ごちうさSS ここあ「リゼちゃんたちと初詣」

 

 

 

――1月1日 天々座家 ダイニング――

 

 

リゼ「おはよう――……?」ガチャッ

 

ここあ「りぜちゃん、はやくたべよう」

 

使用人B「お嬢、明けましておめでとうございます」

 

メイド「」ペコリ

 

リゼ「お前たちだけか?親父やあいつは?」

 

使用人C「それが……」

 

メイド「」スッ

 

リゼ「手紙?」

 

使用人B「昔の友人と今年もおみくじで対決すると、先ほど出ていかれました」

 

リゼ「みんなで神社まで行けばいいのに、せっかちな親父だ」バサッ

 

リゼ「あいつは?」

 

使用人D「あの方でしたら、ついさっきお嬢の幼馴染の方が来られて……」

 

リゼ「ユラが?」

 

ここあ「ゆらちゃんきてるの?」

 

使用人D「はい、姿を見た途端に逃亡されました」

 

リゼ「」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「待って~」タタタ

 

使用人「くっ……!」ダダッ

 

ユラ「逃がさないよ~」

 

使用人「っ……!」スッ

 

ユラ「あれ~どこか行っちゃった?」

 

使用人「………………」

 

ユラ「窓から飛び降りたのかな~?さすがにわたしじゃ無理だね~」

 

使用人「………………」

 

ユラ「仕方ない、諦めよっか~」テクテク

 

使用人「………………」

 

使用人「…………」

 

使用人「……」

 

使用人(撒いたか……)ホッ

 

使用人「…………」スッ

 

ユラ「♪」バァ

 

使用人「のぁっ!!?」

 

ユラ「おはよう~顔見て逃げるなんてさすがのユラちゃんも傷つくよ~?」ムフー

 

使用人「フェイントでしたか……」

 

ユラ「もう観念しよ~?」

 

使用人「……ですが、今回はお断りします」

 

ユラ「まだ何も言ってないのに~」

 

使用人「初詣のお誘いでしょう。小さいお嬢には申し訳ないですが」

 

ユラ「………………」

 

ユラ「ふーん、そっか~」ポスッ

 

使用人「………………」

 

ユラ「ここあちゃん、昨日みんなで行くって張り切ってたよ~」

 

ユラ「みんなの中には、わたしも使用人さんも入ってるんじゃない?」

 

使用人「ですが、あくまであっしは……」

 

ユラ「…………」

 

ユラ「わたしもさぁ、ここあちゃんに誘われなかったらきっとリゼの誘いでも断ってたよ~」

 

使用人「え……?」

 

ユラ「わたしがいなくても大丈夫なら、わざわざわたしがいる必要はないからね~」

 

使用人「…………?」

 

ユラ「分からない~?つまりね」

 

ユラ「ユラちゃんが欠けて悲しむ人が一人でもいるなら、わたしは絶対に誘いを断ったりしないってこと~」

 

使用人「!」

 

ユラ「使用人さんが欠けたらここあちゃんが悲しむよ~。たぶん千夜ちゃんも」

 

使用人「………………」

 

ユラ「でもこれはリゼたちを見守る使用人さんの役目じゃないね~。だから立場として行く理由は無いから、結局はわたしのも屁理屈かな~」スッ

 

ユラ「それじゃあわたしは行って来るよ~」

 

使用人「待ってください」

 

ユラ「?」

 

使用人「やっぱり、あっしもいきます」

 

ユラ「…………」

 

使用人「お嬢とあの子の友人として、です」

 

ユラ「……ふふ~♪」

 

ユラ「立てる?」スッ

 

使用人「どうも……」

 

ユラ「追いかけまわしてごめんね~大丈夫?」

 

使用人「いえ……ありがとうございます」

 

ユラ「年始めからユラちゃん良いこと言いました~」

 

使用人「そういえば、初詣に行くのに普段着ですか?」

 

ユラ「千夜ちゃんが貸してくれるんだって~お言葉に甘えようと思ってさ~」

 

使用人「……誘いに来てくださったんですね、わざわざ」

 

ユラ「どうかな~?」

 

使用人「フッ……感謝します」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――神社――

 

 

