ごちうさSS ここあ「幼いリゼちゃんの思い出」

 

 

――天々座家 PM10:44――

 

 

リゼ「ふぅ…………」

 

リゼ(髪の毛が長いと乾かすのにも苦労するな)

 

リゼ(その点ここあの髪は楽だ。いっそわたしもお揃いにするかな)

 

リゼ「遅くなったな――――?」

 

 

ここあ「これもかわいいよ」ニコニコ

 

メイド「」コクコク

 

リゼ「何を見てるんだ?本か?」

 

ここあ「りぜちゃん、みて~これ」

 

リゼ「これ……!?小さい頃のアルバムじゃないか!//」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ「お前の仕業か!ここあにこんなもの見せるな!//」

 

メイド「」アセアセ

 

ここあ「ちがうよ、わたしがみたいっておねがいしたの」

 

リゼ「うっ……そうなのか」

 

ここあ「ちいさいころの りぜちゃんかわいいね」ニコッ

 

リゼ「っ……// ここあのほうがずっとかわいいぞ」ヒョイ

 

ここあ「そんなことないよ?りぜちゃんのほうがすき」

 

リゼ「そろそろ寝よう、明日はチノとお出かけするんだろう」

 

ここあ「うん!」

 

メイド「」ペコリ

 

リゼ「あ、待ってくれ」

 

メイド「?」

 

リゼ「その、今日は3人で寝ないか?」

 

メイド「」キョトン

 

リゼ「えっと……」チラッ

 

メイド「」ポク…ポク…

 

メイド「!」ピコーン

 

メイド「」グッ

 

リゼ「あ、ありがとう」

 

ここあ「めいどさんもいっしょ?」

 

メイド「」コクリ

 

ここあ「3にんいっしょだね//」ニヘラ

 

メイド「」ナデナデ

 

リゼ「……………………」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM11:13 ダイニングルーム――

 

 

リゼ「…………」

 

リゼ「…………」ペラッ

 

リゼ「…………」

 

リゼ「…………」

 

メイドB「おや……?お嬢さま」

 

リゼ「んっ?」

 

メイドB「まだ起きていらしたのです?」

 

リゼ「ああ、ちょっとな」

 

メイドB「小さいお嬢様は?」

 

リゼ「部屋で寝てるよ。さっき寝かしつけた」

 

メイドB「そうでしたか。ところでメイド長を見かけませんでした?」

 

リゼ「あいつならわたしの部屋にいるぞ。ここあのおもりを頼んでおいた」

 

メイドB「小さいお嬢様のおもりですか。ではわたしは今のうちにお風呂に」

 

リゼ「ああ、ゆっくりしてきてくれ」

 

メイドB「……?それ、アルバムですか?」

 

リゼ「小さい頃のな。わたしがまだここあと同じくらいの時だ」

 

メイドB「これがお嬢様ですか……」

 

リゼ「お前のお姉さんも写ってるぞ、ほら」スッ

 

メイドB「今から十数年前ですもんね」

 

リゼ「親父も若いな」

 

メイドB「この頃のお嬢様のお話、みんなからよく聞きますよ。すごく内弁慶で――」

 

リゼ「昔の話しはいい!早くお風呂に入ってこい//」

 

メイドB「クスッ、失礼します」

 

リゼ「………………」

 

リゼ(小さい頃のわたし、か)

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

―― 十数年前 天々座家 客室 ――

 

 

りぜ「きょうこそおしえてもらうぞ、このまえやってた ばーすとしょっと!」グイグイ ←4歳くらい

 

使用人「お嬢……」←21歳くらい ※現在より若干クール

 

りぜ「はやく『しゃげきじょう』に こい~!」グイグイ

 

使用人「ダメですよ、仕事がありますから」

 

りぜ「しごとなんかしなくていい!」

 

使用人「終わったら遊びましょう。大人しく待っててください」ヒョイ

 

りぜ「だっこするな!ひきょうだぞ!」バタバタ

 

使用人「すいません」

 

