――リゼの部屋――
ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz
ここあ「………ん」
ここあ「ふぁ~……」
ここあ「あれ……りぜちゃんは?」
リゼ「ココア、起きたのか」
ここあ「おはようりぜちゃん、ふぁぁ……」プワプワ
リゼ「ははっ、眠たそうだな。洗面所で顔洗って歯磨きしてこい」
ここあ「はーい……」
ここあ「……あれ?せんめんじょどこだっけ?」
リゼ「すぐそこだ、お風呂場の隣――って、髪もボサボサじゃないか」
ここあ「うぅ~りぜちゃん、なおして?」
リゼ「しょうがない、一緒に行ってブローしてやるよ」
ここあ「くしとドライヤー?やったぁ」
リゼ「ほら、洗面所にいくぞ」
ここあ「うん♪」ギュッ
―――――――――――――――――――――
リゼ(朝ご飯までまだ少し時間があるな)チラッ
ここあ「りぜちゃん、はやおきしてなにしてたの?」
リゼ「んっ、これか?学校の宿題だ」
ここあ「しゅくだい?」
リゼ「勉強だよ。早めに終わらせておかないとな」
ここあ「おわるまであそべない?」
リゼ「そうだな、数学はあと一枚だけだしもう少し待っててくれるか?」
ここあ「うん、おわったらたくさんあそぼうね」
リゼ「ああ、いい子にしててくれよ」
リゼ「………………」カキカキ
リゼ「………………」
リゼ「………………」
シーン
リゼ(みょうに静かだな……ココアのやつ、待ちくたびれて二度寝したのかな?)
リゼ「………………」チラッ
ここあ「…………」ギュッ
リゼ(ワイルドギースを抱っこしながらベッドに座ってるだけだ……)
リゼ(そうか……喋ったらわたしに迷惑がかかると思って……)
リゼ「…………」カキカキ
リゼ(いい子だな、ほんとに)
リゼ(……早く終わらせないと)
―――――――――――――――――――――――――
リゼ「……よし」ガタッ
ここあ「おしまい?」
リゼ「今日の分はな」
ここあ「わーい!」
リゼ「ふふっ……――よっと」ダキッ
ここあ「えへへ♪」
リゼ「ココアのおかげで早く終わったよ、静かにしてくれてありがとうな」
ここあ「おべんきょうしてるときはね、いいこにしてたらはやくおわるの」
リゼ「そうか、ココアはおりこうさんだな」ナデナデ
ここあ「りぜちゃん、あーそぼっ」
リゼ「そうだな、朝ご飯食べたら今日はどこかに出掛けるか」
ここあ「おでかけ!いきたい!」
リゼ「お昼は向こうで済ますとして、散歩ついでにデパートまであるこう」
ここあ「りぜちゃんとおさんぽ♪りぜちゃんとおかいもの♪」
リゼ「そうと決まればほら、まずは朝ご飯を食べないとな」
ここあ「うん!りぜちゃんはやく~」
リゼ「降ろしていいのか?」
ここあ「ううん、このままがいい」
リゼ「この甘えん坊め」ワシャワシャ
ここあ「♪」キャッキャッ
――
――――
――――――
ここあ「わーくわくてくてくどこへゆーくの♪」
ここあ「なぁんとかなるさとうえむいーて♪」
リゼ「おっ、あれシャロじゃないか?」
ここあ「シャロちゃん!どこ?」
リゼ「あのクレープ屋だ、おーいシャロ」
シャロ「あっ、リゼ先輩、ココア」
ここあ「シャロちゃーん!」トテトテ
リゼ「ココア、そんなに走ったら危な――」
ここあ「きゃっ!」ドテッ
リゼシャロ「!?」
ここあ「うぅ……」グスッ
シャロ「ココア、大丈夫?」アセアセ
リゼ「どこか怪我したのか?」
ここあ「ひざすりむいちゃった……」
リゼ「擦り傷か、血は出てるが軽傷だな」
シャロ「絆創膏でしたら持ってますけど……」ガサゴソ
リゼ「その前にまずは水で洗い流そう、ほらつかまれ」ダキッ