リゼ「おっ……あれはチマメ隊だな」

 

マヤ「あっ、リゼとここあと黒服だ!おーい!」

 

メグ「チノちゃん、ここあちゃん来たよ」

 

 

ここあ「ちのちゃーん♪」タタタ

 

チノ「ここあさん……」

 

 

――ギュッ

 

 

ここあ「あけましておめでとう//」ニコッ

 

チノ「おめでとうございます、今年もたくさん遊びましょうね」

 

ここあ「うん!きょうはみんなでもちつきするよ」

 

マヤ「待てここあ!その前に屋台で買い食い、あとおみくじ対決だ!」

 

ここあ「おみくじ?ひきたい!」ピョン

 

マヤ「今年は絶対に大吉を引くぞ!心の準備はできてるか!」

 

ここあ「いえっさー!」

 

チノ「おみくじなのに大げさすぎます……」

 

メグ「千夜さんとシャロさん、ユラさんがまだだね」

 

リゼ「そろそろ来ると思うが」キョロキョロ

 

使用人「お嬢、恐らくあれですね。来られました」

 

 

千夜「みんな、明けましておめでとう」

 

シャロ「遅くなってすいません」

 

リゼ「気にするな、わたしたちもいま来たところだ」

 

使用人「どうも」ペコリ

 

シャロ「使用人さんも来てくださったんですね」

 

千夜「良かったです、もしかしたらお留守番されるのかと思って」

 

使用人「ははっ……」

 

ここあ「ちやちゃん、しゃろちゃん//」ギュッ

 

千夜「ここあちゃん、明けましておめでとう」ナデナデ

 

シャロ「可愛い振袖ね、似合ってるわ」

 

ここあ「りぜちゃんがかってくれたんだよ」

 

リゼ「わたしのここあは何を着ても可愛いんだ」フンス

 

ユラ「振袖ユラちゃんだよ~使用人さん似合ってる?」

 

使用人「あ、はい、すごくお似合いです」

 

ユラ「ありがとう~シャロちゃんは~?」

 

使用人「素敵だと思います」

 

ユラ「リゼは~?」

 

使用人「お嬢ももちろんです」

 

ユラ「千夜ちゃんは~?」

 

使用人「振り袖姿がとても似合って――」

 

ユラ「おっぱい大きいね~」

 

千夜「え……//

 

使用人「ブッ!!//

 

ユラ「使用人さんの心の声を代弁してみたよ~」ムフー

 

使用人「ひでぇ捏造だ!?」

 

シャロ「そ、そうですよ吹き矢部長!使用人さんに限って……!」

 

マヤ「ふざけてないで早く行こうよ~お腹すいた~」

 

チノ「わたしたち参拝に来たんですよマヤさん……」

 

メグ「マヤちゃんは屋台の方が目的だから」

 

ここあ「りぜちゃん、いこっ」

 

リゼ「ああ、はぐれないように手を繋ごうな」

 

ここあ「うん♪」ギュッ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

チノ「お賽銭は……あの柵の中に投げ入れればいいんでしょうか?」

 

メグ「お賽銭箱、あんなに遠いね」

 

マヤ「よーし!目標補足!」

 

メグ「マヤちゃん、この距離から届くの?」

 

マヤ「柵の中なら楽勝だって!とうっ!」ビュッ

 

ここあ「すごい!」

 

マヤ「ふふん、お参りも終わったし、次はおみくじだぁ!」

 

千夜「シャロちゃん、お賽銭もってる?」

 

シャロ「100円くらいあるわよ」

 

リゼ「よっと」ヒュッ

 

ここあ「りぜちゃん、わたしも、わたしも!」

 

リゼ「ここあも投げ入れするのか?よし」ヒョイ

 

リゼ「どうだ、入れられそうか?」

 

ここあ「えいっ」ビュッ

 

ここあ「はいったよ!」

 

リゼ「上手だな」ギュッ

 

ここあ「えへへ//

 

ユラ「使用人さん、ここからあの柵の中のお賽銭箱に入れられる~?」

 

使用人「あれですかい……どうでしょう」

 

ユラ「何事も挑戦だよ~」

 

使用人「………………」

 

