ごちうさSS ここあ「リゼちゃんの二律背反」

 

――

――――

――――――

 

 

――甘兎庵――

 

 

ここあ「あまくて、でもちゃんと『かれー』のあじがして、すごくおいしいの」

 

ユラ「懐かしいな~わたしも小さい頃よくごちそうしてもらったよ~」

 

ユラ「リゼは昔から有能だったからね~」

 

ここあ「ゆうのう?」

 

千夜「リゼちゃんの軍隊カレーですか?」コトッ

 

ユラ「あれってそういうネーミングだったんだ~?」

 

ここあ「ちやちゃんもたべたことある?」

 

千夜「ええ、すごくおいしかったわ」ニコッ

 

ユラ「ユラちゃん小さい頃にあれを食べた時、大人になったらリゼと結婚しようと思ったほど~」

 

ここあ「ゆらちゃんもりぜちゃんとけっこん?なら3にんいっしょだね♪」

 

千夜「」

 

ユラ「……ん~?」

 

ここあ「りぜちゃんがね、このまえわたしとけっこんしてくれるって――」

 

千夜「リゼちゃんっ!?」

 

ユラ「家族としてって意味だよね~信じてるよ~リゼ~……」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――夜 リゼの部屋――

 

 

リゼ「よっと」ヒョイ

 

リゼ「今日は外で遊んでたのか?」

 

ここあ「うん!ゆらちゃんといっしょに『あまうさあん』にいったよ」

 

リゼ「あいつか、変なことされなかっただろうな?」←いつもしている人

 

ここあ「りぜちゃんのこと、ちやちゃんと3にんでたくさんおはなししたの」

 

リゼ「わたしのこと?」

 

ここあ「りぜちゃんのつくってくれたかれーらいす、みんなおいしいっていってた」

 

ここあ「ぐんたいかれーっていうんでしょ?」

 

リゼ「千夜に聞いたのか。ああ、辛口と甘口があるんだ」

 

ここあ「あの『かれー』またたべたい。つくってくれる?」

 

リゼ「当たり前だろう、ここあが食べたいなら毎日でも作ってやるぞ」ギュッ

 

ここあ「んっ……//

 

リゼ「明日の夕飯はカレーにしよう、楽しみにしててくれ」

 

ここあ「ほんと?ありがとうりぜちゃん//」ニヘラ

 

リゼ「ふふっ、ここあはかわいいなぁ//」スリスリ

 

ここあ「あとね、このまえのおはなしもしたよ~」

 

リゼ「?」

 

ここあ「りぜちゃんとけっこんするって、ゆびきりしたこと」ニコッ

 

リゼ「」

 

ここあ「ちやちゃんとゆらちゃんがびっくりしてた」

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………」

 

リゼ「……」

 

リゼ「」ダラダラ

 

ここあ「りぜちゃん、あせかいてる?だっこしてるからおもい?」

 

 

Prrrrrrrrrrr――

 

 

リゼ「!」ビクッ

 

ここあ「あっ、けいたいなってるよ」

 

リゼ「さて、わたしはお手洗いに行って来る!代わりに出ておいてくれ」

 

 

ガチャッ バタン!

 

 

ここあ「?」

 

ここあ「えっと……これ」ピッ

 

ここあ「もしもし?」

 

チノ「もしもし?ここあさんですか?」

 

ここあ「あ!ちのちゃん!」

 

チノ「リゼさんは?」

 

ここあ「りぜちゃんは『といれ』にいってるの」

 

チノ「そうですか、ちょうど良かったです」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

チノ「ここあさん、今度の料理作りですが」

 

チノ「――二人でシチューを作りませんか?」

 

ここあ「!」

 

チノ「簡単な手料理なのに、よく考えたらまだシチューは一度も作ってないですよね」

 

ここあ「しちゅー……」

 

チノ「ここあさん?」

 

ここあ「ちのちゃん、しちゅーってわたしでもつくれる?」

 

チノ「はい、今のここあさんなら作れますよ」

 

チノ「二人で特製のシチューを作りましょう」

 

ここあ「……!」パアァ

 

ここあ「うんっ!つくりたい!」ピョンピョン

 

チノ「ではいつ頃がいいですか?」

 

ここあ「あしたはだめ?」

 

チノ「明日ですか?学校なのでお昼過ぎになりますが」

 

ここあ「りぜちゃんに『ばんごはん』でたべてもらうの」

 

チノ「なるほど、それならちょうどいいですね」

 

チノ「ではあした、5時頃にラビットハウスで待ってます」

 

チノ「遅れてもいいですので、事故に遭わないようにゆっくり来てください」

 

