――リゼの部屋――
ここあ「りぜちゃん、おきて~」ユサユサ
リゼ「……ん?」
ここあ「おはようりぜちゃん、きょうはねぼすけさんだね」
リゼ「もうあさか……」
ここあ「わたしひとりでりぜちゃんよりもはやおきできたよ、えらい?」
リゼ「ああ、おりこうさんだ」
ここあ「えへへ」ニコッ
リゼ「顔洗ってくるから降りてくれるか?馬乗りになられてると起き上がれない」
ここあ「ううん、もう少しこのままがいい」ギュッ
リゼ「!」
ここあ「今日もたくさん遊ぼうね」
リゼ「ココア……」
ここあ「りぜちゃんといっしょ♪リゼちゃんといっしょ♪」
リゼ「……っ」
ここあ「あれ……?りぜちゃんのめ、まっかっかだよ?どうしたの?」
リゼ「これは……なんでもないよ、気にするな」ナデナデ
ここあ「?」
リゼ「よっと」ヒョイ
ここあ「ふぉぇ?」
リゼ「洗面所に行くのが怖いから付いてきてくれるか?」
ここあ「りぜちゃんこわがりさん?おねえちゃんなのに?」
リゼ「そうだな……ひとりになるのが怖い臆病者なんだ」
リゼ「ココアよりも、ずっとこわがりだ……」
ここあ「そっかぁ、じゃあいっしょにいく!」
リゼ「ありがとう、ココアは優しいな」
ここあ「わたしにまかせなさーい♪」
リゼ「…………」ギュッ
ここあ「わわっ……りぜちゃん?」
リゼ「ごめんな……やっぱり怖い……」
ここあ「ふたりだからだいじょうぶ――そうだ!」
ここあ「わたしがりぜちゃんにおまじないしてあげる」
リゼ「おまじない?」
ここあ「てをにぎって……」ギュッ
ここあ「りぜちゃんのこわがりさんがなおりますよーに」
リゼ「――――!」
ここあ「これでもうだいじょうぶだよ」
リゼ「………………」
ここあ「りぜちゃん、おかおあらいにいこ?」
リゼ「!」ハッ
リゼ「そ、そうだな……」
リゼ「ココア、ありがとう」ナデナデ
ここあ「うん♪」
リゼ(……………………)
――――――――――――――――――――――――
リゼ「次はここを縫うんだ」チクチク
ここあ「ここだね」チクチク
リゼ「指を刺さないように気を付けろ」
ここあ「だいじょーぶ!」
――
――――
――――――
リゼ「最後は背中を縫って……よし、完成だ」
ここあ「ワイルドギースのおともだちできたー♪」ピョンピョン
リゼ「横に並べてみるか」
ここあ「わぁ……!」
リゼ「ふふっ、サイズもちょうどいいな」
ここあ「ワイルドギースよろこんでる?」
リゼ「ああ、ココアのおかげだ」
ここあ「りぜちゃんとふたりでつくったから、なまえはココリゼだね」
リゼ「そのままだな……」
ここあ「ココリゼ、ワイルドギースとなかよくするんだよ~」
リゼ(どうしよう、一日かかると思ってたけど意外とはやくおわってしまった)
リゼ(チノの言ってたパーティー、断らないほうが良かったかもしれないな……)
リゼ「ココア、まだお昼だけどどうする?どこか行きたいところがあれば連れて行ってやるぞ?」
ここあ「ラビットハウスにいきたい!」
リゼ「ラビットハウス?」
ここあ「うん、そのあと『あまうさあん』で、そのあとはしゃろちゃんのおうち!」
リゼ「みんなのところにか?別に構わないが……」
ここあ「りぜちゃんとふたりでおさんぽしながら、みんなにあいにいくの」
リゼ「そうか……わかった」
リゼ「転ばないように、手を繋いでいこうか」
ここあ「うん!」ギュッ
リゼ「…………っ」ギュッ
―――――――――――――――――――――――
――ラビットハウス――
リゼ「おじゃまします」
ここあ「ちのちゃーん!」