ここあ「うん……」
リゼ「これでよし、と」ペタッ
リゼ「もう痛くないか?」
ここあ「うん、ありがとうりぜちゃん」
リゼ「まったく、勝手に走っていったらダメだろう?」
ここあ「ごめんなさい……」シュン
リゼ「もし頭なんて打ったりしたら病院に行かなきゃいけなくなるぞ」
ここあ「びょういん……もしかして、ちゅうしゃ?」ブルブル
リゼ「ああ、そうなったらココアも嫌だろう?わたしやチノたちだって心配する」
ここあ「ちゅうしゃいやぁ……もうかってにはしらない、りぜちゃんとゆびきりする」
リゼ「約束だぞ」
ここあ「」コクリ
リゼ「よし……ほらココア、クレープだ」
ここあ「わぁ……!」キラキラ
リゼ「イチゴとチョコ、どっちがいい?」
ここあ「イチゴ!」ピョンピョン
リゼ「こぼさないようにゆっくり食べるんだぞ」
ここあ「いただきまーす」パクッ
ここあ「んっ……おいしい♪」ニコッ
リゼ「よかったな」ナデナデ
リゼ「すまないシャロ、これ代わりに食べてもらえるか?」コソッ
シャロ「えっ?そ、そんな、いただけません!」
リゼ「さっき朝食食べたばかりだからあんまりお腹も減ってないし、それにその……」
シャロ「?」
リゼ「これ以上食べると、怖くてしばらくの間体重計が遠のきそうでな……」
シャロ「な、なるほど……」
リゼ「というわけで頼む!このクレープ貰ってくれ」
シャロ(どうしよう……わたしも最近体重が増えてきて不安なのに……でも他ならぬリゼ先輩の頼みだし、滅多に食べられないクレープだし……)
シャロ「っ……わかりました、それじゃあいただきま――」
あんこ「」ドスン ベシャ
リゼ「うわぁ!?」
シャロ「」
千夜「あんこやーい、だいじょうぶ?」
千夜「ってあら、シャロちゃんとリゼちゃん?」
リゼ「千夜、なんでこいつが空から?」アンコ
千夜「なんだか懐かしいわね、このくだり」
リゼ「えっ?」
シャロ「ち~や~!」ゴゴゴ
千夜「ごめんなさいシャロちゃん、これで3回目ね」
シャロ「どこまでわたしにクレープ食べさせない気なのよ……はぁ」グスッ
千夜「お詫びにたくさん買っていくわ、食べきれない分はシャロちゃん家の冷蔵庫にしまっておくわね」
シャロ「!……千夜」
リゼ「いや……さすがに何本も食べると……」
千夜シャロ「あっ」
ここあ「♪~♪♪」モグモグ
―――――――――――――――――――――――――
――デパート――
ここあ「りぜちゃん、これなーに?」ヌイグルミ
リゼ「これはマンボウだな」
ここあ「もふもふしててかわいいね」
リゼ「ぬいぐるみだからな」
ここあ「あっ、ティッピーだ」
リゼ「あれは羊だと思うぞ」
ここあ「ひつじさんもかわいい」スリスリ
リゼ「なにか欲しいものがあったら言えよ、あんまり高いものは買えないけど」
ここあ「うん!あ、あれうさぎさんだ~」タタタ
ここあ「あっ」
ここあ「はしっちゃだめ、はしっちゃだめ」テクテク
リゼ「えらいぞ」ナデナデ
ここあ「えへへ、りぜちゃんとゆびきりしたもん」
ここあ「このうさぎのぬいぐるみ、ワイルドギースにそっくりだね」
リゼ「気に入ったか?これでよかったら買ってやるぞ」
ここあ「ううん、いい」
リゼ「いいのか?」
ここあ「りぜちゃん、そのキリンさんとってー」
リゼ「これだな、よいしょっと……」
ここあ「ここのおみせ、モフモフだらけ♪」スリスリ
リゼ(そんなこんなで時間はあっという間に過ぎていった)
――
――――
――――――
――夕方――
ここあ「たのしかったね」
リゼ「結局なにも買わなかったが、ほんとによかったのか?」
