ネプテューヌSS アイエフの休日

 

――プラネテューヌ――

 

アイエフ「はぁ~疲れたぁ……」ポスッ

 

アイエフ(諜報活動が少なくなったとはいえ、治安維持のためのモンスター討伐も楽じゃないわ)

 

アイエフ(最近はバーチャフォレストにまで危険種が出るみたいだし、いつでも駆け付けられるよう準備は万全にしておかないと)

 

アイエフ(……なんだかゲイムギョウカイが平和になってから一段と忙しい気がするわね)

 

アイエフ(まぁ、これも全部ネプ子のシェアがドン底に低いせいだけど……)

 

アイエフ「…………」チラッ

 

アイエフ(よし!明日はようやく待ち望んだ休暇!思う存分ゆっくりしますか)

 

アイエフ「♪~♪♪」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

――翌日――

 

アイエフ(ソファーに腰掛けながらスマホを見てコーヒーをすする……これ以上の幸せは他にないわね)

 

アイエフ(最近働き詰めだったからかしら、ネットサーフィンするのも久しぶりな気がする)

 

アイエフ「……ん?この言葉、新しい必殺技の名前に使えそうね……メモメモっと」

 

アイエフ(穏やかな午前11時、お腹が減って軽く食事を済ませた後に再びソファーにダイブできるこの幸福感……いいわね)

 

アイエフ「ふふん、休日はこうでなくちゃ♪」

 

アイエフ(日頃の倦怠感すらも今や愛おしく感じられ――)

 

ドンドン!

 

アイエフ「!」

 

ドンドン!

 

アイエフ(……嫌な予感が)

 

アイエフ「……はい?」

 

ネプ「アイちゃーん!!」

 

アイエフ「」

 

ネプ「わたしだよー!主人公だよ!開けてー!」ドンドン

 

アイエフ「ネプ子……あいにく今回はわたしが主役だし、間に合ってるから結構よ」

 

ネプ「えー!でもタイトル見てよ?しっかりわたしの名前が入ってるでしょ」

 

アイエフ「わたしの名前も入ってるから問題ないわ」

 

ネプ「……………………」

 

アイエフ「一応登場したからもういいじゃない」

 

ネプ「……いいの?」

 

アイエフ「?」

 

ネプ「このままだとほんとにタイトル通りアイちゃんのダラダラした休日や独り言を延々と描写するだけで大した落ちも無くストーリー終わっちゃうよ?」

 

アイエフ「………………」

 

ネプ「ここで早くわたしを登場させないと、このままずっとドア越しのやりとりだけでグダグダで中身のないキャラゲーみたいになってもう二度とアイちゃんメインのSSが――」

 

アイエフ「」プチッ

 

ガチャッ!

 

ネプ「アイちゃん!分かってくれると信じ――」

 

アイエフ「」ベシッ!

 

ネプ「いたっ!?ひどいよアイちゃん!イースンにもぶたれたことないのに!」

 

アイエフ「だからこうしてわたしが代わりにぶってあげてるのよ」ベシベシ

 

ネプ「地味に痛いからぁ!主人公虐待でアイちゃんのこと訴訟しちゃうよ!?」

 

アイエフ「ああもううるさいわね!さっきからメタ発言ばっかりやめなさいよ!」ドガッ!

 

ネプ「ねぷぅ゛!!?」

 

アイエフ「あ…………」

 

ネプ「……ぐすっ、まさかアイちゃんから本気で殴られるなんて……痛い……心と頬が」グスッ

 

アイエフ「ごめんなさいネプ子、つい」アセアセ

 

ネプ「もういいよ……帰る……ネプネプおうち帰る」トボトボ

 

アイエフ「ま、待ちなさいよ!ほら、入っていいわよ。あっ、冷蔵庫にプリンもあるわよ?」アセアセ

 

ネプ「ほんと!?」クルリ

 

アイエフ「へっ……?」

 

ネプ「さすがはアイちゃん話がわかるぅ~、用件はさておきまずはプリンだー!」タタタ

 

アイエフ「……………………」

 

ネプ「これルウィーの限定発売のプリン!こんな良いもの独り占めしようなんてアイちゃんもなかなかやるねぇ」モグモグ

 

アイエフ「ネプ子……さっきの怪我は?」

 

ネプ「あはは、いまさらパンチくらいでわたしがダメージ受けるわけないじゃーん。いつも剣で斬られたり炎で焼かれたりしてるんだよ、あんなのへっちゃらへっちゃら」

 

