ソレヲ――橋ノ下ニ、投ゲテ〉

 

 

しゃろ「かわになげるの?」

 

 

〈ソウ――捨テル〉

 

 

しゃろ「………………」

 

 

――パラパラ

 

 

しゃろ「………」

 

 

〈――頑張ッタネ〉

 

 

しゃろ「…………?」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

ちや「しゃろちゃん、ここよ~」

 

しゃろ「!」

 

ちや「ごめんね、すこしむずかしかったかしら」タタタ

 

しゃろ「ちや……!?ご……ごめんなさい、これ……」グスッ

 

ちや「ぬいぐるみ?くまさんがどうかした?」

 

しゃろ「さっきくるまにひかれて、こわれちゃっ――……え」

 

ちや「?」キョトン

 

しゃろ「なおってる……?」

 

しゃろ「!」キョロキョロ

 

しゃろ「ここ、こうえん……!?どうして、さっきまではしのうえに……!」

 

ちや「しゃろちゃん?だいじょうぶ?」

 

しゃろ「――!」

 

〈ヌイグルミヲ直ス方法――教エテアゲル〉

 

しゃろ「ぁ……」

 

ちや「つかれちゃった?そろそろかえりましょうか」スッ

 

しゃろ「…………」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵 夕飯――

 

 

しゃろ「ちや……?」

 

ちや「んっ?」モグモグ

 

しゃろ「きょうね……かくれんぼのとき……わたし、いなくなったりした?」

 

ちや「いなくなる?しゃろちゃん、かいだんのそばでずっとわたしのことさがしてたでしょう?」

 

しゃろ「……!」

 

ちや「よんでたから、しんぱいでついとびだしちゃった」

 

しゃろ(……じかんが、もどってる?)

 

ちや「どうしたのしゃろちゃん、かくれんぼのときからようすがへんだけど?」

 

しゃろ「う、ううん……なんでもない!」

 

しゃろ「…………」チラッ

 

 

――クマノヌイグルミ

 

 

ちや「あしたはどこにいく?」ニコッ

 

しゃろ「ちや……」

 

しゃろ「………………」

 

 

しゃろ(……かみさま、だったのかな)

 

 

 

 

しゃろ(くまさん……なおってよかった)

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 夕方――

 

 

ちや「あっちのおみせのかんばんめにゅーは『おむらいす』、えきまえのは『みるくせーき』っと」

 

しゃろ「おばあちゃん、ほめてくれるかな?」

 

ちや「これだけていさつしたんだもの、ぎゅってしてくれるわ」

 

しゃろ「えへへ//

 

ちや「おなかすいたわね~」

 

しゃろ「きょうはなにかな?」

 

ちや「かれーじゃないかしら、れいぞうこに『にんじん』と『じゃがいも』があったわ」

 

しゃろ「かれーかぁ、からくないといいね」

 

 

 

ちや「♪~♪♪」テクテク

 

しゃろ「……――――!」

 

ちや「そういえば、このはしのしたにながれてるかわってどこにつづいてるのかしら」

 

しゃろ「………………」キョロキョロ

 

ちや「しゃろちゃん?どうしたの?」

 

しゃろ「――……!?」

 

しゃろ「このはな……!」

 

ちや「わぁ……きれいね。たしか、『きんせんか』だったかしら」

 

しゃろ「どうして……!」

 

ちや「?」

 

しゃろ「きのうぜんぶむしっちゃったはずなのに……なんで……!」ブルブル

 

ちや「しゃろちゃん?」

 

しゃろ「わたし、このぬいぐるみをなおすためにおはなを――――……!?」

 

 

しゃろ「うっ……」ガクッ

 

ちや「しゃろちゃん!?」

 

しゃろ「ちや……」

 

 

ちや「シャロチャン、シッカリシテ!」

 

 

ちや「○×※□△っ!」

 

 

しゃろ「……?」

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

しゃろ「!」

 

 

〈――オカエリ〉

 

 

しゃろ「……!ちや、ちやは!?」

 

 

〈10本ノ花ノ命デ見ラレル世界ハ――ココマデ〉

 

 

しゃろ「……!?」

 

しゃろ「…………ゆめ?」

 

しゃろ「くまさんは……――!」

 

……バラバラ

 

しゃろ「ぁ…………」ブルブル

 

しゃろ「きのうふたりでごはんたべたのは!?きょうふたりでていさつにいったのは、ちやとすごしたのはぜんぶゆめだったの!?」

 

