ごちうさSS ここあ「シャロちゃんと吹き矢ゲーム」

 

 

――AM8:40 天々座家 ダイニング――

 

 

ここあ「しゃろちゃん、『ばたー』わたしがぬってあげる」

 

シャロ「あらほんと?ありがとう」ナデナデ

 

リゼ「…………」ウズウズ

 

ここあ「りぜちゃんのもかして♪」

 

リゼ「優しいな~ここあは//」

 

ユラ「リゼが日に日に変になってる~」

 

ここあ「ゆらちゃんは『じゃむ』?」

 

ユラ「そうだよ~ブルーベリ~」

 

シャロ「吹き矢部長、昨日はリゼ先輩の部屋にいたんですね」

 

ユラ「そろそろ名前で呼んでよ~」

 

ここあ「りぜちゃん、かだいは?」

 

リゼ「今日でおしまいだぞ」

 

ここあ「ぁ……!//」パアァ

 

リゼ「夕方まで、ユラとシャロと3人で良い子にしてるんだぞ」

 

ここあ「うん!」

 

シャロ「せっかくですしここあを連れてどこか出掛けますか?」

 

ユラ「はーい、ユラちゃんから提案~」

 

シャロ「?」

 

ユラ「今日はシャロちゃんとここあちゃんのためにとびっきりのゲームを用意してるんだよ~」

 

ここあ「げーむ?」

 

シャロ(嫌な予感しかしないんだけど……)

 

 

ユラ「その名も~……――吹き矢でターゲット暗殺指令~」

 

 

シャロ「」

 

ここあ「あんさつ?」

 

ユラ「石畳みの街全体を使ったゲームだよ~」

 

ユラ「ターゲットがウサミミ型の風船カチューシャを頭に付けてるから、吹き矢でそれを全部割り終わったら終了~」

 

ユラ「誰が付けているかはノーヒントだから、シャロちゃんとここあちゃん二人で探さないとダメだよ~」

 

ここあ「おもしろそう!やりたい!」

 

ユラ「シャロちゃんは~?」

 

シャロ「ここあがしたいなら付き合いますけど……でもそれっていわゆるかくれんぼじゃあ……」

 

ユラ「吹き矢を使う所が違うでしょ~?」

 

シャロ「吹き矢要素っていりますか?」

 

ユラ「暗殺だから必要だよ~。ね~ここあちゃん?」

 

ここあ「ね~♪」

 

リゼ(仲間外れ……)シュン

 

ユラ「お昼から開催するから、熱中症にならないように帽子を被って出発してね~」

 

ここあ「ゆらちゃんはいっしょにしないの?」

 

ユラ「ごめんね~寂しがり屋のリゼがいるからお留守番~」

 

リゼ「寂しくなんかない!気を遣わなくていいからお前も一緒に――むぐっ!?」ピタッ

 

ユラ「ユラちゃんストップ~」

 

ユラ「シャロちゃん、ここあちゃんのことお願いね~」ムフー

 

シャロ(絶対になにか企んでる……)

 

ここあ「はやくおひるにならないかな」ワクワク

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

――トントン

 

リゼ父「入れ」

 

ユラ「おじゃましまーす」ガチャッ

 

リゼ父「どうなった?」バサッ

 

ユラ「ここあちゃんが乗り気だから決行~」

 

リゼ父「そうか」

 

ユラ「風船カチューシャ配って来るね~、こっちの方はお願い~」

 

リゼ父「ああ」

 

ガチャッ バタン

 

リゼ父「…………」ピッ

 

 

 

使用人「失礼します」ガチャッ

 

メイドB「あっ」

 

リゼ父「来たな」

 

メイドB「あなたからもなんとか言ってください」

 

使用人「?」

 

メイドB「これを着けて街を歩けって言うんです」

 

使用人「ウサギ耳の風船……――カチューシャ?」

 

リゼ父「日射病にならないよう日陰にいても構わないぞ」

 

メイドB「そういう問題じゃありません!」

 

リゼ父「お前たち、メイド服のままいつも外に行ってるだろう?今さら――」

 

メイドB「わたしはちゃんと着替えてます!だいたい13年前はみんな着替えていたんですよ、全部メイド長の影響です」

 

メイド「?」

 

リゼ父「今では誰も不思議に思わなくなったな」

 

使用人「常識なんて得てしてそんなものでしょう」

 

メイドB「とにかく、こんな恥ずかしいもの付けて町なんて歩けませんから」

 

リゼ父「あれを見ろ」

 

