ごちうさSS 千夜「ヤキモチここあちゃん」

 

――

――――

――――――

 

 

――PM 6:22 天々座家――

 

 

リゼ「ただいま」ガチャッ

 

使用人「おかえりなさいませ」

 

リゼ「ふぅ……」

 

ここあ「りぜちゃん!」タタタ

 

リゼ「ここあ、あんまり走ったら転ぶぞ~」

 

ここあ「んっ」ギュッ

 

リゼ「おっと……」

 

ここあ「おかえりなさい//」ニヘラ

 

リゼ「ただいま、いい子にしてたか?」

 

ここあ「うん!」

 

リゼ「偉いぞ、遅くなってごめんな」ナデナデ

 

リゼ「学校の用事だから連れて行ってあげられなくて」

 

ここあ「あしたはおやすみ?」

 

リゼ「ああ、でも千夜のところに用事があるから、ここあはチノと一緒に遊んでてくれないか?」

 

ここあ「らびっとはうすでおるすばん?わかった」ニコッ

 

リゼ「ありがとう、いい子だな」ギュッ

 

ここあ「ん……//

 

使用人「お嬢、ダイニングルームに夕食が用意してありますので」

 

ここあ「わたしもいっしょにつくったんだよ、はむえっぐ♪」

 

リゼ「楽しみだ、ここあの料理はおいしいからな」ヒョイ

 

リゼ「着替え終わったらご飯にしよう」

 

ここあ「うん!//

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――PM10:11 リゼの部屋――

 

 

ここあ「ぅゅ…………」ウトウト

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

ここあ「…………ぅ」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

ここあ「……すぅ…………」Zzz

 

リゼ「…………」ピタッ

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ(……眠ったか)

 

リゼ「…………」バサッ

 

ここあ「ふぇ…………」Zzz

 

リゼ「おやすみ、ここあ」クスッ

 

リゼ(……さて)

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

――客室――

 

 

リゼ「…………」カキカキ

 

使用人「お嬢、てんぢくはインドです」

 

リゼ「あっ……すまない、助かった」ゴシゴシ

 

使用人「いえ、大変ですね」

 

リゼ「ここあと遊ぶためならどうってことない」

 

使用人「明日は勉強会ですか」

 

リゼ「千夜が分からないところがあるらしい」

 

リゼ「ついでに課題も終わらせられるし、ちょうど良かった」

 

使用人「明後日はまた部活のお手伝いですね」

 

リゼ「ああ、この4日間は忙しくなりそうだ」

 

使用人「夏休みなのにせわしない」

 

リゼ「最近はみんなで遊んでたからな、後のためにも我慢だ」

 

使用人「小さいお嬢、寂しがらないといいんですが」

 

リゼ「チノやみんながいるし、大丈夫だろう」

 

 

――

――――

――――――

 

――――――――――――――――――

 

 

 

――翌日 ラビットハウス チノの部屋――

 

 

チノ「千夜さんのところに用事ですか」

 

ここあ「ちやちゃんとふたりでおべんきょうするんだって」

 

メグ「夏休みももう半分だもんね、課題終わらせないと」

 

マヤ「えーっ、もう半分!?」

 

メグ「マヤちゃん、もしかしてまだ真っ白?」

 

チノ「でも、マヤさんはやる気になればすぐに終わらせられるから羨ましいです」

 

マヤ「ふふーん、わたしの集中力は一般人とはレベルが違うからね」

 

ここあ「まやちゃん、れべる100なの?」

 

マヤ「ここあには特別に説明してあげよう」

 

マヤ「普通はこうやって徐々に伸びて行って、集中力MAXに達してから落ちていくんだよ」

 

マヤ「わたしの場合は初めからMAXレベル!そして飽きるといきなりゼロ!」

 

ここあ「すごい!」キャッキャッ

 

チノ「まるで人力飛行機です……」

 

メグ「でも間違ってないかもぉ」

 

マヤ「そうだ、4人で甘兎庵に偵察に行かない?」

 

チノ「偵察?」

 

マヤ「千夜とリゼが真面目に勉強してるかだよ、もしかしたらこっそり二人で遊びに行ってるかも」

 

ここあ「……!」

 

メグ「ま、マヤちゃん……!」

 

マヤ「あっ……ご、ごめんここあ、冗談だから」アセアセ

 

チノ「大丈夫ですここあさん、リゼさんは嘘なんてつきませんよ」ナデナデ

 

チノ「ここあさんのこと、放っておいたりしませんから」

 

メグ「チノちゃんの言う通りだよ、心配ならみんなで見にいこっか」

 

マヤ「よし、ステルスミッション開始だ!」

 

チノ「ここあさん?」

 

ここあ「うん……!」

 

ここあ「りぜちゃんのこと、みにいきたい」

 

メグ「確認すれば安心だもんね」

 

チノ(図書館に行ってたらどうしよう……大丈夫かな……)オロオロ

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――千夜の部屋――

 

 

千夜「リゼちゃん、ここは小数点が消えるのかしら?」

 

リゼ「どれ……」

 

リゼ「違うぞ、右に一つ動くだけだ」

 

千夜「こっち側に動くのね、知らずにやってたわ」

 

リゼ「左に動いたら小さくなるだろ」

 

千夜「そうなの?」キョトン

 

リゼ「千夜……大丈夫かほんとに」

 

千夜「リゼちゃんがいればなんとかなるわ」ニコッ

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

メグ「外からだと見えないね……」

 

チノ「うっかりしていました……」

 

ここあ「りぜちゃんたちにあいにいかない?」

 

チノ「邪魔しては悪いので、こっそり確認だけしましょう」

 

メグ「あっ、マヤちゃんが戻ってきたよ」

 

マヤ「千夜のおばあちゃんから聞いてきたよ、二人とも部屋で勉強してるってさ」

 

チノ「そうでしたか」ホッ

 

メグ「リゼさんたち、頑張ってるんだね」

 

マヤ「負けずにわたしたちも思う存分遊ぼう!」

 

チノ「勉強はしないんですか……」

 

メグ「せっかくだしお外で遊ぼっか」

 

ここあ「………………」

 

チノ「……?ここあさん?」

 

ここあ「あ……! うん!」

 

マヤ「どうする?シストの地図でも探そっか?」

 

メグ「でも宝物持ってきてないよ?」

 

チノ「ここあさん……リゼさんのところに行きますか?」

 

ここあ「ううん、べんきょうのじゃましちゃだめ」フルフル

 

ここあ「それに、ちのちゃんたちとあそびたい。あそぼっ♪」

 

チノ「分かりました。寂しくなったらいつでも言ってくださいね」ナデナデ

 