 

〈夢ジャ――ナイヨ〉

 

 

〈アレハ――〉

 

 

 

〈君ガ――ヌイグルミヲ壊サナカッタ世界〉

 

 

 

しゃろ「……!」

 

 

〈造り物ジャナイ――アッタカモシレナイ、存在スル世界〉

 

 

しゃろ「くまさんを……こわさなかった……」

 

 

〈――アノ続キニ、還リタイ?〉

 

 

しゃろ「え……」

 

 

〈幼馴染ノ子――カナシマナカッタネ〉

 

 

しゃろ「……うん」

 

 

〈モウ一度――戻ロウ〉

 

 

しゃろ「まって!」

 

 

〈……?〉

 

 

しゃろ「あのね……もしもどったら……」

 

しゃろ「このせかいは、どうなるの……?」

 

 

〈――関係ナイヨ〉

 

 

〈今度ハモウ――君ハ2度トコッチのセカイニハ帰ッテコナイ〉
 
〈アッチガ現実ニナッテ――コッチガ夢ニナルダケ〉
 
〈悪夢ハ――消エタッテイイ〉

 

 

しゃろ「っ……でも!」

 

 

〈大丈夫――大キナ犠牲ハ伴ウケド〉
 
〈君ノ消シタイ過去ハ――世界モロトモ〉
 
〈――塗リ替ワルカラ〉

 

 

しゃろ「………………」

 

 

〈大事ナ幼馴染ノ――笑顔ノタメニ〉

 

 

〈勇気ヲ――出ソウ?〉

 

 

しゃろ「…………」

 

 

 

しゃろ「――わたしは」

 

 

 

ちや「しゃろちゃーん!」タタタ

 

しゃろ「っ!?ちや!」

 

ちや「しゃろちゃん、どこいくの~!」タタタ

 

しゃろ「あわわ……」アタフタ

 

 

〈コノママダト――君ノ心ニ、悔恨ガ残ル〉

 

 

しゃろ「っ……で、でも、やっぱりわたし――!」

 

 

〈――助ケテアゲル〉

 

 

 

しゃろ「えっ……?」

 

ちや「しゃろちゃん!」

 

しゃろ「!?」

 

しゃろ「ちや!きちゃだめっ!」

 

ちや「えっ……」

 

 

――グイッ

 

 

ちや「きゃっ!?」

 

しゃろ「ちやっ!?」

 

ちや「だれかがおして……!――あっ」

 

 

グラッ――バシャッ!

 

 

ちや「かはっ!」

 

ちや「っぷ……ごほっ……」ブクブク

 

しゃろ「ちやぁ!!」

 

 

〈コレデモウ――コノ世界ニ未練ハ〉

 

 

しゃろ「まって!いまたすけるから!」バッ

 

 

〈――!〉

 

 

しゃろ「っ……!」ブルブル

 

 

〈飛ビ降リルツモリ……?ダメ、ソレダトアノ子ヲ突キ落トシタ意味ガ〉

 

 

しゃろ「わたしはちやのことがだいじなのっ!!」

 

 

〈…………〉

 

 

しゃろ「ずっといままでいっしょだったもん!わすれるなんてなんてできない!」

 

しゃろ「ちやは……ひとりしかいないもん……!」ポロポロ

 

 

〈………………〉

 

 

しゃろ(たかい……こわい……!)ガクガク

 

 

〈ヤメテ――君ガ飛ビ降リテモ一緒ニ溺レルダケ――〉

 

 

しゃろ「――えいっ!」

 

 

バシャッ!

 

 

しゃろ「うぷっ……ちや……!」バシャバシャ

 

ちや「しゃろちゃん……!」

 

 

〈…………………………〉

 

 

しゃろ「つかまって……!」

 

ちや「んっ……!」

 

しゃろ(だめ、かべがたかくてのぼれない!)

 

しゃろ「ちや、もうすこしだから!」

 

しゃろ「だれかぁ!たすけてぇ!!!!」

 

 

 

〈……………………〉

 

 

 

〈――ヤッパリ〉

 

 

 

〈ソノ子ガ――『一番』大切ダッタンダネ〉
 
 
〈……………………〉
 
 
〈――大丈夫〉
 
 
〈――助ケルカラ〉

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

ちや「――ろちゃん!」

 

 

…………?