チノ「ココアさん……!」
リゼ「すまない、思っていたよりも早く終わってな」
チノ「そうですか、でしたらいまからでも……」
リゼ「気持ちはうれしいが……遠慮しておくよ」
リゼ(これ以上仲良くなると、別れがもっと辛くなる……)
チノ「リゼさん……」
ここあ「ちのちゃんもりぜちゃんもどうしたの?」
チノ「なんでもないですよ。ココアさん、リゼさんのおうちで何かしてたんですか?」
ここあ「うん!あのね、りぜちゃんといっしょにワイルドギースのおともだちをつくったの。ココリゼっていうんだ」
チノ「そうですか、最後までちゃんと作れたんですね。偉いです」ナデナデ
ここあ「こんどはちのちゃんとふねをつくりたいな」
チノ「ボトルシップですか、まだココアさんには難しいですよ」
ここあ「じゃあ、もっとおおきくなったらいっしょにつくろうね」
チノ「……はい、そうですね」
チノ「っ……」ギュッ
ここあ「ふぉぇ?」
チノ「ココアさんが大きくなってわたしよりもお姉ちゃんになったら、一緒に作りましょう」
ここあ「えへへ、ゆびきりげんまん」
チノ「はい……」
チノ「ゆーびきりげんまん――」
ここあ「――ゆびきった♪」
チノ「…………」グスッ
チノ「任せてください……ちゃんと約束、守りますから……」ギュッ
ここあ「ちのちゃんあまえんぼうさん?もふもふ~」ギュッ
チノ「ココアさん……」ジワッ
リゼ「っ…………」
チノ「リゼさん……ココアさんのこと、よろしくお願いします」
リゼ「ああ……まかせておけ」
リゼ「ココア、そろそろいこうか」
チノ「ココアさん……さようなら」
ここあ「チノちゃんばいばい!」
ここあ「オムライス、おいしかったよ。ちのちゃんだいすき……」チュッ
チノ「!」
ここあ「またね」ニコッ
チノ「え……」
リゼ「チノ、また明日な」
ガチャッ バタン
チノ「ココア……さん……?」
―――――――――――――――――――――――
――甘兎庵――
リゼ「いきなりですまないな」
千夜「ううん、来てくれて嬉しいわ。もう会えないと思ってたから……」
ここあ「あんこ、はいあーん」
あんこ「…………」モグモグ
千夜「チノちゃんはどう?」
リゼ「辛そうだったよ……だから、ここに逃げてきた」
千夜「そう……でも、後悔するよりきっといいと思うわ」
千夜「リゼちゃんは?大丈夫なの?」
リゼ「そうだな、覚悟はしていたんだけど……」
千夜「両目とも真っ赤っかね……ごめんなさい、当然よね」
リゼ「……千夜のほうは?」
千夜「わたし?ふふっ、どうかしら?」
リゼ「……ごめん、聞かなくても良かったな」
千夜「永遠の別れってわたし、まだ一度も経験したことないの」
千夜「だからかしら、もう会えないって言われてもあまり実感が湧かないわ……」
千夜「でも不思議ね……人間、自分の気持ちなんて分からなくても、いざ現実を突き付けられると自然と涙が出てくるものなんだから……」ジワッ
リゼ「千夜……」
千夜「ごめんなさい……リゼちゃんも辛いのに、わたし……」グスッ
リゼ「いいんだよ……お前が我慢する必要なんてない」
リゼ「悲しいなら好きなだけ泣けばいいんだ……」ギュッ
千夜「っ……リゼちゃん……!」ポロポロ
ここあ「ちやちゃんだいじょーぶ?」
千夜「ひっく……ここあちゃん……」
ここあ「げんきだして、ちやちゃん。よしよし」ナデナデ
千夜「ココアちゃん……ありがとう、嬉しいわ」ダキッ
ここあ「もうかなしくない?」
千夜「ええ……ココアちゃんを抱っこしてたら悲しみなんて消えちゃった」
ここあ「わーい!」キャッキャッ