ここあ「もふもふできたからいいの」
リゼ「あのうさぎのぬいぐるみくらい買ってやるのに」
ここあ「ううん、あのこよりもりぜちゃんのおうちにいるワイルドギースのほうがすきだから」ニコッ
リゼ「……そうか」
ここあ「あ、でもひとりでさみしそうだからおともだちをかってあげたほうがよかったかな?」
リゼ「ふふっ、そうだな」ヒョイ
ここあ「りぜちゃん?」
リゼ「ココアは優しいな」ギュッ
ここあ「りぜちゃんもやさしいよ?」
リゼ「それに、あったかい」
ここあ「りぜちゃんもぽかぽかだよ~♪」スリスリ
リゼ「よし、明日はワイルドギースの友達を作ってやるか」
ここあ「おともだち……りぜちゃんつくれるの!?」
リゼ「ああ、ココアもいっしょに手伝ってくれるか?」
ここあ「てつだう!りぜちゃんといっしょにつくる!」キラキラ
リゼ「そうと決まれば、明日に備えて今日は早めに寝るか」
ここあ「お風呂に入って、歯磨きして、ええと、それからそれから――」
リゼ「まずは家に帰らないとな」
ここあ「うん!」
リゼ「それじゃあ、帰るとするか」
ここあ「りぜちゃんのおうちに」
リゼ「いや、違うぞ」
ここあ「ふぉぇ?」
リゼ「わたしたちの家にだ」
ここあ「ふぁ……!」
リゼ「ここあ……帰るか」ニコッ
ここあ「うん!」ニコッ
ここあ「でーきるよきっとねきみとなーら♪」
リゼ「できる♪」
ここあ「できない♪」
リゼ「できる♪」
ここリゼ「やっちゃおう♪」
――深夜――
チノ「すいませんリゼさん、こんな夜分遅くに」
リゼ「それは構わないが、用があるならこっちから出向いたのに」
チノ「いえ……それだと、その……」チラッ
ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz
リゼ「……なるほどな」
チノ「場所を変えますか?」
リゼ「いや、大丈夫だ。今日は疲れてぐっすり寝てるよ」
チノ「そうですか……では」
リゼ「………………」
チノ「………………」
リゼ「……ココアを元に戻す方法が分かったのか?」
チノ「っ……はい」
リゼ「そうか……なら良かったじゃないか」
チノ「リゼさん……」
リゼ「わたしもココアの子守が疲れてきたところだったんだ、ちょうどいい」
チノ「…………っ」キュッ
リゼ「で、どうすればいいんだ?」
チノ「何もしなくても大丈夫です。ただ、恐らく明後日には……7日目には、ココアさんの魔法が効いてくるとおじいちゃんが――こほん、元に戻ってしまうような、そんな気がします」
リゼ「一緒にいられるのは、明日までか」
チノ「はい……」
リゼ「………………」
チノ「リゼさん……?」
リゼ「……わかった」
チノ「………………」ウツムキ
リゼ「どうしたんだチノ?元通りになるのに一体何がそんなに引っかかってるんだ?」
チノ「……リゼさんは、悲しくないんですか?」
リゼ「そりゃ悲しいさ、でも、いつかは別れが来ると覚悟していたからな。それが偶然明後日になっただけだ」
チノ「………………」
リゼ「わざわざすまないな、もう遅いから泊まっていくか?」
チノ「いえ、着替えもありませんので……今日のところはおいとまします」
リゼ「そうか……危ないから送っていくよ」スクッ
チノ「でも、ココアさんは――」
リゼ「ココア、ちょっと行ってくるな」ナデナデ
リゼ「ワイルドギース、ココアのこと頼んだぞ」ポスッ
チノ「…………」
リゼ「………………」テクテク
チノ「………………」テクテク
チノ「……あの、リゼさん?」
チノ「明日はココアさんのためにラビットハウスでパーティーを開こうと思うんですけど、どうでしょうか?」