ここあ「ありがとうちのちゃん//」ギュッ

 

チノ「//

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「今日はチマメ隊となにして遊んでたんだ?」

 

ここあ「みんなで『しすと』のちずをさがしたよ。でもみつからなかったから、とちゅうからとおいところをおさんぽしてたの」

 

リゼ「そうか、たくさん歩いたんだな」

 

ここあ「りぜちゃん、あしたはおやすみ?」

 

リゼ「いや、明日はまた学校だ。シャロにお願いしておいたから、一緒に遊んで待っててくれるか?」

 

ここあ「しゃろちゃんのおうち?わかった」

 

リゼ「ありがとう、用事が済んだらまたみんなで遊ぼう」ヒョイ

 

ここあ「…………」ギュッ

 

リゼ「……ここあ?」

 

ここあ「りぜちゃん……」スリスリ

 

リゼ「寂しかったのか?よしよし」ナデナデ

 

ここあ「んっ……//

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 シャロの家――

 

 

ここあ「ねぇ、しゃろちゃん?」

 

シャロ「どうしたの?」ナデナデ

 

ここあ「りぜちゃん、がっこうになんのようじかな?」

 

シャロ「そうね……たぶん部活の助っ人じゃないかしら」

 

ここあ「すけっと?」

 

シャロ「リゼ先輩、スポーツ万能だから大人気なのよ」

 

シャロ「かっこいいから他の子たちからもすごくモテるし……」ブツブツ

 

ここあ「りぜちゃん、みんなからにんきもの?」

 

シャロ「気になる?ならリゼ先輩のこと見に行きましょうか」

 

ここあ「……!いいの?」

 

シャロ「その代わり、二人でこっそりね」シー

 

ここあ「ぁ……!うん!//

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

シャロ「いまの時間は体育館じゃないかしら」

 

ここあ「あっちだね」

 

女子生徒A「シャロさん、ごきげんよう」

 

シャロ「あっ、ごきげんよう」ニコッ

 

女子生徒B「妹さん?可愛いですね」

 

ここあ「こんにちは」ペコリ

 

女子生徒A「良い子ですね、さすがはシャロさんの妹さん」

 

シャロ「ありがとうございます」フリフリ

 

ここあ「おねえちゃん、またね」

 

シャロ「はぁ……不意打ちだったわ」

 

ここあ「しゃろちゃんのいもうとだって」

 

シャロ「ここあが妹ならいつでも大歓迎よ」ナデナデ

 

ここあ「えへへ//

 

シャロ「見学はこの上ね、ほら先にあがって」

 

 

 

シャロ「お邪魔します」ガチャッ

 

女子生徒A「きゃーっ!リゼせんぱーい!!//

 

ここあ「!」

 

女子生徒B「かっこいいーっ!//

 

シャロ「夏休みの練習なのにすごいギャラリーね」キーン

 

ここあ「りぜちゃん、どこ?」ピョンピョン

 

シャロ「この人だかりじゃ見えないわ……」

 

女子生徒C「ワンハンドシュートよ!//

 

女子生徒D「リゼ先輩すてき……!//

 

キャーッキャーッ!!

 

シャロ「ここあ、だいじょうぶ?」

 

ここあ「うん……!」

 

ここあ(こんなにいっぱい……みんなりぜちゃんのおうえん……?)

 

女子生徒A「今のうちに写真整理しておきましょう」

 

女子生徒B「見て、このリゼ先輩いいアングルで撮れたわ!」

 

シャロ「ここあ、ちょっと来て」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

シャロ「よいしょっと……」ヒョイ

 

ここあ「!」

 

シャロ「どう、リゼ先輩見える?」

 

ここあ「あっ……りぜちゃんだ!みえたよ!」

 

シャロ「ここあ、しっ……!」

 

ここあ「あっ……」サッ

 

女子生徒C「シャロさん!その子だれ?」

 

女子生徒D「可愛い!もしかして妹!?」

 

シャロ「えっと、この子は……!」

 

シャロ(まずいわ……!)

 

女子生徒A「こんにちはお嬢ちゃん」

 

ここあ「こんにちは」ペコリ

 

女子生徒B「まだ4歳くらい?お名前は?」

 

ここあ「ここあだよ」ニコッ

 

女子生徒A「ここあちゃん可愛い~!写真撮ってもいい?」

 

女子生徒B「シャロさんにこんな小さい妹がいたなんて」ナデナデ

 

ここあ「おねえちゃんたちも りぜちゃんのことみにきたの?」

 

女子生徒C「そうだよ、ここあちゃんも?」

 

女子生徒D「リゼ先輩かっこいいもんね、わかるわ」

 

ここあ「……!」

 

ここあ「……りぜちゃんのこと、すき?」

 

女子生徒A「そりゃあね~//

 

女子生徒B「この学校の憧れだもん//

 

女子生徒C「シャロさんもそうでしょう?」

 

シャロ「ふぇ?わ、わたしは……!//

 

女子生徒D「リゼ先輩……えへへ//

 

ここあ「――!」

 

シャロ「わ、わたしたち、これで失礼します!」

 

ここあ「あっ……」

 

女子生徒A「待ってシャロさん、ここあちゃんと1枚だけ写真を」

 

シャロ「NGです!では!」

 

女子生徒B「ああ~いっちゃった……」

 

 

 

リゼ(さっき、ここあの声が聴こえたような気が……)チラッ

 

リゼ(……いない)

 

リゼ(気のせいか……?)

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

シャロ「はぁ……はぁ…………」

 

シャロ「急に走ってごめんね、大丈夫?」

 

ここあ「……………………」

 

シャロ「ここあ?もしかしてどこか痛い?」

 

ここあ「!」

 

ここあ「ううん、だいじょうぶ!ごめんね、わたしのせいで……」

 

シャロ「いいのよ、それよりどうだった?リゼ先輩大人気でしょ」

 

ここあ「うん……」

 

シャロ「……?ここあ?」

 

ここあ「………………」

 

ここあ「…………」ウツムキ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「ただいま」ガチャッ

 

ここあ「!」

 

 

――ポスッ

 

 

リゼ「おっと……」

 

ここあ「……」ギュッ

 

リゼ「ここあ?待っててくれたのか」ナデナデ

 

ここあ「…………」

 

リゼ「ここあ?」

 

ここあ「りぜちゃん、おかえりなさい」

 

リゼ「ああ……」

 

ここあ「…………」

 

リゼ「どうしたんだ?シャロと喧嘩でもしちゃったか?」

 

ここあ「…………」フルフル

 

リゼ「……?」

 

使用人「お嬢、おかえりなさいませ」

 

