ごちうさSS チノ「ここあさんとリゼさんのお屋敷を掃除します」

 

 

 

――7月 PM12:22 天々座家 ガーデン――

 

 

――

――――

――――――

 

 

リゼ「いいか、ここあ。これが手榴弾だ、グレネードやパイナップルともいう」

 

ここあ「げーむでなげるやつだね」

 

リゼ「これはレプリカだけどな、ほら」スッ

 

ここあ「わぁ!」キラキラ

 

リゼ「ゲームや漫画などではよく投げて3秒くらいですぐに爆発するが、本当はピンを抜いてこのレバーを取らなければ爆発しない」

 

リゼ「このピンが爆発防止用、このレバーが着火の役目を果たしているわけだ。つまりこのレバーが外れれば、それから5秒くらいで爆発する」

 

ここあ「へぇ……!」

 

リゼ「投げる時は、まずピンを引き抜く」

 

ここあ「んっ……こう?」

 

リゼ「いいぞ、そして利き腕でレバーの部分を強く握る」

 

リゼ「こうすることで、投げた瞬間に上手くレバーが外れるわけだ」

 

リゼ「そして対象に目がけて渾身の力で投げる!」ビュッ

 

ここあ「えいっ!」ブンッ

 

リゼ「よし!ちゃんとレバーが外れてる、上手にできたな」ナデナデ

 

ここあ「ほんと?よかったぁ」

 

リゼ「これでまた立派な兵士に一歩近づいたぞ」ヒョイ

 

ここあ「いつかはりぜちゃんといっしょにたたかえるようになりたいな」

 

リゼ「ああ、わたしの背中をまかせられるのはお前だけだ」

 

ここあ「えへへ//

 

リゼ「ここあ~可愛いなぁ//」ギュッ

 

ここあ「りぜちゃん、わたしあせかいてるから//

 

リゼ「そんなのいい!むしろウェルカム!」スリスリ

 

ここあ「うぅ……//

 

リゼ「ここあ……ふへへ//」ニヘラ

 

 

使用人「あの……お嬢?」

 

リゼ「んっ?」

 

リゼ「なんだ、せっかく遊んでるときに」

 

使用人「いえ、ご友人達が訪ねてこられてますが……」

 

ここあ「!!」

 

リゼ「もうそんな時間か。仕方ない、今日はここまでだな」スッ

 

ここあ「ちのちゃーん!ちやちゃん、しゃろちゃん♪」タタタ

 

リゼ「あっ、ここあ、後片付けしてから……!」

 

使用人「あっしがやっておきますから、お嬢は先にあの子とお風呂に」

 

リゼ「でも、やりっぱなしは……」

 

使用人「これは……手榴弾のピン?」

 

リゼ「!」ハッ

 

使用人「お嬢……あの子に過剰な軍事教育は控えてくださいと以前にも……」

 

リゼ「すまない、後は任せた!」タタタ

 

使用人「………………」

 

使用人「」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

ここあ「ちのちゃん!ちやちゃんもしゃろちゃんも、こんにちは」

 

チノ「ここあさん、今日は外で遊んでたんですか」

 

千夜「ここあちゃんは暑い日でも元気いっぱいね」ニコッ

 

ここあ「みんなもいっしょにあそぼっ!」

 

シャロ「熱中症になるわよ。ほら、汗ふいてあげるからジッとしてて」

 

ここあ「んっ……♪」

 

シャロ「こんなに汗かいて、ふふっ」

 

ここあ「ありがとう、しゃろちゃん」

 

リゼ「みんな、暑い中すまないな」

 

千夜「リゼちゃんも汗だらけね」

 

リゼ「ここあをお風呂に入れてくるから、先に部屋で待っててくれ」

 

ここあ「みんなといっしょにはいっちゃだめ?」

 

リゼ「着替えも無いから、また今度な」

 

ここあ「そっか……」シュン

 

シャロ「お風呂場までついていくわ」

 

チノ「お風呂から上がったら、ドライヤーをかけてあげますね」

 

 

キャッキャッ ワイワイ

 

 

千夜「♪」ニコニコ

 

千夜(――あら?)

