ごちうさSS チノ「リゼさんにわがままを聞いてもらいます」

 

――ラビットハウス――

 

チノ「」ガシャーン

 

リゼ「お、おい、チノ!?」

 

チノ「………………」

 

リゼ「大丈夫か、ケガしてないか!?」

 

チノ「……リゼさん、いまなんと?」

 

リゼ「えっ……いや、だから、冬休み中にココアが千夜とお泊り会をするそうだ」

 

チノ「」

 

リゼ「期間は1週間、まぁあいつらのことだ、シャロにでも頼って冬休みの宿題を終わらせようって魂胆だろう」

 

チノ「」

 

リゼ「とにかく、明後日から1週間はわたしとお前だけだがよろしく頼む」ポン

 

チノ「」

 

リゼ「二人だけって、なんだかココアが来る前に戻ったみたいだな」

 

チノ「……ダメです」

 

リゼ「えっ?」

 

チノ「そんなの認められません!」ダン!

 

リゼ「のわっ!?」

 

チノ「ココアさんはどうでもいいとして、勝手にシフトを抜けられるのは困ります!」

 

リゼ「シフトって……ココアは住み込みだしそんなの無いだろう」

 

チノ「でも、1週間なんて……」

 

リゼ「大丈夫だよ、あっという間だって」

 

チノ「……リゼさん、お願いします」テ ギュッ

 

リゼ「へっ?」

 

チノ「ココアさんに中止するよう説得してください、1週間なんて長すぎます!」

 

リゼ「チノ……寂しいのはわかるが、せっかくの冬休みなんだし少しくらい我慢してやってくれよ、なっ?」

 

チノ「寂しくなんてありません、ラビットハウスが心配なだけです!リゼさんお願いします」

 

リゼ「わたしたち二人でもこんなに暇だし大丈夫だって。あんまりわがまま言うなよ」

 

チノ「……………………」

 

チノ「うっ……」バタン

 

リゼ「チノっ!?」

 

チノ「はぁ……はぁ…………」

 

リゼ「おいしっかりしろ!――って、なんだこの高熱は!?」

 

チノ「リゼさん……わたし、もう……」

 

リゼ「待ってろ、すぐに救急車を呼ぶから!気をしっかり持て!」

 

チノ「…お泊り会……」

 

リゼ「な、なんだ?」

 

チノ「ココアさんのお泊り会を……中止に……」

 

リゼ「いや、いまはそんなこと言ってる場合じゃあ……」

 

チノ「あぁ……!!」

 

リゼ「なっ!更に高熱になった!?」

 

チノ「もうダメです……お父さん、ティッピー、さようなら……先立つ不孝をお許しください……」

 

リゼ「チノっ!?ダメだ逝くな!」

 

チノ「ココアさんを説得……」

 

リゼ「ああ、すぐにやめさせる!説得してやるから!だから逝かないでくれぇ!」

 

チノ「本当ですか?」ピタッ

 

リゼ「え……」

 

チノ「ありがとうございます、リゼさんならそう言ってくださると信じていました」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「ではココアさんのことよろしくお願いします」

 

リゼ「……チノ、熱は?」

 

チノ「熱ですか?別にありませんが」

 

リゼ「」

 

ピタッ

 

リゼ「……平熱になってる」

 

チノ「おかしなリゼさんですね」クスッ

 

リゼ「……………………」

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

チノ「リゼさんのおかげでココアさんがお泊り会を中止してくださいました」

 

リゼ「そうか、良かったな」

 

チノ「ありがとうございます、これで冬休み中のラビットハウスも安心です」

 

リゼ(ラビットハウスじゃなくてチノがだろ)

 

チノ「そういえば、今日はココアさん遅いですね」

 

リゼ「んっ?ああ、ココアならさっきシャロと買い物だって出かけて行ったよ」

 

チノ「」

 

リゼ「マグカップが壊れたからシャロに安くて良いものを選んでもらうそうだ」

 

チノ「」

 

リゼ「隣町のデパートだから、帰ってくるのは早くても夕方ごろじゃないかな」

 

チノ「」

 

リゼ「まぁ、千夜とのお泊り会も中止になったことだしいいんじゃないか」

 

チノ「……………………」

 

チノ「ごぼっ!!」

 

リゼ「っ!!?」

 

チノ「げほっ……ごふ……!」ポタポタ

 

リゼ「チノ!?吐血だと……まさか病気か!?」

 

