ごちうさSS 幼いリゼと優しいメイドさん 第2話「友達になろ?」

 

 

―― 十数年前 天々座家 ガーデン AM8:23――

 

 

ザワザワ ガヤガヤ

 

メイドC「メイド長……!」アセアセ

 

メイドD「落ちちゃいますよ!」

 

使用人C「どうやってあんなところへ……!」

 

 

 

リゼ父「ふぁーあ……」プワプワ

 

リゼ父(今日もいい天気だ)

 

リゼ父「ん……?」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

リゼ父(……なんだ?)

 

 

 

リゼ父「朝っぱらから何の騒ぎだ?」

 

メイドC「あっ、旦那様!」

 

使用人C「あれを見てください」スッ

 

リゼ父「ん?」

 

メイドA「旦那様、おはようございます~」フリフリ ※8メートル↑

 

リゼ父「ずいぶん高い場所にいるな」

 

メイドA「ここの外壁が剥げていましたので塗りなおしておこうかと」

 

リゼ父「朝からご苦労なことだ」

 

メイドA「塗り終わったので降りますね~」

 

リゼ父「ああ」

 

メイドD「今はしごをかけますから、そこで大人しくしててください!」

 

メイドA「心配いりませんよ~」

 

リゼ父「お前たち、そこの枯草の山から離れろ」

 

使用人C「えっ?」

 

メイドC「早く助けに行かないと……!」

 

リゼ父「よし、いいぞ」

 

メイドA「では~」

 

 

メイドA「イーグルダーイブ♪」ジャンプ

 

 

使用人C「っ!?」

 

メイドC「きゃああぁっ!!?」

 

 

――バサッ!

 

 

メイドD「ぁ……!」ブルブル

 

メイドC「メイド長……?」ガクガク

 

 

メイドA「ふぅ~」バサッ

 

全「!?」

 

メイドA「みなさんお騒がせしました~」パンパン

 

リゼ父「体中ペンキだらけだな」

 

メイドA「どうです、決まってました?」キラーン

 

リゼ父「ふっ、俺ならもっとかっこよく降りられる」

 

メイドA「む~、わたしは旦那様と違って民間人ですよ」

 

リゼ父「早くお風呂に入ってこい、終わったなら飯だ飯」

 

メイドA「もうできております。みなさんも手を洗ってご飯の準備を~――おや?」

 

全「――何してるんですか!!?」

 

メイドA「?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 廊下――

 

 

メイドA「♪~♪♪」

 

りぜ「おい」

 

メイドA「?」

 

りぜ「どこいくんだ?」トコトコ

 

メイドA「お嬢様~、おはようございます」

 

りぜ「いまからごはんだぞ。だいにんぐはこっちだ」

 

メイドA「あっ、触っちゃダメですよ。体中ベトベトなので」

 

りぜ「しろいえのぐ?おえかきしてたのか?」

 

メイドA「はい、ですので先にお風呂に入ってから向かいますね」

 

りぜ「わたしもはいる」

 

メイドA「お嬢様は今パジャマから着替えられたところでは?」

 

りぜ「いいんだ、わたしもいっしょにはいる」

 

メイドA「おやおや、では一緒に朝風呂と参りましょ~」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――入浴中――

 

 

メイドA「ふぅ~きれいさっぱりですね」

 

りぜ「むらさめ、さっきみんなにおこられてただろう?」

 

メイドA「あらら、お嬢様にも聞こえてましたか~」

 

りぜ「なにかわるいことしたのか?」

 

メイドA「はい、ちょっとおふざけが過ぎました」

 

りぜ「おまえはいつもだな」

 

メイドA「ふふっ、心配して注意してくれる人が側にいるのは幸せな証拠です」

 

りぜ「あぶないことはしちゃだめだぞ」

 

メイドA「おじょうさまもですよ~」ナデナデ

 

りぜ「うぅ、もうかってに『ぶきこ』にはいったりしない……」

 

メイドA「それじゃあお互い約束です、危ないことは禁止」スッ

 

りぜ「んっ……」スッ

 

メイドA「ゆーびきりげんまん♪」

 

りぜ&メイドA「うそついたらはりせんぼんのーます♪」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――AM11:32 公園前――

 

 

メイドA「お昼ご飯、お嬢様は何がいいです?」←お昼の買い出し

 

りぜ「おむらいす!」※付いてきた

 

メイドA「それじゃあオムライスにしましょ~」

 

りぜ「やった//」ニコッ

 

メイドA「キノコと鶏肉、あと玉ねぎですね」

 

りぜ「おひるごはんたべたらいっしょにあそべるか?」

 

メイドA「はい、いっぱい遊びましょう」

 

りぜ「わたしのもんすたーすごくつよくなったんだぞ!」

 

メイドA「それなら今日こそ、この前やられた敵を倒せそうですね」

 

りぜ「まかせろ」エッヘン

 

メイドA(♪~♪♪――おや?)

