――リゼの部屋――
ここあ「りぜちゃん、『ようい』できたよ♪」
リゼ「リュックがパンパンだな、どれどれ」
リゼ「絵本とゲームと充電器と、ワイルドギース……他に忘れ物はないか?」
ここあ「うん!」
リゼ「ハンカチとティッシュは?」
ここあ「ちゃんともったよ」エッヘン
リゼ「えらいぞ」ナデナデ
使用人「お嬢、こちらも準備できました」
リゼ「歯ブラシにパジャマ、下着の替えとかも大丈夫か?」
使用人「へい、準備万全です」
ここあ「ちやちゃんまだかな」ワクワク
リゼ「今日から1週間か……長いな」ハァ
使用人(お嬢のほうが辛そうだ……)
――――――――――――――
――昨日 夕方――
リゼ「――ということなんだ」tell
千夜『そう、1週間も』
リゼ「さすがに一人で残しておくのは心配でな」
千夜『わたしのほうはもちろん大歓迎だけど……ここあちゃんには話したの?』
リゼ「いや、まだ」
千夜『ここあちゃんの気持ちを優先してあげて』
リゼ「わかった、いつもすまないな」
千夜『ふふっ、朗報待ってるわ』
リゼ「また折り返し電話する」
プチッ
リゼ「……さて」
――――――――――――――――
ガチャッ
リゼ「ここあ、ちょっといいか?」
ここあ「んーまって~」ポチポチ
リゼ「ゲームしてたのか」
ここあ「りぜちゃん、この『てき』たおして?」
リゼ「倒してあげるからいったんポーズしようか」
ここあ「んっ」ポチッ
リゼ「先に大事な話があるんだ、聞いてくれるか?」
ここあ「だいじなおはなし?」
リゼ「まずはここに座ってくれ」ベッド ポスッ
ここあ「ううん――えいっ♪」ポスッ
リゼ「!」
ここあ「べっどよりも、りぜちゃんのおひざがいい」ニコッ
リゼ「ふふ、甘えんぼうだなここあは」クスッ
ここあ「おはなしってなあに?」
リゼ「ああ、実は今日学校の子たちに頼まれてな。明日から1週間部活の合宿でお泊りしなきゃいけないんだ」
ここあ「おとまり?わたしもいきたい!」
リゼ「学校の用事だから、ここあは連れていけないんだよ」
ここあ「おるすばん?りぜちゃん、しばらくかえってこないの……?」
リゼ「そうだな。7日間、わたしがいなくてもいい子にしててくれるか?」
ここあ「……うん」
ここあ「…………」シュン
リゼ「っ……ごめんな。その代わり、ここあは千夜のところに合宿だ」
ここあ「ちやちゃんのおうち……?あまうさあん?」
リゼ「ああ、わたしがいないあいだお泊りしておいで」
ここあ「!」
リゼ「ひとりぼっちじゃないぞ、千夜がずっと一緒にいてくれる」
ここあ「ちやちゃんとすきなだけあそべる!?」キラキラ
リゼ「もちろんだ。いい子にしてたら、シャロもチノもゆうしゃさんも遊びに来てくれると言ってたぞ」
ここあ「……!」
リゼ「どうだ、1週間千夜の家にお泊りするか?」
ここあ「おとまりする!ちやちゃんのところでおるすばん!」
リゼ「そうか、なら明日の朝一緒に準備しよう」
ここあ「わーい♪」キャッキャッ
リゼ「おはなしおしまいだ。言うこと聞いてくれてありがとうな」ナデナデ
ここあ「んっ……」
リゼ「さて、ゲームの続きをするか。あんな敵くらいわたしがノーダメージで――」
――ギュッ
リゼ「……ここあ?」
ここあ「もうすこしだけ……」
ここあ「あしたから、りぜちゃんとあえなくなっちゃうから……」キュッ
リゼ「ここあ……」
ここあ「げーむよりも、りぜちゃんだいじ」ニコッ
リゼ「……っ」ギュッ
ここあ「ちゃんとかえってきてね」スリスリ
リゼ「ああ……終わったら、すぐ迎えにいくよ」
――
――――
――――――
―――――――――――――――
