ごちうさSS 千夜「落ち込んでいるみんなを甘えさせる」

 

 

――

――――

――――――

 

 

Case1 ココア

 

 

――放課後――

 

千夜「ココアちゃん、帰りましょうか」

 

千夜「お疲れ様、6限目に体育は嫌ね」

 

千夜「大丈夫?ゆっくり行きましょう」

 

 

千夜「ごめんなさい、リゼちゃんにみたいに背負ってあげられたらいいんだけど」

 

千夜「良かったら一度試してみる?階段で転げ落ちちゃうかもしれないけど……」

 

千夜「あらあら、でも賢明ね」ニコッ

 

 

千夜「今日はラビットハウスはお休みなのね、それならウチに寄って行かない?」

 

千夜「ココアちゃんにならいくらでもサービスするわ、お団子なら2倍サイズに♪」

 

千夜「食べきれない?それなら今度チノちゃんと一緒に来た時に」

 

千夜「ハッ!……ぼた餅の3連串……悪くないわね」

 

千夜「ココアちゃん、今度一緒に名前を考えましょう!」キラキラ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

千夜「はい、ご注文の千夜月よ」

 

千夜「向かいの席、お邪魔するわね」スッ

 

千夜「………………」

 

千夜「ココアちゃん……最近、なんだか元気ない?」

 

千夜「――ほんとう?」

 

千夜「……………………」

 

千夜「なにか、あった?」

 

千夜「……そう、自分でも分からないのね」

 

千夜「…………」

 

千夜「そっち、座ってもいい?」

 

千夜「…………」スッ

 

千夜「……ねぇ、ココアちゃん?」

 

千夜「たぶんね……この街に来てから、ずっと頑張りすぎてたんじゃない?」

 

千夜「慣れない環境、ホームスティ……全てが初めての経験だったんだもの、無理もないわ」

 

千夜「みんなのために、いつも笑顔で頑張ってるココアちゃんをたくさん見てきた」

 

千夜「今も、チノちゃんのお姉ちゃんになろうとしたり……」

 

千夜「そんなココアちゃんのこと、わたしは大好きだし、すごいって思う」

 

千夜「……でも、時々」

 

千夜「――たまには、弱音くらい吐いてもいいんじゃないかって」

 

千夜「たくさん頑張ったから……疲れちゃったのかも」

 

千夜「……違う?」

 

千夜「…………」

 

千夜「――ココアちゃん」

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「大丈夫、大丈夫だから……」ナデナデ

 

千夜「わたしは、どんなココアちゃんでも受け入れるわ」

 

千夜「だから、ね」

 

千夜「疲れちゃったときは、遠慮せずに寄りかかりましょう」

 

千夜「たまには、妹になったっていいから……」

 

 

――ポスッ

 

 

千夜「ココアちゃん……」

 

千夜「いつもみんなのために一生懸命だものね、ココアちゃんは」

 

千夜「えらいわ」ナデナデ

 

千夜「辛くなっても我慢して、笑顔で耐えてきたのよね」

 

千夜「ココアちゃんはもう、立派なお姉ちゃんよ」

 

千夜「泣かないで……よしよし」ナデナデ

 

千夜「いいのよ、誰だって寄りかかりたい時がある……」

 

千夜「どんなに頼れる人だって、きっとモカさんだって……」ナデナデ

 

千夜「ココアちゃん、良い子良い子」

 

千夜「人のために笑顔でいられる……素敵ね」

 

千夜「よしよし……ふふっ」ニコッ

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

Case2 チノ

 

 

――ラビットハウス――

 

 

千夜「お邪魔します」

 

千夜「あら……チノちゃんだけ?」

 

千夜「――そうなの、珍しいわね」

 

千夜「せっかくだからゆっくりお話ししましょうか、オリジナルブレンドください」

 

千夜「あと、カプチーノも」

 

 

 

千夜「ありがとう。はい、チノちゃんも」コトッ

 

千夜「ううん、わたしはお客だから気にしないで。これはわたしの奢り」

 

