ごちうさSS チノ「ここあさんと帆船に乗ろう」

 

――AM 5:00 リゼの部屋――

 

 

ここあ「………………」Zzz

 

ここあ「んっ……」Zzz

 

――トントン

 

ここあ「ふぉぇ……?」

 

リゼ「ここあ、起きれるか?」

 

ここあ「りぜちゃん……?」

 

リゼ「そろそろいくぞ。……昨日言ってただろ?」

 

ここあ「…………あ!」

 

ここあ「っ……」クシクシ

 

ここあ「ちのちゃんは?みんなは?」

 

リゼ「もう玄関にいるぞ、早く用意してわたしたちもいこう」

 

ここあ「うん!」ピョン

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

使用人「すいません、小さいお嬢が今起きてらしたようで」

 

千夜「気になさらないでください、わたしたちが早く来すぎただけですから」

 

チノ「ぅ…………」ウツラウツラ

 

メグ「…………」ポワーン

 

マヤ「チノー?メグー?」

 

シャロ(楽しみで眠れなかったのかしら)

 

使用人「寝覚まし代わりに温かいコーヒーでも」スッ

 

千夜「ありがとうございます」

 

マヤ「チノ、コーヒーだってさ」

 

チノ「ハッ!また新しいライバル店が……!」オロオロ

 

メグ「チノちゃん寝ぼけてる~」

 

シャロ「メグちゃんもしっかりしましょうね、ほら目を開けて」

 

リゼ父「揃ったか?」

 

使用人「お嬢たち二人がまだ……」

 

リゼ父「こんな早朝から、すまないな」

 

チノ「いえ、わざわざ誘って頂いて……」

 

千夜「みんな、昨日から楽しみにしてたんですよ」

 

シャロ「楽しみ過ぎて眠れなかった子もここに」

 

メグ「初めてだからなんだか緊張して」エヘヘ

 

マヤ「装備ってほんとに何もいらないの?」

 

リゼ父「ああ、あまり遠くには行かないからな」

 

 

ここあ「みんな!」タタタ

 

 

メグ「あっ、ここあちゃんだ」

 

千夜「ここあちゃん、おはよう」ニコッ

 

チノ「寝ぐせがいっぱい付いてますね」

 

マヤ「これはこれでいいんじゃね?」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ「ここあ、まだブローがすんでないぞ」タタタ

 

シャロ「袖も皺になってるわよ。急がなくても大丈夫」ナデナデ

 

ここあ「んっ……♪」

 

リゼ父「用意はできてるな?」

 

使用人「はい、車で数十分先の海辺に」

 

リゼ父「よし……そろそろ出るか」

 

使用人「車は二つに分けましょうか?」

 

リゼ父「ワゴンなら1台で行けるだろう」

 

使用人「では、運転はあっしが――」

 

リゼ父「いや、俺がやる」

 

使用人「へっ?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「えへへ、ぎゅうぎゅうだね」

 

リゼ「最大乗客数だからな」

 

シャロ「というより……」

 

千夜「リゼちゃんのお父さん、少し飛ばし過ぎじゃありません?」

 

使用人「あの、速度制限を……」

 

リゼ父「ギリギリ守ってる、心配するな」

 

メグ「さっきのカーブすごかったねー」

 

チノ「無事に目的地に着くんでしょうか」ブルブル

 

マヤ「リゼのお父さん!もっと飛ばしてよー!」

 

リゼ父「もっと早くか、よし」

 

リゼ「親父!?」

 

使用人「おやめください!」

 

リゼ父「大丈夫だ、俺のテクニックを信じろ」

 

リゼ「そういう問題じゃない!」

 

使用人「捕まりますから……!」

 

 

ギャーギャー ワーワー

 

 

千夜「スリリングだわ……!」

 

シャロ「ねぇ、このままあの世に行ったりしないわよね?」ガクガク

 

チノ「ここあさん、大丈夫ですか?」

 

ここあ「うん、へいきだよ」

 

マヤ「蛇行運転だ♪」キャハハ

 

