ラブライブ SS 海未「わたしだけの穂乃果」

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――放課後 廊下――

 

海未「ふぅ…………」

 

穂乃果「海未ちゃーん!」

 

海未「んっ……穂乃果」

 

穂乃果「海未ちゃん、一緒に帰ろ」ニコッ

 

海未「すいません、この後弓道部に顔を出してから真姫と曲についての打ち合わせがあるので」

 

海未「今日は先に帰っていてください」

 

穂乃果「そっか、わかった」

 

海未「お気をつけて」

 

穂乃果「うん、またね」

 

――

――――

――――――

 

穂乃果「ことりちゃん、お待たせ」

 

ことり「あれ、海未ちゃんは?」

 

穂乃果「今日もまた居残りだって」

 

ことり「そっかぁ、海未ちゃん忙しいもんね」

 

穂乃果「μ’sの練習にメニュ作成、作詞、弓道部に家での鍛錬……とても穂乃果じゃ真似できないよ」

 

ことり「あはは、ことりも」

 

穂乃果「でも、ことりちゃんは衣装作りをしてくれてるし……穂乃果も何か海未ちゃんのこと手伝えないかな」

 

ことり「うーん、穂乃果ちゃんは今のままでも十分海未ちゃんのお手伝いしてると思うけど」

 

穂乃果「えっ……でも、穂乃果何もしてないよ?」

 

ことり「そんなことないと思うな。例えばこうやって帰る前に海未ちゃんを誘いにいってあげることとか」

 

穂乃果「そんなの当たり前だよ、だって友達だもん」

 

ことり「ダメって分かっててもかな?帰ることの報告ならメールでも済むのに」

 

穂乃果「っ…それは………」

 

ことり「ふふ、穂乃果ちゃんのそういう優しさ、きっと海未ちゃんも感謝してくれてるよ」

 

穂乃果「………でも、そんなのお手伝いじゃないよ」

 

ことり「どうかな……気持ちを支えるお手伝いもあるんだよ」

 

ことり「だから穂乃果ちゃん、そんなに悲しい顔しないで」ニコッ

 

穂乃果「ことりちゃん…………うん」

 

穂乃果「ありがとう……」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

穂乃果(気持ちを支えるお手伝い、か)

 

穂乃果「……………………」

 

穂乃果(ごめんね、ことりちゃん……たぶん、穂乃果の場合は違うと思う)

 

穂乃果(穂乃果はただ……海未ちゃんと一緒に――――)

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

――お昼休み――

 

海未「穂乃果、ことり、すいませんが今日は二人で食べてください」

 

穂乃果「えっ?」

 

ことり「もしかして、真姫ちゃんと部室で打ち合わせ?」

 

海未「ええ、昨日やっと歌詞が完成したので。ついでに向こうで昼食です」

 

穂乃果「それなら邪魔しちゃいけないね……」

 

ことり「海未ちゃん頑張って、いってらっしゃい」フリフリ

 

海未「はい、ありがとうございます」

 

ガチャッ バタン

 

ことり「それじゃあ食べよっか」

 

穂乃果「うん……」

 

ことり「………………」

 

穂乃果「…………」

 

ことり「……穂乃果ちゃん、やっぱり寂しい?」

 

穂乃果「あっ……ううん、そんなことないよ、ごめんねことりちゃん」アセアセ

 

穂乃果「ただ、なんだか最近、海未ちゃんと全然お話できてないなって」アハハ

 

穂乃果「この前の日曜日も、誘ったけど断られちゃったし」

 

ことり「最近は休日も忙しいみたいだもんね」

 

穂乃果「………………」シュン

 

ことり「大丈夫、一段落したらまた一緒に遊べるよ」

 

ことり「それまでの辛抱だよ、ねっ?」

 

穂乃果「うん…………」

 

穂乃果「………………」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

穂乃果(ずっと一緒にいるのが当たり前になっていたからかな……海未ちゃんがいないとなんだか寂しい……)

