ごちうさSS 幼いココア、リゼ帰宅!

 

――甘兎庵――

 

千夜「バツ印……と」キュッ

 

ここあ「ちやちゃん、どう?」

 

千夜「うーん……」カレンダー

 

ここあ「……」ドキドキ

 

千夜「――なーんて♪」

 

ここあ「!」

 

千夜「ここあちゃんおめでとう。リゼちゃん、今日帰ってくるわよ」

 

ここあ「ほんと……!?」

 

千夜「ええ、今日の夕方ごろには着くってさっきメールが届いたわ」

 

ここあ「……!」

 

千夜「リゼちゃんも早くここあちゃんに会いたいって」

 

ここあ「やったぁ!りぜちゃんかえってくる!!」

 

千夜「よかったわね」ニコッ

 

ここあ「ちやちゃん、7にちかんありがとう」ギュッ

 

千夜「こちらこそ、ここあちゃんのおかげで楽しかったわ」ナデナデ

 

ここあ「いっぱいめいわくかけてごめんね」

 

千夜「迷惑なんて何も、またいつでもお泊りに来てね」

 

ここあ「うん!」

 

ここあ「きょうもいちにち、おてつだいがんばるね!」

 

千夜「ううん、今日はラビットハウスに遊びに来ましょう」

 

ここあ「ふぉぇ?ちのちゃんのところ?」

 

千夜「チノちゃんからここあちゃんにお話があるそうよ」

 

ここあ「?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

ここあ「おでむかえさぷらいず?」

 

チノ「昨日千夜さんからていあ――あっ」サッ

 

ここあ「ちやちゃん?」

 

チノ「いえ、リゼさんをお出迎えしようと思って」

 

チノ「みんなで夕飯を作って、ラビットハウスでリゼさんの帰りを待つんです」

 

ここあ「ぱーてぃー!?」

 

チノ「はい、リゼさんにサプライズパーティーです」

 

チノ「でもまだ準備が終わってなくて、よろしければ今日一日ここあさんも手伝ってくれますか?」

 

ここあ「うん!みんなでりぜちゃんおでむかえしよう!」

 

チノ「ありがとうございます、それでは千夜さんと買い物に――」

 

千夜「あら……なんだか急に目まいが……」グラッ

 

チノ「!?」

 

ここあ「ちやちゃん、だいじょーぶ!?」

 

千夜「大丈夫よ、でもこれだと外出は無理ね」

 

千夜「チノちゃんごめんなさい、代わりにここあちゃんと行ってきてくれるかしら?」ニコッ

 

チノ「千夜さん……」

 

千夜「チノちゃんも、たまにはここあちゃんと一緒にいたいでしょ?」ヒソッ

 

チノ「っ……//

 

ここあ「わかった、ちのちゃんいこっ」

 

チノ「あの……千夜さん、ありがとうございます」

 

千夜「いってらっしゃい、お店は任せて」フリフリ

 

ここあ「ちのちゃんはやく~」

 

チノ「あっ、ここあさん待ってください……!」

 

千夜(姉妹が逆転しても二人は変わらないわね)ポワン

 

 

――

――――

――――――

 

ここあ「うさぎさんだ。まって~」

 

チノ「ここあさん、ちゃんと前見ないと危ないですよ」アセアセ

 

ここあ「あっ、ふるーるどらぱん!しゃろちゃんいるかな?」

 

チノ「買い物に行くから寄り道しちゃだめです」

 

ここあ「あそこにいるの――あおやまさんだ!」

 

チノ「ここあさん……!」

 

ここあ「…………」シュン

 

チノ「あっ……」

 

ここあ「ごめんなさい……」

 

チノ「怒ったわけでは……ただここあさんが心配で」

 

ここあ「ちのちゃんとおでかけするの、ひさしぶりだから……」

 

チノ「ぅ……」

 

ここあ「ちのちゃんは、あんまりうれしくない?」

 

チノ「そんなことないです。嬉しいですよ、ここあさんとお出かけできて」

 

ここあ「ほんと……?」

 

チノ「本当です。ほら、手繋ぎませんか?」

 

ここあ「ぁ……!うん♪」

 

――ギュッ

 

ここあ「えへへ」ニヘラ

 

チノ(可愛い……)

 

ここあ「♪~♪♪」

 

 

チノ(どうしよう、何を話せば……)

 

チノ(いつもココアさんのほうがわたしに話しを振ってくれてたから……)

 

ここあ「ちのちゃん、あのね」

 

チノ「?」

 

ここあ「このまちってうさぎばっかりでしょ?でもこのまえねこもいたんだよ」

 

ここあ「りぜちゃんとおさんぽしてたらみつけたの、ちがうところからまよいこんできたのかな」

 