メグ「勝手に身体が動くよ~」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――海辺――

 

リゼ「なんとか無事に着いたな……」ハァハァ

 

ここあ「うみ……!」

 

マヤ「よーしここあ、とつげき~!」

 

ここあ「いえっさー!」

 

リゼ「おーい、すぐに出航するぞ」

 

リゼ父「ロープ、外せるか?」

 

使用人「お任せください」

 

リゼ「……あれ?残りのみんなは?」

 

リゼ(車の中か?)ガチャッ

 

 

全「」チーン

 

 

リゼ「チノ!?千夜シャロ、メグ、大丈夫か!?」

 

千夜「ぅぷ……」

 

シャロ「しぇんぱい……外の空気を……」

 

リゼ「しっかりしろ!おい!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

ここあ「……!」

 

チノ「大きなヨットです……!」

 

千夜「これなら9人でも乗れるわね」

 

シャロ「ヨットというより帆船みたい……!」

 

リゼ父「どうだ?」

 

ここあ「すごい……すごい!」

 

ここあ「おとうさん、はやくいこう!のせて、のせて!」ピョン

 

リゼ父「フッ……みんな乗り込め、出るぞ」

 

メグ「航海かぁ、ドキドキするね」

 

マヤ「サメとかモンスターとか現れるかな!?」

 

リゼ「おいおい、ゲームじゃないぞ」

 

ここあ「りぜちゃん?」クイクイッ

 

リゼ「んっ?」

 

ここあ「おねがい……きいてくれてありがとう//」ニコッ

 

リゼ「……ああ」ヒョイ

 

リゼ「わたしも親父も、みんなも、ここあのお願いならなんだって聞くぞ」ギュッ

 

ここあ「ん……//

 

リゼ「朝食、船の上で食べような」ニコッ

 

ここあ「うん!//

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ父「この辺でいいな」カチッ

 

マヤ「えーっ、もっと奥に行こうよ!」

 

リゼ父「ああ、だがここからはエンジンは不要だ」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ父「帆を貼れ、そっちを固定しろ」

 

使用人「へい!」

 

メグ「エンジンが無くて進むの?」

 

チノ「確か、本来ヨットは風だけで進むそうです」

 

千夜「マストが2本もあるわ、いよいよ帆船ね」

 

シャロ「自然の力だけで動くなんて経済的……!」

 

リゼ「親父、ちゃんと動くのか?」

 

リゼ父「ああ、風があるから問題ない」

 

 

 

マヤ「おおー、進んでる!」

 

チノ「本当に風だけで動いてます……!」

 

千夜「エンジンと違って、静かで心地よいわね」

 

シャロ「ええ……でも」チラッ

 

 

リゼ父「風向きが変わった、シートを右にしろ!」

 

使用人「はい!」

 

 

メグ「忙しそうだねぇ……」

 

チノ「あんなに大変だなんて……」

 

 

リゼ父「その角度だ、固定しろ。ラダーを右にする」

 

リゼ父「これでしばらくは安定するな」

 

使用人「ふぅ……」

 

 

リゼ「お疲れさま、ほら親父」

 

リゼ父「お茶か、すまんな」

 

ここあ「ゆうしゃさん、はい」

 

使用人「あ、ありがとうございます」

 

 

マヤ「ねぇリゼのお父さん?」

 

リゼ父「んっ、なんだ?」

 

メグ「この船って、追い風で動いてるんですよね?」

 

チノ「向かい風だと、逆走したりしないんでしょうか?」

 

リゼ父「逆走……追い風?根本的に誤解しているな」

 

リゼ父「帆船は向かい風に向かって進むのが基本だ」

 

チマメ隊「えっ!?」

 

リゼ父「向かい風に対して50度以上に帆を傾ければ斜め上に進む。これを繰り返すことで目的地にたどり着ける」

 

リゼ父「漫画のように真っ直ぐ楽に進む帆船なんてないぞ」

 

マヤ「そうだったんだ……!」

 

メグ「知らなかったね」

 

