――園田家――
穂乃果「海未ちゃんまだかな～」
凛「凛たちに見せたいものってなんだろうね」
穂乃果「うーん、映画か何かかな？」
ﾄﾝﾄﾝ ｶﾞﾁｬ
海未「お待たせしました」
ことり「飲み物買ってきたよ～」
ほのりん「ことりちゃん！」
海未「穂乃果、凛、突然呼び出して申し訳ありません」
穂乃果「夏休みだし平気だよ」
凛「暇してたところにゃ」
海未「今日集まってもらったのは他でもないのですが」
海未「先週の間にことりが行った挑戦を見てもらおうと思いまして」
穂乃果「挑戦？」
ことり「実はね、先週１週間海未ちゃんと一緒に田舎に行ってたんだ」
凛「二人だけで？」
穂乃果「ずるいずるい！穂乃果も誘ってよ！」
海未「すいません、あまりに危険でしたので穂乃果を連れてはいけなかったのです」
凛「危険……？」
海未「ことりが田舎で挑戦したのは……巨大サメとの対決です」
ほのりん「ええっ！？」
ことり「危なかったよ～何度も死ぬかと思った」
穂乃果「きょ、巨大サメって……！」
凛「そんなの勝てるわけないよ！」
海未「心配無用です、現にこうしてことりは生きて帰って来てるではありませんか」
穂乃果「ことりちゃん、大丈夫なの？」
凛「怪我とかしてない？」
ことり「うん、全然平気だよ」
海未「今回はその記録をばっちりカメラにおさめてきました」
海未「今日はその上映会をやろうと思いまして」
ことり「穂乃果ちゃん、凛ちゃん、一緒に見てくれる？」
穂乃果「もちろんだよ！」
凛「ことりちゃんと海未ちゃんが命懸けで撮ってきたんだもん、見ないわけがないにゃ！」
海未「二人ならそう言ってくれると思ってました、それでは再生しましょう」ﾎﾟﾁｯ
穂乃果「なんだかドキドキするね……！」
凛「心霊映像を見る前みたいにゃ……！」
ことり「あっ、始まったよ」
―――――――――――――――――
海未「ことり、準備ができました」
ことり「……いよいよだね」
海未「……ことり、どうしてもやるのですか？」
ことり「うん……！」
海未「思い留まる訳にはいきませんか？」
ことり「アルバイト以外に自分のコンプレックスを直す方法は、これしかないの」
ことり「穂乃果ちゃんや海未ちゃんと自信を持って親友でいるためにも、ことりはやるよ！」
海未「ことり……！」
『己のことよりも友達を重んじることり』
海未「わかりました……私も覚悟を決めて全力でサポートします！」
ことり「海未ちゃん……！」
海未「ことり、これを……素手では戦いにくいでしょうから」ｽｯ
ことり「これ…………」
海未「ええ、七得ナイフです」
ことり「くっ…………！」（笑）
『海未の心遣いに思わず涙がこぼれそうになることり』
ことり「……ありがとう海未ちゃん」
海未「これで少しでも戦いを有利に進めてください」
ことり「うん……これがあれば大丈夫」
ことり「いざとなったら缶切りも付いてるしね♪」
海未「くくっ………………」（笑）
『心配で顔を伏せてしまう海未』
海未「……こほん、それでは行きましょう」
ことり「まずはボートで沖まで出発だね」
――海上――
海未「ここまで来ればいいでしょう」
海未「ことり、ゴーグルです」
ことり「…………」ｽｯ
海未「わたしはゴーグルに付けたカメラで見ています、危なくなったらすぐに引き上げますので」
ことり「うん、それじゃあ行ってくるね」
海未「ことり……絶対に生きて帰って来てください」
ことり「」ﾆｺｯ
ﾊﾞｼｬ 水中REC●
ことり「こちらことり、まだ発見できず」
海未「……………………」
ことり「あっ…………いたよ！」
海未「あれは……ホオジロザメです！」
ｶﾞｼｬ
海未「あっ！」
『ホオジロザメの攻撃でカメラが壊れるアクシデント発生』
海未「ことり、聞こえますか！？」
ことり「カメラが壊されちゃった！ただいまサメと交戦中！」
海未「大丈夫ですか！？」
ことり「きゃっ…………ていっ！」
海未「！？」
ことり「なんとかチョップが決まったよ！」
海未「その調子です！」
ことり「えいっ！回し蹴りが入った！」
海未「いいですよっ！」
ことり「とりゃ！えいっ！」
ﾌﾞﾁｯ
海未「防水マイクが……！」
ｼｰﾝ
海未「ことりっ！！」
ﾊﾞｼｬ
海未「！？」
ことり「海未ちゃん……やったよ」
海未「ことりっ！ということは……」
ことり「うん、ホオジロザメに勝ったよ！」
海未「さすがはことりです！やりましたね！」
ことり「海未ちゃんのおかげだよ！」
―――――――――――――――
ほのりん「」
海未「いい映像でしたね」ｳﾙｳﾙ
ことり「カメラが途中で壊されちゃったけど、なんとか勝てたよ」
ほのりん「……………………」
海未「んっ？」
ことり「穂乃果ちゃん、凛ちゃん、どうしたの？」
穂乃果「……これ…………」
凛「サメと戦うシーンが映ってないにゃ……」
海未「ええ、カメラが壊されてしまいましたからね」
ほのりん「……………………」
穂乃果「で、でも、戦っている所を見ないと……」
凛「結果だけ見ても…………」
海未「」ﾀﾞﾝ!