千夜「ふふっ、ココアちゃん……また羊羹、食べに来てね」
ここあ「うん!またたべにくる~♪」
リゼ「千夜……」
千夜「リゼちゃんありがとう、もう大丈夫よ」グスッ
リゼ「そうか……」
リゼ「ココア、そろそろいこうか」
ここあ「はーい」
ここあ「ちやちゃん、ばいばい!」
千夜「ココアちゃん……さようなら」
ここあ「たくさんあそんでくれてありがとう。ちやちゃんだいすき……」チュッ
千夜「!」
ここあ「♪」タタタ
ガチャッ バタン
千夜「どうして…………」
千夜「……うそ………ココアちゃん……」
―――――――――――――――――――――
――シャロの家――
ここあ「ワイルドギース、おいで~」
ワイルドギース「」フンッ
シャロ「うぅ……ぐすっ……」ウルウル
リゼ「すまないシャロ、来ないほうが良かったか?」
シャロ「いえ、ただもう会えないと思ってたから……」グシグシ
リゼ「突然ココアがみんなの家に行きたいって言いだしてな」
シャロ「でも、どっちにしろこれが最後のお別れなんですよね……うぅっうぇえぇ……」ポロポロ
リゼ「シャロ……っ……」
ここあ「シャロちゃんもなきむしさん?」ヒョコ
リゼ「!」
シャロ「ココア……」ポロポロ
ここあ「ないたらしあわせがにげていくんだよ?だからなきやもう?」ナデナデ
ここあ「みんながいるよ、だからだいじょーぶ!」ギュッ
シャロ「でも……ココアは……!」ギュッ
シャロ(あんたがいなくなったら、『みんな』じゃない……)ポロポロ
リゼ「…………っ」グッ
ここあ「シャロちゃん、よしよし」
シャロ「ここあぁ……なんで……どうして……」ポロポロ
リゼ(……どうすることもできない苦しみを前に、自分一人の力でいったい何をすればいいんだろう)
リゼ(嫌なことがあったとき、今まで何度もそんなことを考えてきたけど……いまだに答えなんて出ない)
リゼ(――どうしようも、ないのだから)
――
――――
――――――
リゼ「シャロ、落ち着いたか?」
シャロ「はい、取り乱してすいません……」
リゼ「気持ちはわかるさ、気にするな」
リゼ「ココア……もうすぐ夕飯だ、そろそろ帰ろうか」
ここあ「うん。しゃろちゃん、バイバイ」
シャロ「ココア……またね」
ここあ「しゃろちゃんだいすきだよ、いっぱいめいわくかけてごめんね」チュッ
シャロ「……!」
ここあ「♪」フリフリ
ガチャッ バタン
シャロ「……まさか、ココア…………」
――ジワッ
シャロ「ぅっぐ……あんた、どうして……」グスッ
シャロ「ココアぁ……ココア……!」ポロポロ
―――――――――――――――――――――
――深夜 リゼの部屋――
ここあ「こころぴょんぴょんまち、かんがえるふりしてもうちょっと――♪」
リゼ(もう残された時間も少ない……これが終わったら、あとは寝るだけか)
ここあ「♪~♪♪」
リゼ(目が覚めれば、この幼いココアはいなくなる……それで、全て元通りになる)
リゼ(――はずなのに)
リゼ(……本当に、これでいいのか)
リゼ(このままで……ココアに何も告げないまま、お別れしていいのか)
リゼ「……………………」
―――――――――――――――――――――
――IN ベッド――
リゼ「電気、消すぞ」
ここあ「うん」
リゼ「…………」カチッ
リゼ「ここあ……おいで」
ここあ「うん♪」ギュッ
リゼ「……………………」
ここあ「きょうはみんななきむしさんだったね」
リゼ「……そうだな」
ここあ「りぜちゃんは?」
リゼ「……さぁな」
ここあ「……そっか……そうだよね」