メイドB「?」

 

メイド「」スッ

 

メイド「♪」テッテレー

 

メイドB「」

 

使用人「やる気満々ですね」

 

メイドB「そ、そもそもキャラが違います!一緒にしないでください」

 

リゼ父「俺も付けるんだぞ」スッ

 

使用人「えっ!?-」

 

メイドB「屋敷内であればわたしも――」

 

リゼ父「こいつも付けるぞ」ビシッ

 

メイドB「!?」

 

リゼ父「街中で堂々とな」

 

使用人「……冗談ですよね?」ダラダラ

 

リゼ父「冗談ならわざわざお前を呼び出す理由がないだろ」

 

メイド「」カポッ

 

使用人「ちょ……!」

 

 

使用人「…………」ドドーン

 

 

メイド「」グッ

 

リゼ父「プッ……くくっ……!」

 

メイドB「違う意味の怖さが混ざって逆に良い人に見えますね……」

 

リゼ父「試しにお前も付けてみろ」

 

メイド「」カポッ

 

メイドB「わっ……」

 

メイドB「………………」

 

リゼ父「おお、さすがに似あうな」

 

メイド「」コクコク

 

リゼ父「小さいののためだ、今日一日表で適当にぶらぶらして来い」バサッ

 

メイド「」コクリ

 

使用人「小さいお嬢のためみたいですね……やはり」

 

メイドB「はぁ…………」ガクッ

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

――PM12:20――

 

 

シャロ「ここあ、準備できた?」

 

ここあ「うん!」

 

シャロ(制汗剤も日焼け止めも塗ってあげたし、後は麦わら帽子を被せて)ポスッ

 

ここあ「これ、ちのちゃんがくれたの//」ニヘラ

 

シャロ「可愛いわね、良く似合ってるわ」ニコッ

 

 

――トントン

 

シャロ「どうぞ」

 

リゼ父「そろそろ行ってこい」ガチャッ

 

シャロ「はい、今から――…………え゛」

 

ここあ「ゆらちゃんがいってたうさみみのふうせん!」

 

リゼ父「早くしないと夕飯までに間に合わなくなるぞ」

 

シャロ「あの、リゼ先輩のお父さん……それ、壊してもいいんですよね?」

 

リゼ父「練習だ、外すなよ」

 

ここあ「うん!」

 

ここあ「……ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

リゼ父「あと7人だ、無事任務を達成して来い」

 

ここあ「いえっさー!」

 

ここあ「しゃろちゃん、いこう♪」

 

シャロ(街中であれを付けた人があと7人もいるの……!?)

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

ここあ「だれがつけてるんだろう?」

 

シャロ「そうねぇ、メイドさんや使用人さんたちもありえるけど、一番怪しいのはやっぱりチノちゃんと千夜じゃないかしら」

 

ここあ「それじゃあ、さいしょは『らびっとはうす』にいこう」

 

シャロ「ちのちゃんがつけてるといいわね」

 

ここあ「うん♪」

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

チノ「お、お父さん……!?それはなんですか……!?」

 

タカヒロ「んっ……これかい?」←ウサミミ

 

チノ(ウサギ耳のカチューシャ……!突然どうして?ラビットハウスだからですか?)パニック

 

タカヒロ「ふっ……気にしないでいい。早いうちにチノにも分かるよ」

 

チノ「大変ですおじいちゃん……父が悟りを開いておかしくなってしまいました……」ヒソヒソ

 

ティッピー「あいつよりわしの方が似合う」ピョン

 

チノ「そういう問題です!?」

 

チノ(どうしよう……ここあさんはまだしも、リゼさんたちが来たらきっと父が軽蔑され――)

 

ここあ「おじゃましまーす」ガチャッ

 

シャロ「こんにちは」

 

チノ「」

 

ここあ「ちのちゃーん//」タタタ

 

シャロ「え……!ち、チノちゃんのお父さん……!」

 

シャロ(どうしてチノちゃんじゃなくてお父さんの方なの……!?)