 

青年「………………」ベンチ

 

メイドA(あの人……昨日もいたような……)

 

りぜ「どうしたんだ?」

 

メイドA「いえ、なんでもありませんよ~」

 

りぜ「?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM6:30 ダイニング 夕飯――

 

 

メイドA「それでは改めまして――」

 

メイドA「旦那様、出張お疲れさまでした~」パチパチ

 

全「」パチパチパチ

 

リゼ父「5か月近く空けたが、特に変わったことはなかったか?」

 

メイドA「はい、これ以上ないほど平和でしたよ」

 

リゼ父「そうか。つまらんな」

 

メイドA「旦那様の方こそもう平気ですか?昨日帰ってきた時は今にも倒れそうでしたけど」

 

リゼ父「疲れていただけだ。今日の夜は久々に飲みに行ってくる」

 

メイドA「程々にしてくださいね~あんまり迷惑かけちゃダメですよ」

 

リゼ父「ああ。――とにかくだ」スッ

 

リゼ父「またこうして無事にお前らと再会できたことを嬉しく思う」

 

リゼ父「乾杯」

 

メイドA「かんぱーい!」

 

りぜ「かんぱい!」

 

リゼ父「リゼ、今夜は一緒にゲームでもするか?」クシャクシャ

 

 

りぜ「ううん、むらさめといっしょにするからいい」

 

リゼ父「なっ……!」ガーン

 

メイドA「いえい♪」ブイ

 

リゼ父「俺のいないうちにどんなポイント稼ぎをした?」

 

メイドA「ふふ~ただの必然ってやつですよ~」

 

メイドC(メイド長の名前、もはや公然の秘密になってる……)

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――翌日 甘兎庵――

 

 

メイドA「ん~相変わらずここのみたらし団子は最高ですね」モグモグ

 

お婆「ふん、あんたは何食べても最高って言ってるじゃないか」

 

メイドA「だって、お婆ちゃんの作る和菓子はどれも本当においしいですよ?」

 

お婆「いちいち言われなくてもそんなこと当たり前だよ」

 

メイドA「うーん、わたしも洋菓子なら自信があるのですけど――あっ、そういえば今日は可愛い子たちは?」

 

お婆「二階で遊んでるよ。会っていくかい?」

 

メイドA「はい、ぜひ。――あら?」

 

ちや「ほらしゃろちゃん、やっぱりおねえちゃんよ」

 

しゃろ「あっ……うぅ」

 

メイドA「はろはろ~」フリフリ

 

ちや「こんにちは」ペコリ

 

メイドA「千夜ちゃんもふもふさせてください~」ギュッ

 

ちや「きゃ……//」

 

しゃろ「こ……こんにちは」

 

メイドA「シャロちゃんもおいで~」

 

しゃろ「ぇ……あぅ……」オドオド

 

メイドA「怖くないですよ~」

 

しゃろ「……!」

 

メイドA「一緒にもふもふしましょ~」

 

しゃろ「…………」トコトコ

 

メイドA「ん~しゃろちゃんも可愛いですね~」ギュッ

 

しゃろ「ぁ……//」ニヘラ

 

ちや「おねえちゃん、また『からおけ』いっしょにうたおう?」

 

しゃろ「うたおう?」

 

メイドA「いいですね~、どう思いますお婆ちゃん?」

 

お婆「勝手にしな」

 

メイドA「では少しだけおじゃましまーす」

 

ちや「いちめいさま、あまうさあんにごあんなーい♪」

 

しゃろ「ごあんなーい♪」

 

メイドA「おばあちゃん、こんなに可愛い子が二人もいて幸せですね~」

 

お婆「ふん……」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――雨 公園――

 

 

ザー ザー

 

メイドA(時間潰しに寄ったつもりがすっかり遅れちゃいました~)タタタ

 

メイドA(3時26分、幼稚園が終わるのが3時半だからあと4分……間に合うかな)

 

メイドA(――おや?)

 

青年「………………」ベンチ

 

メイドA(またあの人……)

 

メイドA(この雨の中を……あれじゃあ風邪ひいちゃいますね)

 

メイドA(………………)

 

青年「………………」

 

メイドA「――あの」

 

青年「…………?」

 

メイドA「この傘、良かったら使ってください」スッ

 

青年「………………」

 

メイドA「わたしの家、すぐそこなので」ニコッ

 

青年「………………」

 

メイドA「ちょっと失礼しますね」スッ

 

メイドA「こんなに濡れたら風邪ひいちゃいますよ~」フキフキ

 

青年「………………」

 

メイドA「このタオルも差し上げます」スッ

 

青年「………………」

 

メイドA「ではまた」フリフリ

 

青年「………………」

 

メイドA(それにしてもすごい雨ですね~)タタタ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

りぜ「まったくおまえは」プンプン

 

メイドA「お嬢様~機嫌なおしてください~」

 

りぜ「おくれてきておいて、かさまでわすれてくるなんて」

 

メイドA「園長先生が貸してくださったおかげで助かりましたね~」

 

りぜ「こんなにあめがふってるのにどうやってかさをわすれるんだ?」

 

メイドA「さぁ、どうしてでしょう~?」

 

りぜ「ゆらにはわらわれるし、おまえのせいだぞ」

 

メイドA「すいません~お詫びに今日はずっとお嬢様と遊びますから」

 

りぜ「ほんとうか?よるまでずっとだぞ?」

 

メイドA「はい、やくそくです」

 

りぜ「ならゆるしてやる」フフン

 

りぜ(♪~♪♪)

 

メイドA(ふふ――…………!)

