――ラビットハウス――
リゼ「……………………」チラッ
ザー ザー
リゼ「……暇だな」
リゼ(雨だとさすがにお客さんも来ないか)
リゼ(この梅雨が明けたらすぐに夏が来るな……)
リゼ(――今年は、みんなとどこへ行こう)
リゼ「……えへへ」ニヘラ
リゼ(はっ……!いかんいかん、つい……)ブルブル
リゼ(……雨、やまないな)
リゼ(……早く夏にならないかな)
リゼ「しかし、こうも静かだと眠たくなってくるな。なぁココア」
シーン
リゼ「んっ?ココア――って……」
ココア「すぅ……すぅ…………」Zzz
リゼ(寝てる……どうりで静かだと思ったら)
リゼ(ついさっきまでクーラーの前ではしゃいでたのに、次はお昼寝か)
リゼ「まるで犬か猫だな」クスッ
リゼ「お前はどこでもすぐに眠れて羨ましいよ」ツンッ
ココア「んぅ…………」Zzz
リゼ「あっ、よく見たらそれわたしの制服じゃないか。こら、しわになるから枕にするな」グイッ
ココア「むにゃ……えへへ……」Zzz
リゼ「……!」
ココア「にぅ………ふふ……」Zzz
リゼ「…………」
リゼ「……仕方ないから貸しておいてやる」
リゼ「よだれたらすなよ」ナデナデ
ココア「ぇへへ…………」Zzz
リゼ(やれやれ、いつもこれくらい静かだとやりやすいんだけどな)
リゼ(……いや、それだとさすがにココアらしくないか)
ココア「すぅ……すぅ…………」Zzz
リゼ(それにしても、幸せそうな寝顔だ)
リゼ(なにか夢でも見てるのか)ナデナデ
ココア「んん……♪」
リゼ(髪の毛サラサラだ……ちゃんとお手入れしてるんだな)
リゼ(チノと同じトリートメントかな?今度聞いてみよう)
リゼ「このままだと風邪ひくよな……タオルケットでもかけておいてやるか、確かこの辺に……」ガサゴソ
リゼ「よっと」ファサ
ココア「ふぉぇ……?」
リゼ「っとすまない、起きたか?」
ココア「リゼちゃん……?」ポワポワ
リゼ「どうせお客さんも来ないし、まだ寝てていいぞ」ポンッ
ココア「ん……おやすみなさい……」
リゼ「ああ」ナデナデ
ココア「」Zzz
リゼ(チノが帰ってくるまであと1時間……このままココアでも撫でて時間を潰すか)
リゼ「……雨、止まないな」
―――――――――――――――――――――――――――――
――1時間後――
タカヒロ「失礼するよ」ガチャッ
リゼ「あっ、どうも」
タカヒロ「おや……リゼくんだけかい?」
リゼ「いえ、ココアは……」チラッ
ココア「」Zzz
タカヒロ「気持ちよさそうに寝ているね」
リゼ「すいません、起きたら注意しておきますんで」
タカヒロ「気にしなくていいよ」キラッ
タカヒロ「しかしこれだとさすがに起こすのは酷かな」
リゼ「どうかしたんですか?」
タカヒロ「どうやらチノが傘を忘れてしまったようでね、ティッピーは昨夜の飲みすぎでグロッキーだし、わたしは用事があるから手の空いているココア君に届けてもらえないかと思って」
リゼ「なるほど、それならわたしが行ってきます」
タカヒロ「ほんとかい?すまないねリゼくん、助かるよ」
リゼ「あっ、でもラビットハウスの店番は……」
タカヒロ「今日はお客さんも来ないだろうし、早めに片付けるとするよ」
リゼ「そうですか、では行ってきます」
タカヒロ「ああ、いってらっしゃい」キラッ
リゼ「――と、その前にやることがあった」
タカヒロ「?」
リゼ「ココア、起きろ」ペシッ
ココア「むにゃ……」
リゼ「じっとしてろよ。よっと……」ヒョイ
タカヒロ「!」
リゼ「こいつを部屋まで運んだらすぐに行きますので」
リゼ「ほらココア、部屋に戻るぞ」
ココア「んっ……リゼちゃん……?」
リゼ「まだ眠たそうだな、どうせ昨日も夜更かししてたんだろう」
ココア「あれ……これってお姫様抱っこ……?」
リゼ「しょうがないから部屋まで送り届けてやるよ」
ココア「えへへ、ありがとうリゼちゃん……」ニコッ
ココア「……ん」Zzz
リゼ(思っていたより軽いな……)
タカヒロ(ふっ……リゼくんがいる限り、ココアくんたちのことは心配しなくてよさそうだね)
タカヒロ「ラビットハウス三姉妹で、これからもずっと仲良くしてくれると嬉しいな……なぁ、親父」
ティッピー「頭が痛い……うぅ……」ズキズキ
―――――――――――――――――――――――――
――校庭――
ザー ザー
チノ(相変わらず降ってますね……)
チノ(やはりマヤさんかメグさんの傘に入れてもらった方が良かったでしょうか)
チノ(でも家の方向が逆だから迷惑かけちゃうし……)
リゼ「おーい、チノ」
チノ「!」
リゼ「待たせたな、ほら傘だ」
チノ「ありがとうございます……でもどうしてリゼさんが?」
リゼ「んっ、ああ、まぁ色々あってな」
チノ「?」
