ラブライブ SS ことり「自分の居場所」(ことうみ)

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久々にシリアスです。

 

――雨天 部室――

 

海未「………………んっ」パチッ

 

ことり「海未ちゃん、おはよう」ニコッ

 

海未「ことり……すいません、作詞している途中にどうやら寝てしまったようです」

 

ことり「きっと疲れてるんだよ」

 

海未「そうかもしれません……ところで今何時ですか?」

 

ことり「えっとね~3時きっかりだよ」

 

海未「3時ですか……って、3時!?」

 

海未「ま、まさか……!」バッ

 

PM3:01

 

海未「」

 

ことり「海未ちゃんどうしたの?そんなこの世の終わりみたいな顔して」

 

海未「そんな……わたしとしたことが、まさか授業を寝過ごしてしまうなんて……それも二時間連続」ガクッ

 

ことり「なんだそんなことかぁ、終わっちゃったものは仕方ないよ」

 

海未「仕方ないではすみません!ことりもどうして起こしてくれなかったんですか!」

 

海未「……あれ?ちょっと待ってください。いま3時だということは……どうしてことりがここに?」

 

ことり「海未ちゃんのことを起こしに来たんだけど、寝顔を見つめてたらつい」テヘッ

 

海未「ミイラ取りがミイラに!?本末転倒じゃないですか!」

 

海未「穂乃果からたくさんラインも来てますし……」ブツブツ

 

ことり「……………………」

 

海未「とりあえず今からでも教室に戻りましょう」

 

海未「ことり、行きますよ」

 

ことり「……………………」

 

海未「ことり…………?」

 

ことり「海未ちゃん、あのね…………わがまま、言ってもいいかな?」

 

海未「……なんですか?」

 

ことり「……まだ戻りたくない……もうちょっとだけ、海未ちゃんとお話ししたいな」

 

ことり「…………ダメ?」

 

海未「……………………」

 

海未「はぁ…………やれやれ」ガタッ

 

ことり「!」

 

海未「……そんな顔されたら、ダメなんて言えるわけないじゃないですか」

 

ことり「海未ちゃん……」

 

海未「本題は、その悩みとやらですね」

 

ことり「……うん……実は……。でもほんとにいいの?」

 

海未「まぁ、今更授業に出ても焼け石に水でしょうし……なにより」

 

海未「大切な幼馴染を放っておいてまで達成することでもないでしょう」

 

ことり「…………!」

 

海未「ことりの悩み、聞かせてください」

 

ことり「ありがとう……ごめんね」

 

ことり「……………………」

 

ことり「……ことりね、時々どうすればいいのか分からなくなるんだ」

 

海未「?」

 

ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃんと三人で一緒にいるとき、どんな風に振る舞えばいいのか……」

 

海未「振る舞う……?ことりはいつも自然でいるじゃないですか」

 

ことり「ことりの自然って、笑顔だよね」

 

海未「そうです、あなたが笑顔でいてくれるおかげでわたしたち三人はいつも仲良しで

居られるんです」

 

ことり「………………」

 

海未「人を大事に想う笑顔は自然と周りを幸せにします、いつまでも仲良くいられるのはことりのおかげですよ」

 

ことり「………………違う」

 

海未「えっ?」

 

ことり「海未ちゃんがそんな風に思ってくれてるのはすごく嬉しいよ…………でも、違うの」

 

ことり「……ことりの笑顔は、ただ自分を守るための笑顔だよ」

 

ことり「ことりね……きっと怖いんだと思う」

 

ことり「自分の意志を持つことで、今の関係が変わってしまうことが……すごく」

 

海未「ことり…………」

 

ことり「クレープ屋さんとかに行っても、海未ちゃんはいつものチョコ、穂乃果ちゃんは新商品って大体決まってるよね?」

 

海未「ことりは…………えっと……」

 

ことり「覚えてないのも無理ないよ、自分でも忘れてるもん……だって、ことりはいつも穂乃果ちゃんに選んでもらってるから」

 

ことり「穂乃果ちゃんが勧めてくれた物だったら、ことりはイチゴ味でもマヨネーズでも喜んで食べる」

 

ことり「別に食べたいものがあって我慢してるわけじゃないよ?でもね……」

 

