ごちうさSS 幼いリゼと優しいメイドさん 第3話「みんな仲良く」

 

 

―― 十数年前  天々座家  廊下 AM6:13――

 

 

使用人「………………」スタスタ

 

使用人「…………」ピタッ

 

『医務室』

 

使用人「…………」スッ

 

ガチャッ

 

使用人「!」

 

メイドA「あら?」

 

使用人「おはようございます」

 

メイドA「おはようございます~早起きですね」

 

使用人「あなたも……」

 

メイドA「むむっ?」

 

使用人「?」

 

メイドA「むむむ……」ジー

 

使用人「あの」

 

メイドA「シーッ♪」

 

使用人「……?」

 

メイドA「向こうで話しましょう、ぐっすり寝てますから」

 

少女「」Zzz

 

使用人「………………」

 

 

 

――客室――

 

 

メイドA「あの様子ですと今日一日は昏睡状態かもしれませんね~」

 

使用人「ええ……」

 

メイドA「パニック症状は起こってないようですし、とりあえずは眠れているだけ良しとしましょうか」

 

使用人「…………」

 

メイドA「最初は慣れない環境に戸惑ってしまうでしょうし、目が覚めたらみんなでサポートしてあげましょう」

 

使用人「すいません、なにからなにまで」

 

メイドA「いえいえ~」

 

使用人「…………」

 

メイドA「どうされました?」

 

使用人「瞼の怪我……平気ですか?」

 

メイドA「はい、1か月も経てば元通りですよ」

 

使用人「もし傷が残るようなら整形外科へ。費用は全部持ちます」

 

メイドA「大丈夫です。瞼の傷なんて目立ちませんから」

 

使用人「…………」

 

メイドA「気にしないでください、ねっ?」

 

使用人「とっさに、目を狙ってしまったんだと思います」

 

メイドA「?」

 

使用人「君が失明しなくて良かった……」

 

メイドA「そうなったら旦那様とお揃いですし、それはそれで」フフン

 

使用人「…………」

 

メイドA「それにわたしよりもあなたの方が心配です」ムニー

 

使用人「!」

 

メイドA「早起きしてませんね。目の下の隈、誤魔化せませんよ~」プニプニ

 

メイドA「昨日全然眠れてないでしょう?」

 

使用人「あんな事件が起きた後ですから」

 

メイドA「新しい家族ができたんですよ?とても喜ばしいことじゃないですか」

 

使用人「…………」

 

メイドA「ねっ?これからはもっと楽しくなりそうです」

 

メイドA「ですからあなたもこうしてにこ~っと」

 

使用人「人は普通、あなたのようにはなれない」スッ

 

メイドA「?」

 

使用人「顔に傷が残れば嘆く。片目が無くなれば辛いし、ナイフで切り付けてくるような奴がいればそれに近づきたくもない」

 

使用人「……失礼します」

 

ガチャッ バタン

 

メイドA「…………」

 

メイドA「クスッ……損な方ですね。とっても優しいのに」ニコッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――AM8:40 ダイニング――

 

 

りぜ「んっ……♪」モグモグ

 

メイドA「ほうほう、この白みそいけますね~」

 

リゼ父「……」ムシャムシャ

 

使用人「…………」

 

メイドC(気まずい……)

 

使用人O(昨日の少女の件が尾を引いているなぁ。メイド長が怪我されたようだし無理もないが)

 

リゼ父「あのガキの今後についてだが」

 

全「!」

 

リゼ父「知っているとは思うが、リゼの判断に従いここに住まわせることにした」

 

リゼ父「とはいってもしばらくは医務室だ」

 

全「…………」

 

リゼ父「安全だと判断すれば正式に働かせる、それまでは様子見だな」

 

りぜ「まだいっしょにあそべないのか?」

 

メイドA「あの子の怪我が治ってからですね」ナデナデ

 

リゼ父「あとのことはお前に任せるぞ」

 