千夜「ここあちゃんリゼちゃん、お待たせ」ヒョコ
ここあ「ちやちゃん!」
リゼ「千夜、すまないな。ここあのことよろしく頼むよ」
千夜「任せて、この1週間でここあちゃんに甘兎庵魂をみっちり叩き込んで見せるわ」ガシッ
リゼ「いや、普通に相手してくれるだけでいい」
使用人「なにかありましたらこちらに。いつでも駆け付けますので」スッ
千夜「あら、ご丁寧に」
使用人「この子のこと、どうかよろしくお願いします」ペコッ
千夜「ふふっ、使用人さんもここあちゃんのこと大好きなんですね」
使用人「えっ!あ……いえ、その……」
ここあ「わたしもゆうしゃさんだいすきだよ」ダキッ
使用人「あ……ありがとうごぜぇやす……//」デレデレ
千夜(みんなここあちゃんにデレデレね)ニコニコ
千夜「それじゃあリゼちゃんをお見送りしましょうか」
リゼ「ここあ、千夜の家でちゃんといい子にするんだぞ?」
ここあ「うん!いいこにしてる」
リゼ「お菓子やおやつ、食べ過ぎちゃだめだぞ?」
ここあ「むしばになるもんね」
リゼ「食べ物の好き嫌いは?」
ここあ「きらいなものもがんばってたべる!」
リゼ「よし、おりこうさんだ」ナデナデ
ここあ「えへへ~」
千夜(いい教育してるわリゼちゃん)ニコニコ
使用人「では、そろそろ……」
ここあ「あっ、まって!わすれもの」タタタ
リゼ「?」
ここあ「これももっていく」
使用人「お嬢とのツーショット写真、ですか?」
ここあ「りぜちゃんにあいたくなったら、これをみてがまんするね」
リゼ「!」
ここあ「さびしくなったら、しゃしんのりぜちゃんとおはなしするの」
リゼ「……!」
千夜「まぁ……♪」
ここあ「ゆうしゃさん、ぜったいあそびにきてね?」
ゆうしゃ「ええ、必ず」
ここあ「ちやちゃん、7にちかんよろしくおねがいします」
千夜「こちらこそ。頼りにしてるわ、ココアちゃん」
ここあ「りぜちゃん……」
リゼ「……ここあ」
――ポスッ
リゼ「!」
ここあ「――いってらっしゃい」ニコッ
リゼ「っ……ここあ、ここあぁ!」ダキッ
ここあ「きゃっ……」
リゼ「もう我慢できん!1週間分モフモフさせてくれ!」
リゼ「可愛いなぁここあは!どうしてそんなに可愛いんだお前は!」スリスリ
ここあ「りぜちゃんくすぐったいよぉ」クスッ
リゼ「1週間もここあと会えないなんて……離ればなれになるの寂しいぞ……っ」ギュッ
リゼ「ここあ、寂しくなったらすぐに電話してくるんだぞ?してくれないとわたしからするぞ」
リゼ「メールでもいい、寝る前に一日なにがあったかだけでも教えてくれよ」
ここあ「うん♪りぜちゃんにほうこくするね」
リゼ「約束だぞ、連絡が来るまで寝ないからな」
イチャイチャ ワイワイ
千夜「リゼちゃん、ずっと我慢してたのね」クスッ
使用人「ええ、といいますかむしろお嬢のほうが……」チラッ
千夜「……リゼちゃんのカバンもパンパン」
使用人「あの子の寝間着が一つ無くなってました、あとお絵描き帳も」
千夜「リゼちゃんのほうは出かける前から既にココアちゃんシックね」
リゼ「千夜」
千夜「?」
リゼ「わたしは決めたぞ、ここあも一緒に連れていく」キリッ
千夜「リゼちゃん!?さすがにダメよ!」
使用人「お嬢、そろそろ行きましょう。抱っこしてますとますます名残惜しくなりますから早くその子をこちらに……」
リゼ「お前までわたしとここあを引き裂くつもりか!?」フーッ
使用人「こうなった原因はお嬢でしょう!?」
リゼ父「おいなんだ、朝っぱらから騒がしい……」フアァ
ここあ「あっ、おとうさんだ!おとうさーん!」ブンブン
使用人(さらにドロ沼になりそうな人が!)
