ごちうさSS チノ「ココアさんのことなんか好きじゃありません!」

BMIEVeZ

 

――ラビットハウス――

 

チノ「………………」ソワソワ

 

チノ「」チラッ

 

4:30

 

チノ「………………」ウロウロ

 

リゼ「どうしたんだチノ?」

 

チノ「いえ……最近ココアさんの帰りが妙に遅いと思って」

 

リゼ「そういえばそうだな。まぁそのうち帰って来るだろう」

 

チノ「……………………」ソワソワ

 

リゼ「チノ、そんなに心配しなくても大丈夫だぞ?」

 

チノ「心配なんてしてません」

 

リゼ「えっ?」

 

チノ「むしろお店が静かで私としては好都合ですが、勝手にシフトを抜けられるのは困ります」

 

リゼ「いや……別にそこまで繁盛してるわけじゃないんだし……そもそもこの店シフトとかないだろう」

 

チノ「それとこれとは話が別です、モラルの問題ですから」

 

リゼ「モラルって、今更そんなこと……素直に心配だって言えよ」

 

チノ「心配なんてしてません!」ダン!

 

リゼ「わっ!」

 

チノ「わたし、ココアさんのことなんてどうでもいいです!」

 

リゼ「そ、そうか」

 

チノ「まったくリゼさんは……どう聞いたらそうなるんですか」

 

リゼ(いや、どう聞いてもだよ)

 

 

ココア「ただいま~」ガチャッ

 

リゼ「ココア、やっと帰ってきてくれたか」

 

チノ「早く着替えてきてください」

 

ココア「えへへ、ごめんね。実は最近千夜ちゃんと寄り道するのが楽しくて」

 

チノ「!?」

 

リゼ「寄り道とか買い食いって楽しいもんな」

 

ココア「すぐに着替えてくるね~」タタタ

 

リゼ「やれやれ、学校帰りに千夜と遊んでたのか。これで疑問も晴れたな、問題解決だ」

 

チノ「……いえ、なにも解決してません」

 

リゼ「えっ?」

 

 

チノ「というわけで、ラビットハウス緊急ミーティングを始めます」

 

リゼ(なんでこんなことに)

 

チノ「議題はココアさんと千夜さんについてです」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「きっと千夜さんはココアさんをラビットハウスから引き抜くつもりです」

 

リゼ「……いや、考えすぎだろ?」

 

チノ「ちゃんと証拠も挙がってます。ココアさんの帰宅時間が4時半を過ぎるようになったのはちょうど1週間前からです」

 

チノ「それまでは早ければ3時48分、平均で4時3分、遅くとも4時20分までにはきちんと帰宅していました」

 

リゼ「そんな細かくデータ取ってるのか!?」

 

チノ「妹――ではなく、一緒に住んでいる者として下宿人の生活を記録するのは当然です」

 

リゼ「当然でもないし今自分で妹って言ったよな?」

 

チノ「聞き間違いです、話しを続けますよ」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「以上の事から、千夜さんがココアさんを狙っているという可能性は充分考えられます」

 

リゼ「結論が一気に飛躍しすぎだろ」

 

チノ「毎日逢瀬を重ねることでココアさんの心を徐々に蝕んでいく作戦ですね」

 

リゼ「どこでそんな言葉覚えたんだ!?」

 

チノ「ともかく、今後は門限を作ってココアさんにはきちっと帰っていただきます」

 

リゼ「門限て……ちなみに何時までだ?」

 

チノ「4時半です」

 

リゼ「小学生の門限か!それじゃあ平日は何もできないだろ」

 

チノ「それでいいんです、ココアさんはアウトドア過ぎます。たまには私と一緒に部屋で遊んでほしいです」

 

リゼ「ところどころ本音がだだ漏れだぞ」

 

チノ「さっそく明日から実施しましょう」

 

リゼ「はぁ…………チノ?要はココアが千夜と寄り道せずにまっすぐ帰って来ればいいんだろ?」

 

チノ「そうです、しかしココアさんに言っても聞くはずありません」

 