使用人「はい」

 

メイドA「わたしにもお世話させてください」

 

使用人「いえ、あなたは――」

 

リゼ父「無駄だぞ。言って納得するようなたまじゃない」

 

使用人「…………」

 

メイドA「余計なことはしません、約束します」

 

使用人C「メイド長……」

 

メイドD「怖くないんですか?」

 

メイドA「はい。だってあの子はお嬢様のご友人ですから」

 

使用人O「……!」

 

メイドA「わたしはお嬢様の目を信じています。怖がる理由なんてどこにもないですよ~」

 

りぜ「むらさめ、わたしもてつだうぞ!」

 

メイドA「まぁ……!お嬢様かっこいいです」ギュッ

 

りぜ「ふふん//」

 

使用人「さすがにお嬢は……」

 

リゼ父「ムラサメかお前が付いていれば大丈夫だろう。リゼ、一人では入るな。約束できるか?」

 

りぜ「わかった、やくそくする!」

 

メイドA「」チラッ

 

使用人「……」コクリ

 

メイドA「♪」ペコッ

 

使用人O「ははっ」

 

りぜ「いついくんだ?ごはんがおわったらか?」

 

メイドA「そうですね~まだ眠っておられるでしょうし、夕方にしましょうか」

 

りぜ「まだねてるのか?ねぼすけなやつだな」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――廊下――

 

 

使用人(………………)

 

使用人(んっ……?)

 

♪~♪♪

 

使用人(ギターの音色……)

 

使用人(この部屋から……あの子か)

 

使用人「………………」スッ

 

 

『メイドA「ですからあなたもこうしてにこ~っと」』

 

 

使用人「……っ」

 

使用人O「入らないのかい?」

 

使用人「!」

 

使用人O「やぁ、どうも」

 

使用人「」ペコリ

 

使用人O「メイド長に用だろう」

 

使用人「いえ……用というわけでは」

 

使用人O「ならわたしと一緒かな」クスッ

 

使用人「?」

 

使用人O「用もないのに、いると分かれば無性に会いたくなる」

 

使用人「…………」

 

使用人O「不思議な人だよ」

 

使用人「……っ」

 

使用人O「失礼します」ガチャッ

 

使用人「!」

 

メイドA「おや?」

 

使用人O「ギターの練習ですか?」

 

メイドA「はい。お嬢様から新しいリクエストがありまして」

 

使用人O「おやおや、そりゃ大変だ」

 

メイドA「でもあともうすこしなんですよ」

 

使用人O「1曲聞いていってもいいですか?」

 

メイドA「もちろんです。どうぞそちらへ~」

 

使用人O「君もせっかくだからどうかな?」

 

使用人「はい」

 

メイドA「ではいきますね」

 

♪~♪♪

 

使用人「…………」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニング前 廊下――

 

 

使用人「………………」

 

ガタッ ゴトッ!

 

使用人「?」

 

使用人「……」チラッ

 

メイドA「んっしょ……」フキフキ

 

使用人(キッチンの掃除……?)

 

メイドA「よっと……」ガタッ

 

使用人「………………」

 

使用人O「どうしたんだい?」

 

使用人「あ……いや」

 

使用人O「んっ?」

 

メイドA「なかなか頑固な汚れですね~」フキフキ

 

使用人「…………」

 

使用人O「まったく、あの人は……」クスッ

 

使用人O「メイド長、またですか」

 

メイドA「ふぇ?」

 

使用人「!」

 

メイドA「あらら、見つかっちゃいましたね」

 

使用人O「いい加減当番は守ってくださいよ」

 

メイドA「お嬢様がお昼寝されて暇だったので」

 

使用人O「それならわたしたちも呼んでください。みんな暇なんですから」

 

メイドA「肝に銘じておきます」フンス

 

使用人O「君も手伝ってくれるかな?」

 

使用人「ええ」

 

メイドA「今日はよく会いますね」ニコッ

 