 

 

ちや「しゃろちゃんっ!」

 

しゃろ「………ちや?」

 

ちや「しゃろちゃん!」

 

タカヒロ「意識が戻ったようだね」

 

ちや「よかった……!」ポロポロ

 

しゃろ「ここは……?」

 

ちや「はしのうえ、おじさんがたすけてくれたの」

 

タカヒロ「もう少しで救急車が来る、安静にしていなさい」

 

しゃろ「……――!」

 

しゃろ「」バッ キョロキョロ

 

ちや「しゃろちゃん、どうしたの!?」

 

しゃろ「あのこえは……?」

 

ちや「こえ…………?」

 

しゃろ「ぬいぐるみをなおしてくれた……」

 

ちや「……?」

 

しゃろ「ちやからもらったぬいぐるみ、どこ?」

 

ちや「……たぶん……ながされちゃった……」

 

しゃろ「……!」

 

しゃろ「……そっか」

 

ちや「グスッ……ごめんねしゃろちゃん……わたしのせいで」ポロポロ

 

しゃろ「ううん……だいじょうぶだよ」

 

しゃろ「ちやがぶじなら、それで」ギュッ

 

ちや「ひっく……っく……」ポロポロ

 

しゃろ「わたしほうこそ、ごめんね」

 

しゃろ「ちや……よかった……」ポロポロ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

その後、わたしと千夜は病院に運ばれたけど、命に別状はなかった。

 

 

偶然通りかかったおじさんが、橋の下でおぼれているわたしたちを見つけて、すぐに助けてくれたらしい。

 

 

千夜を助けに水路へ飛び込んだわたしはというと、結局千夜より先に溺れてしまって、余計に事の被害を大きくすることとなってしまった。

 

 

病院まで迎えに来てくれたおばあちゃんに、二人そろってこっぴどく叱られた。

怖かったけど、千夜のおばあちゃんの今にも泣きだしそうな顔を見ることができたのは、あれが最初で最後だったのかもしれない。

 

 

病院の帰りにファミレスに連れて行ってもらい、好きなものを食べさせてくれた。

 

 

わたしと千夜は、おぼれてしまった原因を素直に話した。

 

 

とてもにわかには信じがたい話なのに、おばあちゃんはわたしたちの言うことを信じてくれた。

 

 

おばあちゃんいわく、子供の頃はそんな不思議な体験を誰でも一度はするものらしい。

 

 

水路に流され、無くなってしまったぬいぐるみ。

 

 

わたしはぬいぐるみが既に壊れてしまっていたことを、千夜には言わなかった。

 

 

千夜は自分のせいでわたしがぬいぐるみを無くしてしまったのだと、ずっと気にしていたけど。

 

 

でも、なぜか本当のことを言えなかった。

 

 

後でこっそり、おばあちゃんにだけは全てを打ち明けた。

 

 

壊れてしまったぬいぐるみのこと。

 

あの日、経験した不思議な出来事のこと。

 

そして――あの声のことを。

 

 

おばあちゃんは、わたしの話を最後まで聞き終えると。

 

何も言わないまま、優しく頭を撫でた後。

 

 

そっと、抱きしめてくれた。

 

 

これは二人だけの秘密だと、最後に指切りを交わして。

 

 

 

結局。

 

 

 

あの声はなんだったのか。

 

わたしが体験した、あの世界はなんだったのか。

 

 

何も分からないままだけど。

 

 

『キンセンカ』の花言葉が。

 

 

『再生』であることを知ったのは。

 

 

あの日から何年も経ったあと。

 

 

――高校生になってからだった。

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

――――――――――――――――

 

 

シャロ「…………」スッ

 

シャロ(やっぱり、ここだけ咲いてない……)

 

シャロ(………………)

 

 

 

〈ソウ――捨テル〉

 

 

シャロ「……命を」ボソッ

 

シャロ「……犠牲になったのね、きっと」

 

シャロ「ごめんね……」

 

 

 

シャロ「わたし――ちゃんと生きるから」

 

 

 

シャロ「…………」ザッザッ

 

 

 

 

――失ッタ命ハ、2度トカエラナイ――
 
 
――過去ハ、変エラレナイ――

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――PM10:02 シャロの部屋――

 

 

千夜「明日のお買い物、楽しみね」ニコニコ

 

シャロ「またココアとはしゃいでリゼ先輩やチノちゃんに迷惑かけないでよ」

 

千夜「シャロちゃんもこっち側にきましょう♪」

 

シャロ「わたしは振り回され隊だから……!」

 