チノ「猫ですか、めずらしいですね」

 

ここあ「ちいさいから『まめ』っていうの、わたしがつけてあげたんだ」

 

ここあ「りぜちゃんは、『ぐすたふきゃっつ』にしようって」

 

チノ(リゼさんのネーミングセンス、相変わらずすごい……)

 

ここあ「ちのちゃんはどっちがいいとおもう?」

 

チノ「そうですね、ここあさんの『まめ』の方が可愛いと思います」

 

ここあ「やっぱり」エッヘン

 

ここあ「あとね、きのう『あまうさあん』ではたらいてたらあんこが――」

 

チノ「…………」

 

 

――ポンッ ナデナデ

 

 

ここあ「ん……ちのちゃん?」

 

チノ「ここあさんは、小さくなってもやっぱりココアさんですね」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

チノ「何でもないです……」

 

チノ「ありがとうございます。……ここあおねえちゃん」ボソッ

 

ここあ「ちのちゃんぎゅーっ」ギュッ

 

チノ「抱き付いたままだと歩きにくいですよ」クスッ

 

ここあ「もふもふ、もふもふ♪」

 

チノ「……♪」ギュッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

――ショッピングモール――

 

ここあ「なにから『かう』の?」

 

チノ「まずは材料から揃えましょう。ケーキは崩れてしまうので最後です」

 

チノ(予算は……――!)

 

チノ(お父さん、こんなに……)

 

ここあ「けーき?なまえいれてもらえる?」

 

チノ「はい、メッセージも入れてもらえますよ」

 

ここあ「……!」

 

チノ「ここあさんが書いてあげてください」

 

ここあ「うん、わたしにまかせなさーい!」ガシッ

 

チノ「では先に予約しておきましょう」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

ここあ「ちのちゃん、たまねぎあったよ」

 

チノ「ひき肉に玉ねぎ、はちみつとレタス――……これで揃いました」

 

チノ「ありがとうございますここあさん、おかげで助かりました」

 

ここあ「かえりのにもつもたくさん『もつ』からまかせて」

 

チノ「はい、ふたりで半分ずつ持ちましょう」

 

ここあ「でも、けーきは?」

 

チノ「……そうですね、ではここあさんはケーキのほうをお願いします」

 

ここあ「でも、ざいりょうおもいよ?」

 

チノ「リゼさんのための大事なケーキですから、崩れないように大切に持って帰らないといけないんです」

 

チノ「ケーキのほうが大変ですけど、お願いできますか?」

 

ここあ「そっかぁ、わかった」フンス

 

チノ「リゼさんのために頑張りましょう」

 

ここあ「うん」ニコッ

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――公園前――

 

チノ「ここあさん、大丈夫ですか?」

 

ここあ「だいじょーぶだよ~」

 

チノ「少しあそこのベンチで休みましょう」

 

ここあ「いそがなくてもいい?りぜちゃんかえってこない?」

 

チノ「まだお昼ですので」

 

 

ここあ「んっ……」ポスッ

 

チノ「あともう少しで着きますからね」

 

ここあ「りぜちゃん、よろこんでくれるかな?」

 

チノ「はい、きっと大喜びしてくれますよ」

 

ここあ「……あのね、ちのちゃん」

 

チノ「どうしたんですか?」

 

ここあ「この7にちかん、ありがとう。たくさんめいわくかけてごめんね」

 

チノ「そんなことないです、ここあさんはちゃんといい子でしたよ?」

 

ここあ「でも、ちのちゃんのことでんわでよんだり、ちやちゃんとしゃろちゃんにわがままいったり……たくさんわるいことしちゃったから」

 

チノ「…………」

 

ここあ「もっといいこにしたかったのに……ごめんなさい」

 

チノ「……ここあさん?手、貸してください」

 

ここあ「?」

 

チノ「……」ギュッ

 

チノ「こんなに冷えて……手袋してくればよかったですね」

 

ここあ「チノちゃん……?」

 

チノ「はぁ~……」

 

チノ「あたたかいですか?」

 

ここあ「うん……あったかい」

 

チノ「そうですか。……これと一緒なんです」

 

ここあ「……?」

 

チノ「千夜さんシャロさんもわたしも、ここあさんにわがままを言われたからしたわけじゃないですよ」

 

チノ「みんな、こうやってしてあげたいからするんです」

 

チノ「例え頼まれなくても、ここあさんのことが好きだから……ここあさんに喜んでほしいから」

 

チノ「誰も、ここあさんのわがままを聞いたりなんてしてません」

 

チノ「ただここあさんが困っていたから、助けてあげただけです」

 