使用人「…………」ペコリ

 

使用人O「クスッ」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――ダイニング――

 

 

使用人O「お疲れ様。悪かったね、巻き込んでしまって」

 

使用人「いえ」

 

使用人O「ふぅ……」

 

使用人「…………」

 

使用人O「ふふっ」

 

使用人「?」

 

使用人O「メイド長のこと、苦手かい?」

 

使用人「えっ?」

 

使用人O「いつもあの子と喋っているとき、ばつが悪そうな顔をしてるから」

 

使用人「そんなことは……」

 

使用人O「勘違いか。ははっ、それはすまない」

 

使用人「……分からないんです」

 

使用人O「ん?」

 

使用人「ここに来たきっかけも。昨日の一件も、あの人の普段の行動も」

 

使用人O「…………」

 

使用人「俺たちは素性も知れない上に銃を持っていました。そんな人間を助けようとはしません、普通の人間は」

 

使用人「厄介ごとには関わりたくないし、自分の身が危険にさらされる可能性があるならなおさら」

 

使用人「現に医務室に近づく人は誰一人いない。これが当然です。……でも」

 

使用人O「メイド長だけは違う、か」

 

使用人「……はい」

 

使用人O「確かにね、あの子は変わってるな」

 

使用人「…………」

 

使用人O「わたしもずいぶん前に、あの子に対して同じ疑問を抱いたことがある」

 

使用人「あなたも?」

 

使用人O「当時は色々あって人間不信でね。正直あの子のことを、周りの評価を上げたいだけの偽善者……そう思ったこともあった」

 

使用人「…………」

 

使用人O「一度、あの子が怪我をした猫を拾ってきたことがあったんだよ」

 

使用人「猫ですか」

 

使用人O「ああ、それも首輪をつけたね。誰かが家で飼っていたのが逃げ出してしまったんだ」

 

使用人O「その猫はなにがあったのか左足が折れていた。片足を引きずりながら歩いていたらしい」

 

使用人「…………」

 

使用人O「家猫は身内以外の人間には慣れていない。警戒心も強い」

 

使用人O「猫を抱えて家に戻ってきた時、あの子の腕はひっかき傷やら噛み傷で酷いことになっていた」

 

使用人「……」

 

使用人O「正直言ってメイド長の方が重傷だったよ。病院に付き添ったのだけど、医者からどやされるわ他のメイドが心配のあまり貧血で倒れるわ、もう大騒動になってね」

 

使用人O「病院の帰り際、わたしはついあの子に言ってしまったんだ。『こんなことをして何の得になるんですか、いい加減にしてください』……って」

 

使用人「……メイド長は、なんと?」

 

使用人O「んっ?……クスッ」

 

使用人O「ごめんなさい。してあげたいからしました。足が折れて迷子になっていたら辛いでしょう。こんな怪我以上に、あの猫は苦しいはずですから。と」

 

使用人「あの子らしいですね」

 

使用人O「ああ、本当にね」

 

使用人「……その後、猫は?」

 

使用人O「無事飼い主の元に戻っていったよ。メイド長がペット探偵に頼んでわざわざ探してもらって」

 

使用人「飼い主、喜んでいたでしょう」

 

使用人O「そりゃあもう。あの時の笑顔は今でも覚えているよ」

 

使用人「…………」

 

使用人O「その人からお礼に菓子折りのひとつを受け取っただけで、お金は一切受け取らなかった……なんて、言わなくても分かるか」

 

使用人「はい」

 

使用人O「きっと、それと同じなんじゃないかな」

 

使用人「?」

 

使用人O「あの子は自分が親切にして相手から見返りを貰おうとか、誰かに感謝されたいなんて考えていないと思う」

 

使用人O「例えそれで腕を怪我させられて病院送りになっても。瞼をナイフで切り付けられてもね」

 

使用人「…………」

 

