ごちうさSS リゼ「寂しがり屋な千夜」

 

――天々座家 リゼの部屋――

 

 

リゼ「……………………」

 

千夜「すぅ…………すぅ…………」Zzz

 

リゼ「………………」

 

千夜「むにゃ…………」Zzz

 

リゼ「…………」

 

リゼ「」

 

リゼ(帰ってきたら千夜がわたしのベッドで寝てる……前もこんなことがあったような……)

 

リゼ(……とりあえず起こすか)

 

リゼ「千夜、起きろ」トントン

 

千夜「すぅ…………」Zzz

 

リゼ「おい」ツンッ

 

千夜「……?」

 

リゼ「おはよう、目が覚めたか?」

 

千夜「リゼちゃん……ふぁあ……」プワプワ

 

千夜「んっ……」

 

リゼ「顔洗うか?」

 

千夜「だいじょうぶよ」ゴシゴシ

 

千夜「リゼちゃん、おかえりなさい」

 

リゼ「ただいま、遅くなってすまないな」

 

千夜「ううん、わたしもついさっきお邪魔したところだから」

 

リゼ「待ってる間に寝てしまったのか、この前と一緒だな」クスッ

 

千夜「リゼちゃんのベッドは眠くなっちゃう魔法でもあるのかしら」

 

リゼ「疲れてるんだろ、千夜はいつも甘兎庵やみんなのことで忙しそうだしな」

 

千夜「そんなことないわ。リゼちゃんこそ、部活の助っ人とかアルバイトとか」

 

リゼ「わたしはこれくらいがちょうどいいんだ。とにかく、あんまり無理して倒れるなよ」ポンッ

 

千夜「ん……」

 

リゼ「先に着替えるから、適当にくつろいでてくれ」

 

千夜「………………」

 

千夜「……リゼちゃん?」

 

リゼ「んっ?」

 

千夜「わたしがここに来た理由、聞かないの?」

 

リゼ「理由?遊びに来てくれたんじゃないのか?」

 

千夜「………………」

 

リゼ「違うのか。まぁなんでもいい、千夜と会えるのは嬉しいしな」

 

リゼ「教えてくれるなら話してくれ、言いたくないなら別にいいぞ」シュル

 

千夜「…………」

 

リゼ「よし……っと」

 

千夜「…………」

 

リゼ「千夜?」

 

千夜「リゼちゃん、隣に座って」

 

リゼ「……ああ」スッ

 

千夜「………………」

 

リゼ「学校で、何かあったのか?」

 

千夜「ううん」

 

千夜「ただ、リゼちゃんとお話しに来ただけ」

 

リゼ「わたしと?」

 

千夜「大学に通うようになったら、今よりますます疎遠になっちゃうかもしれないから」

 

千夜「だから、今のうちにって思って」

 

リゼ「疎遠て……そんなこと」

 

千夜「ええ、杞憂だって分かってるわ。……だから、ね」

 

――ポスッ

 

リゼ「!」

 

千夜「ただ理由を付けて、リゼちゃんに構ってほしいだけなのかも」ニコッ

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「本当はふてくされるつもりだったんだけど、リゼちゃんのせいで毒を抜かれちゃった」

 

リゼ「………………」

 

千夜「せめて膝枕だけでも堪能するわ」

 

千夜「……いい?」

 

リゼ「ああ、もちろん」

 

千夜「ありがとう、それじゃあ20分だけ」

 

リゼ「たった20分でいいのか?」

 

千夜「うん」

 

千夜「お腹すいてるリゼちゃんに、迷惑かけちゃうから」クスッ

 

リゼ「……別に、空腹くらい我慢できる//」プイッ

 

千夜「ごめんなさい、夕飯まだよね」

 

リゼ「千夜も良かったらどうだ?一緒に」

 

千夜「ううん、もうおばあちゃんが作っちゃってると思うから」

 

リゼ「……そうか」

 

千夜「今日はこれだけで我慢するわね」

 