ガチャッ バタン

 

りぜ「むぅ…………」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニング――

 

 

メイドA「あらまぁ、追い出されてしまいましたか」

 

りぜ「わざといじわるしておしえてくれないんだ」プクー

 

メイドA「きっとお嬢様のことを考えてのことだと思いますよ」ナデナデ

 

りぜ「いつもゆうがたになるまであそんでくれないし……せっかくともだちなのに」

 

メイドA「友達なんですか?」

 

りぜ「そうだぞ。おまえと、こうえんのぶらんこで会った子と、ゆらとあいつだ」

 

メイドA「まぁまぁ♪」

 

りぜ「4にんもいるんだぞ」エッヘン

 

メイドA「お嬢様はご友人が多いですね、おりこうな証拠です」

 

りぜ「ふふん//」

 

メイドA「このままお昼まで良い子にしてたら、今日のおやつはお嬢様の大好きなティラミスになるかもですよ」

 

りぜ「ほんとうか!?」

 

メイドA「ええ、わたしが内緒でみんなにお願いしておいてあげます」シーッ

 

りぜ「ぁ……!//」パアァ

 

りぜ「ありがとう。わたし、ちゃんといいこにしてるぞ//」ニコッ

 

メイドA「ふふ、お嬢様は可愛いですね~」ナデナデ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――翌日 リゼの部屋――

 

 

 

りぜ「♪~♪♪」ポチポチ

 

トントン

 

りぜ「んっ?」

 

メイドA「お嬢様」ガチャッ

 

りぜ「なんだ?いまいそがしいんだ」ポチポチ

 

メイドA「ご友人が遊びに来られてますよ」

 

りぜ「ゆらか!?」

 

メイドA「はい、ユラ様です」ニコッ

 

ゆら「やっほ~、りぜ」ヒョコ

 

りぜ「ゆら!よくきたな」

 

ゆら「りぜがひとりでさみしがってるとおもってさぁ」

 

りぜ「そ、そんなことない!」

 

ゆら「げーむしてるの?いっしょにやろっか~」

 

りぜ「いま3すてーじめのぼすまえなんだ」

 

ゆら「ゆらちゃんにおまかせあれ~」

 

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

メイドA「ふふっ」ニコニコ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニング――

 

 

 

メイドA「おかし~おかし~あまーいあまい~♪」

 

メイドA「ちょっぴり食べても怒られない~♪」パクッ

 

メイドA「……うん!いい感じです」

 

使用人「んっ……?」

 

使用人(チョコの匂い……?)スッ

 

メイドA「こちらがみんなの分で~こちらがお嬢様たちの分~――あら?」

 

使用人「どうも」ペコリ

 

メイドA「おやおや、見ましたね~」ワナワナ

 

使用人「え……」

 

メイドA「こうなれば仲間に、あーんしてください」

 

使用人「なんのことです?」

 

メイドA「あーん」

 

使用人「…………」アーン

 

メイドA「おいしいですか?」

 

使用人「……ええ」モグモグ

 

メイドA「おいしいなら、もっと笑ってください♪」

 

使用人「笑う?」

 

メイドA「はい、こうニコッと」

 

使用人「……また、追々」

 

メイドA「ふふ、待ってますよ」

 

使用人「………………」

 

メイドA「あまりに平和すぎて、逆に落ち着きませんか?」

 

使用人「!」

 

メイドA「大丈夫、そのうち幸せに変わりますから。ねっ?」ニコッ

 

使用人「………………」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

リゼ「………………」

 

リゼ(あいつが作ってくれたお菓子、うまかったな……)

 

リゼ「………………」ペラッ

 

リゼ「…………」

 

??「」スッ

 

リゼ「んっ?」

 

リゼ父「リゼ、まだ起きてたのか」

 

リゼ「親父……」

 

リゼ父「アルバム?」

 

リゼ「つい懐かしくなってな」

 

リゼ父「覚えてるのか?この頃のこと」

 

リゼ「忘れるはずないだろう」

 