ことり「――そんな自分が……意志のないことが当たり前な自分が、すっごく嫌い……」

 

海未「ことり…………」

 

ことり「……穂乃果ちゃんみたいに、海未ちゃんと喧嘩してみたいな」

 

ことり「言いたいこと言って……あんな風に、自分を持ちたいな……」グスッ

 

ことり「……わたしね、もう自分のことも……自分の居場所も分からなくなってきちゃった」ポロポロ

 

海未「…………っ」

 

ことり「海未ちゃん、ごめんね……こんなこと相談されても困るよね、面倒だよね……」

 

ことり「ごめんね……ごめんなさい……」

 

海未「……迷惑なわけ、ないじゃないですか」

 

ことり「えっ……」

 

海未「わたしはことりのことが好きなんです……大切なんです」

 

海未「そんな人から悩みを相談されて、迷惑なんて思うはずない」

 

海未「それに……自分を守っていたのは、わたしも一緒ですよ」

 

ことり「…………?」

 

海未「ことりがいつもなにか悩みをかかえていること、私にだって察しがつきました」

 

海未「でも……踏み入るのが怖かったんです」

 

海未「もしかしたら、ことりが留学せずにμ’sに残ったことを後悔しているのではないかと……」

 

ことり「!そんなことない!ことりは――」

 

海未「ええ、わかっていますよ。でもなぜか不安になってしまってたんです」

 

海未「ですから……今ことりから悩みを打ち明けられて、心のどこかでホッとしている醜い自分がいました」

 

ことり「海未ちゃん…………」

 

海未「だから一緒なんです……わたしもあなたも」

 

海未「ただ一つ違うのは、ことりは私なんかよりもずっと優しいと言うことです」

 

海未「自分が分からない……それはきっと、ことりが優しすぎるからですよ」

 

海未「人を優先するあまり、自分の欲求というものをつい後回しにしてしまうんです」

 

ことり「…………どうしたら、治せるんだろ」

 

海未「こればかりは性格ですし……それに、人として素晴らしい長所を治すなんてもったいないですよ」

 

海未「確かにこの世の中、優しい人間ほど損ばかりするのかもしれません……ですが」

 

海未「少なくとも私は、そんな人が好きですよ」

 

海未「ことりのように、自分を押し殺してまで人に優しくできる人間が、大好きです」

 

ことり「…………!」

 

海未「大丈夫です……ことりの居場所はちゃんとありますよ」ギュッ

 

海未「無ければ私が作ります……あなたが、一番あなたらしくいられる場所を……」

 

ことり「海未、ちゃん………」グスッ

 

ことり「ううっ……うぇええっ……!」ポロポロ

 

海未「いつも私たちの居場所を守ってくれてありがとうございます……ことり」ナデナデ

 

海未「でも……時にはこうして、誰かに守ってもらってもいいんですよ……」

 

ことり「うん……ごめんね海未ちゃん……ごめんなさい……」ポロポロ

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

――部室――

 

穂乃果「もぉ、二人してサボるなんてずるいよ!」プクー

 

海未「別にサボっていたわけじゃあ……目が覚めたら授業終わりだつたので」アセアセ

 

ことり「じゃあ今度は穂乃果ちゃんも一緒に3人でサボろっか♪」

 

穂乃果「さすがはことりちゃん、ナイスアイデアだよ!」パァァ

 

海未「だ、ダメです!わざとサボるだなんて許しませんよ!」

 

穂乃果「それならみんなで寝過ごせばオッケーだね、今日の海未ちゃんみたいに!」

 

海未「うっ…………ほ、穂乃果ぁ!!」

 

穂乃果「うわーん海未ちゃんが怒ったぁ!ことりちゃ~ん!」ダキッ

 

ことり「よしよし、もう大丈夫だよ」ナデナデ

 

海未「まったく……すぐにことりに泣き付くんですから」

 

ことり「…………海未ちゃん」

 

海未「んっ?」

 

ことり「……ことりの居場所、ちゃんとここにあったよ……♪」

 

海未「……そうですか…………♪」

 

ことうみ「ふふっ…………♪」

 

穂乃果「ほぇ?」

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    良かったです

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