ごちうさSS 幼いココア、みんなでサバゲー!

 

 

リゼが帰ってくるまで、あと4日。

 

 

――AM10時半――

 

ここあ「ちやちゃんはやく~」

 

千夜「ここあちゃん待って~あんまり走ったらこけちゃうわよ」

 

ここあ「あっ……」ピタッ

 

千夜「おりこうさんね、まだ午前だからゆっくり行きましょう」

 

ここあ「うん♪」

 

 

 

千夜「やっと見えてきたわ、もう使用人さんが立ってるみたい」

 

ここあ「あそこいるの……ゆうしゃさんだ!」タタタ

 

千夜「あっ、ここあちゃん」

 

ここあ「ゆうしゃさーん!」

 

使用人「!」

 

ここあ「――えいっ」ポスッ

 

使用人「おっと……」

 

ここあ「ただいま」ニコッ

 

使用人「おかえりなさいませ、お元気でしたか?」

 

ここあ「うん!きのうは『らびっとはうす』でチノちゃんと遊んだよ」

 

使用人「そうでしたか。あっしは今日のお昼頃からうかがう予定でした」

 

ここあ「だからね、ゆうしゃさんにわたしからあいにくるさぷらいずだよ。おどろいた?」

 

使用人「ええ、驚きました。でも早くお会いできて嬉しいです」スッ

 

使用人「ありがとうごぜぇます」ナデナデ

 

ここあ「んっ……♪」

 

千夜「こんにちは」

 

使用人「どうも、わざわざすいません」ペコリ

 

千夜「ここあちゃん、昨日の夜からずっと楽しみにしてたんですよ」

 

千夜「今日も早起きしちゃって、待ちきれないから会いに来たんです」

 

使用人「……!」

 

千夜「ねっ、ここあちゃん?」

 

ここあ「ゆうしゃさん、いっしょにあーそぼ♪」

 

使用人「……っ」ジーン

 

ここあ「?」

 

――ヒョイ

 

ここあ「わわっ……」

 

使用人「遊びましょう、今日一日、思う存分」

 

ここあ「……!うん、たくさん遊ぶ!」

 

使用人「まずは客室に行きましょうか」

 

千夜「よかったわねここあちゃん」クスッ

 

使用人「あの、よろしければ一緒に」

 

千夜「わたしも?いいんですか?」

 

使用人「みんなでいたほうが、きっとこの子も喜んでくれますので」

 

千夜「使用人さんは相変わらず紳士ですね」

 

使用人「//

 

 

――――――――――――――――――

 

――客室――

 

ここあ「だーいぶっ」ベッド ポフッ

 

使用人「どうしましょう、一応あの方にも知らせるべきですかね……」

 

千夜「教えてあげましょう、きっと一番喜んでくれますから」

 

使用人「それが問題なんですが……まぁ、この子が喜んでくれるなら」ピッポッ

 

Prrrrrrrrrrr――――

 

使用人「おはようございます。報告です」

 

使用人「小さいお嬢の方が、ただいま帰宅しました」

 

ドドドドドド!

 

使用人「?」

 

リゼ父「ここか!?」バンッ

 

千夜「早いっ!?」

 

ここあ「おとうさん!」

 

リゼ父「おお!お前、帰ってきてくれたのか……!」

 

ここあ「おとうさん、ただいま」ギュッ

 

リゼ父「今日からもうずっといるのか?」

 

ここあ「ううん、あと4にちだよ。きょうはあそびにきたの」

 

リゼ父「そうか、またいっちまうのか……」

 

ここあ「おとうさんもいっしょにあそぼ♪」

 

リゼ父「ああ……そうだな。よし、しみったれた話はこれで終いだ」

 

リゼ父「今日は全員で夜まで遊ぶぞ!」ヒョイ

 

ここあ「わーい!」キャッキャッ

 

リゼ父「人数は4人か」

 

使用人「どこか出掛けますか?」

 

リゼ父「いや、せっかくだ。もっと面白いことをしよう」

 

使用人「おもしろいこと?」

 

リゼ父「ああ、口うるさいリゼもいないんだし、な」ニヤッ

 

使用人(嫌な予感が……)

 

リゼ父「でも人数が足りないな……他の使用人共も巻き込むか」

 

千夜「あの、わたしの友達でよければ呼びましょうか?今日はみんなお休みだと思いますので」

 

リゼ父「ほんとか!じゃんじゃん呼んでくれ」

 

ここあ「チノちゃんとシャロちゃん!?」

 

千夜「ええ、今日はみんなで遊びましょう」

 