 

ここあ「えいっ//」ギュッ

 

チノ「ここあさん……!えっと、あれは……!」

 

ここあ「ちのちゃん、うさみみの『かちゅーしゃ』しらない?」

 

チノ「ウサミミ!?し、知りません!わたしはなにも!」ブンブン

 

シャロ「ここあ、よく見て。チノちゃんのお父さんがつけてるわ」

 

チノ「シャロさん!?」

 

ここあ「やったぁ!たかひろさん、しゃがんで?」

 

タカヒロ「しっかり狙うんだよ」スッ

 

ここあ「……ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

ここあ「やったよ!」

 

タカヒロ「思ったよりも早かったね」ナデナデ

 

ここあ「んっ……//」

 

シャロ「ここで2人目です、ご協力ありがとうございました」ペコリ

 

ここあ「ちのちゃん、たかひろさん、またね」フリフリ

 

タカヒロ「待ちなさい。外は暑いからこれを」スッ

 

ここあ「ぐれーぷそーだ!ありがとう//」ニヘラ

 

シャロ「すいません、ありがとうございます」

 

ティッピー「チノや、タカヒロのあれはここあのためのイベントだったらしい」

 

チノ「お父さんまでおかしくなって……お母さん、わたしはどうすれば……」ガクッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「ちのちゃんじゃなくてたかひろさんだったね」

 

シャロ「チノちゃんのお父さんて意外とおちゃめな人なのかしら」

 

ここあ「たかひろさんおもしろいよ。このまえふたりであそんだときも――」

 

シャロ「そんなことしてくれるの!?」

 

ここあ「うん」ニコッ

 

シャロ(チノちゃんが時々妙なテンションになるのもお父さんの遺伝なのね……)

 

シャロ(ということは、まさか甘兎庵も――)

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

お婆「…………」ストンストン

 

アンコ「………………」

 

お婆「ん……なんだい?」

 

アンコ「………………」

 

お婆「仕事の邪魔だよ、さっさと出かけな」

 

アンコ「…………」ジー

 

お婆「頭のこれが気になるのかい?」

 

アンコ「」フムフム

 

お婆「付けたくて付けてるんじゃないよ」ヒョイ

 

アンコ「」ジー

 

お婆「まったく、年老いたばばあにこんなもの……」

 

アンコ「………………」

 

ここあ「こんにちはー!」

 

シャロ「千夜、いるー?」

 

お婆「やっと来たね」スッ

 

アンコ「」ピョンピョン

 

お婆「夕飯までには帰って来るんだよ」

 

アンコ「」フムフム

 

 

お婆「遅いよ、あんたたち」

 

シャロ「やっぱりお婆ちゃんなのね……千夜は?」

 

お婆「買い出しだよ。それよりさっさと済ませな、鬱陶しくて仕方ないよ」

 

ここあ「おばあちゃん、『うさみみ』すごくにあってるよ!」キラキラ

 

お婆「なに寝ぼけたこと言ってるんだい」

 

ここあ「ほんとうだよ。おばあちゃん、すごくかわいい」ニヘラ

 

お婆「………………」

 

お婆「ほら、早くしな」

 

シャロ「う、うん。それじゃあおばあちゃん、動かないでね」スッ

 

シャロ「ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

シャロ「ありがとう、巻き込んでごめんね」

 

お婆「ふん……」

 

ここあ「おばあちゃん、こんどはいっしょに『ねこみみ』つけようね。りぜちゃんにかってもらったのがあるの」

 

お婆「馬鹿言うんじゃないよ、似合いもしない。……休みの日に遊びにおいで」

 

ここあ「うん!」

 

シャロ「ふふっ……」クスッ

 

お婆「ちょっと待ってな」

 

ここあ「?」

 

シャロ「おばあちゃん?」

 

お婆「今作り立ての栗羊羹、食べていきな。失敗作だからお金は要らないよ」

 

ここあ「くりようかん!たべる!おばあちゃん、ありがとう//」ギュッ

 

お婆「…………」ナデナデ

 

シャロ(作って待っててくれたのかな……)

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

シャロ「甘兎庵とラビットハウスが終わったから、たぶんあとはお外ね」

 

ここあ「ううん、まだ『ぷとらかれー』のおねえちゃんがあやしいよ」

 

シャロ「ぷとらかれー?」

 

ここあ「このまえちのちゃんといったの。しゃろちゃんがいってたへんなかれーやさん」

 

シャロ「もしかしてお友達になったの?ここあは誰とでも仲良しね」

 

ここあ「ぷとらかれーにいこう!」

 

シャロ「あっ、ここあ。あのカレー屋さんならこっちよ」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――露店街――

 

 

青果屋「どっちにする?」

 

メイド「」ムムッ

 

青果屋「そんなに迷うなら二つとも買わないかい?」

 

メイド「」コクリ

 

青果屋「リンゴふたつ、毎度あり~」

 

メイド「」スッ

 

青果屋「シャリシャリしておいしいよ」

 

メイド「」スッ パクッ

 

