――ラビットハウス――
ココア「チノちゃん、お菓子ちょうだい♪」
チノ「ココアさん、その衣装は……」
ココア「倉庫の手品グッズの中にあったんだ、なんだかドラキュラみたいでしょ?」
チノ「それ、ほんとはマジシャンの衣装なんですが……」
ココア「そっくりだから大丈夫だよ。それよりチノちゃん、早くお菓子くれないといたずらするよ」
チノ「はぁ……どうして今更ハロウィンなんですか、もうお正月も終わって冬ですよ」
ココア「この衣装を着たらやってみたくなっちゃって、トリックオアトリート♪」
チノ「持ってません」
ココア「即答!?」ガーン
チノ「近所に恥ずかしいので早く着替えてください」スタスタ
ココア「むー……えいっ!」ギュッ
チノ「っ!」
ココア「お菓子をくれない子には~いたずらだよ」
ココア「かぷっ♪」
チノ「ひゃっ!こ、ココアさん……!//」
ココア(チノちゃんの耳たぶ柔らかい)
ココア「はむはむ」
チノ「くすぐったいです、やめてください……//」
ココア「いたずらだもん、だからもう少し」ギュッ
ココア「ふふっ、チノちゃんは冬なのにぽかぽかだね」スリスリ
チノ「ココアさんが冷えすぎなんです」
ココア「この衣装だとさすがに少し寒くて……くしゅん!」
ココア「あはは、ごめんね」フキフキ
チノ「……………………」
チノ「ココアさん、まさかこの後みんなのところを回るんですか?」
ココア「うん、もちろんだよ。お菓子をもらえるまで頑張ってくるね」フンス
チノ「……ちょっと待っててください」
ココア「あ……」
チノ「お菓子ではないですが、これを」
ココア「これ、貼り付けるタイプのカイロ?」
チノ「はい、たくさん貼れば少しはマシだと思います」
チノ「風邪を引いたら大変ですので……」
ココア「チノちゃん……!」
チノ「あの、あまり迷惑がかからないように――」
ココア「チノちゃん!」ダキッ
チノ「っ!?」
ココア「ありがとう、帰りはたくさんお菓子もらってくるからね!」モフモフ
チノ「もごご……!」
ココア「えへへ、チノちゃんもふもふ♪」
チノ(ぐ、苦しい……!)
ココア「カイロくれたからいたずら終了だよ♪」スッ
チノ「」バタン
ココア「あれ……チノちゃん!?」
チノ「」ピクピク
ココア「ヴぇあああぁああ!チノちゃんがぁ!!」
チノ「」チーン
――――――――――――――――――――――――――
――甘兎庵――
ココア「こんにちは♪」
千夜「あらココアちゃん、いらっしゃい」
千夜「まぁ、その衣装なにかのキャンペーン?」
ココア「ううん違うよ、トリックオアトリートだよ」
千夜「ふぇ?」
ココア「千夜ちゃん、お菓子くれなきゃいたずらするよ」ガオッ
千夜「それってハロウィン……」
千夜(いまはもう2月、とっくに終わったはずなのに……――はっ!)
千夜「ココアちゃん、これってもしかしてフリかしら?」
ココア「フリ?」
千夜「わたしとしたことが……ごめんなさい!もう一度言ってもらえるかしら?」
ココア「えっ、う、うん。えっと、トリックオアトリート!」
千夜「なんでやねん!」ベシッ
ココア「あうっ」
千夜「ふぅ~なんとか乗り切れたわ」
ココア「どうも失礼しました~――って、漫才でもギャグでもないよ!?」
千夜「えっ!」
ココア「あのね、ラビットハウスの倉庫でこの衣装を見つけて――」
カクカクシカジカ
千夜「そうだったの、てっきりココアちゃんからの唐突なフリかと思ったわ」
ココア「わたしは芸人さんじゃないよ、もう」プクー
千夜(ふくれっ面ココアちゃんかわいい……♪)
千夜「ごめんなさいね。お詫びにはい、この和菓子あげるわ」
ココア「わぁありがとう――ってこれ、この前のロシアン大福だよね!?」
千夜「それは新作なの、ハズレは以前の3倍強の威力よ」
ココア「それってもはや『食べるな危険』だよ!?」
千夜「ふふっ、冗談よ、千夜月でいいかしら」
ココア「栗ようかん!千夜ちゃんありがとう」
千夜「ココアちゃん、写真撮ってもいいかしら?」
ココア「いいよ~ピース」キメッ
千夜(ドラキュラココアちゃんなんてSRね)パシャパシャ
―――――――――――――――――――――――――――――
――フルール・ド・ラパン――
ココア「シャロちゃん、遊びに来たよー」
シャロ「ココア――って、なによその恰好」
ココア「ふふん、ドラキュラだよ。この付け八重歯は千夜ちゃんに借りたんだ」
シャロ「はぁ……チノちゃんからの警告メールは本当だったみたいね」
ココア「ふぉぇ?チノちゃんから?」
シャロ「ええ、変な格好をしたココアが襲い掛かってくるから注意してって」
ココア「色々と語弊があるよ!それだとまるっきり変質者だよね!?」
シャロ「それで、いったい何の用なのよ?まさかトリックオアトリートとか?」
ココア「正解。さすがはシャロちゃんだよ、ということでお菓子ちょうだい♪」
シャロ「えっ……」
シャロ(冗談のつもりだったんだけど!?)