リゼ(チノがお願いすれば何でも聞いてくれると思うが……)

 

リゼ「私が言っておいてやる、だから門限を作るのは明日まで待ってやってくれ」

 

チノ「リゼさん…………わかりました。ココアさんにとって明日はラストチャンスです」

 

リゼ(やれやれ、ココアも大変だな)

 

 

―――――――――――――――――――――

 

チノ「♪~♪♪」

 

リゼ「えらくご機嫌だな」

 

チノ「最近ココアさんが寄り道せず帰って来てくれるようになりました」

 

チノ「わたしの部屋に遊びに来たり、前以上にスキンシップが増えてます」

 

リゼ「そうか、よかったな」

 

チノ「わたしとしてはどうでもいいのですが、ココアさんがベタベタしてくる以上拒むのも変な話しなので」

 

リゼ(すごいにやけてる)

 

チノ「リゼさん、ありがとうございます。きついお灸をすえてくれたんですね」

 

リゼ(チノが寂しそうにしてるって教えただけだけどな)

 

ココア「チノちゃんリゼちゃん、おはよう。今日も一日がんばろうね」フンス

 

ココア「まずは景気づけに、チノちゃんモフモフ~」ギュッ

 

チノ「んにぅ……ココアさん、仕事中ですよ//」

 

リゼ「まぁ良いじゃないか、お客さんもいないことだし」

 

ココア「もふもふ、もふもふ」

 

チノ「………………♪//」

 

 

シャロ「こんにちは」

 

ココア「シャロちゃん!」パッ

 

チノ「あっ…………」

 

リゼ「一人で来るなんて珍しいな」

 

シャロ「時間が空いたので……えっと、ホットミルクお願いします」

 

ココア「了解だよ!」テキパキ

 

チノ「……………………」

 

リゼ「チノ、ホットミルク――って、どうしたんだそんな顔して?」

 

チノ「いえ…………」

 

リゼ(明らかに落ち込んでる……)

 

チノ「……できました、ココアさんお願いします」

 

ココア「シャロちゃん、おまたせ~」

 

シャロ「ありがとう」

 

シャロ「――んっ、甘くておいしいわ」

 

ココア「ホットミルクって甘いんだ?」

 

シャロ「飲んだことないの?しょうがないわね」スッ

 

ココア「わぁ、シャロちゃんありがとう。んっ……」ゴクッ

 

チノ「!?」

 

ココア「ほんとだ、甘くておいしいね♪」

 

シャロ「隠し味に少しお砂糖が入ってるのかしら?」

 

リゼ「確か粉砂糖を少し――」

 

チノ「……………………」

 

 

チノ「というわけで、第二回ラビットハウス緊急ミーティングを始めます」

 

リゼ「なぜ!?というか毎回出席者が私とチノだけだぞ?」

 

チノ「議題はココアさんとシャロさんについてです」

 

リゼ「今日何かあったか?」

 

チノ「シャロさんの飲んだミルクをココアさんが飲んでいました」

 

チノ「普段私がカフェオレを飲んでいても欲しがらないのになぜ……」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「どうしてシャロさんの飲んだミルクを……」

 

リゼ「いや、ただホットミルクを飲んだことないから飲みたかっただけじゃないか?」

 

チノ「……まさか、シャロさんはそれを狙って……!」

 

リゼ「考え過ぎだ。そもそもどうしてシャロがそんなこと知ってるんだ」

 

チノ「千夜さんから事前に情報を入手していればこの犯行は充分可能です」

 

リゼ「……なぁ、チノ?そんなに嫉妬しなくても、ココアは一番お前のことが――」

 

チノ「嫉妬なんかじゃありません!」ダン!

