ごちうさSS 幼いココア、リゼとお泊り

 

 

リゼ(幼くなってしまったココアがわたしの家に泊まりに来ることとなった)

 

リゼ(ラビットハウスでのバイトは午前中で切り上げ、今日はお昼頃にココアと一緒に帰宅だ)

 

リゼ「着いたぞココア」

 

ここあ「………!」

 

リゼ「んっ、どうしたんだ?」

 

ここあ「すごーい!おしろみたいないえ!」キラキラ

 

リゼ「そうか?」

 

ここあ「りぜちゃんってこのまちのおひめさまだったんだね!」

 

リゼ「いや違うぞ。ただの高校生だ、すくなくともわたしは」

 

ここあ「あっ、くろいふくのおじさんがたってる。あのひと、りぜちゃんのおとうさん?」

 

リゼ「!」ハッ

 

リゼ(しまった!そうか、あいつらがいたんだ!)

 

リゼ「………………」

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

リゼ(くっ……お泊りする以上、あいつらやメイドたちに見つからずに過ごすのは不可能に近い)

 

リゼ(親父に見つかったらややこしくなりそうだし、ここはあいつらにだけ話して口止めしておくか)

 

リゼ「あれは父親じゃないぞ、この家のアルバイトさんだ」

 

ここあ「アルバイトさん?パンとかつくるの?」

 

リゼ「そうだな。ご飯を作ってくれたり、危ない目に遭わないか守ってくれているといった感じだ」

 

ここあ「わかった!ゆうしゃだね!」

 

リゼ「まぁ、それでもいいか」

 

黒服「!」

 

リゼ(あっ、気づいたらしい)

 

リゼ「……ただいま」

 

黒服「お、お嬢、その子は……!?」

 

リゼ「違うぞ!この子はただ友達の家の子で――」

 

ここあ「ゆうしゃさんこんにちは♪」

 

黒服「こ、こんにちは……――ゆうしゃ?」

 

リゼ「おっ、ちゃんと挨拶できたな。偉いぞココア」ナデナデ

 

ここあ「えへへ~」ニコッ

 

黒服「お嬢……つかぬことお聞きしますが、その……」

 

リゼ「違うと言ってるだろ!この子はだな――」

 

 

黒服「なるほど……そういうことですか」

 

リゼ「とにかくだ、親父に勘違いされると面倒だからこのことは黙っててくれ」

 

黒服「っ……しかし、いくらお嬢の頼みとはいえ、俺たちもプロ。雇い主を裏切るわけには……」

 

リゼ「親父が人の話を聞かないのは知ってるだろ?お泊りくらい大目に見てくれよ」

 

黒服(他の誰でもないお嬢の頼み……聞いてあげたいのは山々だが、ここは心を鬼にして――)

 

黒服「お嬢、申し訳ありませんが――」

 

こころ「ゆうしゃさん、りぜちゃんのおねがいきいてあげて?」クイッ

 

黒服「……!」

 

リゼ「ココア……」

 

こころ「きょうここにおとまり、させてください」テ ギュッ

 

黒服「うっ……」

 

リゼ「いいぞココア、そのままゆうしゃさんとお約束しようか」

 

黒服「約束……?」

 

ここあ「ゆーびきりげーんまん、ゆびきった♪」

 

黒服「ぐぼぇあ!!」ブシャ

 

リゼ「ふっふっふ、これでもまだわたしを裏切れるか、ゆうしゃさん」

 

黒服「くっ……お嬢」ギリッ

 

リゼ「いいのか?これ以上食い下がったら……」

 

黒服「え……あっ」

 

ここあ「……」シュン

 

黒服「ぅ…………わ、分かりやしたよ。このことは秘密にしておきます」

 

リゼ「ありがとう、助かるよ」

 

ここあ「ふぁ……」パアァ

 

黒服「他の者たちにも伝えておきますのでご心配なさらず、では……」

 

ここあ「まって」ギュッ

 

黒服「!?」

 

ここあ「ゆうしゃさんありがとう。これ、おれいのプレゼント」

 

黒服「あ……いえ、どうも」

 

リゼ「優しいなココアは。さぁいこっか」

 

ここあ「さようなら~!」フリフリ

 

黒服「………………」アメダマ

 