 

千夜(あれって……)

 

千夜(……………………)

 

シャロ「千夜、どうしたの?早く行くわよ」

 

千夜「ごめんなさい、お風呂が終わるまで少し散歩してくるわ。シャロちゃんたち先に行ってて」

 

千夜「それじゃあ♪」フリフリ

 

シャロ「ちょっと千夜……!」

 

千夜「」タタタ

 

シャロ「……?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

使用人「ふぅ…………」

 

使用人(今日も暑いな……)

 

使用人「これは……オニアザミ、か」

 

使用人(お嬢たちが遊ぶ時に危ない、駆除しておかないと)

 

使用人「よっこらしょ……」ザクッ

 

使用人(けっこう根が深いな……小さいスコップじゃ掘れないか)ザクザクッ

 

使用人(……暑い)

 

 

――ピトッ

 

 

使用人「っ!!?」ビクッ

 

千夜「大丈夫ですか?」クスッ

 

使用人「えっ!あっ……」

 

千夜「あまり無理したら倒れますよ」

 

使用人「えと……どうも」

 

千夜「これどうぞ、お茶で良かったですか?」スッ

 

使用人「そんな、結構です」アセアセ

 

千夜「お茶、お嫌いでした?」

 

使用人「いえ、そういうわけでは」

 

千夜「?」

 

使用人「うっ……」

 

使用人「……すいません……それでは、頂いておきます」

 

千夜「はい」ニコッ

 

使用人「…………」

 

千夜「」ニコニコ

 

使用人「…………//」ゴクゴク

 

使用人「ありがとうございます……助かりました」

 

千夜「今日も暑いですからね」

 

千夜「早く終わらせて、使用人さんもおうちに戻りましょう」スッ

 

使用人「っ!?あっしがやりますから、気になさらずお嬢たちと」

 

千夜「二人ですればすぐに終わりますから、ねっ?」ツンッ

 

使用人「!」

 

千夜「使用人さんが倒れたりしたら、ここあちゃんが泣いちゃいますよ」

 

使用人「ぁ……」

 

千夜「これ、物置に閉まってきますね」

 

千夜「♪~♪♪」

 

使用人「………………」

 

使用人「……//」ポリポリ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「ここあさん、熱くないですか?」

 

ここあ「うん、だいじょーぶだよ」

 

チノ「乾きましたね、あとは髪を整えて」サッサッ

 

ここあ「んっ……♪」

 

チノ「ヘアゴムは――これですね」

 

ここあ「こっちのほうだけむすぶの」

 

チノ「ここあさんは片結びが好きですね」

 

ここあ「りぜちゃんがね、いちばんにあうっていってくれたんだよ」

 

チノ「リゼさんの趣味でしたか」

 

ここあ「ときどきりぜちゃんとおそろいにもするんだ」

 

チノ(ツインテールここあさん……見てみたい)

 

チノ「はい、終わりましたよ」

 

ここあ「ありがとう、ちのちゃん!」タタタ

 

チノ「あっ、ここあさん」

 

ここあ「しゃろちゃんといっしょにちやちゃんさがしてくる!」

 

シャロチャン イコウ! アッ ココア チョットマッテ!

 

チノ(いってしまいました……)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

使用人「なんと……お嬢より年下でしたか」

 

千夜「意外ですか?」

 

使用人「てっきり同級生かと」

 

千夜「リゼちゃん早生まれですから、年は同じですよ」

 

使用人「お嬢、ご迷惑をおかけしてませんか?」

 

千夜「いえ、むしろこっちがお世話になっているくらいです」

 

千夜「リゼちゃんツッコミがすごく上手なんですよ、あれも使用人さんの教えですか?」

 

使用人「へっ?いや、そういうことはあっしは一度も……」

 

千夜「なら生まれ持っての天性かしら、リゼちゃん才能ありますよ」フフッ

 

