ごちうさSS リゼ「チノが重度のココアシックにかかった」

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リゼ(ココアが実家に帰省してから3日目。日常に少し寂しさを感じ始めた頃、事件は起こった)

 

――

――――

――――――

 

――ラビットハウス――

 

リゼ「チノが病気?」

 

タカヒロ「以前から少し様子がおかしかったんだが、今朝に突然倒れてね」

 

タカヒロ「熱は無かったし、ただの疲れだと思う」

 

リゼ「そうですか……すいません、気付いてあげられなくて」

 

タカヒロ「リゼくんのせいじゃない、親である私の責任だ」

 

タカヒロ「ココア君もいないし、今日のラビットハウスは休業としよう」

 

タカヒロ「ちゃんとバイト代は支払うから、心配しなくても大丈夫だよ」キラッ

 

リゼ「いえ、結構ですそんな」アセアセ

 

タカヒロ「その代わりといってはなんだが、リゼくんに頼むがある」

 

タカヒロ「今日はチノに付きっきりで看病してあげてくれないか?」

 

リゼ「……わたしがですか?」

 

タカヒロ「ココア君がいない今、チノを笑顔にさせてくれるのは君だけだ」

 

タカヒロ「どうか頼まれてほしい」ペコリ

 

リゼ「………わかりました、ココアの代わりになるとは到底思えませんが」

 

タカヒロ「ありがとう、チノのことよろしく頼むよ」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

――チノの部屋前――

 

リゼ「おいチノ?わたしだ」トントン

 

チノ『……リゼさん?』

 

リゼ「入っていいか?」

 

チノ『……どうぞ』

 

ガチャッ

 

リゼ「おやじさんから聞いたぞ――――!」

 

チノ「はぁ……はぁ…………」

 

リゼ「お、おい……チノ!?」

 

チノ「リゼ……さん……」

 

リゼ「しっかりしろ!大丈夫か!?」

 

チノ「息が…苦しいです……」

 

リゼ(息が……まさか、肺炎か!)

 

リゼ「待ってろ!今救急車を――」

 

チノ「……アを」

 

リゼ「……!なんだ!?」

 

チノ「ミルク…ココアを……」

 

リゼ「……ミルクココア?」

 

チノ「ミルクココアを……ココアさんのマイカップで」

 

リゼ「………………」

 

リゼ「」

 

 

―――――――――――――――――――

 

チノ「」ゴクゴク

 

リゼ「…………」

 

チノ「ふぅ…………」

 

チノ「リゼさんありがとうございます、おかげさまで一命を取り留めました」

 

リゼ「チノ、これはいったいどういうことなんだ」

 

チノ「……?どういうこととは?」

 

リゼ「病気なんじゃなかったのか?」

 

チノ「はい、重い病気です」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「リゼさん?」

 

リゼ「……風邪じゃないよな」

 

チノ「違います」

 

リゼ「……疲れでもない」

 

チノ「はい」

 

リゼ「……肺炎でもない、となると」

 

チノ「分かりませんか?」

 

リゼ「……いや、悪いが全く」

 

チノ「ココアさんシックです」

 

リゼ「へっ?」

 

チノ「わたしはこの三日間でココアさんシックという重い病気にかかってしまいました」

 

チノ「どうやらこの病気はココアさんの匂いや私物に触れていないと先ほどのように症状がひどくなるようです」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「リゼさん、聞いてますか?」

 

リゼ「ああ、一応……」

 

チノ「しかし、このままでは学校はおろか日常生活すらもままなりません。そこで応急処置として、ココアさんのマイカップでミルクココアを飲み干せば症状が緩和されることがわかりました」

 

チノ「今朝はキッチンに辿り着く前に倒れてしまって……意識を失いかけていたところを、父に保護されたということです」

 

リゼ「………………」

 

チノ「遅くなってすいません、今日も二人だけですが頑張りましょう」

 

リゼ「今日はタカヒロさんが休業にするって言ってたぞ」

 

チノ「いえ、もう大丈夫です。この通り復活しました」

 