黒服(約束、守らないと)グッ

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

――リゼの部屋――

 

リゼ「よかった、サイズピッタリだな」

 

ここあ「もうおばけじゃなくなったね」

 

リゼ「チノの服でもダボダボだったからな。どうだ、動きやすくなっただろう」

 

ここあ「うん!――えいっ」ダキッ

 

リゼ「おっと……ふふっ」

 

ここあ「りぜちゃん、あーそぼ♪」ニコッ

 

リゼ「いいぞ、なにしてあそぼうか?」

 

ここあ「えっとね、ゲームとえほんとぬいぐるみと――」

 

グー

 

ここあ「あっ……」

 

リゼ「まずはご飯からだな」ナデナデ

 

ここあ「おなかすいたね」

 

リゼ「そうだな、ココアは何が食べたい?」

 

ここあ「えっとえっと……ハンバーグ!」

 

リゼ「ハンバーグか。よし、ちょっと待ってろ」

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

リゼ「ココア、大丈夫か?」

 

ここあ「うぅ~むずかしいよ」

 

リゼ(ナイフとフォークはさすがに早すぎたか)

 

リゼ「確かこの辺に……ほら、割り箸だ」

 

ここあ「おはし!」

 

リゼ「こんなの使ったら余計食べにくいよな」

 

ここあ「りぜちゃんも?」

 

リゼ「ああ、正直言ってわたしもこういうかたっくるしいのは苦手でな」

 

ここあ「えへへ、おそろいだね」

 

リゼ「ほら、早く食べないと冷めるぞ」

 

ここあ「いただきまーす」

 

ここあ「んっ……おいしい!」

 

リゼ「ソースが口に付いてるぞ、もっと小さく切って食べないと」

 

ここあ「ふぉぇ?どこ?」

 

リゼ「ああこら、手で触ったら汚れちゃうだろ。いま拭いてやるから」フキフキ

 

ここあ「んっ……ありがとうりぜちゃん」ニコッ

 

リゼ「ふふっ、ゆっくり噛んで食べるんだぞ」

 

ここあ「はむっ……うん♪」

 

 

ここあ「――!」

 

リゼ「んっ、どうしたんだ?」

 

ここあ「これ、にんじん……」

 

リゼ(そういえばココアってにんじん苦手だったっけ)

 

ここあ「りぜちゃん……かわりにたべて?」

 

リゼ「ダメだ、ちゃんと自分で食べなさい」

 

ここあ「でも、にんじんきらい……のこしちゃだめ?」

 

リゼ「ダメだ」

 

ここあ「にんじんいやぁ……!」フルフル

 

リゼ「ココアっ!」

 

ここあ「!」ビクッ

 

リゼ「…………」

 

ここあ「ひっく……ぐすっ……」ウルウル

 

リゼ「…………」

 

ここあ「ぇぅ……」モグモグ

 

ここあ「ん……」ゴクン

 

リゼ「……えらいぞ、ココア」ギュッ

 

ここあ「りぜちゃん……わたし、にんじんたべられたよ?」

 

リゼ「ああ、よく頑張ったな」ナデナデ

 

ここあ「だからわたしのこときらいになっちゃやだ……」ジワッ

 

リゼ「なるわけないだろ。ココアのことが嫌いだから怒ったわけじゃないぞ?」

 

ここあ「ほんと……?」

 

リゼ「そうだ、ご褒美になにか買ってやろう。何がほしい?」

 

ここあ「ほしいもの……?それじゃあ、えほん!」

 

リゼ「絵本?」

 

ここあ「りぜちゃんといっしょによむの」ニコッ

 

リゼ「そうか、ならお皿を片付けたら本屋に行こう」

 

ここあ「わーい、ふたりでおでかけ~♪」ピョンピョン

 

リゼ(かわいい……)

 

 

――――――

――――

――

 

――リゼの部屋――

 

リゼ「大きな猫は3匹のネズミがくれた桃を抱え、何もせずそのまま去っていきましたとさ」

 

ここあ「ふぉぇー……」

 

リゼ「……おしまい♪」

 

ここあ「おしまい?」

 

リゼ「これでめでたしめでたしだ」

 

ここあ「そっかぁ。ねこさん、ねずみさんたちのことたべなかったね」

 