アイエフ「…………」

 

ネプ「アイちゃん、これもう一個食べてもいい?いいよね?食べちゃおう♪」

 

アイエフ「カタールはどこかしら……久々にアポカリプスノヴァを」

 

ネプ「と思ったけどやっぱりいらないかな~!」

 

アイエフ「はぁ…………」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

アイエフ「フェンリスヴォルフの討伐?」

 

ネプ「イースンがクエスト達成するまで家にはいれないって」

 

アイエフ「どうせまたイストワール様を怒らせるようなことしたんでしょ」

 

ネプ「イースンはいつも怒ってるじゃん、主にシェアのことで」

 

アイエフ「その原因はあんたでしょうが」

 

ネプ「ノワールやネプギアに応援を頼もうかと思ったんだけど、ズルできないようにイースンが既に手回ししてて……」

 

アイエフ「で、困り果ててわたしのところへ来たと」

 

ネプ「アイちゃんお願い!一緒に付いてきて!」

 

アイエフ「………………」

 

ネプ「あれ……アイちゃん?」

 

アイエフ「ネプ子、わたしが甘いと思ってるの?」

 

ネプ「ゼクス!?」

 

アイエフ「………………」

 

ネプ「おっとと、じゃなくて。アイちゃん、手伝ってくれないの……?」

 

アイエフ「……雑魚モンスターのクエストならそう言いたいところだけど、さすがに危険種を一人で行かせるわけにはいかないわね」

 

ネプ「じゃあ!」パアァ

 

アイエフ「しょうがないから早く終わらせるわよ、今日はせっかくの休日だからゆっくりしたいのよ」

 

ネプ「アイちゃんありがとー!さすがは親友だね!」ギュッ

 

アイエフ「やれやれ、調子いいんだから」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

――4日後――

 

アイエフ「ようやく休日……」グダー

 

アイエフ(この前はネプ子につき合わされた挙句、上位危険種は現れるわ雑魚は汚染化するわでもう散々な目に遭った)

 

アイエフ(でもおかげで危険種がいなくなって少しだけシェアも回復したし、気がかりが一つ解消されたわ)

 

アイエフ(現在のプラネテューヌのシェアは……よし、ダントツで低いけど一定以上はあるわね)

 

アイエフ(今日は!今日こそは!心行くまで羽を伸ばすわよ!)

 

アイエフ「はぁ~ベッド気持ちいい……」ポスッ

 

アイエフ(このまま寝ちゃいそう……休みだし、たまにはいっか)

 

アイエフ「二度寝は日ごろ働いてる人間にとって最高の贅沢よね……」ウトウト

 

アイエフ「ん…………」Zzz

 

ドンドン!

 

アイエフ「!」

 

イースン「アイエフさん!大変です!」

 

アイエフ「その声は――イストワール様!どうされたんですか!?」

 

ガチャッ

 

イースン「アイエフさん、緊急事態です!」

 

アイエフ「緊急事態……まさか、接触禁止種がプラネテューヌに!?」

 

イースン「いえ、それがその……」アセアセ

 

アイエフ「……?」

 

イースン「……ネプテューヌさんが」

 

アイエフ「ネプ子が……?」

 

イースン「ネプテューヌさんが……家出しました」

 

アイエフ「へっ……?」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

アイエフ「ゲーム機を没収したら泣いて家出した、ですか……」

 

イースン「はい……少し厳しくしすぎてしまったのかもしれません」

 

アイエフ(いや、どこが……)

 

イースン「ああネプテューヌさん。プリン好きなだけ買ってあげますから早く帰ってきてください」キリキリ

 

アイエフ「落ち着いてください、とりあえず胃薬を」

 

イースン「ん……」ゴクゴク

 

アイエフ「あの……イストワール様?」

 

イースン「なんでしょう……うぅ……」キリキリ

 

アイエフ「たぶん今頃ネプギアが必死に草の根分けて捜索していると思うので、心配しなくてもお昼までには見つかると思いますけど」

 

イースン「……あっ」

 

アイエフ「Nギアの逆探知とか、あの子なら余裕でやりそうですし」

 

イースン「……なるほど」

 

アイエフ「……………………」

 

イースン「教祖としたことが、取り乱して申し訳ありません」

 

イースン「確かにネプテューヌさんなら最悪見つからなくてもプリンの匂いに釣られて帰ってきそうな気がします」

 

アイエフ「想像に難くないのが余計に悲しいですけど」

 

