ごちうさSS 天々座家の人々

 

 

 

――天々座家 PM4:34――

 

 

使用人「では、今日の夕飯も我々にお任せということでよろしいですね」

 

リゼ父「ああ、頼む」バサッ

 

使用人「承知しました、では……」

 

リゼ父「待て」

 

使用人「?」

 

リゼ父「にんじんとトマトはなるべく控えめにな」

 

使用人「…………」

 

リゼ父「リゼには内緒にしててくれ」バサッ

 

使用人「フッ……」

 

使用人「小さいお嬢が苦手ですもんね」

 

リゼ父「…………」

 

使用人「好き嫌いは良くないですが、お気持ちは分かります」

 

リゼ父「好きなものを好きなだけ食べてほしいんだ」

 

使用人「それはお嬢も一緒ですよ、本心ではきっと」

 

リゼ父「分かってる」

 

使用人「小さいお嬢、喜びます。では」ペコリ

 

ガチャッ バタン

 

リゼ父「…………//

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――リゼの部屋――

 

 

使用人「」トントン

 

使用人「…………?」

 

使用人「失礼します」ガチャッ

 

 

ここあ「えいっ!」

 

メイド「」ガクッ

 

ここあ「これでとどめだよ!フルムーンレクト!」ビュッ

 

メイド「」バタリ

 

ここあ「やった~!かったぁ♪」

 

使用人「あの……」

 

ここあ「あっ、ゆうしゃさん。どうしたの?」

 

使用人「お取込み中すいません。今から夕飯の買い出しですけど、ご一緒されますか?」

 

ここあ「ばんごはんのおかいもの?もうそんなじかん?」

 

使用人「短い針が4、長い針が37ですね」

 

ここあ「……んーん、きょうはおるすばんしとくね」

 

使用人「承知しました」

 

ここあ「もうちょっとでりぜちゃんかえってくるから、げんかんでまつの」

 

使用人「なるほど、お嬢も喜びます。ではあっしはこれで」

 

メイド「」ヒョコ

 

使用人「あっ、いいですよ。小さいお嬢と遊んであげててください」

 

ここあ「りぜちゃんもうすぐだからへいきだよ。めいどさん、ゆうしゃさんについていってあげて?」

 

メイド「」グッ

 

ここあ「いってらっしゃい!」

 

使用人「行って参ります」

 

メイド「」フリフリ

 

 

――

――――

――――――

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「小さいお嬢とチャンバラごっこでも?」

 

メイド「」フルフル

 

使用人「えっ?違うんですかい?」

 

使用人「――RPGごっこ?同じようなものでは……」

 

メイド「」フルフル

 

使用人「小さいお嬢は魔法使いで、あなたが悪党ですか」

 

メイド「」コクコク

 

使用人「さっきのは和解した設定?いや……しかし、やられて倒れてましたよね」

 

使用人「――戦意を失っただけですかい……」

 

メイド「」フンス

 

使用人「あっしはてっきりトドメというから退治されたのかと」

 

メイド「」フルフル

 

使用人「――なるほど、小さいお嬢の魔法使いは相手を攻撃せずに戦意を消失させて沈めるわけですか」

 

使用人「優しい設定ですね、あの子らしい」

 

メイド「」コクリ

 

使用人「って、何の話ですこれ」ハハッ

 

メイド「」ニコッ

 

 

 

 

使用人「あの」

 

メイド「?」

 

使用人「いつも思っていたんですが、買い出しの時もみんなメイド服のまま外に行ってますけど……いいんですかい?」

 

メイド「……?」キョトン

 

使用人「いや、屋敷の外だと注目を浴びるのではと思いまして」

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

使用人「我々は冬場はスーツですし、そこまで目立つことは」

 

使用人「時折り暴力団お断りの張り紙を突きつけられたりもしますが……ははっ……」

 

メイド「」ポンポンッ

 

使用人「ありがとうございます、慣れてますから平気ですよ」

 

