ラブライブ SS 真姫「破天荒花陽、引き籠る!」

 

――部室――

 

穂乃果「みんなお待たせ!今日も一日がんばろー!」ガチャッ

 

μ‘s「……………………」シーン

 

穂乃果「あれ……?」

 

海未「……穂乃果、座ってください

 

ことり「………………」シュン

 

穂乃果「みんな……どうしたの?なにかあった?」

 

にこ「ええ、かなり面倒くさいことがね」

 

希「…………」チラッ

 

穂乃果「あれ……花陽ちゃんは?それに絵里ちゃんまで……まさか、二人ともインフルエンザ!?」

 

真姫「それで済んだら、まだマシだったかもしれないわ」

 

凛「…かよちん……」

 

穂乃果「……――はっ!……まさか」

 

海未「ええ……破天荒モードの花陽に、絵里が誘拐されました」

 

穂乃果「!!」

 

にこ「これが花陽から届いた手紙よ」

 

穂乃果「我が花陽会会長、小泉花陽より……」

 

『我が花陽会のメンバーであるみんな、わたしと絵里ちゃんはしばらく我が花陽会アイドル活動を休業するから夜露詩区ね』

 

穂乃果「……………………」

 

希「よろしくの当て字が明らかに間違ってるやん……」

 

海未「そういえば、μ’sは仮名で正式名称が我が花陽に以前変更されましたね……」

 

凛「かよちんだけじゃなく絵里ちゃんまで破天荒に……どうしよう」

 

ことり「このままじゃあμ’sの活動が休止になっちゃうよ」オロオロ

 

真姫「説得しに行くしかないでしょうね……怖いけど」ゾクッ

 

希「にこっち、どうする……?」

 

にこ「……決まってるでしょ、ここまで来て休止なんて冗談じゃないわ」

 

にこ「みんな、花陽のところへ行くわよ!」

 

穂乃果「花陽ちゃん、家にいるかな……」

 

海未「万が一のため、一応護身用に竹刀を……」

 

ことり「説得用におむすびも作っていこっか」

 

希「えりちはチョコレートさえあればいけるよね」

 

真姫「花陽……絵里……」

 

凛「かよちん……早く戻ってきて……」

 

 

――

――――

――――――

 

――小泉家 部屋の前――

 

穂乃果「…………」ゴクリ

 

凛「……か、かよちん?」トントン

 

花陽「んっ、その声……凛ちゃん?」

 

真姫「わたしも、μ’sのみんなも一緒よ」

 

花陽「みんなも来たんだ……いいよ、入って」

 

海未「お、お邪魔します……」ガチャッ

 

 

花陽「ふぅ、あったかいね……」ポワポワ

 

絵里「はらしょー……」ポワポワ

 

コタツ

 

μ‘s「」

 

希「え、えりち……?」

 

絵里「んっ……?あっ、希!にこも来たのね!」

 

にこ「なにやってんのよあんたは……」

 

ことり「コタツ……気持ちよさそうだね」

 

絵里「ふふん、最高よ」ドヤ

 

穂乃果「これ……」

 

真姫「ええ……絵里の場合、破天荒というよりただのポンコツ……」

 

花陽「みんなも適当に座っていいよ」

 

希「うん……それじゃあ――」

 

μ‘s「………………」

 

花陽「うぅ~今日も寒いねぇ」

 

絵里「寒いわね」

 

花陽「こんな日はコタツでゴロゴロするに限るね」

 

絵里「限るわね」

 

花陽「あっ、絵里ちゃんミカン食べる?」

 

絵里「食べるわ、カゴごと貸して」

 

μ‘s「……………………」

 

花陽「ふぅ…………」

 

絵里「このみかんおいしい」パクパク

 

希「えりち……」

 

絵里「あっ、にこも食べる?」

 

にこ「遠慮しておくわ……」

 

絵里「じゃあ真姫は?」

 

真姫「絵里、分かってて言ってるわよね?」

 

絵里「ちょっとした冗談よ、言うなればイッツロシアンジョークね」

 

ことり「そんなのあったかな……」

 

にこ「すごく平常運転なのが余計にうざいわね……」

 

絵里「♪」モグモグ

 

にこ「……まぁ、破天荒じゃなくPKEなら話が早いわ」

 

希「ほらえりち、コタツから出ておいで?明日からまた一緒に学校行こう?」

 

絵里「むーいやよ!エリチカコタツから出ない!」

 

にこ「いいから出てきなさいよ、このポンコツ生徒会長」

 

絵里「またポンコツって言った!だからわたしがこんな風にぐれちゃうのよ!」

 

穂乃果「ぐれてるんだ、それ……」

 

