ごちうさSS リゼ「悪い子な千夜」

 

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「………………」

 

千夜「すぅ……すぅ……」Zzz

 

リゼ「………………」

 

千夜「ん…………」Zzz

 

リゼ「………………」

 

リゼ「」

 

 

リゼ(どうしよう、帰ってきたらなぜか千夜がわたしのベッドで寝てる……)

 

 

リゼ「……………………」

 

リゼ(いくら考えても埒が明かないか)

 

リゼ「おい、千夜」ポンッ

 

千夜「むにゃ…………」Zzz

 

リゼ「………………」

 

リゼ「千夜、起きろ」ツンッ

 

千夜「ん……にぅ……」Zzz

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「ふぁ……ぇへへ……」Zzz

 

リゼ(かわいい……)

 

リゼ(しょうがない、起きるまでそっとしておいてやるか)

 

リゼ(ベッドにダイブできなかったのがある意味幸いだ、今のうちに課題を終わらそう)

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「ふぇ…………」Zzz

 

リゼ(無防備だな……)クスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

千夜「…んっ………」パチッ

 

千夜「……あれ、ここは……?」ポワポワ

 

リゼ「おっ、千夜、起きたか」

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

リゼ「おはよう、もう7時だけど」

 

千夜「どうしてリゼちゃんがウチに……?」

 

リゼ「寝ぼけてるのか?ここはわたしの部屋だぞ」

 

千夜「リゼちゃんの部屋……?」ポワポワ

 

リゼ「まずは顔でも洗うか?」

 

千夜「ん……」コクリ

 

リゼ「ほら、立てるか?」

 

千夜「リゼちゃん、おんぶして……」

 

リゼ「おんぶ?しょうがないな、ほら」

 

千夜「えへへ、やったわぁ……」ポスッ

 

リゼ(寝ぼけてココアみたいになってる……)

 

千夜「リゼちゃん、ゴ~……」

 

リゼ「すぐに着くから寝るなよー」

 

千夜「はーい……」Zzz

 

リゼ(言ってるそばから……やれやれ)

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

千夜「ごめんなさいね、寝ぼけちゃってつい」

 

リゼ「かまわないぞ別に。ところでどうしたんだ?」

 

千夜「?」キョトン

 

リゼ「いや、なにか用があって来たんだろ」

 

千夜「用……うーん、なんだったかしら」

 

リゼ「おいおい、まだ寝ぼけてるのか」

 

千夜「リゼちゃんのお部屋のベッドで寝たくなっちゃったのか、それとも急にリゼちゃんに会いたくなっちゃったのか」

 

リゼ「ははっ、ずいぶんぶっ飛んだ理由だな」

 

千夜「なんて、半分は冗談よ」

 

リゼ「えっ?」

 

千夜「リゼちゃんに会いたくなっちゃったのは、ほんと」

 

リゼ「!」

 

千夜「ベッドで寝たふりをして待っているつもりが、いつの間にか寝ちゃったみたい」クスッ

 

リゼ「……そうか」

 

千夜「ごめんなさい、断りもなくいきなり」

 

リゼ「いや、いいんだぞ。千夜と会えて嬉しいし」

 

千夜「迷惑じゃない?」

 

リゼ「ないよ、むしろ疲れが楽になった」

 

千夜「……そう」ホッ

 

リゼ「?」

 

千夜「良かった、リゼちゃんは嘘つかないから」

 

リゼ「こっちこそ悪かったな、せっかく待ってくれてたのに」

 

千夜「ううん、勝手に来たのはわたしのほうだから。それにここに着いたの、確か5時半くらいだったし」

 

リゼ「わたしが帰ってくる30分前くらいか」

 

千夜「ベッドで横になって、すぐに寝ちゃったみたいね」

 

リゼ「これからは事前に連絡してくれれば早めに帰ってくるぞ」

 

千夜「……うん」

 

千夜「……だから、黙って来たんだけど」ボソッ

 

リゼ「んっ?」

 

千夜「でも、こうして何も言わないで来るのはもっと不躾よね……」

 

リゼ「どうしたんだ?」

 

千夜「ううん……リゼちゃんって、本当に意地悪だと思って」ニコッ

 

