ごちうさSS チノ「イヤですイヤです!仲間はずれにしちゃイヤです!」

 

――

――――

――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「ありがとうございましたー」

 

ガチャッ バタン

 

リゼ「ふぅ……」

 

リゼ(ココアは学校の用事があるから遅くなるって言ってたっけ)

 

リゼ「…………」チラッ

 

リゼ(もう5時か……チノ、まだ帰ってこないな)

 

リゼ(マヤやメグたちと寄り道でもしてるのか……――んっ?)

 

 

ガチャッ

 

 

リゼ「いらっしゃいませー」

 

チノ「……」トボトボ

 

リゼ「チノか、おかえり」

 

チノ「…………」トボトボ

 

リゼ「……?」

 

チノ「…………」フラフラ

 

リゼ「お、おい……大丈夫か?」

 

チノ「………………」

 

リゼ「……?」

 

チノ「うっ……」バタリ

 

リゼ「チノっ!?しっかりしろっ!」

 

チノ「…………」

 

リゼ「どうしたんだ!誰にやられた!?」

 

チノ「…………」グスッ

 

リゼ「チノ……?」

 

チノ「……っく……うぅ……」グスグス

 

チノ「終わりです……バッドエンドです」

 

チノ「絶望……終焉……極限の……」

 

チノ「お母さん、いますぐそちらに……」ポテッ

 

チノ「」チーン

 

リゼ「おいっ!?」

 

リゼ(良く分からないが、どうやら何か不幸なことがあったみたいだな)

 

リゼ「チノ……まずは話を聞かせてくれ」

 

チノ「…………」ピクッ

 

チノ「聞いて下さるんですか?」

 

リゼ「ああ、だから椅子に座って話そう」

 

リゼ(床に倒れていたらお客さんに迷惑がかかるしな)

 

チノ「……起こしてください」

 

リゼ「よっと……」グイッ

 

 

 

チノ「…………」

 

リゼ「なにがあったんだ?」

 

チノ「……マヤさんとメグさんです」

 

リゼ「あの二人?まさか学校で喧嘩でもしたのか?」

 

チノ「違います、今日もいつも通り3人で仲良く過ごしました」

 

チノ「事件が起こったのは放課後です――」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――教室――

 

 

マヤ「チノ、メグ、帰ろっ!」

 

チノ「ちょっと待ってください」

 

メグ「こうしてみんなで帰れるのもあと少しだね」

 

マヤ「チノだけ離れ離れかぁ……なんか複雑」

 

メグ「チノちゃん、一人で大丈夫?」

 

チノ「はい、千夜さんもココアさんもいますし」

 

チノ「それに――たとえ離れても、マヤさんとメグさんとはずっと友達ですから」ニコ

 

メグ「チノちゃん……」

 

マヤ「成長したなぁチノ、娘を自立させる父親の気分だよ」グスッ

 

メグ「わたしは母親かなぁ」グシグシ

 

チノ「友達って言った側から!?」

 

マヤ「」チラッ

 

メグ「♪」コクリ

 

マヤ「チノ、ちょっと待ってて」

 

メグ「すぐに戻るからね」

 

チノ「あっ、はい……」

 

ガラッ バタン

 

チノ「…………?」

 

 

 

チノ「………………」

 

チノ(トイレに行ったのかな……?)ガラッ

 

チノ「……マヤさん?メグさん?」

 

チノ「…………」テクテク

 

マヤ「それじゃあ、後でこっそり合流しよっ」

 

チノ「!」

 

チノ「……」ササッ

 

メグ「みんなで一緒に帰りたいもんね」

 

マヤ「チノの前で口滑らさないようにね、メグ?」

 

メグ「うん、気を付けるよ」

 

チノ「……?」

 

 

マヤ「じゃあ――チノには秘密で、二人で探しに行こう」

 

 

チノ「!?」ガーン

 

 

メグ「お揃いのもの、見つかるといいね」

 

 

チノ「!?」ガーン

 

 

チノ「……………………」

 

チノ「………………」

 

チノ「…………」

 

チノ「……」

 

チノ「」

 

チノ「…………」グスッ

 

チノ「っ……」ゴシゴシ

 

 

