ごちうさSS 「意味深なごちうさSS Case6:ユラ」

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

――PM5:22 天々座家――

 

 

ユラ「お疲れさま~」

 

メイド「」ペコリ

 

ユラ「リゼ、まだ帰ってこないね~」

 

メイド「」コクリ

 

ユラ「ちょっと待っててもいい?」

 

メイド「」グッ

 

ユラ「ありがと~屋敷の中散歩してくるよ」

 

メイド「」フリフリ

 

ユラ「♪~♪♪」

 

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ユラ「…………」ガチャッ

 

ユラ「ふぅ…………」ベッド ポス

 

ユラ「…………」キョロキョロ

 

ユラ(変わったね~リゼの部屋も……)

 

ユラ「………………」

 

ユラ「……ずいずいずっころばし、ごまみそずい」

 

ユラ「ちゃつぼにおわれてとっぴんしゃん……」

 

ユラ「たわらのねずみが 米食ってちゅうちゅう……」

 

 

 

………………

 

 

ずいずい ずっころばし

 

 

ごまみぞずい

 

 

ちゃつぼにおわれて

                

 

とっぴんしゃん

 

 

トッピンシャン……

 

 

タワラノネズミガ

 

 

コメクッテチュウチュウ

 

 

チュウチュウチュウ……

 

 

タワラノネズミガ……

 

 

…………

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

――3年前 リゼの部屋――

 

 

ユラ「リゼ~どうしたの?そんなに浮かない顔して」

 

リゼ「うぅ……」

 

ユラ「かまってちゃんモード?」

 

リゼ「違う!」

 

ユラ「じゃあどうして?わたしはリゼと同じ高校に行けて嬉しいよ~?」

 

リゼ「そりゃわたしも嬉しいけど……でも」

 

ユラ「……?」

 

リゼ「……笑わないか?」

 

ユラ「うん、教えて」

 

リゼ「……不安、なんだ」

 

ユラ「不安?」

 

リゼ「お前と違うクラスになるかもしれない……あの高校って大きいから、違うクラスになったら疎遠になったりするかもしれないし……」

 

リゼ「ユラにも新しい友達ができたりするだろうから……」

 

ユラ「…………」

 

リゼ「ユラ……?」

 

ユラ「……ふふ♪」クスッ

 

リゼ「おいっ!?//」

 

ユラ「そんなこと心配してたの~?リゼって可愛いね~」ムフー

 

リゼ「仕方ないだろ!」

 

ユラ「大丈夫~疎遠になったりしないよ。ほぼ毎日ここで会えるしさ~」

 

リゼ「でも、学校だとあまり話せなくなるかもしれないし……ひとりぼっちになるかも……」

 

ユラ「んふふ~杞憂だよ、そんなのは」

 

リゼ「えっ?」

 

ユラ「わたしにもできるってことは、リゼにも新しい友達ができるでしょ~?」

 

リゼ「できる……のかな」

 

ユラ「できるよ~中学までは運が悪かっただけ。高校からが本番さ~」

 

リゼ「……うん」

 

ユラ「新しい友達出来ても、わたしのこと忘れないでね~?」

 

リゼ「忘れるわけないだろ」

 

ユラ「ほんと~?」

 

リゼ「当然だ。それにできるかどうかも分からないし」

 

ユラ「できなかったら学校でも家でもわたしが側にいてあげる、心配ないよ~」

 

リゼ「本当か?」

 

ユラ「ん~?疑うの?」

 

リゼ「だって、ユラにも新しい友達ができるんだろ?」

 

ユラ「そうだね~。でもリゼのこと一番優先してあげる」

 

リゼ「…………」

 

ユラ「ユラちゃんに独占欲全開?」

 

リゼ「独占欲……なのかな」

 

ユラ「リゼ?」

 

リゼ「こんなこと言ってるのに、お前に迷惑はかけたくなくて」

 

ユラ「………………」

 

ユラ「それじゃあ、こうしよっか」

 

リゼ「?」

 

ユラ「今の約束。わたしはリゼのことを一番優先。その代わり、リゼは友達ができてもわたしのことを忘れないこと」

 

ユラ「これならお互いさまでしょ?」

 

リゼ「でも、そんなのユラの方がずっと……」

 

ユラ「そうだね~わたしが不利。だからさぁ、それ相応にリゼの覚悟を見てから約束させてよ」

 

リゼ「覚悟?」

 

ユラ「うん。お互い嘘を付けないように――」

 

カベ バンッ!

