――部室――
海未「みんな集まりましたね、一応点呼を取りますよ」
海未「穂乃果」
穂乃果「はーい」
海未「凛」
凛「はいにゃ」
海未「絵里」
絵里「はい」
海未「いい返事です」
海未「まず最初に……穂乃果、絵里、凛、突然呼び出して申し訳ありません」
海未「夏休みが本格的に始まる前に、ことりがあなたたちにどうしても言っておきたいことがあるそうで」
穂乃果「穂乃果たちに?」
凛「なんだろう?」
絵里「宿題なら、私はもうとっくに――」
ガチャ
ことり「いるよいるよ……匂うよ」
穂乃果「こ、ことりちゃん?」
凛「どうしたの、その恰好?」
絵里「スーツなんて着て……とっくにライブは終わったわよ?」
ことり「元凶は――絵里ちゃんだね」
絵里「えっ?」
海未「ということは、まさか……!」
ことり「うん、えっとね――」ペラペラ
ことり「絵里ちゃんは、妖怪Pにやられてるね」
海未「くっ…………」(笑)
絵里「よ、妖怪!?」
ほのりん「P?」
『Pと言う聞いたことも無い妖怪に驚く穂乃果たち』
ことり「恐らく絵里ちゃんがμ’sに加入した時に憑依されたんだと思う」
ことり「習性としては、本人の知らぬうちに憑依した人間をポンコツにしてしまうんだって」
穂乃果「な、なるほど……!」
凛「納得にゃ……!」
絵里「妖怪ってお化けのことよね……!そんな……私、知らない間に憑りつかれて――」ガクガク
ことり「チュン!」ベシッ
絵里「きゃっ!」
ことり「額にチョップすれば驚いて逃げていくんだって、たぶんこれで大丈夫だよ♪」
海未「さすがはことりですね」
ことり「絵里ちゃん、もう大丈夫だよ」
絵里「ほんと?ハラショー!」パァァ
ほのりん(治ってない……)
海未「こほん。さて、本題に入らせていただきます」
ことり「みんな驚かせてごめんね。実は最近妖怪が音ノ木坂にウロウロしてるから、夏休み前に講座を開いておこうと思って」
海未「ええ、今回呼び出したのは、その名も『ことり妖怪退治講座』をあなたたちに受けてもらうためです」
ほのりん「妖怪退治講座?」
海未「はい。妖怪に襲われた時、いついかなる時でも冷静に対処できるようになるという素晴らしい講座です」
海未「まずは肝試しが好きそうなあなた達二人と怖がりの絵里に、この講座で妖怪がいかに危険か、またどんな対処方法があるのかを真剣に学んでいただきたいと思いまして」
絵里「なるほど……さすがはことりと海未ね」
『妖怪講座の本質をいち早く理解するKKE』
ほのりん「………………」
穂乃果「で、でもぉ…………」
凛「妖怪なんて現実にいるはず――」
海未「はっ?」
ほのりん「」ビクッ
ことり「そんな……ことりは穂乃果ちゃんと凛ちゃんの身を案じて呼んだのに……」
『妖怪講座に難色を示す穂乃果と凛』
穂乃果「こ、ことりちゃん」アセアセ
凛「ごめんね、そういう訳じゃなくて――」
海未「おや?穂乃果、凛……あなたたちにも妖怪が付いていますね」ギロッ
ほのりん「ひっ……!」
海未「これは大変です、私が身体から追い出してあげましょう」ニコッ
ほのりん「」ブルブル
穂乃果「ごめんなさい……妖怪講座、受けます…………」
凛「受けさせてください…………」
『ようやく妖怪講座の本質を理解できた二人』
ことり「ありがとう、分かってくれて嬉しい♪」
海未「さすがは穂乃果と凛です」
ほのりん「……………………」
絵里「?」
―――――――――――――――――
凛「なんだか変なポスターが貼ってあるにゃ」
穂乃果「ほんとだ」
ほのりん「……………………」
ことり「それではただいまより始めたいと思います」
海未「まず最初に妖怪にインタビューした結果を見て頂きます」
穂乃果「妖怪にインタビューしたの?」
絵里「すごいわね……」
海未「妖怪100人にどこに住みたいかを聞き、ベスト3に纏めてみました」
海未「そこで問題です。凛、妖怪が一番住みたいと思っているのはどこだと思いますか?」
凛「えっ!……うーん……東北とか田舎とかによくいるって聞いたことあるけど」
海未「ううーん、惜しいですね。結果はこちらです」ベリッ
1位 秋葉原
2位 音ノ木坂
3位 中目黒
海未「意外と秋葉原が1位なんですね」
ほのりん「……………………」
ことり「2位が音ノ木坂だね、気を付けないと」
絵里「メモしておくわ」カキカキ
海未「いかに音ノ木坂とその周辺が危険なのか理解していただけましたか?」
凛「…………で、でも」
穂乃果「今まで妖怪なんて一度も見たこと――」
海未「あなた達は見たことのある者しか信じないのですか!」バン!