ここあ「じゃあチノちゃんのおとうさんも!」

 

千夜「えっ?」

 

リゼ父「任せろ」ピッポッパッ

 

リゼ父「――もしもしタカヒロか、今すぐ娘と一緒に俺の家に来い」

 

リゼ父「喫茶店の経営?代わりに夜のバーでいくらでも頼んでやるよ」

 

リゼ父「客が来てるだと?もういい、この際そいつも連れてこい」

 

リゼ父「約束だぞ、今から10分以内だ」プチッ

 

リゼ父「これでタカヒロも来るぞ」

 

ここあ「おとうさんすごい!」キラキラ

 

リゼ父「なんでも叶えてやるから遠慮せず言えよ」

 

使用人(やり方が強引すぎる……)

 

千夜(せっかくだからマヤちゃんとメグちゃんも誘いましょう♪)

 

 

――――――――――――――――――――――

 

――

――――

――――――

 

 

マヤ「これがココア!?」

 

メグ「チノちゃんから聞いてたけどかわいいね~」

 

ここあ「ちのちゃんのおともだち?」

 

チノ「はい、マヤさんとメグさんです」

 

マヤ「わたしたちのこと忘れたの?一緒にシストやったじゃんか~」

 

メグ「今ならここあちゃんもあの狭い入口一緒に入れるね」

 

青山「あの、わたしが呼ばれたのはいったい……」

 

リゼ父「みんな集まったか。7、8、9、10……うし、10人いれば上等だ」

 

使用人「いったい何を……まさか」

 

 

リゼ父「決まってるだろう、サバゲーだ!室内戦で5と5に分かれて」

 

 

全「!」

 

シャロ「サバゲーって、モデルガンで撃ち合うあれですよね?」ガクガク

 

マヤ「うぉお!さすがはリゼのお父さん!やろやろ!」

 

タカヒロ「なるほど、俺を呼んだのはそういうことか」

 

チノ「でも、モデルガンとはいえ弾が顔に当たったりしたら……ここあさんもいますし」

 

リゼ父「ああ、だからこれを使う」スッ

 

千夜「ネズミのカチューシャですか?」

 

メグ「耳のところが風船になってるね」

 

リゼ父「各自、これを頭に付ける。この耳の風船を2つ割られたらアウトだ」

 

リゼ父「それ以外の箇所を狙うのは禁止、誤射は3回まで。相手チームの風船を全部割ったら勝利だ」

 

青山「なるほどぉ、サバゲーとは鉄砲ごっこですか」

 

リゼ父「武器はここから好きなものを選んでくれていい」

 

マヤ「バズーカは!?あとミ〇イルランチャーとか!」

 

リゼ父「今回はバルーン戦だからな、あいにく禁止だ」

 

チノ「ま、まってください!」

 

全「!」

 

千夜「チノちゃん?」

 

チノ「ここあさん、本当に大丈夫ですか?恐かったら他の遊びでも……」

 

ここあ「ううん、だいじょーぶ」

 

ここあ「ちのちゃんとちやちゃんとしゃろちゃんと、みんなで『さばげー』やりたい!」

 

チノ「ここあさん……わかりました」クスッ

 

シャロ(いまさらわたしだけノーとは言えない状況に……)ブルブル

 

リゼ父「さすがは俺の娘だな」

 

タカヒロ「いいや、ここあくんはうちの子だ」

 

リゼ父「タカヒロ……お前とは敵対したほうがよさそうだな」

 

タカヒロ「最初からそのつもりだ、戦力は平等にわけないとダメだろう」フッ

 

リゼ父「俺とタカヒロの2チームだ、あとのメンバーはくじ引きで適当に別れろ」

 

タカヒロ「ここあくんはどうする?」

 

リゼ父「もちろんランダムだ」

 

使用人「どうぞ」スッ

 

千夜(くじ引き、狙うは!)

 

チノ(ただひとつ!)

 

使用人(できることなら!)

 

シャロ(ここあと同じチーム!)