リゼ父「おっ、お前も起きてたのか。早起きだな」ニヤッ
ここあ「いまからでかけるの」
リゼ父「みんなで散歩か?いいな、俺も一緒に――」
ここあ「ううん、7にちかん『ちやちゃん』のおうちにおとまりだよ」
リゼ父「え」
ここあ「りぜちゃんが『がっしゅく』で7にちかんおとまりだから」
リゼ父「」
リゼ「ここあ!ダメだ、しっ……」
リゼ父「……お泊り……だと?しかも7日……1週間」
使用人「あの、我々やお嬢が秘密にしていたのは決して隠ぺいなどではなく……」アセアセ
千夜「お父さんを悲しませないようによね」ニコッ
リゼ父「……さん」
リゼ「へ?」
リゼ父「ぜっっったいに許さんぞっ!」
リゼ「ひっ!?」
リゼ父「俺の娘たちっ!!」ガバッ
ここあ「わわっ」
リゼ父「どこにも行かないでくれぇ!1週間も俺を一人にしないでくれ!」
リゼ「や、やめろ親父!というか親父はいつも部屋で一人だろ!」
リゼ父「お前たちの声が聴こえなくなるじゃないか!天井越しに少し聴こえてくるのが最高なんだ!」
リゼ「聞き耳立てて変〇か!帰ったら使用人に言って防音にしてもらわないと」
リゼ父「離さんぞ!お前たち二人が残るというまで俺は絶対に離さん!」
ここあ「おとうさんあまえんぼう♪」キャッキャッ
使用人「おやめください!というか早くしないと遅刻しますから!」ガシッ
リゼ父「放せっ!応援呼ぶぞ!?タカヒロー!」
千夜(リゼちゃんのおうち、幸せいっぱいね)ポワン
使用人「お嬢、ここは食い止めますからお行きください!どうかお気をつけて!」
リゼ「ああ、すまない!」ダダッ
ここあ「ゆうしゃさんありがとう!おとうさん、またね~!」ブンブン
千夜「また近いうちに連れてきます」ニコッ
リゼ父「待ってくれ!俺の娘が誘拐されたー!」
使用人「暴れないでくだせぇ!腕がちぎれる……!」
―――――――――――――――――――
――甘兎庵――
ここあ「おとうさんだいじょうぶかな」
千夜「ずいぶん取り乱してたわ。きっとリゼちゃんとここあちゃんがいなくなって寂しいのよね、また遊びに行ってあげましょう」
ここあ「うん!おとうさんといっしょにあそぶ♪」
ここあ「かたぐるまして、たかいたかいしてもらうの」
千夜(リゼちゃんのお父さんがデレデレになっちゃう気持ち、わかるわ)ナデナデ
ここあ「ちやちゃんのおばあちゃんは?おばあちゃーん!」タタタ
千夜「おばあちゃんならいま台所に……」
お婆「呼んだかい?」ヒョイ
ここあ「おばあちゃん、こんにちは」
お婆「あんたかい、久しぶりだね」
ここあ「きょうから7にちかん、よろしくおねがいします」ペコリ
お婆「ふん、悪さしたら承知しないよ」
ここあ「えっと……」ガサゴソ
ここあ「おばあちゃん、これあげる」スッ
お婆「ん、なんだいこれ?」
ここあ「おとまりのおれいの『くっきー』だよ、きのうのよるりぜちゃんといっしょにつくったの」
ここあ「おばあちゃんもたべやすいように、ふわふわでやわらかくしたよ」ニコッ
お婆「…………」
ここあ「おばあちゃん?」
お婆「……千夜、今日は休業だ。玄関先だけ掃除してきな」
千夜「えっ?でも……」
お婆「気分が乗らないんだ。まったく、朝からこそばゆい気持ちにさせるんじゃないよ」
お婆「片結びの小さいの、あんたのことだ」
ここあ「わたし?」
お婆「これ、しょうがないから貰っておくよ。ありがとう」
ここあ「……!」パアァ
お婆「お昼ごはん何がたべたい?お返しにどこにでも連れて行ってあげるよ」
ここあ「ううん、おばあちゃんのりょうりがいい」