使用人(大人びてるけど、時々何かずれてる……)

 

 

千夜「4階の客室、ここですね」

 

使用人「ありがとうございます、おかげさまで助かりました」

 

千夜「お仕事おしまいですか?なら使用人さんも一緒に遊びません?」

 

使用人「いえ、この後は掃除がありますので……」

 

千夜「掃除?」

 

使用人「ええ、掃除と言っても各部屋の整理整頓ですが」

 

千夜「お一人で全て、ですか?」

 

使用人「あっしの他にも数名。夕方ごろには終わるかと」

 

千夜「4人くらいでは大変ですね……――!」

 

千夜「そうだわ」ポンッ

 

使用人「?」

 

チヤチャーン!

 

千夜「ここあちゃん、グッドタイミングね♪」

 

ここあ「しゃろちゃん、ほらあれ!」

 

シャロ「本当にいた……すごいわね、ここあ」

 

ここあ「ちやちゃん!」ポフッ

 

千夜「ここあちゃん、おかえりなさい」ナデナデ

 

ここあ「ただいま」ニヘラ

 

シャロ「まったく、どこ行ってたのよ」

 

千夜「ごめんなさい」クスッ

 

使用人「いえ、あの」

 

ここあ「ゆうしゃさんのおてつだいしてたの?」

 

千夜「ええ。使用人さん、今日はとっても忙しいみたいなの」

 

ここあ「いっしょにあそべない?」

 

使用人「すいません、今日はお友達やお嬢と――」

 

千夜「ここあちゃん、良かったらわたしたちでお手伝いしてあげない?」

 

使用人「!」

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

千夜「手分けして部屋をお掃除するの。そしたら使用人さんのお仕事も早く終わるわ」

 

ここあ「おてつだいしたら、みんなであそべる?」

 

千夜「もちろん。終わったらここあちゃんのしたいことで遊びましょう」

 

ここあ「わたしでも、やくにたてるかな?」

 

千夜「ここあちゃんの力が必要よ、わたしからもお願いするわ」ギュッ

 

ここあ「ぁ……!」パァァ

 

ここあ「うん!いっぱいてつだうよ、わたしにまかせなさーい♪」ガシッ

 

千夜「ありがとう、さすがはここあちゃんね」ナデナデ

 

ここあ「しゃろちゃんもいっしょにおそうじしよっ」

 

シャロ「しょうがないわねぇ。――みんなでがんばりましょう」ナデナデ

 

使用人「お気遣いなく、お嬢に怒られますから」アセアセ

 

千夜「リゼちゃんのことですから、きっと喜んで賛成してくれると思いますよ」

 

シャロ「そうね、ここあがやりたいと思ってることならたぶん」

 

使用人「へ?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「さぁ、みんなで大掃除だ!気合入れていくぞーっ!」

 

ここあ「いえっさー!」

 

チノ「………………」

 

シャロ「あの……」

 

千夜「リゼちゃん」

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

千夜「みんなでメイド服に着替えるのは、なにか意味が……?」

 

リゼ「服が汚れたら大変だろう」

 

リゼ「掃除と言えども任務の一つ。任務遂行には戦闘服に着替えるのが当然だ」フンス

 

シャロ「ですが……」

 

チノ「ここあさんのネコミミカチューシャは……」

 

リゼ「おっと、胸元のリボンほどけてるぞ~、ペチコートのフリルもちゃんとスカートから出さないと」

 

リゼ「よし、これで完璧だ」

 

ここあ「ありがとうりぜちゃん」ニコッ

 

リゼ「ここあは何を着ても可愛いな~カチューシャ似合ってるぞ//」デレデレ

 

シャロ(メイド服着せたかっただけだ……)

 

チノ(ここあさんのことが心配になってきました……)

 

千夜「リゼちゃん、最近少し露骨すぎない……?」

 

使用人「あの、お嬢?そろそろ振り分けを……」

 

リゼ「ああ、6人だからくじ引きだな」

 