ビュッ! ――チャリン

 

ユラ「おお~」

 

使用人「入りましたね」

 

ユラ「それじゃあわたしも~」ビュッ

 

使用人「10枚投げ!?」

 

――チャリン

 

ユラ「1枚入ったね~ふふ~」

 

使用人(やはりくえない、この人は……)

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

リゼ「おっ……中吉だ」

 

ユラ「小吉~負けちゃった」

 

リゼ「ふふん」ドヤッ

 

シャロ「あっ、大吉だわ」

 

千夜「すごいわシャロちゃん、わたしは吉よ」

 

メグ「千夜さんも?わたしも吉だったよ~」

 

千夜「今日からメグちゃんと吉同盟ね」ガシッ

 

メグ「なんだか平和な同盟だね~♪」ガシッ

 

チノ「……!」

 

チノ「だ、大吉です……!」パアァ

 

ティッピー「よかったのぉ、チノ」

 

チノ「まぁ、凶を引くよりはいいです……//

 

チノ「…………//」ニコッ

 

マヤ「どうしてわたしだけ凶なんだ!?」

 

メグ「マヤちゃん凶だったの?」

 

マヤ「うぅ~そうだ、ここあは?」

 

ここあ「りぜちゃん、これなんてよむの?」

 

リゼ「これは、小吉だな」

 

ユラ「ユラちゃんとお揃いだね~」

 

ここあ「ほんと?よかった//

 

ユラ「ここあちゃんとわたしが愛で繋がってる証拠だよ~」

 

リゼ「くっ……小吉が出るまで引き直すか……!」←※中吉を引いてます

 

千夜「使用人さんはどうでした?」ヒョイ

 

使用人「あっしは吉でした」

 

千夜「ならお揃いですね」ニコッ

 

メグ「使用人さんも吉同盟だね~」

 

使用人「ははっ……」

 

マヤ「こうなったらもう一度引き直して……!――ん?」

 

ザワザワ ザワザワ

 

マヤ「………………」

 

チノ「マヤさん?」

 

マヤ「チノ、あれ……」

 

チノ「?」

 

 

タカヒロ「……」ゴゴゴ

 

リゼ父「……」ゴゴゴ

 

 

チノ「お父さん!?」

 

リゼ「親父!?」

 

ユラ「すごいオーラ……なにか真剣勝負みたいだね~」

 

使用人「まさか、喧嘩では……」

 

 

リゼ父「……いくぞ」

 

タカヒロ「……ああ」

 

 

――フリフリ

 

 

リゼ父「――!大吉だ」バッ

 

タカヒロ「小吉……俺の負けか」

 

リゼ父「ふっ、見たかタカヒロ」

 

タカヒロ「約束だ、今夜の酒代は奢ろう」

 

リゼ父「おみくじで俺に勝とうなんざ10年早い」ドヤッ

 

 

千夜「おみくじ対決だったのね」

 

リゼ「知り合いと思われたら恥ずかしい、早く行こう」

 

メグ「チノちゃんのお父さんて意外とお茶目なんだね」ニコニコ

 

チノ「はうぅ……おじいちゃん、父がだんだんおかしくなってきてます」

 

ティッピー「もともと全員おかしいじゃろ」ピョン←喋るうさぎ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「今年は年初めから賑やかだね~」

 

リゼ「やっぱり嫌だったか?」

 

ユラ「ううん、楽しいよ~」

 

リゼ「そうか……」ホッ

 

ユラ「リゼとまたこうして初詣に来られたことが一番の役得だけど~」

 

リゼ「……言ってくれたら誘うのに」

 

ユラ「ん~それだと嬉しくないかな~」

 

ユラ「小さい頃みたいにリゼに必要としてほしいんだよね~」

 

ユラ「ユラがいないと嫌だ~って、ふふ~」

 

リゼ「………………」

 

ユラ「なーんて、でもその反面リゼにたくさん友達が出来て安心してたよ~」

 

ユラ「いまはここあちゃんもいるしさ、ユラちゃん一安心~」

 

リゼ「……でも、本当はユラにもいてほしい」

 

ユラ「わがままだね~リゼは」

 

リゼ「なんだ、悪いか?//

 