使用人「メイド服を気にされないなら結構ですが、くれぐれも変な輩には気を付けてくださいね。まぁウチのメイドに限ってその辺の心配はありませんが……」

 

メイド「」ドヤッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「ええ、ここの栗羊羹おいしいですよね」

 

メイド「」コクコク

 

使用人「――んっ?」

 

使用人「――ああ……いえ、甘いものが嫌いってわけでは無かったんです」

 

使用人「ただ、食べられなくなっていたと言いますか……」

 

メイド「…………」

 

使用人「お嬢のご友人がくださった栗羊羹のおかげです、感謝しないと……」

 

メイド「」ニコニコ

 

使用人「あ……ただ純粋に感謝の気持ちですよ?」

 

使用人「お嬢が冗談でいつも良からぬことをおっしゃってますが、あれはただからかっているだけで」アセアセ

 

メイド「!」エッ

 

使用人「いや、本気にしないでくだせぇ!?」

 

――ガラッ

 

メイド「?」

 

使用人「!」

 

千夜「あらメイドさん、使用人さん、こんにちは」

 

メイド「」ペコリ

 

使用人「あっ……どうも」ペコリ

 

千夜「使用人さんに似た声が聴こえたので、もしかしたらと思いまして」

 

使用人「すいません、店の前で大声出してしまって」

 

千夜「お客さん誰もいないから大丈夫ですよ。良かったら寄って行かれます?実は新メニューを開発したんです」

 

使用人「すいません、お誘いにあやかりたいのは山々なのですが、今からかいだ――」

 

メイド「」トンッ

 

使用人「っと……」

 

メイド「」グッ

 

使用人「へ?」

 

メイド「」タタタ

 

使用人「ちょっと、待ってくだせぇ……!」

 

千夜「メイドさん、使用人さんお借りしていいんですか?」

 

メイド「」ニコッ

 

千夜「くすっ、ありがとうございます。では一名様ご案内です♪」スッ

 

使用人「あ……//

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――買い物終了――

 

 

『ごぼう・だいこん・豚肉・油揚げ・マイタケ』

 

メイド「………………」メモ

 

メイド「」ポク…ポク…

 

メイド「――!」

 

『豚汁』

 

メイド「」グッ

 

 

――横断歩道 赤信号

 

メイド「………………」

 

――公園

 

メイド「」コクリ

 

メイド「」タタタ

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――公園――

 

 

メイド「♪~♪♪」

 

オイテメェコラ!

 

メイド「!」

 

DQN1「なんだよカス!おいっ!」

 

一般人「だって落ちてた財布を拾って……それ、あの人のですよ」

 

DQN2「言いがかり付けんなよ!こらっ!」

 

女性「あの、もう結構ですから……」ビクビク

 

DQN3「この人も違うつってるだろうが、ふざけんなよてめぇ!」

 

ガヤガヤ……ザワザワ……

 

メイド「…………」

 

 

DQN1「お前、喧嘩売ってきたってことでいいな?」グイッ

 

一般人「!」

 

女性「警察……!」ピッ

 

DQN2「余計なことするな」バシッ

 

女性「あっ……」

 

DQN3「裏通りに連れてこうぜ」

 

一般人「あっ……」ガクガク

 

 

――スッ

 

メイド「」ザッ

 

 

女性「!」

 

DQN1「あっ?」

 

DQN2「なにこいつ?コスプレイヤーか?」

 

DGN3「おい、アニメの見過ぎかお前?」

 

メイド「」バシッ!

 

DQN1「いてっ!」

 

メイド「」ドンッ!

 

一般人「わっ……!」

 

女性「メイドさん……!?」

 

メイド「」スッ ダイコン

 

DQN2「やろうっ!!」ブンッ

 

メイド「」ヒュッ

 

メイド「!」バゴッ!

 

DQN2「がっ!」

 

DQN3「おらぁ!」キック

 

メイド「」バシッ!

 

DQN3「!?」

 

メイド「」スッ ゴボウ

 

メイド「!」ドガッ!バキッ!