千夜「?」キョトン

 

シャロ「あっ、なんでもないわ」

 

千夜「変なシャロちゃん」クスッ

 

シャロ「……………………」

 

 

シャロ「ねぇ、千夜?」

 

 

シャロ「小さい頃、橋の下の水路で溺れたこと覚えてる?」

 

千夜「覚えてるわ、確かシャロちゃんが大事なぬいぐるみを無くしちゃったのよね」

 

千夜「あの時わたしが溺れちゃったから……ごめんなさい」

 

シャロ「ううん、そういう意味じゃなくて……!」

 

シャロ「……あの時、千夜に何もなくて、本当に良かったなって」

 

千夜「シャロちゃん……」

 

 

シャロ「もし千夜が死んだりしてたら……わたし、どうしてたのかな……」

 

 

千夜「………………」

 

シャロ「……きっと――」ボソッ

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「しゃろちゃんぎゅーっ」

 

シャロ「……!」

 

千夜「急にどうしたの?」ナデナデ

 

シャロ「………………」

 

千夜「大丈夫、わたしはシャロちゃんを置いて死んだりしないわ」

 

千夜「言ったでしょう、わたしたちずっと一緒……」

 

千夜「シャロちゃんのこと、一番大切だもの」ギュッ

 

シャロ「……千夜」

 

千夜「思い出して怖くなっちゃったのね」

 

千夜「今夜は一緒に寝る?」

 

シャロ「……うん」

 

シャロ「………………」グスッ

 

千夜「シャロちゃん?」

 

シャロ「千夜……」ポロポロ

 

千夜「泣かなくていいのよ、よしよし」

 

シャロ「っ……!」ギュッ

 

千夜「シャロちゃんの怖い気持ち、早く無くなりますように……」ナデナデ                         

 

シャロ「っく……ぐすっ……」ポロポロ

 

シャロ「…………っ」ポロポロ

 

 

 

いき過ぎた愛情の因果律。

 

あるいは、想いによって引き起こされる奇怪。

 

 

――おしまい

感想

  1. 匿名 より:

    今回は2人が当時3~4歳時代の話みたいですね。

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      シャロちゃんが4歳の誕生日にもらったぬいぐるみですので、4~5歳の頃ですね。

  2. 匿名 より:

    シャロがぬいぐるみを壊さない世界線に行く際の、謎の声の言う「大きな代償」とはなんなのでしょうか、、個人的にはシャロだけがいない世界線に残された人々かな、と思っているのですが。しかし塗り替わるのであれば筋違いか?世界線こえても支障無さそうな気がしたけどシャロが千夜は一人しかいないから、と溺れる千夜へ飛び込むところはかっこよかったです。。。濡れた

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      『大きな代償』の答えは、実はストーリーの中に隠れていたりします。
      意味深シリーズは、読み手側がそれぞれの解釈で答えを出していただくのがきっと一番楽しめるかと思いますので。

  3. ほのうみ より:

    今回はどういう事なんですかね?

    ストーリー内容は難解で、僕は分かりませんでした。

    シャロの持っていたぬいぐるみが原因で溺れたんでしょうかね?

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      この物語の答えは、いくつもの解釈ができるようにあえて意識しております故、これといった明確な答えはありません。
      もちろんわたしなりの答えは用意しておりますが、ほのうみさんなりに考え、物語のカタルシスを読み取っていただけたらと思います。

  4. ラビットタンク より:

    今までとは違った世界観を楽しませていただきました。失った命は戻って来ない、そう言ったメッセージが異彩な感じで伝わってきて、面白かったですし、考えさせられました。

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      あえて答えを明確にしない描写を意識してみました。
      物語のカタルシスは、読んで下さった人それぞれが自分なりの解釈をして頂けたらと思います。

  5. Beyond the Average より:

    「現実ヲ現実ナノカト疑ッタ時人ハ人間デハ無クナルラシイ」とはつまりどういうことだったのでしょうか?
    「失ッタ命ハ、2度トカエラナイ過去ハ、変エラレナイ」とは、あのとき千夜が助かって今千夜が生きているこの世界が偽りだとシャロが悟ったということですか?

    1回目読んだときは話についていけず、「千(←千夜)とシャロの神隠し(笑)」状態だった(思考停止していた)のですが、日を改めてまた読むと自分がどこがわからなかったかがわかり、『意味深』が理解できた(気がします)!