 

青年「………………」ベンチ

 

メイドA(………………)

 

りぜ「むらさめ?」

 

メイドA「お嬢様、急いで帰りましょ~」ヒョイ

 

りぜ「わわっ」

 

メイドA「着替えたらお部屋で少し待っていてください」タタタ

 

りぜ「さきにしごとをおわらせるのか?さっきのやくそくまもってくれよ?」

 

メイドA「もちろんです、ほんの1時間だけお待ちください」

 

りぜ「ん……」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――天々座家 キッチン――

 

 

メイドA「ふっ、ほっ」クルクル

 

メイドA「とりゃー」ノリ ペタペタ

 

メイドA「じゃん♪」

 

使用人D「んっ……?」

 

メイドA「次は~――さんかく」ギュッ

 

使用人D「おむすびですかい?」ヒョイ

 

メイドA「はい。見てくださいそれ~新作の丸形サッカーボールおにぎりですよ」

 

使用人D「これは……上手くできてますね」

 

メイドA「おひとつどうぞ~」カポッ

 

使用人D「ゴモッ……!」

 

メイドA「どうです?」

 

使用人D「モグモグ……んぐっ……」ゴクッ

 

使用人D「うまいです、塩加減もちょうどよくて」

 

メイドA「ふふ~男の人でしたらおむすび4つくらいは食べられますよね?」

 

使用人D「ええ」

 

メイドA「ではこれでちょうど4つ目」

 

使用人D「……?」

 

メイドA「ちょっと出かけてきます~」

 

使用人D「あの、どこへ?」

 

メイドA「公園ですよ~、すぐに帰ってきますから」

 

使用人D「は、はぁ……」

 

メイドA「お嬢様には内緒にしててくださいね」シーッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

――雨 公園――

 

 

ザー ザー

 

 

青年「………………」ベンチ

 

 

 

メイドA「――こんにちは」

 

 

 

青年「――……?」

 

メイドA「またお会いしましたね」

 

青年「………………」

 

メイドA「お隣、座ってもいいですか?」

 

青年「………………」

 

メイドA「ベンチもびしょ濡れですね~」フキフキ

 

青年「………………」

 

メイドA「ふぅ……」スッ

 

青年「………………」

 

メイドA「雨、止みませんね」

 

青年「………………」

 

メイドA「……ふふっ」クスッ

 

青年「……?」

 

メイドA「迷子まいごの子猫ちゃんですか?」

 

青年「………………」

 

メイドA「このままだと衰弱して倒れちゃいますよ」

 

青年「………………」

 

メイドA「それとも死ぬおつもりですか?」

 

青年「………………」

 

メイドA「すいません、余計な事聞いちゃいましたね」

 

青年「………………」

 

メイドA「」スッ

 

青年「!」

 

メイドA「このギターご存じです?」

 

青年「………………」

 

メイドA「面白いですよね、箒みたいで」

 

青年「………………」

 

メイドA「でもこう見えて良い音が鳴るんですよ」

 

青年「………………」

 

メイドA「どこでも持って行けますし」

 

青年「………………」

 

メイドA「これを弾くと、大切な人みんなが笑顔になってくれるんです」

 

メイドA「だから、あなたにも」

 

メイドA「…………」

 

 

♪~♪ ♪♪♪

 

 

メイドA「リュックの中 夢と不安が半分ずつで――♪」

 

 

♪~♪♪

 

 

メイドA「♪♪~♪――」

 

 

青年「…………!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

メイドA「なんとか間違えずに弾けました~」

 

青年「…………」

 

メイドA「さて、演奏はこれくらいにしておきましょう」

 

青年「……上手でした」

 

メイドA「ん?」

 

青年「ギターも……歌も」

 

メイドA「ふふ、ありがとうございます」ニコッ

 

青年「…………」

 

メイドA「やっとお話ししてくれましたね」

 

青年「…………」

 

メイドA「お好きなんですか?ギター」

 

青年「…………」

 

メイドA「いいですよね、これ」

 

青年「…………大切な」

 

メイドA「?」

 

青年「命よりも大切だった奴が……同じギターを持ってたんです」

 

メイドA「……そうでしたか」

 

青年「…………」

 

メイドA「これ、召し上がってください」スッ

 

青年「…………」

 

メイドA「おむすびです、ふんわり握ってますから食べやすいですよ~」

 

青年「…………」

 

メイドA「むむっ、食べないなら口に無理やり押し込んじゃいます」

 

青年「…………」

 

メイドA「はい、あーん」

 

青年「…………」

 

メイドA「えいっ」ギュム

 

青年「……!?」

 

メイドA「あなたの大事な人のためにも、絶対に食べてもらいます」

 

青年「!」

 