リゼ「同じ色を引いたもの同士、ペアで各部屋を清掃だ」

 

シャロ「くじ引きですか」

 

千夜「まぁ、楽しみね♪」

 

チノ「リゼさん、その……」

 

使用人「もしや、何かイカサマが仕込んであるとか……」

 

ここあ「いかさま?」

 

リゼ「失礼なことをいうな!イカサマなんてしなくても、わたしはここあとペアになってみせる!」

 

シャロ「一緒になりたいのは否定しないんですね……」

 

チノ「それでは……」スッ

 

千夜「これね」スッ

 

ここあ「これ♪」

 

シャロ「うーん……」スッ

 

使用人「失礼します……」スッ

 

リゼ「よし!みんな何色だ?」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――ドレスルーム――

 

 

シャロ「ねぇ千夜、この辺のタンスやクローゼットって勝手に開けてもいいのかしら?」

 

千夜「リゼちゃんが良いって言ってたわ、中だけ軽く拭いておきましょうか」

 

シャロ「これ全部使用人さんたちの制服ね、スーツばっかり」

 

千夜「こっちは夏服のブラウスみたい、ネクタイもあるわ」

 

シャロ「すごい量だけど、この家の使用人さんてこんなにたくさんいるの?」

 

千夜「わたしたちがよく会うのはここあちゃんと仲良しの使用人さんだけだものね」

 

シャロ「リゼ先輩が小さかった頃からいるみたいよ。ここあのこと、いつもすごく気にかけてくれてるらしいわ」

 

千夜「やっぱり小さい頃のリゼちゃんと重なるのかしら」

 

シャロ「ここあが良い子だからじゃない?」

 

千夜「そうね。小さかった頃のシャロちゃんと少し似てるわ」クスッ

 

シャロ「むかしの話はいいわよ//あんなに良い子じゃ無かったし……」

 

千夜「ここあちゃんより泣き虫でもっと寂しがり屋だったけど、優しいところは一緒よ」

 

千夜「わたしが怪我をしてすりむいたりしたら、心配して泣きじゃくって……ふふっ」

 

シャロ「掘り返すなぁ!//

 

千夜「今でも、わたしが倒れたりしたら泣いてくれるかしら?」

 

シャロ「……倒れたらダメだから、絶対」

 

千夜「!」

 

シャロ「……//」プイッ

 

千夜「そう……♪」

 

千夜「なら今度、トマトジュースで吐血ドッキリでもしようかしら」

 

シャロ「悪趣味すぎるでしょ!!」

 

千夜「冗談よ、ありがとうシャロちゃん」

 

シャロ「いいから、早くそのタンス拭いちゃいなさいよ//

 

千夜「下から順に開けていけば閉める手間がかからずに済むわね」キリッ

 

シャロ「それこの前ラパンでやってた空き巣の手口っ!」

 

千夜「あら――これは?」

 

シャロ「今度は何よ――……えっ」

 

千夜「これ、ゴスロリ……?」

 

シャロ「浴衣……こっちは袴……」

 

千夜「これ、ディアンドルだわ」

 

シャロ「ロップイヤー……ミリタリー衣装……」

 

千夜「全部子供用のサイズね……」

 

 

千夜シャロ「……………………」

 

 

シャロ「……千夜、これって」

 

千夜「リゼちゃん……」

 

シャロ「ほ、ほら、リゼ先輩が小さい頃に着てたとか……!」

 

千夜「最近買ったものよこれ、タグがほら」

 

シャロ「……………………」

 

千夜「……見なかったことにしましょう」バタン

 

シャロ「そうね……」

 

千夜「………………」

 

シャロ「…………」

 

千夜「…………」

 

シャロ「リゼ先輩……」

 

千夜「」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――宿直室――

 

リゼ「…………」ズーン

 

使用人「お嬢……あの、元気出してください」

 

リゼ「ここあと一緒になるはずが、どうしてこんな……」ブツブツ

 

使用人「くじ引きですからね……」

 