ここあ「ありがとう ちのちゃん」

 

 

 

――ピッ

 

ここあ(りぜちゃん――まってて)ニヘラ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――翌日 早朝――

 

 

リゼ「本当にいいのか?」

 

ここあ「こんやはわたしがつくるの」

 

リゼ「わかった。それじゃあここあの手料理、楽しみにしてるぞ」

 

リゼ「行ってきます」フリフリ

 

ここあ「いってらっしゃい!」

 

使用人「お気をつけて」ペコリ

 

 

使用人「今日の夕飯は小さいお嬢が?」

 

ここあ「うん!ちのちゃんとつくってくるからまってて」

 

使用人「そうですかい。ちなみにメニューは?」

 

ここあ「しちゅーだよ」エッヘン

 

使用人「シチューですか。お嬢含め、我々も楽しみにしています」

 

使用人「ですがくれぐれも怪我だけはされないように」

 

ここあ「わたしにまかせなさーい♪」

 

使用人「フッ……」ナデナデ

 

ここあ「ゆうしゃさんは いまからそうじ?」

 

使用人「いえ、まずは武器庫の整理ですね」

 

ここあ「わたし、さいえんのやさいにみずをあげてくるね」

 

使用人「お昼過ぎからお出かけでしょう、お休みになられたほうが」

 

ここあ「だいじょうぶだよ~」タタタ

 

使用人「あっ…………」

 

使用人「」ピッ

 

使用人「もしもし、誰か手が空いていますか?」

 

使用人「小さいお嬢が菜園で水やりを、サポートおねがいします」

 

使用人「――ええ、怪我でもしたらお嬢がどうなるやら……」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――PM4:32 スーパー店前――

 

 

チノ(にんじんとじゃがいも、あとは玉ねぎと――)

 

チノ(20人分くらいだからなるべく多めに)

 

??「あの」

 

チノ「?」

 

使用人「良かった、やはりここでしたか」

 

チノ「あ、使用人さん……えっと、その荷物は?」

 

使用人「小さいお嬢とシチューをお作りになると伺って、材料をお渡ししようと」

 

使用人「このくらいで足りますか?」ガサッ

 

チノ(多すぎます……!)

 

使用人「ラビットハウスまで運びます、行きましょう」

 

チノ「いつもすいません」ペコリ

 

使用人「こちらこそいつもお嬢二人がお世話になって」ペコリ

 

チノ「いえ、リゼさんとここあさんには助けてもらってばかりです」アセアセ

 

使用人「ははっ、どうも」

 

 

 

チノ「…………」テクテク

 

使用人「…………」テクテク

 

チノ「……」

 

使用人「……」

 

チノ「……あ、あの」

 

使用人「あの」

 

チノ「あっ、な、なんでしょうか?」

 

使用人「いえ、そちらがお先に」

 

チノ「え、えっと……」

 

使用人「…………」

 

チノ「電話番号、交換していた方が便利かと思いまして」

 

使用人「!」

 

使用人「……なるほど」

 

チノ「…………」

 

使用人「」スッ メモ

 

チノ「え?」

 

使用人「あっしも、同じことを言うつもりでした……」ハハッ

 

チノ「……!」

 

使用人「ご提案頂き、感謝します」

 

チノ「はい」ニコッ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――ラビットハウス PM5:04――

 

 

チノ「ではここあさん、一緒に特製シチューを作りましょう」

 

ここあ「いえっさー!」ピョン

 

チノ「作る量が多いので、今日はこのお鍋を使います」

 

ここあ「おっきななべだね」

 

チノ「基本はこの前一緒に作ったカレーと一緒です」

 

チノ「野菜やお肉はフライパンで火を通してから鍋へ」

 

ここあ「なべにうつしたら『あく』ぬきだよね?」

 

チノ「よく覚えていましたね、正解です」ナデナデ

 

ここあ「んっ……♪」

 

チノ「同じ手順でカレールーの代わりにホワイトソースを入れるだけです。後は隠し味に、バターや白ワインを入れるともっとおいしくなりますよ」

 

チノ「ではここあさんはフライパンの用意をして油をひいておいてください」

 

チノ「わたしがカットした野菜を入れていきますので、焦げないように均等に炒めてくださいね」

 

ここあ「ふらいぱんだね!まかせて!」

 

ティッピー(刃物を一切使わせずに、ここあが手伝えるように、か。チノも慣れたもんじゃな)

 

チノ「量が多いのでいつもよりも大変ですよ。大丈夫ですか?」

 

ここあ「うん!」

 

ここあ「ちのちゃんとわたしの『しちゅー』――りぜちゃんたちにたくさんたべてもらうの//

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――学校 吹き矢部部室――

 

 

シャロ「フッ!