千夜「……ふぅ」

 

千夜「ココアちゃんやリゼちゃんがいないと静かね」

 

千夜「チノちゃん一人だけだった頃のラビットハウスも、こんな感じだった?」

 

千夜「そう、良かったわね、ココアちゃんやリゼちゃんが来てくれて」ニコッ

 

千夜「いつも二人に囲まれているチノちゃんが羨ましいわ」

 

千夜「――そうね、確かに寂しいけど、でも大丈夫よ」

 

千夜「ココアちゃんだってチノちゃんだってリゼちゃんだって、みんな遊びに来てくれるから」

 

千夜「あとはシャロちゃんがもっとお店に顔出してくれたら……でもアンコがいるから難しいわね」

 

千夜「わたしの悩みは、これくらい」

 

千夜「――次は、チノちゃんの番よ」

 

 

千夜「行きたい高校、決まった?」

 

千夜「――ウチに来てくれるのね、嬉しいわ。ココアちゃんには教えてあげた?」

 

千夜「まだなの?」

 

千夜「……そう、それがチノちゃんの悩みなのね」

 

千夜「チノちゃん、最近浮かない顔してたから気になって」

 

千夜「わたしで良かったら、悩み、聞かせて?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

千夜「踏ん切りがつかないのね……」

 

千夜「チノちゃんの気持ち、分かるような気がする」

 

千夜「自分の中で答えは決まっているのに、最後の一歩がなかなか踏み出せない……」

 

千夜「人に悩みを相談する人のほとんどがそうだって、聞いたことある」

 

千夜「チノちゃんは、どうして踏みとどまっているのかしら?」

 

千夜「……マヤちゃんや、メグちゃんのこと」

 

千夜「新しい高校生活への不安……」

 

千夜「他にもあるわね……無理もないわ」

 

千夜「でも、ココアちゃんやマヤちゃんメグちゃん、誰にも心配かけたくない……」

 

千夜「相談できないし、辛いし、難しい悩みね」

 

千夜「――迷惑なんかじゃないわ、正直に話してくれてありがとう」

 

千夜「……そうね」

 

千夜「……………………」

 

千夜「……ねぇ、チノちゃん?」

 

千夜「色々、溜め込みすぎてない?」

 

千夜「………………」

 

千夜「……こっちにきて」

 

千夜「――はい、ここに座って」

 

千夜「身体、楽にして……」

 

千夜「――えいっ」

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「よしよし……」ナデナデ

 

千夜「いくら悩んでも解決しない……辛いわね」

 

千夜「誰にも打ち明けることもできなくて、ずっと一人で耐えてたのよね……えらいわ」

 

千夜「チノちゃんは強い子ね」ナデナデ

 

千夜「でも、きっと心配いらないと思う……」

 

千夜「わたしもね、高校に入る前、チノちゃんみたいに悩んだことがあった」

 

千夜「シャロちゃんと離れ離れになって、どうなっちゃうのかなって」

 

千夜「このまま疎遠になったりしたら、シャロちゃんになにかあったら、って」

 

千夜「でもね、全部わたしの杞憂だったの」

 

千夜「蓋を開けてみたら全然変わらなかった……――ううん、違う」

 

千夜「中学生の頃よりも、もっと楽しくなった。もっと、身近に感じられるようになった」

 

千夜「前より一緒にいる時間が少なくなったはずなのに……不思議なものね」

 

千夜「だから、チノちゃんも大丈夫」

 

千夜「例え離れ離れになったって、みんなずっと一緒……」

 

千夜「高校生活だって、一人じゃないわ」

 

千夜「わたしもココアちゃんも、学年は違っても、チノちゃんのこと全力で支えてあげたい……力になってあげたい」

 

千夜「必ず、楽しい高校生活が待ってる」

 

千夜「チノちゃんは強い子だもの……大丈夫、大丈夫」ナデナデ

 

千夜「泣かないで……ふふっ、よしよし」

 