リゼ「そしてよりによってどうしてお前となんだ……」

 

使用人(地味に傷つくな……)

 

リゼ「ここあ……うぅ……」

 

使用人(すごく居づらい……)

 

リゼ「仕方ない……早く終わらせるか」

 

使用人「すいません、あとで思う存分あの子やみんなと遊んでください」

 

リゼ「何を言ってるんだ、お前も一緒に付き合うんだぞ」

 

使用人「いや、しかし……」

 

リゼ「ここあの気持ちを無下にするつもりか!」

 

使用人「いえ、そういうわけでは……!ただ、その……」

 

リゼ「……お前もここあと友達だろう」

 

使用人「友達と言いますか……まぁ」

 

リゼ「なら、余計な心配するな」

 

使用人「お嬢……わかりました」

 

リゼ「よし」

 

使用人「…………」ポリポリ

 

リゼ「すまないな、いつもわがままばかり」

 

使用人「いえ、わがままなんて全く」

 

リゼ「今回の掃除も、少しでも力になれてるといいが」

 

使用人「充分ですよ、おかげさまで4時までには終わりそうです」

 

リゼ「ここが終わったら次は武器庫だな、あそこはわたしとお前で掃除したほうが良いだろう」

 

使用人「そうですね。お嬢も日頃の武器の扱いにはくれぐれもお気をつけ――……っ!?」

 

リゼ「なんだこれは……?アルバムか?」ヒキダシ

 

使用人「お待ちくださいお嬢!それはっ!」

 

リゼ「その慌てよう……まさか!」パラッ

 

使用人「くっ!」パシッ

 

リゼ「あっ!返せ!中を確認させろっ!」

 

使用人「お嬢の頼みでもこれはダメです!」

 

リゼ「さてはここあの盗撮写真だな!没収だ!見せろ!わたしによこせ!」

 

使用人「ちがいます!ロ〇コンじゃあるまいし盗撮なんてしません!」

 

リゼ「嘘つけこの変態め!」

 

使用人「お嬢に言われたくないです!?」

 

リゼ「とぉっ!」ビュッ

 

使用人「!?」

 

リゼ「ふふん、どれどれ」パラパラ

 

使用人「どああぁあ!?」

 

リゼ「……――!これ、小さい頃のわたし……?」

 

使用人「…………//

 

リゼ「そういえば、時々お前や親父と一緒に撮ってたっけ……懐かしいな」

 

使用人「……お嬢?」

 

リゼ「……ごほん!」

 

使用人「!」

 

リゼ「まったく……こんなもの大事に取っておくな、恥ずかしい//

 

使用人「すいません……」

 

リゼ「まぁ……ここあの写真じゃ無かったし、許してやる//

 

リゼ「……ありがとう//

 

使用人「あっしにとっては、お嬢との大切な思い出ですから」

 

リゼ「………………//」パラパラ

 

リゼ「おっ……これは新しいな、この前のここあの誕生日パーティーの写真か」

 

使用人「!?」

 

リゼ「みんなで演劇したあと撮ったやつだな」

 

使用人「そろそろお返しください!それ以上はダメですっ!」

 

リゼ「んっ、ケーキの写真?なんだこれは?」

 

使用人「ぁあああ!」

 

リゼ「――!」

 

リゼ「……これ」

 

使用人「」

 

リゼ「……お前」ゴゴゴ

 

使用人「違いますお嬢、落ち着いて聞いてください……!」

 

使用人「小さいお嬢の誕生日会の時、空いてる時間にケーキ作りを教わって……できたのがその和風ケーキで、そのツーショットは記念にお嬢のご友人のほうが撮りたいとおっしゃられて」

 

リゼ「女子高生と二人でこっそりケーキ作りか……ふふっ、良い身分だな」

 

使用人「語弊がありますよ!?」

 

リゼ「やっぱりここあより千夜だなっ!?千夜なんだな!?この裏切り者めっ!!」バシバシッ

 

使用人「そういうつもりでは!いたっ!いて!」

 

