ごちうさSS リゼ「9月19日、早朝の千夜リゼ」

 

――休日 甘兎庵 店先――

 

千夜「♪~♪♪」サッサッ

 

千夜(涼しくなってきたわね、もうすぐ秋かしら)

 

千夜(秋と言えば今年はマラソン大会……完走できるといいけど)

 

千夜「いつかは体育が義務教育から抹消されますように」

 

リゼ「朝からなに物騒なこと言ってるんだ?」

 

千夜「あらリゼちゃん、おはよう♪」

 

リゼ「おはよう、朝から掃除とは大変だな」

 

千夜「もしかして遊びに来てくれたの?」

 

リゼ「ああ。でもまだ開店前だよな」

 

千夜「いいのよ、特別にサービスするわ。どうぞ入って」

 

リゼ「いや、先に準備を手伝おう。箒はどこだ?」

 

千夜「リゼちゃん……優しい♪」

 

リゼ「二人でやればすぐに終わるさ」

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

千夜「はい、お疲れ様」コトッ

 

リゼ「お疲れさん、千夜も座れよ」

 

千夜「お邪魔します」スッ

 

リゼ「ふぅ……」

 

千夜「朝は涼しくていいわ」

 

リゼ「悪いな、こんなに朝早くから」

 

千夜「ううん、リゼちゃんの顔が見れて嬉しい」

 

リゼ「…………」ズズッ

 

千夜「今日はラビットハウスは?」

 

リゼ「9時からだ、あと1時間かな」

 

千夜「おやすみじゃないのね……」

 

リゼ「おいおい、どうしたんだ急に」

 

千夜「こんな時間に来てくれたから、つい期待しちゃって」

 

リゼ「……そっか、すまないな」

 

千夜「ううん、わがままだから気にしないで」

 

千夜「こうして会いに来てくれただけでも感謝しなきゃね」

 

リゼ「千夜さえよければ、時間ギリギリまでいるよ」

 

千夜「ふふっ、ありがとう」ニコッ

 

 

――――――――――――――――――――

 

リゼ「今日は、シャロは午後からバイトか」

 

千夜「お昼まで寝ていられるって喜んでたわ」

 

リゼ「……こう考えると、実は意外と千夜が一番大変だったりしてな」

 

千夜「そんなことないわ、毎日充実してて幸せよ」

 

リゼ「わたしも、ココアが来てからはずっと充実してるかな」

 

千夜「ココアちゃんのおかげでチノちゃんともリゼちゃんともお友達になれたしね」

 

リゼ「ああ、みんなと会えたから、ほんとによかった」

 

千夜「……わたしとも?」

 

リゼ「当たり前だろう、そんなこと」

 

千夜「くすっ……嬉しいわ、リゼちゃんは嘘つかないから」

 

リゼ「虫歯の時、一度だけココアに嘘ついちゃったけど」

 

千夜「あれは『ほほえま~』だからオッケーよ?」

 

リゼ「なんだその基準は」クスッ

 

千夜「でも意外だったわ、リゼちゃんも完璧じゃないのね」

 

リゼ「わたしだって怖いものくらいある……//」プイッ

 

千夜「これからもずっと一緒にいれば、もっとリゼちゃんのこと深く知れるかしら」

 

リゼ「たぶんな、そのうち否が応でもボロが出るよ」

 

千夜「時々心配になるの、リゼちゃんってあんまり人に頼らないから」

 

リゼ「そんなことないさ、何かあったら頼りにする」

 

千夜「ほんと……?」

 

リゼ「ああ、ほんとだ」

 

千夜「それじゃあ指切りしましょ」スッ

 

リゼ「疑い深いな、やれやれ」スッ

 

千夜「ゆーびきりげんまん♪」

 

リゼ「……これがしたかっただけじゃないのか?」

 

千夜「ばれた?」テヘペロ

 

 

――――――――――――――――――――

 

千夜「新メニューなんだけど、どうかしら?」

 

リゼ「ん……おいしい、ただ強いて言えば少し甘すぎるかな」

 

千夜「やっぱりそう思う?練乳とアンコのダブルかけが原因ね」

 

リゼ「いっそのこと練乳を省いたらどうだ?アンコだけでも充分おいしいぞ」

 