ここあ「わがままと、ちがうの……?」

 

チノ「誰も無理矢理なんてしてないですから」

 

ここあ「……むずかしい」

 

チノ「ですから『ごめんなさい』じゃなく『ありがとう』でいいんですよ」

 

チノ「はぁ~……」スゥ

 

チノ「……」ギュッ

 

ここあ「ちのちゃんのて、あったかい……//

 

チノ「しばらくの間、マフラーでくるんでおきましょうか」シュルシュル

 

ここあ「ありがとう、ちのちゃん」

 

チノ「それでいいんです」クスッ

 

ここあ「ちのちゃん……//」ギュッ

 

チノ「ここあさん……1週間、よくがんばりましたね」

 

ここあ「ちのちゃんもちやちゃんもしゃろちゃんも、みんなだいすき……」スリスリ

 

チノ(ココアさん……わたし、ここあさんにちゃんとお姉ちゃんできていますか?)

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

チノ「………………」

 

千夜「チノちゃん、お待たせ」

 

チノ「千夜さん……シャロさんまで」

 

千夜「ちょうど12時だったから、シャロちゃんに連絡して先に行ってもらおうと思って」

 

シャロ「でも、結局同じくらいになっちゃったわね」

 

チノ「お二人ともすいません、帰れなくなってしまって……」チラッ

 

ここあ「…………」Zzz

 

シャロ「まったくここあったら、こんなところで寝たら風邪ひくわよ」ナデナデ

 

千夜「寒かったでしょチノちゃん。早くこのカイロとマフラー巻いて」

 

チノ「ありがとうございます」

 

千夜「ここあちゃん、風邪ひいたりしたら帰ってきたリゼちゃんが泣いちゃうわ」ヒョイ

 

千夜「お布団で寝て暖かくして、リゼちゃんが帰ってくるのをみんなで待ちましょう」

 

千夜「1週間、ちゃんと最後まで頑張ったわね。お疲れ様」ギュッ

 

ここあ「ん……♪」Zzz

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

――

――――

――――――

 

 

――夜――

 

リゼ「やっと帰ってこれた……」

 

リゼ(1週間ぶりなのに、なんだか懐かしい気がする)

 

リゼ(ここあ……やっとあえるな)

 

リゼ「……んっ?着信履歴が」

 

リゼ(千夜からか。着いたし一応連絡しておくか)ピッ

 

リゼ「もしもし」

 

千夜「もしもしリゼちゃん、そろそろ着いた頃かしら?」

 

リゼ「ああ、いまバスを降りたところだ。甘兎庵にいるのか?」

 

千夜「ううん、ラビットハウスよ。ここあちゃんもいっしょにいるわ」

 

リゼ「そうか、今から迎えに行くからそっちで待っててくれ」

 

千夜「了解よ、早く来てあげてね」

 

リゼ「ああ、2分で行く」ピッ

 

リゼ「……よし!」

 

――タッタッタ!

 

 

――――――――――――――――――――

 

リゼ(到着、と)

 

リゼ「…………」ドアノマエ

 

リゼ(このドアを開けたら、ここあに会える)

 

リゼ(まずはなんて言えばいいだろう、『ただいま』かな)

 

リゼ(……いや、どうせ身体が勝手に動くんだ。わざわざ考えることも無いか)

 

リゼ「……っ」ガシッ

 

リゼ「おじゃまします。ただいま――」ガチャッ

 

 

「おかえりなさい!!」パンッ!

 

 

リゼ「!?」

 

千夜「リゼちゃんおかえりなさい♪」

 

シャロ「リゼ先輩お久しぶりです。無事でよかった……」

 

チノ「おかえりなさいリゼさん、合宿お疲れ様です」

 

マヤ「強化合宿どうだった?新しい技覚えた?」

 

メグ「強化合宿だったの?部活じゃなくて?」

 

リゼ「おいおい、なんだこの騒ぎは?」

 

千夜「もちろんリゼちゃん帰還のお祝いよ?」

 

マヤ「お昼頃からみんなで急ピッチですすめたんだよ。クラッカー持ったのもついさっき」

 

メグ「あと5分遅かったらアウトだったね~」

 

チノ「リゼさんに、みんなでサプライズパーティーです」

 

リゼ「……!」

 

リゼ「おまえたち……――ハッ!

