ごちうさSS 天々座家、夏休みの深夜 Vol.2 千夜

 

――PM8:22 天々座家 バスルーム――

 

 

「わしゃわしゃわしゃ~」

 

ここあ「わぁ//」

 

「かゆいところ、もう無い?」

 

ここあ「だいじょうぶっ」

 

「洗い流すから眼を閉じててね」

 

ここあ「うん!」

 

「お湯の雨~」シャー

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

 

使用人(んっ?バスルームの電気が……)

 

メイド「?」

 

使用人「小さいお嬢、もうお風呂に?」

 

メイド「」コクリ

 

使用人「脱衣所にバスタオル出しておきました?」

 

メイド「」グッ

 

使用人「なら大丈夫ですね」

 

使用人(お嬢、さっきまで客室で勉強していた気が……?)

 

メイド「?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――ダイニングルーム――

 

 

使用人D「」モグモグ

 

メイドE「」パクッ

 

メイドB「どうぞ」コトッ

 

リゼ父「和菓子か」

 

メイドB「洋菓子がいいです?」

 

リゼ父「いや、和菓子もうまいからいい」

 

使用人「おや……?」

 

メイド「」ヒョコ

 

使用人「おやつですか」

 

メイドB「はい、みんなで和菓子を頂いているところです」

 

リゼ父「お前らも食っていけ」

 

メイドB「座って下さい、どうぞ」コトッ

 

使用人「お、これは……あの店の栗羊羹」

 

メイドB「確か食べられるようになったんですよね、甘いもの」

 

使用人「ええ、ここの和菓子のおかげで」

 

メイドB「メイド長には栗羊羹の端っこ置いておきましたよ」

 

メイド「♪」パアァ

 

使用人「お嬢たちは風呂上がりにお召し上がりに?」

 

メイドB「お嬢様には先ほど持っていきました。小さいお嬢様は恐らくお風呂上がりにご友人とお召し上がりになられるかと」

 

使用人「え……?」

 

メイドB「どうされました?」

 

使用人「お嬢のご友人は夕方ごろに帰宅されたのでは?」

 

メイドB「はい、大変お世話になりましたね」

 

使用人「では小さいお嬢は誰とお風呂に……?」

 

メイドB「先ほど訪ねてこられたのですかご存じありません?」

 

メイド「」コクコク

 

使用人「?」

 

リゼ「んっ、なんだ?こんなに集まって」

 

メイドB「お嬢様、今からお風呂ですか」

 

リゼ「ああ、ここあたちがそろそろ上がる頃だからな」

 

 

ここあ「りぜちゃーん!」タタタ

 

リゼ「おっ、噂をすれば」

 

 

――ギュッ

 

 

ここあ「おふろあがったよ」ニコッ

 

リゼ「ふふ、さっぱりしたか?」ナデナデ

 

ここあ「ちやちゃんがあらってくれたの!」

 

千夜「おそくなってごめんなさい」

 

使用人「!」

 

リゼ「千夜、ありがとう。おやつでも食べてゆっくりしててくれ」

 

ここあ「あまうさあんのくりようかん?」

 

メイドB「はい、どうぞこちらに」スッ

 

ここあ「わーい//」

 

千夜「リゼちゃん、お風呂から上がったら1時間ほど休憩してね。あんまり詰め込み過ぎちゃダメよ」

 

リゼ「ああ、心配いらない」

 

千夜「寂しくなったらいつでも呼んで。ここあちゃんと一緒にすぐに駆け付けるから」

 

リゼ「ははっ、まるで母親だな千夜は」

 

使用人「なるほど……この栗羊羹はそういうことですか」

 

メイド「」コクリ

 

リゼ「それじゃあ今夜はここあのことよろしく頼む」

 

千夜「お風呂でゆっくりリフレッシュしてきてね。リゼちゃん、ファイト」

 

ここあ「いってらっしゃい!」フリフリ

 

リゼ「良い子にしてるんだぞ」

 

 

千夜「使用人さん、こんばんは」

 

使用人「どうも」ペコリ

 

千夜「今日はまだ一度もお会いしていませんでしたね」

 

使用人「ええ、ですから驚きました」

 

千夜「一応お庭もキッチンも探したのですけど、見つからなくて」

 

使用人「ずっと物置部屋の整理をしていましたので。手間を取らせてすいません」

 

リゼ父「洋菓子はあるか」

 

メイドB「メイド長の手作りケーキでしたら」

 

千夜「あっ、わたしの分でしたらお気遣いなく」

 