ほのりん「」ﾋﾞｸｯ!
海未「なにが言いたいのですか」
海未「まさかと思いますがあなた達、ことりの挑戦が嘘だと言うのですか？」
ことり「そんな……ひどい…………」
『穂乃果と凛の態度にショックを受けることり』
海未「ことりが命を懸けてまで挑んだこの映像を疑うなんて、あなたたちは最低です！」
ほのりん「…………………………」
凛「で、でもぉ…………」
穂乃果「水中で回し蹴りなんて……」
『ことりの戦略に疑問の一石を投ずる穂乃果と凛』
海未「勢いさえあれば水中の回し蹴りとてそれなりのダメージになるでしょう！」
海未「苦労も知らずにことりにそういう言い方はやめなさいっ！」
ほのりん「…………………………」ｳﾂﾑｷ
ことり「…………海未ちゃん、あれを見よう」
海未「っ！しかし……あれは……」
ことり「せっかく命を懸けたのに、このままじゃ終われないよ」
海未「……分かりました」ｽｯ
ほのりん「………………？」
海未「実はサメの他にもう一つ、田舎でことりが挑戦したことがあるんです」
ことり「巨大熊との対決だよ」
ほのりん「ええっ！？」
海未「これは最後まで無事に記録を収めることができたマル秘映像です」
海未「これさえ見れば疑い深いあなた達もさすがに納得するはずです。それでは再生しましょう」ﾋﾟｯ
ほのりん「…………………………」
――――――――――――――――
ことり「海未ちゃん、用意の方はどう？」
海未「一応のため救急箱は持ってきてあります」
海未「包帯、傷薬、絆創膏、風邪薬、これ以上ひどい怪我の場合は最悪救急車ですね」
ことり「万全だね、ありがとう」
海未「ことり、大丈夫ですか？噂によると相当大きな熊らしいですよ」
ことり「そうだね……向こうは爪があるからね」
ことり「でもことりも爪を伸ばしてきたし、きっと大丈夫だよ」
海未「っ…………」（笑）
ことり「服もジャージに着替えたし、完璧だね♪」
海未「そうですね。袖に安全ピンも付いていますし、これなら安全ですね」
ことり「くくっ………………！」（笑）
『武者震いで体が震えることり』
ことり「っ！」
ことり「海未ちゃん、そろそろ来るから離れて」
海未「しかしそれでは……！」
ことり「海未ちゃんまで怪我してほしくないの！早く！」
海未「くっ…………！」
『渋々遠くに離れる海未』
海未「遠くでことりのこと見ていますから！」ﾀｯﾀｯﾀ
海未「…………………………」
海未「……！」
海未「ことり、後ろです！」
ことり「えっ……きゃあ！」
海未「ことりっ！」
ことり「やぁ！えいっ！」
ことり「くっ……！」
ことり「とりゃっ！」
ことり「…………ちゅん！」
ﾌﾞﾁｯ
海未「マイクが……！」
ｼｰﾝ
海未「ことり、大丈夫ですか！？」ﾀｯﾀｯﾀ
海未「……？あの熊は……？」
ことり「…………海未ちゃん、やったよ」
海未「まさか……ことり……！」
ことり「うん、なんとか勝ったよ！」
海未「よくぞやりました！さすがはことりです！」
―――――――――――――――
海未「ハラハラしましたね」
ことり「怖かったよ～」
ほのりん「……………………」
穂乃果「こ、これ…………カメラが……」
凛「海未ちゃんが離れすぎてて……その…………」
ﾄﾞｶﾝ!
ほのりん「」ﾋﾞｸｯ!
海未「すいません、木刀が飛んでいってしまいました」
海未「穂乃果、凛、どうでしたか？」ﾆｺｯ
ことり「二人とも納得してくれた？」ﾆｺｯ
凛「…………うん」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
穂乃果「納得……しました……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
『映像を見せられ納得する穂乃果と凛』
海未「そうですか、良かったです」
ことり「命を懸けた甲斐があったよ♪」
ほのりん「」ｸﾞｽｯ
海未「それでは少し早いですが昼食にしましょう。母に頼んでみんなの分を用意してもらっているので」
ことり「わぁ、海未ちゃんありがとう。穂乃果ちゃん凛ちゃん、いこっ♪」
ほのりん「…………うん」
ほのりん「…………………………」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ
完