リゼ「みんなでお別れ会か?」
チノ「はい、せめて最後だけでも良い思い出をと……」
リゼ「そうだな……できれば、遠慮してもらいたい」
チノ「えっ……?」
リゼ「明日はココアと一緒にぬいぐるみを作る約束をしてあるんだ」
リゼ「たぶん一日仕事になる。約束くらい守れないと、一生悔いが残りそうでな」
チノ「そうですか……わかりました」
リゼ「すまないな、チノたちもお別れを言いたいはずなのに」
チノ「いえ、気にしないでください」
チノ「きっとココアさんも、一秒でも長くリゼさんと一緒にいたいはずです」
チノ「わたしたちは、大丈夫ですから」
リゼ「……ありがとう」
――――――――――――――――――――――――
チノ「送ってくださってありがとうございました」
リゼ「いや、こちらこそありがとう」
リゼ「また明後日にな、おやすみ……」
チノ「リゼさん、待ってください」
リゼ「?」
チノ「これを」スッ
リゼ「写真……?」
リゼ「これ、今朝の公園でクレープを食べたときの……」
チノ「シャロさんが撮ったみたいで、千夜さんがプリントアウトしたそうです」
チノ「リゼさんに渡してほしいとお昼にあずかったので」
リゼ「ふふっ、上手くツーショットになってるな」
チノ「リゼさん、ココアさんのことよろしくお願いします」ペコリ
リゼ「ああ、任せておけ」
―――――――――――――――――――――
リゼ「……………………」
リゼ「……明日まで、か」
リゼ「いちおう、覚悟はしてたんだけどなぁ……」
リゼ(たったの3日間一緒にいるだけで、別れってこんなに寂しいものなのか……)
リゼ「…………」スッ シャシン
リゼ「ははっ……こうやってみると姉妹みたいだな」
リゼ「はは……は…………」
リゼ「……明日は、一緒にぬいぐるみを作ろうな」
リゼ「お前の好きなものを食べさせてあげるからな」
リゼ「野菜を残しても怒らないからな……」ポタッ
リゼ「一緒にお風呂に入って、一緒に寝ような……」ポタッ
リゼ「明日はずっと……ずっと一緒にいるからな、ココア」ポタポタ……
5日目――おしまい
感想
うpお疲れ様です。
この回でも泣かされてしまいました…
また次の回でも泣かされそうです…
ここあがココアに戻るまであと1日…
みんなココアに戻って欲しいけどここあのことを考えると戻って欲しくないんでしょうかね…
記憶が引き継がれないというのはとても悲しいですね……
だからこのSSでも泣かされたんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!
次の回のリゼちゃんや皆のここあへの接し方を想像するだけでもでも泣きそうです…
これの最終回であろう次の回も!きっとあるであろうその次のSSも!あなたがSSをうpする限り!僕はずっと応援し続けます!
次の回も期待しています!
熱い応援、とても励みになりました。
本シリーズをご支援いただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで一定のご支持を頂くことができ、無事シリーズ化を果たせそうです。
次回作も完成いたしましたので、よろしければぜひご覧ください。
返信が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。
リゼちゃんもふもふしたい
今回も面白かったです!
出来たらリゼのヤンデレSS書いてくれると嬉しいです!
ありがとうございます♪
リゼちゃんのヤンデレSSは本シリーズが終わり次第、予定に入っておりますので気長にお待ちください。