 

リゼ「わっ!」

 

チノ「私はただココアさんに嫌われているのではないかという疑念を晴らしたいだけです」

 

リゼ「……つまり、嫉妬というより不安か?」

 

チノ「不安なんかじゃないです、そもそもココアさんが私をどう思っていようとどうでもいいことです」

 

リゼ「この前ココアがチノのこと好きって言ってたぞ」

 

チノ「ほんとうですか!//……はっ!」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「こほん、とにかくココアさんがわたしのことを嫌いだろうと別に構いませんが、共に生活をしている以上険悪な関係は避けたいんです」

 

リゼ「じゃあ二人きりで温泉プールにでも行ってきたらどうだ?」

 

チノ「いい考えですが、きっかけがあるかどうか」

 

リゼ「いや……誘えばいいだろ?」

 

チノ「それではココアさんへの疑念は晴れません」

 

リゼ「……………………」

 

チノ「……………………」ジー

 

リゼ「……わかった、何とかしてやるよ」ハァ

 

チノ「ありがとうございます、ココアさんのためにもぜひお願いします」

 

リゼ「ココアのためか」

 

チノ「はい、ココアさんのためです」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

ココア「――それでね、チノちゃんと泳ぎの練習したんだ」

 

チノ「どうしてもというので仕方なくです」

 

リゼ(すごい嬉しそうだ)

 

ココア「リゼちゃんも一緒に来れば良かったのに」

 

リゼ「ちょっと用事があってな、次は行くよ」

 

ココア「えへへ、約束だよ~」スッ

 

チノ「!?」

 

ココア「ゆ~びき~りげ~んまん♪」

 

リゼ「おいおい、こんなことしなくても」クスッ

 

ココア「今度は絶対一緒に行こうね」

 

リゼ「ああ、約束だ」

 

チノ「……………………」

 

 

チノ「というわけで、第三回ラビットハウス緊急ミーティングを始めます」

 

チノ「議題はココアさんとリゼさんについてです」

 

リゼ「本人目の前にして議論することか!?」

 

チノ「今日ココアさんとリゼさんが手を繋いでいました」

 

リゼ「手って……あれはただの指切りだろ」

 

チノ「指まで絡めてました」

 

リゼ「小指絡めないと成立しないだろう!?」

 

チノ「私ですらココアさんと手を繋ぐなんて時々なのに……まったくリゼさんは」

 

リゼ「わたしが悪いのか、これ」

 

チノ「これでわかりました、リゼさんもココアさんを狙ってるに違いありません」

 

リゼ「とんだ言いがかりだ!」

 

チノ「なら私の疑念を早く晴らしてください」

 

リゼ「いや……晴らすといってもどうやって?」

 

チノ「ココアさんと私が手を繋げば解決です」

 

リゼ「……それチノが繋ぎたいだけじゃないか?」

 

チノ「違います、リゼさんのためです」

 

リゼ「そうか、私のためか」

 

チノ「はい」

 

リゼ(はぁ……疲れる…………)

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

チノ「ココアさん、そろそろ離してください//」

 

ココア「お客さんが来るまでいいでしょ?だってチノちゃんの手柔らかいんだもん」ギュッ

 

チノ「し、仕方ないですね……//」ギュッ

 

リゼ(チノの方が強く握ってないか、あれ……)

 

ココア「もう我慢できない~!チノちゃんもふもふ♪」ギュッ

 

チノ「きゃっ!……まったく//」

 

チノ「ココアさんは、本当にしょうがないココアさんです♪//」

 

――おしまい

感想

  1. 匿名 より:

    このシリーズ面白いねw

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ご支援ありがとうございます♪
      私自身もチノちゃんたちの姿を楽しんで書かせて頂いてます

  2. 匿名 より:

    チノちゃんの嫉妬深いとこホント好きw

  3. Beyond the Average より:

    チノの嫉妬、なんだか猫の嫉妬に似てますね~。
    リゼは先輩として苦労してるんだな~と思えるお話でした!
    シャロが『リゼ先輩頑張ってください…!』とか言ってそうですね。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      チノちゃん嫉妬シリーズ、通称『めんどくさいチノちゃんシリーズ』、お楽しみいただけたようでなによりです。
      毎回リゼちゃんには頑張ってもらってます、どのシリーズにもレギュラー出演なリゼちゃんは確かに苦労が絶えないですね;

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