 

DQN3「ぐぁああぁ゛……!」ジタバタ

 

DQN2「この……っ!!」ブンッ!

 

メイド「」スッ

 

メイド「!」ミドルキック!

 

DQN2「ぐぇっ!!」ゴロゴロ

 

DQN1「……!」

 

メイド「…………」パンッパンッ

 

DQN1「くそっ……こいつ!」シャキン

 

キャーッ!

 

一般人「誰か!警察を!」

 

女性「もしもし警察ですか?公園で刃物を持った男が……!」

 

メイド「…………」

 

DQN1「しね……!」

 

メイド「」スッ

 

 

――ガシッ

 

メイド「!」

 

 

使用人「またお前か……」

 

 

DQN1「え……――!」

 

使用人「俺の家族に2度と手を出すなと言わなかったか……?」グググ

 

DQN1「ぁあ゛……!」

 

使用人「っ!」ドゴッ!

 

DQN1「ガァッ!!!!!?

 

 

DQN123「」チーン

 

使用人「ふぅ……」

 

使用人「遅くなってすいません、怪我はないですかい?」

 

メイド「」コクリ

 

使用人「良かった……」

 

メイド「」スッ

 

使用人「大根とごぼう、バラバラですね」

 

使用人「――いえ、このまま帰りましょう。あんまり遅いとお嬢たちが心配されます」

 

使用人「このまままっすぐ――俺たちの『家』に」

 

メイド「……」ニコッ

 

ザッザッ

 

 

一般人「…………」ポカーン

 

女性「あの、ありがとうございました」スッ

 

一般人「いえ……こちらこそごめんなさい」

 

女性「あの人たちは?知り合いですか?」

 

一般人「……」ブンブン

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

使用人「ただいま戻りました」ガチャッ

 

ここあ「おかえりなさい!」タタタ

 

使用人「小さいお嬢、ただいまです」

 

メイド「」ペコリ

 

リゼ「ずいぶん遅かったじゃないか、なにかあったのか?」

 

使用人「いえ、特に何も……」

 

リゼ「本当か?」

 

使用人「うっ……」

 

メイド「」スッ

 

リゼ「写真?なんだ、甘兎庵に寄っていたのか」

 

使用人「!」

 

メイド「」コクコク

 

リゼ「素直にそう言えばいいのに、やっぱり千夜に対して何かあるんだな?」

 

ここあ「ゆうしゃさん、ちやちゃんのことすき?」

 

使用人「違いますって……!」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

メイド「」ニコニコ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――夕飯――

 

 

リゼ父「今日は豚肉の生姜焼きか」

 

ここあ「んっ……おいしいよ♪」

 

リゼ「ここあ、口の周りに付いてるぞ。ほら」フキフキ

 

使用人「お茶取ってもらえますか?」

 

使用人B「どうぞ」

 

メイド「」モグモグ

 

ここあ「めいどさん、ごはんがおわったらおひるのつづきしよっ?」

 

メイド「」グッ

 

リゼ「二人で遊んでたのか、なにしてたんだ?」

 

ここあ「RPGごっこだよ、りぜちゃんもしよ!」

 

リゼ「いいぞ、わたしがいる限りここあには指一本触れさせん」

 

ここあ「ゆうしゃさんもいっしょにしてくれる?」

 

使用人「フッ……承知しました」

 

リゼ父(俺は……俺は……?)ドキドキ

 

ここあ「おとうさんもいっしょに――」

 

リゼ父「よしっ!!」

 

メイド「!」

 

使用人「どうされたんですか!?」

 

リゼ「親父、びっくりするだろ!」

 

リゼ父「ああ、すまん……つい」

 

ここあ「?」

 

使用人「ははっ」

 

メイド「」ニコッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. ほのうみ より:

    リゼちゃんの使用人、カッコいいですね。

    感想コメントの件、分かりました。

    無理をせず、感想コメントは書きます。

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