チノ「てっきり追い風の力で進むのかと……」

 

リゼ父「揚力は飛行機の原理と同じだな」

 

 

 

千夜「お疲れ様です、大変でしたね」

 

使用人「いえ、このために付いて来たので」

 

シャロ「まさかヨットがこんなに忙しいなんて……」

 

使用人「帆船はかなりの重労働です、休んでいる暇が無いほどに」

 

使用人「これが大型船クラスの帆船になると、人手が数十人はいないととても動かせません」

 

千夜「だから昔の海賊は屈強な人たちが多かったんですね」

 

使用人「いえ、実は海賊というのは小さい帆船を使っていたらしく、大型船の海賊というのは非常に数少なかったそうです」

 

使用人「大きい船ですと、相手が驚いて逃げてしまいますから」

 

シャロ「なるほど、確かに……」

 

使用人「小さい船を使えば相手を油断させられるほか、逃げられても小型で追いやすく、また漂流しているフリをして相手を油断させて――」

 

千夜「」ニコニコ

 

使用人「あ……すいません、くだらない話を//」ゴホン

 

千夜「いえ、とっても勉強になります」

 

シャロ「そうね、全然知らなかったことばかり」

 

使用人「いやしかし、これは知らない方が良い知識でして」

 

千夜「楽しいですよ、よければもっと聞かせてください」

 

シャロ「こういう時でないとあんまりお話しもできませんし」

 

使用人「……//」ポリポリ

 

 

 

リゼ(千夜とシャロに挟まれて、両手に花か)

 

リゼ(親父は――チマメ隊に質問責めか)

 

ここあ「りぜちゃんみて、なにかとびはねたよ」

 

リゼ「おかげでわたしはここあと二人きりだ……ふへへ//」スリスリ

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

リゼ「どうだ、船楽しいか?」

 

ここあ「うん!かいぞくになったみたい」ニコッ

 

リゼ「ここあは海賊って感じじゃないな」ナデナデ

 

ここあ「だめ?」

 

リゼ「人を襲って物を取ったりできないだろ?」

 

ここあ「わるいことしないよ、いいことするかいぞくだもん」

 

ここあ「うみでこまっているひとを、たすけてあげるの」エッヘン

 

リゼ「そんなの海賊じゃないぞ、やっぱりここあは天使だ」ギュッ

 

ここあ「えへへ//

 

リゼ「遠くまで来たな……わたしたちの町があんなに小さく見える」

 

ここあ「ほんとだね」

 

リゼ「このまま、どこかに行けそうだな」

 

ここあ「みんなといっしょなら、怖くないよ」

 

リゼ「クスッ、そうだな」

 

ここあ「……かぜ、きもちいいね//

 

リゼ「ああ」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

リゼ父「お腹すいただろう、おまちかねの飯だ」ドンッ

 

リゼ「缶詰めばかりじゃないか」

 

マヤ「本物の海賊って感じだね!」

 

リゼ父「ふっ、そうだろう」

 

使用人(ここまでリアルにしなくても……)

 

チノ「というか、いつの間に海賊体験になったんですか……」

 

メグ「みんなで船に乗ろうって話だったよ~」

 

千夜「たまにはこういうのもいいわよね、ここあちゃん?」

 

ここあ「ねー♪」

 

シャロ「この缶詰、フォアグラって書いてあるんだけど……」ブルブル

 

リゼ父「米だけは用意してある、野菜は我慢してくれ」

 

マヤ「いただきまーす!」

 

チノ「これは、ツナですか」

 

シャロ「缶詰めってこんなに種類あるんですね」

 

千夜「これ、卵焼きの缶詰め……?」

 

メグ「デミグラスハンバーグだって」

 

ここあ「りぜちゃんみて、これ『ういんなー』のかんづめだよ」

 

リゼ「わざわざ珍しい缶詰めばかり集めなくても」

 

使用人「たこ焼きの缶詰めまで……」

 

リゼ父「バラエティに富んでる方が面白いだろ」

 

チノ「ん……おいしいです」

 