 

ここあ「みんなすごいやる気……!」キラキラ

 

マヤ「メグ、これとかどう?」ジャキ

 

メグ「ハンドガン両手持ちだね」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

リゼ父「で、結局こうなったわけか」

 

リゼ父チーム

・ここあ

・メグ

・シャロ

・チノ

 

タカヒロチーム

・千夜

・マヤ

・使用人

・青山

 

タカヒロ「ここあくんやチノとは敵対か、残念だ」

 

リゼ父「なんか明らかに戦力が偏ってねぇか?主にお前の方に」

 

タカヒロ「俺たち以外みんな素人だ、気のせいだろう」

 

 

マヤ「チノ、メグ、ここあ、シャロ、覚悟しろ!」ジャキ

 

千夜「ふふっ、わたしのマシンガンが血に飢えてるわ」ニコニコ

 

使用人「すいませんが、サバゲーである以上手加減はできません」カチャッ

 

青山「スナイパー?この望遠鏡で覗いてトリガーを引けばいいのでしょうか?」

 

 

シャロ「なんだか戦う前から負けてる気がするんだけど……」ガクガク

 

チノ「そうですね、もはやオーラが……」

 

メグ「みんなで力を合わせて頑張ろうね」

 

ここあ「おとうさんがいるから、きっとかてるよ」

 

リゼ父「おっ、よくわかってるじゃねぇか」

 

リゼ父「鍵の空いてる部屋に隠れるのも待ち伏せも自由だ!5分後に開始する!散らばれ!」

 

マヤ「うぉおー!!」ダダダ

 

千夜「ふふふ♪」タタタ

 

使用人「あっしの前に現れないよう願ってます」

 

青山「うーん、スナイプと言えば廊下で遠的でしょうか」

 

タカヒロ「ここあくん、チノ、手加減はしないよ」キラッ

 

バタン

 

シャロ「はは……は……。むしろ生きて帰れるの、これ……」ガクッ

 

チノ「ここあさん、とりあえず隠れましょう」

 

ここあ「うん!こっちだよ」

 

メグ「あれ、これどうやってうつのかな?」

 

リゼ父「お前ら早く散らばれよ、すぐに奇襲されてハチの巣になるぞ」

 

シャロ「いやぁぁ!」

 

メグ「あっ、シャロさん待って~」

 

――

――――

――――――

 

―――――――――――――――――――――

 

――Side シャロ 廊下――

 

シャロ(うぅ、なんでこんなことに……)

 

シャロ(さっきから物音ひとつしないわね……みんな待ち伏せかしら)

 

シャロ(部屋に入って隠れておきたいけど、鉢合わせしたら怖いし……)

 

――ゴトッ

 

シャロ「!」ビクッ

 

シーン

 

シャロ「……気のせい?」

 

コツコツコツ……

 

シャロ(廊下の奥……足音!?)

 

シャロ「…………」ゴクリ

 

シャロ「」チラッ

 

千夜「シャロちゃーん、こんなところにいたのね♪」バルルルル!

 

シャロ「ふぎゃあああっ!!!」

 

千夜「にがさないわよ~」ドドドド!

 

シャロ「笑顔で撃たないでよぉっ!!」

 

千夜「待って待って~」

 

シャロ「助けてぇ!!」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

――Side ここあ&チノ 食堂――

 

チノ「いまのはシャロさんの悲鳴……!」

 

ここあ「ちやちゃんのこえもきこえるね」

 

チノ(この様子ですと恐らくシャロさんは……)ゴクリ

 

――ガタッ!

 

チノ「!」ビクッ

 

ここあ「だれかきた?」ヒソッ

 

チノ「ここあさん、下がってください」スッ

 

コツコツ……

 

チノ「………………」

 

チノ「っ!」バッ

 

メグ「きゃ……!」

 

チノ「っ!?メグさん……!」

 

メグ「チノちゃん、ここにいたんだね」

 

チノ「無事でよかったです……ここあさんも一緒ですよ」

 

ここあ「めぐちゃんおかえりなさい」

 

メグ「ここあちゃん……――!」

 

メグ「チノちゃんあぶない!」ドンッ!

 

チノ「!?」

 

カキーン! コロコロ……

 

チノ「ああ……あ…………」ガクガク

 

マヤ「ふっふっふ……見つけたよ~レジスタンスども!」

 

チノ「マヤさん……!」

 

メグ「もしかしてわたし、付けられてた……!?」

 

マヤ「チノも一緒ってことはここあもいっしょかな?3人纏めて始末して、今日のMVPはわたしだね!」

 

マヤ「さぁおとなしく出てこい!」ガチャッ

 

メグ「チノちゃんどうしよう……!」

 

チノ「ここは食堂、厨房の奥に行ってしまえば逃げ場はありません……」

 

メグ「……なら、わたしが囮になって――」

 

ここあ「ううん、たたかおう」

 

チノメグ「!」

 

ここあ「3にんでちからをあわせればだいじょうぶだよ」ニコッ

 

チノ「ここあさん……」

 

メグ「そうだね、マヤちゃんとはいえ向こうは一人。チャンスはあるかも」

 

チノ(マヤさんは一人、武器はダブルガン……――!)