リゼ父「食べてやってくれ、今回のも自信作らしい」

 

メイド「」フンス

 

使用人「味は保証します、一応昔に料理上手な人から教わっているので」

 

ここあ「ちやちゃんもたべてみて、めいどさんの『けーき』おいしいよ」

 

メイドB「いつも張り切って作り過ぎてしまうのが問題ですけど」ゴトッ

 

千夜「二段ケーキ……!」

 

使用人「生菓子ですから今日中に食べたほうが良いでしょうね、これは」

 

千夜「お気持ちは嬉しいですけど、さすがにこの量を一人では」

 

使用人「みんなで食べ切りますか」

 

メイド「♪」モグモグ

 

メイドB「メイド長もその栗羊羹食べ終わったら手伝ってください」

 

メイド「」グッ

 

リゼ父「」ソーッ……

 

メイドB「もちろん連帯責任ですよ」ニコッ

 

リゼ父「う゛っ」ビクッ

 

使用人「まずはナイフで切り分けましょう」

 

メイド「」スパスパ!

 

ここあ「めいどさんかっこいい!」

 

メイド「」フンス

 

メイドB「どうぞ」スッ

 

リゼ父「俺の分だけでかいぞ!?」

 

メイドB「逃走ペナルティー込みです」

 

千夜「こんなに綺麗なケーキを作れるなんて、メイドさん料理もお上手なんですね」

 

メイド「」テレテレ

 

使用人「小さいお嬢もケーキ食べますか?」

 

ここあ「ちいさいのちょうだい!」

 

使用人「承知しました」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

千夜(リゼちゃんが早く課題を終わらせたい気持ち、わかる気がするわ)ニコニコ

 

ここあ「ちやちゃんもたべて、はいあーん」

 

千夜「あーん♪」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼの部屋 PM9:43――

 

 

千夜「冬ざれの中おじいさんがカサを被せたお地蔵さんたちは、なんと正体は秘密組織『KA・SA・ZI・ZO・U』だったのです」

 

ここあ「かさじぞう?」

 

千夜「優しい人を助ける組織よ。お供え物を勝手に取ったりする悪い人には反対に罰を与えるみたい」

 

ここあ「つよいんだね、おじぞうさん……!」

 

千夜「組織かさじぞうは7人衆です。恩返しのため、今夜向かう先は不幸なおじいさんとおばあさんのもと」

 

ここあ「」ドキドキ

 

千夜「宝物、食べ物、お金、上層部から支給されたあらゆるものをリヤカーに積んで、おじいさんの家へといざ突撃!」

 

ここあ「おじいさんたち、よろこんでくれるかな」

 

千夜「しかし、かさじぞうは秘密組織です。正体がバレてはいけません」

 

千夜「7人衆はこっそりリヤカーをおじいさんたちの家の前へと置いて、何も言わずに去っていきました」

 

千夜「ふっ、じいさんばあさん……達者でな」

 

ここあ「……!」

 

千夜「次の日の朝、『お恵み』と描かれた手紙と共に置かれたリヤカーを見つけたおじいさんとおばあさんは、幸せになりましたとさ」

 

千夜「おしまい、どうだった?」

 

ここあ「おじぞうさんたち かっこよかった!」

 

千夜「幸せになれたし、めでたしめでたしね」

 

ここあ「ちやちゃん、つぎはこれよんで」

 

千夜「いいわよ~」

 

トントン

 

千夜「はい?」

 

メイド「」ガチャッ

 

ここあ「めいどさん、あそびにきてくれたの?」

 

メイド「」アセアセ

 

ここあ「ごみばこをあたらしくしにきただけ?そっか」

 

千夜(今のでわかるの?)

 

メイド「………………」

 

メイド「」スッ

 

ここあ「!」

 

メイド「」ナデナデ

 

ここあ「いっしょにあそべる?」

 

メイド「」コクリ

 

ここあ「めいどさんもちやちゃんにえほんよんでもらおう」

 

メイド「」グッ

 

千夜「メイドさん、大丈夫です?お仕事とか平気ですか?」

 

メイド「」コクリ

 

ここあ「ちやちゃん、はやく」ワクワク

 

メイド「」ワクワク

 

千夜「それじゃあいくわね、赤いリンゴと優しい魔女。これは、レンガの街に伝わる不思議なお話です。その街には小さな少女が住んでいました――」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニングルーム PM10:37――

 

 

使用人(洗い物よし、掃除よし、テーブルも拭いた)

 

使用人(とりあえず一段落か……)ドサッ

 