千夜「ほんとね、良い味だわ」

 

シャロ「缶詰めなのにすごく贅沢してる気分……」モグモグ

 

メグ「ここあちゃん、ハンバーグ食べる?」

 

ここあ「たべる! あーん」

 

リゼ父「好きなだけ食べてくれ、ストックは山ほどある」

 

リゼ「買い込みすぎだろ!」

 

マヤ「黒服、ご飯とってよ~」

 

使用人「へい、ただいま」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――AM8:08――

 

 

ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz

 

チノ「…………」ナデナデ

 

シャロ「ちのちゃん?」

 

チノ「あっ……しゃろさん」

 

シャロ「ここあ、寝ちゃったの?」

 

チノ「はい。一緒に座って海を見ていたら、眠くなってしまったようで」

 

シャロ「静かだものね。ご飯も食べてお腹いっぱいだし、無理もないわ」ナデナデ

 

ここあ「ふぇ…………」Zzz

 

シャロ「ちのちゃんのおひざ、気持ちいいみたいね」

 

チノ「首を痛めないといいんですが」

 

シャロ「もうしばらくして起きなかったら、船内にうつしてあげましょうか」

 

チノ「ここあさん、こんなところで寝たら日射病になりますよ」ナデナデ

 

ここあ「ん……ぇへへ……」Zzz

 

チノシャロ「♪」クスッ

 

 

 

マヤ「風向きがこっちだから――セールはこっちだ!」

 

リゼ父「なかなか筋がいいな」

 

マヤ「メグ、そっちのマストも早く」

 

メグ「えっと、向かい風に50度以上の角度で……」

 

使用人「左側に傾けてください、こうです」

 

メグ「あっ、進んだよ~」

 

使用人「あとはメインシートを固定して」

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

――ピタッ

 

 

リゼ「?」

 

千夜「だーれだ?」

 

リゼ「千夜だろ」

 

千夜「正解、さすがはリゼちゃん」ニコッ

 

リゼ「こんなことしてくるのは千夜しかいないからな」

 

千夜「何か見える?」ヒョイ

 

リゼ「さっき大きなエイが見えたぞ」

 

千夜「巨大エイ?ここあちゃんが見たら喜んでくれたでしょうね」

 

リゼ「いまはあっちでチノと話してるみたいだ」

 

 

千夜「もう8時ね……」

 

リゼ「ああ、だんだん日差しが強くなってきた」

 

千夜「さっきの朝食、とってもおいしかったわ」ニコッ

 

リゼ「すまないな……親父の悪ノリで缶詰めなんて」

 

千夜「ううん、みんなすごく楽しそうだった。リゼちゃんのお父さんのおかげよ」

 

リゼ「花火大会の次は船か、夏休みとはいえ遊び放題だな」

 

千夜「ふふっ、次はみんなでどんなことやりましょうか」

 

リゼ「そうだな……ここあのしたいと思うことは、できることなら全部――」

 

 

使用人「あの、お嬢?」

 

 

リゼ「?」

 

ここあ「…………」Zzz

 

千夜「あら、ここあちゃん寝ちゃったんですか?」

 

使用人「はい、船内に寝かせておきますね」

 

リゼ「かしてくれ、わたしが運んでおく」

 

使用人「分かりました」スッ

 

ここあ「んっ……」Zzz

 

千夜「ぐっすりね」クスッ

 

リゼ「さすがに朝が早すぎたな」

 

千夜「海辺に着いたら起こしてあげましょう」

 

 

 

使用人「そろそろ海辺に向けて戻りますか?」

 

マヤ「えー、どうせならこのまま違う土地目指して行こうよー」

 

チノ「絶対に漂流します……」

 

メグ「冒険記じゃなくて漂流記になっちゃうね」

 

シャロ「もう8時でしょう、ラビットハウスや甘兎庵はあと1時間で営業よね」

 

千夜「ウチはおばあちゃんがいるから平気だと思うけど」

 

リゼ父「帰港するか。ゆっくり帰っていればいい時間になる」

 