メイド「」モグモグ

 

メイド「」グッ

 

青果屋「だろう?」

 

メイド「」モグモグ

 

メイド「//」ニコッ

 

青果屋(かわいい……)

 

メイド「」フリフリ

 

青果屋「あっ……ちょっと待ちなメイドさん」

 

メイド「」クルリ

 

青果屋「ほら、刀と脇差」ポイッ

 

メイド「?」キャッチ

 

青果屋「聞いたよ、この前公園で馬鹿どもを3人成敗したんだって?」

 

メイド「」テレテレ

 

青果屋「そいつはお礼だ。うちの大根とごぼう、威力抜群だったろう?」

 

メイド「」コクリ

 

青果屋「今度はちゃんと食べてやってくれよな」ブンブン

 

メイド「」ペコリ

 

青果屋「また来てくれ~」

 

 

 

メイド「」テクテク

 

揚物屋「あっ、め、メイドさん」

 

メイド「?」

 

揚物屋「頭の風船、何ですか?それ」

 

メイド「」ピョンピョン

 

揚物屋「いや、うさぎなのは分かりますけど」

 

メイド「?」

 

揚物屋「可愛いですね、ははっ……」

 

メイド「」ニコッ

 

揚物屋「えと、な、なにか買っていきます?サービスしますよ」

 

メイド「」フム……

 

揚物屋「//」

 

メイド「」スッ

 

揚物屋「コロッケですね、1つでいいです?」

 

メイド「」コクリ

 

揚物屋「毎度あり。もう1つおまけしておきますね」

 

メイド「」パアァ

 

揚物屋「どうぞ」

 

メイド「」モグモグ

 

メイド「//」ニコッ

 

揚物屋(可愛い……)

 

メイド「」ペコリ

 

揚物屋「あ……ま、また来てください!」

 

メイド「」フリフリ

 

 

店員「………………」

 

店員「んっ……?あれ……」

 

 

おばさん「ほらみかん。持っていきなよ、遠慮しなくていいって」

 

メイド「」アセアセ

 

おじさん「変な風船付けて、新しいお仕事?」

 

メイド「」ブンブン

 

 

店員「………………」

 

 

メイド「」フゥ

 

 

店員「無口なお姉さん、久しぶり」

 

メイド「!」

 

店員「元気だった?」

 

メイド「」コクコク

 

店員「荷物いっぱい……たくさん買い物したね」

 

メイド「」アセアセ

 

店員「ほとんどおまけと貰い物?すごい……」

 

メイド「」スッ

 

店員「?」

 

メイド「」ガサッ

 

店員「コロッケとリンゴとみかん……くれるの?」

 

メイド「」コクリ

 

店員「ありがとう」

 

メイド「」グッ

 

店員「あーん」

 

メイド「?」

 

店員「スーパーで売ってた三色団子」

 

メイド「」パクッ

 

店員「お返し、こんなものしか無くて。ごめんね」

 

メイド「」ブンブン

 

店員「今度またお店に来て。お礼にごちそうするから」

 

メイド「」コクリ

 

店員「頭の風船、面白いね。それじゃあ」

 

メイド「」フリフリ

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

ここあ「ぷとらかれー、しまってたね」

 

シャロ「今日は休日だったのかしら」

 

ここあ「おねえちゃんはふうせんつけてないのかな?」

 

シャロ「そうね、吹き矢部長とも接点がないと思うし」

 

店員「ん……?」

 

ここあ「あっ……おねえちゃんだ!」

 

シャロ「あの人が……」

 

ここあ「おねえちゃん、こんにちは」

 

店員「こんにちは。よく会うね」

 

ここあ「おねえちゃん、ふうせんもってない?」

 

店員「ふうせん?」

 

ここあ「うさみみのふうせんだよ、あたまにつけるやつ」

 

シャロ「こんにちは。いまそれを二人で探してまして……」

 

店員「わたしは持ってないけど、付けてる人がいたわ」

 

ここあ「ほんと!」

 

店員「露店街を抜けてすぐ」

 

ここあ「ありがとうおねえちゃん!」

 

店員「暑いのに元気ね。これ差し入れ」スッ

 

ここあ「ころっけ?やったぁ//」

 

店員「可愛い子4人目。あなたにはリンゴ」

 

シャロ「あ、ありがとうございます」

 

店員「熱中症にならないようにね」フリフリ

 

ここあ「ありがとう!またね!」

 

シャロ(なんだか不思議な人……)

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――露店街 出口 ベンチ――

 