チノ「はぁ……はぁ………リゼさん……うっ」ガクッ

 

リゼ「あわわ……!まずはタカヒロさんを呼んで、いや、先に救急車……!」

 

チノ「ココアさんがシャロさんと……デート……」

 

チノ「おそろいのマグカップ、お揃いの記念品、お揃いの――ごほぉ!!」プシャア

 

リゼ「チノぉ!!」

 

チノ「リゼさん……わたしも……」

 

リゼ「な、なんだ!?」

 

チノ「わたしもココアさんとデートしたい……お揃いのもの……ほしいです……」ポタポタ

 

リゼ「ああ、病気が治ったらデートくらいいくらでもできるさ!お揃いのものだってたくさん買える!」

 

チノ「でも……きっかけ……」

 

リゼ「そんなのくらいわたしが手回ししてやる!だから早く病院に!」

 

チノ「本当ですか?」ピタッ

 

リゼ「へっ……」

 

チノ「では今週の土曜日がいいです、よろしくお願いします」

 

リゼ「……おいチノ、動いて大丈夫なのか?」

 

チノ「はい、どうやら肺に血が溜まっていたようです。全部吐いたらすっきりしました」

 

リゼ「」

 

チノ「お礼にお土産を買ってきますね、何がいいですか?」

 

リゼ「」

 

チノ「ココアさんとデート……えへへ」ニヘラ

 

リゼ「……………………」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

チノ「♪~♪♪」

 

チノ「」チラッ

 

リゼ「………………」

 

チノ「」スタスタ

 

チノ「♪~♪♪」

 

チノ「」チラッチラッ

 

リゼ「……そのヘアピン、かわいいな」

 

チノ「あっ、これですか。実はココアさんとお揃いなんです」

 

リゼ「この前デパートで買ったやつか、良かったな」

 

チノ「わたしとしてはどうでもいいのですが、ココアさんがどうしてもというので仕方なく」

 

リゼ(すごくうれしそうだ……)

 

チノ「あっ、そろそろ12時ですね。わたし、ココアさんを起こしてきます」タッタッタ

 

リゼ「ああ、寝すぎは体に悪いからな」

 

リゼ「……………………」フキフキ

 

リゼ「あっ、砂糖が少なくなってる」

 

リゼ「えっと、確かこの辺に――」

 

テンジョウ ドタン!

 

リゼ「っ!?」

 

リゼ「なんだ……?」

 

 

――ココアの部屋――

 

リゼ「どうした――ってチノ!?」

 

チノ「はわわ……」カタカタ

 

リゼ「こんなに震えて……いったい何があった!?」

 

チノ「て、テーブルの上……」ガクガク

 

リゼ「テーブル……――っ!?これは……」

 

リゼ「手紙……?」パサッ

 

『冬休み中なんだし、一度くらい顔出しなさい。待ってるよ☆』

 

リゼ「なんだ、ただのモカさんからの文通じゃないか」

 

チノ「ただの……」ピクッ

 

リゼ「ハッ!!」

 

チノ「ただの帰省……それがわたしとココアさんとの関係を亀裂させるきっかけだった……」

 

リゼ「モノローグ形式!?」

 

チノ「それ以来、重度のホームシックに陥ったココアさん……気持ちはあれよあれよと家族の待つ実家へ」

 

チノ「どんどんと疎遠になってくる私たちとの関係……会おうと誘っても理由を付けては断られ、時が過ぎてゆく」

 

チノ「久しぶりに電話をかけるわたしたち……しかし、ココアさんから帰ってきた言葉は――」

 

『チノちゃん?リゼちゃん?誰だっけ、覚えてないなぁ』

 

チノ「ヴぇああぁああああ!!」ゴロゴロ

 

リゼ「想像がネガティブすぎる!ココアに限ってそんなことはありえない!」

 

チノ「ありえないと思ったことが現実になる、それが人生です……」

 

リゼ「まだ中学生だよな!?悟りすぎだろ!」

 

チノ「あぁ……どうせ忘れ去られていく運命……いっそのこと、このまま楽に……」ウツロ

 

リゼ「チノ!?おい、しっかりしろ!」

 

チノ「お母さん……すぐにそちらに行きます……」

 

リゼ「大丈夫だ!わたしがここにいるようにココアに頼んでやるから!モカさんにまたの機会にしてもらえるように電話してやるから!」

 

チノ「本当ですか?」ピタッ

 

