ごちうさSS リゼ「チノと自転車の練習」

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――早朝 ラビットハウス――

 

リゼ「ラテアートを教えて欲しい?」

 

チノ「はい、お願いします」

 

リゼ「それはいいが……突然どうしたんだ?」

 

チノ「以前からずっと悩んでいたんです」

 

チノ「リゼさんの描いたカフェラテは皆さん笑顔で飲んでくれますよね」

 

リゼ「そうか?まぁ無難なウサギとか花の絵だからな」

 

チノ「わたしの描いたカフェラテはいつも苦笑いされてしまいます」

 

リゼ(チノには悪いがそりゃそうだろうな……)

 

チノ「ですので、ラテアートの上手な描き方をぜひ」

 

リゼ「絵はそんなに得意じゃないんだが……まぁいい、開店時間まで一緒に練習してみるか」

 

チノ「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

リゼ「まずはそうだな、試しにチューリップでも描いてみるか」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

リゼ「……………………」

 

チノ「どうですか?」

 

リゼ「……うん………………」

 

リゼ(ラテアートなのに切り絵みたいだ……これはこれですごいが)

 

リゼ「い、良いと思うぞ、個性的で……」

 

チノ「……………………」

 

チノ「嘘です、やっぱり下手なんですね」

 

リゼ「いや、そんなこと無いぞ!チノの絵は下手というか、むしろ上手過ぎるというか……」

 

チノ「ラテアートもろくに作れないバリスタなんて失格です……もう夢も将来も途絶えました」ガクッ

 

リゼ「メンタル脆すぎるだろ!そんなラテアートくらいで……」

 

チノ「リゼさん、後のラビットハウスはお任せします。わたしに代わって立派なバリスタになってください」

 

リゼ「諦め早っ!?というか、そもそもわたしはバリスタになるつもりは――」

 

チノ「ではこの店はお父さんの代でおしまいです」

 

リゼ「他に選択肢あるだろ!?」

 

リゼ「どんなことでも最初から上手くなんかいかないさ。ほら、もう一度練習しよう」

 

チノ「……しょうがないですね」

 

リゼ(なんでわたしが頼んだみたいになってるんだ?)

 

チノ「次は何を描きましょう?」

 

リゼ(うーん……何ならチノが上手に描けるだろうか)

 

リゼ(人物画はピ○ソになるのが目に見えてるし……)

 

リゼ「チノが一番描きやすい絵はなんだ?」

 

チノ「ココアさんです」

 

リゼ「……へっ?」

 

チノ「ですから、ココアさんです」

 

リゼ「……ココアって、あのココアか」

 

チノ「はい、あのココアさんです」

 

リゼ「そうか……」

 

チノ「はい」

 

リゼ「……描いてもらっていいか?」

 

チノ「いいですよ、30秒もかかりません」

 

シュシュシュシュ!

 

―――――――――――――――――――――

 

チノ「完成です」

 

リゼ「上手い!?ココアうまっ!」

 

チノ「描き慣れてますから」

 

リゼ「……なぁ、チノ?まさかと思うが、お客様にもこのラテアートを出しているんじゃ……」

 

チノ「当然です」フンス

 

リゼ「誰でも苦笑いするわ!」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「自転車の乗り方を教えて欲しい?」

 

チノ「はい、お願いします」

 

リゼ「そういえば以前乗れないって言ってたな」

 

チノ「アニメではカットされてましたが」

 

リゼ「アニメ?」

 

チノ「いえ、なんでもありません」

 

リゼ「それじゃあ今週の土曜日にでも練習するか」

 

チノ「土曜日はココアさんがお休みなのでダメです」

 

リゼ「えっ?」

 

チノ「ココアさんの前でみっともない真似を見せられません」

 

リゼ「……それじゃあ平日の放課後か?」

 

チノ「恐らくココアさんが付いてきてしまうのでダメです」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「どうしたんですか?」

 

リゼ「……でも、それじゃあいつ練習するんだ?」

 

チノ「明日の金曜日です」

 

リゼ「」

 

チノ「ココアさんは学校ですし、絶好の練習日和です」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「リゼさん?」

 

リゼ「いや……わたしも普通に学校なんだが」

 

チノ「わたしもです」

 

リゼ「……じゃあ無理だろう」

 

チノ「いえ、欠席と言う手段があります」

 

リゼ「反抗期の中学生か!ダメだ、そんなことで学校は休めない!」

 