シャロ「え、えっと……いま2月よね?」
ココア「このくだり千夜ちゃんともうやったよ~省略しよう」
シャロ「わたしは知らないんだけど!?」
ココア「いいからいいから、シャロちゃんはわたしにお菓子をくれればいいんだよ、嫌ならいたずらしちゃうよ」
シャロ「……………………」
シャロ「……色々言いたいことはあるんだけど」
ココア「」コクコク
シャロ「そんなにお菓子が欲しいのならいいわ、ハーブティーと一緒にクッキーをごちそうしてあげる」
ココア「ほんと?やったぁ!」
シャロ「ふふふ………」
シャロ「――これでも飲んでなさい!」
――――――――――――――――――――
――帰り道――
ココア(うぅ、ギムネマティーを飲まされた後にクッキー食べさせられた)
ココア(帰りにリゼちゃんのところにも寄ろうと思ったけど、しばらく甘いもの食べられないしやめとこう)トボトボ
リゼ「おーい、ココア」
ココア「ふぇ?あっ、リゼちゃん……」
リゼ「なんだその恰好は――このくだり何度目だ?」
ココア「2度目だよ、リゼちゃんを含めたら3度目かな」
リゼ「そっか、なら省いてもいいな」
リゼ「メールでチノに聞いたぞ、トリックオアトリートしてまわってるんだって?」
ココア「どうしてリゼちゃんにだけまともなメール内容が!?」
リゼ「ハロウィンでもないし、こんなに寒いのによくやるな」
ココア「リゼちゃんはどこに行ってたの?お買い物?」
リゼ「ああ、お前が来るって言うからお菓子を買ってきたんだよ」
リゼ「ほら、わたしからはこれだ」ガサッ
ココア「うっ……ごめんねリゼちゃん、いまはいいかも」
リゼ「どうした、遠慮なんてお前らしくないぞ?」
ココア「ううん、実は――」カクカクシカジカ
リゼ「はは、お菓子はもらえたんだし文句は言えないな」
ココア「これがトリックオアトリートへの対処法なんだね、身に染みてわかったよ」
リゼ(いや、それは違うと思うが)
リゼ「うーん、しかし、わたし一人だけなにもあげないというのも気が引けるな」
リゼ「……そうだ、良かったらウチで晩御飯食べていくか?」
ココア「そういえば、一日中動き回ってお腹すいたかも……」グー
リゼ「決まりだな、心配かけないようにチノにだけメールしておけよ」
ココア「それじゃあお言葉に甘えるね、リゼちゃんからのお菓子は晩御飯ってことで」
リゼ「おいおい、なんだそれ」クスッ
ココア「いたずらされなくてよかったね、リゼちゃん命拾いしたよ」フンス
リゼ「いたずらか……ドラキュラだから首筋でも嚙むのか?」
ココア「そうだよ、リゼちゃんの首筋をカブって♪ついでに耳たぶもはむはむするよ」
リゼ「………………//」
ココア「んっ、リゼちゃんどうしたの?」
リゼ「いや……なんでもない」
リゼ(一瞬されてみたいと思ってしまった……いかん、わたしは変〇じゃないぞ!)