 

チノ「……メグさん、かけてみませんか?」

 

メグ「えっ?」

 

チノ「ここあさん、いいですか――」

 

 

マヤ「チノ、メグ、ここあ!覚悟!」ダダッ

 

チノ「っ!」ビュッ

 

マヤ「そこだ!」パシュッ

 

チノ「!?」パーン

 

マヤ「ひとつ!もういっちょう!」パシュッ

 

メグ「マヤちゃんごめんね!」パシュッ

 

マヤ「おっと!甘いぞメグ!」パシュッ

 

メグ「きゃあ!?」パーン

 

マヤ「さぁ、残りひとつずつ!」パシュパシュ!

 

メグ「チノちゃん!」

 

チノ「もう少しです!」

 

マヤ「チノとメグなんて恐れるに足らず!……あれ?」カチッカチッ

 

チノ「……どうやら14発、打ち尽くしたようですね」

 

メグ「これを待ってたんだよ!」ジャキッ

 

マヤ「くっ……!わたしはやられない!」ビュッ

 

チノ「メグさん、出口を!」

 

メグ「逃がさないよマヤちゃん」

 

マヤ「ならこっちだ!」ダダッ

 

チノメグ(作戦通り!)

 

 

マヤ(厨房、とりあえずここで弾を補充して……)

 

ここあ「まやちゃん」

 

マヤ「えっ?」

 

ここあ「えいっえいっ」パシュパシュッ

 

マヤ「うわぁ!?」パーンパーン!

 

ここあ「やったぁ!」

 

マヤ「うぅ、やっぱりここあも隠れてたのか」

 

メグ「ここあちゃんすごいよ!」

 

チノ「おかげでマヤさんを撃退できました」

 

ここあ「えへへ~」

 

マヤ「ちぇ、わたしはここで脱落かぁ」

 

メグ「でもマヤちゃんもすごいよぉ、動いてるわたしたちに2発も命中させるなんて」

 

チノ「1対1でしたら間違いなくやられてましたね」

 

マヤ「でしょ?ずっと前リゼに教わった以来練習してるんだ~射撃」

 

ここあ「!」

 

ここあ「……りぜ、ちゃん」

 

マヤ「とりあえずわたしは客室に戻るね」

 

メグ「チノちゃんここあちゃん、わたしたちも移動しよっか」

 

チノ「そうですね――……?」

 

ここあ「………………」

 

チノ「ここあさん?」

 

ここあ「!」

 

チノ「どうしたんです、怪我でもしましたか?」

 

ここあ「ぁ……ううん!いこっ!」

 

チノ「……?」

 

マヤ「誰かもう脱落してるかな」

 

メグ「さっきシャロさんの悲鳴が――きゃっ!?」パーン

 

チノ「!」

 

青山「待ち伏せ大成功です」ニコッ

 

マヤ「青ブルマ!来るの遅いよ~!」

 

メグ「やられちゃった……」

 

チノ「ここあさん、こっちです!」ダダッ

 

ここあ「わわっ……」

 

青山「逃がしませんよ~」パシュパシュ!

 

チノ「くっ……!」

 

リゼ父「そこまでだ!」バシュッ!

 

青山「きゃっ……」パーンパーン!

 

チノ「あれは……リゼさんのお父さん?」

 

ここあ「おとうさん、ありがとう!」ブンブン

 

リゼ父「ウチの娘に手を出すとこうなるんだぞ、小説家さん」

 

青山「やられちゃいましたかぁ。でもサバゲーって楽しいですね」

 

リゼ父「だろ?」

 

青山「おかげさまでアイデアが湧いてきました」

 

リゼ父「さて、あとは使用人とタカヒロと甘味処の娘か」パラッ

 

リゼ父(まずは――よし、こいつに決めた)

 

リゼ父「俺も合流するか」タタタ

 

 

――――――――――――――――――

 

――Side 使用人――

 

使用人(ここも異常無し、か)

 

使用人(サバゲー……懐かしいな。お嬢が小さい頃よく付き合わされたっけ)

 

使用人(お嬢は待ち伏せが嫌いだったから、いつも廊下を堂々と歩いてて……)フッ

 

ここあ「ゆうしゃさん?」トコトコ

 

使用人「そうそう、こんな風に――って……!?」

 

ここあ「こんにちは♪」

 

使用人「ど、どうしてこんなところに……!」

 

ここあ「わぁ、ゆうしゃさんの『ぶき』かっこいいね!」

 

使用人「これですかい?これはM10といって小型式のマシンガ――って、そうではなく!」

 

使用人(あろうことかこの子に出会うとは……敵同士なのに)

 

使用人(しかし俺もプロ、敵をみすみす見逃すわけには……!)

