――ラビットハウス――
リゼ「……………………」
ここあ『りぜちゃん、あーそぼっ♪』
ここあ『いっしょにおでかけ!』ピョンピョン
ここあ『ふたりでいっしょならだいじょーぶ!』
ここあ『りぜちゃん、だいすき♪』
りぜ「……………………」
リゼ「…………ここあ」
チノ「リゼさん」
リゼ「ん……チノか。すまない、少しボーっとしてた」
チノ「お客さんも来ないので、イスにでも座ってゆっくりしててください」
リゼ「いや、テーブルでも拭いておくよ。その方が気がまぎれるしな」
チノ「……リゼさん、すいませんでした」ペコリ
リゼ「?」
チノ「わたしのせいです……わたしがここあさんのこと、リゼさんに押し付けたから……」
リゼ「なに言ってるんだ、わたしが勝手に連れて行っただけだろ」
チノ「こうしてリゼさんが一番辛くなることも分かっていたのに、わたし……」
リゼ「……チノ」
チノ「最後の最後まで、全てリゼさんに押し付けてしまって……ごめんなさい」
リゼ「…………」
――ポンッ ナデナデ
チノ「……?」
リゼ「お前のせいなんかじゃないさ、むしろ、ありがとうだ」
リゼ「チノだけじゃなく、千夜とシャロにも……ここあと最後に二人きりにしてくれたみんなにな」
リゼ「おかげさまで、不思議と後悔はしてないんだ」
リゼ「最後までいっしょにいられて、良かったって思ってる」
リゼ「悲しいけど、これでよかったんだ」ニコッ
チノ「リゼさん……」
リゼ「だから、な?」ナデナデ
チノ「んっ……」
リゼ「お前に感謝こそすれど、恨むつもりなんてさらさら無い」
リゼ「後ろめたさなんて感じなくていいんだぞ」
チノ「……はい」
リゼ「よし……さぁチノ、今日からまたラビットハウス再開だ。気合入れていくぞ」
チノ「はい♪」
チノ「でも、リゼさん」
リゼ「んっ?」
チノ「後悔していないのでしたら、さっきはいったい何を考えていたんですか?」
リゼ「……そうだな」
リゼ「後悔は無いんだが、ひとつだけ心残りがな……」
チノ「……?」
ガチャッ
リゼ「おっと、お客さんだ。チノ、コーヒーのほう任せたぞ」
チノ「あ、はい」
チノ(……リゼさん)
リゼ「いらっしゃいませ、こちらメニューです」
リゼ(小さい頃、わたしに魔法をかけてくれたあの子はお前だったのか――聞きそびれたな)
―――――――――――――――――――
リゼ「ふぅ…………」
チノ「お疲れ様です」
リゼ「お昼時はさすがに忙しいな」
チノ「わたしとリゼさんだけですから」
リゼ「ココアはまだ起きてこないのか?」
チノ「いえ、ココアさんは今週はオフです」
リゼ「あいつが休むなんて珍しいな」
チノ「1週間の間の記憶が一切無いことが思っていたよりもショックだったようで」
チノ「今日は気分転換を兼ねて、甘兎庵に行くと言ってました」
リゼ「千夜のところか」
チノ「はい、さきほど写メが送られてきました」スッ
『千夜月5本食い達成だよ!』
リゼ「ははっ、この調子ならもう大丈夫そうだな」
チノ「まったくです、心配して損しました」クスッ
リゼ「こりゃ後からダイエットに付きあわされそうだな」
チノ「その時は3人で頑張りましょう」
リゼ「いや、チノはそれ以上痩せなくていいと思うぞ」
チノ「仲間はずれは嫌です……」
リゼ「そうか、わかったよ」ナデナデ
チノ「♪」パァァ
――
――――
――――――
――リゼの部屋――
リゼ(……そっか)
リゼ(千夜のやつ、もう約束を果たしたんだな)
リゼ「とすれば、明日あたりにチノとボトルシップつくり、明後日あたりにシャロとデートか」
リゼ(シャロのやつ、ここあのことを思い出して泣かなければいいが)
リゼ「……さてと」ベッド ポスッ
リゼ(……わたしの約束は、いつになるのかな)
リゼ(明日か、1年後か、はたまた10年先か……)
リゼ(………………)
リゼ「まぁ、ゆっくり待つとするか」
リゼ「いつかは必ず会える。なぁ、ワイルドギース。それと――」
リゼ「なぁ、ココリゼ。……うーん、やっぱりしっくり来ないな」
リゼ「……よし、お前の名前は変更だ」
リゼ「――なぁ、ここあ♪」ギュッ
―――――――――――――――――――――――
――6日後 リゼの部屋――
ココア「リゼちゃんの部屋、模様替えした?」キョロキョロ
リゼ「いや、物が増えただけだと思う」
ココア「そっかぁ、そういえば本棚がこの前より溢れてるね」
ココア「あれ……これ全部絵本?」
リゼ「ああ、この前急に読みたくなってな」
ココア「懐かしいなぁ、わたしも小さいころ読んだよ~」
リゼ「ココアは小さい頃から読書好きだったんだな」
ココア「うん!でもさすがに文字が読めなかった頃は読み聞かせだったけどね」
ココア「お姉ちゃんのお膝の上に乗っていっしょに読んだんだ」
リゼ「……そうか」
ココア「あっ、写真立てだ!」スッ
リゼ「!」
ココア「この子だれかな?リゼちゃんの親戚?」
リゼ「いや違うぞ。――友達だ、大切な」
ココア「へぇ~、二人とも仲良しなんだね」
リゼ「そうか?」
ココア「うん!だってこの子すごく幸せそうだよ、ほら」
リゼ「……そうだな、そうだといいが」クスッ
リゼ「なにせ、わたしの初めての友人だからな」