リゼ「わたしの親友にもここあにも手を出すな!」

 

使用人「ひでぇ誤解だ!?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――客室――

 

 

チノ(……?なにか聞こえたような気が……)

 

ここあ「チノちゃん、そっちもって~」

 

チノ「あっ……はい」

 

ここあ「んっしょ……」

 

チノ「ここあさん、大丈夫ですか?」

 

ここあ「うん……!」

 

チノ「このくらいでいいですよ」ストン

 

ここあ「わぁ……ほこりだらけだね」

 

チノ「掃除機で吸い込んでから、モップをかけましょう」

 

ここあ「ちのちゃん、みて!」

 

チノ「これは、ハンディクリーナーですか?」

 

ここあ「ゆうしゃさんがかってくれたんだよ」

 

チノ「これならここあさんでも掃除しやすいですね」

 

ここあ「いっくよ~!」

 

チノ(ここあさんが掃除機をかけやすいようにこの辺の家具も動かしておこう)

 

チノ「んっ……!」ググッ

 

チノ(重い……っ!)

 

ティッピー「チノや、誰か呼んだ方がいいんじゃないか?」

 

チノ「大丈夫ですこれくらい……ふにゅう……!」ググッ

 

チノ「ふぅ……なんとかなりました……」

 

ティッピー「チノにとっては少し重たいじゃろう」

 

チノ「ここあさんの前では、頼れるお姉ちゃんでいたいんです」

 

ティッピー「チノもだんだんココアに似てきたの」

 

チノ「今は、わたしの方がお姉ちゃんですから……//

 

ティッピー「ふむ」ピョン

 

ここあ「ちのちゃん、もっぷかけよう」

 

チノ「ここあさんはそのまま掃除機をお願いします、この辺もほこりだらけなので」

 

ここあ「このままそうじき?わかった!」

 

チノ(綺麗にほこりが取れてる、これならモップで拭いても大丈夫ですね)フキフキ

 

チノ(よし……また元に戻さないと……)

 

チノ「うにぅ……っ!」ググッ

 

ティッピー「チノ、頑張れ」

 

チノ「はい、うぅ……!」

 

チノ「ふぅ……」

 

ティッピー「汗だらけじゃの」

 

チノ「おじいちゃん、わたしも筋トレした方が良いでしょうか」

 

ティッピー「食べ物の好き嫌いを無くすのが先じゃな」

 

チノ「長い道のりです……」

 

――クイクイッ

 

チノ「?」

 

ここあ「ちのちゃん、あそこどうしよう?」

 

チノ「窓のふちですか」

 

ここあ「せのびしてもとどかないの」

 

チノ「貸してみてください」

 

チノ「ん……」

 

ここあ「どう?」

 

チノ「わたしでもギリギリ届きませんね……」

 

ここあ「りぜちゃんかゆうしゃさんよんでくる?」

 

チノ「しかし、お二人も掃除しているでしょうし……なにかを踏み台に」

 

ここあ「そうだ!」

 

ここあ「ちのちゃん、たかいたかいして?」

 

チノ「なるほど、それなら届きますね」

 

ティッピー「チノや、大丈夫か?さっき重たいもの持ったばかりじゃろう?」ヒソヒソ

 

チノ「ここあさんのお願いです、やってみせます」ヒソヒソ

 

ここあ「ちのちゃん?」

 

チノ「スー……ハー……」

 

チノ「ここあさん、いきますよ」

 

チノ「――ふっ……!」ヒョイ

 

ここあ「わぁ♪」

 

チノ「ここあさん、どうですか……!」

 

ここあ「とどいたよ~!」

 

ここあ「ほこりだらけ、ぜんぶすいこんじゃうね!」

 

チノ(う、うでが……!)プルプル

 

ここあ「もうすこしだよ」

 

チノ「ふぬぅ……!」プルプル

 

ここあ「おわったよ!」

 

チノ「っ!?」ズン

 

ここあ「きゃっ!?」

 

ドタッ!!

