ごちうさSS リゼ「チノが部屋に閉じこもったきり出てこなくなった」

 

 

 

 

――土曜日 AM10:00――

 

リゼ「♪♪~♪」

 

リゼ(今日もいい天気だ)

 

リゼ(チノの風邪、少しは良くなったかな。昨日は元気が無さそうだったし)

 

リゼ(お客さんも少ないからココアと二人でも問題はないが)ガチャッ

 

リゼ「おはよう」

 

シーン

 

リゼ(やっぱり治ってないか、ココアはいつも通り寝坊だろうな)

 

リゼ(しょうがない、開店準備だけでも済ましてチノの様子でも――)

 

ココア「リゼぢゃ~んっ!」ヴェアァ

 

リゼ「うわっ!?こ、ココア、どうしたんだ?」

 

ココア「チノちゃんが……チノちゃんが!」グスッ

 

リゼ「チノが……?――まさかインフルエンザ!?」

 

ココア「チノちゃんが……」

 

リゼ「……」ゴクリ

 

 

ココア「部屋に閉じこもったきり出てこないよ~!」ダバー

 

 

リゼ「――へっ?」

 

 

 

――部屋前――

 

リゼ「………………」

 

ココア「こんな張り紙がしてあったの」

 

『放っておいてください。しかし、放っておかれないのもやぶさかではありません』

 

リゼ「いや、どっちだよ」

 

ココア「どうしよう……」オロオロ

 

リゼ「とりあえず理由を聞かなきゃどうしようもない」

 

リゼ「チノ?わたしだ」コンコン

 

シーン……

 

リゼ「返事くらいしてくれよ、どうしたんだいったい?」

 

チノ「……張り紙が見えなかったんですか」

 

リゼ「見たよ、だから何があったんだ?」

 

チノ「見るだけでなくちゃんと読んでください」

 

リゼ「………………」

 

チノ「分かりましたか?」

 

リゼ「わかった……放っておく。行くぞココア」

 

チノ「あっ、ダメです!ちゃんと最後まで読んでください!」

 

リゼ「だから呼びに来てるだろ!?」

 

チノ「最後まで読んでたんですね、ならいいです。仕方ないのでリゼさんたちの話を聞いてあげます」

 

リゼ(なんで上から目線なんだ)

 

リゼ「はぁ……どうしたんだ、チノ?」

 

チノ「自分の心に聞いてみてください」

 

リゼ「えっ、わたしなのか?」

 

チノ「違います、ココアさんとリゼさんと千夜さんとシャロさん、全員です」

 

ココア「千夜ちゃんとシャロちゃんも?」

 

リゼ「…………」

 

ココア「リゼちゃん、身に覚えある?」

 

リゼ「いや、悪いがさっぱり……」

 

ココア「わたしも……」

 

チノ「2人で分からないなら4人で考えてみてください」

 

リゼ「わざわざこんなことで呼んだら迷惑だろう、いいからもう教えてくれよ」

 

チノ「こんなこと……」ピクッ

 

チノ「リゼさんにとってわたしはこんなことなんですね……もういいです、生きる希望を失いました。お母さん、いますぐそちらに」

 

ココア「チノちゃんダメぇ!リゼちゃん早く謝って!?」

 

リゼ「え、わたしが悪いのかこれ?」

 

チノ「おや、こんなところにちょうどいいロープが」

 

ココア「チノちゃん待って!すぐに千夜ちゃんとシャロちゃん呼ぶから!早まっちゃダメ!」

 

チノ「……しょうがないですね」

 

リゼ(絶対ロープなんかない……)

 

チノ「リゼさん、なにか言いましたか?」

 

リゼ「心の内まで読むなっ!」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

千夜「とりあえず呼ばれたから来てはみたけど……」

 

シャロ「すいません、わたしたちも全然心当たりが……」

 

リゼ「そうだろうな、だと思ったんだけど」チラッ

 

ココア「チノちゃん死んじゃダメぇ!!」ドンドン

 

千夜「ココアちゃん落ち着いて、大丈夫よ絶対」

 

シャロ「チノちゃん、構ってほしいだけですよねきっと……」

 

リゼ「ああ、それにまんまと引っかかってる奴のせいでいつも以上にめんどくさい」

 

リゼ「チノ?お望み通り4人そろったぞ?」

 