 

メイド「♪」モグモグ ←パン屋さんから貰った新商品のパン

 

ここあ「めいどさーん!」タタタ

 

メイド「?」

 

ここあ「みつけたよ!」ギュッ

 

メイド「」ナデナデ

 

シャロ「ここあ~……待って……」ゼェゼェ

 

メイド「」スッ

 

シャロ「お水……すいません」フゥ

 

メイド「」グッ

 

ここあ「めいどさん、しゃがんで?」

 

メイド「」スッ

 

ここあ「……ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

ここあ「しゃろちゃん、あとなんにん?」

 

シャロ「これで半分だから、あと4人ね」

 

ここあ「もうひとりのめいどさんとゆうしゃさんがあやしいね」

 

シャロ「公園にいないかしら。いってみましょう」

 

ここあ「めいどさん、ばいばい!」

 

シャロ「お水ありがとうございます」

 

メイド「」フリフリ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――公園 ベンチ――

 

 

通行人「」ヒソヒソ

 

通行人「」ジー

 

メイドB「っ…………//」プシュ~

 

メイドB(恥ずかしい……一番見つかりやすそうな公園にいるのに、まだ来ない……//)

 

メイドB(メイド長は平気で露店街の方に行っちゃうし……付いていけない//)

 

メイドB(あの人はどうされたんでしょう……職質とか受けてないといいけど)

 

メイドB(屋敷の方も平気かな……ちゃんと洗濯も夕飯の仕込みも掃除も問題なくすすんでいるかな……)

 

メイドB「うぅ……小さいお嬢様、早くいらしてください……」

 

ピョンピョン

 

メイドB(ん……黒いウサギ……?)

 

アンコ「…………」ジー

 

メイドB(珍しい……)

 

アンコ「…………」ジー

 

メイドB「……おいで」

 

アンコ「」ピョン

 

メイドB「ふふっ……」ヒョイ

 

メイドB(人慣れしてる……飼いウサギさんかな)ナデナデ

 

アンコ「…………」

 

メイドB「甘くていい匂い」ギュッ

 

アンコ「…………」ジー

 

メイドB「この耳、変でしょう?」

 

メイドB「どうしても付けておかなきゃいけなくて……」

 

アンコ「」フルフル

 

メイドB「変じゃない……?」

 

アンコ「」フムフム

 

メイドB「クスッ……ありがとう、優しいね」

 

??「あれ、アンコじゃね?」

 

??「あの人、リゼさんのところのメイドさん」

 

メイドB「!」

 

マヤ「珍しい組み合わせじゃん、こんなところでなにしてんの?」

 

メイドB「こんにちは」ペコリ

 

メイドB(確かお嬢様のご友人の……)

 

メグ「メイドさん、その頭の風船って……」

 

マヤ「きゃはは!なにこれ~!」ツンツン

 

メイドB「これは、その……!//」

 

 

 

マヤ「ここあの遊びに巻き込まれたんだ~」

 

メグ「楽しそう、わたしたちも誘ってくれたらよかったのに」

 

メイドB「みなさん夏休みの課題がお忙しいので、なるべくわたしたち大人だけでどうにかお相手してあげられたらと」

 

メグ「メイドさんもこういうのに付き合ってあげるんですね」ニコニコ

 

マヤ「もう一人の黒髪メイドはノリノリそうだけど、メイドはなんかイメージ違うよねー」

 

メイドB(良く分かっていらっしゃる……)

 

 

ここあ「めいどさーん!」

 

シャロ「あれは……マヤちゃんとメグちゃん?」

 

 

メイドB「あっ……!」

 

マヤ「おーい、シャロー!ここあー!」ブンブン

 

メグ「こっち~」

 

ここあ「まやちゃんとめぐちゃん!」

 

――ギュッ

 

ここあ「ひさしぶり//」

 

メグ「メイドさんから聞いたよ、ここあちゃん頑張ってるんだね」

 

マヤ「水臭いじゃん~寂しかったらいつでも呼んでくれればいいのに」

 

ここあ「ふたりともかだいおわってるの?」

 

メグ「課題?」キョトン

 

マヤ「なにそれ?食べもの?」キョトン

 

シャロ「ちゃんとやっておかないとまたリゼ先輩に管理されちゃうかも……」

 

マヤ「ぅえ!?あのスケジュールはもうやだ~!」

 

メグ「早く帰って課題やろう、マヤちゃん」

 

マヤ「よーし、勉強会だ~!課題を持ったらラビットハウスに突撃!」

 