イースン「お騒がせしましたアイエフさん、せっかくの休日なのに」

 

アイエフ「いえ、常時ネプ子の子守なんて心中お察しします」

 

イースン「そうなんですよ。あっ、そういえば聞いてください、この間もネプテューヌさんたら――」クドクド

 

アイエフ「」

 

イースン「わたしはネプテューヌさんのことを、ひいてはプラネテューヌ全体のことを考えて――」クドクド

 

アイエフ(これ……やってしまったわ)

 

イースン「アイエフさん、聞いてますか?親友であるアイエフさんからも言ってやってください。ネプテューヌさんは女神としての自覚が――」クドクド

 

アイエフ「はは……は…………」

 

アイエフ「」チーン

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

――3日後――

 

アイエフ(もうダメ……倒れそう……)フラフラ

 

アイエフ(精神的にも肉体的にもボロボロ……今日こそは至福の安眠と安らぎを……)

 

アイエフ「あぁ……もう少し……ベッドまであともう少し……」

 

トントン

 

アイエフ「」

 

トントン

 

アイエフ「うそでしょ……」

 

ネプギア「あれ、開いてる?」

 

ガチャッ

 

ネプギア「こんにちは、アイエフさんいますか?」

 

アイエフ「お前も堕ちてこい……」バタッ

 

ネプギア「アイエフさん!?えっと、生命の欠片は……」ガサゴソ

 

アイエフ「それよりネプビタンEXを……休暇を……」

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

アイエフ「一緒にクエストを……」

 

ネプギア「はい、お姉ちゃんが欲しがっていたゲーム機を買ってあげたくて」

 

ネプギア「でも、ひとりだと不安で……アイエフさんと一緒なら心強いですし」

 

ネプギア「お願いできますか?」

 

アイエフ(こんな良い子の頼み、断れるわけないでしょう……)

 

アイエフ「……わかったわ」

 

ネプギア「わぁ、ありがとうございます!」

 

アイエフ「さて、行きましょうか……」フラフラ

 

ネプギア「そっち窓側ですよ!?先にヒールボトルで回復してください!」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

――2日後――

 

アイエフ「……………………」

 

アイエフ(とうとうダウンしてしまったわ……もう動けない……)

 

アイエフ(とほほ……こんな休日、悲しすぎる……)

 

トントン

 

アイエフ「!」

 

コンパ「アイちゃんこんにちは、お邪魔するです」ガチャッ

 

アイエフ「コンパ……悪いけど、今日は部屋でゆっくりしたいから――」

 

コンパ「はい、だと思って看病しにきたです」ニコッ

 

アイエフ「えっ?」

 

コンパ「ネプネプやイースンさん、ギアちゃんに聞いたです。アイちゃん、休日はみんなの用事に付き合ってばかりで全然休んでないですよね?」

 

コンパ「ですからこれ以上無理しないように、今日はしっかりと休んでもらうです」

 

アイエフ「コンパ……」

 

コンパ「誰か来たらわたしが出ますから、アイちゃんは何も気にせず寝てください」

 

コンパ「おねむさんになるまでお腹さすりましょうか?それとも膝枕しましょうか?」ニコニコ

 

アイエフ「…………」ウルウル

 

コンパ「アイちゃん?」

 

アイエフ「コンパぁぁあ!!結婚しましょうっ!!!!」ギュッ

 

コンパ「わわっ!アイちゃん安静にしてください」

 

アイエフ「わたしの幼馴染マジ天使……」グスッ

 

――おしまい♪

感想

  1. ぬまっち より:

    待ってましたー♪
    ホントありがと(*´∀`)♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      こちらこそ、いつもご愛読いただきありがとうございます♪
      おかげさまで、ネプSSを再開する気力が湧きました。
      またツイッターのほうにもぜひ遊びに来てください。

  2. 匿名 より:

    以前ネプSSの再開をお願いさせて頂いた者です。
    本っ当に嬉しいです!
    これからも良い作品書いて下さい。
    応援しています!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます、需要を頂きとても嬉しく思います♪
      再開を望んで下さっていたにも関わらず、長らくの休載誠に申し訳ありませんでした。
      こんな温かい応援を頂いた以上、もう中途半端はできませんね。
      今度は3作品とも一切の妥協をせず、並行してプロット作成に望みたいと思います。
      まず、目指すは50作品ですね。

  3. 匿名 より:

    最後のアイちゃん嬉しそうですね。

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