チノ「……どうしてもダメですか」

 

リゼ「ああ、どうしてもダメだ」

 

チノ「……分かりました、もうリゼさんには頼みません」

 

リゼ「どうするつもりだ?」

 

チノ「一人で練習します……転んで怪我して血だらけになって、足が折れてしまったらお見舞いくらいには来てください、では……」トボトボ

 

リゼ「ちょ、ちょっと待て!わかった、学校休んで付き合うよ!」

 

チノ「ほんとうですか?」クルリ

 

リゼ「その代わり、明日一度きりだぞ?明日一日で完全にマスターするんだ」

 

チノ「分かりました、ココアさんと二人きりでのサイクリングのためにも頑張ります」

 

リゼ「みんなのことをハブる気満々だな……」

 

 

――――――――――――――――――――

 

リゼ「よし、まずは両足で蹴って進んでみろ」

 

チノ「後ろ、支えてくれないんですか?」

 

リゼ「人に頼るとバランス感覚が身につかない、私は極力手を貸さずアドバイスだ」

 

チノ「わたし、自転車練習で後ろを支えてもらうのが夢だったんです」

 

リゼ「お前もか!」

 

リゼ「まったく、しょうがない……ほら、これでいいか?」

 

チノ「いい感じです、このまま走り出せそうな気がします」

 

リゼ「倒れる前に片足をペダルに乗せて漕ぐのがポイントだ」

 

チノ「一度離してもらっていいですか?」

 

リゼ「離すのか?まだ始めたばかりだし、やめといたほうが……」

 

チノ「大丈夫です、もう完全にマスターしました」フンス

 

リゼ(その自信はどこから湧いて来るんだ?)

 

リゼ「…………」

 

スッ――ガシャン!

 

リゼ「チノっ!?」

 

チノ「……………………」

 

リゼ「ほら見ろ、言わんこっちゃ無い」

 

チノ「……………………」

 

リゼ「大丈夫か、ほら、立てるか?」

 

チノ「……リゼさんはわたしをいじめて楽しんでいますね」

 

リゼ「お前が離せって言ったんだろう!?」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

――2時間後――

 

チノ「」スイスイ

 

リゼ「おお、もう乗れるようになったじゃないか」

 

チノ「ボロボロの傷だらけになって、ようやくここまでこれました」

 

リゼ(すり傷ひとつでオーバーすぎる)

 

チノ「今ならどんなことでもできる気がします」

 

リゼ(ランナーズハイじゃあるまいし)

 

リゼ「……よし、これでもう大丈夫だな」

 

チノ「リゼさんありがとうございます、助かりました」

 

リゼ「なに、お礼なんていいよ」

 

チノ「今度うちのコーヒーでもごちそうします」

 

リゼ「いらん!せめてコーヒー以外にしてくれ!」

 

チノ「ではミルクココアで」

 

リゼ「ラビットハウスのメニューから離れろ!」

 

 

――――――――――――――――――――

 

――サイクリング当日――

 

ザァーザァー

 

リゼ「……………………」

 

リゼ(まずい……まずいぞこれは)

 

 

――ラビットハウス――

 

リゼ「………………」

 

シーン

 

ココア「リゼちゃーん!」ドタドタ

 

リゼ「ココア!」

 

ココア「チノちゃんが……チノちゃんが引きこもりになったぁ~!」ヴエェ

 

リゼ「」

 

リゼ(……うん、しばらくそっとしておこう)

 

ココア「?」

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    チノちゃん、まさに策士ですね。

  2. Beyond the Average より:

    自転車って、自然な形に近い推進力を利用してまずはバランス感覚を身に付けると、上達が早いです。
    つまり、人に押してもらいながらペダルを頑張って漕ぐよりも、坂を下っていくほうが「乗ってる」ことにかなり近い体験ができ、そのあと平地で「さっきの感覚」を思い出しながら漕ぐと、すぐに乗れるようになるわけです。
    私の経験談なのでそれが何よりの証拠です! フンス
    と力説してしまいましたが結局言いたいのは、リゼの蹴って進むという提案はとても良かったんだけど、惜しい!!それだと推進力が足りなくて「乗ってる感覚」から離れてしまうのです!でもリゼもチノもよく頑張りました!

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      原作でもココアちゃんとリゼちゃんが自転車の練習をしていましたね。
      チノちゃんが自転車に乗れるようになっていたらいいなぁ、と想いをはしらせ執筆しました。

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