千夜「もっと自分を、みんなを信じてあげましょう」

 

千夜「チノちゃんの選ぶ道に、間違いなんてないから」

 

千夜「――たくさん、幸せになってね」ニコッ

 

 

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Case3 リゼ

 

 

――リゼの部屋――

 

 

千夜「あっ、リゼちゃん、おかえりなさい」

 

千夜「ごめんなさい、連絡もなくいきなり」

 

千夜「和菓子を持ってきたんだけど、リゼちゃんまだ帰ってなかったから」

 

千夜「――20分前くらいかしら?」

 

千夜「ううん、気にしないで。はいこれ、今日の余りものだけど」

 

千夜「リゼちゃん、この前ウチのお団子おいしいって言ってたから」ニコッ

 

千夜「今日もお疲れ様、明日は休日だからゆっくりしてね」

 

千夜「それじゃあまた――」

 

千夜「……?」

 

千夜「――リゼちゃんがいいなら、わたしはもちろん」

 

千夜「でも、疲れてない?」

 

千夜「――嬉しいわ、ならリゼちゃんの疲れを癒すために頑張らないとね」

 

千夜「ありがとう。少しだけお言葉に甘えるわ」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

千夜「そう、今日も部活の助っ人だったの」

 

千夜「いつもたくさん頼りにされて、大変ね、リゼちゃんも」

 

千夜「その上ラビットハウスでのアルバイトまで……頑張り屋さんだわ」

 

千夜「えらいえらい」ナデナデ

 

千夜「あら、ダメだった?」

 

千夜「誰もいないから気にしなくていいわ、リゼちゃん良い子」ナデナデ

 

千夜「大学生になっても、いまの優しいリゼちゃんのままでいてね」

 

千夜「ふふっ、疎遠になったりしたら、また今日みたいに奇襲しようかしら」

 

千夜「――そうね、そんな心配なさそう。だって、リゼちゃんだもの」

 

千夜「みんなが寂しそうにしていたら、何を置いてもすぐに駆け付けてくれそう」

 

千夜「――リゼちゃんも、寂しくなったらすぐに言ってね」

 

千夜「もしかして、今日も寂しかったのかしら」クスッ

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

千夜「リゼちゃん……?」ツンッ

 

千夜「………………」

 

千夜(どうしよう、寝ちゃったわ……)

 

千夜(もたれ掛かったままだと首を痛めちゃうかも……)

 

千夜「……リゼちゃん、ちょっと失礼するわね」

 

――ポスッ

 

千夜「これなら大丈夫」ナデナデ

 

千夜「膝枕、気持ちいい?」

 

千夜「……疲れてるのね、無理もないわ」

 

千夜「…………」

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「よしよし……リゼちゃん」ナデナデ

 

千夜「いつも誰かのために、一生懸命なのね……」

 

千夜「リゼちゃんのそういう優しいところ、好きよ」

 

千夜「みんなのこともわたしのことも気にかけてくれて……」

 

千夜「ありがとう、リゼちゃん」ニコッ

 

千夜「でも、たまにはわたしたちのことも頼ってね」

 

千夜「わたしたちもリゼちゃんのこと、すごく大切だから」

 

千夜「ふふっ、こうして寝顔を見ていると可愛いわ……年下みたい」

 

千夜「リゼちゃん、良い子ね」ナデナデ

 

千夜「――おやすみなさい、ゆっくり休んで」

 

千夜「ずっと、そばにいるから」ギュッ

 

 

 

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CaseFinal シャロ

 

 

――夜 甘兎庵――

 

 

千夜「シャロちゃん、お疲れ様♪」

 

千夜「疲れたでしょう、お風呂湧いてるわ」

 

千夜「わたしはお店の片づけがあるから、先に入って」

 

千夜「――あっ、手伝ってくれなくても大丈夫よ」

 

千夜「……そう、ありがとうシャロちゃん」

 

千夜「でも、あんまり無理しないで」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

千夜「ふぅ……」チャポン

 