 

穂乃果「…海未ちゃんは、そんなことないのかな……」ボソッ

 

海未「――ええ、では」

 

穂乃果「!」サッ

 

穂乃果「………………」モノカゲ

 

ガラッ

 

真姫「今週中に完成できて良かったわ」

 

海未「一昨日の日曜に真姫が手伝ってくれたおかげです」

 

穂乃果「!」

 

真姫「あれは手伝ったっていうのかしら……」

 

海未「ええ、真姫がいなければ危うく誘惑に負けてしまうところでした」

 

真姫「はぁ………あなたも大変ね」

 

海未「もう少しの我慢です、あとは練習メニューの作成さえ終われば――」

 

 

穂乃果「……………………」

 

穂乃果(一昨日の日曜日……ことりちゃんと遊んだ日………)

 

穂乃果(…海未ちゃんに、断られた日だ……)

 

穂乃果「……………………」

 

穂乃果「…………」ジワッ

 

――

――――

――――――

 

――放課後 部室――

 

凛「今日も疲れたにゃー」グダー

 

花陽「凛ちゃん、先に着替えないと風邪ひいちゃうよ」

 

にこ「もう次の曲が完成したのね。海未も真姫ちゃんもお疲れ様」

 

海未「今回はなかなか上手くかけたと思います」

 

希「曲だけ先に聞かせてもらったけど、すごく良かったよ」

 

真姫「まぁ、当然ね」エッヘン

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

絵里「穂乃果、大丈夫?今日はなんだか動きのキレが悪かったようだけど……」

 

穂乃果「……………………」

 

絵里「穂乃果?」

 

ことり「穂乃果ちゃん、帰ろう」ニコッ

 

穂乃果「……………………」

 

ことり「穂乃果ちゃん?」

 

穂乃果「……海未ちゃん、一緒に帰ろう」クイッ

 

海未「穂乃果……すいません、この後絵里と一緒に練習メニューを――」

 

穂乃果「それならここで待ってる……今日は一緒に帰る」

 

海未「気持ちは嬉しいですが……しかし、いつ終わるか分からないですから……」

 

穂乃果「それでもいい……」

 

ことり「穂乃果ちゃん、ことりと先に帰ろう、ねっ?」アセアセ

 

海未「ことりの言うとおりです、ほら、先に二人で帰ってください」

 

穂乃果「……嫌だ、海未ちゃんと一緒に帰るの」ギュッ

 

海未「……穂乃果」

 

ことり「穂乃果ちゃん……」

 

穂乃果「………………」

 

海未「…………はぁ」

 

海未「申し訳ありません絵里、練習メニューのほうは明日にしてもらってもいいですか?」

 

絵里「ええ、もちろんよ。今日は穂乃果と一緒に帰ってあげて」

 

海未「ありがとうございます……穂乃果、行きますよ」

 

穂乃果「………………」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

ほのことうみ「……………………」

 

ことり「それじゃあことりはこっちだから……」

 

海未「はい、ではまた明日」

 

ことり「うん、またね」フリフリ

 

海未「…………」フリフリ

 

穂乃果「……………………」

 

海未「……さてと」

 

海未「……穂乃果、どうしたんですか?」

 

穂乃果「…………………」

 

海未「あなたが理由もなしにあんなわがままを言わないことくらい、わたしにはわかります」

 

海未「何があったんですか?」

 

穂乃果「………………」

 

海未「穂乃果?」

 

穂乃果「……日曜日」

 

海未「え?」

 

穂乃果「一昨日の日曜日……海未ちゃん、穂乃果に嘘ついて真姫ちゃんと遊んでた……」

 

海未「!」

 

穂乃果「穂乃果聞いちゃったんだ……真姫ちゃんと海未ちゃんが二人で話しているところ」

 

海未「……穂乃果」

 

穂乃果「海未ちゃんが最近穂乃果に冷たいのは、そういう理由だったんだね……」

 