リゼ父「ふっ……そうだな」

 

リゼ「出かけるのか?」

 

リゼ父「ラビットハウスに行ってくる」

 

リゼ「あまり飲みすぎないでくれよ」

 

リゼ父「ああ、お前も早く休め」

 

リゼ「……………………」

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――天々座家 リゼの部屋 PM2:11――

 

 

ザー ザー

 

りぜ「………………」マドノソト

 

りぜ(またあめ……)

 

りぜ(ゆら、あそびにこないよな……)

 

りぜ(そとでしゃげきもできないし……)

 

りぜ(……さみしい)シュン

 

 

――トントン

 

 

りぜ「だれだ?」

 

メイドA「お嬢様、一緒にお買い物に行きません?」ガチャッ

 

りぜ「かいもの?」

 

メイドA「はい、お嬢様の傘に入れてくださいな~」

 

りぜ「でも……おまえ、せがたかいし」

 

メイドA「それじゃあ――」ヒョイ

 

りぜ「!」

 

メイドA「こうすればいいんです」ギュッ

 

りぜ「おお……!」

 

メイドA「買い物袋が濡れないようにする大切な役目ですよ、お願いできますか?」

 

りぜ「まかせろ!」

 

メイドA「頼りにしてますね」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

メイドA「ぴっちぴっち ちゃぷちゃぷランランラン♪」

 

りぜ「おかいものって、おかしだけだったのか?」

 

メイドA「はい、お嬢様がご自分で選んだ方が良いと思いまして」

 

りぜ「……ありがとう//」ギュッ

 

メイドA「いえいえ、梅雨が続くと気分まで沈みますよね」

 

メイドA「こういう時は気分転換するのが一番です。お嬢様も歌いませんか?」

 

りぜ「おまえはいつもげんきだな」

 

メイドA「お嬢様とみんなのおかげですよ~」スリスリ

 

りぜ「んっ……//」

 

 

ザワザワ ガヤガヤ

 

 

メイドA「おや……?」

 

りぜ「?」

 

通行人A「救急車呼んだ方がいいんじゃない?」ヒソヒソ

 

通行人B「警察に電話しとくか?」

 

メイドA「どうされました?」

 

通行人A「いえ……さっきあそこに女の子が倒れてまして」

 

メイドA「!」

 

通行人B「ボロボロだったし、もしかしたらもう……」

 

メイドA「……!」タタタ!

 

通行人A「あ……」

 

 

 

メイドA「この辺でしょうか」キョロキョロ

 

りぜ「……!あれ……!」

 

 

少女「…………」グッタリ

 

 

りぜ「あ……」ブルブル

 

メイドA「お嬢様、向こうへ」

 

メイドA「…………」スッ

 

メイドA「…………」ピトッ

 

りぜ「し、しんでる……?」

 

メイドA「いえ、生きています。恐らく低体温症でしょう」

 

メイドA(両足が酷く炎症を起こしてる……それにこの顔色……。疲労と空腹、その上この雨に打たれたせいで体温が……)

 

メイドA「んっしょ」ヒョイ

 

りぜ「たすかるのか!?」

 

メイドA「はい、とりあえずお屋敷に運びましょう」

 

りぜ「よかった……」ホッ

 

メイドA(この身なり、たぶんこの子も訳あり……)

 

りぜ「びょういんにいかなくてもへいきか?」

 

メイドA「ええ、軽度のものですから」

 

りぜ「いそごう!」

 

メイドA「はい」

 

 

 

ザー ザー

 

りぜ「あ……、あかしんごう……」

 

メイドA(まだ中学生くらいかな……こんなにボロボロになって……)

 

りぜ「うぅ……はやくしないと……」アセアセ

 

メイド(んっ……?この首の刻印……)

 

少女「!」パチッ

 

メイドA「おや、目が覚めましたか~」

 

少女「っ!」スッ ナイフ

 

メイドA「!?」

 

メイドA「お嬢様!離れてっ!」

 

りぜ「えっ!?」

 

少女「!」ビュッ

 

メイドA「ぐっ……!」ブシュ!

