ごちうさSS ココア「作り笑顔を治したい?」 シャロ「うん……」

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ココア「そっか、でも笑顔なのは良いことだと思うよ?」

 

シャロ「うん……この前相談したら、千夜もそう言ってくれた」

 

シャロ「でも、私のは作り笑顔で……ココアみたいに、ほんとに楽しくて笑ってるわけじゃないから」

 

シャロ「毎日疲れてきて…………それに」

 

シャロ「学校の友達を騙してるみたいで、自己嫌悪が…………」

 

ココア「……シャロちゃん…………」

 

シャロ「うぅ……ごめんね、こんなこと相談して……」

 

ココア「ううん、頼ってくれて嬉しいよ。でもそっか……作り笑いの治し方かぁ」

 

シャロ「ココアはいつも笑顔だから、何か良いアドバイスが貰えるかもって千夜が……」

 

ココア「うーん………………」

 

シャロ「……………………」ウツムキ

 

ココア「…………そうだ!」

 

シャロ「ひゃっ!」

 

ココア「シャロちゃん、明日空いてる?」

 

シャロ「明日?えっと、確か夕方からバイトね」

 

ココア「それなら夕方まで私と一緒に遊ぼうよ♪」

 

シャロ「ココアと……?う、うん、いいけど……」

 

ココア「決まりだね!明日の朝から迎えに行くから。寝坊しちゃだめだよ?」

 

シャロ「あんたじゃないんだから……」

 

ココア「シャロちゃんと二人きりでお出かけ~♪」

 

ココア「大丈夫、明日にはきっと治るよ!絶対シャロちゃんの作り笑顔を本当の笑顔に変えて見せるから」グッ

 

シャロ「ココア…………」

 

シャロ「うん……ありがとう」

 

 

―――――――――――――――――――

 

――桐間家――

 

シャロ(明日着ていく服、これでいいかな……)

 

シャロ(お金は……5000円あれば足りるわよね)

 

シャロ(またしばらくは節約生活になりそうだけど……)

 

シャロ「……よし、完璧よ!」

 

シャロ「ふぅ…………」ベッド ダイブ

 

シャロ(……………………)

 

シャロ(そういえば、ココアと二人きりで出かけるのって初めてかも)

 

シャロ(……………………)

 

シャロ(…………はっ!)

 

シャロ(どうしてわたし緊張なんかしてるんだろ!//)ブンブン

 

シャロ(相手はココアよ、それに二人でどっか遊びに行くだけじゃない)

 

シャロ(…………………………)

 

シャロ(もう一度服選び直そう)

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

――翌日 待ち合わせ場所――

 

シャロ「………………」キョロキョロ

 

シャロ(まだかしら……待ち合わせ時間もうとっくに過ぎてるじゃない)

 

シャロ(昨日あれだけ寝坊しないように釘刺しておいたのに、まったく……)

 

シャロ「……………………」

 

5分後

 

シャロ「……………………」

 

10分後

 

シャロ「……………………」オドオド

 

シャロ(まさか……忘れちゃったとかじゃないわよね)

 

シャロ(いや、ココアに限ってそんなこと……)

 

シャロ「…………………………」

 

シャロ「……………………」グスッ

 

シャロ「うぅ……ココア、早く来てよ……」

 

―――――――――――――――――――

 

ココア「ヴエエェェ!寝坊しちゃったー!」タッタッタ

 

ココア「シャロちゃん……あっ、いた!」

 

ココア「シャロちゃーん!」ブンブン

 

シャロ「こ、ココアぁ…………」ジワッ

 

ココア「シャロちゃん!?どうしたの!?」

 

シャロ「ひっく……遅いわよバカ……」ポロポロ

 

ココア「ごめん!ほんとにごめんね!お詫びにクレープ奢るから」アセアセ

 

シャロ「クレープ……?」ピタッ

 

ココア「うん。ほら、向こうで売ってるから」

 

シャロ「……しょうがないから許してあげる」ゴシゴシ

 

ココア「」ホッ

 

 

――――――――――――――――――――

 

シャロ「……………………♪」モグモグ

 

ココア(こんな幸せそうなシャロちゃん初めて見た……)

 

シャロ「…………で、ココア?」

 

ココア「んっ?」モグモグ

 

シャロ「それはなに?」

 

ココア「えっ、シャロちゃんたら知らないの?これはね、虫あみって言ってこうやって虫を取るためのものだよ。それでこれは虫かごっていって――」

 

シャロ「そんなこと分かってるわよ!どうして虫取りなのよ、こういう時は普通映画とかでしょ」

 

ココア「シャロちゃんと一緒に虫取りしたかったの…………いや?」

 