絵里「サンタコスチュームでプレゼント配ったせいで高熱出ちゃうし、ファンのみんなはPKEだって馬鹿にするし……わたしなんて」グスグス

 

μ‘s(自業自得では……)

 

にこ「ああ、めんどくさいわねもう……」

 

希「よしよし、えりちも大変やったね。お詫びにチョコレートあげるから元気出そう?」

 

絵里「チョコレート?」ピタッ

 

希「ほら、たくさんあるから全部食べてもいいよ」

 

真姫「たくさんって数じゃないわよねこれ……」

 

ことり(絵里ちゃん対策に希ちゃんてチョコレートいつも持ち歩いてるのかな……)

 

絵里「はらしょー!……はっ!」

 

μ‘s「………………」ジー

 

絵里「……ごほん!そんなにわたしが必要ならしょうがないわね、コタツから出てあげるわ。……チョコレートも溶けちゃうし」

 

海未「絵里、本音が漏れてますよ」

 

絵里「希、これ今食べてもいいの?」ワクワク

 

希「うん、好きなだけ食べていいよ」ナデナデ

 

絵里「えへへ……」ニヘラ

 

希(かわいい……)

 

ことり「意外と簡単に買収できたね」

 

海未「花陽もこの調子で……ことり、例のおむすびを」

 

ことり「花陽ちゃん、実はわたしおむすび持ってきたんだ――――あれ?」

 

ことり「おかしいな、ここに入れておいたはずなのに……」ガサゴソ

 

花陽「おむすびってこれのことかな?」モグモグ

 

ことり「」

 

穂乃果「い、いつのまに……!」

 

花陽「こんなのでわたしの気持ちは変わらないよ、ちょっと甘く見すぎじゃないかな」モグモグ

 

真姫(そう言いつつもしっかり食べるのね……)

 

凛「かよちん……ダイエットは?」

 

花陽「………………」

 

花陽「」バン!

 

凛「!」ビクッ

 

花陽「凛ちゃん、何か言った?」

 

凛「……ごめんなさい」シュン

 

花陽「ところでみんな……今日はどうしたの?」

 

にこ「どうしたのって……それはこっちのセリフよ」

 

凛「かよちん、なにかあったの……?それとも凛たちがまたなにかしちゃった……?」

 

花陽「……ううん、別に。わたし、サボりたいからサボってるだけだよ」

 

花陽「こんな寒い日に学校なんて行ってられないよ、距離も遠いし」

 

ことり「そんな……」

 

真姫「どうしてそんなこと……花陽らしくないわ……!」

 

花陽「わたしらしくない……?」ピクッ

 

μ‘s「!」ゾクッ

 

花陽「」ダン!

 

真姫「ひっ!?」ビクッ

 

花陽「……ねぇ、わたしらしくないとかわたしらしいとかさ、どうして勝手に決めるのかな?」

 

花陽「そんなの勝手な固定観念だよ、わたしの個性ややりたいことは、わたしが決めるの」

 

花陽「それが本当のその人らしさじゃないのかな?」

 

海未「花陽…………」

 

希「……うん、確かにそうやね。でも、花陽ちゃん……」

 

にこ「優しさだって、花陽の個性じゃなかったの?」

 

花陽「……………………」

 

凛「優しくてあったかいかよちんが、凛は大好きだったよ……?」

 

穂乃果「うん……穂乃果も」

 

ことり「人の優しさを利用したり馬鹿にしたりする人もいるけど、μ’sのみんなみたいに、理解してくれる人もきっといると思う」

 

海未「花陽……今までの行動は、あなたなりに悩んだ末のせめてもの抵抗なのだと思います……ですが、そろそろ荷を降ろしてもよいのではないですか?」

 

真姫「わたしは、今回の一件で良い子じゃない花陽の一面を見られて、よかったって思ってるわ」

 

花陽「……………………」

 

希「花陽ちゃん……そろそろ、μ’sに帰っておいで?」

 

にこ「破天荒な内面に、さよならしましょう?」

 

穂乃果「花陽ちゃん……」

 

花陽「……………………」

 

花陽「………………」

 

花陽「…………」

 

花陽「……」

 

絵里「希、もうチョコ無いの?」

 

花陽「」

 

にこ「空気読みなさいよあんた!」

 

ことり(あれもう全部食べたんだ……)

 

花陽「…………………………」

 

花陽「」パカッ ゴクゴク

 

μ‘s「!」

 

花陽「…………」ゴクゴク

 

海未「花陽……」

 

花陽「…………」ゴクゴク

 

μ‘s「……………………」

 

『炭酸をひたすら飲み続ける花陽』

 

真姫「花陽……お腹壊しちゃうわ」

 

花陽「…………」フゥ

             

花陽「」バサッ モゾモゾ

 

『おもむろにコタツに潜り込む花陽』

 

