ごちうさSS 天々座家、夏休みの深夜 Vol.1 チノ

 

 

――夏休み初日目 PM10:11 リゼの部屋――

 

 

リゼ「…………」カキカキ ←課題中

 

ここあ「♪~♪♪」 ←ベッドの上でゲーム

 

リゼ「ふぅ…………」

 

リゼ「ん……?」チラッ

 

リゼ「おーい、ここあ」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ「服がめくれてるぞ、風邪ひくから仕舞おうな」

 

ここあ「うんっ」ススッ

 

リゼ「おりこうさんだな」

 

ここあ「りぜちゃん、まだかかりそう?」

 

リゼ「ああ、もう少し待っててくれ」

 

ここあ「そっか……――!」

 

リゼ(ここあのためにも早く終わらせないと)

 

ここあ「りぜちゃん、みて~」

 

リゼ「んっ?こらこら、下着が見えてるぞ」

 

ここあ「あついからこれぬぐよ~」

 

リゼ「風邪ひくからダメだー」

 

ここあ「やっ~ぬぐの~」

 

リゼ「ふふん、言うこと聞かない気だな」スッ

 

リゼ「よっと」ヒョイ

 

ここあ「わぁ//

 

リゼ「わがまま言う悪い子は誰だ?」

 

ここあ「いいの~//」ニコッ

 

リゼ「そんな奴はハムハムしてやるぞ」ハムッ

 

ここあ「やっ~♪//

 

リゼ「良い子にしてなきゃダメだろ//」ニヘラ

 

ここあ「りぜちゃん、もういっかいやって//

 

リゼ「いいぞ~はむっ//

 

ここあ「//」キャッキャッ

 

リゼ「ふへへ……//

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM11:02 IN ベッド――

 

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ「………………」ナデナデ

 

ここあ「んっ…………」Zzz

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

ここあ「…………」Zzz

 

リゼ「……」ピタッ

 

リゼ(……寝たか)

 

リゼ(さて……課題の続きだ)

 

リゼ(電気は付けられないし、違う部屋でやるか)スッ

 

リゼ「すぐに帰ってくるからな」ポンッ

 

ここあ「ゅ…………」Zzz

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

――客室――

 

 

リゼ「………………」カキカキ

 

メイドB「…………」スッ

 

リゼ「間違っているところ無いか?」

 

メイドB「はい、その調子です」

 

リゼ「これで4ページ目終了」

 

メイドB「夏休みの始めに全ての課題を終わらせる作戦ですね」

 

リゼ「ここあやみんなとたくさん遊びたいからな」

 

メイドB「とても良い心掛けかと」

 

リゼ「今頃あいつらも頑張っていると思う」

 

メイドB「みんなで決められた作戦ですか」

 

リゼ「ああ、ここあのためにそうしようってことになった」

 

メイドB「優しいご友人達ですね」

 

リゼ「わたしも早くしないとな」

 

メイドB「ええ、頑張りましょう」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「………………」Zzz

 

メイド「…………」ナデナデ

 

ここあ「ん………?」

 

メイド「…………」ナデナデ

 

ここあ「めいどさん…………?」

 

メイド「!」

 

ここあ「ぅゅ……りぜちゃんは……?」

 

メイド「…………」

 

ここあ「んっ…………」クシクシ

 

メイド「…………」ポンッ ナデナデ

 

ここあ「もしかしておべんきょう?」

 

メイド「」コクリ

 

ここあ「わたしもおきるっ」スッ

 

メイド「」アセアセ

 

ここあ「だめ……?」

 

メイド「………………」

 

メイド「」フルフル

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

ここあ「りぜちゃんに『こーひー』もっていってもいい?」

 

メイド「」コクリ

 

ここあ「んっしょ……」

 

メイド「………………」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

――ダイニング――

 

 

使用人「………………」

 

使用人(1255分……あと5分したら持っていくか)

 

使用人「ふぅ…………」

 

――♪~♪♪

 

使用人「んっ……?」

 

使用人(メール……)ピッ

 

 

夜遅くにすいません。

もしかしてリゼちゃん、まだ起きていますか?