リゼ「ははっ、歩きながら話すよ」
チノ「熟睡ですか、しょうがないココアさんです」
リゼ「親父さんも今日は片づけるって言ってたから、チノも帰ったらゆっくりしろよ」
チノ「そうさせてもらいます。リゼさんはどうされますか?」
リゼ「わたしは……そうだな、帰りに千夜のところにでも行くよ」
チノ「甘兎庵ですか?」
リゼ「ああ、なんだか急に行きたくなった」
チノ「でしたらココアさんも誘ってみんなで行きますか?」
リゼ「いや、起こすのも気が引けるし今度でいいよ」
リゼ「また晴れの日にみんなで行こう」
チノ「わかりました」
リゼ「…………」
チノ「……雨、止みませんね」
リゼ「そうだな……でも、悪くない」
チノ「?」
ザー ザー
――甘兎庵――
千夜「はいリゼちゃん、お疲れ様」コトッ
リゼ「おっ、ありがとう」
千夜「暇だったからリゼちゃんが来てくれて嬉しいわ」
リゼ「この雨じゃさすがに誰も来ないよな」
千夜「そうね、さっき青山さんが来ていたくらいかしら」
リゼ(あの人この大雨の中でもぶらついてるのか……)
千夜「せっかくリゼちゃんが来てくれたんだし、ウチももう片付けちゃうわね」
リゼ「おいおい、そんな軽いノリで休業していいのか?」
千夜「どうせお客さんも来ないんだもの、それに――」スッ
千夜「久しぶりにリゼちゃんと二人でお話したいから」ニコッ
リゼ「そ、そうか……//」
千夜「なんだか静かでいいわね」
リゼ「そういえばシャロは?」
千夜「シャロちゃんならフルールドラパンで今日もアルバイトみたい、雨の日は客足が少ないって喜んでたわ」
リゼ「なるほど、いつもはどの店も忙しいからな」
千夜「たまにはこんな日があってもいいわよね」
リゼ「個人経営店は商売あがったりだけどな」
千夜「……雨、明日は止むかしら?」
リゼ「どうだろう……」
リゼ「……でもその……なんだ」
千夜「?」
リゼ「雨は嫌いだけど、こんな日なら悪くない」
千夜「こんな日?」
リゼ「……みんながいてくれれば、それなりに楽しいし」
千夜「リゼちゃん……」
リゼ「なんてな、ははっ……//」
千夜「ふふっ……リゼちゃんたらもう」ギュッ
リゼ「お、おい……//」
千夜「わたしもよ、みんながいるから毎日しあわせ」
リゼ「……一緒だな」
千夜「ええ、きっとココアちゃんもチノちゃんも、シャロちゃんもね」
ザー ザー
リゼ「……明日も、雨かな」
千夜「どっちでもいいわ、明日もきっと楽しいはずだもの」
リゼ(……前言撤回だな、こりゃ)
リゼ(夏にならなくても……梅雨が続いても)
リゼ(――みんながいれば、毎日たのしい)ニヘラ
――おしまい
――おまけ――
ココア「ふあ~良く寝た……」ポワポワ
ココア「今何時だろう――って、もう5時!?」ガーン
ココア(良く見たらここ自室……そうだ、お昼寝してたらリゼちゃんが連れて行ってくれて……)
ココア(うぅ……明日謝らなきゃ)
トントン
ココア「あ……リゼちゃん?」
チノ「ココアさん、わたしです」
ココア「チノちゃんもう帰ってたんだ。入っていいよー」
チノ「失礼します。ココアさん、今日の晩御飯ですが――ぷっ!?」
ココア「!」
チノ「こ、ココアさん……その顔……ふふっ、くく……」クスッ
ココア「ふえ……?」
ココア「鏡……あった!」
ココア+(落書き)猫ひげ+バツマーク+マルほっぺ
ココア「ヴェアアアァアアア!!」
チノ「ど、どうしたんですか一体……くくっくすっ……」
ココア「もうリゼちゃんのばかー!ひどいよー!」
タカヒロ(さすがはリゼくん、ちゃっかりしているね)キラッ
――おしまい♪
感想
疲れているときにほのぼのとしたssを読むとやはりとても落ち着きますね。良い時間を過ごさせていただきました♪
さて、いよいよ11月に映画上映ですね!席が取れればよいのですが…
ありがとうございます♪
日常的なSSはどうしても起伏が薄くなってしまい、正直不安でいっぱいでした。
映画はとても楽しみですが、わたしの場合は恐らくBD化を待つことになりそうです;
こういう日常系SSは和むし、とてもおもしろいです!!これからも日常系SS書いてください!お願いします!!
ありがとうございます♪
お楽しみいただけるようであれば、またぜひ。
さっき週間予報を見たらずっと雨で私はがっかりしていたのですが、
雨の日が続いても、みんなといたらそんな日も楽しく感じる。そんな小さな幸せを描写する砂水さんはまるで詩人ですね!
詩人でしょうか、でしたら作家ではなくそっちにクラスチェンジを!
と、冗談はさておきまして。
いえ、実はわたくし雨が嫌いではないブラックジャックタイプの人間でして……(ただし休日限定)
ごちうさの優しい世界であれば雨なんて!というテーマを元に描かせて頂いた記憶がございます。