リゼ「意地悪……?すまない、わたしなにかしたか?」

 

千夜「何もしてないわ。ただ、リゼちゃんがあまりに優しいだけ」クスッ

 

リゼ「……?」

 

千夜「もう少し、そばに寄ってもいい?」

 

リゼ「あっ、ああ」

 

千夜「…………」ススッ

 

リゼ「………………」

 

千夜「……えい」ポスッ

 

リゼ「おっと……」

 

千夜「ふふっ」ニコッ

 

リゼ「……千夜って、子供っぽいのか大人なのかわからないよな」

 

千夜「そうかしら?」

 

リゼ「時々、どう接してあげたらいいか分からなくなる」

 

千夜「普段通りでいいわ、その方が嬉しい」

 

リゼ「そうか……千夜がそれでいいなら」

 

千夜「………………」

 

リゼ「………………」

 

千夜「なんだか、こうしてると安心するわ」

 

リゼ「……学校で、なにかあったのか?」

 

千夜「ううん、なにも」

 

リゼ「そうか……何かあったら言えよ。千夜はすぐに一人で抱え込むから」

 

千夜「それを言うならリゼちゃんもね」

 

リゼ「わたしは――……わたしのことはいいんだ」ワシャワシャ

 

千夜「きゃっ……」

 

リゼ「あ、すまない、ココアにやるノリでつい……」

 

千夜「ううん……いいわこれ、なんだか新鮮」

 

千夜「リゼちゃん、もう一回やって?」

 

リゼ「んっ、こうか?」ワシャワシャ

 

千夜「ひゃっ……♪」

 

千夜「リゼちゃん……もっと」

 

リゼ「あんまりやって髪が痛んだりしたら大変だ、あと1回だけな」

 

千夜「」ウズウズ

 

リゼ「よっと」ワシャワシャ

 

千夜「きゃっ……ふふっ//」ニコッ

 

リゼ(かわいい……)

 

千夜「満足したわ、ありがとうリゼちゃん」

 

リゼ「もっとやってもいいけど、千夜の綺麗な髪が痛みそうだしな」

 

千夜「それなら、代わりにもうひとつだけ、いいかしら」

 

リゼ「ああ、なんだ?」

 

千夜「えっと――あったわ、これ」スッ

 

リゼ「……耳かき?」

 

千夜「♪」ニコッ

 

 

 

リゼ「………………」

 

千夜「リゼちゃんの耳綺麗ね、何もないわ」

 

リゼ「………………」

 

千夜「最後は梵天で……」コチョコチョ

 

リゼ「ん………」

 

千夜「仕上げは……」

 

千夜「」フッ!

 

リゼ「ひゃっ……!」

 

千夜「はい、次は反対側しましょうね」

 

リゼ「……なぁ、千夜?//

 

千夜「ん?」

 

リゼ「どう考えても逆じゃないか……どうしてお前がする方なんだよ//

 

千夜「あら、ダメ?」

 

リゼ「いや……ただその……//

 

千夜「わがまま聞いてくれるんでしょ?」

 

リゼ「あれはわたしがする方だとばかり……!」

 

千夜「ほらリゼちゃん、おいで♪」ポンポン

 

リゼ「うっ……っ~~!//」ポスッ

 

千夜「よしよし、良い子ね」ナデナデ

 

リゼ「撫でるな!いいから早くやってくれ//

 

千夜「反対の耳は敏感になってるから、痛かったらすぐに言ってね」

 

リゼ「……ああ//

 

千夜「…………」

 

リゼ「っ……」ビクッ

 

千夜「あっ……大丈夫?痛かった?」

 

リゼ「いや……平気だ」

 

千夜「そう、強い子ねリゼちゃんは」

 

千夜「もう少しで終わるから、頑張りましょう」ナデナデ

 

リゼ「……千夜、わたしのこと子ども扱いしてないか?」

 

千夜「ごめんなさい、こうしてるとつい」クスッ

 

リゼ「…………」

 

千夜「イヤだった?あと少しだから我慢してね」

 

リゼ「……嫌じゃ、ない」

 

千夜「え……」

 

リゼ「たまには、いいかもしれない……//」プイッ

 

千夜「……リゼちゃん」

 

リゼ「そ、その代わり!二人きりの時だけだぞ!あとココアたちには内緒だからな!//

 

千夜「……ええ」クスッ

 

千夜「リゼちゃんとわたし、二人だけの秘密」

 

リゼ「…………//

 

千夜「よし……――フッ!