 

使用人「くっ……!」ジャキ

 

ここあ「?」

 

使用人「構えてくだせぇ、決着を付けましょう」

 

ここあ「でもわたし、ぶきもってないよ?」

 

使用人「へっ?あの、モデルガンは……?」

 

リゼ父「俺が預かったんだ!」バシュバシュ!

 

使用人「なっ!?」パーンパーン!

 

チノ「すごいです……2発だけで」

 

リゼ父「残念だったな」クルクル

 

ここあ「おとうさん、これでよかったの?」

 

リゼ父「ああ、上出来だ。ほらよ」スッ

 

ここあ「わたしのあいじゅう『とかれふ』!」

 

使用人「ま、まさか、これは……」

 

リゼ父「ハニートラップ、プロがひっかかるもんじゃねぇぞ」ニヤッ

 

使用人「くっ……あっしとしたことが……!」

 

チノ「あの、ここあさんはただ武器を持たずに廊下を歩けと言われただけですので、お間違いなく」

 

ここあ「ゆうしゃさん、ごめんね?おとうさんがわるいことした?」

 

使用人「……いえ、そんなことありませんよ」

 

使用人「むしろ、撃たずに済んで幸いです」ナデナデ

 

ここあ「あっ……えへへ」ニヘラ

 

リゼ父「残るはタカヒロと甘味処の娘か。こっちは俺たち3人、有利だな」

 

チノ「やはり、三人一緒に動きますか?」」

 

リゼ父「いや、お前らは生き残ることを最優先だ、俺が攻めるからお前たち二人は部屋に――」

 

ドガッ!

 

リゼ父「!!?」パーン

 

リゼ父「伏せろ!」

 

ここチノ「!?」

 

リゼ父「俺の背後を取るとは……タカヒロだな!」

 

タカヒロ「3人纏めて、か。手間が省けるな」

 

チノ「あっ……あ……」ガクガク

 

ここあ「ちのちゃんのおとうさん、ほんきだね」ゴクリ

 

リゼ父「ここは俺が押さえる、お前たちは逃げろ」

 

チノ「ですが、ひとりでは……」

 

リゼ父「心配するな、お前は甘味処の娘を頼む」ポンッ

 

ここあ「おとうさん、わたしは?」

 

リゼ父「隠れろ、どこでもいい」

 

リゼ父「いくぞ………3、2、1――!」

 

リゼ父「タカヒローっ!!」バシュバシュ

 

タカヒロ「あまいな」シュッ

 

チノ「ここあさんはむこうに!」タタタ

 

ここあ「うん!」

 

使用人「どうかお気をつけて!」

 

ここあ「♪」フリフリ

 

 

――Side リゼ父――

 

タカヒロ「そこだ」ドガッドガッ!

 

リゼ父「うぉおお!!?」サッ

 

タカヒロ「マガジンは残りひとつだろう、観念するんだな」

 

リゼ父「相変わらずだな、ちったぁ遠慮しろよ」リロード

 

タカヒロ「俺が勝ったら、ここあくんは俺の娘だ」

 

リゼ父「ふっ、そんな可能性がゼロだけどなっ!」バッ! バシュバシュッ!

 

タカヒロ「単調だな」シュッ

 

タカヒロ「ふっ……!」ドガッドガッ!

 

リゼ父「おっと!」ゴロゴロ

 

タカヒロ「ん……?」カチッカチッ

 

リゼ父(勝機!)

 

リゼ父「弾切れ!もらったぁ!」ドドド!

 

タカヒロ「かかったな」ジャキッ

 

リゼ父「なっ!?」

 

タカヒロ「これでおしまいだ」スッ

 

リゼ父「――くっ!?」ジャキッ

 

 

ドガッ!!

 

 

タカヒロ「……!」

 

リゼ父「……どうだ、タカヒロ」

 

タカヒロ「……さすがだな」

 

リゼ父「ショートリコイルやオートマチックは構造上、圧力をかければ撃てない……単純なブローバックを愛用してた俺の勝ちだな」ニヤッ

 

タカヒロ「お前の風船、割れてるぞ」

 

リゼ父「……っ!?……ちくしょう」バタッ

 

タカヒロ「とはいっても、武器が無くなった以上俺もリタイヤだ」スッ

 

リゼ父「決着は、また次の機会か」ハマキ

 

タカヒロ「ああ……久しぶりに熱くなれた」

 

リゼ父「……吸うか?」

 

タカヒロ「いや」フルフル

 

 

使用人(………………)

 

使用人(いまのが真のサバゲー……いや、本当の戦場……)ブルブル

 

 

リゼ父「あとはチビ二人か、どうなるかな」プハー

 

タカヒロ「さぁな、千夜くんに勝てるかどうか」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

――Side ここあ――

 

ここあ(どこにかくれればいいかな……)トコトコ

 

ここあ(……!)