使用人O「君を助けたのもきっと、あの時の猫と同じように君が迷子だったからだよ」

 

使用人O「独りぼっちの人間を、動物を、自分の手が届く存在を……放っておけないんだよ、あの子は」

 

使用人「……」

 

使用人O「理解できないだろう? うん、それでいいんだよ」

 

使用人「……一度だけ」

 

使用人O「ん?」

 

使用人「一度だけ、そんな人間を見たことがあります」

 

使用人O「…………」

 

使用人「目に映る全てを助けようとして。誰にでも優しくて、それでいて明るくて」

 

使用人「一緒にいたら、自分がどんなに醜い人間なのかを思い知らされるような……」

 

使用人O「ははっ、なるほど。まるでメイド長だ」

 

使用人「俺には、その子のことを最後まで理解してあげられませんでした」

 

使用人O「…………」

 

 

――カタ ポンッ

 

 

使用人「!」

 

使用人O「当然だよ、それは。みんなそれぞれ別の人間なんだ。歩んできた人生だって違うし、考え方だって違う」

 

使用人O「相手のことを全て理解できたら苦労なんてしないよ」

 

使用人「……はい」

 

使用人O「でも……」

 

使用人O「理解できなくても――君はその子のそういうところが、大好きだったんだろう?」

 

使用人「…………っ」

 

使用人O「長話に付き合わせて悪かったね」

 

使用人「いえ、ありがとうございました」

 

使用人O「今度一杯どうだい?」

 

使用人「ええ、付き合います」

 

使用人O「お風呂でも沸かしてくるよ」

 

使用人「……お好きなんですね、メイド長のこと」

 

使用人O「ああ、とても」

 

使用人「……」ペコリ

 

使用人O「せめて君くらいの年だったらな。当たって砕けるなりあったんだろうけど」

 

使用人O「さすがに二回りも離れていたら娘みたいなもんだよ。それに、こう見えて一応家庭持ちだしね。愛する家族も妻もいる」グッ

 

使用人「フッ……」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

――PM6:40リゼの部屋――

 

 

使用人「」トントン

 

使用人「失礼します」ガチャッ

 

メイドA「どぉりゃー!ちぇすと~!」ゲーム

 

りぜ「むらさめ、うしろだっ!」

 

メイドA「うしろっ!」クルリ

 

使用人「!」

 

メイドA「敵ですね!せいやー!」ザシュッ!

 

使用人「…………」ノーリアクション

 

りぜ「そのうしろじゃないぞ!?はやく『こんとろーらー』もて!」

 

りぜ「あっ……!」

 

『Game over』

 

りぜ「まけちゃったじゃないか!」

 

メイドA「あらら、すいません。現実と混同しちゃいました」テヘッ

 

りぜ「はやくもういっかいするぞ」

 

メイドA「待ってくださいお嬢様」

 

りぜ「おまえか。ちょうどいい、おまえもいっしょにしよう」

 

使用人「お嬢、先に晩御飯です」

 

メイドA「呼びに来てくださったんですね、ありがとうございます。参りましょうお嬢様」

 

りぜ「むー、あとでぜったいつづきやるぞ」

 

メイドA「はい、必ず」

 

使用人「…………」

 

メイドA「あなたもどうですか?」

 

使用人「いや、俺は……」

 

りぜ「いっしょにやろう!」

 

メイドA「やりましょう」フンス

 

使用人「……分かりました」

 

りぜ&メイドA「いえい♪」パチッ

 

使用人「…………」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――PM8:30 医務室――

 

 

少女「………………」

 

トントン

 

少女「!」

 

使用人「おじゃまします」ガチャッ

 

少女「」ペコリ

 

使用人「起きていたのか」

 

少女「」コクリ

 

使用人「体調は?」

 

少女「」グッ

 

使用人「足は?」

 

少女「」ブンブン

 

使用人「そうか……」

 

少女「?」

 

使用人「座っていいかい?」

 