あまり無理して課題を終わらせないように、使用人さんからもお伝えしてくださると助かります。

リゼちゃん、ここあちゃんに関することだととても頑固になっちゃうので。

使用人さんも、ちゃんと休んでくださいね。

おやすみなさい。

 

 

使用人「ふっ……」

 

 

わざわざお気遣い、ありがとうございます。

お嬢の件、承知しました。

おやすみなさいませ。

 

 

使用人(送信……と)ピッ

 

使用人「…………」

 

使用人(少し短すぎたかな)

 

使用人(いつになってもメールは慣れない……)スッ

 

使用人「………………」

 

 

『あまり無理して課題を終わらせないように、使用人さんからもお伝えしてくださると助かります』

 

 

使用人(お嬢には知らさずに気遣い……か)

 

使用人(優しい子だな……やはり……)

 

使用人「………………」

 

使用人「…………」

 

使用人「……」

 

使用人「…………」スッ

 

使用人「……………………」

 

ここあ「――ゆうしゃさん、そのひとだれ?」

 

使用人「ぅぉおお!!?」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

使用人「ち、ちいせぇお嬢……失礼しました」

 

ここあ「ちやちゃんのしゃしん?」

 

使用人「違いますよ、ほら」スッ

 

ここあ「おともだち?」

 

使用人「ええ、ずっと昔のですけど」

 

ここあ「やさしそうなひとだね」

 

使用人「ええ、良い人でしたよ。とても」

 

メイド「」タタタ

 

使用人「あっ」

 

使用人「すいませんお嬢、そろそろ」スッ

 

メイド「?」

 

使用人「ところでどうされたんです?お手洗いですか?」

 

ここあ「ううん、りぜちゃんの『こーひー』をいれにきたの」

 

使用人「こーひー?」

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

使用人「なるほど……」

 

メイド「」ペコペコ

 

使用人「いえ、お気になさらず。ダメとは言えませんよね」

 

ここあ「こーひー、つくってもいい?」

 

使用人「ええ、お嬢に持って行ってあげましょう」

 

ここあ「このまえちのちゃんにおしえてもらったんだよ~」

 

メイド「」アセアセ

 

使用人「大丈夫ですよ、あっしが弁解しますから」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「………………」カキカキ

 

メイドB「ふむ……」

 

 

――トントン

 

 

リゼ「んっ?」

 

メイドB「わたしが出ます、お続けください」

 

ガチャッ バタン

 

メイドB「って……!」

 

ここあ「こんばんは」

 

メイドB「小さいお嬢さま、起きてしまわれたんですか?」

 

ここあ「りぜちゃんに『こーひー』もってきたの」

 

使用人「どうも……」

 

メイド「」ダラダラ

 

メイドB「こらー!メイド長!」

 

メイド「!」ビクッ

 

メイドB「なんのために寝かしつけ役をお願いしたと思ってるんです!」

 

メイド「」アセアセ

 

メイドB「あまつさえお嬢様からの頼みを!」

 

メイド「」ササッ

 

メイドB「背中に隠れたってダメですよ!」

 

メイド「……」ギュッ

 

使用人「まぁまぁ、ちいせぇお嬢も喜んでいますから」

 

メイド「…………」ソォー

 

メイドB(可愛い……)

 

ここあ「おきるの、ほんとはだめだった?」             

 

メイドB「あ……いえ、そんなことありませんよ」

 

メイドB「お嬢様、きっと喜ばれます」ナデナデ

 

ここあ「うん//」ニコッ

 

メイドB「……こほん、今回は小さいお嬢様とその方に免じて大目に見ます」

 

メイド「!」パアァ

 

使用人「ありがとうございます」

 

メイドB「そんなに怖がらなくても……」ブツブツ

 

使用人「ははっ」

 

リゼ「何の騒ぎだ?」ガチャッ

 

ここあ「りぜちゃん!おはよう」

 

リゼ「ここあ、目が覚めたのか」

 

ここあ「はい、さしいれもってきたよ」

 

リゼ「コーヒーか。わざわざ淹れてくれたのか?」

 

ここあ「うん、ちのちゃんにおしえてもらったの」

 

リゼ「ありがとう、これでまだまだ頑張れそうだ」

 

ここあ「ふぁあ……」プワプワ

 

リゼ「ふふ、眠たいな。メイドと一緒に先に寝てていいぞ」ナデナデ

 

ここあ「ううん、りぜちゃんのことまってる」

 

リゼ「でも、遅くなるぞ?」

 