ここあ「だって……りぜちゃんは――」
リゼ「――なぁ、ココア?」
ここあ「?」
リゼ「今からお前に大事な話がある」
リゼ「……聞いてくれるか?」
ここあ「……うん」
リゼ「……ありがとう」
リゼ「……ココア」
ここあ「りぜちゃん、どうしたの?」
リゼ「…………っ」
ここあ「りぜちゃんのからだ、ふるえてる……こわいの?」
リゼ「ああ、怖い……怖くて怖くて、どうかなりそうだ」
ここあ「だいじょーぶ、わたしがついてるよ」
リゼ「……でも……もう会えない」
ここあ「え?」
リゼ「今日が終われば、もうお前とは会えないんだ!」
ここあ「!」
リゼ「――っ」ギュッ
ここあ「リゼちゃん……?」
リゼ「……っ」ギュッ
ここあ「いたいよ……りぜちゃん……」
リゼ「ココア……ココア……!」ジワッ
リゼ「お前はほんとは、ここにいる人間じゃないんだ……」
リゼ「この場所にいたのは、お前よりもずっと年上のココアで……」
リゼ「その子がいなくなった日に、お前が現れた……」
リゼ「でも、お前自身が願ってくれた……その願い通り、きっとココアは帰ってくる」
リゼ「お前がいなくなる代わりに……」ポロポロ
ここあ「………………」
リゼ「お前がどうなるか、わたしにも分からない……」
リゼ「消えるのか、どこかに行ってしまうのか、わたしたちの記憶の中からさえも消え去ってしまうのか……」
リゼ「お前のことを忘れたくないのに、もしかしたら忘れてしまうのかもしれない……」
ここあ「りぜちゃんが……わたしを……」
リゼ「すまない……ずっと黙っていた」
リゼ「お前の方がわたしよりもずっと怖いはずなのに……わたしは、お前の泣き顔を見るのが怖くて……」
リゼ「お前の言う通り、わたしは臆病者だ……最低だ……」
リゼ「ごめんな……ごめんなココア……」
リゼ「もう、一緒には居られないんだ……」ポロポロ
ここあ「……………………」
リゼ「怖いよな……なのに、わたしはお前を抱きしめることしかできない……」
リゼ「なにもしてあげられない……」ポロポロ
ここあ「……ううん、そんなことない」
ここあ「りぜちゃん、かおあげて?」
リゼ「……?」
ここあ「わたしね、りぜちゃんたちとであってから、まいにちたのしかったよ」
ここあ「りぜちゃんからも、ちのちゃんからも、ちやちゃんからも、しゃろちゃんからも、おもいでややさしさ、いっぱいうけとったよ」
ここあ「たくさん、たくさん、しあわせだったよ」
ここあ「みんなのこと、ぜったいにわすれない」
ここあ「きえても、いなくなっても、ぜったいに」
ここあ「だから、だいじょーぶ」ニコッ
リゼ「……!」
ここあ「みんなのとのおもいでがあれば、わたし、こわくないよ」
リゼ「ココ…ア……」ポロポロ
リゼ「お前は……なんで、どうして……」
ここあ「でもね、まだすこしこわいな」
ここあ「さいごにひとつだけ、りぜちゃんにちゃんときいておきたいの」
リゼ「わたしに……?」」
ここあ「あのね……」
ここあ「りぜちゃんは……わたしのこと、すき?」
リゼ「――!」
ここあ「わたしがいなくなったら、かなしんでくれる……?」
リゼ「……そんなこと」
ここあ「きのうちのちゃんがきたとき、りぜちゃんわたしのことめいわくだっていってたから……」
リゼ「!」
ここあ「あんまりかなしくないって……はやくもとにもどってほしいって……」
リゼ「ココア……お前、今日が最後だって知ってて……だからみんなのところに……!」
ここあ「ごめんなさい……」
ここあ「でもね、きえちゃうってわかったときも、あんまりこわくなかった」
