――星空家――
凛「ささっ、二人とも入って」
まきぱな「おじゃまします」
花陽「凛ちゃんのお部屋来るの久しぶりだよ」
真姫(……意外と片付いてるわね)
凛「あっ、お菓子とジュース持って来るね。適当にくつろいでて」
タッタッタ……
真姫「…………」キョロキョロ
花陽「真姫ちゃん、凛ちゃんのお部屋が綺麗で驚いた?」
真姫「ヴえぇ!?どうしてそれを……?」
花陽「真姫ちゃんって顔に出やすいから」
真姫「なっ……は、花陽!」
花陽「あはは、ごめんね。凛ちゃんのお部屋を見たらみんなそういう反応するからもしかしたらって」
真姫「……まぁ、確かに意外だったわね」
花陽「でも本棚は凛ちゃんらしいよ」
真姫「スポーツ漫画にバトル物、ギャグ漫画にド○えもん……そうね、これぞ凛の本棚って感じだわ」
花陽「ううん、それじゃなくて。その漫画をひとつ抜いてみて?」
真姫「?」
スッ……
真姫「……奥に赤いカバーの本……これ、恋愛漫画?」
花陽「ふふっ、凛ちゃんらしくて可愛いよね」ニコニコ
真姫(というよりこれを知っている花陽のほうが気になるんだけど)
花陽「あっ、そろそろ凛ちゃんが来るからしまっておこう」スッ
真姫「えっ、でも足音なんて……」
ドタドタドタ!
凛「かよちん真姫ちゃんお待たせ、オレンジジュースとせんべいにゃ!」ガチャッ
花陽「凛ちゃんお帰り、走ってこなくてもいいのに♪」
真姫「」
真姫(花陽、怖い……)ゾクッ
凛「真姫ちゃんどうしたの?」キョトン
――――――――――――――――――――――――
真姫「ストレートパーマ?」
花陽「うん、今度かけてみようかなって」
真姫「そうねぇ……わたしは今のままでも良いと思うけど」
凛「凛はゆるふわヘアーのかよちんもストレートのかよちんも好きにゃあ」
花陽「海未ちゃんや希ちゃんみたいに綺麗なストレートって憧れるよね」ポワーン
真姫「まぁ花陽がかけてみたいんならいいんじゃない」
凛「でも、そうしたらμ’sのゆるふわヘアー枠が真姫ちゃんだけになっちゃうね」
真姫「!?」
凛「せっかくの真姫ちゃんとかよちん唯一の共通点が……んっ?」
真姫「……………………」
凛「真姫ちゃん?」
真姫「……花陽!」ガシッ
花陽「ぴゃあ!?」
真姫「あなたは今のままでも十分魅力的よ!ストレートなんてかけなくていいわ!」
花陽「う、うん……!」
凛「あっ、絵里ちゃんもゆるふわ枠かも」
――――――――――――――――――――――――
凛「ふぅ~ごちそうさま」
凛「さて、お腹いっぱいになったし……外で遊ぶにゃ!」
真姫「お断りします」キッパリ
凛「即答!?」
真姫「こんな暑い中外に出るなんて嫌よ、肌も焼けるし」
花陽「わたしも休みの時は涼しい部屋でゴロゴロしたいなぁ……」
凛「むむぅ……かよちんまで」
凛「――――!」ピコーン
凛「かよちん……最近体重はかった?」
花陽「えっ?」
凛「なんだか前より太ったような気が……」
花陽「!?」
花陽「そ、そんな……」ガクッ
真姫「花陽、大丈夫!?」
花陽(……言われてみれば夏休みに入ってからというもの、部活動以外は一日中家でにこちゃんから借りたDVDばかり見ていたかも……)
花陽(涼しい部屋でライブを鑑賞しながら食べるおにぎりはそれはもうおいしくて……)
花陽(……でも)
花陽(その幸福が再び『体重』という名の悪魔に奪われようとしているのなら……夏休みの間ずっと、『ダイエット』という重い足かせを背負うくらいなら……)
花陽「凛ちゃん、わたしは戦うよ!」
凛「さすがはかよちん、その意気にゃ!」
真姫(今の空白の数秒間はいったい……)
――――――――――――――――――――
凛「よーし、それじゃあ始めるよ」
