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――帰り道――
真姫「凛がいないと静かね」
花陽「うん、早く治るといいね」
真姫「毎年今年の風邪はタチが悪いってテレビで言ってるけど、今年の風邪はどうやら本当みたいね」
花陽「あはは……凛ちゃんが遠回しにディスられてるような……」
真姫「わたしはこっちだから、ここでお別れね」
花陽「あっ…………」
真姫「花陽も休日だからってだらけちゃだめよ、それじゃあ――」
花陽「ま……真姫ちゃん、待って!」
真姫「?」クル
花陽「あ、あの……えっと……」
真姫「焦らなくてもいいわ、どうしたの?」
花陽「う、うん、あのね………」
花陽「…真姫ちゃん……これ」スッ
真姫「これは……チョコレート?」
花陽「うん……昨日頑張って作ったんだ」
真姫「バレンタインじゃないわよね……わたしの誕生日でもないし」
花陽「ううん、これはそういうのじゃなくて……」モジモジ
真姫「……?」
花陽「………………っ//」プシュ~
真姫「顔が真っ赤よ?もしかして花陽も風邪?」
花陽「っ!ち、違うよ!風邪じゃないから!全然元気、ほら!」
真姫「そう……?」
花陽(なにやってるんだろうわたし……もう渡しちゃったんだから、覚悟を決めないと……!)グッ
花陽「すぅーはぁー…………よし……!」
花陽「ま、真姫ちゃん!」
真姫「ヴェ!?」ビクッ
花陽「……それは、真姫ちゃんに対する、わたしの気持ち」
花陽「あんまりおいしくないかもしれないけど……でも、わたしなりの精一杯の気持ちだよ!」
真姫(花陽の気持ち……メッセージカードでも入ってるのかしら?)
花陽「そこに書いてあること、嘘じゃないから……それじゃあ!」タタタッ
真姫「あっ、花陽……!」
花陽「はうぅ……ダレカタスケテ~!」
真姫「逃げていったわ………変な花陽ね」
真姫(はっ……そういえばお礼を言い損ねたわ)
真姫(味の感想と一緒にメールで伝えましょうか……まぁ、わたしのために花陽が作ってくれたんだもの、まずいはずがないけれど)
真姫「花陽……ありがとう♪」
――――――――――――――――――――――
真姫「…………」バサッ ビリビリ
真姫(メッセージカードの類は入ってないわね……チョコレートに描いてあるとか?)
真姫「………綺麗」
真姫(ほとんど既製品と変わらない……やっぱり花陽はすごいわ)
真姫「……?あっ、裏に……」
真姫「……――――!!」
『I LOVE MAKI』
真姫「…………」
真姫(ライクじゃなくて……ラブ?)
真姫(これが……花陽の気持ち?)
真姫「……………………」
真姫「………………」
真姫「…………」
真姫「っ!!?//」ボンッ
真姫「は、花陽!?ど、どうして、えっ!?//」
真姫「エイプリルフールじゃないし……――!」
花陽『そこに書いてあること、嘘じゃないから……!』
真姫「……………………」
真姫「……つまり、そういうことよね」
真姫「……花陽」
――――――――――――――――――――――――
真姫「花陽……わたしも、あなたのことが好きよ」
真姫「――ええ、嘘じゃないわ」
真姫「……ふふっ、なに泣いてるのよ」
真姫「わたしが花陽の気持ちを受け入れないはずないじゃない……」
真姫「――うん」
真姫「これからも、ずっと一緒にいましょう♪」
真姫「……」ニコッ
――
――――
――――――
――数か月後 音楽室――
真姫「♪~♪♪」
――トントン
真姫「……んっ?」
花陽「真姫ちゃん、やっぱりここにいた♪」ガラッ
真姫「花陽……ずいぶん早いわね」
花陽「真姫ちゃんが早く来てると思ったから」ニコッ
真姫(かわいい……)
真姫「部室には寄った?」
花陽「うん、まだ誰もいなかったよ」
真姫「そう……ならもう少しだけ、二人でここにいましょうか」
花陽「そうだね」
真姫「」♪~♪♪
花陽(なんの曲だろう、クラシックかな)
真姫「休日の早朝から練習なんてスポ根過ぎない?まぁ、楽しいからいいけど」
花陽「わたしは練習だと休日も真姫ちゃんと一緒にいられるから嬉しいな」
真姫「………………」
真姫「……恋人同士になって以来、花陽って結構大胆になったわよね」
花陽「ごめんね、恥ずかしいけど、嬉しさのほうが勝っちゃってつい」
真姫「……いつまでそんなところで突っ立ってるのよ、ほら、こっちに来なさい」
花陽「あっ、うん。えっと、イスは……」
真姫「そんなのいらないわ」
花陽「えっ……」
真姫「……膝の上、早く乗りなさい」
花陽「!だ、ダメだよ、わたし重いし……」
真姫「いいから早く」
花陽「うぅ………」
花陽「……それじゃあ、お邪魔します」
――チョコン