 

ここあ(りぜちゃんのおへや……)

 

ここあ(ここでもいいのかな)キョロキョロ

 

ここあ「かぎあいてる……」ガチャッ

 

ここあ「おじゃまします」

 

 

ここあ「……………」

 

ここあ「……りぜちゃん、やっぱりいない」シュン

 

ここあ「……」ベッド ポスッ

 

ここあ「……りぜちゃん」

 

 

リゼ『今日は嫌いなにんじんも食べられたな、偉いぞ』

 

リゼ『ただいまここあ、いい子にしてたか?』

 

リゼ『そろそろ寝るぞ、早く布団に入れよ』

 

リゼ『ここあ、おいで♪』

 

リゼ『ふふっ、ここあはあったかいな……』ギュッ

 

 

ここあ「はやくかえってこないかな……」

 

ここあ「…………」ゴロン

 

ここあ「……――!」

 

ここあ「このまくら……りぜちゃんのにおいがする」スンスン

 

ここあ「んっ……」スンスン

 

ここあ(あんしんするにおい……)

 

ここあ「りぜちゃん……」ギュッ

 

ここあ「……♪」スンスン

 

ここあ「りぜちゃんのにおい、すき//」スリスリ

 

 

――

――――

――――――

 

――Side 千夜――

 

千夜(タカヒロさんより通信……残りはここあちゃんとチノちゃん、わたしだけね)

 

千夜(二人とも一緒にいるのかしら、だとしたら奇襲で一気に――)

 

千夜「……あら?」

 

千夜(ここ、リゼちゃんのお部屋……開いてるわ)

 

千夜「…………」ゴクリ

 

――ガチャッ

 

千夜「チノちゃんここあちゃん、覚悟!」ジャキ

 

千夜「……?」

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

千夜(ここあちゃん……寝ちゃってるみたい)

 

千夜(手に持ってるの、りぜちゃんのまくら……?)

 

ここあ「んっ……りぜちゃん…………」Zzz

 

千夜「!」

 

ここあ「えへへ………」Zzz

 

千夜「……」クスッ

 

千夜「やっぱり寂しかったのね、ここあちゃんも」

 

千夜「無理させてごめんなさい」ナデナデ

 

ここあ「ん……♪」

 

千夜「夢の中でリゼちゃんと遊んでるの?良かったわね」ニコッ

 

 

――ガチャッ

 

チノ「!……千夜さん」

 

千夜「チノちゃん。ふふっ、大丈夫よ。降参するわ」

 

千夜「こんな姿見せられたら、とてもじゃないけど撃てないもの」

 

チノ「ここあさん、寝てしまったんですか」

 

千夜「リゼちゃんのお部屋にいたら安心しちゃったのね、きっと」

 

――ガチャッ

 

リゼ父「決着はついたか?」ガチャッ

 

マヤ「はやく2回戦しよー!」

 

メグ「あれ……ここあちゃん?」

 

青山「熟睡されてますね」

 

使用人「お嬢のお部屋に隠れていたんですか」

 

シャロ「リゼ先輩に会えなくて寂しかったのね、きっと」

 

タカヒロ「ここあくんは、しばらくこのままにしておいてあげよう」

 

チノ「そうですね……」

 

千夜「」ニコッ

 

 

千夜「……ここあちゃん?」

 

千夜「わたしたちは誰も、リゼちゃんの代わりにはなってあげられないけど……」

 

千夜「みんなここあちゃんのこと、リゼちゃんに負けないくらい大好きだから」

 

千夜「だから、安心して……ねっ?」

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ父「よし、今日の晩飯はみんなでフルコースといくか」

 

リゼ父「今すぐメイドたちに伝えてくれ」

 

使用人「へい、かしこまりました」

 

リゼ父「さぁ、気を取り直して2回戦開始するぞ!」

 

マヤ「おおーっ!」

 

シャロ「まだやるんですか!?」

 

青山「次はどんなアイデアが閃くでしょう」ワクワク

 

メグ「チノちゃん、今度は敵かもしれないね」

 

チノ「望むところです」

 