リゼ「お前まで……ずっと待ってたのか?」

 

使用人「小さいお嬢が、どうしても待ちたいというので……」

 

リゼ「そうか……ありがとう、嬉しいぞ」ナデナデ

 

リゼ「とりあえず着替えてくるから、先にダイニングルームに行っててくれ」

 

ここあ「……やっ」

 

リゼ「え?」

 

ここあ「わたしもいっしょにいく」

 

リゼ「部屋に戻って着替えるだけだぞ?」

 

ここあ「いいの」ギュッ

 

リゼ「今日はいつも以上に甘えんぼうだな」ヒョイ

 

ここあ「りぜちゃんだめ、おろして」

 

リゼ「?」

 

ここあ「かばんもつの。かして」

 

リゼ「ここあには重い、わたしが持つからいいぞ」

 

ここあ「やっ、りぜちゃんのやくにたてるもんっ」スッ

 

リゼ「あ、おい」

 

ここあ「んっ……!」フラフラ

 

リゼ「…………?」

 

リゼ「」チラッ

 

使用人「」フルフル

 

リゼ(シャロのところで何かあったのかな……)

 

使用人「あの、あっしが持ちますから」

 

ここあ「ううん、だいじょうぶ……!」フラフラ

 

使用人「しかし……」

 

リゼ「いい、ここあに任せよう」

 

使用人「……わかりました」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「………………」ナデナデ

 

ここあ「…………」ギュッ

 

リゼ「ゲームしないのか?」

 

ここあ「うん」

 

リゼ「ならお絵描きでもするか?」

 

ここあ「」フルフル

 

リゼ「…………」

 

ここあ「…………」ギュッ

 

リゼ「ここあ……」

 

ここあ「りぜちゃん、あしたはちやちゃんのところ?」

 

リゼ「そうだな。ここあはどうする?ラビットハウスでお手伝いしとくか?」

 

ここあ「ううん、ここでおるすばんしててもいい?」

 

リゼ「おるすばん?いいのか?」

 

ここあ「」コクリ

 

リゼ「わかった、なるべく早く帰ってくるからな」

 

ここあ「まってるね」

 

リゼ「…………」

 

 

 

――客室――

 

 

リゼ「遅くなったな」ガチャッ

 

使用人「いえ……どうです、様子は?」

 

リゼ「やっと寝付いてくれたよ、部屋でも離れてくれなくてな」

 

使用人「そうですか……」

 

リゼ「なんだかいつもと違うな、心配だ」

 

使用人「ご友人の方には?」

 

リゼ「さっき電話してみたが、特に変わったことは」

 

リゼ「今日のお昼頃、こっそり学校に会いに来たらしいが」

 

使用人「やはり寂しいのでは?」

 

リゼ「しかし、早く課題を終わらせないと……」

 

リゼ「明日、ここあのこと頼めるか?」

 

使用人「承知しました」

 

リゼ「悪いな。チノもシャロも明日は空いてないみたいで」

 

使用人「外出のほうは?」

 

リゼ「近場ならかまわないぞ」

 

使用人「」コクリ

 

 

 

――

――――

――――――

 

――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 公園 ベンチ――

 

 

ここあ「………………」

 

使用人(やはり元気が無い……散歩にさそってみたけど、どうしたものか……)

 

ここあ「………………」

 

使用人「……あの、小さいお嬢」

 

ここあ「?」

 

使用人「昨日なんですが……なにかありましたか?」

 

ここあ「……ううん」

 

使用人「お嬢が心配していましたよ」

 

ここあ「りぜちゃんが……?」

 

使用人「……」コクリ

 

ここあ「……………………」

 

 

『女子生徒D「リゼ先輩……えへへ//」』

 

 

ここあ「……っ」キュッ

 

ここあ「…………あのね」

 

??「可愛い子がいると思ったらぁ、わたしの友達だ~」ポンッ

 

使用人「!」

 

ここあ「あっ……ゆらちゃん!」

 

ユラ「ここあちゃんは今日も可愛いね~」ナデナデ

 

ユラ「リゼと仲良しの使用人さんも、久しぶり~」

 

使用人「お久しぶりです」ペコリ

 

ユラ「二人でお散歩かな?いいな~独り寂しいユラお姉ちゃんも混ぜてよ~」

 

ここあ「ゆらちゃんもおさんぽ?」

 

ユラ「ううん、買い物の帰りだよ~シャーペンの芯が切れちゃって」

 

ユラ「それより、なんだかここあちゃん元気が無さそうだね~眉毛が八の字だよ~」

 

ここあ「ふぉぇ?」スッ

 

ユラ「冗談だよ~ユラちゃんジョーク」

 

ユラ「でも、元気が無いのはほんとだね~」

 

ここあ「…………」

 

使用人「あ、あの……」

 

ユラ「この後どこかに行く予定~?」

 

使用人「いえ、特には……」

 

ユラ「なら使用人さんは付き添いかな~?でも大丈夫だよ~あとは頼りになるユラお姉ちゃんに任せて~」

 

使用人「いや、しかしお嬢にですね……」

 

ユラ「ガールズトークに、紳士が首を挟んじゃダメだよ~?」

 

使用人「うっ……」

 

ユラ「リゼが帰ってくるまでには送り届けるから~それとも使用人さんも混ざる~?」ムフー

 

使用人「いえ、遠慮しておきます……」ササッ

 

ユラ「ありがとう~男の人には話しにくいこともあるからね~」

 

使用人「ではちいせぇお嬢、あっしはお先に……」

 

ここあ「ゆうしゃさん、いそがしいのにごめんね」

 

使用人「とんでもない、また一緒に出かけましょう」

 

ユラ「またね~」フリフリ

 

使用人「」ペコリ

 

ユラ「さて……ここあちゃん?」

 

ユラ「ユラお姉ちゃんに、なんでも話してみて~」

 

 

 

ここあ「きのうね……しゃろちゃんといっしょに りぜちゃんのことをみにいったの」

 

ここあ「そしたら、ほかにもりぜちゃんのことをみにきてるひとがたくさんいて……」

 

ユラ「リゼ人気者だからね~、後輩には特に」

 

ここあ「みんな……りぜちゃんのことすきって……」

 

ユラ「モテモテだねぇ」

 

ここあ「それをきいたあとからかな。なんだかむねのあたりがずっとちくちくして……」

 

ここあ「りぜちゃんのそばからはなれるのがいやで……どこかにでかけちゃうのもいやで……」

 

ここあ「わたしのこと、ひつようとしてほしくて……りぜちゃんに、いちばんすきでいてもらいたくて……」

 

ここあ「きのう、たくさんわがままいっちゃった……」シュン

 

