このSSにはヤンデレ化した花陽ちゃんが登場します。
いじめSSの類でありませんのでご注意ください。
本作のカタルシスは個人の意にお委ねします。
凛ちゃん……わたしの大切な友達。
今まで色んなことがあったよね……わたしが学校でいじめられたときも、凛ちゃんはわたしを庇って犠牲になってくれたりもした。
元気いっぱいな笑顔の裏に隠れたたくさんの優しさに、わたしはいつも救われてきたよ。
凛ちゃんはわたしのために、明るくて強い偽りの自分を演じ続けてくれてる……今でもずっと。
そんな凛ちゃんが大好き……この世で誰よりも。
μ’sに入って以来、前より一層笑顔で幸せそうな凛ちゃん。
凛ちゃんが幸せそうだと、わたしも嬉しいな。
……でもね。
凛ちゃんはみんなに優しいから、時々不安になっちゃうこともあるの。
……凛ちゃんが、誰かに取られるんじゃないかって。
……それだけはいや、絶対に。
凛ちゃんにはわたしだけを見ていて欲しい……ずっと、ずっと……。
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―――――――
――――
――小泉家――
凛「んっ…………」ゴクゴク
凛「ぷはぁ、やっぱりお風呂上りのジュースは最高だね」
花陽「うん♪」
凛「かよちん、今日は誘ってくれてありがとう。たくさん遊ぼうね」
わたしだけに向けられた凛ちゃんの笑顔。
かわいい……この笑顔がわたしの知らないところで他の誰かに向けられている……そう考えるだけで、胸の奥がチクチクする。
花陽「……あと3日でおしまいだね、夏休み」
凛「そうだね、でも今年はもう宿題も終わってるし、準備万全にゃ!」
花陽「……なんだか、寂しいね」
凛ちゃんと二人きりでいられる時間が減っちゃうもん。
きっと凛ちゃんも共感してくる……そう思ってたのに。
凛「うん、でもそれ以上に凛は待ち遠しいよ」
花陽「…………えっ」
凛「だって、μ’sのみんなとまた毎日会えるようになるもん!かよちんもそう思うでしょ?」
楽しみ…………みんなと会えるから…………。
その言葉を聞いたとき、わたしの中で何かが切れました。
花陽「楽しみ……なんで?どうして?」
凛「えっ……」
花陽「わたしはこんなに辛いのに……どうしてなの?」
凛「かよちん……?」
花陽「μ’sにみんなに会えるから楽しみ?なんで?なんでなんでなんでナンデナンデナンデ……」
凛「かよちん!どうしたの!?」
花陽「凛ちゃんはわたしのことよりもμ’sのみんなのことが好きなの?」
凛「そんなことない……凛はかよちんのこともμ’sの皆のことも好きだよ?」
花陽「……わたしのこと、も?」
りん「う、うん」
花陽「……どうして、どうしてなの……」
花陽「どうしてμ’sのみんなもなの!?」ガシッ!
凛「!?」
花陽「わたしが一番凛ちゃんのことを想って、一番凛ちゃんの近くにいるのに……どうしてなの!?」ギリッ
凛「かよちん痛いっ……痛いよ……!」
花陽「あ……そっか、わかった……凛ちゃん、誰かに脅されてるんだね?」
凛「!」
花陽「嘘を付くように言われたんだ……ねぇ、誰に言われたの?」
凛「かよちん…なに言ってるの」ブルブル
花陽「こんなに震えて……可哀想。大丈夫、わたしが守ってあげるよ。ねぇ誰?真姫ちゃん?絵里ちゃん?それとも海未ちゃん?」
凛「脅されてなんかないよ!ねぇかよちん落ち着いて――」
花陽「嘘だ!!」
凛「っ!」ビクッ
花陽「どうして本当のこと教えてくれないのかな?」グイッ
凛「ぁあ゛っ!」
花陽「大丈夫だから……ねっ?誰に言われたの?」ニコッ
凛「かよちん……もうやめて……」ポロポロ
花陽「痛い……?わたしはもっと痛かったよ?凛ちゃんに嘘を付かれて、心が粉々になりそうだったよ?」
凛「凛は嘘なんて……ほんとにみんなのことが好きだから……」
花陽「……じゃあ凛ちゃんにとってわたしは8人の中のひとりでしかないんだ」
凛「違うよ!かよちんは凛にとって大事な友達で――」
花陽「μ’sのみんなも、だよね?」
凛「……っ、そ、それは……でも!」
花陽「……立って」
凛「へっ?」
花陽「早く立って、ねっ?」
凛「…………」スクッ
花陽「」ドン!