タカヒロ「ショートリコイルはやめるか、このリボルバー借りるぞ」

 

リゼ父「今度は壊すなよ」

 

タカヒロ「あれはお前のせいだろう」

 

キャッキャッ ワイワイ

 

千夜(リゼちゃん、今日はお話したいことたくさんあるわ)

 

千夜(今夜はわたしからかけちゃおうかしら)クスッ

 

――

――――

――――――

 

――――――――――――――――――――――

 

――夜 甘兎庵――

 

千夜「メイドさんのフルコース料理、すごくおいしかったわ」

 

千夜「リゼちゃんのお父さん見かけによらずとっても優しいのね」

 

千夜「その後は8時までみんなでトランプして」

 

リゼ「………………」

 

千夜「あら、リゼちゃん?」

 

リゼ「」グスッ

 

千夜「!」

 

リゼ「わたしだけ仲間外れ……わたしもみんなとサバゲーしたかった、一緒にごはん食べたかった、トランプして遊びたかった」ウルウル

 

千夜「ごめんねリゼちゃん、別に羨ましがらせたかったわけじゃないの」アセアセ

 

リゼ「合宿なんて来るんじゃなかった……ここあと離れ離れになるし、ここあと会えないし、ここあと遊べないし、ここあと――」

 

千夜(ますいわ、話題を変えないとリゼちゃんのここあシックがまた……)

 

千夜「あっ、そうだわ。今日ここあちゃんがね――」

 

リゼ「ここあ!?ここあがどうしたって?」ガバッ

 

千夜(食いつき方がすごい……)

 

千夜「あのね、リゼちゃんのお部屋で――」カクカクシカジカ

 

 

リゼ「そうか、わたしの枕に抱き着いて……」

 

千夜「ここあちゃんがどうしても持って帰りたいって言うから借りてきちゃった」

 

リゼ「それは構わないが。……そうか、そんなことが」

 

千夜「ここあちゃんのほうはリゼちゃんシックかしら」

 

リゼ「嬉しいけど……やっぱりかわいそうだな」

 

千夜「ここあちゃんにとってリゼちゃんの代わりは誰もいないのよね」

 

リゼ「あと4日か……大丈夫かな、ここあ」

 

千夜「こっちもできる限りフォローしてみるわ、リゼちゃんも電話でたくさんお話してあげて」

 

リゼ「もちろんだ。いつも迷惑かけてすまないな、千夜」

 

千夜「ううん、迷惑なんかじゃないから」

 

ここあ「ちやちゃーん!」

 

千夜「あっ、ごめんなさいリゼちゃん、そろそろここあちゃんに代わってあげていい?」

 

リゼ「ああ、明日も大変だろうけどよろしく頼む」

 

千夜「ふふっ、任せて。……そうだ、ねぇリゼちゃん?」

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

千夜「ここあちゃんだけじゃなかったわ。リゼちゃんの周りにいる人は、みんな天使ね♪」ニコッ

 

リゼ「……千夜もな」

 

千夜「えっ?」

 

ここあ「りぜちゃんからでんわ!?かしてかして!」

 

千夜「あ……はい、ここあちゃん」

 

ここあ「りぜちゃん、りぜちゃんきこえる?」

 

リゼ「ああ、聞こえてるよ。ここあは今日も元気いっぱいだな」

 

ここあ「きょうはね、おとうさんといっしょにみんなでおうちで――」

 

リゼ「楽しかったか?」

 

ここあ「うん!」

 

リゼ「そうか、良かったな♪」

 

ここあ「こんどはりぜちゃんもいっしょにしようね、さばいばるげーむ」

 

リゼ「ここあと一緒に二人で戦いたいな」

 

ここあ「りぜちゃんといっしょならむてきだね」

 

リゼ「ああ、ここあがいればわたしは無敵だ」ニコッ

 

千夜(満更冗談でもなさそうよね、リゼちゃんの場合……)

 

 

―――――――――――――――――――

 

――ラビットハウス 深夜――

 

リゼ父「ふぅ……」

 

タカヒロ「…………」

 

リゼ父「今日、楽しんでもらえたかな?」

 

タカヒロ「ああ、恐らくな」

 

リゼ父「そうか……ならいい」

 

タカヒロ「お前はどうなんだ?」

 

リゼ父「あっ?」

 

タカヒロ「楽しかったのか、今日は」

 

リゼ父「楽しくなけりゃ、帰り際にまた来いなんて言わねぇだろ」

 

タカヒロ「ふっ、もっともだな」

 

リゼ父「……お前もか?」

 

タカヒロ「ああ、あんなにはしゃいだのは久しぶりだ」

 