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      なるほど、Beyondさんはそのように解釈されたのですね。
      人によって異なる様々な考察はとても興味深いです。
      その解釈に間違いはもちろんのこと、明確な正解というものもございません。

      最後に表示されているメッセージ↓
      『いき過ぎた愛情の因果律。あるいは、想いによって引き起こされる奇怪』
      が大きなヒントですね、あくまでこれはわたしが用意したカタルシスに過ぎませんが。
      個々それぞれが、独自の解釈をして楽しんでいただけたらと思います。

  6. Beyond the Average より:

    私、このお話は2度目の挑戦です。よろしくお願いします。
    何回読んでも難しいです。このお話に出てくる神様的な存在は何がしたかったのかわかりません。ぬいぐるみを壊してしまったというシャロの弱みを握ってもてあそんでいるのか、そもそもぬいぐるみが壊れるところから神様的なやつの思い通りなのか…。千夜を橋から落としたのも助かるようにしたのも神様的なやつです。

    残念ながら私は『いき過ぎた愛情の因果律。あるいは、想いによって引き起こされる奇怪』がよくわからないのでヒントとして使うことができなかったのですが、いき過ぎた愛情は嫉妬、因果律と奇怪は今回は同じものとして解釈しました。すると、「嫉妬か想いがこの現象の原因だ」という意味になります。(たぶん、どちらなのか考えるのではなく両方があっているのでしょう。)嫉妬や想いは、シャロの抱いている感情のことでしょうか。自分は悪いことをしてしまったが、千夜を悲しませたくない、信頼を失いたくないという感情があの神様的なものを出現させたのだと考えることができます。
     →つまり神様的なやつはシャロの妄想ではないかと考えました。例えばキャラが2択の選択で迷ってるときに天使と悪魔が話し合う、なんて表現がありますがこのときの悪魔がシャロのなかでささやいているのでしょう。

    神様的なやつはキンセンカ10本を(永久に)犠牲にしてパラレルワールド的な世界を約1日再現しました。しかし、パラレルワールドの中でシャロは大したことをしてません。甘兎庵で二人で夕飯を食べて公園でキンセンカを二人で見ただけです。これって夢を見ているときのように、自分の妄想する世界を断片的に見るのに似ていると思うんです。
     →つまりこのパラレルワールドはシャロの夢空間、というべきなのかなと思いました。

    しかしそうだとするとこの後のシーンが大問題になるので私の推理は、、自分でも信じたくないです。
    この後、結局千夜がシャロを見つけて、
    しゃろ「!?」「ちや!きちゃだめっ!」
    ちや「えっ……」
    ――グイッ
    ちや「きゃっ!?」
    ってなるのですが、神様的なやつはシャロの脳内の悪魔で、パラレルワールドはシャロの夢空間だという説で考えると… シャロが千夜を(永久に)犠牲にして、シャロが千夜を押し落として、シャロが夢空間に逃げようとした、ということになります。
    これが「いき過ぎた愛情」「想い」なんだとしたら、シャロはとんでもないことを考えていたことになります。
    補足をしておくと、キンセンカが抜かれたところだけ永久に生えてこないことは、万が一千夜を犠牲にしていた場合に永久に千夜は戻ってこないことを暗示するための表現なのかなと思いました。(ということはパラレルワールドでキンセンカは普通に咲いていましたが、犠牲にしても失われない、シャロの理想世界であり続けることを意味しているのでしょうか…。)

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      この作品に関しては、答えを知りたいという読者さんからツイッターの方にDMが来たり、サイトに直接メールが届いたりと色々ありました。
      さて、この物語についてですが。
      いき過ぎた愛情、想いを持っているのは実はシャロちゃんではありません。
      このいき過ぎた愛情は、ある者からシャロちゃんに向けられていたのです。
      その存在が、シャロちゃんの頭に語りかけ、キンセンカの命を犠牲に違う世界へとシャロちゃんを誘おうとしていたのです。
      例え千夜ちゃんを犠牲にしても、シャロちゃんと一緒にいたかったのでしょうね。
      でも、最後はシャロちゃんと千夜ちゃんを守るために……。
      ここまで明かせばご察しの通りだと思います。
      この物語の真実を知った時、間違いなく鳥肌が立つことでしょう。
      実はホラー要素も含んでいました。

  7. シャロ親衛隊 より:

    川に流された、言い換えて『犠牲になった』のはキンセンカ、そしてぬいぐるみだけ?

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