リゼ「どうしてだと思う?」

 

ここあ「きっとねずみさんたちがやさしかったからだよ」

 

ここあ「きもちがねこさんにも伝わったんだね」

 

リゼ「ふふっ、そうだな、きっとココアの言う通りだ」ナデナデ

 

ここあ「えへへ」ニコッ

 

リゼ(おっと、もうこんな時間か)チラッ

 

ここあ「りぜちゃん、つぎはこれよんで?」

 

リゼ「ココア、先にお風呂に入ろうか。お風呂が終わって、晩御飯を食べて歯磨きして、それからにしよう」

 

ここあ「おふろ?りぜちゃんといっしょに?」

 

リゼ「ああ、そのあと一緒にご飯を食べて、一緒に歯磨きしよう」

 

ここあ「……!」パアァ

 

ここあ「うん!りぜちゃんとおふろはいる!」ダキッ

 

リゼ「よーし、いくか」ヒョイ

 

ここあ「♪」キャッキャッ

 

リゼ(なるほど、モカさんの気持ちも分からんでもない)

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

――夜――

 

リゼ「よし、いいぞ」

 

ここあ「わぁ、このパジャマもふもふしてる」

 

リゼ「電気消すぞ~早くベッドに入れよココア」

 

ここあ「まって~けしちゃだめぇ」

 

リゼ「ははっ、冗談だ。ほらおいで」

 

ここあ「♪~このベッドふかふか」スリスリ

 

リゼ「ちゃんと入ったな。よし、消灯だ」カチッ

 

ここあ「……まっくら」

 

リゼ「んっ、怖いなら豆球付けるか?」

 

ここあ「ううん、りぜちゃんがいるからへいきだよ」

 

ここあ「あっ、でも……て、にぎっててほしいな」

 

リゼ「お安い御用だ」ギュッ

 

ここあ「ぁ……――えいっ♪」ダキッ

 

リゼ「おいおい、抱き付いたら暑いぞ?」

 

ここあ「おへやがすずしいからだいじょーぶ」ニコッ

 

リゼ「まったく、しょうがないやつめ」ナデナデ

 

ここあ「んっ…………」

 

リゼ「早く寝ないと明日は早いぞ」

 

ここあ「朝起きたらラビットハウスにいくの?」

 

リゼ「その時一緒にお前を送り届けるよ」

 

ここあ「………………」

 

リゼ「どうした?」

 

ここあ「……もう、りぜちゃんとあそべない?」

 

リゼ「そんなことないぞ、またいつでも来い」

 

ここあ「……うん♪」

 

ここあ「おやすみなさい、りぜちゃん」

 

リゼ「ああ、おやすみ、ココア」

 

 

ここあ「……すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ(だれかと一緒に寝るなんて、何年ぶりだろう……)

 

リゼ「…………」

 

ここあ「ん……」Zzz

 

リゼ(明日からはまた、一人きりか……)

 

リゼ「………………」

 

リゼ「……ココア」

 

 

――翌日――

 

リゼ「おはよう」

 

チノ「おはようございます」

 

ここあ「ちのちゃんただいま~!」

 

チノ「ココアさん、おかえりなさい」

 

チノ「楽しかったですか?」

 

ここあ「うん!りぜちゃんとたくさんあそんだよ」

 

チノ「そうですか。リゼさん、ありがとうございました」

 

リゼ「いや、わたしも楽しかったし。ココアはちゃんとおりこうさんだったし、なっ?」ナデナデ

 

ここあ「ん……♪」

 

リゼ「……………………」

 

ここあ「……りぜちゃん?」

 

リゼ「えっ……あ、すまない、はは……」

 

ここあ「………………」

 

リゼ「わたしとチノは今から仕事だ、ココアは2階にいるか?」

 

ここあ「ううん、りぜちゃんといっしょにいる」ニコッ

 

リゼ「そうか。なら、いつも以上に頑張らないとな」

 

 

――厨房――

 

リゼ(とはいっても、わたしはほとんど厨房にいるわけだが)

 

リゼ「……………………」

 

――クイックイッ

 

リゼ「んっ……ココア?」

 

ここあ「…………」

 

リゼ「どうしたんだ、おトイレか?」

 