ユラ「嬉しいよ~ありがとう」

 

リゼ「……また、誘ったら来てくれるか?」

 

ユラ「そうだね~これでここあちゃんの頼みじゃなくても来る理由が出来たよ~」

 

リゼ「?」

 

ユラ「なんでもないよ~リゼの頼みを断るわけないさ~」

 

リゼ「……ありがとう//

 

ユラ「かわいいね~リゼは、ユラちゃんがモフモフしてあげる~」ギュッ

 

リゼ「やめろ、恥ずかしい//

 

ここあ「りぜちゃーん」タタタ

 

リゼ「ここあ、おかえり」

 

ユラ「それたいやき~?おいしそうだね~」

 

ここあ「ゆらちゃんずるい、わたしもりぜちゃんとぎゅってする」ピョンピョン

 

ユラ「ごめんね~リゼはちゃんとここあちゃんに返すよ~」

 

ユラ「向こうでマヤちゃんたちと焼きそば食べてくるから~」フリフリ

 

ここあ「りぜちゃんみて、ちのちゃんにかってもらったの」ニコッ

 

リゼ「たいやきか、家に帰ったらみんなでお餅を食べるからほどほどにな」

 

ここあ「だからりぜちゃんとはんぶんこするよ」

 

ここあ「んっしょ……はい♪」

 

リゼ「…………」クスッ

 

リゼ「尻尾の方でいいぞ」スッ

 

ここあ「あ……」

 

リゼ「ありがとう」ナデナデ

 

ここあ「でも、あたまのほうがたくさんあんこはいってるよ?」

 

リゼ「ああ、だからここあに食べてほしいんだ」

 

リゼ「優しいな、お前は……」ギュッ

 

ここあ「んっ……//

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

――天々座家 客室――

 

 

リゼ「フッ!」ペタッ

 

メイド「」クルリ

 

リゼ「ハッ!」ペタッ

 

メイド「」ペシッ

 

リゼ「よっと」ペタッ

 

メイド「」ペシッ

 

 

メグ「つきたてのお餅ってこんなにもちもちなんだね」

 

マヤ「チノ~海苔取って」モグモグ

 

チノ「あっ、はい」

 

千夜「餡子ときな粉、持ってきて正解ね」

 

シャロ「そうね、これはこれでおいしいわ」

 

ユラ「ここあちゃん、はいあーん」

 

ここあ「あーん……」

 

ユラ「おいしい?」

 

ここあ「うん!」モグモグ

 

使用人「あの、そろそろ交代しましょうか?」

 

リゼ「まだまだ平気だ」

 

メイド「」コクコク

 

使用人「しかし、お嬢がついてあっしが食べるだけというのも……」

 

ユラ「たまにはいいんじゃない~?ねぇメイドさん?」

 

メイド「」グッ

 

千夜「使用人さんも使いますか?甘兎庵特製の餡子です」

 

使用人「……!」

 

使用人「……これが」スッ

 

シャロ「使用人さん?」

 

マヤ「黒服?どうしたの?」モグモグ

 

使用人「あ…………いえ」

 

使用人「では、頂きます」

 

メグ「チノちゃんも食べる?このお餅すごくおいしいよ」

 

チノ「メグさん、わたしが食べているのもきなこのお餅です」モグモグ

 

メグ「はっ、そうだったね!」

 

ここあ「ちのちゃん、きなこおいしい?」ヒョコ

 

チノ「おいしいですよ、ここあさんも食べますか?」

 

チノ「はい、あーんしてください」

 

ここあ「あーん♪」

 

 

リゼ「ふぅ……」

 

メイド「」バッ

 

リゼ「んっ、交代か?」

 

メイド「」コクリ

 

リゼ「つくほうが辛いぞ?」

 

メイド「」ガシッ

 

使用人「お嬢、あっしが代わります」

 

千夜「あっ、それならわたしにひっくり返すほうをさせてください」

 

使用人「!?」

 

リゼ「千夜が?でも見た目より大変だぞ」

 

千夜「やったことあるから大丈夫よ」

 

使用人「いやしかし、手を怪我しないとも限りませんし……」

 

メイド「」ススッ

 