穂乃果「海未ちゃんは穂乃果のこと嫌いになったんだ」

 

海未「っ!違います!穂乃果のことが嫌いだなんてそんなはず――」

 

穂乃果「じゃあどうして穂乃果のこと構ってくれないの!!」

 

海未「!?」

 

穂乃果「海未ちゃんは穂乃果のことが嫌いだから寂しくないんでしょ!?嘘つくんでしょ!?」

 

穂乃果「だから穂乃果のこと、後回しにするんでしょ……」ポロポロ

 

海未「穂乃果………」

 

穂乃果「海未ちゃんが忙しいと思って、ずっと我慢してたのに……」グスッ

 

穂乃果「でも耐え切れなくなって……また海未ちゃんのこと困らせて……」

 

海未「………………」

 

穂乃果「海未ちゃんに嫌われたくない……見捨てられたくないよぉ……」ポロポロ

 

海未「っ…穂乃果!!」

 

穂乃果「」ビクッ

 

海未「はぁ……はぁ…………」

 

穂乃果「海未ちゃん……?」ブルブル

 

海未「よく聞きなさい!」

 

海未「……わたしがあなたのことが好きです!大好きです!」

 

穂乃果「……え」

 

海未「幼馴染とか友達とかではなく、仲良くなった頃からずっとあなたのことが好きなんです!」

 

穂乃果「…………!」

 

海未「とはいっても、自分の気持ちに気付いたのは高校生になってからです」

 

海未「あなたが抱きついてくるたび、くっついてくる度にドキドキするようになって……この気持ちが恋だということにようやく自分で気が付きました」

 

海未「女の子同士なんておかしいかもしれません……受け入れてもらえないかもしれません」

 

海未「それでもわたしは、穂乃果のことが好きなんです!」

 

穂乃果「海未ちゃん…………」

 

海未「これでもまだ、わたしがあなたのことが嫌いだと思いますか?」

 

穂乃果「……………………」

 

海未「……穂乃果」

 

穂乃果「……海未ちゃん、いまの言葉……ほんと?」

 

海未「……はい」

 

穂乃果「ほんとのほんと……?」

 

海未「はい!」

 

穂乃果「………………」

 

海未「…………」ブルブル

 

穂乃果「……よかった」ポロポロ

 

海未「…穂乃果……?」

 

穂乃果「それじゃあ穂乃果たち、両想いってことでいいんだよね……」

 

海未「……!」

 

穂乃果「あのね、穂乃果も……海未ちゃんのこと、ずっと前から好きだったよ」

 

穂乃果「でも、穂乃果が自分の気持ちに気付いたのはほんとつい最近で……」

 

穂乃果「海未ちゃんとずっと話せない毎日が続いてからだよ」

 

穂乃果「海未ちゃんがそばにいてくれないと寂しくて……真姫ちゃんと遊んでたって聞いたときは、胸が苦しくなって……」

 

海未「穂乃果…それでは……!」

 

穂乃果「うん……」ニコッ

 

穂乃果「穂乃果も海未ちゃんのことが好き……大好きだよ」

 

穂乃果「だからこれからも、ずっと一緒にいてください」ニコッ

 

海未「…………!」

 

海未「―――穂乃果っ!」ダキッ

 

穂乃果「ひゃあ!」

 

海未「もう絶対に離しませんよ……!」

 

海未「これからはもう二度と寂しい思いなんてさせませんから!わたしがずっとそばにいますから!」

 

海未「ああ穂乃果……穂乃果……!」スリスリ

 

穂乃果「……えへへ//」

 

穂乃果「海未ちゃん……やっぱり優しい……♪」

 

 

 

穂乃果「そうだったんだ……作曲のために」

 

海未「ええ、穂乃果と触れ合えない寂しさと苦しさを体験し、ようやく歌詞が完成しました」

 

海未「あの場に真姫がいなければ、あなたの誘いに危うく頷いてしまうところでした」

 

穂乃果「うぅ……ごめんね海未ちゃん」

 