チノ「望んではいませんが良い心がけです、4人寄らば文殊の知恵と言いますから」

 

シャロ「それって3人寄らばじゃなかったかしら」

 

チノ「あっ」

 

リゼ「………………」

 

チノ「こほん!細かいことはいいんです、あとは自分たちで考えてください」

 

全「………………」

 

ココア「……千夜ちゃん?」チラッ

 

千夜「シャロちゃん?」チラッ

 

シャロ「り、リゼ先輩?」チラッ

 

リゼ「……分からない」

 

全「………………」

 

 

チノ「……ヒントは風邪です」ボソッ

 

 

リゼ「ヒント出すくらいならもう言えよ!」

 

千夜(どうにかして気付いてほしいのよねチノちゃん……)

 

シャロ「風邪……チノちゃんのお見舞いなら昨日全員で行ったし」

 

チノ「……」ガタッゴトッ!

 

ココア「チノちゃん!?」

 

リゼ「いやシャロ、たぶんそれが当たりっぽい」

 

シャロ「えっ!?」

 

千夜「チノちゃん、ビンゴかしら?」

 

チノ「……当たらずとも遠からずです」

 

ココア「ふぉぇ?」

 

リゼ「ほぼ当たりってことだろ」

 

チノ「ここまでたどり着いた皆さんの努力を汲んで、答えを教えたいと思います」

 

リゼ「最初から教えろ!」

 

シャロ(もうお昼過ぎ、ラビットハウスの営業時間じゃあ……)

 

チノ「そう、あれは昨日のことです」

 

千夜「回想に入るパターンね」

 

 

――

――――

――――――

 

 

――昨日 チノの部屋――

 

チノ「うっ……こほっ、げほっ!」

 

ココア「チノちゃん大丈夫?」

 

リゼ「37.8度……ただの風邪だろうし、薬飲んで安静にしていれば治るだろう」

 

千夜「せっかく梅干しとネギを持ってきたのに」

 

シャロ「はいチノちゃん、何も入ってない卵がゆだけど……」

 

チノ「みなさん、ありがとうございます……」ズズッ

 

ココア「あっ、そろそろ8時だね」

 

千夜「ゆっくり歩いていけばいい時間ね、出ましょうか」

 

チノ「!」

 

シャロ「リゼ先輩、わたしたちも行きましょう」

 

リゼ「チノ、親父さんにはわたしから言っておくから今日はゆっくりしていろよ」

 

チノ「!」

 

リゼ「それじゃあな」

 

ココア「待っててねチノちゃん、すぐに帰ってくるから」フリフリ

 

千夜「お大事に♪」

 

シャロ「またお見舞い来るわ」

 

チノ「み、みなさん……待ってくださ――」

 

ガチャッ バタン

 

チノ「あ……」

 

チノ「………………」

 

チノ「…………」

 

チノ「……」

 

チノ「」

 

 

――――――

――――

――

 

 

チノ「ということです」

 

全「…………」

 

チノ「みなさんが薄情だったせいで、わたしの風邪は今日になっても一向に良くなりません」

 

千夜「……えっと」

 

シャロ「つまり……あれよね」

 

リゼ「一人ぼっちにされて寂しかったから怒ってる、ってことか」

 

ココア「チノちゃん……!」

 

チノ「違います!!」ドンドン

 

チノ「ただ、わたしはみなさんのことを信用していたのに裏切られたことに怒っているんです!寂しくなんてありません!」

 

リゼ「裏切るって……じゃあどうすれば良かったんだ?」

 

チノ「こうです――」

 

シャロ「また回想!?」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

チノ「みなさん、ありがとうございます……」ズズッ

 

ココア「あっ、そろそろ8時だね」

 

チノ「………………」

 

リゼ「そうだな……今日はみんなで学校を休んで看病するか」

 

チノ「!」

 

千夜「そうね、チノちゃんが心配だものね」

 

シャロ「おかゆ食べさせてあげるわ、スプーンはどこかしら」

 

チノ「リゼさん、千夜さん、シャロさん……」

 

ココア「チノちゃん」

 

チノ「ココアさん……」

 

ココア「お姉ちゃんたちに、任せなさい」ニコッ

 

チノ「……!」

 

チノ「……はいっ//」ニコッ

 

 

 