ここあ「りぜちゃんががんばってるもん。だから、わたしもいっしょにねむたいのがまんする」

 

リゼ「ここあ……」

 

ここあ「ねるまえみたいにじゃましないから……いいこにしてるから……」

 

 

ここあ「いっしょにいちゃ、だめ……?」

 

 

リゼ「…………」

 

リゼ「ダメなわけ、ないだろ」

 

リゼ「んっ……」ゴクゴク

 

リゼ「頼む」ゴトッ

 

メイド「」コクリ

 

リゼ「部屋に戻ろう」ヒョイ

 

ここあ「りぜちゃん、おべんきょうは?」

 

リゼ「いいんだ、明日やるから」

 

リゼ「ごめんな……勝手に離れて」ギュッ

 

ここあ「んっ……//

 

リゼ「今夜も一緒に寝よう……」

 

使用人「…………」フッ

 

メイドB「おやすみなさいませ」

 

メイド「」フリフリ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

――数日後 ラビットハウス――

 

 

リゼ「ということで、課題が全く進まないんだ」

 

チノ「それは困りましたね……」

 

シャロ「え、チノちゃん?」

 

千夜(チノちゃんまでだんだんとおかしくなってる……)

 

リゼ「お昼は一緒にいたいし、夜はわたしに気遣って起きてしまうし……」

 

チノ「ここあさんが寂しくないように……」ムム

 

シャロ「でも、ここあなら事情を話せば我慢してくれるんじゃないですか?」

 

リゼ「ああ、だからこそ余計に悩んでるんだ」

 

シャロ「へっ?」

 

チノ「ここあさんが素直に頷いてくれる笑顔の裏側で、必死に気遣って我慢してくださっていると思うと……」

 

リゼ「うぅ~そんなのわたしは耐えられない!」

 

チノ「同感です」

 

千夜「シャロちゃんの鬼、悪魔……!」

 

シャロ「なんであんたまで寝返ってるのよ!?」

 

千夜「♪」テヘッ

 

シャロ「わたしだってできればここあに我慢なんてさせたくないけど……」

 

千夜「そうだわ、それならこういうのはどうかしら?」

 

全「?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM8:17 天々座家 バスルーム――

 

 

リゼ「髪の毛、痛んでないな」ゴシゴシ

 

ここあ「んっ……」

 

リゼ「身体拭くから動いちゃダメだぞ」

 

ここあ「はーい」

 

リゼ「……よし、こんなものだな」

 

ここあ「ありがとう りぜちゃん」ニコッ

 

リゼ「着替えたら次は洗面所でドライヤーだ」

 

ここあ「りぜちゃん、きょうもぱじゃま?」

 

リゼ「ああ、勉強しないといけないからな」

 

ここあ「そっか……じゃあわたしも『ぱじゃま』がいい」

 

リゼ「ここあはネグリジェのままでいいぞ。今日は部屋で良い子にしててくれ」

 

ここあ「じゃまになっちゃう……?」

 

リゼ「そんなことない、今夜はここあにサプライズがあるんだ」

 

ここあ「さぷらいず?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ガチャッ

 

チノ「ここあさん、こんばんは」

 

ここあ「ちのちゃん!」

 

チノ「お風呂に入ってたんですね、サッパリしましたか?」

 

ここあ「うん!ちのちゃーん//」タタタ

 

――ギュッ

 

ここあ「えへへ//」ニヘラ

 

チノ「ふふ、良い香りがします//」スリスリ

 

ここあ「あそびにきてくれたの?」

 

チノ「はい、ここあさんが寂しくないようにお泊りに来ました」

 

ここあ「……!」

 

リゼ「サプライズ、成功か?」

 

ここあ「りぜちゃん、ありがとう!//

 

リゼ「今夜はチノといい子にしててくれ」ナデナデ

 

ここあ「いっしょにねようね、チノちゃん//

 

チノ「二人でギュってしながら寝ましょう」

 

リゼ「チノ、ここあのこと頼んだぞ」

 

チノ「はい。リゼさんもあまり無理しないでくださいね」

 

ここあ「りぜちゃん、おやすみなさい」

 

リゼ「ああ、おやすみ」ポンッ

 

ここあ「まって」

 

リゼ「?」

 

ここあ「えっとね……」モジモジ

 

ここあ「ほっぺに、ちゅってして……?」

 