――タタッ……

 

 

マヤ「チノ、お待たせ―!」ガラッ

 

マヤ「あれ……チノ?」

 

メグ「チノちゃーん?」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

チノ「ということがありました」

 

リゼ「チノに秘密でお揃いのものを、か……」

 

チノ「二人にとって、わたしは3年間ただの邪魔な存在だったというのが証明されました」

 

リゼ「早計過ぎるだろ!?マヤとメグに限ってそんなことあるはずがない」

 

チノ「いいえ、きっとそうです」

 

チノ「マヤさんとメグさんも、わたしの知らないところでは――」

 

 

 

マヤ『チノってほんとめんどくさいよね~』

 

メグ『分かるよ~、いつもオドオドしてるし』

 

マヤ『これだけ仲良くなってもまだ敬語とかヤバくね?』

 

メグ『あともう少しでお別れだし、我慢しよう?』

 

マヤ『それもそうだね』キャハハ

 

 

 

チノ「ヴぇああああぁぁぁ!」

 

リゼ「被害妄想だ!というかなんだその脳内キャラ設定!?」

 

チノ「進学で離れ離れになって落ち込んでいたのはどうやらわたしだけだったようです……」

 

チノ「お母さん、この世に神はいませんでした……」バタリ

 

リゼ「倒れるな!?100%誤解だから大丈夫だって!」

 

チノ「しかし仲間外れにされたのは確かです、この真実はなんびとたりとて消せません」

 

リゼ「きっとなにか理由があるんだよ、こっそりサプライズとか」

 

チノ「わたしの誕生日は12月です、ありえません……っ」グスッ

 

リゼ「お、おい……」

 

チノ「うにゅ~マヤさんもメグさんもひどいですっ!」ジタバタ

 

チノ「イヤですイヤですっ!仲間はずれにしちゃイヤです!」バタバタ!

 

リゼ「床が壊れるっ!分かった、確かめてやるから落ち着けぇ!」

 

チノ「…………」ジワッ

 

リゼ「うっ……」

 

リゼ(思った以上に深く傷ついてるなこれは……)

 

チノ「………………」

 

チノ「」ムクリ

 

リゼ「!」ビクッ

 

チノ「いいです……わたしは高校なんて行きません」

 

リゼ「へっ?」

 

チノ「しあわせだった頃の思い出を終の住処に、残りの人生をまっとうします」

 

チノ「では……」タタタ

 

リゼ「チノっ!?待てって、おい!」

 

ガチャッ バタン

 

リゼ「………………」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――チノの部屋――

 

 

リゼ「チノ?」トントン

 

シーン……

 

リゼ「……?」ガチャッ

 

 

チノ「…………」フテネ

 

 

リゼ「………………」

 

リゼ「チノ……頼むから起きてくれよ」

 

リゼ「マヤとメグと話をするにしても、留守番がいないと出かけられない」

 

チノ「………………」

 

リゼ「おい、チノ」バサッ

 

リゼ「……!?」

 

チノ「…………」+オシャブリ

 

リゼ「」

 

リゼ「………………」

 

チノ「モゴモゴ……」

 

リゼ「えっと……どういうことだ?」

 

チノ「………………」

 

リゼ「とりあえずおしゃぶりはずすぞ」チュポ

 

チノ「ぷはぁ……わたしはもう赤ちゃんです、店番なんてできません」

 

リゼ「どうしてそうなったっ!?」

 

チノ「母との優しかった思い出に還るんです、もう現実になんて戻りません」

 

チノ「あとは願わくばココアさんにお世話してもらえれば完璧です」

 

リゼ「こんな姿見たら天国のお母さんが泣くぞ!いいから出てこいよ」グイッ

 

チノ「いやですっ、いやぁ……!」ブンブン

 

リゼ(うっ……なんだこの罪悪感は……)

 

チノ「むぅ~おしゃぶり返してください」

 

リゼ「ダメだ」

 

チノ「…………」

 

チノ「ひっく……うっ……」グスッグスッ

 

リゼ「泣くな~っ!わかった!ほら!」

 

チノ「」パアァ

 

チノ「はむっ……」

 

チノ「…………」ゴロン

 

チノ「」フテネ

 

リゼ「……はぁ」

 

リゼ(参ったな……ココアが帰ってくるまで待つか……)

 

 

ダレカー! チノー! チノチャーン!