 

りぜ「ぅああぁあぁっ!!?」

 

少女「っ!」バシッ!ドガッ!

 

メイドA「待って……!落ち着いてくださいっ!」

 

りぜ「血が……!」ブルブル

 

メイドA「お嬢様も!瞼がかすっただけです!平気ですから」

 

少女「…………!」ガクガク

 

りぜ「ぁ……」ブルブル

 

メイドA「大丈夫……わたしはあなたに何もしませんよ」ポタポタ

 

メイドA「怪我を治して、ご飯をごちそうするだけですから……ねっ?」ニコッ

 

少女「……?」ガクガク

 

メイドA「こんなにボロボロになって……独りぼっちで怖かったですね」ギュッ

 

少女「……!」

 

メイドA「もう、大丈夫ですよ」

 

少女「………………」

 

少女「」スッ ガクッ

 

メイドA「……」ホッ

 

メイドA「お嬢様、ご無事ですか?」ポタポタ

 

りぜ「それはおまえのほうだ!そんなに血がでて……」ポロポロ

 

メイドA「このくらい何ともありませんよ。ほら、元気元気です。むしろさっきの肘鉄と左ストレートのほうが……」

 

りぜ「もうそんなやつほうっておこう!きっとわるいやつだ!」

 

メイドA「お嬢様?」スッ

 

りぜ「……?」

 

メイドA「ここでわたしたちがこの子を見捨てたら、この子はどうなると思います?」

 

りぜ「えっ……それは……」

 

メイドA「死んでしまう?……ううん、違います」

 

 

メイドA「また、ひとりぼっちになっちゃいます」

 

 

りぜ「……!」

 

メイドA「例えこの子があと少しだけの命だとしてもです。気づいたわたしたちだけは、傍にいてあげましょう」

 

メイドA「独りぼっち以上に辛いことなんて、この世にないですから」

 

りぜ「…………」

 

メイドA「難しかったですね。お嬢様は優しい人になってくださいねってことですよ♪」

 

りぜ「ううん……おまえのいうとおりだ」

 

りぜ「わるいこといって、ごめん」ペコリ

 

メイドA「クスッ、お嬢様はやっぱりおりこうさんです」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 医務室――

 

 

メイドA「どうですか?」

 

使用人C「あなたのおっしゃるように、走りすぎたことによる両足の炎症。空腹と疲労と雨による低体温症でしょう。足の方はかなり酷いので完治に3週間はかかります。あとはしっかりご飯を食べながらベッドで横になっていれば特に問題ありません」

 

メイドA「命に別状はないんですね、良かった」

 

少女「…………」ジー

 

メイドA「どうぞお召し上がりください。毒なんて入ってませんから」

 

少女「…………」ジュルリ

 

メイドA「はい、あーん」

 

少女「!」

 

メイドA「自信作ですよ、このチーズグラタン」

 

少女「…………」

 

――パクッ

 

メイドA「おいしいですか?」

 

少女「」コクリ

 

メイドA「どんどん食べてくださいね」

 

少女「」モグモグ! ガツガツ!

 

メイドD「すごい食欲……」

 

使用人B「で、この子どうします?」

 

使用人D「どうするも何も……放り出すわけにもいかないでしょう」

 

使用人B「しかし、あの方にどう報告すればよいのか」

 

メイドA「わたしが行きます~、心配しないでください」

 

りぜ「わたしもいくぞ!」

 

全「!」

 

使用人C「お嬢……」

 

メイドA「頼りにしてます、お嬢様」テ ギュッ

 

りぜ「んっ」

 

 

リゼ父「来なくても俺の方から来てやる」

 

 

全「!?」ビクッ

 

りぜ「おとうさん……」

 

メイドA「おやおや旦那様~、さすが耳がお早い」

 

リゼ父「いつも平和な屋敷がこれだけざわざわしてたら馬鹿でも気づくだろう」

 

リゼ父「何があったかと思えば……とんだ買い物してきたな」

 

メイドA「すいません、無料だったもので~」

 

使用人B(乗らなくていいんですよ!?)