 

ユラ「また負けちゃった~」

 

シャロ「修行が足りませんね、吹き矢部長」フフン

 

ユラ「相変わらず上手だね~」

 

シャロ「もう5時過ぎ……リゼ先輩、わたしがここにいるの分かるでしょうか?」

 

ユラ「ふふ~心配ないさ~」

 

 

――ガラッ

 

 

リゼ「シャロ、待たせたな」

 

シャロ「リゼ先輩……!」

 

ユラ「リゼ~どうだった~?」

 

リゼ「ああ、完璧だ」

 

シャロ「?」

 

ユラ「シャロちゃん、ちょっと動かないでね~」スカート スッ

 

シャロ「ぅえ!?ちょ、吹き矢部長……!//

 

ユラ「じゃーん、この米粒みたいなのなんだと思う~?」

 

シャロ「スカートの中に……?ゴミですか?」

 

ユラ「ぶぶ~、正解は発信機~」

 

シャロ「」

 

ユラ「お昼に3人で昼食食べた時にこっそり付けさせてもらってたんだ~」

 

リゼ「すまないなシャロ、これもここあのためだ。許してくれ」

 

ユラ「思ったよりも精度いいみたいだね~」

 

リゼ「ああ、ありがとう」

 

ユラ「いいのさ~リゼの頼みだからね~」

 

ユラ「その代わり今度またお泊りさせてよ~」

 

リゼ「お安い御用だ」

 

シャロ「……………………」

 

シャロ「あの……リゼ先輩?」

 

リゼ「んっ?」

 

シャロ「その発信機、まさかここあに仕掛けるつもりですか?」

 

リゼ「もちろんだ、防犯のためにな」

 

ユラ「本音は離れ離れでもここあちゃんの行動を把握できるようにって~」

 

リゼ「毎朝こっそりここあの服に仕掛けておけば安心――」

 

シャロ「没収ですっ!!」バッ

 

リゼ「!?」

 

ユラ「取られちゃった~」

 

シャロ「防犯のためでしたらブザーを持たせてあげてくださいっ!吹き矢部長までなに協力してるんですか!?」

 

ユラ「ごめんね~ユラ先輩リゼの頼み事は断れなくて~」

 

リゼ「違うんだシャロ、これはあくまでここあのためを思ってだな」アセアセ

 

シャロ「……リゼ先輩も吹き矢部長も、全然反省が足りませんね」ニコ

 

リゼ「ひっ!」ビクッ

 

ユラ「シャロちゃんから怖いオーラが~……」

 

 

シャロ「そこに座ってくださいっ!」

 

 

―――――――――――――――――

 

 

ここあ「んっ……!」グツグツ

 

チノ「ここあさん、もう少し火を弱めに」

 

ここあ「これくらい?」

 

チノ「はい、そのままゆっくり混ぜてください」

 

ここあ「んっしょ……!」グツグツ

 

チノ「重たいですか?」

 

ここあ「だいじょーぶ!」

 

ここあ「ん……!」

 

チノ「………………」

 

 

――スッ

 

 

ここあ「ふぉぇ……?ちのちゃん?」

 

チノ「二人で一緒にかき混ぜましょう」

 

ここあ「でも、やさいは?」

 

チノ「あとはブロッコリーを入れるだけです、心配いりません」

 

チノ「ここあさんの腕……震えてますね。辛いですか?」

 

ここあ「ううん、まだがんばれるよ!」

 

ここあ「だからさいごまでいっしょにしていい?」

 

チノ「はい、もちろんです」

 

 

チノ「――お姉ちゃんと一緒に、頑張りましょう」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――夜 甘兎庵 玄関前――

 

 

千夜「あっ、シャロちゃん。おかえりなさい」

 

シャロ「ただいま~……」フラフラ

 

千夜「アルバイトお休みなのに遅かったわね」

 

シャロ「気が付いたらこんな時間になってて」

 

千夜「帰りにユラ先輩やリゼちゃんと遊んでたの?シャロちゃんにお友達が増えて嬉しいわ」

 

シャロ「そんな呑気なものじゃないわよ……」ハァ

 

シャロ「吹き矢部長がリゼ先輩の幼馴染な理由、なんとなくわかってきたわ……」

 

千夜「ユラ先輩ノリが良くて素敵よね。今度二人でシャロちゃんの家に突撃でもかけようかしら」

 

シャロ「これ以上手間を増やすなぁ!あと家バレするからやめてよ!」

 

千夜「ユラ先輩もリゼちゃんと一緒で何も言わないと思うけど?」

 