少女「」コクリ

 

使用人「………………」スッ

 

少女「…………」

 

使用人「まずはメイド長に……君を助けてくれた人にお礼を言わないといけない」

 

少女「」コクリ

 

使用人「それと謝るんだ。ナイフで切り付けてしまったことを」

 

少女「……」コクッ

 

――ポンッ

 

少女「?」

 

使用人「……すまなかった」

 

使用人「ひとりで怖かったな」ナデナデ

 

少女「♪」

 

使用人「…………」ナデナデ

 

使用人(……これで、良かったのか)

 

使用人(ここは以前とは違う。この子を受け入れてくれない人だっている)

 

使用人(ここにいることを許してはくれたが、肯定されているわけじゃない)

 

使用人(本当に、これで……)

 

少女「?」キョトン

 

使用人「………………」

 

ガチャッ……

 

使用人「!」

 

メイドA「そぉ~」ヒョコ

 

使用人「メイド長」

 

メイドA「おや、目が覚めましたか~ハロハロー」フリフリ

 

少女「」ペコリ

 

メイドA「もしやお取込み中です?」

 

使用人「いえ」

 

メイドA「ではおじゃましますね。お嬢様、参りましょう!」

 

りぜ「よし!」

 

メイドA「とつげきー!」

 

りぜ「おおー!」

 

少女「!」

 

使用人「お見舞いですか?」

 

メイドA「いえ、これです」スッ

 

使用人「……ギター?」

 

メイドA「ギターです」エッヘン

 

りぜ「おまえたちのかんげいかいにきたぞ」

 

使用人「歓迎会?」

 

メイドA「せっかく新しい家族が増えたのに、なんだかあなたはずっと浮かない顔ですし、他人行儀な気がして」

 

メイドA「今夜はその壁を壊しに来ました」フンス

 

りぜ「わたしたちはともだちでかぞくなんだ。もっとなかよくしないとだめだ」

 

使用人「お嬢……」

 

メイドA「ということですので、そのためにわたくしが一曲弾かせて頂きます」

 

メイドA「お嬢様、お願いしますね」

 

りぜ「ふぇ?」

 

♪♪~♪~♪

 

りぜ「このうた……!」

 

メイドA「はい、弾けるようになりました」ニコッ

 

メイドA「ポイって今日を投げださない 約束しましょ~♪」

 

りぜ「ぁ……!」パアァ

 

メイドA「ふふ、お嬢様もご一緒に」

 

メイドA「わくわくてくてくどこへ行くの?なんとかなるさと上向いて♪ できるよきっとね キミとなら できる? できない? できる?」

 

メイドA&りぜ「やっちゃおう!」

 

りぜ「じぶんのちから ちいさい? のーのー!」

 

メイドA&りぜ「チリ積もですよ あきらめなければ♪」

 

りぜ「どりょくはそんなにみのらない♪ でもちょっぴりいいことありそう♪」

 

使用人O「おやおや、ずいぶん楽しそうだ」

 

使用人「!」

 

使用人O「お見舞いに来たんだけどね、これじゃお祝いだな」ハハッ

 

使用人「どうして……」

 

使用人O「んっ?たぶん同じ考えだよ。――みんなね」

 

使用人「え……」

 

メイドC「メイド長?」ヒョコ

 

メイドD「あの……」

 

使用人O「入っておいで」

 

使用人「……!」

 

メイドC「お、お邪魔します……!」

 

メイドD「あの、お知り合いの子大丈夫ですか?これ、遅くなっちゃいましたけど……」フルーツ

 

メイドA&りぜ「なんびとたりと わたしの前で ケンカしちゃやだやだ♪」

 

メイドA「なかよく ほらこっち来て♪ たのしく ほらこっち来て♪」

 

りぜ「しゅみはちがうけれど きがあいそう♪」

 

使用人B「やっぱりメイド長の仕業ですか」

 

使用人C「何事かと思えば」フッ

 