メグ「チノちゃんのところ?」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

メイドB「小さいお嬢様、どうぞ」スッ

 

ここあ「いくよ~……ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

ここあ「あと3にんだね」

 

シャロ「たぶん使用人さんと……あと二人は誰かしら?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――石畳みの橋――

 

 

使用人「………………」

 

メイドD「んっ……?」

 

使用人「おや……?」

 

メイドD「ブッ!」

 

使用人「どうも……」

 

メイドD「そ、そのカチューシャは……?」

 

使用人「ちいせぇお嬢のためのイベントです、仕方ありません」

 

メイドD「災難ですね……」

 

使用人「終わったらすぐに家に戻りますので」

 

メイドD「お気遣いなく、たまにはゆっくりなさってください」フリフリ

 

使用人「」ペコリ

 

使用人「………………」

 

 

通行人「」ザワザワ クスクスッ

 

 

使用人(周りからの視線が痛いな……無理もない)←ウサミミカチューシャ

 

使用人「……………………」

 

使用人「………………」スッ サングラス

 

使用人「…………」

 

使用人(そういえば初めてこれを付けたときも、みんなに笑われたっけか……)

 

使用人(でも、君だけは……――)

 

使用人「………………」フッ

 

千夜「使用人さん?」

 

使用人「っ!?」ビクッ

 

千夜「こんにちは♪」

 

使用人「ど、どうも」スッ カチャ

 

千夜「そのウサミミ……」

 

使用人「あ!これは……!」

 

千夜「可愛いカチューシャ、使用人さんに良く似合ってます」ポンッ

 

使用人「……へっ?」

 

千夜「ここあちゃんからのプレゼントですか?良いセンスしてますね」ニコニコ

 

使用人「………………」

 

千夜「使用人さん?」

 

使用人「…………」フッ

 

使用人「ありがとうございます」

 

千夜「?」

 

使用人「買い物帰りですかい?」

 

千夜「はい。おばあちゃんに頼まれて醤油と砂糖を」

 

使用人「家までお持ちします」スッ

 

千夜「あ、平気です。これくらいでしたら」

 

使用人「ビニール袋の下、汚れてますね……」

 

千夜「!」

 

使用人「いつもお世話になってますから、せめてこれくらいさせてください」

 

千夜「分かりました。では、お醤油だけお願いします」

 

使用人「? 砂糖の方も――」

 

千夜「誰かに全部任せるよりも、一緒にする方が好きなんです」ニコッ

 

使用人「……!」

 

千夜「ありがとうございます。おかげさまで助かりました」

 

使用人「……いえ」

 

使用人「助けられてばかりなのは、むしろ……」ボソッ

 

千夜「?」

 

使用人「ゆっくり行きましょう、ここから15分くらいですね」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

 

ここあ「おばあちゃーん!」

 

シャロ「ちょっと、ここあ」アセアセ

 

お婆「なんだい騒がしい。またあんたかい」ガラッ

 

ここあ「おばあちゃん、ゆうしゃさんきてない?」

 

お婆「そんなお伽話のような奴がいるかい」

 

ここあ「?」

 

シャロ「おばあちゃん、そうじゃなくて。使用人さん。ほら、サングラスをかけた身長が高い」

 

お婆「ああ、あれかい。今日は来てないよ」

 

ここあ「そっかぁ」

 

シャロ(さすがに甘兎庵に来てたりしないわよね……)

 

ここあ「ちやちゃんといっしょにおでかけしたのかな?」

 

お婆「んっ?」

 

シャロ「なんでもない!お婆ちゃんありがとう、仕事止めちゃってごめんね」

 

お婆「ふん、熱中症に気を付けるんだよ」

 

ガラッ

 

ここあ「しゃろちゃん?」

 

シャロ(これ以上使用人さんが誤解されちゃったら気の毒だわ)フゥ

 

ここあ「あっ、あれ!」

 

シャロ(毎回やり玉に挙げられるのも大変だもんね、恥ずかしいし)←当人

 

ここあ「ちやちゃんとゆうしゃさんだ!」ブンブン

 

シャロ(確かに千夜に対して何かあるみたいだけど、あの悲しい感じを見てればそういうのじゃ――)

 

千夜「しゃろちゃーん、ここあちゃーん」ブンブン

 

シャロ「って、千夜!?」

 

ここあ「みつけたよ!」タタタ

 

使用人「お疲れ様です、ちいせぇお嬢」

 

ここあ「やっぱりちやちゃんといっしょだった」エッヘン

 