シャロ「うっ……そうかもしれないけど」

 

千夜(甘兎庵のすぐ隣だなんて知ったら驚くかしら、なんだか懐かしいわ)クスッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――天々座家 PM6:58――

 

 

リゼ(すっかり遅くなってしまったな……)

 

リゼ(ご飯、先に食べてくれてるといいが)ガチャッ

 

リゼ「ただいま」

 

使用人「おかえりなさいませ」

 

リゼ「ここあは?」

 

使用人「ダイニングでお待ちかと思います」

 

リゼ「晩御飯はもう済ませたのか?」

 

使用人「はい、お先に頂きました」

 

リゼ「そうか……良かった」

 

使用人「小さいお嬢の手作りシチュー、おいしかったですよ」

 

リゼ「ああ、部屋で着替えたらすぐにいく」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――ダイニングルーム――

 

 

リゼ「ここあ、ただいま!」ガチャッ

 

 

ここあ「…………」Zzz

 

 

リゼ「ここあ……?」

 

ここあ「……すぅ…………」Zzz

 

リゼ(待ってる間に寝てしまったのか)

 

リゼ「……これか」

 

シチュー

 

リゼ「おいしそうだな、早速食べさせてもらうよ」

 

リゼ「部屋に戻って待っていればいいのに、まったくお前は」バサッ

 

ここあ「んっ……」Zzz

 

リゼ「こんなところで寝たら風邪ひくぞ」ナデナデ

 

ここあ「むにゃ……ぇへへ……」Zzz

 

リゼ「ありがとう、ここあ」スッ

 

 

――ホッペ チュッ

 

 

ここあ「ふぉぇ……?」

 

リゼ「あっ……」

 

ここあ「りぜちゃん……?」ポワーン

 

リゼ「た、ただいま、遅くなってごめんな」

 

ここあ「……――!」

 

ここあ「んっ……!」クシクシ

 

ここあ「おかえりなさい」ニコッ

 

リゼ「ずっと待っててくれたのか」

 

ここあ「うん!りぜちゃんのぶん、これだけしかのこってないけど……」

 

リゼ「そうか、みんなたくさん食べてくれたんだな」ナデナデ

 

ここあ「ごめんね?ちのちゃんといっぱいつくったのに」

 

リゼ「いいんだぞ、それだけここあのシチューがおいしかったってことだ」

 

リゼ「わたしも今から温めて食べるからな」

 

 

 

 

リゼ「いい匂いだ」パサッ

 

ここあ「すぷーんもってきたよー」

 

リゼ「おっ、気が利くな」

 

ここあ「だめ」フルフル

 

リゼ「?」

 

ここあ「わたしがたべさせてあげるの」ニコッ

 

リゼ「!」

 

ここあ「りぜちゃん、ここにすわって」

 

 

リゼ「…………」スッ

 

ここあ「ふぅ……ふぅ……」フー

 

リゼ「……//

 

ここあ「はい、あーん♪」

 

リゼ「あーん……//」パクッ

 

ここあ「どう、おいしい?」

 

リゼ「……ああ」

 

リゼ「すごくおいしいぞ//」ニヘラ

 

ここあ「ほんと?よかったぁ//

 

ここあ「もっとたべて!つぎはにんじんがいい?それともじゃがいも?」

 

 

リゼ「そうだなぁ……」ヒョイ

 

 

ここあ「?」

 

リゼ「……ふふっ//」ギュッ

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

リゼ「ここあ、ありがとう……シチュー、上手に作れたな」

 

リゼ「いつもわたしが帰ってきたら、温かく迎えてくれるな……」

 

リゼ「お前は……本当に、優しいな……」ギュッ

 

ここあ「……?」

 

リゼ「幸せだ……幸せ過ぎて、怖いくらい……」

 

リゼ「もう、いつ死んでも何の未練も無いかもしれない……」

 

ここあ「しぬ……?りぜちゃん、どこかわるいの?」

 

リゼ「どこも悪くないぞ、平気だ」

 

ここあ「しんじゃいやだよ、ぜったい……」

 

リゼ「ああ、お前を置いてどこにもいったりしないぞ」

 

リゼ「……だから」

 

 

リゼ「お前も絶対……わたしから……っ」ギュッ

 

 

ここあ「んっ……」

 

リゼ「ここあ……好きだ、大好きだ」

 

リゼ「チノも千夜も、シャロも……マヤもメグも、ユラも、親父のことも、みんな……」

 

ここあ「わたしもみんなのことすき//

 

ここあ「りぜちゃんのこと、だいすきだよ//」ギュッ

 