凛「最初に目指すは絵里ちゃん家!」
花陽「おにぎりのため、頑張るよ」フンス
真姫「暑い……」←結局付いてきた
凛「まずはゆっくりペースで行くよ、さぁ、凛に付いてくるにゃ!」ダダダ
真姫「走るの!?」
花陽「おにぎり……涼しい部屋でゴロゴロ……!」タッタッタ
真姫「」
真姫「……なんでこんなことに」ハァ
――――――――――――――――――――
――絢瀬家前――
凛「とうちゃくー!」
凛「ポチッと」ピンポーン
凛「♪~♪♪」
絵里「はい――あら、凛?」ガチャッ
凛「絵里ちゃんこんにちは、遊びに来たよ!」
絵里「ちょうど宿題も終わったし、いいわよ。ところで――」
絵里「後ろのほうで倒れてる真姫と花陽は大丈夫なの?」
まきぱな「」チーン
凛「真姫ちゃんかよちん!?しっかりして!」
絵里「とりあえず家に運びましょうか」
―――――――――――――――――――――――
花陽「はぁ……涼しいよ」ポワーン
真姫「幸せね……」ポワーン
絵里「何もこんな暑い中マラソンしなくても」
凛「やっぱりちょっと無謀だったかな」
絵里「やるならせめて早朝か夕方かしら」
凛「かよちんと真姫ちゃんが復活するまで、凛は漫画でも読んでるにゃ」
凛「ん~……あっ、これって……」
絵里「ああ、亜里沙が読んでるやつね。恋愛漫画ってジャンルらしいわ」
凛(新刊出てたんだ……読みたい……!)
凛(……でも)
絵里「?」
凛(凛がこんなの読んでたら変に思われるよね……)モジモジ
絵里「…………」
凛(……我慢しよう)スッ
絵里「凛、その本知ってるの?」
凛「っ!う、ううん、ちょっと見たことあるだけで……」
絵里「おもしろいわよね、それ」
凛「えっ……」
絵里「キャラクターの心理描写も繊細だし、お互いにすれ違う気持ちが読んでいてハラハラするわ」
凛「………………」キョトン
絵里「あら、そんなに意外?わたしがそういう漫画を読んでいるの」クスッ
凛「あっ、ごめんね、そういう意味じゃなくて……」
凛「……実はね、凛もこの漫画、ファンなんだ」
絵里「ハラショー!亜里沙と一緒ね」
凛「絵里ちゃん……笑わないの?」
絵里「笑う?どうして?」
凛「……凛がこんなの読んでるの、変に思わない?」
絵里「思わないわ、趣味なんて人それぞれじゃない」
絵里「むしろ凛と共通の話題が見つかって嬉しいわ」ニコッ
凛「絵里ちゃん……」
絵里「…その漫画の魅力、聞かせて?」
凛「うん!あのね、この漫画って一見主人公が自分勝手に見えるけど、その実は――」
絵里(ふふっ、凛はほんと可愛いわ……♪)
凛「絵里ちゃん、ちゃんと聞いてる?」
絵里「ええ、聞いてるわよ。それから?」
花陽「凛ちゃん、素直に言えてよかったね」
真姫「まったく凛たら……趣味なんて隠すことないのに」
花陽「これでわたしも凛ちゃんとあの漫画について語れるよ」
真姫「花陽もファンだったのね……」
真姫(……今度わたしも読んでみようかしら)
花陽「そんな真姫ちゃんに――はい、最新刊までの単行本」ニコッ
真姫「……花陽って読心術とかできるの?」
花陽「あはは、まさか」ニコニコ
真姫「というかこれ、どこから出したの?」
花陽「凛ちゃん……いつかは引き出しに隠してる本についても語れるといいね」
真姫「ねぇ、どこから……」
花陽「」ニコニコ
――おしまい♪
感想
こういう小説が書ける才能があって、羨ましいです☆
才能なんて微塵もありませんが、褒め言葉として受け取らせていただきます♪
いつもご愛読ありがとうございます。
主さんの書くお話大好きです^^
感動したり、とても元気が出るので
ありがとうございます。
少しでも元気になっていただけたのでしたら幸いです♪
凛のこと何でも知ってる花陽かわいい…