使用人「………………」

 

使用人「…………」

 

使用人「……」

 

使用人(今夜も騒がしかったな……)

 

 

 

リゼ父『口の中があまったるい……』モグモグ

 

メイドB『メイド長、鼻にクリーム付いてますよ』フキフキ

 

メイド『?』

 

千夜『どうぞ、ブラックコーヒーです』スッ

 

リゼ父『おっ、気が利くな』

 

ここあ『ごちそうさま』

 

メイドB『小さいお嬢様、後片付けはわたしたちがしますから』

 

ここあ『ううん、たべたあとのおさらは「あらいば」までもっていかないとだめなんだよ』

 

千夜『偉いわね、ここあちゃんは』ナデナデ

 

ここあ『りぜちゃんがおしえてくれたの』ニコッ

 

リゼ父『お前も飲むか、コーヒー?』

 

使用人『ありがとうございます』

 

リゼ父『今後しばらくケーキは禁止だ』ズズッ

 

使用人『ははっ、ちょっと大きすぎましたね』

 

メイド『』モグモグ

 

 

 

使用人「………………」フッ

 

使用人(やっぱり俺は、こういうのが一番楽しいよ……)

 

使用人「…………」スッ

 

使用人「……………………」

 

??「――さん?」

 

使用人「!」

 

千夜「眠たいですか?」

 

使用人「あ……いえ、少し目を閉じていただけです」

 

千夜「ちょっと待っててください。キッチンお借りしますね」

 

使用人「?」

 

 

 

千夜「甘兎庵特製抹茶ラテです」コトッ

 

使用人「すいません、わざわざありがとうございます」

 

千夜「座ってもいいですか?」

 

使用人「ええ、どうぞ」

 

千夜「失礼します」

 

使用人「小さいお嬢はどうされてます?」

 

千夜「ここあちゃんでしたらもう寝ましたよ、絵本を読んであげたら途中で眠ってしまって」

 

使用人「そうですか、なら安心ですね」

 

千夜「メイドさんも一緒に寝ちゃいましたけど」

 

使用人「ブッ!?」

 

千夜「使用人さん?」

 

使用人「ゴホッ……失礼しました」

 

千夜「メイドさん、とっても可愛い人ですね」

 

使用人「ご迷惑をおかけして……」

 

千夜「いえ、わたしとここあちゃんがお願いして引き留めたので」

 

使用人「あとであっしが責任を持って回収してきますので」

 

千夜「大丈夫ですよ、みんなで一緒に寝ますから」

 

使用人「うっ……お嬢たちのことから何まで……」ペコリ

 

千夜「ここあちゃんもリゼちゃんもメイドさんも、みんな大事なお友達ですので」

 

使用人「ですが……」

 

千夜「してあげたいからするんです、みんなのこと大好きですから」

 

使用人「……!」

 

千夜「飲み終わったら、リゼちゃんにもこの抹茶ラテ届けてきますね」

 

使用人「…………」

 

千夜「ん……もう少し甘い方がいいかしら」

 

使用人「あの」

 

千夜「?」

 

使用人「メイド長のあの方ですけど……あんな風に見えて、人前で寝てしまうようなそんな子ではないんです。だからさっき、寝てしまったと聞いて驚いて」

 

千夜「メイドさんが、ですか?」

 

使用人「でもこうして話していると、つい気を緩めて寝てしまうのが分かる気がします。なんとなくですけど……」

 

千夜「………………」

 

使用人「あ……失礼、くだらない話を」

 

千夜「よろしければ今度、使用人さんも聞いてみます?」ニコッ

 

使用人「えっ……」

 

千夜「安眠したかったらいつでも呼んでください」

 

使用人「安眠ですか……」

 

千夜「はい」フンス

 

使用人「ふっ……ありがとうございます」

 

千夜「また聞かせてください、色んなお話し」

 

使用人「ええ、こんなのでよければ」

 

千夜「わたし、そろそろリゼちゃんのところに行ってきますね」スッ

 

使用人「お嬢のことお願いします。抹茶ラテ、ごちそうさまでした」

 

千夜「使用人さんも用事が終わったら寝てください」

 

使用人「」ペコリ

 

千夜「失礼します」

 

使用人「………………」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――客室――

 

 

リゼ「…………」カキカキ

 

メイドB「お嬢様、調子はいかがです?」

 

リゼ「……うぅ」

 

メイドB「どうされました?」

 

リゼ「なんだか昨日から少しずつ、家の中でわたしだけ孤立している気がする」

 