ユラ「…………」

 

ここあ「なにもないはずなのに、すごくいやなきもちで……」

 

ここあ「……りぜちゃんに、きらわれちゃう」ウルッ

 

ユラ「……なるほどね~」

 

ここあ「…………」グスッ

 

ユラ「……ここあちゃん?」

 

ユラ「ユラお姉ちゃんに相談して正解だよ~」ナデナデ

 

ここあ「ふぉぇ……?」

 

ユラ「それはね、きっとヤキモチ~」

 

ここあ「やきもち?」

 

ユラ「リゼのことを取られたくないって、ここあちゃんの心が叫んでるんだよ~」トンッ

 

ここあ「!」

 

ユラ「リゼの一番でありたい、リゼのことが一番好きなのは自分だって怒ってるっていうのかな~」

 

ユラ「ヤキモチを妬いちゃうと、人は胸の奥あたりがチクチクするんだ~」

 

ここあ「りぜちゃんの、いちばん……」

 

ユラ「思い出して~?この前わたしがここあちゃんよりリゼのことを知ってるって言った時、この辺がチクチクしたでしょ~?」

 

ここあ「……!」

 

ユラ「ここあちゃんはね、リゼのことが大好きだからヤキモチ妬いちゃってるんだよ~」スッ

 

ユラ「他の子が好きって言ってると、こうしてほっぺたがふくれて~」ムニー

 

ここあ「ゆらひゃん……」

 

ユラ「心の中で、リスここあちゃんになってるのかも~」プニプニ

 

ここあ「………………」

 

ユラ「どう?」

 

ここあ「……うん」

 

ここあ「やきもち……やいてるの」

 

ユラ「そうだよね~ここあちゃんもお年頃かな~」

 

ここあ「ゆらちゃん?」

 

ユラ「ん~?」

 

ここあ「やきもちって、どうやったらなおるの?」

 

ユラ「ヤキモチの治し方かぁ、それはちょっと難しいかもね~」

 

ここあ「そっか……」ウツムキ

 

ユラ(………………)

 

ユラ「じゃあね~奥の手を使おっか」

 

ここあ「おくのて?」

 

ユラ「ユラお姉ちゃんがここあちゃんの心に直接聞いてあげるよ~」

 

ユラ「すこしだけジッとしててね~」ピトッ

 

ここあ「……!」

 

ユラ「ふむ……ふむ……」

 

ユラ「なるほどぉ~」

 

ここあ「ゆらちゃん、なんていってた?」

 

ユラ「良い作戦を教えてもらったよ~」

 

ここあ「やきもちなおる?」

 

ユラ「それはここあちゃん次第かな~。でも、嫌な気持ちは小さくなるかも~」

 

ここあ「ほんと!」

 

ユラ「ユラちゃん嘘つかないよ~。明日実行してみる?」

 

ここあ「うんっ!」

 

ユラ「おうちでいい子で待ってて、迎えに行くね~」

 

ここあ「ありがとう ゆらちゃん!」

 

ユラ「ここあちゃんのヤキモチに気が付かないなんて、リゼは相変わらず朴念仁だね~」ナデナデ

 

ここあ「?」

 

ユラ「なんでもないよ~」

 

ユラ「最近リゼと仲良くしてる?」

 

ここあ「うん!このまえいっしょに『しゃげきくんれん』したよ」

 

ここあ「でも『ふきや』のれんしゅうしてたら、『じゅう』のほうがべんりだからしなくていいって」

 

ユラ(リゼ~こっそりここあちゃんの吹き矢シェアを奪ってるな~)

 

ここあ「あと、いっしょにねるときべっどでこちょこちょしたり」

 

ユラ「くすぐり攻撃?それはユラちゃんもしたくなっちゃうかな~」

 

ユラ「ここあちゃんはわき腹~?」コチョコチョ

 

ここあ「あははっ!だめぇ!ちがうよ!//

 

ユラ「ここじゃなかった?」

 

ここあ「りぜちゃんはね――わたしのむねをこちょこちょするの」

 

ユラ「」

 

ここあ「でも、くすぐったいっていったらすぐにやめてくれるよ」

 

ユラ「」

 

ユラ「………………」

 

ここあ「ゆらちゃん?」

 

ユラ「……そっか~」

 

ユラ「ここあちゃん、今日の下着は何色かな~?」

 

ここあ「したぎ?みずたまもようだよ、ほら」ピラッ

 

ユラ「おお~可愛いね~」

 

ここあ「りぜちゃんがえらんでくれたんだ」ニコッ

 

ユラ「ちなみにユラちゃんは黒色~」ペラッ

 

ここあ「ゆらちゃんのもかわいいね♪」

 

ユラ「こんな純粋な子に、リゼはなにやってるのかな~」ナデナデ

 

ここあ「?」

 

ユラ「ここあちゃん、もしなにかあったらユラお姉ちゃんに言うんだよ~?」

 

ここあ「うんっ」ニコッ

 

ユラ「リゼが捕まらないうちにね~」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――PM9:17 リゼの部屋――

 

 

ここあ「あしたはがっこう?」

 

リゼ「ああ、でもお昼には終わるぞ」

 

リゼ「明日が終わったらお休みだから、その後はたくさん遊ぼうな」

 

ここあ「うんっ」

 

ここあ「……りぜちゃん、にんきものなんだね」

 

リゼ「んっ、学校のことか?そんなことないんだが……」

 

ここあ「…………」スリスリ

 

リゼ「ここあ?」

 

ここあ「りぜちゃん……わたしの……」

 

リゼ「どうしたんだ?」

 

ここあ「ううん、なんでもない」

 

ここあ「…………っ」ギュッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――翌日 AM11:10 リゼの部屋――

 

 

ここあ「……………………」

 

ここあ「…………」ソワソワ

 

ここあ「……」チラッ

 

ここあ(ゆらちゃん、まだかな……?)

 

――カチッ

 

ユラ「ゾロ目に登場~」ガチャッ

 

ここあ「!」

 

ユラ「ここあちゃんお待ちかねのユラお姉ちゃんだよ~」

 

ここあ「ゆらちゃん……!」

 

ユラ「ごめんね~時間言ってなかったね」

 

ユラ「ここあちゃんのヤキモチ退治、がんばろっか~」

 

ここあ「おねがいします……!」ペコッ

 

ユラ「それじゃあさっそく作戦第一、遊びにいこ~」

 

ここあ「ふぉぇ?あそびに?」

 

ユラ「そうだよ~吹き筒持っておいでよ」

 

ここあ「でも、おひるごろにりぜちゃんかえってくるよ?」

 

ユラ「だからいくんだよ~、矢文を残していくから心配しなくていいよ~」

 

ユラ「」フッ!