 

チノ「がっ……!」

 

チノ「うっ……いつ……」

 

ここあ「ちのちゃん、だいじょうぶ!?」

 

チノ「はい……ここあさんこそ」

 

ここあ「ごめんね……!」

 

チノ「ここあさんのせいじゃないですよ。それより窓のふち、綺麗になりましたか?」

 

ここあ「うん、ぴかぴかにしたよ」

 

チノ「掃除できましたね、さすがはここあさんです」ナデナデ

 

ここあ「ぁ……//

 

チノ「…………」ナデナデ

 

ここあ「んっ……」ムクリ

 

――スッ

 

チノ「ここあさん?」

 

ここあ「ちのちゃん、おそうじがんばろう」ニコッ

 

チノ「……!」

 

チノ「――はい♪」スッ

 

――ギュッ

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――――――

――――

――

 

 

――PM321 リゼの部屋――

 

 

千夜「ふぅ、いい汗かいたわ」

 

シャロ「ドレスルームはおろか物置部屋よりも小さいわたしの家って……」ハァ

 

千夜「ただいま」ガチャッ

 

シャロ「あれ、まだ誰もいないわね」

 

千夜「おかしいわ、客室を覗いたらチノちゃんもここあちゃんもいなかったのに」

 

シャロ「リゼ先輩と使用人さんのところに行ったのかしら?」

 

ここあ「ここだよ!」

 

千夜シャロ「!」

 

シャロ「ここあ?」

 

千夜「ベッドの下……?」

 

 

ここチノ「」ヒョコ

 

 

千夜シャロ「!」

 

ここあ「びっくりした?ちのちゃんといっしょにかくれてたんだよ」

 

チノ「ここあさんがかくれたいというから、その……//

 

シャロ(かわいい……)ニヘラ

 

千夜(ほほえま~♪)ニコニコ

 

千夜「驚いたわ、これならリゼちゃんもきっとびっくりするわね」

 

シャロ「もうすぐ戻ってくると思うわ、ほら隠れて」

 

ここあ「ちのちゃん、こんどはりぜちゃんだよ」

 

チノ「次は、いきなり二人で飛び出て驚かしましょう」

 

ここあ「うん//」ニコッ

 

ここあ「………………」

 

ここあ「ちのちゃん?」

 

チノ「どうしたんですか?」

 

ここあ「……りぜちゃん……ほめてくれるかな?」

 

チノ「――はい」

 

チノ「ここあさんのおかげで、あんなに綺麗になったんです」

 

チノ「きっとたくさん、褒めてくれますよ」ナデナデ

 

ここあ「!……えへへ……//

 

ここあ「ちのちゃん……//」ギュッ

 

チノ「……!//

 

ここあ「――ありがとう//」ニヘラ

 

チノ「……ここあさんは、あたたかいですね」

 

チノ「それに、いい匂いです……」

 

チノ「ん……//」ギュッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「みんな、戻ってきてるか」ガチャッ

 

リゼ「あれ、ここあとチノは――」

 

シャロ「リゼ先輩、しっ……」

 

リゼ「?」

 

千夜「ベッドの下よ」クスッ

 

リゼ「……?」スッ

 

ここチノ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ「寝てるのか……?どうしてこんなところで?」

 

シャロ「リゼ先輩のこと、びっくりさせたかったみたいです」

 

千夜「リゼちゃんが早く来ないから、二人とも力尽きちゃったみたい」

 

リゼ「……そうか」

 

千夜「二人でたくさん頑張ったから、疲れたのね」

 

シャロ「客室、とっても綺麗になってましたよ」

 

リゼ「ああ、わたしもさっき見てきた」

 

リゼ「千夜、シャロ、そっち持ってくれ」

 

千夜「はーい」

 

シャロ「んっしょ……」

 

リゼ「よし」

 

千夜「ベッド、動かしたままでいいの?」

 

リゼ「ああ、起きてから戻そう」

 

リゼ「よっと」ヒョイ

 

チノ「ん…………」Zzz

 