 

リゼ「ひゃあ!//

 

千夜「おしまいよ。よく頑張ったわね」ナデナデ

 

リゼ「……っ//

 

千夜「リゼちゃん、良い子良い子♪」ナデナデ

 

リゼ「……千夜」

 

――グイッ

 

千夜「きゃっ……」

 

――ポスッ

 

千夜「リゼちゃん?」

 

リゼ「次はわたしの番だ。ほら、右側向け」

 

千夜「お返ししてくれるの?」

 

リゼ「ああ、やられっぱなしは癪だからな」

 

千夜「……そう」

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

千夜「ううん。やっぱり、リゼちゃん優しいと思って」

 

リゼ「これは復讐だ、勘違いするな//

 

千夜「……また、二人きりの時はしてくれる?」

 

リゼ「……ああ、千夜がしてほしいなら」

 

千夜「……逆は?」

 

リゼ「……千夜がしたいなら、考える//」プイッ

 

千夜「嬉しいわ、ありがとうリゼちゃん」ニコッ

 

リゼ「ほら、じっとしてろ」

 

千夜「んっ……」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「いいのか?明日は土曜日だし、泊って行ってもいいんだぞ?」

 

千夜「ううん、着替えもないし。それに」

 

リゼ「メール……シャロからか」

 

千夜「アルバイトから帰ったらいないから、心配してくれたみたい」

 

リゼ「やっぱり幼馴染だな。なら早く帰ってあげないと」

 

千夜「うん……」

 

千夜「ありがとうリゼちゃん、今日は楽しかった」

 

リゼ「せっかく会いに来てくれたのに、大したおもてなしもできなくて悪かったな」

 

千夜「そんなことないわ、会いに来てよかった」

 

リゼ「千夜さえよければ、またいつでも来てくれ」

 

千夜「これからは事前に連絡、入れたほうがいい?」

 

リゼ「……どうだろう。確かにその方が予定は合わせやすいけど」

 

千夜「…………」

 

リゼ「でも――こうしてサプライズで千夜に会うのも、悪くない」

 

千夜「……!」

 

リゼ「お前なりに、なんだか色々と複雑みたいだし」ポンッ

 

リゼ「好きなようにしてくれていいぞ」ナデナデ

 

千夜「……リゼちゃん」

 

リゼ「どんなカタチであれ、千夜と会えるのは嬉しいしな」

 

リゼ「二人きりの時なら、少しのワガママくらい聞いてあげられるし」

 

千夜「っ……」キュッ

 

リゼ「また遊びにこい、待ってる」ナデナデ

 

千夜「…………」

 

千夜「ねぇ、リゼちゃん」

 

リゼ「ん……?」

 

千夜「最後に、わがまま……聞いてもらっていいかしら?」

 

リゼ「……なんだ?」

 

千夜「……ギュって、してほしい」

 

リゼ「……お安い御用だ」ギュッ

 

千夜「!」

 

千夜「…………//

 

リゼ「千夜は、あったかいな……」

 

千夜「……ふふっ、リゼちゃん//」ギュッ

 

千夜「本当に優しいのね……誰だって勘違いしちゃうわ」

 

リゼ「勘違い?」

 

千夜「他人のわがままを迷惑だなんて、思ったことないでしょ」

 

リゼ「…………」

 

千夜「リゼちゃんに特別扱いしてもらえる子は、どんなに幸せなのかしら」

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「また、二人で遊びましょうね」スッ

 

リゼ「あ……」

 

千夜「ありがとう、さようなら」フリフリ

 

リゼ「っ……千夜、待ってくれ」

 

千夜「?」

 

リゼ「……今日、どうして会いに来てくれたんだ?」

 

千夜「さっき言った通りよ、急にリゼちゃんに会いたくなったから」

 

リゼ「でも……」

 

千夜「あとは……そうね」

 

千夜「――リゼちゃんのこと、困らせたかったのかも」ニコッ

 

リゼ「!」

 