お婆「ふん、小さいくせに味覚の方は馬鹿じゃないみたいだね。ならとっておきのやつを作ってやるか」
ここあ「おばあちゃんのにくじゃが!?」
お婆「ああ、2度も食べられてあんたは幸せもんだよ」
ここあ「わーい!」ピョンピョン
お婆「千夜、それまで遊んであげな。泣かしたりしたら承知しないよ」
千夜「ふふっ……わかった」クスッ
千夜「ここあちゃん、行きましょう?」
ここあ「おばあちゃんもあとでいっしょにあそぼうね」
お婆「馬鹿言うんじゃないよ、そんな暇も元気もあるかい」
ここあ「……だめ?」
お婆「……用事が終わってからだよ」
ここあ「!……うん!」
お婆「ほら、さっさといきな」
千夜「うちのおばあちゃんまでデレデレにしちゃうなんて、ここあちゃんすごいわ」ヒョイ
ここあ「であって3びょうでみんなともだちだよ」ニコッ
千夜「ここあちゃんは天使ね」ギュッ
ここあ「ちやちゃんもふもふ♪」
――――――――――――――――――――――
千夜「おさるさんは青いカキの実を投げつけました」
千夜「青い実でも食べていなさい!そりゃあ!どりゃあ!」
ここあ「ちやちゃんおもしろい」キャッキャッ
千夜「かにさんは飛んできた木の実を華麗な動きで避けます」
千夜「ふっ、止まってみえるぜ。俺はこんな程度では当たらんぞ」
千夜「かにさんは二匹に分身しました」
ここあ「それで、それで?」ワクワク
千夜「しかしおさるさんも負けていません、今度は必殺の3連続カキの実投げです」
千夜「うおりゃー!ビュッ!シュッ!シュバ!」
ここあ「すごい勝負だね!」
千夜「すると、最後にはカニの分身がやられ――」
――ガラッ
シャロ「なにさっきからデタラメ読んでるのよ」
千夜「あらシャロちゃん、いらっしゃい」
ここあ「しゃろちゃんだ!しゃろちゃーん」タタタ
シャロ「ここあ、久しぶりね」ナデナデ
ここあ「いま『ちやちゃん』にえほんよんでもらってたんだよ」
シャロ「ちなみにいまのって?」
千夜「小さい頃に二人で読んだでしょ?さるかに合戦よ」
シャロ「原型ほとんど無いじゃない!なによ分身って!」
千夜「時代は刻一刻と流れていくんだから、昔話もかわらなきゃって」
シャロ「ここあ、前も言ったでしょ?千夜の言うことは全部デタラメだから信じちゃいけないのよ」
ここあ「でたらめ?ちやちゃんうそつきさん?」
千夜「ひどいわシャロちゃん、わたしは冗談は言うけど嘘なんていったことないわよ」
シャロ「同じじゃない!ウサギの鳴き声の件まだ忘れてないわよ!」
千夜「♪」テヘペロ
ここあ「しゃろちゃんもいっしょにあそぼっ」
シャロ「いいわよ、3時ごろまでなら」
ここあ「わーい!」
シャロ「なにして遊ぶの?」
千夜「そうねぇ……」
ここあ「うーん……あっ!」
千夜「そうだわ!」
ここ千夜「――ちゃんばらごっこ!」
シャロ「それだけはいやぁ!!」←以前5時間近くも悪者役
―――――――――――――――――
――夕方――
ここあ「ちやちゃん、どう?」
千夜「かなり手ごわいわ、強敵ね」ピコピコ
千夜「――ああっ……!」
ここあ「ちやちゃんもやられちゃった?」
千夜「ごめんなさいここあちゃん、あともう少しだったんだけど」
ここあ「つよいね、しゃろちゃんならたおせるかな?」
千夜「どうかしら、わたしもシャロちゃんもゲームはあまりやったことなくて」
ここあ「でも、りぜちゃんは2だめーじで『かてる』っていってたよ?」
千夜(リゼちゃんって意外とゲーマーなのね)
ここあ「もういっかいやってみる!かったらでんわでりぜちゃんにおしえてあげるの」