ここあ「ううん、りぜちゃんにきらわれてるかもしれないってわかったときのほうが、ずっとこわかった……」
リゼ「……ココア」
ここあ「りぜちゃん、さいごにきかせて……うそついちゃ、だめ……」
リゼ「…………」
ここあ「りぜちゃんは……わたしといっしょにいるの、いやだった?」
ここあ「はやくわたしとおわかれしたかった……?」グスッ
ここあ「わたしのこと、めいわくだった……?」ジワッ
ここあ「わたしのこと、きらいだった……?」ポロポロ
リゼ「………………」
ここあ「ひっく……ぅえぇ……」ポロポロ
リゼ「――――きだ」
ここあ「え……」
リゼ「好きだよ……大好きだ」
ここあ「……ほんと?」
リゼ「わたしがお前との約束で、嘘ついたことがあったか?」
ここあ「……ううん」
リゼ「この期に及んで、もう嘘なんてつけないよ」
リゼ「あの時はチノを不安がらせまいと強がりを言ったが……もうわたしも堪えきれそうにない」
ここあ「りぜちゃん……」
リゼ「好き……ココアのことが、好きだ」
リゼ「誰よりも一番、世界で一番、お前のことが好きだ」
リゼ「誰が忘れても、わたしはお前を忘れない」
リゼ「お前との思い出も、お前の笑顔も、お前の言葉も声も、全部……」
リゼ「全部……ずっとずっと、覚えてる……」
ここあ「…………!」
リゼ「たとえ1秒でも長くお前のそばにいたい。ココア……一緒にいてくれるか?」
ここあ「うん……」
ここあ「わたしも、りぜちゃんといっしょにいたい」
ここあ「りぜちゃん、すき……だいすき」
ここあ「いちばんりぜちゃんのことが、だいすきだよ……♪」チュッ
リゼ「ココア……これはな、頬にするもんなんかじゃないぞ」
リゼ「ほんとは、こうするんだ……」
――チュッ
ここあ「んっ……」
リゼ「他になにかしてほしいこと、あるか?」
ここあ「ううん……なにもない」
ここあ「もうこわくないよ……だって、こんなにしあわせだもん」
ここあ「りぜちゃんとふたりなら、もうなにも……」
リゼ「……そうか」
ここリゼ「…………」ギュッ
ここあ「ねぇリゼちゃん……ねても、いい?」
リゼ「……ずっと、そばにいるよ」
ここあ「えへへ……ありがとう……」
リゼ「………………」
ここあ「りぜちゃん……」
リゼ「……ああ」
ここあ「りぜ……ちゃん……」
リゼ「……大丈夫、ちゃんといるぞ」
ここあ「さいごに……おねがい、わすれてた……」
リゼ「……?」
ここあ「またいつか、りぜちゃんとあえますように……」ギュッ
リゼ「……ココア」
ここあ「おやすみなさい、りぜちゃん……」
リゼ「……ああ」
リゼ「――おやすみ、ココア」
――
――――
――――――
………………。
――あれ……。
あの感じ……どこかで――
――――――――――――――――――――――――
――公園――
ワイワイ キャーキャー
りぜ(……いいなぁ)
りぜ(どうしてわたしにはともだちができないんだろう……)
りぜ「……ふつうのいえにうまれなかったから……」ブランコ
りぜ「……はぁ」
りぜ「たくさんともだち、ほしいな……」
ここあ「ブランコ!わたしもまぜて~!」
りぜ「うぇえ!?」ビクッ
ここあ「おしてあげるね!えいっ!」
りぜ「ちょっとまってくれ!べつにブランコしたいわけじゃあ……!」
ここあ「そーれ!いち、にっ!」キャッキャッ
りぜ「やめろ~!やめて~!」
りぜ「ひどいめにあった……」
ここあ「ごめんね、ブランコに乗ってたからつい」
りぜ「ひとりきりでブランコなんてするはずないだろう……――!」ハッ!