 

リゼ「!」ビクッ

 

ユラ「……ね?」

 

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ユラ「…………」

 

ユラ「ん~…………」ゴロン

 

ユラ「…………」

 

ユラ(今日もラビットハウスかな……)

 

ユラ「………………」

 

ユラ(最近のリゼ、よく笑ってる。きっと毎日楽しいんだろうね~)

 

ユラ「……ふふ」

 

ユラ「人間って、ほんとに怖いものなんだよ」

 

ユラ「捕まえて檻の中へ入れちゃうんだよ~」

 

ユラ「でも~リゼみたいな人間もいるんだ」

 

ユラ「ほんとうに人間はいいものかしら、ほんとうに人間はいいものかしら……なんて」

 

 

 

………………

 

 

人間って

 

 

ほんとに怖いものなんだよ

 

 

ホントニコワイモノナンダヨ

 

 

コワイ

 

 

モノナンダヨ

 

 

ほんとうに 人間はいいものかしら

 

 

ホントウニ ニンゲンハイイモノカシラ

 

 

ホントウニ

 

 

ニンゲンハ

 

 

イイモノカシラ……

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

――3年前 リゼの部屋――

 

 

リゼ「…………」

 

トントン

 

リゼ「!」

 

ユラ「リゼ~お待たせ」ガチャッ

 

リゼ「ユラ……」

 

ユラ「それじゃあ、はじめよっか」

 

リゼ「……なぁ、ユラ?やっぱり――」

 

ユラ「ほら、動かないで~もう口に入ってるからさ」

 

リゼ「!」

 

ユラ「リゼは約束破ったりしないよね~……ね?」

 

リゼ「うぅ……//」

 

ユラ「あーんして?」

 

リゼ「でもこれって――」

 

ユラ「あーん」

 

リゼ「うっ……あーん……//」

 

ユラ「んっ……」コロッ

 

リゼ「っ……//」

 

ユラ「ペロッ……どう?」

 

リゼ「……甘い//」

 

ユラ「リンゴ味だよ~」

 

リゼ「これが本当におまじないなのか?//」

 

ユラ「うん、指切りよりもすごく固いやつ」

 

リゼ「でも……これディープキスじゃあ――」

 

ユラ「違うよ~おまじない」スッ

 

リゼ「!」

 

ユラ「誰にも言っちゃダメだよ~。リゼも約束守ってね?」

 

リゼ「……また、来週も?」

 

ユラ「リゼに新しい友達ができるまで」

 

リゼ「……わかった//」

 

ユラ「ふふ~照れてる?」

 

リゼ「照れてない!//」

 

 

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ユラ(あと10分くらいかな……)

 

ユラ「………………」

 

ユラ「」スッ

 

ユラ(ぶどう味かぁ~なんでもいいけど)ビリッ

 

ユラ「んっ……」パクッ

 

ユラ「………………」

 

 

ユラ「……むかーしむかし」

 

 

ユラ「それは、哀れな動物でした」

 

 

ユラ「毎日その子の家に行っては、いたずらばかりしました」

 

 

ユラ「タンスを物色したり、陰から吹き矢を持って見守ったり、いきなり抱き着いたり、いろんなことをしました」

 

 

ユラ「素直じゃなかったのです」

 

 

ユラ「腐れ縁、そんな言葉が似合うようになっていました」

 

 

ユラ「でも、大きな誤算が」

 

 

ユラ「彼女に依存しているつもりが、いつのまにか彼女に依存されていたのです」

 

 

ユラ「嬉しくって、栗を拾っては彼女の家へと持っていきました」

 

 

ユラ「彼女は、それに気づきませんでした」

 

 

ユラ「だから毎週毎週、栗を持って彼女の家へと行ったのです」

 