 

リゼ「ここあは?ここあはどこだ?」キョロキョロ

 

千夜「ここあちゃん、来ていいわよ」

 

 

ここあ「りぜちゃん」ヒョコ

 

リゼ「ここあ……!」

 

ここあ「これ……」スッ

 

リゼ「んっ、なんだこれは?」

 

ここあ「開けてみて?」スッ

 

リゼ「……?」

 

――パカッ

 

『だいすきなリゼちゃん、おかえりなさい! Cocoa

 

リゼ「――!」

 

ここあ「ちゅうもんして、つくってもらったの」

 

チノ「リゼさんのための特製ケーキです」

 

千夜「可愛いでしょ?ウサギが7人並んでるの」

 

リゼ「……みんな」グスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、おかえりなさい♪」ニコッ

 

 

リゼ「ただいま……ここあ、ありがとう。帰ってきたぞ」ギュッ

 

ここあ「んっ……」

 

リゼ「もう、どこにもいかないからな」スリスリ

 

ここあ「うん……♪」

 

リゼ「みんなもだ……ありがとう、嬉しいよ」

 

リゼ「千夜、1週間お世話になったな」

 

千夜「どういたしまして」ニコッ

 

リゼ「チノ、シャロ、ここあの面倒見てくれてありがとう」

 

チノ「いえ、わたしは何も」クスッ

 

シャロ「そんなの当たり前のことじゃないですか」

 

リゼ「マヤとメグも、ここあと友達になってくれてありがとう」

 

マヤ「もともとみんな友達じゃんか!変なリゼ!」ニシッ

 

メグ「そうだよぉ。ねっ、ここあちゃん?」

 

ここあ「うん!みんなだいすきだよっ」

 

千夜「わたしもだーいすき。ここあちゃんもリゼちゃんも、みんな」

 

チノ「わ、わたしも……ぅぅ……//

 

シャロ「~~っ……//

 

マヤ「いいから早くご飯食べよう!ほら、リゼもここあも座って」

 

メグ「ケーキはご飯が終わってからだね」

 

 

ここあ「りぜちゃん、さぷらいずうれしい?」

 

リゼ「ああ、すごくな。わたしは世界一の幸せ者だ」

 

ここあ「ううん、わたしが『いちばん』だよ、りぜちゃんは『にばん』」

 

リゼ「そんなことないぞ。わたしがいちばんだ」ヒョイ

 

ここあ「そんなことないもん♪」キャッキャッ

 

リゼ「サプライズしてもらって、だいすきなみんなに囲まれて――」

 

リゼ「ここあが、側にいてくれるんだからな」ギュッ

 

ここあ「じゃあ、わたしとりぜちゃんどっちもいちばんだね」

 

リゼ「ふふっ、そうだな」

 

ここあ「りぜちゃん、きょうはいっしょにねられる?」

 

リゼ「ああ、もちろんだ。一緒にお風呂に入って、一緒に遊んで、一緒に寝よう」

 

リゼ「1週間前とおんなじだ」

 

ここあ「うん♪」ニコッ

 

ここあ「えへへ……//」ギュッ

 

リゼ「ここあ……」

 

ここあ「りぜちゃん、おかえりなさい」

 

 

ここあ「――だいすき♪」ギュッ

 

 

――続編→『幼いココア、リゼとシークレットナイト

感想

  1. はにすけ より:

    皆の優しさで溢れていて、もうこれでもかってぐらい心が浄化されました。

    チノちゃんとここあちゃんの確かな姉妹愛が見られて良かったです♪

    なんだか、読んでる側としても、久々にリゼちゃんに会えた気がして、安心しました。
    文章だから空間なんてないはずなのに、なんとなくリゼちゃんが遠くに居る気がして。
    ここまで読んできて、何か寂しい感じがあったのはそこですね。「どの表現が」とかは
    わからないですが、いつの間にかそういう感覚にさせる構成力に驚きです。。

    シリーズ通して、ごちうさキャラの、実際にありそうなそれぞれの個性がとてもよく
    現れていて本当に素晴らしい作品でした!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      リゼちゃん、おかえりなさーい!
      などと描きながらひとりで騒いでいたバカ水クジラをお許しください、いえほんとうに;
      執筆者ながら、わたしも本SSを描いていてリゼちゃんが帰ってきたことがただ純粋に嬉しかったです。
      構成力なんてとんでもない、ただわたしも早くリゼちゃんが帰ってきてほしい一心で執筆していました。
      誰ですか、こんなアイデア考えたのは!←お前だ。

      ここあちゃんもリゼちゃんも、とりあえずはお疲れ様ですね。
      ご褒美に、次回作ではイチャイチャを越えた禁断のSSを……!
      これでやっとまたここあちゃんとリゼちゃんのイチャラブ生活を好きなだけ……待っていてください!アイデアとプロットは山ほど用意しておりますので。
      はにすけさんの感想は、いつもとても勉強になることばかりです。
      こんな馬の骨のSSをここまで深く真剣に考察していただけるなんて……わたしは幸せ者です。

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