マヤ「メグ、セール(帆)を90度回転!チノ、面舵いっぱいだー!」

 

メグ「らじゃー♪」

 

チノ「えぇっ!?」

 

リゼ「エンジン付けずに帰るつもりか」

 

シャロ「9時までに間に合いますかね……」

 

千夜「そもそも無事に帰れるかしら?」

 

 

――

――――

――――――

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「…………ん」

 

ここあ「……あれ」ポワーン

 

 

ここあ「ここ、どこ……?」

 

ここあ「…………」クシクシ

 

ここあ「りぜちゃん……みんなは……?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「おっ……見えてきました」

 

リゼ父「もうひと踏ん張りだ」

 

マヤ「やったねチノ!メグ!」

 

メグ「自然の力だけで帰ってこれたよ~」

 

チノ「良い風が吹いてて助かりました」

 

マヤ「よーし!目的地までフルセールだ!」

 

 

シャロ「帰ってきたわね、わたしたちの街に」

 

千夜「酔わないか心配だったけど、楽しくてそんな暇なかったわ」

 

リゼ「良かったらまたみんなで行こう」

 

千夜「今度はどこか島でも探して上陸する?」

 

リゼ「マヤと親父が喜びそうだな」

 

ここあ「――りぜちゃん」

 

シャロ「?」

 

リゼ「ここあ、目が覚めたか」

 

千夜「おはようここあちゃん、もう少しで海辺に着くわ」

 

ここあ「ふぉぇ?もう?」

 

リゼ「今日はみんなこの後お仕事だからな」

 

ここあ「ぼうけん、おしまい?」

 

千夜「ええ、ごめんなさいね」

 

ここあ「そっか…………」シュン

 

シャロ「次はお休みの日に、ゆっくり行きましょう」ナデナデ

 

リゼ(途中で寝たからあっという間だったんだな……起こしてあげれば良かったか)

 

ここあ「りぜちゃん……」スッ

 

リゼ「ん、だっこか?」

 

ここあ「」コクリ

 

リゼ「よっと……」ヒョイ

 

千夜「」クスッ

 

千夜「シャロちゃん、いきましょう」

 

シャロ「えっ?」

 

千夜「いいから」

 

シャロ「ちょっと千夜……!」

 

 

リゼ「どうしたんだ?」

 

ここあ「………………」

 

リゼ「素直に言っていいんだぞ」ナデナデ

 

ここあ「りぜちゃん……おこってない?」

 

リゼ「?」

 

ここあ「のりたいっていったのに、ねちゃったから……」

 

リゼ「…………」

 

ここあ「…………」ウツムキ

 

リゼ「なんだ、そんなことか」

 

ここあ「え……」

 

リゼ「怒ってないぞ、わたしも親父も、誰もな」

 

ここあ「ほんと……?」

 

リゼ「ここあは気にしすぎだ」ギュッ

 

リゼ「またみんなで来ればいい、ヨットに乗るくらいいつだってできる」

 

リゼ「だから何も気にすることないぞ」

 

ここあ「!……うん」

 

リゼ「今度乗る時は、一緒に大きなエイを見ような」

 

ここあ「えい?うみにいるの?」

 

リゼ「ああ、水族館のじゃなくて野生のエイだ」

 

ここあ「ぁ……!みたい!みられる?」

 

リゼ「ああ、みんなで探そう」

 

ここあ「やったぁ!」

 

リゼ「//」ニコッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「ただいま~」

 

あんこ「」ヒョコ

 

千夜「あんこ、遅くなってごめんね」ヒョイ

 

あんこ「」コクコク

 

千夜「おばあちゃんは?」

 

あんこ「」フルフル

 

千夜「用事があって出かけたの?」

 

あんこ「」コクコク

 

千夜「ちょうど良かったわ、今日は可愛い助っ人が二人も来てくれてるのよ」

 

マヤ「まずは店先の掃除だね!」

 

メグ「わたしはイス降ろしておくよ」

 

千夜「楽しくなりそう、あんこも一緒に頑張りましょう」ニコッ

 