凛「きゃっ……!」ドサッ
わたしは言い訳ばかりをする凛ちゃんをベッドへと押し倒しました。そして馬乗りになります。
凛「……かよちん?」ガクガク
花陽「……わたしはね、凛ちゃんの特別になりたいの。小さい頃みたいに、凛ちゃんを独り占めしたいの」
花陽「でも凛ちゃんがわたしの気持ちに応えてくれないんじゃ仕方ないよね……」
凛「……?」
花陽「凛ちゃんが誰かのものになる前に、わたしがこの手で……」スッ
凛「かよちん待って!……ぅぁ……!」
花陽「ふふ、凛ちゃん可愛い……」
凛「げほっ、苦しい……息が、できないよ……」
花陽「もう我慢できない……凛ちゃん、わたしだけのものになるって約束して……でないとこのまま……!」グググ
凛「かはっ……!」
花陽「……凛ちゃん、好き」
――ポタッ
凛「!」
花陽「…大好きだよ……」ポロポロ
凛「……かよ、ちん……」
凛(…………………………)
凛「……なる、なるよ………………」
花陽「……ほんと?」
凛「ごほっごほっ!……はぁ……はぁ…………」グスッ
花陽「……凛ちゃん、もう一度聞くね?」
花陽「わたしとμ’sのみんな、どっちのことが好き?」
凛「…………かよちんだよ」ニコッ
花陽「!……凛ちゃん!」
凛「だから泣き止んで……ねっ?」
花陽「凛ちゃん……やっとわたしだけの凛ちゃんになってくれたんだね」ギュッ
凛「……………………」
花陽「……?凛ちゃん、どうしたの?」
凛「ううん、なんでもないよ。今までごめんね、かよちんの気持ちに気付いてあげられなくて」
花陽「そんなのいいんだよ、凛ちゃん……凛ちゃん……」スリスリ
凛「かよちん……やっと笑ってくれた……」ニコッ
――
――――
―――――――
それからというもの、凛ちゃんはずっと私のそばにいてくれます。
どこに行くときでも、優しい笑顔でずっと……。
それともうひとつ、これはμ’sのみんなやクラスメイトが言っていたんですが……。
凛ちゃんは口癖のにゃーが減り、元気いっぱいではあるけど以前ほどの飛び抜けた明るさは無くなった……その代わりに、笑顔でいる時間が増えた、と。
……やっぱりみんな、何も分かってなかった。
普段の凛ちゃんはそんなに「にゃーにゃー」言わないし、何も考えずに明るいわけじゃない……これがほんとの凛ちゃんなんだよ。
そして、私の一番大好きな『笑顔の凛ちゃん』が前より増えた……そう、これがほんとの――――
――小泉家――
花陽「今日も楽しかったね」
凛「うん」ニコッ
花陽「……ん」
チュッ
凛「あっ……か、かよちん!いきなりしたらびっくりするよ//」ニコッ
花陽「……なんだか凛ちゃん、変わったね」
凛「?」
花陽「この前まではいきなりこういうことしたら、照れて怒ったりコチョコチョしてきたりしたのに」
凛「………………」
凛「……たぶん、恋人になったからかな」
凛「かよちんの前なら、素直でいられるのかも……」ニコッ
花陽「凛ちゃん……可愛い♪」ギュッ
凛「かよちん……」
花陽(これでもう凛ちゃんは、偽りの自分を演じ続けなくてすむ……良かった)
凛「……大好きだよ」
――おしまい
続編はこちらです→真姫「大好きな二人へ」
感想
もうちょいドロドロしててもよかったかもw
でもやっぱ花陽はヤンデレ似合いますなぁ
個人的には最後まで何ひとつ救われないドロドロな『バッドエンド』にしてみたのですが……。
本作は花陽ちゃんよりも、凛ちゃんの心にスポットを当てています。
管理人さんのラブライブキャラの描写は可愛いですね>_<
百合全般でもそうですが、ラブライブの百合は、ヤンデレや嗜虐といった歪んだ愛がとても映える気がします。
こういうのってなんかイケない感じがしますが、本気の愛って感じがしてたまらないですね…
ありがとうございます、描写をお褒めいただき嬉しい限りです♪
「しょ」さんのおっしゃること、なんとなく分かるような気がします。
背徳的といいますか、表裏一体である不確かな想いでしか繋ぎとめることができないという一種の強迫観念に駆られた愛情、有り体に言えば愛憎といえるでしょうか、そんなところだと思います。
不思議な感情ではありますが、それを文章で表現するのが大好きです。
深層心理の「好き」という感情から起こりえる「嗜虐」や「ヤンデレ」を描きたいのですが、時折り本気で「嫌い」という感情でいじめてほしい、「可愛い」という理由でいじめてもそそらないなどの意見やリクエストを頂くのですが……個人的には描きたくないというのが本音です。
今回のSSは特に、あまり物語の本質を理解していただけず自分の文章表現の稚拙さを悔やんでおりました。
「花陽ちゃんの歪んだ愛情に対する凛ちゃんのもっと歪んだ答え」が本作のテーマなのですが……。
このSSに関しては続編やカタルシスの模範解答は出さずに置こうと思っておりましたが、「しょ」さんのおかげで少しだけ元気が出ました。
本質をお伝えするため、モチベーションが整い次第続編を出したいと思います。
愚痴及び、個人的解釈で申し訳ございません。ご感想ありがとうございます。
長々と失礼いたしました。
かよちんのヤンデレって最高ですね
当SSは本来凛ちゃんがメインなのですが、意に反して花陽ちゃんのヤンデレに注目が集まってしまいました。
今度は花陽ちゃんのヤンデレをメインテーマに、また挑戦したいと思います。