 

ユラ「彼女に好かれるためでしょうか?」

 

 

ユラ「いえ、違います」

 

 

ユラ「彼女を安心させて、火縄銃で撃つためです」

 

 

ユラ「ある日、彼女を撃ちました」

 

 

ユラ「撃たれたことに気付いていない彼女は、変わらず笑ってくれました」

 

 

ユラ「青いけむりが、筒から出ていました……」

 

 

ユラ「クスッ……なーんて」

 

 

………………

 

 

アオイケムリガ

 

ツツカラデテイマシタ……

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――3年前 リゼの部屋――

 

 

ユラ「あーん……」コロッ

 

リゼ「んっ……//」

 

ユラ「んふふ~お疲れ様」

 

リゼ「これで何回目だ?//」

 

ユラ「13回目かな」

 

リゼ「3か月か……ハァ」

 

ユラ「元気出して~リゼ~」

 

リゼ「ユラ……毎日すまない」

 

ユラ「いいよ~平気」

 

ユラ「来年またクラス替えだしさ~その時に頑張ろう?」

 

リゼ「わたし……やっぱり性格が悪いのかな」シュン

 

ユラ「そんなことないよ~リゼはたぶん、仲良くなるきっかけを作るのが下手なだけ」

 

リゼ「きっかけ……?」

 

ユラ「この前言ってたバイト先の女の子と友達になってみたら?良い子そうだし」

 

リゼ「チノと?でも、なんだか怖がられてるし……」

 

ユラ「リゼが初対面でいきなり銃向けたりしたからでしょ~?」

 

リゼ「うっ……そうだけど」

 

ユラ「そんな迷えるリゼには~ユラちゃんが良いアイデアあげるね」

 

リゼ「なにかあるのか?」

 

ユラ「これだよ~」スッ

 

リゼ「ぬいぐるみ?」

 

ユラ「リゼ、得意でしょ?」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「あーん……」コロッ

 

リゼ「……レモンか?//」

 

ユラ「せいかーい」

 

リゼ「ん……//」

 

ユラ「どう?決心付いた?」

 

リゼ「もし要らないって言われたら……」

 

ユラ「心配ないよ、こんなに可愛いしさ~」

 

リゼ「でも、チノの好みとか分からないし」オドオド

 

ユラ「臆病だね~リゼは。そんなんだから友達出来ないんでしょ~?」

 

リゼ「う、うるさい!バイト仲間なんだし、険悪になったらやり辛いだろう?」

 

ユラ「それじゃあね、リゼのお父さんのせいにしちゃえば?」

 

リゼ「親父のせいに?」

 

ユラ「うん、渡すときにね――」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「喜んでくれたんだ?良かったね~」

 

リゼ「ユラのおかげだ」

 

ユラ「これでチノちゃんとは友達になれた?」

 

リゼ「たぶん……前よりも話す機会が増えたし」

 

ユラ「そっか~それじゃあこれで最後だね」ペロッ

 

リゼ「でも、チノがどう思っているか」

 

ユラ「自信持って、大丈夫」スッ

 

リゼ「クスッ……そうだな」

 

ユラ「約束、覚えてる?」

 

リゼ「わたしはユラのことを友達として忘れない。ユラはわたしのことを優先してくれる……だよな?」

 

ユラ「チノちゃんといくら仲良しになっても、他に新しい友達ができても、わたしのこと忘れちゃダメだよ~?」

 

リゼ「忘れるわけないだろ。ユラはわたしにとって親友だ」

 

ユラ「約束したよ~はい、あーん」

 

リゼ「あーん……//」

 

ユラ「んっ……」コロッ

 

リゼ「……オレンジだな//」

 

ユラ「おいしい?」

 

リゼ「ああ」

 

ユラ「あーんして?」

 

リゼ「えっ?」

 

ユラ「リゼの方から返して……ね?」

 

リゼ「うっ……わかった//」

 

リゼ「ん……//」コロッ

 

ユラ「んふふ~ありがと」ペロッ

 

リゼ「今日はどうしたんだ?いつもは移しておしまいなのに」

 