 

リゼ父「そうか、無料なら仕方ないな」

 

使用人D(いいのか!?)

 

リゼ父「その怪我はどうした?」

 

メイドA「これはですね、刃物でスパッとやられちゃいました」

 

リゼ父「このガキにか?」

 

メイドA「はい。ですが既にナイフと銃は回収しておりますので」

 

リゼ父「これか……ほう」

 

メイドA「このブーツには踵とつま先にスイッチブレードが仕込んでありました」

 

リゼ父「普通のガキが身に着けるものじゃないな、どれも」

 

メイドA「はい。あと……」

 

リゼ父「?」

 

メイドA「あの方と同じような刻印が、首元に」

 

リゼ父「……なるほどな」

 

全「…………」ゴクリ

 

りぜ「…………」

 

リゼ父「災難だったな。労災金いるか?」

 

メイドA「いえ、でもその代わりと言ってはなんですが――」

 

リゼ父「こいつを雇ってくれ、か?」

 

メイドA「はい」

 

リゼ父「………………」

 

りぜ「おとうさん……――」

 

使用人「なにかありましたか?」

 

少女「!?」

 

使用人「なっ……!?」

 

リゼ父「知り合いか?」

 

使用人「……ええ」

 

少女「」ポロポロ

 

りぜ「……!」

 

使用人「どうしてここに……」

 

少女「…………」グスッ ポロポロ

 

リゼ父「このボロ靴とあの足を見ろ」

 

使用人「……まさか、走って」

 

リゼ父「だろうな」

 

使用人「……っ」

 

リゼ父「電車の乗り方も知らないのか?こいつは」

 

使用人「……ええ」

 

リゼ父「読み書きは?」

 

使用人「できます」

 

リゼ父「そうか」

 

使用人「………………」

 

リゼ父「こいつの真意が分からない。雇うにせよ追い出すによ、まずは洗いざらい吐いてもらおう」

 

リゼ父「この街を目指していたのか?目的は?」

 

少女「………………」

 

リゼ父「黙秘か?」

 

メイドA「そんなの決まってますよ~」

 

リゼ父「んっ?」

 

メイドA「独りぼっちが耐えられなくなって追いかけてきちゃったんです。ねっ?」ナデナデ

 

少女「…………」ウル

 

メイドA「雲を掴むような可能性のなか、すごく遠いところからひたらすら走って、怖い思いをして、何度も泣いて……きっとこの子にとって、ここに来ると決めた時から既に死ぬ覚悟だったはずです。それが、偶然にも巡り合えた。こんなに奇跡的で素敵な再会あるでしょうか」ニコッ

 

りぜ「……!」

 

使用人「独りが、怖いから……?」

 

メイドA「はい、この子にとって死ぬよりもです」

 

使用人「……!」

 

リゼ父「………………」

 

使用人「…………」スタスタ

 

少女「」ビクビク

 

使用人「……」スッ

 

少女「」ビクッ!

 

 

――――ポンッ

 

 

少女「!」

 

使用人「……すまない」ナデナデ

 

使用人「また……」

 

少女「」ポロポロ

 

使用人「………………」

 

少女「グスッ…ヒック…」ギュッ

 

使用人「お願いします……この子を助けてください」ペコリ

 

リゼ父「…………」

 

使用人C「……っ。俺からもお願いします」ペコリ

 

使用人B「お願いします!」ペコリ

 

メイドD「わたしからも、お願いします」ペコリ

 

りぜ「おとうさん……!」

 

メイドA「お願いします旦那様、この子を助けてあげてください」ペコリ

 

リゼ父「……………………」

 

リゼ父「こいつは、俺の家族を傷つけた」

 

全「……!」

 

リゼ父「そしてこの持ち物、見ての通りだ」

 