ここあ「ううん……」

 

リゼ「…………?」

 

ここあ「…………」モジモジ

 

リゼ「……言いにくいのか?」

 

ここあ「…………」コクッ

 

リゼ「……そうか」

 

――ポスッ ナデナデ

 

ここあ「!」

 

リゼ「大丈夫だ、怒らないから言ってみろ」

 

ここあ「……あのね」

 

リゼ「……?」

 

ここあ「わたしもね……りぜちゃんと――」

 

チノ「リゼさん、チーズサンド2人前お願いします」ガチャッ

 

リゼ「!ああ、了解だ」

 

ここあ「あ…………」

 

リゼ「すまないココア、後でもいいか?」

 

ここあ「う、うん!ごめんね」

 

ここあ「………………」シュン

 

リゼ(ココア……?)

 

 

――――――

――――

――

 

リゼ「ふぅ~今日は結構忙しかったな」

 

チノ「わたしとリゼさんの二人だけですから」

 

リゼ「いつもはココアが接客だもんな」

 

リゼ「……さて、そろそろ帰るか」

 

チノ「今日もお疲れさまでした」

 

リゼ「お疲れさん、チノもゆっくり休めよ」

 

ここあ「りぜちゃん、これ……」

 

リゼ「んっ、ココア……持ってきてくれたのか、ありがとう」

 

ここあ「かえっちゃうの?」

 

リゼ「ああ……また明日な」

 

ここあ「でも、あしたはおやすみだってちのちゃんがいってたよ」

 

リゼ「……そういえばそうだったな」

 

リゼ「じゃあ、ココアに会いに来る」

 

ここあ「ほんと……?」

 

リゼ「明日もまた一緒に遊ぼう、なっ?」

 

ここあ「!……うん」

 

リゼ「それじゃあ、な」

 

ここあ「りぜちゃん、おやすみなさい」

 

リゼ「…………」ガチャッ

 

ここあ「…………」

 

リゼ「…………」チラッ

 

ここあ「…………」

 

リゼ「っ……――――こ、ココア!」

 

ここあ「……?」

 

リゼ「良かったら、今日も一緒に、わたしの家に帰らないか!?」

 

ここあ「――!」

 

ここあ「♪」ニコッ

 

リゼ「おいで、ココア」

 

――ギュッ

 

3、4日目――おしまい♪

続編『ごちうさSS 幼いココア、リゼとおでかけ

感想

  1. 名有り より:

    ゆうしゃさんとのくだりで一気に体の力が抜けました…最高です…
    砂水さんの作品はいつも見ていて心が落ち着くものばかりで楽しみにしています。これからもSS作成を続けていただけると嬉しいです♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      返信が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。
      名有りさん含め、日々ご愛読くださる皆様の気持ちにお応えできず、また更新に1週間近く空いてしまいました。
      ですが、今後もSS執筆とこのサイトは全力で続けていきますので、どうか優しい目で見守りください。

      実は本シリーズ、ご好評をいただいているものの構成難易度が高すぎてシリーズ化したことを少しばかり後悔している始末です;
      とは言いましてももちろんのこと、最後まで続ける予定ではありますが。

  2. 匿名 より:

    心がぴょんぴょんする

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      ロリココアちゃんは可愛いですが、SSとしましてはかなり扱いにくいキャラクターだったりします。

  3. あやねるLOVE! より:

    とても面白いです。今までは、『ココチノこそ至高!』的な感じだったけどこれ読んだら、『ココリゼもいいなぁ…』と、思いました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      わたしも当初はココチノ派でしたが、ココチノよりもココリゼのほうが執筆しやすいという理由でココリゼばかり描いていたらいつのまにかどちらも好きになっていました。

  4. 匿名 より:

    こういうほのぼのしてるストーリー大好物です。癒されます(o^^o)

    あと黒服さん。貴方は悪くない笑

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ご感想ありがとうございます♪
      皆様の一言が、わたしにとってとても励みになります。

  5. 匿名 より:

    合わない絵でもいいので合成(なのか?)はやめてください!
    ついつい目がいっちゃうから

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      勘違いされているようですが、合成ではなくこれはただのキャプチャー画像です。
      ごちうさ一期の9話をご覧になってみてください。

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