 

ユラ「さて、いこっか~」ガチャッ

 

 

ユラ「…………」キョロキョロ

 

ここあ「ゆらちゃん、どうしたの?」

 

ユラ「使用人さんたちはいないね~、今がチャンスかな」

 

ここあ「ゆうしゃさんにいってきますいわなくていい?」

 

ユラ「言ってあるから大丈夫だよ~ステルスで外までいこっか~」

 

ここあ「みつからないようにだね。いえっさー」

 

ユラ(ふふっ~ここさえ突破すれば成功したも当然)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「ここあちゃん、まずはお昼ごはんたべよっか~」

 

ここあ「ごはん!おそとでたべるの?」

 

ユラ「ここあちゃんのすきなものでいいよ~なにがいい?」

 

ここあ「はんばーがー!」ピョン

 

ユラ「ハンバーガー?」

 

 

 

――公園 ベンチ――

 

 

ここあ「♪」モグモグ

 

ユラ「はむっ……」

 

ここあ「ん……♪」モグモグ

 

ユラ(まさかファーストフードなんて……リゼの影響かな)

 

ここあ「ゆらちゃん、このあとはどこにいくの?」

 

ユラ「んっ?そうだね~」

 

ユラ「作戦実行までまだ時間があるし、ここあちゃんとゆっくりお話したいかな」

 

ここあ「わたしと?」

 

ユラ「そのポシェット可愛いね~」

 

ここあ「りぜちゃんがかってくれたの!」

 

ユラ「おねだりした~?」

 

ここあ「ううん、ぷれぜんとだよ」

 

ここあ「だから、すごくだいじなもの」ギュッ

 

ユラ「…………」

 

ここあ「ゆらちゃんからもらったふきづつも、おなじくらいたいせつ……」

 

ここあ「ぜんぶ、わたしのたからものなの//」ニコッ

 

ユラ「……そっかぁ」

 

 

――ポンッ ナデナデ

 

 

ここあ「ゆらちゃん?」

 

ユラ「ここあちゃんはさぁ、少しいい子過ぎるのかもね~」

 

ユラ「だからこそこんなに良くしてあげたいって思うんだけどさ~」ギュッ

 

ここあ「んっ……//

 

ユラ「でもユラお姉ちゃん心配だよ~。ただでさえいい子なのに、いい子であろうとしているここあちゃんが~」

 

ユラ「リゼにもはっきり言ってあげればいいのに~」

 

ここあ「?」

 

ユラ「ユラお姉ちゃんにまかせて~悪いようにはしないから~」ムフー

 

ユラ「もう少しお喋りしたら、吹き矢部にいこっか~」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――PM 1:00――

 

 

リゼ「すまないなみんな、ここあも喜ぶよ」

 

チノ「ここあさん、元気にしてますか?」

 

千夜「最近は課題で忙しくて会えなかったから」

 

シャロ「この前一緒に遊んだときは、なんとなく元気が無かったんですけど……」

 

リゼ「確かに最近は変だな。でも、みんなに会えば戻るだろう」

 

リゼ「ただいま」ガチャッ

 

使用人「あっ……お嬢」

 

使用人BC「」ペコリ

 

リゼ「どうしたんだ、こんなところに集まって」

 

使用人「いえ、それが……」

 

リゼ「?」

 

使用人「昼食ができたので小さいお嬢を呼びに行ったら……コルクボードにこんなものが」スッ

 

チノ「なんでしょう?」

 

千夜「吹き矢の矢だわ」

 

使用人「この紙が貼り付けてありました」

 

シャロ「手紙?矢文かしら」

 

リゼ「……!?まさか!」バッ

 

使用人「!」

 

 

『ここあちゃんは誘拐したよ~。返して欲しかったら取りにおいで~。見つけられなかったらこの子はわたしのものだから~』

 

 

リゼ「」

 

チノ「誘拐……!?」

 

千夜「吹き矢にピンク色の便箋……それにこの文面……」

 

シャロ「違うわ……これって、間違いなく――」

 

 

リゼ「ヴぇああああぁあああ!!!!」

 

 

シャロ「ひっ!?」ビクッ

 

千夜「リゼちゃんっ!?」

 

リゼ「ここあが誘拐されたぁ!!わたしのここあがぁ!!!」

 

チノ「落ち着いてください……!」

 

使用人「お嬢の幼馴染の方のイタズラですから!」

 

リゼ「ここあぁ……っ!」ガクッ

 

千夜「リゼちゃん、まずは深呼吸しましょうね」

 

シャロ(吹き矢部部長、イタズラする相手を考えてください!)

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――吹き矢部――

 

 

ここあ「」フッ!

 

ユラ「おお~90点」

 

ユラ「ここあちゃん、前より上手くなってるね~」

 

ここあ「おるすばんのときにおうちでれんしゅうしてるの♪」

 

ユラ「ちゃんと頑張ってくれてるんだ、嬉しいな~」

 

ここあ「つぎはゆらちゃんだよ」

 

ユラ「……」フッ!

 

ここあ「100てん!すごい!」ピョン

 

ユラ(そろそろ準備かな)

 

ユラ「ここあちゃん、そろそろ最後の作戦にうつろっか~」

 

ここあ「さいごのさくせん?」

 

ユラ「もう少しでリゼがここあちゃんのこと迎えに来るよ~」

 

ここあ「りぜちゃんが!?ほんと!」

 

ユラ「でもね、きっとリゼ怒ってると思うから~少しだけユラお姉ちゃんと言い合いになると思うんだ~」

 

ここあ「けんか……?だめ!ゆらちゃんもりぜちゃんも、けんかしちゃやだ」フルフル

 

ユラ「大丈夫、ユラお姉ちゃんはお芝居だからさ~」

 

ここあ「おしばい……でも……」

 

ユラ「ヤキモチを直すためだよ~」

 

ここあ「……!」

 

ユラ「ユラお姉ちゃんも頑張るから、ここあちゃんも少しだけ我慢できる~?」

 

ここあ「…………」

 

ここあ「うん……わかった」グッ

 

ユラ「いいこだね~。それじゃあここあちゃんは――」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「あいつの仕業か……!!」ゴゴゴ

 

千夜「使用人さんの誰にも見つからずに忍び込むなんて」

 

シャロ「吹き矢部部長っていったい何者なんでしょう……?」

 

チノ「この前と同じく部室にいると思います、みんなで迎えに――」

 

リゼ「待っていろっ!ここあ!」ダダッ!