メイドA「ちゃんと自分で食べますか?それとも口に押し込まれたいですか?」

 

青年「…………」

 

メイドA「どうぞ」

 

青年「…………」モグッ

 

メイドA「お茶もありますよ、いっぱい飲んでください」

 

 

 

 

青年「……ごちそうさまでした」

 

メイドA「いえいえ~」

 

青年「…………」ペコリ

 

メイドA「さっきよりも顔色が良くなってきましたね」

 

青年「…………」

 

メイドA「その大きなバッグひとつでここに?」

 

青年「…………」

 

メイドA「かっこいいコート、でもこの時期だと暑くないですか?」

 

青年「…………」

 

メイドA「独りごとなので何も答えなくていいですよ~」

 

メイドA「懐のそれを見れば、あなたがどんな場所で生きていたのか察しがつきます」

 

青年「………………」

 

メイドA「雨、止みませんね~」

 

青年「……そこまで察しておいて、逃げない君もどうかしてる」

 

メイドA「慣れてますから」フンス

 

青年「……?」

 

メイドA「そのバッグ、もしかして」

 

青年「……ええ、金です」

 

メイドA「そんなにいっぱい。お金持ちですね~」

 

青年「良かったら差しあげます」

 

メイドA「あらら~もったいない」

 

青年「一応綺麗な金ですから」

 

メイドA「それだけあればおうちを買ってここに住むことだってできますよ?」

 

青年「……いくら考えても、もう生きてる理由が見つかりそうにないので」

 

メイドA「………………」

 

青年「最後は、こんなものしか残らなかった」

 

青年「きっとこんなものでも、君のような親切な人の手に渡れば……少しは有意義に消えると思う」

 

青年「だから……持っていってほしい」

 

メイドA「………………」

 

青年「ありがとう。おむすびも、歌も……こんなくだらない話を聞いてくれて」

 

青年「例え徒情でも嬉しかった」

 

メイドA「………………」

 

メイドA「……分かりました」

 

メイドA「では、頂いていきますね」スッ

 

青年「………………」

 

メイドA「お金は捨てても、その懐の銃はお捨てにならないのです?」

 

青年「………………」

 

メイドA「それも、命より大切なものですか?」

 

青年「………………」

 

メイドA「風邪ひかないようにお気をつけください、失礼します」ペコリ

 

青年「………………」

 

青年「…………」

 

青年「……」スッ シャシン

 

 

 

青年「………………」

 

 

ザー ザー

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 玄関――

 

 

メイドA「ただいまです」ガチャッ

 

りぜ「」プクー!

 

メイドA「あらあらお嬢様、バレてしまいましたか」

 

りぜ「こんなあめのなかどこいってたんだ?『ぎたー』なんてもって」

 

メイドA「ふふ~お嬢様の新しいお友達リサーチですよ~」ナデナデ

 

りぜ「ともだち?」

 

メイドA「はい、よろしければ明日会いに行きませんか?」

 

りぜ「いく!いっしょにいくぞ」ピョンピョン

 

メイドA「仲良しになれるといいですね~」ヒョイ

 

りぜ「うん//」

 

メイドA「幼稚園が終わったら会いに行きましょう」

 

りぜ「どんなやつなんだ?」

 

メイドA「男の人ですよ~。身長が高くて強そうで――」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM11:24 リゼ父の部屋――

 

 

リゼ父(あの紛争地域が壊滅した……?)パソコン

 

リゼ父(テロリストの内争ではないかと噂される……)

 

リゼ父「……ありえないな」

 

リゼ父(あの地域一帯が壊滅するくらいの規模だ、テロリスト如きが起こせるものじゃない)

 

リゼ父(恐らく奴らの中で内輪揉めか何かが起こったか……)

 

リゼ父(……気がかりだな)

 

――トントン

 

リゼ父「んっ?」

 

メイドA「旦那様、少しお時間よろしいでしょうか?」ガチャッ

 

リゼ父「どうした?」PCバタン

 

メイドA「お先に一杯どうぞ~」コトッ

 

リゼ父「ワインか」

 

メイドA「実はですね、面白い人を見かけたんです」

 

リゼ父「ほう、どんなやつだ?」ゴクゴク

 

メイドA「懐に銃を持った人でして、なんだかとてつもないオーラがある人です」

 

リゼ父「危なそうだな」

 

メイドA「わたし、今日その人に大金が入ったバッグを渡されちゃいました」

 

リゼ父「ブッ!?」

 

メイドA「あらまぁ、大丈夫です?」

 

リゼ父「ゴホッ……ああ」

 

リゼ父「で、それを受け取ったのか?」

 

メイドA「はい、とりあえず金庫にバッグごと入れてあります」

 

リゼ父「そうか」

 

メイドA「どう思われます?」

 

リゼ父「銀行強盗犯と言いたいところだが……」

 

リゼ父「面白い奴なんだろ?」

 

メイドA「さすがは旦那様」

 

メイドA「その人、すごく悲しい目をしていました」

 

メイドA「あの目は心を無くした人間の目ではありません」

 

リゼ父「……つまり?」

 

メイドA「きっとあの人には、良い子の才能があります」

 