リゼ「……まったく、あまえんぼうめ」スッ

 

――チュッ

 

ここあ「ぁ……//

 

リゼ「こんなことしたら寂しくなっちゃうだろ」スリスリ

 

ここあ「ん……りぜちゃん、おべんきょうがんばって//

 

リゼ「ああ、早くここあと寝たいから頑張るぞ」

 

チノ(それまでここあさんのこと、しっかり支えてあげないと)

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――ジグソーパズル――

 

 

ここあ「はまったよ!」

 

チノ「その調子です、次はこれですね」

 

ここあ「これは~……ここ!」

 

チノ「今夜中に完成しそうですね」

 

ここあ「わたしにまかせて」エッヘン

 

チノ「これは……ここ」

 

ここあ「これは?」

 

チノ「これは……たぶんここですね」スッ

 

ここあ「すごい、ちのちゃん『ぱずる』じょうずだね」

 

チノ「出来上がったらどこに飾りますか?」

 

ここあ「ん~……ちのちゃんのおへや!」

 

チノ「わたしのへや、ですか?」

 

ここあ「ちのちゃんとのたいせつなおもいでだから……」

 

チノ「ここあさん?」

 

ここあ「かんせいするの、たのしみだね」ニコッ

 

チノ「そうですね」

 

チノ(…………?)

 

 

 

ここあ「ぅゅ…………」ウトウト

 

チノ「ここあさん、眠たいですか?そろそろ寝ましょうか」

 

ここあ「ううん……!」クシクシ

 

ここあ「あともうちょっとで完成だから」

 

チノ「無理しなくても明日でいいですよ?」

 

ここあ「だいじょうぶ、まだがんばれるよ」

 

チノ「わかりました、あと少しですもんね」

 

ここあ「これは……えっと、ここ」

 

チノ(早く完成させてあげないと)

 

チノ「ここと、ここ……」スッ

 

 

 

ティッピー「完成したのぉ」

 

チノ「はい。ですが……」

 

ここあ「すぅ…………」Zzz

 

ティッピー「ふむ、熟睡しておるわい」

 

チノ「もう11時ですから」

 

ティッピー「わしらもそろそろ寝るかの」

 

チノ「ここあさんをベッドに運ばないと……」スッ

 

チノ「んっ……」

 

ここあ「…………」Zzz

 

ティッピー「いけそうか?」

 

チノ「は、はい……なんとか」

 

チノ「ふにゅ……ぅ………っ」フラフラ

 

チノ「ふぅ……」ドサッ

 

ここあ「むにゃ…………」Zzz

 

チノ「なんとかなりました」

 

ティッピー「よくやった、チノ」

 

チノ「おじいちゃん、少しの間ここあさんのことお願いします」ポスッ

 

ティッピー「ふむ」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

トントン

 

リゼ「んっ?」

 

メイドB「どうぞお入りください」

 

チノ「お邪魔します」ガチャッ

 

リゼ「チノ、起きてたのか」

 

チノ「ここあさんはもう寝ましたよ。わたしも歯磨きしたらすぐに部屋に戻ります」

 

チノ「リゼさんに、これだけお渡ししようと思って」コトッ

 

リゼ「おっ、チノの淹れたコーヒーか」

 

チノ「メイドさんもよろしければどうぞ」スッ

 

メイドB「ありがとうございます、おいしそうなコーヒーですね」

 

リゼ「うまいぞ、飲んでみろ」

 

メイドB「では……」カチャッ

 

チノ「…………」ゴクリ

 

リゼ「どうだ?」

 

メイドB「すごい……メイド長が入れたのよりおいしい……」

 

リゼ「当然だ、チノは世界一のバリスタの孫娘だからな」

 

チノ「り、リゼさん……世界一だなんて……//」アセアセ

 

メイドB「いえ、確かにこれは……」ズズッ

 

リゼ「チノにとってはそうだろ」

 

チノ「あぅ……そうですけど……//

 

メイドB「そのご年齢でこれほどのコーヒーを淹れられるなんて、もっと誇りに思って良いと思いますよ」

 

チノ「あ、ありがとうございます……//」カアァ

 

リゼ「チノ、おいしいコーヒーありがとう。戻ってくれていいぞ」

 

チノ「はい……おやすみなさい、リゼさん。メイドさんも」ペコリ

 