シャロ「うっ……べ、別に嫌とは言ってないでしょ……虫は大体平気だし」ゴニョゴニョ

 

ココア「ありがとう!じゃあ食べ終わったら公園にいこっ」

 

シャロ「はぁ……わかったわよ」

 

ココア「♪~♪♪」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

――公園――

 

ココア「えいっ!……あっ、また逃げられちゃった」

 

シャロ「勢いよく振り下ろすからよ、ちょっと貸して」

 

シャロ「いい?セミを捕るときはこうやって――」

 

シュッ

 

ココア「おおっ!」

 

シャロ「セミは網に触れたら飛ぶから、上からくっつけるだけでいいのよ」

 

ココア「すごい!シャロちゃんてもしかして虫取り名人?」

 

シャロ「上手くなりたかったわけじゃないけどね、小さい頃千夜に毎日つき合わされてたから」

 

ココア「なるほど~幼なじみっていいなぁ」

 

ココア「まずは一匹ゲットだね、セミちゃんおいで」ガサガサ

 

シャロ「ココア待って、そんな捕まえ方したら――」

 

ビュッ!

 

ココア「ひゃあっ!」

 

シャロ「あっ…………」

 

ココア「うぅ……おしっこかけられた……」グスッ

 

シャロ「……ふふっ」クスッ

 

ココア「あっ!シャロちゃん今笑ったでしょ!」

 

シャロ(小さい頃、私も同じ目に遭って泣いちゃったことがあったっけ……)

 

シャロ「ごめんなさい、大丈夫?……ふふっ」クスッ

 

ココア「……それでいいんだよ」

 

シャロ「えっ?」

 

ココア「気付いた?今日シャロちゃんが笑顔になったのって、たったの二回だけだよ?」

 

ココア「クレープ食べてる時と、いまこうして笑ってるのと」

 

シャロ「……言われてみれば…………」

 

ココア「それでもわたし、シャロちゃんと一緒にいて楽しいよ?」

 

シャロ「ココア…………」

 

ココア「無理して笑わなくてもいいんじゃないかな。楽しい時と嬉しいときに笑う方が、きっともっと素敵だよ♪」

 

シャロ「…………!」

 

シャロ「…………そうね……でも……」

 

ココア「……あそこのベンチ、座ろっか♪」

 

シャロ「うん…………」

 

 

ココア「昨日調べたんだけどね、作り笑顔って、大体は相手に嫌われないようにする自己防衛なんだって」

 

シャロ「そっか……やっぱり、貧乏っていう後ろめたさがあるからかな…………」

 

ココア「そうかもしれない……でも私は、シャロちゃんの作り笑顔はそれだけの理由じゃないと思うんだ」

 

ココア「――きっとね、シャロちゃんの作り笑顔は、相手の笑顔を守るおまじないなんだよ」

 

シャロ「おまじない……?」

 

ココア「どんな人だって自分の話しを笑顔で聞いてもらえたら嬉しいよね?」

 

ココア「シャロちゃんはたぶん、相手のことを思いやるあまりについ笑顔を作っちゃうんだよ」

 

シャロ「…………!」

 

ココア「相手に不快な思いをさせないようにって考えるあまり、自分の気持ちを押し殺して……」

 

シャロ「………………」

 

ココア「すごく素敵なことだと思うよ?優しい人じゃないと毎日そんな辛いことできないもん」

 

シャロ「ココア………………」

 

ココア「でもね…………わたしはそれでも、本当の笑顔の方が良いと思うな」

 

シャロ「………………」ウツムキ

 

ココア「あのね、実はわたしイチゴアイスが大好きなの」

 

シャロ「えっ……?」

 

ココア「小さい頃ね、初めてお小遣いをもらった時に近所の駄菓子屋でイチゴアイスを5個も食べたんだ」

 

ココア「そしたらしばらくの間、イチゴアイスに魅力を感じなくなって……」

 

ココア「それと一緒だよ」ニコッ

 

シャロ「一緒……?」

 

ココア「ずっとずっと見ていたら、きっと笑顔に魅力を感じなくなっちゃうんだと思う……」

 

ココア「楽しいことだって毎日続いたら退屈と変わらなくなるでしょ?いつもじゃないからこそ良いんだよ」

 

ココア「絶対おまじないより効果あるよ、だって笑顔は人を幸せにできる魔法だもん♪」

 

シャロ「!……………………」

 

シャロ「…………わたし……作り笑顔、無くせるかな……」

 

ココア「…………シャロちゃん」

 

ギュッ

 

シャロ「…………!」

 

ココア「無理に無くそうとしなくていいんだよ」

 