千夜「ふふっ、ごめんなさい」

 

リゼ「…………」

 

千夜「またね、リゼちゃん」

 

リゼ「……千夜!」

 

千夜「!」

 

リゼ「ごめん……お前の気持ち、何も分かってあげられないけど……」

 

リゼ「でも、わたしなんかで良かったら、これからも好きなだけワガママ言ってくれ」

 

リゼ「千夜のワガママ、迷惑だなんて思わないから」

 

千夜「………………」

 

千夜「……違うわ、リゼちゃん」

 

千夜「反対。リゼちゃんだから、わがまま言うのよ」

 

リゼ「……!」

 

千夜「♪」フリフリ

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「…………」

 

リゼ「……」

 

リゼ「…………ふぅ」

 

リゼ「涼しいな……今夜は」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

千夜「あら……?」

 

シャロ「……」ムスッ

 

千夜「シャロちゃん、ただいま。こんなところにいたら風邪ひくわよ」

 

シャロ「こんな遅くまでどこに行ってたのよ?」

 

千夜「んー……そうね」

 

千夜「――悪い子になれる場所に、ちょっと」クスッ

 

シャロ「はぁ?意味わからないんだけど……」

 

千夜「後でゆっくり話すわ、まずはお風呂入りましょう」

 

シャロ「ったく、しょうがないわね……無事に帰ってきたからいいけど」

 

千夜「ありがとうシャロちゃん、いつも迷惑かけっぱなしね」

 

シャロ「んっ、別にそんなことないし……」

 

千夜「行きましょう」スッ

 

シャロ「うん」

 

千夜「♪~♪♪」

 

シャロ(嬉しそう……なにか良いことでもあったのかしら)

 

シャロ(ほんと、色んなことで心配性なのよね……千夜って)

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    あら可愛い
    最初に「する側」を選ぶところが千夜ちゃんらしいなぁ…
    シャロとかココアには見せないであろう自分を出してる千夜ちゃんが可愛かったです

    ムスッとするシャロちゃん良いっ‼

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      甘えん坊な千夜ちゃんも、包容力のある千夜ちゃんも最高に可愛いのです。それもリゼちゃんの前だけ、もう可愛くて卒倒します。
      そして受け入れてあげる優しいリゼちゃんも最高に可愛く……まさか千夜リゼブレンドがこれほど素晴らしいとは思いませんでした。

      ムスッとするシャロちゃん良いっ⇒わかるわっ!!クワッ
      こんなに細かい萌えポイントにまで気付いてくださる……あなたもしや、探偵!?

  2. 名有り より:

    ああ、千夜さんかわいぃぃぃぃ…(最近
    似たようなことしか言ってないような…?)
    普段は落ち着いてるけど、好きな人の前だと思いっきり甘えてくるの、凄くツボです!
    そしてもう一日過ぎましたけど、心愛ちゃん誕生日おめでとう♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      リゼちゃんの前だけこっそり甘えて、わがままを言う千夜ちゃん……もう描いていて、作家冥利に尽きます!
      シリーズ化して良かったです!これで可愛い千夜ちゃんをこれからもたくさん描けますので。

      ココアちゃんの誕生日、申し訳ありません。ツイッターの方のココアちゃんの誕生祭痛バで大忙しでして。
      非情に遅ればせながら必ずや誕生日SSも描きますので、ご期待くださいませ。

  3. Beyond the Average より:

    金曜は1週間の疲れがたまって無性に友達としゃべりたくなるんですよね~。疲れを忘れたいのでしょうか?
    だから千夜がリゼの家に行きたくなったのがわかります。リゼは、温かく寄り添うようにいてくれるから心が軽くなります!別に何も困ったことがなくてもただ会いたくなる。
    ただ千夜は本当に学校で何もなかったとは断定できないですね。最後に千夜は笑っていましたが読者としては油断できないです(笑)。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      千夜ちゃんのミステリアスと言いますか、友達想いで悩み事を何でも一人で抱え込んでしまう一面をテーマにしたのが本シリーズです。
      まだシリーズ化が決まっていない頃でしたが、この頃から千夜ちゃんの底を見せない雰囲気やリゼちゃんの寄り添っていく優しさ、シリーズの基盤は固まっていたように感じます。

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