ユラ「最後だからさ~。気にしないでいいよ」

 

リゼ「?」

 

ユラ「新しい友達おめでとう、もっと増えるといいね~」

 

リゼ「……増えても、友達でいてくれよ?」

 

ユラ「もちろん、約束破らないさ~」

 

ユラ「だって……」ガリッ

 

ユラ「バリッ……ボリッ……」

 

ユラ「――ふふ」

 

 

 

 

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ユラ「リゼ、おかえり~」

 

リゼ「ユラ……もしかして待っててくれたのか?」

 

ユラ「ちょっとだけだから平気だよ~」

 

リゼ「すまない、みんなと話してたら遅くなってな」

 

ユラ「ココアちゃんたちと?仲良しだね~」

 

リゼ「今度みんなで喫茶店巡りをするんだ。良かったらお前もどうだ?」

 

ユラ「そうだね~遠慮しておこうかな」

 

リゼ「気を遣わなくていいんだぞ?」

 

ユラ「ううん、ただの気まぐれ」

 

ユラ「リゼの顔も見れたし、ユラちゃんおいとまするね~」

 

リゼ「もう帰るのか?せっかくだから夕飯食べていけよ」

 

ユラ「ありがとう。でもまた今度にするよ~」

 

リゼ「そうか……残念だな」

 

ユラ「残念だと思ってくれるの?」

 

リゼ「当たり前だろ。またいつでも泊まりに来てくれよ、昔みたいに」

 

ユラ「……ふふ」

 

ユラ「リゼは嘘つかないね~そういうところ昔から好きだよ」

 

リゼ「えっ?」

 

ユラ「またね」フリフリ

 

リゼ「あ……ユラ」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

リゼ「……?」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

ユラ「さて……」

 

ユラ(すっかり夜だね~)

 

ユラ「………………」

 

 

ユラ『はい、あーん』コロッ

 

リゼ『んっ……//』

 

 

ユラ「………………」

 

 

リゼ『今日はどうしたんだ?いつもは移しておしまいなのに』

 

ユラ『最後だからさ~。気にしないでいいよ』

 

 

ユラ「………………」

 

 

ユラ『バリッ……ボリッ……』

 

 

ユラ「………………」

 

 

リゼ『すまない、みんなと話してたら遅くなってな』

 

 

ユラ「………………」

 

 

リゼ『忘れるわけないだろ。ユラはわたしにとって親友だ』

 

 

ユラ「…………うん」

 

ユラ「だから……全部奪いたくなっちゃったんだ」

 

ユラ「ごめんね、ごめんね……」

 

 

ユラ「クスッ……なーんて♪」

 

ユラ「良い子だね~昔からリゼは」

 

 

 

ユラ「――ふふ」ニコ

 

 

 

 

欲望と信頼に偽装された刻印。

 

支配欲、もしくは優越心による行動原理。

 

 

――おしまい

感想

  1. キャラメル より:

    ユラちゃんはリゼちゃんを独占したいけどリゼちゃんはそれに気づいていないという事でしょうか…それともリゼちゃんがほしいがために病んでしまったのか…意味深シリーズはどれも難しく、面白いです。ユラちゃんが抱いているのは恋心なのか…それとも…?今回もとても面白いSSをありがとうございます!次のSSも楽しみにしています!

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      この作品のテーマは『狐』ですね。
      ユラちゃんは気づかれぬよう、リゼちゃんに対してあることをしているのですよ。

  2. キャラメル より:

    この頃更新が少ないですね…
    体調には気をつけて下さい!
    砂水さんのSS楽しみにまっています!
    またぼちぼち来ますね!ではまた

    • 砂水クジラ 砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      また落ち着き次第、以前の更新頻度に戻したいと思います。

    • 白亀 より:

      ユラちゃんの飴玉?をリゼちゃんの友達と仮定してみると
       リゼちゃんに友達ができた
      →飴玉?を噛み砕く=友達を殺す
      →リゼちゃんが悲しむ
      →自分に依存する=目的達成!
      みたいなことも妄想できて面白いのぅ…
      ユラチャンオソロシヤオソロシヤ…

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