ココア「シャロちゃんの作り笑顔に救われた人だって、きっといる……」

 

ココア「ただ作り笑顔だけじゃなく、シャロちゃんの本当の笑顔を混ぜるだけで良いんじゃないかな」

 

ココア「そしたらいつかは自然と、作り笑顔がほんとの笑顔になるよ」

 

ココア「だってわたし、今でもイチゴアイス大好きだもん♪」

 

シャロ「………………っ!」

 

シャロ「っ…………ひっく……ぐすっ……」ジワッ

 

ココア「よしよし……シャロちゃん偉いよ」ナデナデ

 

シャロ「ココア……っ……ぅぐ……!」ポロポロ

 

ココア「説教してごめんね……」ナデナデ

 

シャロ「ぅ……っ…………!」ギュッ

 

 

――――――――――――――――――――

 

――夕方――

 

ココア「シャロちゃん、ほんとに平気?」

 

シャロ「ええ、もう大丈夫よ」

 

ココア「それならいいけど……」

 

シャロ「そろそろ時間だから行くわね、今日は楽しかったわ」

 

ココア「私もだよ、また二人で遊ぼうね!」

 

シャロ「うん、約束」スッ

 

ココア「えへへ……ゆーびきーりげんまん♪」

 

シャロ「……………………」

 

シャロ「ココア、ちょっと横向いて」

 

ココア「横……?」

 

 

ホッペ チュッ

 

 

ココア「え…………」

 

ココア「……しゃ……シャロ、ちゃん……?//」

 

シャロ「そ、それじゃあ行ってくるわ//」スタスタ

 

ココア「うん…………い、行ってらっしゃーい!//」ブンブン

 

シャロ「……………………//」

 

シャロ「…………ココア、ありがとう♪//」

 

 

――1週間後――

 

リゼ「シャロ、おはよう」

 

シャロ「あっ、リゼ先輩!おはようございます♪」

 

リゼ「おっ、元気がいいな」

 

生徒「シャロさん、リゼ先輩、おはようございます」

 

リゼ「ああ、おはよう」

 

シャロ「おはようございます♪」

 

リゼ「………………」

 

シャロ「♪~♪♪」

 

リゼ「なぁ、シャロ?」

 

リゼ「なんだか最近、よく笑うようになったな」

 

シャロ「へっ?そ、そうですか?//」

 

リゼ「ああ、以前より学校が楽しそうでなによりだ。新しい友達でもできたのか?」

 

シャロ「いえ…………ただ――」

 

シャロ「――おまじないが、魔法になってくれたらいいなって♪」

 

リゼ「?」

 

――おしまい

 

ココシャロでした。

感想

  1. 匿名 より:

    最高です!いつも良いSSをありがとうございます!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ご満足いただけてなによりです
      こちらこそいつもご愛読ありがとうございます♪

  2. 幻想の夢 より:

    ココア可愛い(*´д`*)ハァハァ

  3. 幻想の夢 より:

    ココアたん(*´ω`*)

  4. 消臭剤 より:

    …しれっと型にはまったプラン(映画館など)を避けて、
    低予算かつシャロに関係しそうなプランを組んでいたな…
    「適当にはしゃいで忘れよう」というスタンスとは一味も二味も違う。
    もし、私が人を慰める立場に立てるなら、彼女の気配りと工夫を是非とも見習おう。

    …香りで匂いをごまかすことしかできないような存在には、絶対になってたまるか。
    (今の例えの脱線ぶりはスルー願います、
     某CMぐらいしか的確な例えが思いつかないのです)

  5. Beyond the Average より:

    ココアとシャロって、珍しい組み合わせですね。なんだか新鮮です!
    話が進むにつれて、二人がだんだん親しくなっていって気軽に話すようになったのが良かったです。(でもキス、はさすがにチノが怒りそうかな(笑))

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      懐かしい作品です。
      この作品だけは実はあまり良い思い出は無く、それでも当時軒並み高評価を頂きホッとしていた記憶があります。

  6. 匿名 より:

    最近こちらのサイトの存在を知り、作品を拝見させていただいております。

    砂水クジラ先生の作品は、『誰かが誰かを救う』作品がどれも好きで、この作品も素晴らしいと感じました。
    『楽しい事でも毎日続いたら退屈と変わらない』と言ったココアの言葉にも共感を覚えました。
    楽しいだけなら、きっと幸せを見失ってしまいますからね。

    素敵な作品に巡り会えて本当に良かったと思います。ありがとうございました!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      『輝きは君の中に』という曲にこれと同じ言葉がありましたね。
      よろしければまたお越しください。

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