リゼ「ああ、おやすみ」

 

メイドB「おやすみなさいませ」

 

ガチャッ バタン

 

メイドB「飲み終えたら、わたしも少し見回りしてきます」

 

リゼ「ああ、ご苦労。……あと、一応ことわっておくけどな」

 

メイドB「?」

 

リゼ「チノはああ見えて中学3年生だ。小学生じゃないぞ」

 

メイドB「っ!?」ブッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

チノ「……………………」

 

『これほどのコーヒーを淹れられるなんて、もっと誇りに思って良いと思いますよ』

 

チノ「ふふ…………//」ニコッ

 

リゼ父「そこか!」

 

チノ「!」

 

リゼ父「後ろだ!」

 

メイド「」ビュッ!

 

チノ「あれは……リゼさんのお父さん」

 

メイド「」バシッ!

 

リゼ父「このままじゃ逃げられるな……下がっていろ」

 

メイド「」サッ

 

リゼ父「ダブル殺虫剤の威力を見せてやる……」

 

リゼ父「くたばれ!」シュー!

 

プーン

 

リゼ父「くっ、かわしたか」

 

メイド「」ビュッ!

 

リゼ父「こいつは電気ラケットじゃ仕留められん。本気を出していいぞ、許可する」

 

メイド「」グッ

 

メイド「」キック!

 

チノ「っ!?」

 

リゼ父「んっ、タカヒロの娘。来ていたのか」

 

チノ「こ、こんばんは」ペコリ

 

メイド「」ペコリ

 

リゼ父「悪いが今は敵と戦闘中だ、早く通れ」

 

チノ「敵って、まさかこの蚊ですか!?」

 

メイド「」ハイキック!

 

ビュッ!

 

チノ「キックの風圧で蚊を……!」

 

メイド「」シュバシュバ!

 

プーン

 

リゼ父「こうなればバルサンを焚くしかないか……!」

 

メイド「」キラーン!

 

メイド「」フロントキック!

 

ドガッ!!!!

 

チノ「ひっ!?」

 

メイド「!」

 

リゼ父「仕留めたか?」

 

メイド「」フルフル

 

チノ「壁に足形が……」

 

メイド「」ペコペコ

 

リゼ父「気にするな、殲滅した後で直せばいい」

 

リゼ父「やるぞ!身にかかる火の粉は叩き潰す!」

 

メイド「」グッ

 

チノ「あ、あの……」

 

 

メイドB「誰が深夜に家の中で戦争しろって言ったんですか」ニコッ

 

 

チノ「!」

 

メイド「!?」ビクッ

 

リゼ父「あ、いや……これはだな……」

 

メイド「」ガクガク

 

チノ(この恐ろしいオーラは……)ブルブル

 

メイドB「一応弁解は聞きましょう、説明してください」ニコニコ

 

リゼ父「敵が……モスキートが侵入してきてな」

 

メイド「」コクコク!

 

メイドB「蚊を退治するのに戦争ですか……」

 

メイドB「メイド長まで一緒になって……壁までへこませて……」ググッ

 

メイド「」ガクガク

 

プーン

 

メイドB「」ドゴッ!!

 

チノ「ひぃ!!?」

 

シュ~……

 

リゼ父「おお……」

 

メイドB「殲滅しましたから早く寝てください、いいですね」

 

リゼ父「ああ、ご苦労!おやすみ!」

 

メイドB「まったく……」

 

メイド「」アセアセ

 

メイドB「メイド長」

 

メイド「!」ビクッ

 

メイドB「お嬢様のご友人を洗面所まで送り届けてください」

 

メイド「……?」

 

メイドB「なんですその顔は?怒ってませんよ」

 

メイド「」アセアセ

 

メイドB「壁の件、明日みんなに一緒に謝りましょう。……わたしも壊しましたから」

 

メイド「……!」パアァ

 

メイドB「お騒がせして申し訳ありません」

 

チノ「ふふっ、いえ……」

 

メイドB「送り届けた後はそのまま部屋で就寝してください。いいですね」

 

メイド「」コクリ

 

チノ「では、おやすみなさい」

 

メイドB「おやすみなさいませ」ペコリ

 

メイド「」フリフリ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――リゼの部屋――

 

 

チノ「ふぅ……」ガチャッ

 

ティッピー「チノ、遅かったの」

 