リゼ「ありがとう……//」グスッ

 

リゼ「一生、側にいてくれよ……//」ジワッ

 

リゼ「ずっと、永遠に……っ//」ポロポロ

 

ここあ「うん――やくそく」チュッ

 

ここあ「だからりぜちゃん、なきやんで……?よしよし」ナデナデ

 

ここあ「しちゅー、ひえちゃうよ……?」

 

リゼ「ここあ……っ!」ギュッ

 

ここあ「いっしょにいるよ、だいじょーぶ」

 

 

 

ドアノスキマ

 

 

使用人「………………」

 

リゼ父「…………ふぅ」ハマキ

 

使用人「!」

 

リゼ父「今夜の夕食、うまかったな」

 

使用人「……ええ」

 

リゼ父「………………」

 

リゼ父「お前は、どうするんだ?」

 

使用人「……これからもお嬢とあの子の、望むとおりに」

 

リゼ父「……同じだな」プハー

 

使用人「………………」

 

リゼ父「地獄に落ちるかもしれんぞ」

 

使用人「何もしないで地獄を見るなら、何かしてから見る方がいいでしょう」

 

リゼ父「…………」ジュッ

 

使用人「もう、後悔はしません」

 

リゼ父「……リゼと小さいのとみんなのこと、これからも頼むぞ」

 

使用人「どこへ?」

 

リゼ父「ラビットハウスだ、深く考えるのは性に合わない」

 

使用人「いってらっしゃいませ、お気をつけて」ペコリ

 

 

――おしまい?

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

 

タカヒロ「………………」トクトク

 

リゼ父「………………」

 

タカヒロ「シチュー、味見したか?」

 

リゼ父「ああ、あまりにうまくて5杯も食べた」

 

タカヒロ「まったく遠慮が無いな」

 

リゼ父「またお前の娘に誘ってくれと伝えておいてくれ。あと、ありがとうもだ」

 

タカヒロ「覚えておこう」

 

リゼ父「………………」

 

タカヒロ「…………」

 

リゼ父「タカヒロ……お前も幸せそうだな」

 

タカヒロ「……ああ」フッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. Beyond the Average より:

    このSSをきっかけに二律背反について調べて、考えてみました。(ちゃんと受験勉強もしてるからご安心を!)
    つまり、リゼはここあとの幸せな生活は永遠だが限界がある(終わりがある)という矛盾に苦悩しているのですね?
    今回はどのキャラクターもほほえま~だったのですが、私はティッピーがおじいちゃん目線で温かく言ってた、チノの成長を褒めるセリフが良かったです!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      リゼちゃんの二律背反……それはここあちゃんとの幸せ、そしてココアちゃんに対する罪悪感、そのすべてをかけております。
      Beyondさんが発見してくださったこともそのひとつですね。

      今回はみんな平等に活躍の場面がありましたが、MVPはまさかのティッピーでしたか。
      チノちゃんもだんだんとお姉ちゃんは板に付いてきましたね、今後も活躍にも期待です。

      (Beyondさん、お誕生日メッセージありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。あなたから頂いたお手紙、大切に保存させて頂きますね。いつもありがとうございます)

  2. サブリミナル2世 より:

    終わり方が妙に意味深な…電話に向かった時に何か言われたのかな…?
    あのラストを見ると、わざわざ盗聴器のテストをしていたのにも何か他に理由が…?(当初はシャロちゃんが保護者モードになった!と感じただけなのですが)
    ここあちゃん、ちゃんとチノお姉ちゃんと2人でシチュー作れてよかった♪と思いましたが… …続編があるのでしたら期待ですっ!お疲れ様でした!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      恐らくミーさんでしょうか?
      ここあちゃんシリーズは微笑ましい日常を描く作風とは裏腹に、実は意味深な伏線をいくつも含んでおります。
      ミーさんのように深く考察すればするほど、その全貌が明るみになっていくのかもしれませんね。

      このシリーズはまだまだ続きますよ、ミーさんもぜひ最後まで付いて来てください。
      そして、最後に明かされるここあちゃんシリーズの真実をリゼちゃんたちと共に……。

      • みー より:

        おふざけが過ぎました。はい、みーです。…ひょっとして文章でしか判断が出来ない仕組みなのですか…?
        …そして、真実とは…本当に嫌な予感しかしませんね!
        最後まで見届けさせていただきますっ!

  3. SS読むの大好き より:

    日に日に成長するここあちゃんが最高

    そして、OVAと3期とても楽しみー

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      次回作では更に成長しますよ、今後もここあちゃんを見守ってあげてくださいね。
      3期までこのシリーズを継続させてみせます!

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