千夜「いいわね、きっとリゼちゃん褒めてくれるわ。二人で頑張りましょう」
ここあ「うん!」ニコッ
千夜「」チラッ
千夜(そろそろ夕飯の支度ね、おばあちゃんは出かけてるみたいだし)
千夜「ここあちゃん、わたしこれからご飯の準備だけどここあちゃんはどうする?」
ここあ「おりょうり?わたしもてつだう」
千夜「助かるわ。それじゃあ手を洗って準備しましょうか」
ここあ「ちゃんと『えぷろん』もってきたよ~」ガサゴソ
千夜(ここあちゃんでも手伝えるもの……刃物はダメだし、今夜は揚げ物かしら)
ここあ「これね、りぜちゃんにかってもらったの」
千夜「メイド服!?リゼちゃんなに買ってるの!?」
ここあ「?」
――――――――――――――――――
――夜 洗面所――
千夜「ここあちゃんの髪はサラサラね」ドライヤー
ここあ「んっ……♪」
千夜「はい、オッケーよ」
ここあ「ちやちゃんありがとう」
千夜「先にお部屋で待ってて、あとでリゼちゃんに電話かけましょう」
ここあ「りぜちゃんにでんわ!?かけたいっ!」ピョンピョン
千夜「時間的にまだもう少しだと思うわ、それまでお部屋でいい子にしてましょう」
ここあ「うん!」タタタ
千夜「ふふっ……――あら?」
Prrrrrrrrrrrrr――
千夜(リゼちゃんからだわ)
千夜「もしもしリゼちゃん?」
リゼ「千夜、いま時間大丈夫か?」
千夜「ええ、ついさっきここあちゃんとお風呂に入ったところよ。リゼちゃんの方はもう就寝なの?」
リゼ「いや、いまはレクリエーションタイムだ。良く分からないが盛り上がってるらしい」
千夜「らしい?」キョトン
リゼ「ああ、わたしは参加してない」
千夜「どうして?リゼちゃんそういう催し事とか好きじゃなかったかしら?」
リゼ「ははっ、分かりきったことを聞くな千夜」
リゼ「ここあに関係する時間とレクリエーション、どっちが大切かなんて明白だろう」フンス
千夜「」
リゼ「わたしはレクリエーションよりも何よりもココアが大事だ、それくらい千夜もわかってるだろ?」
千夜「そ、そうね」
リゼ「ついさっきまでここあのことを考えていると身体が震えてきてな、危うく失神するところだった」
千夜「初日目からここあちゃんシック!?というかそれもはや病気よリゼちゃん!」
リゼ「それより千夜、早くここあのことを教えてくれ。そのためだけに今日一日頑張ったんだからな」ワクワク
千夜(本末転倒よね、それ……)
リゼ「ここあの様子はどうだ?」
千夜「ええ、いつも通りの優しくて可愛いここあちゃんよ、うちのおばあちゃんまで思わずデレデレになってた」
リゼ「迷惑かけてないか?好き嫌いとか……」
千夜「大丈夫よ、夕飯のお野菜もちゃんと全部食べてたわ」
リゼ「そうか、良かった……」ホッ
千夜「準備もお片付けも手伝ってくれたのよ。おばあちゃんが素直に人を褒めてるところ、初めて見た」
リゼ「なんだかわたしまで嬉しいな」クスッ
千夜「これもリゼちゃんのしつけの賜物ね」
リゼ「かわいそうだけど厳しくするところはしないとな。ここあのためにも」
千夜「普段はあんなに溺愛してるのに、優しさと甘さの線引きはしっかりしてる……リゼちゃんはほんと、良い教官になるわ」
リゼ「……ありがとう//」ポリポリ
千夜「それにしてもここあちゃん、ほんとに可愛いわね」
リゼ「そうだろ?」
千夜「このまま甘兎庵に頂いちゃおうかしら」
リゼ「!?」
千夜「リゼちゃんがいない間に荷物もお引越しして――」
リゼ「だ、ダメだっ!いくら千夜でも許さないぞ!」