海未「なにを言っているんですか、あやまるのはわたしのほうですよ」

 

海未「どんな理由であれ、嘘をついてしまったのは事実です……ごめんなさい」

 

穂乃果「ううん、穂乃果こそ勘違いしてごめん」

 

海未「いいんですよ、そのおかげでこうして穂乃果と恋人同士になれたんですから」

 

海未「これからはもう穂乃果をおざなりにして歌詞を考えるのはやめますね」

 

穂乃果「でも海未ちゃんがそのほうがアイデアが浮かびやすいなら、寂しいけど穂乃果も協力するよ?」

 

海未「いえ、心配は無用です。歌詞作りなんて頭の中でも十分にできますよ」

 

海未「それよりも、穂乃果といる時間のほうが大切ですから」

 

穂乃果「海未ちゃん……えへへ♪」

 

 

――

――――

――――――

 

――2ヵ月後――

 

にこ「……なにこれ」

 

真姫「海未が書いた歌詞よ……」

 

絵里「すきすき、ぷわぷわ、すきすき、ぷわぷわしちゃおう……」

 

希「ずいぶん思い切った歌詞やね……」

 

凛「ずっと読んでるとなんだかお花畑にいるみたいにゃ」

 

花陽「あはは…………」

 

ことり「」・8・

 

 

――――――――――――――――――――――

 

――穂乃果の部屋――

 

穂乃果「海未ちゃん、もう歌詞できたの?」

 

海未「はい、先週真姫に提出してきました」

 

穂乃果「へぇ~どんな曲になるか楽しみだね♪」

 

海未「では完成したら穂乃果に歌ってもらいましょうか」

 

穂乃果「へっ、穂乃果一人だけ?」

 

海未「いえ、ことりにもぜひ歌ってもらいたいのでPrintempsに任せましょう」

 

穂乃果「ことりちゃんと花陽ちゃんと穂乃果の三人だね!」

 

海未「よろしくお願いしますね、穂乃果」

 

海未「…………さてと」

 

ほのうみ「………………//」

 

穂乃果「………………//」モジモジ

 

海未「……今日は私から、ですか?//」

 

穂乃果「……っ//」コクコク

 

海未「…………//」スッ

 

――チュッ

 

穂乃果「ん…………//」

 

海未「穂乃果、可愛いですよ……穂乃果……」

 

穂乃果「海未ちゃん……好き……」

 

海未「はい、わたしもです……」

 

海未(10年かかって、やっと手に入れました……)

 

海未「――わたしだけの穂乃果//」ニコッ

 

――おしまい♪

感想

  1. はなまるびぃ より:

    充分に百合を堪能できました!
    久々にラブライブが更新されてて良かったです♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます、今度はまた正式な百合SSを描かせていただきますので♪
      長らくラブライブのアイデアが滞ってしまいまして……もうしわけありません。

  2. 匿名 より:

    おつかれさまですっ。
    しかしこれは…
    実は真姫は海末と一緒に作業してる内に知らずのうちに好きになってた。とか
    ことりも穂乃果のことが好きだった。
    穂乃果が海末のことで悩んでるのがあからさまなので色々辛かった…
    とか色々と妄想ができるSSですな!

    >何かが足りなかった気がします……百合要素?
    十分百合要素全開ですよ(*´ω`*)b

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      いつもご愛読ありがとうございます♪
      本SSの未完成な部分を補完して楽しんでいただき、ありがたい限りです。

      その二つの伏線のどちらかを話に盛り込めば、もう少し満足いく作品に仕上がったのかもしれませんね。
      構成力がまだまだ未熟であることを痛感します。
      お詫びとしまして、今度はもっと百合百合したSSにチャレンジさせていただきますので。
      お慰めの言葉、ありがたく頂戴しました。

      • 匿名 より:

        たのしみにしてますっ
        ご自身のペースで面白いSSを書いてくださいね!いつも更新を楽しみにしてますb

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