千夜「でも、そうしたらクリーミーさが足りない気がするの」

 

リゼ「代わりにミルクをかければいいんじゃ……」

 

千夜「……!」

 

リゼ「千夜?」

 

千夜「リゼちゃんナイスアイデアよ!」ピョンピョン

 

リゼ「いや、ちょっと考えればわかる気が……」

 

千夜「盲点だったわ、新メニューの名前ばかりずっと考えていたせいね」

 

リゼ「それ本末転倒だろ!?」

 

千夜「さっそく作り直してみるわ!リゼちゃん試食お願い!」

 

リゼ「いやその、あんまり食べると体重が……」

 

千夜「?」キラキラ

 

リゼ「あっ、ううん、なんでもない」

 

リゼ(こりゃ明日からまた節制だな……)

 

千夜「♪~♪♪」

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

リゼ「10月にマラソン大会があるのか」

 

千夜「嫌だわ、今から憂鬱……」ドヨン

 

リゼ「千夜は運動が苦手だったっけ」

 

千夜「リゼちゃん、わたしの代わりに出場してくれない?」

 

リゼ「いや、間違いなくバレるだろ」

 

千夜「髪型同じにしてもダメかしら」

 

リゼ「もうちょっと前向きに考えろよ!?」

 

千夜「そう……やっぱりずる休み以外に方法は無いわね」

 

リゼ「あれ、もっと後ろ向きに?」

 

千夜「そうだ!」パンッ

 

リゼ「?」

 

千夜「当日の1週間前くらいから、リゼちゃんに鍛え直してもらおうかしら」

 

リゼ「一緒に走るってことか?」

 

千夜「ええ、地獄の果てまでも一緒に!」

 

リゼ「わたしは千夜さえよければかまわないけど」

 

千夜「お願いするわ、リゼ教官!」

 

リゼ「よし、ならまず最初は軽めにしないとな」

 

千夜「軽め?どれくらい?」ウキウキ

 

リゼ「そうだな……2キロくらいか」

 

千夜「」バタッ

 

リゼ「千夜ぁ!?」

 

千夜「マラソン…いや……体育いやぁ……」グスグス

 

リゼ(かわいい……)

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

千夜「もうすぐ9時ね……」シュン

 

リゼ「そんな顔しないでくれよ、また来るからさ」

 

千夜「ほんと……?」

 

リゼ「これも指切りしとくか?」

 

千夜「……ううん。言ったでしょ、リゼちゃんは嘘つかないもの」

 

リゼ「!」

 

千夜「気を取り直して、今日もお互い一日頑張りましょう」パアァ

 

リゼ「…………」

 

――ポンッ

 

千夜「!」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「ん……リゼちゃん?」

 

リゼ「いつも偉いな、千夜は」ナデナデ

 

千夜「いきなりどうしたの?」

 

リゼ「分からん、なんだか急に撫でたくなった」

 

千夜「……そう//

 

リゼ「嫌か?」

 

千夜「ううん……//

 

千夜「恥ずかしいけど、気持ちいい……//」ニコッ

 

リゼ「そうか……」ナデナデ

 

千夜「あともう少しだけ……」

 

リゼ「ああ、いいぞ」

 

千夜「…………♪」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

リゼ「そろそろ行かないとさすがにマズいか」

 

千夜「またいつでも遊びに来てね」ガシッ

 

リゼ「ああ、千夜もな」

 

千夜「今日はリゼちゃんとたくさんお話できてうれしかったわ」

 

リゼ「わたしもだ。また今度二人でゆっくり話そう」

 

千夜「楽しみにしてる。またね、リゼちゃん」

 

リゼ「……千夜、これ」

 

千夜「?」

 

――スッ

 

千夜「……ヘアアクセ?」

 

リゼ「わたしからの誕生日プレゼントだ」

 

千夜「!」

 

リゼ「9月19日、今日だよな」

 

千夜「覚えててくれたの……?」

 

リゼ「大切な友達の誕生日を忘れるはずないだろう」

 

リゼ「これを渡したくて今日わざわざ早起きしてきたんだから」

 

千夜「リゼちゃん……」

 

リゼ「ほんとはバイト終わりに渡しに来ても良かったんだけど、やっぱり二人きりの時に渡した方が喜んでもらえると思ってな」

 