リゼ「いいから今日は休もう、またいつ再発するか分からないんだろ?」

 

チノ「リゼさん…………そうですね、営業中に症状が出たら大変ですし」

 

リゼ(というより、タカヒロさんにチノのことをどう説明すればいいのか分からん……)

 

チノ「せっかくの休暇です、今日のうちにココアさん成分をたっぷり補充しておきましょう」トテトテ

 

リゼ「どこ行くんだ?」

 

チノ「ココアさんの部屋です、よければリゼさんもどうぞ」

 

リゼ「いや……鍵かかってるだろ?」

 

チノ「大丈夫です、合鍵を持ってます」スッ

 

リゼ「」

 

チノ「行きましょう」トテトテ

 

リゼ(チノの将来が不安になってきた……)

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

チノ「ココアさんのベッド……ほわぁ……♪」ポワン

 

リゼ「……………………」

 

チノ「ココアさんの枕、ココアさんのシーツ……♪」スンスン

 

リゼ「………………」

 

チノ「遠慮なさらずリゼさんもどうぞ、ココアさんのパジャマです」

 

リゼ「いや、わたしはけっこうだ……」

 

チノ「そうですか、ではわたしが頂きます」

 

チノ「今夜のお供はこれで決まりですね」サッ

 

リゼ「………………」

 

チノ「ふぅ、これで3時間は持ちます」

 

リゼ「燃費悪過ぎだろ!」

 

チノ「それこれもココアさんが実家に帰ったせいです、私のせいじゃありません」

 

リゼ「…………はぁ」

 

リゼ「なぁチノ?こんなことしなくても寂しいならココアに電話すればいいだろう?」

 

リゼ「用が無くてもあいつなら喜んでくれると思うぞ?」

 

チノ「……わたしは別に寂しいわけではありません」

 

リゼ「えっ、違うのか?」

 

チノ「ただココアさんシックという病気なだけです」

 

リゼ「いや……だからココアに会えなくて寂しいからだろ?」

 

チノ「違います、病気です」

 

リゼ「病気って……素直に会いたいって言えよ」

 

チノ「会いたくなんかありません!」ダン!

 

リゼ「のわっ!?」

 

チノ「わたし、ココアさんのことなんてどうだっていいです!」

 

チノ「ココアさんが帰ってくるのがあと3日後で長過ぎるなんて気にしたことも無いです!」

 

リゼ「そ、そうか」

 

リゼ(思い切り本音が漏れてる……)

 

チノ「寂しがってるなんて……それじゃあまるでわたしがココアさんのことが好きみたいじゃないですか」

 

リゼ「みたいって……現にそうだろ?」

 

チノ「違います、わたしは病気なだけです」

 

チノ「こうしてココアさんのシーツを嗅いだりしているのも病気の悪化を防ぐために仕方なくです」スンスン

 

リゼ(表情からして仕方なくとは思えんが)

 

チノ「ですから電話なんてかけません、メールなんてしません」バサッ モゾモゾ

 

リゼ「おい、それココアの布団だ」

 

チノ「……こほん、まぁ……」ヒョコ

 

チノ「もしココアさんからわたしに電話をかけてくるというのであれば、仕方なくですがお話ししてあげることもやぶさかではないですが」モジモジ

 

リゼ「………………」

 

チノ「」チラッチラッ

 

リゼ「……かけてくるといいな」

 

チノ「うぅ、病気が…………もうダメです…お父さん、ティッピー、さようなら……」ガクッ

 

チノ「恨むならココアさんとリゼさんを……」バタッ

 

リゼ「わたしまで巻き込むな!わかったわかった、どうにかしてやる!」

 

チノ「ほんとうですか……?」

 

リゼ「ああ、ココアに電話をかけるように言っておいてやるよ」

 

チノ「あれ、なんだか急に身体が軽くなってきました……どうやら一時的なものだったようです」

 

チノ「ではリゼさん、私の病気を治すためにもココアさんによろしくお願いします」

 

リゼ「病気をなおすため、か」

 

チノ「はい、ココアさんシックを治すためです」

 

リゼ「…………はぁ」

 