チノ「すいません、色々とありまして」

 

ティッピー「とりあえず早く助けてくれんか……」

 

ここあ「むにゅ……」ギュッ

 

チノ「おじいちゃん、大丈夫ですか」アセアセ

 

ティッピー「息が詰まったわい……」

 

ここあ「ぁ……もふもふ……」ポワポワ

 

チノ「ここあさん、お待たせしました」

 

チノ「もう寂しくないですよ……」ギュッ

 

ここあ「んぅ……ちのちゃん……?」

 

チノ「起きるまでずっとこうしていますから」

 

ここあ「ちのちゃん……」ギュッ

 

チノ「ここあさんが手伝ってくれたパズル、ちゃんとわたしの部屋に飾っておきますね」ナデナデ

 

チノ「これからも思い出、たくさん作りましょう」

 

ここあ「ぅゅ…………」Zzz

 

チノ「おやすみなさい」

 

チノ「これからもずっと……ずっと一緒に……」

 

ここあ「いっしょ……えへへ……♪」Zzz

 

チノ「//」ギュッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. luka2000 より:

    今回も楽しく読ませて頂きました!
    本当に砂水さんのここリゼはいつでも癒されます♪(´ε` )
    だんだん話が進むにつれ、リゼちゃんとここあちゃんの関係が姉妹から親子になってきているような気がしてほっこりします。
    次回も楽しみに待ってます!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
      ありがとうございます。実はこのシリーズのテーマ自体が家族愛ですので、回が進むにつれ姉妹愛から徐々にバージョンアップしたのかもしれませんね。
      ないしょの結婚式もあげてしまいましたし、ここあちゃんとリゼちゃんは姉妹+親子+恋人+夫婦という非常に愛で結ばれた関係となっております。

  2. みー より:

    懐かしいです…
    和みます……
    疲れきった心が癒えてきました…

  3. Beyond the Average より:

    ここあが夜中に起きたときにメイドさんもメイドBさんも許してしまうのが、ここあの悲しむ顔を見たくない優しさだなと思いました。寝てないとだめですよ、と言ってもよかったかもしれませんが、ここあのしょんぼりした顔を見るのも辛いですよね…。(この優しさが、後にリゼが宿題を進められない悩みの原因になるのではと思いました。すごく贅沢な悩み。)

    ところでこのお話で二つのアイテムが気になりました。「使用人さんの見ていた写真」と「ジグソーパズル」です。
     使用人さんの見ていた写真は千夜に似ているとありますが、リゼが幼いときのメイドAさんかなと思いましたが、「幼いリゼちゃんと優しいメイドさん「友達になろ?」(ss190)」で使用人さん(青年)が写真を見てるのでこっちかなとも思っています。メイドAさんはしゃべり方や雰囲気が千夜に似ていますが今回はあくまで写真を見ていたので、ss190の写真(青年の大切な人)を見ていたのかなと思いました。
     ここあがチノと作ったジグソーパズルも気になりました。チノちゃんとの大切な思い出…? 形として残す必要があるのなら、ここあはいずれチノと別れる、つまりココアに戻ることを知っているということなのでしょうか?チノも不思議がっていましたが、これは幼いここあシリーズ本編でここあがチノやみんなにキスをしたことに重ねて見えますね。(私はもはや本編はうろ覚えなのですが。)

     やはりこのような温かいお話を読むと癒されますね。ありがとうございました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ここあちゃんは聞き分けが良いので、注意したら落ち込みながらもしっかり言うことを聞くから周りは余計に言い辛いのだと思います。
      この代わりばんこでお泊まりする作戦を立てたのもそれがきっかけでしたね。
      良い子ほど我慢はさせたくないものです。

      使用人さんの見ていた写真についてですが、あれはメイドAさんではなくかつての想い人の方ですね。
      もちろんメイドAさんの写真も持っているみたいですよ。
      どちらのことも忘れられないほど大切な人なのでしょう。

      ここあちゃんとチノちゃんのパズルシーンについてですが、あれだけの描写でその伏線に気付かれていることに驚いています。
      あなたのおっしゃるように、あれはここあちゃんがいつかは別れが来ることを理解しているという描写です。
      いつ自分が消えても悔いがないように、ここあちゃんは毎日を一生懸命生きているのだと思います。
      みんなとの思い出をひとつでも多く残すために。

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