凛「かよちん……」

 

花陽「しばらく、一人で考えさせて」

 

μ‘s「……………………」

 

真姫『その後は自然とおひらきになり、最後まで花陽がコタツから出てくることはなかった……』

 

 

――

――――

――――――

 

――3日後 部室――

 

穂乃果「花陽ちゃん、来ないね……」

 

ことり「きっと大丈夫だよ穂乃果ちゃん、信じて待とう?」

 

海未「ええ、花陽はきっと応えてくれるはずです」

 

真姫「元の優しい花陽に、今度こそ会えるかしら……」

 

凛「かよちん……またギュって抱き合えるよね……」

 

にこ「……………………」

 

絵里「希、チョコレートくれないとぐれるわよ」

 

希「すっかり味占めてるやん……まぁあげるけど」

 

絵里「ふふん、今日はホワイトチョコね」ビリビリ

 

穂乃果「よし……今日も一日練習頑張ろ――」

 

ドンドン!

 

μ‘s「!」

 

ドンドン!

 

希「…………」チラッ

 

にこ「…………」コクリ

 

にこ「入っていいわよ……」

 

ガチャッ……

 

μ‘s「!」

 

亜里沙「どうもです」ジャン

 

μ‘s「」

 

絵里「ふぉえ?亜里沙……?」モグモグ

 

希「亜里沙ちゃん、どうしてここに?」

 

亜里沙「これ、我が花陽から預かった手紙です」

 

海未「花陽から……?」

 

亜里沙「では、亜里沙はこれで」ペコリ

 

穂乃果「あっ、亜里沙ちゃん……」

 

真姫「とりあえず手紙……読んでみましょう」

 

海未「にこ……」

 

にこ「…………」パリッ

 

 

『魔性のコタツからは抜け出せぬ By我が花陽』

 

 

μ‘s「……………………」

 

μ‘s「ええーっ!!?」

 

ことり「待って、普通ここでかよちゃんが戻ってきてハッピーエンドじゃないの!?」

 

穂乃果「そういう展開っぽかったよね!?」

 

凛「フラグバキバキにゃ……」

 

希「ある意味、今までで一番破天荒やね……」

 

真姫「昨日の苦労はなんだったのよ……」ハァ

 

海未「結局のところ……」チラッ

 

絵里「手がべとべとだわ、洗ってこないと」

 

にこ「PKEを取り戻しただけじゃない……」ガクッ

 

 

花陽「ふぅ、冬はコタツとみかんに限るね」モグモグ

 

――おしまい♪

感想

  1. いあーご より:

    いよいよ破天荒シリーズも終わりですか…

    花陽とこたつは相性が合いますね!

    引きこもってる花陽に対するみんなの優しさが伝わってくる話でしたね。 次回も気になります

    ところで回転いすシリーズでまたネタを思いついたのですが、リクエストしてもよろしいでしょうか??

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      できる範囲でしたらお応えいたしますので、どうぞ。

      • いあーご より:

        概要は エリチカの妹亜里沙が海未とエリチカに回転イスで勝負を申し込むというものです。

        結果は亜里沙が目を回さず勝利 エリチカと海未は目を回して倒れる

        そして目を回す二人を見た亜里沙がドン引きという感じでお願いします

        • 砂水クジラ砂水クジラ より:

          亜里沙がメインで勝負を挑むという流れに関しましては、起承ともに自然ですので快く承諾いたします。
          しかし、結末の亜里沙がドン引きという要素は申し訳ながら物語の流れに組み込むことは非常に困難です。
          亜里沙が勝負を挑むという流れに置きまして、結末は勝利、または敗北の二択が自然です。
          それに対して引いてしまうというのは、自ら勝負を申し込んでいるという観点からも疑問が残ります。
          恐らく結末の綺麗なオチにはならないでしょう。

          リクエストいただいた『勝負を挑む・亜里沙がメイン』という要素を中心に、プロットを作成させていただきます。

          • いあーご より:

            そうですか! リクエストに答えていただいてけるだけでも私としてはうれしいですよ。 

            では亜里沙がドン引きは無しの方向で 亜里沙が二人に勝利という形でお願いします。

  2. しょな より:

    『μ’s』の部分が強引に『我が花陽会』になってる笑
    μ’sがみんなして花陽を心配するのを見て、感動しました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      今回のSSは起承転結とも完全に失敗作でしたので、クオリティが落ちる前に綺麗に完結させようと思います。
      どうか最後までお付き合いください♪

  3. 匿名 より:

    ポンコツエリー可愛いです!
    破天荒はなよも好きです(笑)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      破天荒花陽ちゃん、執筆当時はわたしも楽しみながら描いていた記憶があります。

タイトルとURLをコピーしました