チノ「あっ、リゼさん。ココアさんにはくれぐれもばれないように遠まわしでお願いします」

 

リゼ「わかってる、安心しろ」

 

チノ「ありがとうございます、さすがはリゼさんです。では――」スタスタ

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「……ココア、早く帰ってきてくれ」

 

 

――3日後――

 

チノ「…………」ソワソワ

 

チノ「…………」ウロウロ

 

リゼ「おーいチノ、アメリカンとオリジナルブレンド――」

 

チノ「はい……」ウワノソラ

 

リゼ「……チノ、コーヒーがこぼれてるぞ?」

 

チノ「…………」チラッ トケイ

 

リゼ「…………」ハァ

 

リゼ「なぁチノ、そんなにそわそわしなくてもそのうち帰ってくる――」

 

チノ「!」ビクッ

 

チノ「」シュバッ タタタ!

 

リゼ(なんだ……急いで厨房に入っていった……?)

 

ガチャッ

 

ココア「おじゃまします♪」

 

リゼ「いらっしゃ――って、ココア!」

 

ココア「あっ、リゼちゃん!えへへ、ただいま~」ギュッ

 

リゼ「おかえり…って、こら、仕事中だからあんまり抱きつくな」グイッ

 

ココア「ええっ~残念、それじゃあチノちゃんは?」キョロキョロ

 

リゼ「チノならさっき厨房のほうへ引っ込んで――」

 

ココア「それなら思う存分モフモフできるね!チノちゃ~ん!」タタタ

 

リゼ「お、おい、ココア……」

 

ココア『チノちゃんただいま~!』

 

チノ『ココアさん、おかえりなさい』

 

ココア『1週間ぶりのチノちゃんモフモフ~!』ギュッ

 

チノ『こ、ココアさん……仕事中ですから//』

 

ココア『厨房だし大丈夫だよ~』

 

チノ『なら、仕方ないですね……//』ギュッ

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「」

 

 

ココア「チノちゃん、もう絶対に寂しい思いさせないからね、ごめんね」モフモフ

 

チノ「んっ……ココアさん……//」

 

ココア「チノちゃん大好きだよ~♪」モフモフ

 

チノ「まったく……ココアさんは、本当にしょうがないココアさんです♪」

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    寂しい思いさせないからね…
    と言われてチノちゃん否定してないから
    ココアにいつか 好き…もといココアシックなのがバレちゃうかもしれませんなw
    恐ろしい…ココアシック…

  2. 匿名 より:

    なんか微笑ましすぎて泣けてくる…

  3. 魔法少女のコーヒー♪ より:

    チノちゃん可愛い…///いいですね!!   

  4. もふもふ愛好家 より:

    Dear My Sisterを見て、改めてこのSSを今日読みましたが、また違った感覚で読み進めましたね〜
    ココアちゃん演じる佐倉綾音さんは、以前雑誌のインタビューにおいて、「チノにはココア無しでは生きていけないようになってほしいですね」と答えていましたが、その言葉どおりまさかココアシックが原作においてもここまで引っ張られるとは思わなかったですw
    そしてその末路が砂水さんのSSというのも悪くない…w
    おそらく私がこのシリーズを好きな理由は、通常あまり要望を言わないチノちゃんがここではみんなを逆に振り回す、そんなところに惹かれているのかもしれません。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      まさか、原作の最終回がこのめんどくさいチノちゃんなのですか……!?
      冗談はともかく、確かに映画の方でも原作の方でもチノちゃんのココアちゃんシックが過敏になってきましたね。
      その影響なのか、この嫉妬シリーズに以前まで寄せられていた「チノちゃんをキャラ崩壊させるな」という苦情も徐々に少なくなってきました。
      わたしもチノちゃんにはぜひこれくらいのワガママを言えるようになってほしいと切に願っております、そのためにはこのめんどくさ可愛いチノちゃんをもっと布教せねばなりません。
      もふぴこさんと共に、今後もアイデアの続く限り頑張ってまいりたいと思います!
      理不尽チノちゃん、描いていてすごく可愛いので……。

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