ラブライブ SS 穂乃果「新章・理不尽ことうみ」七並べ編

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――休日 部室――

 

ガラッ

 

海未「失礼します――おや?」

 

穂乃果「あっ、海未ちゃんことりちゃん!」

 

凛「いいところに来てくれたにゃ」

 

ことり「まだ30分間前なのに二人とも早いね」

 

穂乃果「あはは、実は午前中に二人で遊んでたんだけど」

 

凛「あまりに暑かったからクーラーの付いてる部室に非難したの」

 

海未「なるほど、それで暇をもてあましていたわけですか」

 

ことり「ウォーミングアップにはまだ早いし、少しだけみんなで遊んでよっか」

 

凛「おお、さすがはことりちゃん」

 

穂乃果「よーし、みんなでトランプしよっ」

 

海未「ふむ、トランプですか……せっかくですし、ババ抜き以外で遊びませんか?」

 

穂乃果「大富豪とかどうかな?」

 

凛「大富豪だと何度もするから長くなっちゃうにゃ」

 

ことり「じゃあ七並べでもしない?」

 

海未「いいですね、それなら一度でちょうどいい時間になります」

 

穂乃果「七並べかぁ、四人いるし良いかも」

 

凛「凛、七並べは得意だよ」フンス

 

海未「それではババは無しでいきますか」

 

ことり「パスは三回まで、一番はやく手札が無くなった人が勝ちだね」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

海未「それでは始めましょう」

 

ことり「ダイヤの7を持ってたのは凛ちゃんだから、凛ちゃん、穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりの順だね」

 

穂乃果「負けないよー」

 

凛「まずは凛のターンにゃ」

 

ことうみ「」

 

凛「ハートの6」

 

穂乃果「うーん……スペードの6」

 

海未「スペードの8」

 

ことり「ハートの8」

 

――

――――

――――――

 

凛「パスにゃ♪」

 

穂乃果「ふふん、クローバーの11」

 

ことり「ううーん、このままだとまずいよぉ」

 

海未「…………」コトリノテフダ チラッ

 

海未「誰ですか、ずっとダイヤの6を止めてるのは」

 

海未「いい加減出さないと終わらないじゃないですか」

 

穂乃果「うーん、たぶん作戦じゃないかな」

 

凛「七並べの極意にゃ」エッヘン

 

海未「しかし、本来ゲームとはみんなで楽しむものですからね」

 

海未「こんな意地悪をされてはやられた方も見ていた方も気分を害してしまいます」

 

ことり「そうだよねぇ」

 

穂乃果「えっ……でも――」

 

凛「これ、七並べだから……」

 

海未「」イラッ

 

海未「っ……いい加減にしなさいっ!」ダン!

 

ほのりん「ひっ!」ビクッ

 

海未「なにが極意ですか、あなたたちは人の嫌がることをしてはいけないと両親から学ばなかったのですか!」

 

海未「自分の欲のために人を犠牲にするような見苦しい真似はやめなさい!」

 

 

『ほのりんの間違った考えに思わず声を荒げる海未』

 

 

穂乃果「…ごめんなさい……」シュン

 

凛「…………」ビクビク

 

海未「……凛」

 

凛「!」ビクッ

 

海未「まさかあなたは他人に、あまつさえ先輩にそんなことはしませんよね」ニコッ

 

ことり「凛ちゃんは優しくていい子だもんね、ことりは信じてるよ」ニコッ

 

凛「…………」グスッ

 

凛「ごめんね……ダイヤの6、出すの忘れてたにゃ……」ウルウル

 

穂乃果「凛ちゃん…………」

 

海未「気にしないでください、うっかりすることは誰にでもあります」

 

 

『凛のミスを許してあげる心の優しい海未』

 

 

ことり「これでダイヤの5が出せるよ♪」

 

ほのりん「………………」シュン

 

ことうみ「」

 

 

凛「ハートの3が出ないとまずいかも……」

 

穂乃果「えっと、スペードの10」

 

ことり「ごめんね凛ちゃん、助けてあげたいけどことりは持ってないかな」

 

海未「……………………」

 

テフダ ハート 3

 

海未「」

 

ことり「…………」ウミノテフダ チラッ

 

ことり「………………」

 

ことり「うっ…………」ドタッ

 

穂乃果「ことりちゃん!?」ガタッ

 

凛「大丈夫!?しっかりして!」

 

ことり「なんだかいきなり身体の力が抜けて……」

 

海未「」コソコソ

 

凛「日頃の疲れが出たのかな」

 

穂乃果「ことりちゃんすぐに無理するから……」

 

海未「」コソコソ

 

凛「!……海未ちゃん…………?」

 

海未「ことり、大丈夫ですか!」

 

ことり「……あれ、なんだか急に楽になってきたかも」

 

穂乃果「えっ、ほんと!?」

 

ことり「みんなありがとう、もう大丈夫だよ」

 

凛「……………………」

 

海未「そうですか、では再開するとしましょう」

 

穂乃果「ことりちゃん、ほんとに大丈夫?」

 

ことり「うん、一時的なものだったみたい」

 

海未「ところでさっきからハートの3を止めてるのは誰ですか」

 