あんこ「」コクコク

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

                     

 

リゼ「本当にいいのか?親父と一緒に帰っても良かったんだぞ」

 

ここあ「ううん、きょうはおてつだいするの」

 

チノ「助かります、ここあさんがいれば安心ですね」

 

ここあ「わたしにまかせなさ~い♪」ガシッ

 

リゼ「こうして戻ってくると、いつも通りだな」

 

チノ「なんだか白昼夢でしたね」

 

ここあ「はくちゅうむ?」

 

チノ「夢のようだったという意味です」ナデナデ

 

ここあ「ゆめじゃないよ、またみんなでいこうね」

 

チノ「はい」ニコ

 

ここあ「こんどはぼうけんとかしたいな」

 

リゼ「冒険、か」

 

リゼ(また、親父に相談してみるか)クスッ

 

 

――おしまい?

 

 

――車内――

 

 

リゼ父「………………」

 

使用人「………………」

 

リゼ父「………………」

 

使用人「…………」

 

使用人(会話が無い……)

 

リゼ父「……どう思う」

 

使用人「えっ?」

 

リゼ父「あの船、まだ拡張できそうか?」

 

使用人「え、ええ、中型船ですので……」

 

リゼ父「バリスタや大砲は付けられるかな」

 

使用人「おやめくださいっ!?」

 

リゼ父「……残念だ」

 

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    今回も盛りだくさんな内容でした‼
    さりげなく気遣う千夜と張り切るリゼパパと自分より相手の気持ちを優先して考えるここあと…

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      原作を意識しすぎますと、あまりにほのぼのしすぎる今回のような内容になってしまいますね。
      それでもみんなの優しさと可愛さは表現できるようにと、一生懸命描き下ろしております。
      リゼちゃんだけでなく千夜ちゃんやここあちゃん、ましてやリゼパパの可愛さまで分かってくださる辺り、あなたはわたくしの相棒……?

      • 匿名 より:

        相変わらずお鋭い‼
        ぜひ次はリゼパパが主役のSSを……()

        • 砂水クジラ砂水クジラ より:

          良かった相棒でした!間違っていたら完全に危ない人なので;

          リゼパパが主役……なんという素敵なアイデア!
          いえ、実はこのシリーズを立ち上げた頃から描きたい気持ちは山々だったのですが、需要があるかどうかが不安でして;
          しかし、相棒が背中を押してくださるのでしたら一度だけでも……!
          もう少しお待ちください、ここあちゃんとみんなの夏休みシーズンが終わり次第ぜひ!
          リゼパパの出番もっと増やしても良いのですね、ぐへへ……。

  2. Beyond the Average より:

    仕事前に船に乗って海での朝食って、みんな豪快ですね!
    ここあが目をさまして「ふぇ、もう?」と言ったとき、なんだか「もう夏休みが終わってしまう」というニュアンスを感じてしまって………課題終わらせなきゃーー!、と思いました(笑)。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      夏休みはあっと言う間ですね。次回作ではリゼちゃんも課題を終わらせるために頑張りますよ。
      夏休み中に、夏休みネタを全て描き下ろしたい思っております。
      ここあちゃんたちの夏は、もう少しだけ続きますよ。

  3. ラビットタンク より:

    毎回毎回思うのですがお父さんは娘たちと一緒にいられるのが本当に幸せそうです。だからといってスピード出し過ぎて事故れば元も子もないですから注意してほしいですね……(^-^;)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      同感でございます、リゼパパは娘が二人もできてなおかつコミュニケーションの機会も増えて有頂天なのでしょうね。
      みんなが喜ぶことならなんでもしちゃう優しいリゼパパが描いていて大好きです。

  4. SS見るの大好き より:

    とても面白い内容でした

    とてもほのぼのした話なので読んでいると、嫌な気持ちが無くなります

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ありがとうございます。
      ほのぼのしたお話が多いこのシリーズの中でも、今作は特にゆるゆるでしたね。
      まったりとした世界観をお楽しみいただけたようでなによりです。

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