メイドB「そんなこと……――あるかもですね……」

 

リゼ「早く終わらせてここあやみんなと遊びたい」

 

メイドB「そのためにもあと2日間頑張りましょう」

 

リゼ「はぁ……ここあシックで病気になりそうだ」ゲッソリ

 

メイドB(本気でなりかねないかも……)

 

トントン

 

メイドB「どうぞ」

 

千夜「お邪魔します」ガチャッ

 

メイドB「お疲れ様です」ペコリ

 

千夜「あら……リゼちゃん?」

 

リゼ「課題……早く終わらせて、ここあと……」ブツブツ

 

メイドB「これはお嬢様特有のご病気でして……」

 

千夜「ここあちゃんシックですね、わたしもかかったことあるから分かります」

 

メイドB「既知の病だったんですか……!?」

 

千夜「でもリゼちゃんのはかなり重病ですね」

 

リゼ「ここあ……ここあ…………」ブツブツ

 

メイドB「お嬢様、ご友人の方が――?」ピタッ

 

千夜「シーッ♪」

 

メイドB「?」

 

千夜「…………」スッ

 

リゼ「課題……ここあ…………」ブツブツ

 

千夜「」フッ!

 

リゼ「ひゃっ!?//」

 

千夜「リゼちゃん、課題はかどってる?」ニコッ

 

リゼ「千夜……!いきなり耳に息を吹きかけるな//」

 

千夜「ちゃんとノックしたのに気づかないリゼちゃんにも問題あるんじゃない?」

 

リゼ「うっ……そ、それは……」

 

千夜「冗談よ、いたずらしてごめんなさい」クスッ

 

リゼ「……なにかあったか?//」

 

千夜「リゼちゃんに甘兎庵特製抹茶ラテを持ってきたの」

 

リゼ「おお、助かる。ちょうど集中力が切れかけてたところだ」

 

千夜「メイドさんもどうぞ。今後も甘兎庵をご贔屓に」

 

メイドB「ありがとうございます」スッ

 

リゼ「相変わらずおいしいな、ここの抹茶は」

 

千夜「カフェインもたっぷり入ってるわ」

 

メイドB「あの方が足しげく通っていらっしゃるのも納得ですね」

 

千夜「使用人さんですか?」

 

リゼ「あいつは和菓子が目的か?違う気がするぞ」

 

メイドB「和菓子以外に何かあるのですか?」

 

リゼ「いや、何でもない」ズズッ

 

メイドB「?」

 

リゼ「ふぅ、ごちそうさま」

 

千夜「少しはリフレッシュできた?」

 

リゼ「ああ、千夜のおかげでな」

 

千夜「でもリゼちゃん、まだ辛そうな顔してるわ」ムニムニ

 

リゼ「らいひょうぶだ、ほっぺひゃさわるにゃ」

 

千夜「少しだけ時間いいかしら?10分だけ」

 

リゼ「なんだ?」

 

千夜「」ストン

 

メイドB「?」

 

千夜「ひざ枕。リゼちゃん好きでしょう?」ニコッ

 

リゼ「なっ……!べ、別に好きじゃない!//」

 

千夜「この間こっそりしてあげた時はすごく嬉しそうだったのに」

 

リゼ「メイドがいる前でばらすなぁ!//」

 

千夜「メイドさん、このことは秘密にしてあげてくださいね」シーッ

 

メイドB「承知しました。ではわたしは少し見回りに。――ふふ」クスッ

 

リゼ「おいっ!?いま笑っただろ!?//」

 

メイドB「気のせいですよ。ではごゆっくり」

 

バタン

 

リゼ「うぅ……//」プシュウ

 

千夜「リゼちゃん、二人きりだから恥ずかしがらないで早く」

 

リゼ「いい!// わたしは千夜よりも年上なんだ//」

 

千夜「そう……?残念だわ、せっかく耳かきも持ってきたのに」

 

リゼ「!み、耳かき……//」

 

千夜「気持ちいいわよ、こうして梵天でコチョコチョって」

 

リゼ「……ぅ//」

 

千夜「普段はここあちゃんがいるから、こういう機会が無いとできないから。ねっ?」

 

リゼ「…………//」ウズウズ

 

千夜「リゼちゃん、おいで~」

 

リゼ「っ…………!//」スッ

 

千夜「良い子ね」ナデナデ

 

リゼ「撫でるな!// い、いいから早くやってくれ//」

 

千夜「左耳からいくわ」

 

リゼ「……//」

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

メイドB「」トントン

 