リゼ父「はしゃいだ?あれでか?相変わらず分からねぇな……」ハマキ

 

タカヒロ「ほら」ライター

 

リゼ父「お……」

 

リゼ父「……ふぅ~」

 

タカヒロ「…………」

 

リゼ父「また、集まってくれるかな?」

 

タカヒロ「サバゲーじゃなければ、たぶんな」

 

リゼ父「ふっ、しょうがないからそれでもいいか」

 

タカヒロ「シャロくん、今晩うなされてなければいいが」

 

リゼ父「あのお嬢ちゃん、最後にバッタリ俺と出くわすとは運がなかったな……」

 

――続編→『ごちうさSS 幼いココア、リゼシックになる

感想

  1. はなまるびぃ より:

    何だかこっちまで楽しくなりながら読んでました笑
    結構専門的っぽい単語が出てきましたが、銃とかお詳しいんですか?

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      実は若干のミリオタです、お恥ずかしや;
      リゼちゃんを初めて見た時、なにかとてつもないシンパシーを感じました。

  2. はにすけ より:

    めっちゃ楽しかった!!サバゲーの描写が本格的で驚きました。
    こういうイベント形式のお話、楽しくて大好きです♪

    途中でここあちゃんがリゼちゃんを思い出すシーンは切なさが込み上げてきます。
    楽しさに紛れていると、ふと思い出した時には、堰き止めて積み重なったものが
    急に溢れ出して余計に寂しくなりますもんね。

    リゼちゃんも、こんな楽しい企画、心の底から参加したいでしょうね!
    きょうだいがいなくて、原作でも寂しそうにするリゼちゃんにとって、
    ここあちゃんの存在は本当に嬉しそうです。リゼちゃんの愛情が、姉妹愛の
    範疇で重すぎる愛なのか、その域を超えてしまっているのか、気になります。

    続きが本当に楽しみです♪

    (ちなみに、自分は高校生ココアちゃんがクンカクンカされる妄想をよk…
    いやなんでもないです。以前にサバゲ―に無理矢理つれて行かれて
    蜂の巣にされたことを思い出して、別の意味でも泣けました 笑)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      リゼちゃんほどではないですが、砂水クジラも若干ミリオタだったしますので;

      実はここあちゃんのあのシーン、次回作の伏線だったりします。
      詳細はぜひ続編をお確かめください。

      はにすけさん、正にそれなんです!
      わたしが本シリーズのIFで描きたいのは、リゼちゃんとここあちゃんの平和な日常ももちろんですが、もうひとつは『リゼちゃんの家族』というテーマなんです。
      ここあちゃんの良きパートナー、『使用人さん=ゆうしゃさん』やリゼパパ、千夜ちゃんなどが織り交ざって内輪気味に物語が展開される傾向にあるのは、このテーマに基づいているからだったりします。
      ですので本作のメインは、あくまで『ここあちゃんとリゼちゃん、天々座家の面々』なのです。
      リゼちゃんが一線を越えるかどうか……それは砂水クジラの一存では決められませんので、閲覧者さんたちのご意見にお任せしようかと思います。

      いいなぁ、サバゲー……一度でいいからわたしも参加したいです。

  3. 名有り より:

    前回の作品も含めてコメントさせていただきます!いや〜千夜ちゃん家のお婆ちゃんのハートまで掴めてしまうここあちゃん、流石ですね!
    当初作品のタイトルを見たときは、「ごちうさでサバゲー⁉︎」と驚いたものですが、首謀者が判明したときは、すんなりと納得してしまいました^_^
    それと、やはり父親同士の漢の対決は見ものでしたね!リゼパパは娘にさぞかしカッコいいところ、見せたかったでしょうね…
    あ、あと関係ない話ですが、私の好きな拳銃はFN57です(本当に関係ありませんね)。砂水さんも好みの銃はありますか?宜しければ教えて頂けると嬉しいです♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      久々の続編SS、わたしも大いに楽しみながら執筆させて頂いております。
      次回の3作目で纏めるつもりが、このままですと4作目に続くかもしれません。
      まだまだ描きたいシーンがたくさん残っています。

      リゼ父とタカヒロさんの真剣勝負、以前から一度描いてみたかったのです。
      お互い、娘同然であるここあちゃんの親権をかけてのデスマッチ……結局相打ちでしたが。

      FN57ですか、でしたらわたしはその繋がりで、にわか御用達のP90を挙げます!
      ブルパップ方式とあの形容しがたい特殊な形がたまりません!あとフォーマスも好きです。

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