真姫「ちゃんと乗らないとダメじゃない」ギュッ
花陽「ぴゃぁ……!//」
真姫「……なにが重いよ、嘘つきね」
花陽「ま、真姫ちゃん、やっぱりだめだよ、せめて交代しよう?//」
真姫「ダーメ、それだと一緒にピアノ弾けないじゃない」スッ
花陽「えっ……――あ」ギュッ
真姫「ほら、ちゃんと指立てて」
花陽「……真姫ちゃんの手、あったかいね//」
真姫「花陽の手は冷たすぎ、ちゃんと手袋しなさい」
花陽「……それだと、帰り道に手繋げないから」
真姫「……バカね」
♪~♪♪ ♪~♪♪
花陽「ぷっ、あはは……これって」
真姫「ねこふんじゃった。次はそうね……となりのトト〇でも弾きましょうか」
花陽「はうぅ……弾けるかな?」
真姫「弾けるわよ。指、しっかり立てておいて」
花陽「うん……♪」
真姫「せーの――」
♪~♪♪ ♪~♪♪
花陽(……早く来てよかった//)ニコッ
―――――――――――――――――――――――
――真姫の部屋――
花陽「真姫ちゃん、お風呂ありがとう」ガチャッ
真姫「……可愛いパジャマね」
花陽「そ、そうかな……//」
真姫「まぁ、花陽のほうがもっとかわいいけど……ほら、隣に座って」
花陽「うん。――わぁ、真姫ちゃんのベッドふわふわだね」
真姫「花陽のほうがふわふわじゃない、あったかいし」
花陽「ふぉぇ!?も、もしかしてまた太ってる?」
真姫「ううん、そうじゃなくて……」
ギュッ
花陽「!」
真姫「抱きしめるとベッドやカイロよりずっと暖かいから」
花陽「……よかった//」ホッ
真姫「もう、心配性ね」
花陽「だって……太ったら真姫ちゃんに嫌われるかもしれないし」
真姫「………………」
真姫「えい」ホッペ ムニー
花陽「い、いきなひどうしひゃの?」
真姫「嫌いになるわけないでしょ、あんまりネガティブだとほっぺた引き延ばすわよ」
花陽「ごめんなさい……」
真姫「分かればいいの……ふふっ、それにしても気持ちいいほっぺたね」フニフニ
花陽「あはは、褒められてるのかな」
真姫「…………はむっ」パクッ
花陽「ぴゃあ!?//」
真姫「ごめんなさい、揚げ饅頭みたいだったからつい」クスッ
花陽「わたしのほっぺたは食べ物じゃないよぉ……もう」プクー
真姫「今度はモチになったわ」プニプニ
花陽「……えいっ」ポスッ
真姫「!」
花陽「真姫ちゃんの膝枕……罰として、しばらくお風呂に入らせてあげない♪」
真姫「」
花陽「真姫ちゃん……?」
真姫「………………」
花陽「はわわ……ご、ごめんね、嫌だった?すぐにどくから……!」アセアセ
真姫「可愛すぎか!//」ギュッ
花陽「!?」
――――――――――――――――――――――
――IN ベッド――
真姫「花陽、苦しくない?」
花陽「うん、もっと強くても大丈夫だよ」
真姫「それじゃあもっと」ギュッ
花陽「ふふ、あったかいなぁ……//」
真姫「いい抱き枕ね」ナデナデ
花陽「んっ………♪」
花陽「えへへ……//」ギュッ
真姫「!」
花陽「真姫ちゃん大好き……勇気を出して告白して、ほんとによかった……//」スリスリ
真姫「!…………っ//」
真姫「」スッ
モニュッ
花陽「きゃぁ!?……ま、真姫ちゃん…?//」
真姫「ごめんなさい……嫌だった?」
花陽「………ううん、嫌じゃないよ//」
花陽「わたし……真姫ちゃんになら、何をされても……//」
真姫「大丈夫よ、まだこれ以上のことはしないから……」
真姫「………………//」
花陽「…………//」
花陽「……真姫ちゃんのも、触っていい?//」
真姫「……しょうがないわね//」
花陽「…………//」
真姫「……変な気分ね//」
花陽「そうだね……変な感じ//」ニコッ
真姫「花陽、大好きよ……」チュッ
花陽「んっ……」
――――――――――――――――――――――――
――学校――
花陽「真姫ちゃん……」ギュッ
真姫「花陽、学校ではあんまり抱き着いてきたらダメよ……//」
花陽「でもわたし……もう真姫ちゃんがそばにいないと、落ち着かなくて」
真姫「教室でだって一緒にいるじゃない」ナデナデ
花陽「そうだけど……真姫ちゃんがμ’sのみんな以外と話してると、胸が痛くなるの……」ギュッ
真姫「やきもちさんね、心配しなくてもわたしは花陽を見捨てたりしないわ」
花陽「ほんとう……?ずっとずっと、一緒にいてくれる?」
真姫「ええ、ずっとよ」
花陽「よかった……わたしのこと見捨てないでね、真姫ちゃん……//」ギュッ
真姫(花陽が心配性なのは知ってたけど、すっかり依存しちゃったわ……)
真姫(本当なら、治してあげたほうがいいんでしょうけど……でも)
真姫「…………」ナデナデ
真姫(依存されるのも、悪くない…//)
――おしまい♪