―――――――――――――

 

全「………………」

 

チノ「みなさんの献身的な看病によってわたしの病状はみるみるうちに回復、今頃元気に働けたはずです」

 

リゼ「無茶いうなよ……看病とはいえ学校をサボるわけにはいかないだろ」

 

シャロ「チノちゃんが風邪ひいたって知ったのも当日だったし……」

 

千夜「ふふっ、理不尽チノちゃんね♪」

 

チノ「みなさんにとってわたしは学校よりどうでもいい存在だというのが証明されました……だからもういいです、引きこもります、自宅警備員です」

 

リゼ「飛躍しすぎだ!そんなはずないだろう」

 

千夜「わたしたち、チノちゃんのこと大好きよ」

 

シャロ「好きじゃないとこんな風に心配したりしないわ、だからドアを開けて、ねっ?」

 

チノ「今更そんな言葉信じません!」

 

リゼ「……諦めよう」スタスタ

 

チノ「説得を諦めたらいますぐ母の元に向かいます」

 

リゼ「なら早く出てこい!?」

 

チノ「出ません、みなさんの本音を聞かない限り、このドアは開けません」

 

リゼ「いっそのことこれで壊すか?」ジャキ

 

シャロ「ダメですよ先輩!」

 

千夜「困ったわ、本心から言っても信用してもらえないし……」

 

リゼ「やれやれ……ココア、お前からもなんとか言って――って、ココア!?」

 

ココア「ううっ……ぐすっ……」ポロポロ

 

ココア「チノちゃんごめんねっ!お姉ちゃんたちが悪かったよ!」

 

チノ「……!」

 

ココア「寂しかったよね!わたし、どうしてチノちゃんの気持ちに気づいてあげられなかったんだろう……」

 

ココア「わたしだけじゃない!リゼちゃんも千夜ちゃんもシャロちゃんも、みんな気づけなかった……ごめんねチノちゃん!」

 

チノ「……ココアさん」

 

千夜「……そう言われれば、わたしたちが薄情だったわ」

 

リゼ「流されるな千夜!ココアも、どうしてそうな――」

 

シャロ「ぐすっ……ごめんなさい、チノちゃん……」ウルウル

 

リゼ「シャロまで!?」

 

チノ「ココアさん、リゼさん、千夜さん、シャロさん……」

 

ココア「チノちゃん開けて!今日はみんなで付きっきりで看病するから!」

 

ココア「チノちゃんに寂しい思いさせないから!チノちゃんのこと、一番大切だって行動で示すから!」

 

千夜シャロ「チノちゃん!」

 

チノ「――!」

 

――ガチャッ

 

全「!」

 

チノ「……入りたければ、入ってください//

 

ココア「チノちゃん!」ギュッ

 

千夜「今日はずっと一緒にいるわ!」

 

シャロ「わたしも、バイトギリギリまで看病するから!」

 

チノ「まったく……しょうがないココアさんたちです//」ニヘラ

 

チノチャーン!! クルシイデス…… ガヤガヤ ワイワイ

 

リゼ「………………」

 

リゼ「なんだこの茶番は……」

 

リゼ「もう1時過ぎ……今日は休業か」

 

リゼ「はぁ……仕事よりずっと疲れた」

 

 

シャロ「チノちゃん、はいあーん」

 

千夜「おいしい?プリンもあるわよ」

 

ココア「シャロちゃん、わたしにも一口♪」

 

シャロ「もう、しょうがないわね」

 

チノ「…………♪」

 

チノ「おじいちゃん、これでもう風邪をひいても寂しくありませんね」

 

ティッピー「チノや、ほんとはもう平熱じゃろう?」

 

チノ「……なんのことでしょう」プイッ

 

ティッピー「やれやれ……」

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    途中から半ギレのリゼちゃん好きですw

    ちなみに前から何となく気になっていたのですが、サイト主さんは女性ですか…?

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      なるべく性別は意識させないように振舞っているつもりなのですが……そう見えてしまいますか;
      ツイッターの方だと性格出ちゃいますもんね……今後は気を付けたいと思います。

  2. はにすけ より:

    めっちゃ笑いましたw
    理不尽なチノちゃん、相変わらず可愛いですね♪
    最後に純真無垢なココアちゃんにみんな影響される様子も素敵です!