リゼ父「ふっ……」

 

メイドA「旦那様、お願いします。使用人さんとして雇っていただけませんか?」

 

リゼ父「………………」

 

リゼ父「ここに連れてこれたらな」

 

メイドA「……!」

 

リゼ父「俺もどんなやつか興味がある」

 

メイドA「ありがとうございます」ペコリ

 

リゼ父「……ムラサメ」

 

メイドA「?」

 

リゼ父「身体の方は平気か?」

 

メイドA「はい、ここ最近はすこぶる快調です。たぶん心臓に毛まで生えたかもしれません」フンス

 

リゼ父「ふっ、ならいい」

 

メイドA「おやすみなさいませ、旦那様」フリフリ

 

リゼ父「………………」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――翌日 公園――

 

 

 

青年「……………………」

 

 

メイドA「雨止みましたね~」ヒョコ

 

 

青年「!」

 

メイドA「いい天気です」

 

青年「…………」

 

メイドA「これ、お昼の余りのサンドイッチです。どうぞ」スッ

 

青年「…………」

 

メイドA「おいしいですよ~」

 

青年「…………」

 

メイドA「先に身体を拭かれますか?ウェットティッシュ持ってきました」

 

青年「……分からない」

 

メイドA「?」

 

青年「俺は、昨日まで君と会った覚えがない」

 

メイドA「わたしもです」

 

青年「……君にここまで親切にされる理由が」

 

メイドA「理由ですか~」

 

青年「………………」

 

メイドA「そうですね、不安ならなにか理由を付けましょうか」

 

青年「………………」

 

メイドA「あっ、そうだ。昨日お金をもらったからっていうのはどうです?」

 

青年「………………」

 

メイドA「ダメですか?」

 

青年「……いえ」

 

メイドA「ではそれで」ニコッ

 

青年「………………」

 

メイドA「コーヒーもありますよ~」

 

青年「………………」

 

メイドA「ふぅ~ブラックが身体に染みます」

 

青年「………………」

 

メイドA「知ってますか?」

 

青年「?」

 

メイドA「人って、全てを捨てないと自ら命を絶つことはできないらしいです」

 

青年「…………」

 

メイドA「大切なものも、背負っているものも、全部を捨てないと」

 

青年「…………」

 

メイドA「無くすだけじゃダメなんです、きっと」

 

青年「…………」

 

メイドA「色んなものを無くして、疲れ果てて、お金も捨てて……それでも捨てられないその銃と――」

 

メイドA「――その写真は、どなたですか?」

 

青年「………………」

 

メイドA「…………」

 

青年「……」スッ

 

メイドA「…………」

 

青年「……」グッ

 

メイドA「…………」

 

青年「……素敵な人でした」

 

青年「優しくて、強くて、いつも頑張っていて」

 

メイドA「…………」

 

青年「俺よりもずっと、生きるべき人間だったんです」

 

青年「この子だけじゃない……他の奴らも、みんな」

 

メイドA「…………」

 

青年「一番生きる価値のない人間が、残るべくして残ってしまった」

 

メイドA「…………」

 

青年「この子が生前、いつか石畳みの街に行きたいと言ってたんです」

 

メイドA「だから、あなたはここに?」

 

青年「……約束でしたから」

 

メイドA「…………」

 

青年「分かってるんです……ただの自己満足だと」

 

 

 

青年「でも……約束だったから……」

 

 

 

メイドA「………………」

 

メイドA「……いいえ」スッ

 

青年「……?」

 

メイドA「やっぱりあなたは、生きるべき人間です」

 

メイドA「あなたを生かそうとしてくれた人たちのお気持ち……すごく分かります」

 

青年「…………」

 

メイドA「ずいぶん重たいものを背負っていらっしゃったのですね。ベンチにずっと腰をかけていらしたのも納得です」

 

メイドA「……でも」

 

――テ ギュッ

 

青年「……!」

 

メイドA「そろそろゆっくり、立ち上がってみませんか?」

 

青年「…………」

 

メイドA「あなたがこのまま死んでしまうことも、生きるプレッシャーに押し潰されてしまうことも、きっと誰一人として望んでいませんよ」

 

青年「……なら、俺は」

 

メイドA「ですから一緒に背負いましょう」

 

青年「え……」

 

メイドA「みんなで一緒に」

 

青年「……?」

 

メイドA「わたしの家に来ませんか?」

 

青年「!」

 

メイドA「♪」ニコッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――

――――

――――――

 

 

――車内――

 

 

りぜ「ここだ!おろしてくれ」

 

メイドC「メイド長と――あの人は?」

 

りぜ「わたしのともだちこうほだ」ガチャッ

 

メイドC「友達候補?」

 

りぜ「どんなやつかみてくる」ピョン

 

メイドC「あっ、お嬢様。足元お気をつけください」

 

りぜ「さきにかえってていいぞ」

 

メイドC「ではお先に失礼します」

 

ガチャッ バタン

 

メイドA「おじょうさま、こっちですよ~」

 

りぜ「またせたな」タタタ

 