千夜「ありがとうございます♪」

 

メイド「」グッ

 

使用人「ちょっと……!」

 

ここあ「めいどさん、ぼたもちだよ~あーん」

 

メイド「」アーン

 

ユラ「千夜ちゃんファイト~」

 

千夜「よろしくお願いします」

 

使用人「……では」

 

千夜「はぁ!」ペシッ

 

使用人「……」ペタッ

 

千夜「とりゃあ」ペシッ

 

マヤ「黒服~腰が引けてるよ~?」

 

シャロ「あの、代わりましょうか?」

 

使用人「ご心配なく……」

 

使用人(誤って手を叩いてしまったりしたら……)ハラハラ

 

メグ「チノちゃん、口にきなこがついてるよ」フキフキ

 

チノ「あ……ありがとうございますメグさん//

 

メグ「しっかり者のチノちゃんが珍しいね」ニコッ

 

ユラ「お疲れ様、リゼ~」

 

リゼ「ああ、休みのせいか少し身体がなまってるな」

 

ユラ「お正月だしのんびりいこ~」

 

リゼ「お前はいつものんびりしてるだろ」

 

ユラ「そうかもね~」ムフー

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

――PM6:24――

 

 

リゼ「それじゃあな」

 

千夜「新年早々から楽しかったわ」

 

シャロ「リゼ先輩、いつもありがとうございます」

 

マヤ「ここあ、明日はチマメコ隊で新年初シストだ。準備を怠るな?」

 

ここあ「いえっさー!」ビシッ

 

メグ「マヤちゃん、ここあちゃんのためにわざわざ青山さんにシストの地図をお願いしに行ってたんだよ」

 

チノ「マヤさん……」

 

マヤ「メグ!それはチノとここあには秘密にするって約束だろ!?//

 

ユラ「じゃあねリゼ、ここあちゃん、また招集がかかるの待ってるよ~」

 

ここあ「みんなありがとう!ちのちゃん、ばいばい!」

 

チノ「ここあさん、また明日」フリフリ

 

 

ガチャッ バタン

 

 

ここあ「りーぜちゃん♪」ギュッ

 

リゼ「楽しかったか?」

 

ここあ「うん!おもちもおいしかった!」

 

リゼ「そうか、さすがに今日はお腹いっぱいだな」

 

ここあ「ばんごはんいらないってめいどさんにいってくるね」タタタ

 

ここあ「りぜちゃんはさきにおへやにもどってて」

 

リゼ「あっ、ここあ……」

 

リゼ「……………………」

 

 

 

――天々座家 リゼの部屋――

 

 

リゼ「…………ふぅ」スッ

 

リゼ(あとは風呂に入るだけか)

 

リゼ(親父のやつ、今夜はラビットハウスで過ごすつもりかな)

 

リゼ「まったく、新年初日目から飲んだくれとは……」

 

リゼ「……………………」

 

リゼ「……」クスッ

 

リゼ「……幸せ、だな」

 

リゼ「…………」ウツラウツラ

 

リゼ「……スゥ」

 

リゼ「………………」Zzz

 

 

――

――――

――――――

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

タカヒロ「……帰らなくていいのか?」

 

リゼ父「当たり前だ、タダ酒なんだから飲めるだけ飲んで帰ってやる」

 

タカヒロ「別にいいが、酔いつぶれる前に連絡くらい入れないとリゼくんが心配するぞ」

 

リゼ父「大丈夫だ、リゼには小さいのが付いてる」

 

リゼ父「お前の娘も、他の奴らもな」

 

タカヒロ「フッ……そうだな」

 

リゼ父「………………」

 

リゼ父「タカヒロ」

 

タカヒロ「んっ?」

 

リゼ父「また笑えるようになって、良かったな」

 

タカヒロ「……ああ」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

使用人「………………」

 

トントン

 

使用人「んっ、どうぞ」

 

メイド「」ガチャッ

 

使用人「どうされましたか?」

 

メイド「」コトッ

 

使用人「雑煮……お嬢たちがついたお餅の残りですかい?」

 

メイド「」コクリ

 

使用人「なるほど……ありがたく頂きましょう」

 

メイド「」ストン

 

 