ココア「そうだ!リゼちゃん、さっきのお菓子やっぱりもらってもいい?」
リゼ「ん?いいぞ、ほら」ガサッ
ココア「ありがとう。これ、帰ったらチノちゃんにあげてもいいかな?」
リゼ「なるほど……ああ、もちろんだ」
ココア「結局リゼちゃんから二つも貰っちゃったね」
リゼ「別にいいさ、わたしもココキュラが見れたしな」ナデナデ
ココア「ココキュラかぁ……えへへ、なんだかいいね!今度ラビットハウスで、三人でマント羽織って仮装しようよ」
リゼ「マントか、悪くないな」
ココア「チノキュラとココキュラとリゼキュラ、ドラキュラ三姉妹喫茶で売り出せば!」
リゼ「……誰も寄り付かんな、おそらく」
ココア「あはは、やっぱり?」
リゼ「店名もラビットハウスだしな」
ココア「それならウサミミだね♪」
キャッキャッ ワイワイ
――
――――
――――――
――おまけ――
ココア「ただいま!」
タカヒロ「ココアくん、おかえり――――その衣装は……」
ココア「あっ、ごめんなさい!お母さんのもの勝手に持ち出しちゃって……」
タカヒロ「それはかまわないよ。………ふっ、ドラキュラかい?」
ココア「はい……あっ、お菓子をくれなきゃいたずらします!」ガオッ
タカヒロ「トリックオアトリートか……あいにく、今は持ち合わせていないな」
ココア「分かっていましたけど一応やってみました。それじゃあわたしはチノちゃんにお菓子を――」
タカヒロ「そうだ。……ココアくん、少しじっとしてなさい」
ココア「えっ?は、はい」
タカヒロ「はちみつと着色料を混ぜて……これでケチャップよりもリアルに見える」ペタペタ
ココア「……?」
タカヒロ「……よし、完成だ」
タカヒロ「鏡を見てごらん?」
ココア「へっ、鏡――――ヴぇあああぁああ!?」
ココア「血、血がぁ!?」
タカヒロ「血のりだよ、お風呂に入ればすぐに落ちるさ」
ココア「すごい……本物のドラキュラみたい!」キラキラ
タカヒロ「さぁココア君、チノにお菓子を渡しておいで」キラッ
ココア「…………!」ピコーン
ココア「ふふっ、タカヒロさん、ありがとうございます」
ココア「さぁてと、チーノちゃーん♪」ルンルン
ティッピー「……なぁ息子や……チノがショック死せんかの?」
タカヒロ「大丈夫だろう、俺の娘だしな」
ティッピー「やれやれ……あとでチノに怒られても知らんぞぃ」
タカヒロ「まぁ、たまにはこんないたずらも悪くないさ」フッ
その夜、チノちゃんの断末魔がラビットハウスに響き渡り、タカヒロとココアがしばらく口を聞いてもらえなくなるのはまた別の話……。
――おしまい♪
感想
いつも素晴らしいssをありがとうございます!どのキャラクターも優しさに満ち溢れていて好きです♪
ありがとうございます、そのように感じていただけたのであればうれしい限りです♪
なるべく「ごちうさ」の優しい世界観を損なわないよう、今後も精進してまいりたいと思います。
ココキュラ最高ですね!!
物凄く可愛かったです!
次はチノキュラが仕返しするssも読んでみたいです^_^
可愛いと感じていただき、何よりです♪
チノキュラも検討したのですが、どうしても起承転結が纏まりづらく今はまだアイデア段階です。
今度はココアちゃんの吸血鬼をテーマに、掘り下げたものを執筆する予定です。
可愛らしいお話にほっこり癒されました♪
いつ来てもここのごちうさSSは、日頃の疲れをとってくれるスパみたいで、とても楽しみにしてます≧∀≦
自分もごちうさの二次創作SSや漫画を作ってみたいのですが、文才・画力ともに壊滅的です(泣)「こんなのあったらいいな」みたいなのは浮かんで来るんですけどね。例えば、ストーリーが途中で分岐する(条件によってココチノエンドとココリゼエンドに分かれる、みたいな)お話とか。。。管理人様、いかがでしょう?笑
いつもご愛読ありがとうございます♪
日々のご来訪、誠に感謝しております。
安価SSなどでは、分岐ルート替えは確かに斬新で面白いアイデアかもしれませんね。
しかしながら、このサイトではカテゴリーによってカップリングを分けておりますので、需要の異なるカップリングを混ぜてしまうのはどうしても中途半端なカタチになってしまうでしょう。
あらかじめ二つのSSに切り分けるという方法もありますが、序盤の全く同じ文面を異なるSSにコピーするのは、サイトの価値を下げてしまう要因にもなり得てしまいます。
個人的には同人誌などで、一度そのような漫画を執筆してみたいかもしれません。
そうでしたか(汗)
無配慮な提案をしてしまい、失礼しました。
とんでもありません、ありがとうございます。
独創的なアイデアのご提供、大変参考になりました。
こちら、ハロウィン前の10/13に読ませてもらっております。ハロウィン前なのでココアの行動の異変さ、(というと言いすぎですかね、)を感じました。仮装はせいぜいハロウィン前後2日だと思います。ココアは風邪をひいて判断が鈍ってたかも?しれませんね…。町の人たちには温かい目で見守っていただきたいです。
なかなか日本ではハロウィンが定着しない(スーパーやメーカーは戦略的に利用してますが)ので1月にやると忘れちゃってて、もはやツッコミもできませんね。
千夜やシャロの反応は何かと参考になりそう(笑)。
ココアちゃんが風邪?
??
ハロウィンは本来10月ですからね。