青年「あの子が……」

 

メイドA「はい、わたしの大切なお嬢様です」

 

りぜ「おまえがむらさめのいってたともだちこうほか」

 

青年「…………」ペコリ

 

りぜ「わたしはりぜだ」

 

青年「……この子が人見知りですか?」

 

メイドA「本当はとっても内弁慶なんですよ~」

 

りぜ「うちべんけい?」←メイドさんやユラちゃんが側にいてくれると強い

 

メイドA「お嬢様、この方とても銃にお詳しいですよ~」

 

りぜ「ほんとうか!」

 

メイドA「ウチで働いてもらえれば、射撃場で一緒に遊べますね~」

 

りぜ「ぁ……!」パアァ

 

りぜ「おまえ、いえがないのか?」

 

青年「え?」

 

りぜ「ならわたしのいえにこい!」グイッ

 

青年「……!?」

 

メイドA「お嬢様、この方を使用人さんとして雇っても?」

 

りぜ「いいぞ!おとうさんのところにつれていこう」

 

メイドA「さすがはお嬢様です」

 

りぜ&メイドA「いえい♪」パチッ

 

メイドA「さぁ、こちらへ」

 

青年「…………」

 

メイドA「大丈夫ですから」ニコッ

 

 

青年「!」

 

りぜ「はやくこい」グイッ

 

青年「あ…………」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

メイドA『10年前、わたしもあなたと同じでした』

 

青年『……?』

 

メイドA『迷子まいごの子猫ちゃんってやつです』

 

青年『…………』

 

メイドA『でも今は大切な家族がいるんですよ』

 

メイドA『旦那様に、メイドさんのみんなに、使用人さんたち、そして可愛いお嬢様』

 

青年「……君は――」

 

メイドA『はい、わたくしメイドです』フンス

 

青年『メイド……』

 

メイドA『実は今日、あなたに会わせたい人がいるんです』

 

青年『……?』

 

メイドA『わたしの大好きな世界一のお嬢様です』

 

メイドA『どうか、お友達になってあげてください』クスッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 門前――

 

 

青年「……!」

 

りぜ「どうしたんだ?はやくはいれ」

 

メイドA「おっきな家でしょ~?」

 

青年「……ええ」

 

使用人D「!」

 

使用人C「メイド長……その方は?」

 

メイドA「今日から使用人さんになる方です。皆様どうぞお見知りおきを~」

 

青年「…………」

 

使用人D「スカウトですか」

 

使用人C「……」スッ

 

りぜ「ふぉぇ?」

 

メイドA「おやおや~とおせんぼです?」

 

使用人C「あの……あなたの目を疑うわけではないですが」

 

使用人C「その方の雰囲気は明らかに危険です」

 

青年「………………」

 

使用人D「俺も同意です。入る前にまずは身体検査を」

 

メイドA「それでしたらもうしましたよ~懐に32口径の小銃一丁だけです」

 

使用人C「!!?」ジャキ!

 

使用人D「っ……!」ジャキ!

 

青年「…………」

 

りぜ「こらおまえら!じゅうをむけるな!」

 

使用人C「お嬢、離れてください」

 

使用人D「メイド長……どういうおつもりです?」

 

メイドA「一応弾はこちらで預かってますよ?」ジャラ

 

使用人C「ですが……!」

 

メイドA「警戒が足りませんか?それでしたら――」ヒョイ

 

使用人D「あっ……」

 

メイドA「これで通してくれますか?」ジャキ

 

青年「…………」

 

りぜ「むらさめ……」

 

メイドA「いざとなったらわたしが手を汚します」

 

使用人C「メイド長……」

 

メイドA「……ダメですか?」

 

使用人D「…………はぁ」

 

使用人C「分かりました……その代わり、緊急ボタンはオンにしておいてください」

 

メイドA「ありがとうございます♪」

 

メイドA「さぁリゼお嬢様、参りましょ~」

 

りぜ「う、うん」

 

メイドA「こちらですよ」

 

青年「…………」

 

 

ガチャッ――バタン

 

 

メイドA「ふぅ~第一関門突破ですね」

 

りぜ「むらさめ、それまちがってうっちゃだめだぞ……?」

 

メイドA「心配無用ですよ~セーフティーかけてます」

 

メイドA「それに、もう降ろしても大丈夫です」スッ

 

りぜ「……」ホッ

 

メイドA「すいません、こんな歓迎で」

 

青年「いえ……慣れっこです」

 

メイドA「あらまぁ、心強いですね~」

 

青年「君が銃を怖がらなかったわけだ」

 

メイドA「ふふ~わたしも慣れてますから」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼ父の部屋――

 

 

リゼ父「………………」Zzz

 

リゼ父「……んっ?」ピクッ

 

リゼ父「…………」

 

リゼ父(……来たか)

 

リゼ父(確かに異様なオーラだ……どんなやつを連れてきたんだ?)