 

シャロ「あっ、リゼ先輩!?」

 

チノ「今回もただのイタズラでしょうか?」

 

千夜「なにか理由があるように思えるけど……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「……………………」

 

ユラ「」チラッ

 

ユラ「!」

 

ユラ(あれはリゼだね~……)

 

ユラ(校舎に入った……ここに来るまであと2分かな……)

 

ドドドドドドド!

 

ユラ「?」

 

リゼ「はっ!」ガチャッ

 

ユラ「早すぎない?」

 

リゼ「お前かっ!ここあを誘拐したのは!」

 

ユラ「なんのことかな~」

 

リゼ「とぼけるな!ここあの匂いが微かにするぞ」

 

リゼ「素直に返せば許してやる!早くここあを出せ」

 

ユラ「うーん、どうしよっかな~。ここあちゃん可愛いから返したくないかも~」

 

リゼ「ほう……それでわたしが易々と引き下がると思ってるのか」

 

ユラ「え~別にここあちゃん一人くらいよくない?リゼ学校でモテモテなんだからさ~」

 

リゼ「……!」

 

リゼ「ここあくらい、だと?」

 

ユラ「だってここあちゃんからの愛情も、リゼにとってはたくさんある内のひとつだよね~?」

 

ユラ「わたしはここあちゃんだけだからさぁ、相思相愛、ラブラブだよ~?」

 

リゼ「…………」ピキッピキッ

 

ユラ「ここあちゃんもその方が幸せだと思うし~」

 

リゼ「っ……ふざけるなっ!!」グイッ

 

ユラ「!」

 

リゼ「はぁ……はぁ……!」

 

ユラ「リゼぇ、落ち着いてよ~」

 

リゼ「ここあからの気持ちは他と一緒なんかじゃない!わたしにとって特別だっ!」

 

リゼ「わたしは一番ここあが好きなんだ!お前の気持ちと一緒にするな!!」

 

リゼ「ここあのためなら、例え誰に嫌われたっていい!」

 

ユラ「…………」

 

リゼ「あいつが泣いているなら、何があったとしてもすぐに駆け付けてやる……あいつが望むなら、どんな願いでも叶えてやる……!」

 

リゼ「あいつにとって、常に一番でありたい……」

 

リゼ「わたしはここあにだけ愛してもらえれば……好きでいてもらえれば、それで……!」ギリッ

 

ユラ「………………」

 

――ガラッ

 

シャロ「り、リゼしぇんぱい……」ハァハァ

 

チノ「!りぜさんっ!?」

 

千夜「落ち着いてリゼちゃん!暴力は――」

 

 

ユラ「クスッ……そうだよね~」

 

リゼ「え?」

 

ユラ「ここあちゃん、出てきていいよ~」

 

ロッカー ――ガチャッ

 

リゼ「!ここあ……」

 

ここあ「…………//

 

ユラ「今の聞いてた~?」

 

ここあ「うん……//

 

ユラ「あれが本音、リゼは誰よりここあちゃんのことが好きなんだよ~」

 

ユラ「だからね、ヤキモチなんて妬かなくても絶対大丈夫~」

 

リゼ「……――!まさか!」

 

ユラ「お芝居だよ~リゼの本音を聞き出すための」

 

ユラ「どう?ユラちゃん今回はとっても優秀だったでしょ~?」

 

リゼ「なっ……な、な……//」カアァ

 

ここあ「りぜちゃん……」

 

ここあ「わたしもね……りぜちゃんのこと――いちばんすきだよ//」ニコッ

 

リゼ「……!」

 

ユラ「リゼ~とりあえず手を離してくれない?」

 

リゼ「……っ!//」プルプル

 

リゼ「おまえ~っ!//

 

ユラ「え~大好きくらいいつも言ってるでしょ~今さら照れなくても~」

 

リゼ「そうじゃない!わたしだけ本気で怒ってバカみたいじゃないか~っ!//

 

ユラ「仕方ないよ~ここあちゃんの悩みに気付いてなかったんだし~」

 

リゼ「悩みだと?」

 

ユラ「ここあちゃん、ヤキモチ妬いてたんだよ~」

 

ユラ「リゼが学校であまりにキャーキャー言われてたから、そのせいで」

 

リゼ「!」

 

シャロ「はっ!だからあの時……!」

 

チノ「そういえば、みんなでこっそりリゼさんのことを見に行った時も様子が……」

 

千夜「二人とも?」

 

ユラ「そのせいでリゼにわがまま言っちゃったって、すごく落ち込んでて」

 

リゼ「そんなことが……」

 

ユラ「リゼもさぁ、ここあちゃんのためにももう少し朴念仁を治そ~?」

 

リゼ「くっ……//

 

リゼ「……すまない」スッ

 

ユラ「何も気にしてないよ~」

 

リゼ「……ありがとう//

 

ユラ「いいのさ~。それよりここあちゃんギュってしてあげなよ~」

 

リゼ「あ、ああ」

 

リゼ「ここあ……気づけなくてごめんな」ギュッ

 

ここあ「ううん、わたしこそごめんね?りぜちゃん……」

 

リゼ「ヤキモチ妬いてくれてたのか……不謹慎だけど嬉しいぞ//

 

リゼ「でも安心しろ、わたしはここあのことが一番好きだからな……//」ギュッ

 

ここあ「んっ……//

 

ユラ「♪」クスッ

 

ユラ「後輩たちまで巻き込んじゃって、リゼはダメな先輩だね~」

 

リゼ「お前が誘拐なんて書くから……!//

 

ユラ「みんなごめんね~また巻き込んじゃって」

 

チノ「いえ……ありがとうございます」ペコリ

 

シャロ「わたしたちも全然気づけなくて……」

 

千夜「ここあちゃんがお世話になりました」

 

ユラ「いいんだよ~ここあちゃんから色んなこと聞けたしね」

 

ユラ「みんなのことすごく好きなんだって、今度はわたしがヤキモチ妬く方かも~」

 

チノ「//」テレテレ

 

シャロ「ここあ……//

 

千夜「心配無用です。リゼちゃんだけが特別で、あとはみんなのここあちゃんですから」ニコッ

 

ユラ「なるほどぉ、愛されてるね~」

 

ここあ「ゆらちゃん?」クイッ

 

ユラ「ん~?」

 

ここあ「ありがとう……――ゆらちゃんもだいすき//」ギュッ

 

ユラ「ユラお姉ちゃんもここあちゃん好きだよ~愛してる~」ナデナデ

 

ユラ「また一緒にどこかいこうね~」

 

ここあ「うん!えへへ//」ニヘラ

 

リゼ「愛していいのはわたしだけだっ!」シャーッ

 

ユラ「親バカリゼがいる限り攻略不可能~?」

 

 

――おしまい?