リゼ父「この屋敷にはリゼもいる、キッチンもある。いつ誰がこいつの犠牲になるか分からない」

 

使用人&メイドA「この子はそんな子じゃあ――!」

 

リゼ父「それを決めるのはお前らじゃなく周りの人間だと言ってるんだ」

 

全「…………」ビクッ

 

リゼ父「だから……ここはひとつ、リゼに決めてもらうのはどうだ?」ポンッ

 

りぜ「ふぇ?」

 

メイドA「お嬢様に、ですか?」

 

リゼ父「子供の目から見て、こいつは救うに値する人間か。信頼できるのか」

 

リゼ父「全員、リゼの決断に従え」

 

リゼ父「俺は部屋に戻る、あとは任せた」

 

使用人「あ……」

 

りぜ「わたしが……このひとを……」

 

少女「…………」ウツムキ

 

りぜ「………………」

 

 

 

『メイドA「ぐっ……!」ブシュ!』

 

 

『リゼ父「いつ誰がこいつの犠牲になるか分からない」』

 

 

 

りぜ「………………」グッ

 

 

 

『使用人「お願いします……この子を助けてください」』

 

 

『メイドA「例えこの子があと少しだけの命だとしてもです。気づいたわたしたちだけは、傍にいてあげましょう。独りぼっち以上に辛いことなんて、この世にないですから」』

 

 

 

メイドA「お嬢様……」

 

使用人「お嬢……」

 

りぜ「おまえ……わたしと『しんゆう』になるか?」

 

少女「!」

 

りぜ「ううん。わたしとも、こいつとも、みんなともだ」

 

少女「…………」

 

りぜ「…………」

 

少女「」コクリ

 

りぜ「よし」スッ

 

少女「?」

 

りぜ「あくしゅだ」

 

少女「」スッ

 

 

――ギュッ

 

 

りぜ「これから、よろしくたのむ」ニコッ

 

 

全「ぁ……!」

 

使用人「お嬢……感謝します」ペコリ

 

メイドA「ブラボ~、お嬢様は世界一です」パチパチ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

リゼ(あったっけな……そんなこと)

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………」ウツラウツラ

 

リゼ「んっ……」ポワポワ

 

リゼ「……スゥ」

 

リゼ「スゥ…………スゥ…………」Zzz

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「んっ……?」

 

リゼ「…………」Zzz

 

使用人「お嬢……」

 

使用人(こんなところで寝て……んっ?)

 

使用人「これ……アルバム?」

 

使用人「…………」

 

リゼ「ん……」Zzz

 

使用人「フッ……」

 

使用人「お嬢、失礼します」ヒョイ

 

リゼ「ぅぁ……なんだ、お前か……」ポワポワ

 

使用人「ええ、あっしです」

 

リゼ「…………」Zzz

 

使用人「小さいお嬢が待っていますよ、部屋に戻りましょう」

 

リゼ「スゥ……」Zzz

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家 リゼの部屋――

 

 

使用人「よっと……」

 

リゼ「…………」Zzz

 

ここあ「ん……ぇへへ……」Zzz

 

使用人「おやすみなさいませ」ナデナデ

 

使用人「んっ……?」

 

メイド「」Zzz

 

使用人「ははっ……」ニコ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. Beyond the Average より:

    メイドAさんに千夜に似た雰囲気を感じました。使用人さんが千夜に感じる「あの人」の面影とはこの人のことかなと私は思いました。
    私はメイドさん=ぼろぼろの少女と(勝手に)想像していますが、まだはっきりしていないのでこれからのお話で明らかになるのかなとドキドキしています…!
    ついに使用人さんたち天々座家の”家族”の過去がわかるのかなと期待しています!

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      次回作でついに明らかになりましたね。
      倒れていた少女はあなたの想像通り、後にメイドさんとなる方でした。
      今後のメイドAさんを中心に描かれる物語の中に、きっと使用人さんの想い人の人物も明かされることでしょう。
      いったい過去にどんなことがあったのか、予想しながらお楽しみくださいませ。

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