 

 

リゼ「!」

 

リゼ「この声は……」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

リゼ「マヤ、メグ」

 

マヤ「あっ、リゼ!大変なんだよ!」

 

メグ「チノちゃんが行方不明になっちゃったよ~!」

 

リゼ「ちょうど良かった、すぐに来てくれ」

 

マヤ「えっ?」

 

リゼ「チノなら部屋にいる、誤解を解けるのはお前たちだけだ」

 

メグ「誤解?」

 

リゼ「」カクカクシカジカ

 

 

 

 

チノ「………………」

 

チノ(さっきの声、マヤさんとメグさんです……)

 

チノ(もしかして、わたしが何も言わず帰ってしまったのを心配して……?)

 

チノ(……違います、二人にとってわたしは邪魔ものです)

 

チノ(このままずっと引きこもり――)

 

マヤ「チノぉ!」ガチャッ!

 

チノ「!」

 

メグ「チノちゃん!」

 

マヤ「勘違いさせてごめんなぁ!」ギュッ

 

メグ「わたしたちチノちゃんのこと大好きだよぉ」ギュッ

 

チノ「マヤさん、メグさん……でも」

 

リゼ「今二人から話を聞いた、やっぱりチノの思い違いだ」

 

マヤ「高校になったらチノとは離れ離れになっちゃうからなにか三人の繋がりを残したくて」

 

メグ「それで、なにかお揃いのものを買おうってマヤちゃんとお昼休みに決めたんだよ」

 

 

リゼ「チノには二人でプレゼントしたくて秘密にしてたらしい」

 

チノ「……!」

 

マヤ「でもよく考えたら、チノだけ仲間外れにされたら嫌だよね……ごめん」

 

メグ「わたしたちのせいだよ、ごめんなさい……」

 

チノ「マヤさん、メグさん……」

 

リゼ「ほらな、チノ。マヤとメグに限ってそんなこと――」

 

 

チノ「わたしがマヤさんとメグさんのこと、疑う訳が無いです!」

 

 

リゼ「」

 

マヤ「え?」

 

メグ「チノちゃん……?」

 

チノ「リゼさんに協力してもらい、一芝居うってもらいました」

 

リゼ「いや……さっきわたしがサプライズだって言ったらありえないって――」

 

チノ「ごほっ!こほっ!」

 

メグ「チノちゃん!?」

 

マヤ「風邪?大丈夫か?」

 

チノ「はい……」

 

リゼ「………………」

 

チノ「お母さん、この世に神はいるのでしょうか」トオイメ

 

リゼ「………………」

 

チノ「」チラッチラッ

 

リゼ「……すまん、マヤ、メグ。さっきのは全て嘘だ、芝居だ」

 

メグ「えぇっ!?」

 

マヤ「びっくりさせないでよリゼ~!本当かと思ったじゃん!」

 

リゼ「ははは……」チラッ

 

チノ「♪」パアァ

 

チノ「お母さん、わたしは優しい先輩と友人に恵まれ幸せな毎日をおくっています。心配しないでください」

 

マヤ「とにかく、ごめんなチノ!いまからみんなで買いに行こう!」ギュッ

 

メグ「買うものは決まってるんだよ~兎のアクリルキーホルダー」

 

チノ「――はい//」ニコッ

 

チノ「リゼさん、これを」スッ

 

リゼ「なんだ?」

 

チノ「おしゃぶりです、預かっていてください」

 

チノ「過去を振り返るのはもう充分です」

 

チノ「今も、この先も、変わらずわたしのことを想ってくれている人たちのためにも」

 

チノ「わたしは、この現実と戦います」ゴゴゴ

 

メグ「チノちゃんから蒼いオーラが……!」

 

マヤ「チマメ隊は永久に不滅だーっ!!」

 

ガヤガヤ ワイワイ

 

リゼ(わたし完全に汚れ役だよな……)

 

ココア「ただいまー!あれ、マヤちゃんとメグちゃん?」

 

リゼ「ココア、おかえり。色々あってな」

 