千夜「落ち着くわね、お風呂っていいわ」

 

千夜「ところでシャロちゃん、明日は?」

 

千夜「――そう、休日なのね。良かったわ」

 

千夜「ゆっくり休んで、シャロちゃんは頑張りすぎるから心配なの」

 

千夜「甘兎庵が終わったら、マッサージしに行くわ」

 

千夜「いらない?それなら明日、晩ご飯だけでもウチで一緒に食べましょう」

 

千夜「――どういたしまして」ニコッ

 

 

千夜「シャロちゃん、明日お休みなのよね?それなら今夜泊まっていかない?」

 

千夜「……そう」シュン

 

千夜「なんて、冗談よ。家でゆっくり寝たいわよね」

 

千夜「変なこと言ってごめんなさい」

 

千夜「――え」

 

千夜「気を遣ってくれなくていいのよ?軽い冗談から」

 

千夜「――!」

 

千夜「ふふっ……」ニコッ

 

千夜「シャロちゃんありがとう、今夜は二人で一つの布団で眠りましょうか?」

 

千夜「冗談よ、シャロちゃんたら赤くなって」クスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

千夜「こうして二人で寝るのって、久しぶりね」パサッ

 

千夜「中学生の頃以来かしら、そう言えば小さい頃のシャロちゃんはお手洗いに一人で行けなくて――」

 

千夜「なんだかあの頃が懐かしいわ」

 

千夜「あれだけ臆病で内気だったシャロちゃんも、いつのまにかわたしの手から離れて自立して……」

 

千夜「そうね、幼馴染っていうよりは親の気分ってところかしら」

 

千夜「……ねぇ、シャロちゃん?」

 

千夜「学校でも、バイト先でも……嫌なこと、ない?」」

 

千夜「――そう、なにかあったらすぐに言ってね」

 

千夜「小さい頃みたいに、何でも話してくれていいのよ」

 

千夜「二人きりの時は……ね?」

 

千夜「………………」

 

千夜「そうなの……大変だったわね」

 

千夜「今日も色々あったのね……お疲れ様」

 

千夜「シャロちゃん……よしよし」ナデナデ

 

千夜「――あの頃みたいに、ギュってする?」

 

千夜「――大丈夫、誰もいないから」

 

千夜「…………」クスッ

 

千夜「わかったわ、それじゃあ――」スッ

 

 

――ギュッ

 

 

千夜「シャロちゃん……」ナデナデ

 

千夜「辛かったわね……よしよし、可哀そうに」

 

千夜「大丈夫、わたしはシャロちゃんの味方よ」

 

千夜「シャロちゃんがいつも頑張っていること、知ってるわ」

 

千夜「泣かなくていいのよ……よく我慢したわね、えらいわ」ギュッ

 

千夜「……どう?」

 

千夜「あら……シャロちゃん?」

 

千夜「泣いてるの……?懐かしくて涙が出ちゃった?」

 

千夜「違う……?大丈夫?」

 

千夜「……そう、なら、続けるわね」

 

千夜「シャロちゃん……えらいえらい、良い子ね」

 

千夜「頑張り屋さんなシャロちゃんには、必ず幸せが訪れるわ」

 

千夜「たくさん泣いたり、笑ったりしていいのよ……」

 

千夜「どんなシャロちゃんでも、わたしは大好きだから」ナデナデ

 

千夜「ふふっ……」

 

千夜「いつも、お疲れさま」ギュッ

 

千夜「これからも甘えたい時は、素直に甘えていいのよ」

 

千夜「シャロちゃんも、みんなも」

 

千夜「わたしの、大切な――」

 

千夜「――♪」クスッ

 

――FIN

感想

  1. Beyond the Average より:

    なんだか自分が千夜に慰めてもらっている感覚になれますね。
    そんな千夜がだれかに甘えているところも見たいですね!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ションボリ千夜ちゃんシリーズでは、リゼちゃんに甘える千夜ちゃんがご覧になれますよ。

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