メイドE「目が覚めましたか?お腹すいてません?」

 

少女「」アセアセ

 

使用人「…………」

 

使用人O「みんな、一歩が踏み出し辛かっただけだよ」

 

使用人O「君が一線を引くと、みんなその線を超えないように気を遣ってしまう」

 

使用人O「でも、こうしてその線が無くなれば……」

 

使用人O「わたしたちも、君たちを心から歓迎できる」ニコ

 

使用人「…………」

 

使用人O「わたしがメイド長のことを好きな理由、分かってもらえたかな?」

 

使用人「ええ……充分すぎるほど」

 

メイドA&りぜ「だからポイって ポイってしないでよ♪」

 

メイドA「夢見るこころは 一歩、二歩、三歩、四歩♪ ごくろうさま」

 

りぜ「いっしょにね てくてくすすむの♪」

 

♪~♪♪~♪♪

 

メイドA「ふぅ……」

 

メイドA「お嬢様、お上手でした~」

 

りぜ「むらさめもな。ぎたーすごいぞ」

 

メイドA「ありがとうございます。さて……」

 

――テ ギュッ

 

少女「!」

 

メイドA「改めまして、ようこそ天々座家へ」

 

メイドA「わたしたちは全員、あなたを心から歓迎します」

 

メイドA「早く怪我を治して一緒に働きましょうね。待ってます」ニコッ

 

少女「……!」

 

パチパチパチパチパチパチ!

 

少女「//」

 

使用人O(敵わないな……)クスッ

 

使用人「……」スッ

 

メイドA「おや~?」

 

使用人O「ん?」

 

使用人「メイド長……お嬢、みなさん、ありがとうございます」

 

使用人「すいませんでした」ペコリ

 

りぜ「どうしてあやまるんだ?」

 

メイドC「お嬢様の言う通りですよ」

 

使用人B「俺たちの方こそ、お見舞いが遅くなってしまって」

 

メイドD「ううー、ごめんなさい。やっぱり恐くて。でももう大丈夫です!」

 

使用人C「これからは、気軽にお見舞いに来てもいいですか?」

 

使用人「はい……ぜひお願いします」

 

少女「」ペコリ

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

メイドA「ふふ」ニコニコ

 

りぜ「むぅ~そんなことよりあそびたい!みんなであそぶぞ!」

 

メイドA「おお~いいですね!お嬢様、ナイスアイデアです」

 

りぜ「ふふん」エッヘン

 

メイドD「しかしこの人数ですとなにをしましょう?」

 

メイドC「ボードゲームとかどうです?」

 

使用人B「家にありましたっけ?」

 

使用人C「あるにはありますが、あれは確か6人までですね」

 

ドンッ!

 

全「!」

 

『始末屋ボードゲーム スラム街の黒うさぎ』

※香風家にある成り上がりボードゲーム、暗黒街のうさぎとは対になっている。

 

リゼ父「ふっ……」

 

メイドA「旦那様!まさかそれは……!」

 

リゼ父「みんなで楽しめるぞ。俺を入れてな」キラーン

 

りぜ「やったぁ!」

 

使用人O「ベッドテーブルの上でやりますか?」

 

メイドD「ですね。イス持ってきます」

 

使用人「ボードゲームか、やったことないな」

 

少女「」キラキラ

 

使用人「……楽しみだな」

 

少女「」ニコッ

 

リゼ父「コーヒーとエナジードリンクを用意してくれ」

 

メイドE「はい、すぐに」

 

使用人C「夜更かしする気満々!?」

 

りぜ「はやくやろう、はやく」ワクワク

 

メイドA「お嬢様、わたしはいかがいたしましょう?サポートに回りましょうか?」

 

りぜ「だめだ、いっしょにやるぞ。おまえはわたしと『ちーむ』だ」

 

メイドA「でも、このゲームはチーム分けとか無いみたいですよ?」

 