リゼ「たぶん、チノとココアもプレゼント渡しに来るだろうし」

 

千夜「……!」

 

リゼ「千夜、これからもずっとよろしく」

 

 

リゼ「誕生日、おめでとう」ニコッ

 

 

千夜「リゼちゃん……」ウルウル

 

リゼ「土壇場になって悪かったな」

 

千夜「……ううん」グスッ

 

千夜「リゼちゃん、ありがとう……すごくうれしいわ」

 

千夜「でもダメね、こんなことされたらリゼちゃんのこと……」

 

リゼ「?」

 

千夜「ぐすっ……なんでもない」

 

千夜「これ、大切にするわ」

 

千夜「どうしても辛い時、不安な時……これを付ければ、頑張れる気がする」

 

千夜「リゼちゃんからもらった、わたしの大切なもの」ニコッ

 

リゼ「そんな大げさな、でも喜んでもらえてうれしいよ」

 

リゼ「じゃあな千夜、また夕方、みんなと一緒にお祝いに来るから」

 

千夜「ありがとう。……リゼちゃん?」

 

リゼ「?」クルッ

 

千夜「わたし、いまとっても幸せ!」

 

リゼ「……!」

 

リゼ「……♪」クスッ

 

リゼ「ハッピーバースデー、千夜」

 

――おしまい♪

感想

  1. もふもふ愛好家 より:

    お忙しい中執筆お疲れさまです!
    千夜ちゃんの誕生日に、千夜ちゃんの新作SSが読められるだけでも幸せなのに、誕生日エピソードが読めるなんて…!
    とっても贅沢な気持ちになりました!
    帰り際にスっとプレゼントを渡すリゼちゃんにホレてしまいそう…
    千夜ちゃんを可愛がれるのは(今のところ)リゼちゃんの特権ですね!(*´ω`*)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      千夜ちゃんハッピーバースデー!

      実は最近リゼちゃんがイケメン過ぎて世界観の崩壊を起こさないか心配しております;
      可愛いしかっこいいし、突っ込みもフォローもできて……わたしにとってリゼちゃんはあまりに万能すぎるのです。
      しかし、もっとデレデレ千夜ちゃんSSを増やしたいので今後も千夜リゼはこの路線で行きます!
      甘えん坊な千夜ちゃん、執筆していてとても可愛いので♪

  2. „∴_^キノコ^_∴„ より:

    千夜、誕生日おめでとう♪
    あと、ssよかったです。
    次のssも楽しみです。

  3. はなまるびぃ より:

    いぢにぢおぐれだぁぁぁぁぁぁぁ(泣)
    千夜ちゃんHappy Birthday!

  4. 匿名 より:

    尊い

  5. はにすけ より:

    千夜ちゃんとリゼちゃんの、相手を気遣いなら丁寧に展開される会話が素敵です♪
    千夜ちゃんとリゼちゃん、二人だけで普通に会話すると、こんな感じなんだろうなと
    容易に想像できます!

    相手の心に飛び込んで、相手も受け入れてしまうのがココアちゃんだとしたら、
    相手のことをじっくりと理解していくのが千夜ちゃんだろうなと思います。
    メンバーの中で、一番周りをよく見ている子に思えます。

    最後の誕生日プレゼントのサプライズは感動しました!
    (そこの部分を読んでたのが電車の中だったのに、
    思わずニヤケ&涙腺ゆるみそうでした~~;)

    千夜ちゃんの誕生日当日に読めなかったのが悔やまれますが、じっくりと
    読み進めるのにも、とても楽しめる作品でした!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      千夜リゼの良い意味でぎこちない距離感、ちゃんと描写できていましたでしょうか。
      千夜ちゃんとリゼちゃん、双方の気遣いを感じて頂けたのであれば大成功です。

      わたしの中の千夜ちゃんのイメージ像は、はにすけさんと全く一緒です。
      他人のことを人一倍気遣える千夜ちゃんとリゼちゃん、この二人が合わさると百合でもない友達でもない信頼感のある関係性が生まれる気がします。
      相手の心にはあえて入り込まない、そんな優しく奥手な千夜ちゃんを今後も書いていけたらと思います。
      千夜リゼは、まだまだ可能性がたくさんありそうです♪

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