 

――トントン

 

メイドA「旦那様?入ってもよろしいでしょうか?」

 

リゼ父「いいぞ」

 

メイドA「失礼します」ガチャッ

 

リゼ父「――!?」

 

青年「――!」

 

リゼ父「お前……」

 

メイドA「おや~?もしや旦那様のお知り合いですか?」

 

りぜ「えっ!?」

 

リゼ父「……出張したときに、ちょっとな」

 

青年「…………」

 

リゼ父「なんだ?こんなところにまで俺をやりにきたのか?」

 

青年「ここがお前の家と知っていたら来なかった」

 

リゼ父「それは運が悪かったな。あいにく俺の家だ」

 

青年「邪魔したな」クルッ

 

メイドA「!」

 

青年「すまない……わざわざありがとう」

 

メイドA「待ってください……!」

 

青年「君も……」ポンッ

 

りぜ「……!」

 

青年「ありがとう……」ナデナデ

 

りぜ「あ……」

 

リゼ父「待て」

 

青年「…………」

 

リゼ父「話を聞かせろ」

 

青年「……」チラッ

 

メイドA「旦那様……」

 

りぜ「おとうさん……」

 

リゼ父「サシで話がしたい。席を外れろ」

 

メイドA「……分かりました」

 

メイドA「お嬢様、少しの間外へ」

 

りぜ「う、うん」

 

メイドA「ご安心ください、すぐに終わりますからね」ナデナデ

 

りぜ「むらさめ……」

 

ガチャッ バタン

 

リゼ父「なにしてる?お前も早く出ろ」

 

メイドA「従えません」

 

リゼ父「なに?」

 

メイドA「お二人のことが心配です」

 

リゼ父「…………」

 

メイドA「この方をこのまま見殺しにすることもできません」

 

青年「…………」

 

メイドA「話に首を突っ込んだりしません。だからここにいます」

 

リゼ父「………………」

 

メイドA「………………」

 

リゼ父「フッ……」

 

リゼ父「好きにしろ」

 

メイドA「ありがとうございます」ペコリ

 

リゼ父「……さて」

 

リゼ父「答えたくないなら黙秘でもいい」

 

リゼ父「どうしてこの街に来た?」

 

青年「……約束だった」

 

リゼ父「約束?」

 

メイドA「………………」

 

リゼ父「一緒にいた奴は?」

 

青年「……死んだ」

 

リゼ父「……お前、離反でもしたか?」

 

青年「…………」

 

リゼ父「記事になっていたぞ。テロリストの内争かなにかだろうと。やっぱりお前たちが派手にドンパチやったのか」

 

青年「…………」

 

リゼ父「で、お前だけが『運悪く』生き延びた」

 

青年「……二人」

 

リゼ父「?」

 

青年「俺のほかにもう二人生き延びた。一人はもう行方知れずだが、もう一人は富裕層に預けてきた」

 

リゼ父「結局残ったのは3人てわけか」

 

青年「…………」

 

リゼ父「まぁ正直、そんなことはどうでもいい」

 

リゼ父「……あの宿屋は?」

 

青年「……っ」

 

リゼ父「…………」

 

青年「……無くなった」

 

リゼ父「……!」

 

青年「この子も死んだ」スッ シャシン

 

青年「だから、約束だけ果たしに来た」

 

リゼ父「……そういうことか」

 

リゼ父「できれば、そうであってほしくなかったが」

 

青年「…………」

 

リゼ父「良い奴ほど先に死ぬってわけだ」

 

青年「ああ、その通りだ」

 

リゼ父「それで約束果たしたお前が、ベンチで抜け殻みたいに座ってたってことか」

 

青年「もういいか?」

 

リゼ父「あの金は?」

 

青年「今までの稼ぎだ。要らないならこの子にでもあげてくれ」

 

メイドA「わたしにですか?」

 

青年「もともと君にあげた金だ」

 

リゼ父「手ぶらになったお前はどこに行くんだ?行く当てもないだろ?」

 

青年「…………」スタスタ

 

リゼ父「ムラサメ」

 

メイドA「とおせんぼ~♪」

 

青年「!」

 

リゼ父「待て」

 

リゼ父「……死んだ人間の魂ってやつを信じる口か?」

 

青年「……?」

 

リゼ父「偶然とはいえ、ここまで出来すぎているとお前を見殺しにもできない」

 

メイドA「まるで、その写真の方があなたを旦那様の元へと導いてくれたような、そんな気がします」

 

青年「…………」

 

リゼ父「口を挟まない約束だったぞ?」

 

メイドA「いいえ、わたしが約束したのは『首を突っ込まない』ですよ~」

 

青年「…………」

 

リゼ父「偶然と言えばそれまで。信じる信じないかは個人の勝手だが……」

 

リゼ父「俺はそれを信じてみようと思う」

 

メイドA「旦那様……!」

 

リゼ父「行く当てがないのならここにいろ」

 

リゼ父「死んだ奴らのためにも生きるべきと思うならな」

 

青年「………………」

 

青年「……俺は」

 

メイドA「…………」

 

青年「…………」グッ

 

りぜ「いきろっ!!」ガチャッ!