 

 

『ここあちゃんの新技・リゼちゃん完全抑止』

 

――夜 リゼの部屋――

 

 

リゼ「今日はあいつのせいで疲れただろう」ナデナデ

 

ここあ「ううん、ゆらちゃんとあそべてたのしかった」

 

ここあ「いっしょに『はんばーがー』たべたの、あといろんなことおしえてもらったよ~」

 

リゼ「そうか、なにをおしえてもらったんだ?」

 

ここあ「りぜちゃん……」スッ

 

リゼ「?」

 

ここあ「がっこうがはじまったら、またおてつだいするの?」

 

リゼ「部活のことか?そうだな、どうしても困っているときは」

 

ここあ「…………」

 

リゼ「ここあ?」

 

ここあ「りぜちゃんは、わたしのことすきなんだよね……?」

 

ここあ「なのに、どうしておてつだいなんてするの?」

 

リゼ「えっ……?」

 

ここあ「りぜちゃんはわたしのものなんだよ……」

 

ここあ「わたしだけをみていればいいの……ずっと……」

 

リゼ「……!」

 

ここあ「りぜちゃん……どこにもいっちゃだめ……」

 

ここあ「わたし、さびしいよ……」

 

リゼ「……ここあ」

 

ここあ「……えへへ♪」

 

リゼ「!」

 

ここあ「びっくりした?『やんでれ』っていうんだって」

 

ここあ「りぜちゃんならぜったいいうこときいてくれるっていってたよ~」

 

リゼ「あいつ……わたしのここあになんてことを……っ」

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

リゼ「そんなことされたら……」

 

リゼ「――言うこと聞くしかなくなるじゃないか//」ニヘラ

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ「ここあはヤンデレでもかわいいなぁ~//」スリスリ

 

ここあ「りぜちゃん、だめ」

 

リゼ「ん、まだ怒ってるのか?ヤキモチなんて妬かなくても平気だぞ」

 

ここあ「ううん、ちがうの」

 

ここあ「りぜちゃん、べっどのまんなかにすわって?」

 

リゼ「まんなか?この辺か?」

 

ここあ「うん……」

 

ここあ「――えいっ」ドンッ

 

リゼ「!」

 

 

――ポスッ ウマノリ

 

 

ここあ「んっしょ……」

 

リゼ「ここあ?」

 

ここあ「わたしのほうが『せめ』だとりぜちゃんがよろこぶんだって、ゆらちゃんがおしえてくれたの」

 

リゼ「攻め!?」

 

ここあ「こうしてりぜちゃんのうえにのっかったり、じぶんからすりすりしたりするのを、『せめ』っていうんだって」

 

ここあ「りぜちゃん、どう?うれしい?」

 

リゼ「」

 

リゼ「…………」

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

リゼ「……ああ」

 

 

――ギュッ

 

 

ここあ「!」

 

リゼ「積極的なここあも、大好きだぞ//」ニコッ

 

ここあ「よかった……!またゆらちゃんにおしえてもらうね//

 

ここあ「りぜちゃん、だいすき//」ニコッ

 

リゼ「ふへへ……//

 

リゼ(改めてあいつにお礼を言わないと……//)ジュル

 

 

 

――――――――――――――

 

 

『苦手なタイプ』

 

――買い出しの帰路――

 

 

使用人「…………暑い」

 

使用人「…………」

 

 

『ユラ「ガールズトークに、紳士が首を挟んじゃダメだよ~?」』

 

『ユラ「リゼが帰ってくるまでには送り届けるから~それとも使用人さんも混ざる~?」』

 

 

使用人(昔から苦手なタイプだったが……やはり今でも変わらないか)

 

??「――あら、使用人さん?」

 

使用人「?」

 

千夜「こんにちは、お買い物ですか?」

 

使用人「あっ……!どうも……」ペコリ

 

千夜「暑いなか大変ですね、お疲れ様です」

 

使用人「いえ、たかがこれしき……」

 

千夜「そうだ、さっきシャロちゃんとアイスを買ってきたんです。待っててください」ガラッ

 

使用人「いえ、お気遣いなく……!」

 

 

千夜「お待たせしました」

 

千夜「あずきバーです。わたしこれが好きなんですけど――あっ、使用人さんは甘いもの苦手でしたっけ?」

 

使用人「いえ、アズキバーとここのデザートは別です」

 

千夜「良かった、それなら大丈夫ですね。どうぞ」スッ

 

使用人「えと……」アセアセ

 

千夜「両手塞がってますね……」

 

千夜「なら――はい、あーんしてください」スッ

 

使用人「へ……!?いや、それは……!」

 

千夜「あーん♪」

 

使用人「…………あ、あー……//

 

パクッ

 

千夜「うまくいきました」ニコッ

 

使用人「ぁ、ぁの……//」モゴモゴ

 

千夜「冷たいですか?おうちまで我慢です」フンス

 

使用人「ぁ……ふぁい……」モゴモゴ

 

千夜「――なんて、冗談です。半分持ちますよ」スッ

 

使用人「っ!?ぃぇ、ひぇっほうでしゅから……!」

 

千夜「お喋りするとアイスが落ちちゃいますよ?」クスッ

 

使用人「ぁ……!」

 

千夜「はい、これで左手が空きましたね」ガサッ

 

使用人「ぷはぁ……!」

 

千夜「二人で一個ずつ持てば軽いですから。ゆっくり帰りましょう」ニコッ

 

使用人「……!」

 

使用人「…………//」ポリポリ

 

使用人「すいません……ありがとうございます//

 

千夜「いえ♪」

 

使用人(苦手だけど……居心地がいい……)

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

『幼馴染』

 

――深夜 リゼの部屋――

 

 

ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

――Prrrrrrrrr

 

リゼ「んっ?」

 

リゼ(あいつか……)

 

リゼ「もしもし?」

 

ユラ「リゼ~、いま時間いい?」

 

リゼ「ああ、ちょうどここあが寝付いたところだ」

 

リゼ「待ってくれ、客室に行くから」ガチャッ

 

 

 

リゼ「今日はありがとう……その……助かったよ」

 

ユラ「困った時にはユラちゃんだよ~」

 

ユラ「リゼは相変わらず危なっかしいね~」

 

リゼ「うっ……悔しいが今回はグウの音も出ないな……」

 

ユラ「……りぜさぁ、ちょっと真面目な話してもいい?」

 

リゼ「ん?ああ、なんだ?」

 

ユラ「ここあちゃんてさぁ~……」

 

ユラ「――ほんとうに、リゼの親戚なの?」

 

リゼ「……!」

 