ココア「ふぉぇ?どういうこと?」
リゼ「なんでもないよ、そろそろ寝ようか」
ココア「リゼちゃんといっしょに寝るの、久しぶりだね」
リゼ「6日前にいっしょに寝ただろう?」
ココア「記憶が無いから覚えてないよ~」
リゼ「いいから早く布団に入れ」ポンポン
ココア「はーい、だいぶ!」ポスッ
リゼ「電気消すぞ」カチッ
ココア「……………………」
リゼ「……………………」
ココア「リゼちゃん、まだ起きてる?」
リゼ「ああ」
ココア「良かったら、少しお話し聞いてもらってもいい?」
リゼ「ん、いいぞ」
ココア「……あのね、いまこうやってリゼちゃんと二人で寝てたら、ふと思い出したんだ」
ココア「――わたし、むかし公園のブランコでリゼちゃんにそっくりな子に会ったことがあるの」
リゼ「――!」
ココア「一人で寂しそうにブランコで遊んでて……お友達がほしいって言ってた」
リゼ「………………」
ココア「わたし小さい頃は魔法使いになりたかったから、その子に魔法をかけてあげたんだ」
ココア「たくさんお友達ができますようにって♪」
ココア「これだけのことなんだけど、なんとなくリゼちゃんに話したくて。ごめんね急に」
リゼ「いや、面白い話だったよ」
ココア「あの子、今頃どうしてるかなぁ」
リゼ「たぶん、幸せになってると思うぞ」
リゼ「お前の魔法のおかげでな」
ココア「そうかなぁ、そうだといいな」
リゼ「良い友達に囲まれて、毎日を楽しく過ごしてるさ。きっとな」ナデナデ
ココア「んっ…………♪」
リゼ「………………」クスッ
リゼ「ココア、ありがとう」
ココア「ふぇ……?」ウトウト
リゼ「お前は、本当の魔法使いだよ」
ココア「すぅ……すぅ……」Zzz
リゼ「さて……これで、心残りも消えたな」
リゼ「あとは……」チラッ
ココア「ん……えへへ……」Zzz
ここあ『またいつか、りぜちゃんとあえますように……』
リゼ「もう一回、約束を果たすだけだ」
リゼ「……ふふっ♪」
リゼ「またいつか、会えるよな」
リゼ「――ここあ」
~FIN
感想
今度こそ、最後までお疲れ様でした。今回のシリーズは、全体として、幼ココアを通じて、彼女達の絆の強さと優しさを感じ取れる作品だったと思います。(上から目線のようですみません汗)これからも無理をしない程度に頑張っていただけると嬉しいです。
本シリーズを最後までご愛読いただき、ありがとうございました。
物語のカタルシスは個人の意にお任せしておりますので、どう感じて頂いてもわたしとしましては嬉しい限りです。
優しいお言葉、感謝いたします。
これからも不定期となりますが更新させていただきますので、新作もまたぜひご覧になってください♪
幼いココアとリゼ、いいですね❗
ラブライブのネタ もしくじらさんが見たことあるならサンシャインとかいいです❗
ごちうさSSに加え、新たに執筆を始めたネプテューヌSSでさえも定期的に更新できていないのが現状でして;
誠に申し訳ありませんが、今はまだサンシャインはご遠慮させていただきます。
泣いた
ありがとうございます♪
遅れましたが更新お疲れ様です!
今回のココアが「千夜月5本完食達成!」的なメールを送ってきたとき思わず笑ってしまいましたwww
(…あれ?千夜月って…結構デカかったような…)
いつか…ここあとの約束を果たす日が来ると信じ…いや、約束を果たす日が来るのを待っています!
次のSSをどっきどきーのわっくわくーwwで待っています!
ありがとうございます。
原作でもココアちゃんが千夜月を3本ほどまるまる食べてましたね。
続編を執筆するかどうかは分かりませんが、もし更なる後日談を描くのであればぜひ♪
このシリーズを読みましたが、感動的で涙が出そうな物語でした!(実際結構涙流してましたが・・・)
後お一つ失礼ですが、「うん!だってこの子すごく幸せそうだよ、ほら」の所はココアのセリフ受け取っていいのでしょうか?
とんでもないミスを……ご指摘ありがとうございます、直ちに修正いたしました。
真面目なSSでは特にこういったミスは禁物ですね。
すごい大作をありがとう〜(^o^)/
ロリココア超かわいい(*^_^*)
いっきに読ませていただきましたー^_^
これからも期待しながら読ませてもらいますー
ネプシリーズも楽しみに待っています(笑)
最後までお読みいただきありがとうございます。
3作品の不定期な同時更新ですが、アイデアが浮かび次第順繰りに更新させていただきます。
すごい大作ありがとうございます。
涙がでてしまいました。
できたらこの物語の続きかいてほしいです。
リゼちゃんとロリココアちゃんの再会を執筆したいのは山々なのですが、この最終話に対して余計にハッピーエンドを差し込むのは蛇足になるではないかなど、作者としましては非常に複雑な思いでして。
決意とアイデアが纏まりましたら、またぜひ。
リゼってほんとに優しいなー。リゼも好きかも
今まで読んだ中で一番感動しました。
こんな大作をありがとうございました。
この話で何回泣いた事か…
ありがとうございます。
このお話は特に思い入れがあるので、嬉しすぎて砂水クジラの方が泣きそうです。