 

リゼ父「!」

 

メイドA「お嬢様……!」

 

りぜ「しんだりするな!しぬなんてひきょうもののすることだぞ!」

 

青年「……!」

 

りぜ「いきることからにげるな!」

 

リゼ父「リゼ……」

 

青年「…………」

 

りぜ「ぜったいとおさないぞ……!」

 

メイドA「……ええ、お嬢様の言う通りです」スッ

 

メイドA「逃げるなんて許しません」

 

青年「………………」

 

メイドA&リゼ「………………」

 

リゼ父「……だそうだが、どうする?」

 

リゼ父「俺たち3人を屍にして逃げてみるか?」

 

青年「……いえ」

 

青年「…………」スッ

 

りぜ「?」

 

青年「お名前……リゼ、でしたか?」

 

りぜ「ああ!」

 

 

――テ ギュッ

 

 

りぜ「!」

 

青年「よろしくお願いします――お嬢」

 

リゼ父「……フッ」

 

メイドA「天々座家へようこそ~」パチパチ

 

リゼ父「お前の負けだな」

 

青年「ええ、負けました」

 

リゼ父「どうだ?敵だった人間の下につく気分は?」

 

青年「別に……なんなら靴でも舐めましょうか?」

 

リゼ父「いらん、敬語だけでも気持ち悪い」

 

リゼ父「とりあえず風呂に入ってこい」

 

メイドA「こちらですよ~よかったですね」ニコッ

 

リゼ父「後は頼むぞ」

 

メイドA「はい、お任せください~」

 

――ガチャッ

 

メイドA「……ふふ♪」

 

メイドA「お嬢様~!」ギュッ

 

りぜ「わっ……!」

 

メイドA「さっきの姿しびれましたよ~!やっぱりお嬢様は世界一です!」スリスリ

 

りぜ「や、やめっ……!//」

 

メイドA「かっこよくてほんとうに素敵でした~!」

 

りぜ「あとにしろ!へやでふたりきりのときがいい……//」

 

メイドA「はあぁん~!もう可愛いですね~お嬢様は~!」スリスリ

 

りぜ「んっ……//」

 

青年「…………」フッ

 

メイドA「今日の夕飯はお祝いにアレですね!」

 

りぜ「あれか!やった//」ニコッ

 

メイドA「お待たせしてすいません、お風呂はこちらですよ~」

 

りぜ「わたしがあんないしてやる、こい」グイッ

 

青年「おっと……」

 

メイドA「いってらっしゃーい」フリフリ

 

青年「お嬢、少しお待ちを」

 

青年「あの」

 

メイドA「?」

 

青年「お二人とも、ありがとうございます。……この恩は一生忘れません」ペコリ

 

メイドA「いえ、あなたが良い人だったからですよ?」

 

りぜ「いくぞ」

 

青年「あ……」

 

メイドA(さて、さっそくアレの準備をしないと)

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

――夕食 ダイニング――

 

 

メイドA「新しい使用人さんが増えたお祝いに、恒例の手巻き寿司ですよ~」

 

りぜ「おお~!」

 

メイドA「いえーい!」シャカシャカ

 

りぜ「むらさめ、よくやったぞ!」

 

メイドA「ご飯の前にお嬢様を食べてやります~!」ハムッ

 

りぜ「//」キャッキャッ

 

リゼ父「おっ、手巻き寿司か」

 

メイドA「旦那様~こちらですよ」

 

 

メイドD「あっ、うまく巻けました」ニコッ

 

メイドC「ご飯入れ過ぎたんですかね?わたしのこんなに太っちゃいました」

 

メイドD「あはは♪」

 

 

使用人C「結局あの人を雇うという話になったそうです」

 

使用人D「本当に大丈夫ですかね……」

 

使用人B「まぁ、メイド長の判断ですから信用しても――」

 

メイドA「陰口はメッ!ですよ」ヒョコ

 

使用人C「うぉぉ!?」

 

使用人B「メイド長……」

 

メイドA「みんな仲良くしましょうね~」

 

使用人D「もちろんです」

 

メイドA「はいあーん♪」

 

使用人B「!?」

 

使用人D「あ、あーん……//」

 

使用人C(うらやましい……)

 

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

使用人「…………」←青年 ※まだ髪が長い

 

使用人「……」スッ シャシン

 

使用人(また、君に心配かけてしまったな……)

 

使用人(大丈夫……生きてみるよ)

 

使用人(もう二度と……)

 

使用人(………………)

 

 

使用人「……ありがとう」

 

 

りぜ「おーい!」

 

使用人「?」

 

メイドA「こっちに来てください。ロシアン手巻きルーレットの時間ですよ」

 

リゼ父「リゼ以外は全員強制参加だ、早く来い」

 

使用人「ふっ……承知しました」スッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. キャラメル より:

    リゼさんのお父さんかっこよすぎます!幼いリゼさんもこの頃から勇ましかったんだなと思いました!次の砂水さんのSS楽しみにしています!  あとリクエストの件はすみません…よくわかっていなかった自分が悪いですわざわざ返答してくれてありがとうございました!応援しています!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      こちらこそご理解いただきありがとうございます。
      今後も当サイト、及び作品をよろしくお願いいたします。

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