千夜「わかってるわ、冗談よ」クスッ
リゼ「まったく……」
千夜「そんなことしたらリゼちゃんにハチの巣にされちゃうもの」
リゼ「いや、そこまではしないが」
千夜「それに――」
ここあ「ちやちゃーん。あっ、でんわちゅう……?」サッ
千夜「リゼちゃんから電話よ」ニコッ
ここあ「りぜちゃんっ!?かわって、かわって!」ピョンピョン
千夜「ここあちゃんは、絶対リゼちゃんの側から離れたりしないわ」
リゼ「千夜……」
千夜「はい、ここあちゃん」スッ
ここあ「りぜちゃん、きこえる?」
リゼ「聞こえるぞ。ここあ、遅くなってごめんな」
ここあ「ううん、おつかれさま」
リゼ「千夜から聞いたぞ、今日はちゃんといい子にしてたんだって?」
ここあ「にがてな『ほうれんそう』も食べたよ」
リゼ「おりこうさんだな、帰ったらご褒美にたくさんナデナデだ」
ここあ「リゼちゃんのナデナデ……えへへ//」ニヘラ
リゼ「ここあ……っ!くっ、余計に症状がひどくなりそうだ。このパジャマが無かったら完全にアウトだったな……」ギュッ スンスン
ここあ「ぱじゃま?」
リゼ「いや、なんでもないぞ」
リゼ「ココア、今日のことたくさんお話してくれるか?」
ここあ「うん!あのね、きょうはちやちゃんとおばあちゃんとあそんで、それからしゃろちゃんと――」
リゼ「ふふっ、そうか」クスッ
千夜(ここあちゃん、今日一番の笑顔ね♪)
ここあ「あとね、おひるごはんの『にくじゃが』が――」
―――――――――――――――――――――
千夜「」チラッ
千夜「ここあちゃん、そろそろねましょうか」
ここあ「りぜちゃんともうちょっとおはなしだめ?」
千夜「続きは明日にしましょう、楽しみは取っておいたほうが良いわ」
リゼ「そうだな、9時半だしそろそろ寝るか」
ここあ「りぜちゃん、あしたもでんわしてくれる?」
リゼ「もちろん、明日もお話たくさん聞かせてくれよ」
ここあ「ぁ……!うん!」
リゼ「千夜に代わってくれるか?おやすみ、ここあ」
ここあ「りぜちゃん、おやすみなさい」
千夜「リゼちゃん、大丈夫?」
リゼ「ああ、ここあと話したおかげで今日の疲れが吹き飛んだよ」
千夜「あら、ここあちゃんだけ?」クスッ
リゼ「千夜もだよ、声が聞けて安心した」
千夜「やっぱり一人だと寂しい?」
リゼ「まぁな、でもこうして繋がっているから平気だ」
千夜「早く帰って来てね、リゼちゃん」
リゼ「ああ、あと6日間頑張るよ」
千夜「それじゃあおやすみなさい――あっ、そうだわ、リゼちゃんに聞いておきたいことがあったの」
リゼ「んっ、なんだ?」
千夜「ここあちゃんのメイド服って、あれってリゼちゃんの趣味――」
リゼ「さて寝るか!おやすみ千夜!」ガチャッ
ツー ツー
千夜「…………」
千夜「」
ここあ「あっ、そうだ。ちやちゃーん!」
――――――――――――――――――――
――ラビットハウス――
リゼ父「うっ……う……」グスグス
タカヒロ「これは俺からのサービスだ」コトッ
リゼ父「」ゴクゴク
リゼ父「もう一杯くれ」
タカヒロ「いつになく厚かましいな」
リゼ父「ならその辺のボトル全部注文だ、ここに並べておいてくれ」トントン
タカヒロ「泣き酒にやけ酒か、やれやれ」
リゼ「俺の娘たちが……うぅ」
タカヒロ「気持ちはわかるが、たかが1週間の辛抱だろう」
リゼ父「1週間もむさ苦しい使用人たちしかいない家で過ごさなければならない俺の気持ちがお前にわかるか!」
タカヒロ「メイドさんがいるだろう……」
リゼ父「いいから放っておいてくれ、どうせ俺なんて」グビグビ
――prrrrrrrrrrr