ほのりん「ひっ!」ビクッ
海未「なら空気がこの世に存在しないとでも言うんですか!?人を疑ってばかりの器の小さい人間なら、アイドルなんてやめなさい!」
穂乃果「ごめんなさい…………」グスッ
凛「ぐすっ……ひっく…………」ポロポロ
ことり「それじゃあ続きを説明するね♪」
ほのりん「」グスッ
絵里「」カキカキ
ことり「次に妖怪標識の勉強だよ」
絵里「標識?」
海未「ええ、時折り道路などに立っているあれです」
絵里「ああ、あれが妖怪標識ね」
『すぐに合点がいく賢い絵里』
穂乃果「えっ…………」
凛「あれって、車の標識じゃあ――」
海未「」ギロッ
凛「ひっ!」ビクッ
海未「はぁ~悲しいですね。後輩が先輩に言いがかりを付けるなんて」ハァ
凛「……ごめんなさい…………」グスッ
ことり「わかってくれればいいよ」ニコニコ
『間違っていた凛を許す心の優しいことり』
海未「穂乃果も異論はありませんね?」ニコッ
穂乃果「……はい…………」ブルブル
ことり「まずはこれを見て」ボード
海未「穂乃果、これは何の標識ですか?」
穂乃果「えっと、確か……歩行者専用道路だよね?」
ブブーッ
ほのりん「えっ……」
ことり「正解は――座敷わらし優先道路だよ♪」
ほのりん「」
海未「やはり講義を受けておいて正解でしたね。そんな無知ではこの先笑われますよ」
絵里「ハラショー……日本ってそんな標識まであるのね」
ほのりん「……………………」
凛「……でも…………」
穂乃果「そんなの、聞いたこともな――」
ビュッ カン!
ほのりん「!」
ことり「ごめんね、ステッキが飛んでいっちゃった」
ことり「穂乃果ちゃん凛ちゃん、何か言った?」ニコッ
ほのりん「…………なんでも無いです」
ほのりん「……………………」グスッ
ことり「そろそろ時間だし、今日はこれでお終いかな」
海未「今回の講義で少しは妖怪の怖さを分かっていただけましたか?」
絵里「ええ、完璧よ。勉強になったわ」フンス
『講義の内容を全て理解したKKE』
ことり「穂乃果ちゃんと凛ちゃんは?」
ほのりん「……………………」
海未「」ドカン!
ほのりん「!」ビクッ
穂乃果「…………はい……」グスッ
凛「勉強に……なりました……」ジワッ
『同様になんとか理解したほのりん』
ことり「よかったぁ」
海未「ええ、わざわざ講座を開いた甲斐がありましたね」
ことり「まぁ、妖怪と会うなんて人生で一度あるか無いかだと思うけど」
海未「くっ…………!」(笑)
ほのりん「えっ…………」
ことり「それじゃあ海未ちゃん、帰ろっか♪」
海未「ええ、それでは失礼します」ペコリ
ガチャッ バタン
ほのりん「……………………」
穂乃果「……今度、みんなで肝試しでもしよう……」
凛「うん……真姫ちゃん家の別荘回りとか、面白そうだね……」
絵里「?」
完