使用人「――んっ?」

 

使用人「――ええ、甘いもの、食べられるようになったんです」

 

使用人「お嬢のお友達のおかげで」

 

メイド「」クスッ

 

使用人「……………………」

 

 

――――――

――――

――

 

 

人生の99%が不幸だとしても。

 

最期の1%が幸せならば。

 

その人の人生は。

 

幸せなものに変わる。

 

 

――

――――

――――――

 

 

リゼ「…………ん?」パチッ

 

リゼ(少し寝てしまったか……)

 

リゼ「あれ……この毛布……」

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ「……ここあ」

 

ここあ「んっ……」Zzz

 

リゼ「………………」

 

リゼ「ありがとう……」ナデナデ

 

ここあ「ぇへへ……」Zzz

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ(もう一回、寝てもいいよな……)

 

 

リゼ(布団よりもずっと、ずっと……温かい)

 

 

リゼ「………………」ギュッ

 

ここあ「……りぜちゃん」Zzz

 

リゼ「………………」Zzz

 

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    もうカルタ取りから1年経ったんですねぇ
    毎年賑やかな正月を過ごしてて羨ましいです
    無理はなさらずにこれからも頑張ってくださいー

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      当シリーズも始まってからはや2年近くになりますか。
      去年のカルタ取りを描いていた頃から1年、あっというまですね~。
      このシリーズはわたしの理想を描いているので、執筆者ながらいつも羨ましいと思いながらわたしも読んだりしてます。

      ありがとうございますm(__)m
      またツイッターでもお話しましょうね。

  2. ほのうみ より:

    ココアちゃん優しいですね。

    リゼちゃんに毛布をかけてあげるとは。

    リゼちゃんは幸せですね。

    今後も楽しみです。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      ・リゼちゃんが幸せになる。
      ・みんなの個々の優しさを表現する。
      ・家族愛
      の3つが本作のテーマなのです。

  3. Beyond the Average より:

    ユラ先輩は遠回しに良いこと言う優しい人です(感激)!
    そして最後にはリゼの心をつかんで万々歳ですね!

    伏線のような表現がいくつかあり、最後の「人生の99%が不幸だとしても。~」で、明るいはずのお話の裏(というよりは底)に伏せられた暗い何かを感じました。うまく言えないのですが、使用人さんはもちろん、タカヒロさんも過去に何かありそうで気になりました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      Beyondさんは当シリーズではユラちゃん推しですか。
      小悪魔な魅力にやられちゃいましたね。

      さすがはお察しが良いですね。
      本シリーズは一見ほのぼしたすごく明るい物語に見えますが、その根底にはそれぞれが暗い何かを抱えています。
      深く考えるほど色んな発見がある、ここあちゃんシリーズは実はかなり沼が深いのです。
      タカヒロさんは未定ですが、使用人さんの過去はいずれ明かされるかもしれません、今後にご期待ください。

  4. つくる より:

    慎ましながら、拝読させていただきました。
    とある初詣の1日をユラちゃんの視点からとても楽しげに描かれていらっしゃいますね。
    子どもから見た大人の世界はどんな風に見えているのでしょうね。リゼの【布団よりもずっと、ずっと…温かい】というセリフが印象的でした。

    人生の99%が不幸だとしても最期の1%が幸せならばその人の人生は幸せなものに変わる。というメッセージがとても心に響きました。僕はこれについて、幸せは毎日やってくるものではないが不幸だという思いや考え方から抜け出す希望はあるという捉え方をします。時に人は挫折して絶望し、努力を無下にしてしまうこともあるが、ユラちゃんのような心の支えさえ何度でも立ち上がれるのかもしれません。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      つくるさん、ハロハローです。
      こちらでもツイッターでも、お話しするのは久方ぶりですね。

      リゼちゃんのあのセリフや、今作のラストッセージ。
      実は色んな意味が込められているのですよ。
      どんな解釈をされましても、わたしは読者さんが感じてくださったものが答えだと思っています。

      つくるさんがそのように解釈したのであれば、きっとあなたにとってそれが正しいものでしょう。
      わたしは、このメッセージに当シリーズの今後の展開の伏線を含んでいたりしますよー。

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