タカヒロ「電話だぞ」
リゼ父「どうせ使用人からだ、放っておけ」
タカヒロ「いや、登録してない番号だ」
リゼ父「なら間違い電話かなにかだ、いずれにせよロクなもんじゃない」
タカヒロ「……ほら」ポチッ
リゼ父「タカヒロ……チッ」
リゼ父「もしもし?」
ここあ「もしもしおとうさん?わたしだよー」
リゼ父「……!お父さん……この声……お前、まさか!」
千夜「ここあちゃんがかけたいって言うから使用人さんに連絡して電話番号を聞いたんです、繋がって良かった」
ここあ「おとうさんだいじょうぶ?もうないてない?」
リゼ父「……お前」ジワッ
ここあ「またおうちにかえるからまってて、こんどはいっしょにおさんぽいこうね」
リゼ父「ああ……待ってるぞ」
ここあ「おとうさん、げんきでた?」
リゼ父「お前のおかげでな」ニヤッ
ここあ「わーい!」
リゼ父「もう10時だぞ、良い子はそろそろ寝ろ」
ここあ「うん!じゃあねおとうさん、おやすみなさい」
リゼ父「おやすみ」ポチッ
リゼ父「………………」
タカヒロ「ここあくんからか、良かったな」
リゼ父「タカヒロ、お前も好きなだけ飲め。今日は全部俺の奢りだ」
タカヒロ「もう飲んでる」ゴクゴク
リゼ父「どうだ、俺の娘は最高だろう?」ドヤッ
タカヒロ「いいや、ここあくんは俺の娘だ」フッ
リゼ父「ああん?お前、何寝ぼけてるんだ?」
タカヒロ「お前こそ、もう酔ったのか?」
リゼ父「あの子は俺の家に住んでるんだぞ!?」
タカヒロ「ここあくんはラビットハウスの家族だ」
リゼ父「俺の娘だ!」ドンッ!
タカヒロ「俺のだ!」カッ!
※どちらの娘でもありません。
感想
純粋にホッコリとできるSSでした(^^)…簡素な感想(唐突)
続編も楽しみなのです。
次回と、そのまた次回の3部作となる予定です。
どうぞ最後までお付き合いください♪
は~癒されました!前作から続けて読んだので、その度合いも大きいです
(千夜ちゃんがどっかで豹変するのではと無意識に思ってました 笑
間をおいて読まなきゃだめですね!)
癒し系リゼパパ最高です!東地さんの声で再生すると余計に面白いw
おばあさんは、本当にあんな風に話しそうです。
リゼちゃん、メイド服買ったり、パジャマ持って行ったり、どうも
ここあちゃん愛が危険な領域に入ってきてるような…。
このまま続きを読みます!楽しみです♪
前作と今作は対極ですからね;
できれば時間を空けてしまうか、いっそのことすぐに切り替えてしまうのが良いかと。
連読、お疲れ様です。
本シリーズのリゼちゃんのここあちゃん愛は回を重ねるごとに増幅している気がします。
そして、リゼパパの娘愛もさらに暴走していくのでしょう。
(執筆者ながらこの先いったいどうなるのでしょうか、見当もつきません)
実はリゼちゃん、メイド服以上に危ないここあちゃん用のコスプレ服を隠している可能性も……ゴニョゴニョ
描く時が今から楽しみです。
お久しぶりです。Beyondです。
このお話はまだリゼのここあ愛が(今に比べれば)まだまだだな~なんて思ってしまいますが、当時からすでにここあシックが重かったんですね!!
リゼと合宿してる生徒たちも「なんかリゼ先輩そっとしといたほうがいいよ…。」なんて言ってたのではないのでしょうか。(笑)
それにしてもこのお話は起承転結がしっかり成り立っていて、すっきり読みやすいですね!何か、30分アニメを見た後の感覚がしますね。
懐かしい作品です。
この時はまさかこのシリーズがこんなに長編になるとは思ってもいませんでした。