リゼ「チノ……ここあのこと、ありがとう」ポンッ

 

リゼ「チノはもう立派なお姉ちゃんだな」ナデナデ

 

チノ「ふぉぇ…………」Zzz

 

リゼ「…………」ヒョイ

 

ここあ「……」Zzz

 

千夜「こうして見てると本当の姉妹みたいね」

 

シャロ「6時になったら起こしてあげましょう」

 

リゼ「ここあ……」ポンッ

 

リゼ「たくさん頑張ったな……えらいぞ」ナデナデ

 

リゼ「今度はみんなで遊ぼう。お前の好きなことを、やろうな」

 

リゼ「んっ……」ホッペ チュッ

 

ここあ「ぇへへ……♪」Zzz

 

 

ドアノスキマ

 

使用人「…………」フッ

 

使用人(車、用意しておくか)

 

 

――おしまい♪

感想

  1. ラビットタンク より:

    手榴弾には自分もいろいろな思い出があるんですよ。某猫とネズミのアニメで慌てながら結局は猫が爆発させて笑える話や、戦争映画で集団自決に使われる重い話とか。まあリゼちゃんが悪いことに使おうなんてことは決してあり得ないでしょうし、武器を持つことの重さも分かっていると信じています。変な話すみません。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      リゼちゃんはモデルガンを持ち歩いているようですし、あくまでサバイバルゲームという世界の中でミリタリーを楽しんでいると信じております。フンス

  2. ラビットタンク より:

    砂水クジラさんに質問です。ヤンデレって自分自身が拘束されたらどんな気持ちになると思いますか?
    例チノはヤンデレだったが、本当はココアの方が独占欲が強かった。
    それから、砂水クジラさん流のヤンデレの撃退方法とかあったりしますか?

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      キャラクター自身の性格や作者の意向、物語の展開などによって一概にこうとは言えませんが。
      基本的な雛形としましては、ヤンデレ属性の子は反対に責められてしまうと途端に弱くなってしまうというのがあります。
      自分以上の独占欲や依存欲を受け止められずに泣いてしまったり、怯えてしまったりなどの描写ですね。
      ヤンデレの心理からも、反対に拘束されることなどは基本的に苦手とするキャラクターが多いのではないでしょうか。

      ヤンデレの撃退方法はわたしが描くとするのであれば、「心の余裕を見せつける」という描写をすると思います。
      拘束、依存、監視など、優位性に置ける行動が多いのがヤンデレですので、下手に出れば出るほど行動を増長させてしまいます。
      頭を撫でる、余裕の表情で笑うなど、心のを余裕を見せて相手への好意を示してあげれば、撃退は割と容易ではないでしょうか。
      強気な行動にはめっぽう弱い、そんな脆さもヤンデレの魅力の一つかと思います。もちろん他のパターンも枚挙に暇が無いほど存在するかと思いますが。

  3. ラビットタンク より:

    返信ありがとうございます。
    とても詳しくお書きになってくださったのでわかりやすかったです。
    やっぱりいけない方向に進んでるとしても、ヤンデレは純愛を持った子なんですね……

  4. Beyond the Average より:

    手榴弾の教育だったり、やりすぎの衣装をここあにさせていると「ヤンデレリゼとここあ」を連想してしまいます…
    これは狂気のリゼのシリーズとどこがでつながっている…?(私の勝手な妄想)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      当作品、及び狂気日記やヤンデレリゼシリーズまで拝読いただき、誠にありがとうございます。
      狂気日記の方はかなり読み手を選ぶ作品ですので……。

      妄想などとは全く。
      おっしゃいます通り、狂気シリーズへは幼いココアシリーズの、どの作品からでも繋がります。
      狂気シリーズ自体が、幼いココアシリーズのリゼちゃんがもしここあちゃんへの愛情が行き過ぎてしまったら……というIF設定ですので。
      ここから狂気シリーズへ繋げて読んで頂けると、また違った楽しみ方ができるのかもしれませんね。

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