リゼ「え……」

 

チノ「それなら安心ですね、心配かけてすいませんでした」

 

リゼ「チノの顔色が良くなってきた……体の震えも」

 

チノ「どうやら不安障害と自律神経失調症が併発してしまったようです、もう大丈夫ですので」

 

チノ「ではリゼさん、ココアさんの帰省の件よろしくお願いします」

 

チノ「わたしからココアさんを奪おうだなんて……モカさん、油断なりませんね」ボソボソ

 

リゼ「……………………」

 

ココア「ふぁぁ…………ふぉぇ?……リゼちゃん?」プワプワ

 

リゼ「」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

ココア「リーゼちゃん♪」ギュッ

 

リゼ「こらこら、いきなり抱き着いたら危ないだろ」

 

ココア「ふふん、わざと困らせてあげたんだよ」

 

リゼ「黒ココアか、こいつめ」ワシャワシャ

 

ココア「ひゃあ……ダメだよ」

 

リゼ「人に意地悪するとこうなるんだ、覚えておけ」

 

ココア「……だって」プクー

 

リゼ「?」

 

ココア「最近のリゼちゃん、なんか意地悪だもん……千夜ちゃんとのお泊り会も実家に帰省するのもダメって言うし、チノちゃんとデパート行くって言っても付いてきてくれないし……」シュン

 

リゼ「それは、そのだな………」

 

ココア「だから、代わりにリゼちゃんにたくさん構ってもらうもん……じゃないと離さない」ギュッ

 

リゼ「……ココア」

 

リゼ「わかったよ、今度の日曜日、一緒に遊ぼう」ポンッ ナデナデ

 

ココア「ほんと!」パアァ

 

リゼ「ああ、どこにでも付き合ってやる。クレープも奢ってやるぞ」

 

ココア「わーい!えへへ、リゼちゃんありがとう」スリスリ

 

リゼ(うぅ、全身撫でまわしたいくらいかわいいが……こんなところチノに見られたら大変なことに……)

 

チノ「………………」ジー

 

リゼ「ハッ!!」ビクッ

 

ココア「な、なに、どうしたのリゼちゃん?」

 

リゼ「………………」ダラダラ

 

チノ「………………」

 

ココア「あっ、チノちゃん!チノちゃんも一緒にモフモフしよう!」

 

チノ「………………」

 

リゼ「ち、チノ……違うんだ、これは……」

 

チノ「………………」

 

チノ「ごぼぇぉ!!」ブシャー

 

リゼ「チノぉ!!!!」

 

ココア「ヴぇあああぁああ!ち、血がぁ!!」

 

この後、三人で遊びに行くという約束でチノちゃんは事なきを得ました。

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    めっっっっっっっっっちゃ楽しみにしてました☆
    チノちゃん嫉妬シリーズ大好きです♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪
      シリーズSSをご支援いただき、うれしい限りです。
      支持をいただいている限り、チノちゃん嫉妬シリーズは継続していこうと思います。

  2. 名有り より:

    今回も楽しく読ませていただきました♪
    前から思っていたのですが、投稿スペースがとても速いですね…どこから次から次へとアイデアが浮かぶのか予想ができません…

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ご愛読ありがとうございます♪
      アイデアは、一日中考えた末に一番話が膨らむと思ったものを毎日ひとつずつメモ帳に記しています。
      あとはそこから面白くなりそうなアイデアを引っ張り出してプロットを作成し、その後本文執筆へとつながり、SSとして完成します。
      ふとしたアイテム、小説や漫画のシーンがSSのアイデアに繋がることもありますよ♪

  3. 匿名 より:

    チノちゃんとリゼのやりとりが最高ですね
    これからも更新楽しみにしてます

    ps.「ごちうさ ss マジキチ」の検索からこのサイト見つけました(ごめんなさい

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます♪

      そのような検索ワードでもヒットしますか;
      喜ぶべきか悲しむべきか、とても複雑な気持ちです。
      しかし、たくさんの閲覧者様に当サイトを知っていただけるのはやはり嬉しいですね。

  4. 匿名 より:

    なんか漫才みたいなやりとりですねw
    初コメですが大分前から楽しませてもらっています。
    これからも楽しみにしてますね☆

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ご感想ありがとうございます♪
      古参の方々にこれからもご支援いただけますよう、今後もひとつの作品を書き上げるのに精一杯邁進させていただきます。
      よろしければ、またぜひご来訪ください。

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