    初めてこのシリーズを読んだ頃から、微笑ましい内容に、仕事に疲れた心身が
    とても癒されていました。TwitterやRSSでフォローする前、このシリーズの
    更新をたまたま見つけた時はほんと嬉しかったです!

    チノちゃん嫉妬シリーズ新作の執筆、お疲れ様でした&ありがとうございました!
    本当に心待ちにしてました!他のシリーズと共に、今後も楽しみにしています♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      常にタブーのキャラ崩壊と紙一重の本作ですが、無事たくさんの人にお楽しみいただけたようでホッとしております。
      なにより古参のはにすけさんにも、久々の復活シリーズにも関わらず違和感なく読んで頂けてとてもうれしく思います。
      本シリーズでわたしのことを知ってくださった方がはにすけさんの他にも結構いらっしゃるようです、ありがたい限りです。

      余談ですが、予想以上の閲覧数にわたしも少々戸惑い気味です。
      理不尽チノちゃんは多くの人に愛されているようですね♪
      チノちゃん嫉妬シリーズ及び、幼いココアちゃんと意味深シリーズも、どうぞよろしくお願いいたします。

  3. 名有り より:

    次の作品まだかな〜とサイトをチェックしていた際に偶然にも既にまた新作が出来ていたのでウハウハな私です!(楽しみでしたので…)
    段々とチノちゃんがココアちゃんだけでなく、親しいみんなほぼ全員(マメ隊の彼女たちはいませんので)に甘えてくるようになりましたね。次からは理不尽チノちゃんシリーズに改名決定でしょうか♪(笑)
    しかし、こうしてみると、前のチノちゃんはあまり年相応に他人に甘える姿を見せていなかったのがよくわかります。とても新鮮です。
    原作の方でも最近著しくココアちゃんの影響を受けているのがハッキリと描かれていて、とても可愛いです!(6巻をCDと同時購入して読んだあと気づいたことです)
    それにしても、やはり年相応の娘としては当然なのでしょうが、タカヒロさんに甘えてはこないのでしょうか。(タカヒロさん…)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      タカヒロさんに甘えるチノちゃん……いいですね、描きたい……!
      わたしの描く作品はあくまで原作準拠を第一に考えておりますので、それが作品を通じて読者さんたちに伝わっているのでしたらこれほど嬉しいことはありません。
      今後も本シリーズのチノちゃんは、その可愛さと理不尽さを遺憾なく発揮してくれることでしょう。
      突っ込み兼保護者役のリゼちゃんが安息を得られる日は果たしていつになることでしょうか;←(需要が少なくなったらですかね)

  4. もふもふ愛好家 より:

    砂水さんのごちうさSSは全て好きなのですが、このチノちゃん嫉妬シリーズは特別です。
    まだシリーズ化する前の話ですが、たまたま検索でhitして読んだのがチノちゃんが主役のSSでした。
    これがきっかけであなたのファンになりました。
    このシリーズを見ていると、チノちゃんはココアちゃんたちに影響を受けて
    心を開いていったんだなって思うんです。
    本当に面白くて可愛いくてあったかいSSです。
    ごちそうさまでした。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      チノちゃん嫉妬シリーズは、本当にたくさんの人に愛して頂けて……ここからわたしと繋がってくださった読者さんが、もふぴこさんの他にも大勢いらっしゃいます。
      その上、シリーズ化される前の古参さんにまでいまだこうしてご感想を頂ける、これほどありがたいことがあるでしょうか。
      本シリーズは支えてくださる方々がいる限り永遠です、まだまだ続きますのでぜひおかわりをお求めください!

  5. しょな より:

    つきっきりで看てくれなかったことを怒ってるチノ可愛い…
    やはりチノ(や海未)のようなしっかり者のキャラが突然こうやって愛を求めて拗ねるのは可愛いですね

    半年以上ぶりにこのサイトに来ましたが、相変わらず管理人さんの可愛いss節は健在ですね
    さらなる繁栄をお祈りいたします

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      しょなさんお久しぶりです。
      こうしてまたお会いすることができ、とてもうれしく思います。

      半年ぶりでしたか、よろしければまたご来訪くださいね。
      しょなさんの期待を裏切らぬよう、今後も自分なりの『可愛い』描写を心がけたいと思います。
      また当サイトでいつでもお待ちしております!

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