りぜ「いいんだ、わたしとおまえはとくべつに『ちーむ』で」

 

メイドA「おやおや~ルール無視なんてお嬢様らしくないですね」ナデナデ

 

りぜ「だって、おまえと『てきどうし』なんていやだ……でも、いっしょにやりたいし……」

 

メイドA「もう~!そんな可愛いの反則です~っ!!」ギュッ

 

りぜ「わわっ//」

 

メイドA「お嬢様~愛していますよ~!」スリスリ

 

りぜ「んっ……//」

 

 

――おしまい♪

感想

  1. のんのんびより より:

    お久しぶりの投稿ですね
    これからも大変だと思いますが頑張ってください

  2. キャラメル より:

    いいSSを読ませて頂きました!
    砂水さん!久しぶりの投稿ありがとうございます!!楽しみにしていました!
    それにSSを読むだけでノーポイッ!を読めるとは…ごちうさbroomもう少しで放送ですね!一緒に心ピョンピョンしましょう!次のSSも楽しみにしています!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      最近は投稿のペースがあまりに遅すぎて感想を読むのも遅くなってしまいます。
      次回作も必ず投稿いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
      いつも丁寧なご感想、誠にありがとうございます。

  3. Beyond the Average より:

    こんにちは。お久しぶりですね。ついにアニメ3期がスタートして、私の心がまたぴょんぴょんし始めているのを感じています…!
    砂水先生の新作も今か今かと楽しみにしておりました!(…にしては感想投稿が遅くなってしまいました。)
     使用人Oさん、すごいクールな方ですね!冷静な様子なんですがとても楽しそうにも見えました。このお話の使用人さんはまだ未熟さが感じられて、使用人0さんに教えてもらいながら成長して、今に至るのだな~と感じました。(今のゆうしゃさんの方が明るくて気さくさも感じられますね。)
     そしてメイドAさんが優しすぎます…!きっと使用人さんも少女も、こんなに優しくされていいのだろうかと思うのではないでしょうか。迷子や一人ぼっちを放っておけない、ムラサメさんのその優しい心が使用人さんと少女に受け継がれていったですね。メイドさんの性格や振る舞いってメイドAさんに似てるなと思いました。

     次回も楽しみにしています!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      使用人Oさんは、眼鏡をかけたクールなおじさんです。
      当時は使用人の中で一番の年長者であり、古株でした。
      まだ賑やかな天々座家に慣れていない使用人さんの師的な存在であり、性格にも影響を及ぼした人物です。
      彼自身も過去にメイド長さんに助けられたそうです。
      自分の境遇と重なる使用人さんのことをとても気にかけているようですね。
      この人も物語のキーパーソンとなる方ですので、どうぞお見知りおきを。

      このシリーズは、メイドAさんことムラサメさんの存在が今を生きるみんなにどういう影響を残したのか、それを紐解くためのスピンオフだったりします。
      あなたのおっしゃるように、メイドさんの振る舞いはこの人の影響を大きく受けています。
      リゼちゃん、使用人さん、メイドさん、みんながそれぞれメイドAさんの優しさを受け継いでおり、同じようにここあちゃんにそれを与えているのでしょうね。
      物語が幼いココアシリーズにどう繋がっていくのか、次回もご期待ください。

  4. ペテルギウス・ロマネコンティ より:

    お待ちしておりましたです。寵愛の信徒よ。私は魔女教、大罪司教ー怠惰担当ペテルギウス・ロマネコンティ…デス!
    あなたの勤勉さは、 脳が震える震える震える。これからも勤勉に頑張ってください。
    本気で振舞うのであれば 他者の目など意識してはいけない。

  5. シュラ(元キャラメル) より:

    こんばんは、砂水さん!たった今ごちうさ3期が
    終わりました!ごちうさ4期は何年後に
    なるのでしょうか…             砂水さんも体調を崩さないように気をつけて下さい!  次のSSを楽しみにしています!

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