ユラ「前から、みんなのここあちゃんに対する愛情のかけ方が見てて不自然に思えてさ~」

 

ユラ「リゼもなんだか変だよね~親戚とはいえ、あんなに」

 

リゼ「…………」

 

ユラ「それでいま思い出したんだけど……リゼの友達に明るい後輩の子がいたよね~」

 

ユラ「前に少し挨拶した程度だからあまり顔覚えてないけど……どことなくあの子と似ているような気がしてさ~」

 

リゼ「…………っ」

 

ユラ「…………リゼ?」

 

リゼ「…………」

 

ユラ「ごめん……嫌なこと聞いちゃったね~忘れて」

 

リゼ「待ってくれ」

 

ユラ「?」

 

リゼ「……隠してるわけじゃ、ないんだ」

 

リゼ「ただ……信じてもらえないと思うから……」

 

ユラ「………………」

 

リゼ「わたしも、どうしたらいいか分からないんだ……ただ、今の幸せを失いたくなくて……」グッ

 

ユラ「…………そっかぁ」

 

ユラ「いいよリゼ~もう大丈夫だからさぁ、深く考えないでよ~」

 

ユラ「……ただ、これだけは言っておくよ~?」

 

リゼ「……」

 

ユラ「わたしはさぁ~大事な幼馴染のこと、疑ったりしないよ?」

 

リゼ「!」

 

ユラ「リゼの言葉信じるよ~だって、リゼだからさ~」

 

リゼ「……!」

 

ユラ「なにが起こったのか、わたしには全く見当もつかないけど~」

 

ユラ「でも、リゼがここあちゃんのことを愛してるって気持ちは本物だし。もちろんここあちゃんのほうも、みんなもさ~」

 

ユラ「リゼがいまの幸せを無くしたくないって思ってるなら~」

 

ユラ「わたしは、どんなことがあってもリゼの味方かな~」

 

リゼ「……お前」

 

ユラ「大丈夫だよ~例え地獄に落ちる事になっても、わたしも一緒に落ちてあげるから~」

 

ユラ「気にしないでリゼは、ここあちゃんやみんなとの幸せを噛みしめればいいよ~」

 

ユラ「頼れる幼馴染を信じてさ~」

 

リゼ「っ……ありが、とう」

 

ユラ「リゼ~?もしかして泣いてる~?」

 

リゼ「ぐすっ……泣いてない……っく……泣くわけないだろう……!」ゴシゴシ

 

ユラ「リゼは泣き虫だね~小さい頃から変わってないかも~」

 

リゼ「昔の話はいい!とにかく、ありがとう……ユラ//

 

ユラ「はーい、ユラちゃんリゼに良いこと言いました~」

 

リゼ「わざわざそれを言うためにかけてきてくれたんだな」

 

ユラ「ん~どうかな~?」

 

リゼ「ありがとう、お前も小さい頃から変わってないな」ハハッ

 

ユラ「リゼに笑顔が戻ったっぽいね~それじゃあわたしはこの辺で~」

 

リゼ「ああ、またな」

 

ユラ「あっ、そうだ~忘れるところだった~」

 

リゼ「?」

 

ユラ「ここあちゃんから聞いたよ~最近はベッドでこちょこちょするのがマイブーム?」

 

ユラ「胸をコチョコチョしてるらしいけど~まさかリゼ、ここあちゃんの――」

 

リゼ「おやすみっ!」ガチャッ

 

ユラ「…………」ツーツー

 

ユラ「」

 

 

――おしまい♪

感想

  1. ラビットタンク より:

    マヤちゃんは大詰めで強い人間、つまりそれは管理は出来なくても勝負の出来る女の子、平常時にはなかなか仕事をなかなかこなせなくても緊急時にはとても頼れるということ!あれ?注目するところでない部分に目を付けてしまった。なんでだ?

  2. ラビットタンク より:

    ココアちゃんがここあちゃんの記憶を得たとき、それはまた新しい物語へと繫がったりしますでしょうか?すみません、自分仮面ライダービルドが大好きなもんで、主人公にも過去の自分がいるような設定になっててそこが砂水さんの描くここあちゃんとなんだか似てる気がしましたので。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ベストマッチ!
      ……と、冗談はさておきましてですね。
      ラビットタンクさんが拝読くださっているかどうかは分かりませんが、ここあちゃんの設定は実は幼いココアシリーズの本編とIFで全く異なっております。

      5話で完結した本編の方は、元に戻った際にリゼちゃんたちと過ごした日々全ての記憶を喪失しております。
      つまり、ココアちゃんにとっては自分自身がここあちゃんとしてみんなと過ごしていた思い出は全くなく、幼いここあちゃんという存在は別人格だったのでは?という結末です。
      りぜちゃんたちの思い出にしか残っていない、という少し悲しいストーリーでした。

      一方、現在もこうして続いているIFの方は完結はまだまだ先ですが。
      ここだけの話、ラビットタンクさんのおっしゃるような展開も待ちうけているのかもしれません。
      実は最終話の大まかなプロット自体は既に書きあがっています。しかしあまりに人智を超えた斜め上を行く結末に、ごちうさの世界観を考慮して描き直そうかどうか検討中です。
      いずれにせよこのIFシリーズはまだまだ続きますので、お好きに考察いただき気長にお付き合いいただければ幸いです。

      • ラビットタンク より:

        左様でしたか。いい話を聞かせていただきました。今はとにかく、砂水さんの描く可愛らしいここあちゃんの日常を楽しませていただきます。

  3. Beyond the Average より:

    なんか『吹き矢部の部長』、アニメと違ってものすごいキー人物ですね!!しかも最後の電話の場面がドラマで1つの回が終わるときみたい!次週が気になるー!!みたいな(笑)

    まさか幼いココア(if)シリーズに終わりが用意されてたなんて…!!リゼとここあがより長く過ごした分、本編よりさらに感動のラストが待っているはず!!期待してます!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      吹き矢部部長こと、ユラ先輩は本シリーズでは純レギュラー扱いです♪
      今後もここあちゃんの良き友人でリゼちゃんの大事な幼馴染として、いぶし銀な活躍をしてくださることでしょう。

      幼いココアシリーズのIFエンド、期待してくださるのですかBeyondさん……!
      とても嬉しい反面、ご期待に添えられるかどうか正直すごく不安です;
      リゼちゃんは、不確かな存在であり最も愛しい存在であるここあちゃんに、最後はどう向き合うのでしょうか……そして、元のココアちゃんは……?
      よろしければ、ぜひ最後までお付き合いください。Beyondさんを、必ずや満足させてみたいと思います。フンス

  4. そうじゃない より:

    むねをこちょこちょするの。あっふーん

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