使用人「えっ゛?やっぱりって……」

 

シャロ「買い物行ってたの?」

 

千夜「ええ、使用人さんと帰りに偶然会って、荷物が重いから手伝って頂いて」

 

シャロ「そういうこと……砂糖と醤油なんて無理し過ぎよ、お婆ちゃんどっちか片方でいいって言わなかった?」

 

千夜「気を遣われて片方でいいと言われたら、どちらも買ってくるのが甘兎魂よ」フンス

 

シャロ「この暑い中無茶するなぁ!無理して倒れたら大変じゃない」

 

千夜「まぁ、心配してくれるの?ありがとうシャロちゃん♪」

 

シャロ「そ、そうじゃなくてぇ~!//」

 

使用人「…………」フッ

 

ここあ「ゆうしゃさん、しゃがんで?」

 

使用人「どうぞ」スッ

 

ここあ「……ふっ!」ビュッ

 

パン!

 

ここあ「やったよ!あとふたり」

 

シャロ「チノちゃんでもマヤちゃんでもメグちゃんでも千夜でもないとすると……誰かしら?」

 

千夜「使用人さんの風船カチューシャ、ターゲットの目印だったんですね」

 

使用人「はい。あっしが終わって残り二人なんですけど、どうやら思い当たる節がないようです」

 

千夜「シャロちゃん、メイドさんは?」

 

シャロ「もう割ったわ。リゼ先輩のお父さんも」

 

千夜「あらあら」

 

シャロ「どうするここあ?吹き矢部長に電話してヒント貰う?」

 

千夜「ユラ先輩の催し……――あっ」ポンッ

 

ここあ「ちやちゃん、わかったの?」

 

千夜「残り二人よね?」

 

シャロ「そうよ?」

 

千夜「なら、おうちに帰ってみたらどうかしら」

 

シャロ「リゼ先輩の家に?」

 

ここあ「りぜちゃんのいえ……――あ!」

 

シャロ「ここあ、分かったわよ!残りの二人!」

 

ここあ「わたしも!//」ピョンピョン

 

シャロ「千夜、ありがとう。使用人さんも、千夜のことありがとうございます」ペコリ

 

ここあ「しゃろちゃん、いこっ!」

 

シャロ「ええ!」

 

キャッキャッ ワイワイ

 

千夜「ふふっ、頑張って」フリフリ

 

使用人「可愛いですね、どっちも……」

 

千夜「はい、自慢の幼馴染と親友です」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

――天々座家 客室――

 

 

シャロ「吹き矢部長、ただいまです」ガチャッ

 

ユラ「ん~、お帰りシャロちゃん~。思ってたより早かったね~」←ウサミミ

 

シャロ「千夜にヒントを貰いました」

 

ユラ「さすがは千夜ちゃん~。暑い中お疲れ様~」

 

シャロ「結局全部吹き矢部長の計画通りでしたね」

 

ユラ「なんのことかな~?」

 

シャロ「リゼ先輩が課題を終わらせる時間まで、ここあの興味をこっちの方に移させておいて」

 

ユラ「………………」

 

シャロ「こういうイベントって、達成した時が一番嬉しいですもんね」

 

ユラ「シャロちゃんも察したみたいだね~」ムフー

 

シャロ「吹き矢部長、やっぱりすごい……」ハァ

 

ユラ「褒められてる~?」

 

シャロ「ここあにとって今回のゲームの達成なんかよりも、もっと嬉しいことが同時に重なるんですから」

 

ユラ「シャロちゃんのことまで土台にしてごめんね~」

 

シャロ「いえ、わたしも嬉しいです」

 

シャロ「きっと明るい笑顔の裏で、たくさん我慢していたはずですし……」

 

ユラ「……シャロちゃん?」

 

シャロ「?」

 

ユラ「まだゲームは終わってないよ~ほら、ここあちゃんのためにも」

 

シャロ「……クスッ、そうですね」

 

シャロ「…………」スッ

 

パン!

 

ユラ「あとひとつだね~」

 

シャロ「今頃ここあが見つけてますよ」

 

ユラ「賞品はここあちゃんのものだけど、シャロちゃんには達成賞~。はい、特製メロンパン~」スッ

 

シャロ「吹き矢部長……ありがとうございます」ニコッ

 

ユラ「上手くいったのもみんなのおかげだね~」

 

シャロ「このゲームの賞品は、最初から――」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ここあ「…………」ガチャッ

 

リゼ「ここあ、おかえり」

 

ここあ「……!」

 

リゼ「楽しかったか?」ニコッ

 

ここあ「うん……!」

 

リゼ「そうか、良かったな」

 

ここあ「りぜちゃん……あのね、その……」

 

リゼ「ああ、ここあの期待で合ってるぞ」

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

リゼ「先にゲームを終わらせよう」スッ

 

ここあ「いくよ……!」

 

パン!