海未「このままでは凛が可哀想です」

 

海未「ダイヤの9」

 

凛「……パス」

 

ことり「ことりは持ってないかなぁ、穂乃果ちゃんは?」

 

穂乃果「穂乃果も持ってないよ――――あれ?」

 

穂乃果「…………これ」スッ

 

ハート 3

 

ことうみ「………………」

 

穂乃果「なんで……さっきまで無かったのに」

 

海未「……穂乃果、まさかあなたの仕業だったとは」

 

ことり「穂乃果ちゃんがこんな意地悪するなんて……」

 

 

『穂乃果がハートの3を隠し持っていたことにショックを隠し切れないことうみ』

 

 

穂乃果「ち、違うよ!さっき確認したときはハートの3なんて無かったもん!」

 

海未「しかし、現にあなたの手札にありましたよね」

 

ことり「今回は見落としていたとは考えにくいし……」

 

凛「……さっき、ことりちゃんが倒れたときに海未ちゃんが……」

 

穂乃果「えっ……」

 

海未「はっ?」

 

凛「!」ビクッ

 

海未「凛、それはいったいどういうことですか」

 

海未「あなたまさか、わたしが穂乃果に罪をなすりつけてると言いたいのではないでしょうね?」

 

凛「…………」ウツムキ

 

海未「なんとか言いなさい!」

 

海未「わたしは今あなたのために穂乃果に説教しているのですよ!」

 

海未「それをこともあろうか、わたしに因縁をつけるなんて……」

 

凛「…………」グスッ

 

海未「悲しいですね、まさか凛がこんな人間だったとは……」ハァ

 

 

『凛の心無い疑いに怒りを通り越してどこか悲しい海未』

 

 

ことり「海未ちゃん大丈夫、きっと凛ちゃんも心が動揺しただけだよ」

 

ことり「ねっ、凛ちゃん?」

 

凛「……ごめんなさい……凛の勘違いです……」ポロポロ

 

穂乃果「凛ちゃん……」

 

海未「わかってくれましたか、さすがは凛です」

 

ことり「穂乃果ちゃんは?」

 

穂乃果「……で、でも、言われてみれば、さっき海未ちゃんが――」

 

ことり「はぁ~」

 

穂乃果「!」ビクッ

 

ことり「悲しいなぁ、穂乃果ちゃんは人を疑うような人間になっちゃったんだ」

 

ことり「こんな穂乃果ちゃん見たくなかった……やっぱり留学してたほうが良かったかも」ハァ

 

穂乃果「……」グスッ

 

穂乃果「ごめんなさい……なんでもないです……」ウルウル

 

ことり「そっかぁ、ことりびっくりしちゃったよ」

 

ことり「穂乃果ちゃんがそんなこと言うはず無いもんね」ニコッ

 

海未「いつまでも純粋な穂乃果でいてくださいね」ニコッ

 

ほのりん「…………」グスッ

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

穂乃果「ぱ、パス……」3回目

 

凛「凛もパスにゃ……」3回目

 

ことり「穂乃果ちゃんと凛ちゃん、あと一回パスしたら負けだね」

 

ことり「早くダイヤの10が来ればいいんだけど」

 

ことり「あっ、ことりもパスだよ」2回目

 

海未「ふむ、パスです」2回目

 

穂乃果「……負けちゃった」

 

凛「うぅ……ダイヤの10さえ来てくれたら出せたのに」

 

海未「穂乃果の札が11、凛の札が12だったんですか」

 

ことり「パスだよ」3回目

 

海未「ダイヤの10、これでおしまいです」

 

ほのりん「えっ……」

 

ことり「あっ、ことりもやっと出せるよ。ダイヤの13、これでおしまいだね」

 

海未「ということは、わたしは一番、ことりが二番ですね」

 

ことり「穂乃果ちゃんたちおしかったね」

 

ほのりん「……………………」

 

海未「んっ、どうしましたか?」

 

凛「……海未ちゃん、ダイヤの10持ってたのに……」

 

穂乃果「さっきパスして……」

 

海未「ああ、すいません、パスを残すのがもったいない気がして」

 

ことり「有給休暇は全部使わないともったいないもんね」

 

海未「くっ…………」(笑)

 

 

『パスの権利を余すことに気が引けてしまった海未』

 

 

穂乃果「………でも」

 

凛「さっき……意地悪はしちゃいけないって……」

 

ことり「二人とも、そういう言い方は良くないよ」

 

ことり「海未ちゃんはただパスの権利を余らすともったいないから使っただけだよ」

 

ことり「二人を蹴落とそうとか、そんな気持ちなんてあるはず無いよ」

 

海未「ええ、その通りです」

 

ほのりん「………………」グスッ

 

ガラッ

 

にこ「あら、あんたたち早いわね」

 

希「みんなでトランプしてたん?」

 

絵里「ハラショー……わたしも混ざりたかったわ」ガクッ

 

海未「時間的にもちょうど良かったですね」

 

ことり「今度はみんなで大富豪でもやろうね」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

ほのりん「……………………」

 

穂乃果「凛ちゃん……今度からは、ババ抜きにしよ……」

 

凛「うん……凛、七並べよりババ抜きのほうが得意にゃ……」

 

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