ここあ「もしかしてお悩み?お姉ちゃんに任せて!」フンス

 

 

リゼ(かくして、チノの仲間外れ事件は無事大団円を迎えることができた……)

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――翌日――

 

 

ココア「リゼちゃん」

 

リゼ「んっ?」

 

ココア「――はい」スッ

 

リゼ「これは……」

 

ココア「ヘアアクセ。ほら、わたしとお揃いだよ」

 

ココア「シックなデザインだし、これならいいと思って」

 

リゼ「貰っていいのか?」

 

ココア「うん、リゼちゃんへのプレゼントだもん」

 

ココア「大学生になっても、わたしたちずっと一緒だよ」ニコッ

 

リゼ「ココア……」

 

ココア「このアクセ、みんなの分も買おうと思ったんだけど……2つしか売ってなくて」

 

ココア「だからチノちゃんには秘密にしてて?」シーッ

 

リゼ「ああ、わかった」

 

ここあ「その代わり、チノちゃんにはとっておきのプレゼントが――」

 

ガチャッ!

 

リゼ「!?」

 

チノ「………………」

 

リゼ「チノっ!?まさか、今の話し……!」

 

チノ「わたしには内緒……秘密……」

 

リゼ「よりによってそこだけ!?」

 

ココア「違うんだよ!ほら、チノちゃんにはちゃんと超難易度アンティークジグソーパズルを――」

 

チノ「…………」プクー!

 

リゼ「チノ、落ち着け……!」

 

チノ「」サッ

 

リゼ「新品のおしゃぶり!?」

 

チノ「終わりです……絶望です……母との記憶に再びダイブです……」タタタ!

 

リゼ「チノ!待ってくれ!話を聞いてくれぇ!」

 

ココア「チ゛ノちゃんっ!?」

 

 

この後、おしゃぶりを付けて引きこもるチノちゃんをココアちゃんが懸命にナデナデしたことで、無事現実に還ってくることができたそうです……。

 

 

――おしまい♪

感想

  1. ラビットタンク より:

    もう面倒くさいを通り越して、可愛すぎる………。プンプン(●`ε´●)しながらおしゃぶりしてるチノちゃん想像するとココアちゃんも鼻血案件じゃないですか?笑
    いや、ココアちゃんはピュアだから俺みたいな下心は無く真面目に向き合うでしょうね………。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      『めんどくさい』を『可愛い』に変えてしまう本シリーズのチノちゃんは凄すぎます……。
      これからもたくさんの人に愛されて欲しいです。

  2. 匿名 より:

    チノちゃん嫉妬シリーズ5ヶ月ぶりですね、今後も嫉妬シリーズにて床板バンなどもパワーアップしそうですね、

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      150日ぶりに帰ってきためんどくさチノちゃん、お楽しみいただけたようでなによりです。
      次回作ではどんな可愛い--もとい、めんどくさいパワーアップを遂げるのでしょうか。乞うご期待ください。

  3. Beyond the Average より:

    チノの早とちりはまだ幼さを感じますね(でもかわいいから許す!)
    チノの妄想のマヤとメグはきれいに脳内再生できてしまって笑ってしまいました(笑)。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      本シリーズのチノちゃんは回を重ねるごとに精神年齢が幼くなっているような気が……;

  4. ほのうみ より:

    お久し振りのチノちゃん嫉妬シリーズ。

    今回もかなり面白かったです。

    最高です。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      本シリーズのめんどくさチノちゃんはほのうみさん含めたくさんの人に愛されて幸せです。

  5. みー より:

    お久しぶりのチノちゃん嫉妬シリーズですか! この理不尽なまでの意地っ張りよう…そして極端に寂しがりやなところ、懐かしい感じがします♪
    振り回されっぱなしのリゼさんも愛おしい♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      古参さんのみーさんがみーさんとして、遂に御光臨された……!真名、みーさん!
      約5か月間も本シリーズの更新が音沙汰無しでした、理不尽チノちゃんもさぞお怒りのことでしょう。
      そして相も変わらず振り回される、もとい、チノちゃんに付き合ってあげる優しいリゼちゃん。
      わたしも執筆者ながら、毎度ほほえま~となっております。

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