 

リゼ「おめでとう、よく頑張ったな。ゲームも――お留守番も」

 

ここあ「りぜちゃん!」タタタ

 

リゼ「課題終わったぞー!//」ヒョイ

 

ここあ「わーい!//」

 

リゼ「明日からはずっと一緒だ、遅くなってごめんな?」

 

ここあ「ううん、おつかれさま//」ギュッ

 

リゼ「ここあの行きたい場所、したいこと、なんでも聞いてあげるぞ」

 

ここあ「ほんと?それじゃあ……」

 

リゼ「んっ?なんだ?」

 

ここあ「きょうは……このへやで、いっしょにねようね//」ニコッ

 

リゼ「当たり前だろうっ!//」ギュッ

 

ここあ「んっ//」

 

リゼ「ふへへ、ここあ~//」スリスリ

 

ここあ「りぜちゃん……――すき//」ニヘラ

 

 

ヘヤノソト

 

ユラシャロ「………………」

 

ユラシャロ「♪」グッ

 

 

――おしまい?

 

 

 

 

――ダイニングルーム――

 

 

メイド「」ドサッ

 

メイド「」フゥ

 

メイドB「なんですか、これ?」

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

メイドB「露店街の人たちに貰った?まったく、メイド長もちゃんと遠慮してください。お気の毒でしょう」

 

メイド「?」

 

メイドB(みんな子供にお菓子をあげる感覚なんでしょうけど……)

 

メイドB「ごぼうと大根まで……今夜は豚汁でも作りますか?」

 

メイド「」カチャッ

 

メイドB「豚肉がありませんね……しょうがない、煮物でも――」

 

メイド「」スッ

 

メイドB「それ牛肉ですよ!?」

 

メイド「」ドンッ ナベ

 

メイド「♪」スパスパッ

 

メイドB(牛汁……)

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――チノの部屋――

 

 

チノ「課題ですか」

 

マヤ「こういうのは早めに終わらせていた方がいいと思ってさ」

 

メグ「みんなでやればすぐだよね」

 

チノ「クスッ、そうですね」

 

チノ「わたしは課題、あと少しなんですけど……」

 

マヤ「チノだけ先に終わらせてるなんてずるいぞー!」

 

メグ「チノちゃんの裏切り者~!」

 

チノ「ぇえ!?」

 

 

――おしまい♪

感想

  1. スフィアエナ より:

    初コメです!最近SSというものを知って見始めたんですけど、砂水クジラさんの作品が一番好きです! ベタな感想かもですがこれからも応援してます!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます、そして当サイトへようこそ。
      今後も一番好きと言っていただけるよう、邁進していきます。
      またぜひお越しください。

  2. Beyond the Average より:

    ついにリゼの課題が終わったのですね!よかったです!(ユラ先輩がラストスパートにブーストをかけた?)
    受験生の夏は課題と青春であっという間ですね…。リゼはこれから進路で悩む時期ですね。リゼは思い詰めるタイプだから心配ですね。
    (一方私は課題が無い最高の夏休みを初めて送りました…が、何かノルマが無いと堕落してしまうのでそれはそれで困りました(笑)。)
    ところでメイドBは何歳なんですかね?高卒だとしても+13年だと…計算しないでおきます。
    タカヒロさんのウサミミはシュール(?)で面白いですね!ウサミミで「お父さんに任せなさい。」って言ってる姿が頭に浮かんで、私はずっとニヤニヤしております。
    シャロは最後にここあが笑顔の裏で我慢していたと言ってましたが、リゼが受験生とはいえ幼い子が気を配るのはすごいですよ。(私は高1で初めて受験生のピリピリしたオーラを感じました。)ここあはものすごく優しい子です!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      メイドBさんのご年齢、確か以前にBeyondさんにはリプでお伝えしたと思いますが。

      大人組は男女問わずみんなウサ耳が似合うと思っています。
      千夜ちゃんのおばあちゃんとタカヒロさんが乗ってくださっているのがポイントですね。
      ここあちゃん、よく頑張りました。次回は大好きなリゼちゃんに思う存分甘えさせてあげようと思います。

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