千夜「どうぞ」

 

メイドB「失礼します」ガチャッ

 

メイドB「おや?お嬢様……」

 

リゼ「すぅ…………」Zzz

 

千夜「すいません、耳かきしてあげたらリゼちゃん眠ってしまって」ナデナデ

 

メイドB「カフェインを摂取してもダメだったようですね」

 

千夜「よっぽど疲れがたまっていたみたいです」

 

リゼ「んっ…………」Zzz

 

メイドB「11時、ちょうど良い時間です」

 

メイドB「ありがとうございます。ベッドに移しますね」

 

メイドB「お嬢様、失礼します」ヒョイ

 

千夜「!」

 

リゼ「…………」Zzz

 

メイドB「よいしょ……」

 

メイドB「良い夢を、おやすみなさいませ」バサッ

 

リゼ「ん…………」Zzz

 

メイドB「足、痺れていませんか?」

 

千夜「大丈夫です。メイドさんすごく力持ちなんですね」

 

メイドB「これくらいの力がないと、この屋敷のみんなの暴走を止められませんので」

 

千夜「なるほど……」

 

メイドB「少々お待ちください。お嬢様のお部屋でメイド長が寝ているとさっき報告が来て。ほんとにご迷惑ばかりおかけしてすいません、すぐに回収しますので」

 

千夜「いえ、よろしければそのまま寝かせてあげてください」

 

メイドB「え?」

 

千夜「♪」ニコッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニングルーム――

 

 

メイドB「あっ」

 

使用人「ん……何か飲みますか?」

 

メイドB「はい、お水を一杯ください」

 

使用人「」ピッ

 

使用人「どうぞ」

 

メイドB「…………」ペコリ

 

メイドB「ふぅ…………」

 

使用人「どうされました?」

 

メイドB「いえ……本日来られたお嬢様のご友人ですけど」

 

使用人「?」

 

メイドB「不思議な雰囲気を持った人ですね……側にいると安心すると言いますか」

 

使用人「ははっ、そうですね」

 

メイドB「お嬢様もメイド長も眠りが浅い方なのに、あんなにぐっすりと……」

 

使用人「…………」

 

メイドB「やっぱりあの頃……上手く寝かしつけてあげられなかったのはわたしが――」

 

使用人「それはちがいます」

 

メイドB「!」

 

使用人「あなたのせいじゃないです。……ただ」

 

使用人「なんとなく雰囲気というか……そういうのがあっしらには懐かしくて……」

 

メイドB「…………」

 

使用人「だから、何も気にされないでください」

 

メイドB「……分かりました」

 

使用人「おやすみなさいませ」

 

メイドB「ありがとうございます」ペコリ

 

使用人「そういえば、お嬢は客室でおやすみに?」

 

メイドB「はい、小さいお嬢様と一緒に」

 

使用人「!」

 

メイドB「よく気が付くお方です、本当に」クスッ

 

使用人「ふっ……朝起きたら喜ぶでしょうね、お互い」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――客室――

 

 

リゼ「…………」Zzz

 

ここあ「りぜちゃん……ん……」Zzz

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

メイド「………………」Zzz

 

千夜「すぅ……すぅ……」Zzz

 

 

――おしまい♪

感想

  1. シャロ より:

    やっぱりおさないここあシリーズは、和む。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      優しくて暖かくて平和、時々ちょっぴりブラック。を意識しております。
      いつもお楽しみいただき、感謝です。

  2. luka2000 より:

    今回も読ませていただきました!
    なんやかんやで千夜ちゃんもここあとリゼちゃんだけではなく、皆の心を落ち着かせることのできる雰囲気を持ってるだけで、凄く支えになってるなぁって思いました。
    後千夜ちゃんは人をからかう時もありますが…そりゃあんな子に膝枕に加え耳かきまでしてくれたら、いくらリゼちゃんでも照れますよね!シャロちゃんの気持ち少しだけわかった気がしました。
    次回も楽しみに待ってます!♪( ´▽`)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      千夜ちゃんの母性、バブみは他の追随を許さないレベルですよね。
      リゼちゃんもメイドさんも、千夜ちゃんの前ではつい心が安らいでしまうのでしょう。
      課題もそっちのけで寝ちゃいましたね~リゼちゃんも。

      千夜ちゃんはリゼちゃんを甘えさせてあげられる数少ない一人なので、とても大事なポジションにいるキャラです。
      ありがとうございます、今度もみんなの幸せそうな笑顔を思う存分このシリーズで描いていけたらと思います。

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