ここあ「おねえちゃん、ひとりぼっちなの?」
りぜ「っ~!……そうだよ、わるいか」
ここあ「おともだちさがしてる?」
りぜ「……うん」コクリ
ここあ「それじゃあおともだちになろう!」
りぜ「えっ!?」
ここあ「わたしとおねえちゃんはいまからおともだち♪」
りぜ「……おまえ」
もか「ここあ~どこ~?」
ここあ「あっ、でももういかなきゃ……そうだ!」
――ギュッ
りぜ「!」
ここあ「いつかたくさん、おともだちができますように」
ここあ「おねえちゃんにおまじない♪」
りぜ「……おまじない」
ここあ「それと――」
ここあ「またいつか、おねえちゃんにあえますように」
りぜ「…………」
もか「ここあ~おいていっちゃうよ~!」
ここあ「じゃあね、ばいばい」フリフリ
ここあ「おねえちゃん、まって~!」タタタ
りぜ「」ポカーン
りぜ「………………」
りぜ「はじめてのともだち……なまえ、きいてなかった……」
りぜ「………………」スッ
りぜ「……ともだち、できるかな」
――そうだ。
あの時、わたしにまほうをかけてくれたのは――
わたしと、初めてともだちになってくれたのは――
……………………
………………
…………
……
――
――――
――――――
――早朝――
ココア「ふぉぇ……もう朝?」
リゼ「……おはよう、ココア」
ココア「んっ……リゼちゃん?どうしてリゼちゃんがここに……」プワプワ
リゼ「ここはわたしの家だ……まぁ話せば長くなる」
ココア「昨日の夜チノちゃんと遊んで、その後自分の部屋で寝たはず……」
リゼ「……この1週間、何も覚えてないか?」
ココア「1週間……?」キョトン
リゼ「……そうか」
リゼ「気にするな……よく帰ってきてくれたな」ナデナデ
ココア「リゼちゃん……?」
リゼ「おかえり、ココア……」ギュッ
ココア「えへへ……リゼちゃんもふもふ♪」
リゼ「……よかったよ、ほんとに」
――ポタッ
リゼ「お前が帰ってきてくれて、良かった……」ポロポロ
ココア「リゼちゃん、怖い夢でも見たの?よしよし」ナデナデ
リゼ「ふふっ……ココア……」
リゼ「おかえり……」グスッ
リゼ「ははっ……あはは…………」
リゼ「よかった……よかったなぁ……」ポロポロ
感想
最終話までお疲れ様でした!小さくなってもココアちゃんはココアちゃんでしたね。上手く言葉で言い表せませんが、とても暖かみのあるお話でした。
ありがとうございます。
ですが、これは最終回ではなく本シリーズは次回の後日談で最終回となります。
うっ…うぅっ……うわああああああああああああん
読むのが遅くなりましたが、更新お疲れ様です…
この号泣SSどうやったら書けるんですかね…体内の水分無くなりかけましたよ…
僕は特にボトルシップのところで…すごい涙が…出てきて…うぅ…
あぁ…ここあが…ここあがぁ…ってなりましたよ…
ここあが皆のところに行きたいって言ったときにここあは自分が消えてしまうっていうことを知ってるんだ…
って思ったら…よくその時泣かなかったなぁ…と思いました
ここあはまだ皆と一緒にいたかったんだろうなぁ…
ずっと皆と過ごしたかったんだろうなぁ…
このシリーズの最終回も、期待しています!
ありがとうございます。
ハッピーエンドでありながらすべてが救われるわけじゃない、こういった結末において何かを感じて頂けたのであれば執筆者としましてはとても光栄です。
本作も、満足いく描写ができたかと言われれば少々悔いが残っているのは事実ではありますが。
よろしければ最終回の後日談もご覧ください。
…これ以上無駄な傷を増やすまいとして思考回路を改造した結果、
「別れ」「後悔」系統の感情に共感できなくなってしまい、
うっかり鼻で笑い飛ばそうとしするKYがいる…
少し回りくどい理由で泣けてきた。
チラ裏失礼しました。
思わず泣いたしまった….。こんなに素晴らしいSSを見たのは初めてです!これからも新作楽しみにしてますよ!!
ありがとうございます。
よろしければ最終話もご覧いただけると嬉しいです。