リゼ「また今度、ゆっくり来てくれ」

 

千夜「来てもいいの?」

 

リゼ「当たり前だろう」ナデナデ

 

千夜「ふふっ……♪」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「………………」ナデナデ

 

千夜「足、痺れてない?」

 

リゼ「まだ平気だ、全然」

 

千夜「……」ツンッ

 

リゼ「んっ、どうしたんだ?」

 

千夜「リゼちゃん、無理してるかもしれないから……確認」

 

リゼ「大丈夫だって」

 

千夜「ほんとう?」

 

リゼ「疑い深いな」ホッペ ムニー

 

千夜「りれひゃん?」

 

リゼ「どうだ、これなら喋れないだろう」

 

千夜「ふぇひへ~」

 

リゼ「千夜のほっぺは柔らかいな、もちもちだ」フニフニ

 

千夜「ふぉへ?」

 

リゼ「もう一回伸ばしてみるか、よっと」ムニー

 

千夜「ひゃめへ~りぜひゃん~」

 

リゼ(かわいい……)

 

リゼ「千夜は気を遣いすぎなんだよ」ポンッ

 

千夜「ん……」

 

リゼ「友達なんだしそこまで気遣いしなくていいんだぞ」

 

千夜「………………」

 

千夜「……クスッ」

 

リゼ「?」

 

千夜「……リゼちゃん、ブーメランって知ってる?」

 

リゼ「ブーメラン?投げるアレか?」

 

千夜「ふふっ、リゼちゃんは可愛いわね」

 

リゼ「な、なんだ急に//

 

千夜「ううん、なんでもないわ」

 

千夜「リゼちゃん良い子良い子♪」ナデナデ

 

リゼ「撫でるな!また引っ張るぞ//

 

千夜「いいわよ、はい」

 

リゼ「…………」ムニムニ

 

リゼ(もちもちで気持ちいい……)

 

リゼ「あと10分か、早いな」

 

千夜「また今度、ゆっくり遊びましょう」

 

リゼ「……ああ」

 

千夜「」ニコッ

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――夜道――

 

 

千夜「わざわざごめんなさいね」テクテク

 

リゼ「いいんだ、わたしが送って行きたいだけだから」

 

千夜「………………」

 

リゼ「………………」

 

千夜「……静かね」

 

リゼ「ああ、この辺は住宅街だからな」

 

千夜「こうして二人で歩いてると、思い出すわ」

 

リゼ「ん?」

 

千夜「ほら、マラソン大会の練習」

 

リゼ「そういえば二人で特訓したっけ」

 

千夜「最初はリゼちゃんのペースに全くついていけなくて」

 

リゼ「何度か逃亡してたな、それでも真面目に毎日来てたのが千夜らしいけど」ハハッ

 

千夜「リゼちゃんと一緒だったから……きっとひとりだと無理だった」

 

千夜「あの時、見捨てないでくれてありがとうリゼちゃん。おかげで完走できたわ」

 

リゼ「見捨てるわけないだろ、千夜のこと」

 

リゼ「それに、真剣なのが伝わってきたし……力の入れ方がおかしかったけど」

 

千夜「縄のこと?」

 

リゼ「犬の散歩じゃあるまいし、さすがにあれは」

 

千夜「お腹じゃなくて首の方が良かったかしら?」

 

リゼ「そう言うことじゃない!首になんてしてたらそれこそ……!//

 

千夜「それこそ?」

 

リゼ「それこそ……うぅ……//

 

千夜「」ニコニコ

 

リゼ「っ~~~//」プシュウ

 

千夜「ごめんなさい、冗談よ」

 

千夜「そうね……そんなことしたらリゼちゃんが捕まっちゃうものね」

 

リゼ「!?」

 

千夜「わたしの大事なペットが逃げた、首輪を付けたウチの千夜知りませんか?って」

 

千夜「周りから見たらまるで……ふふっ」クスッ

 

リゼ「い、意味知ってるんじゃないか!千夜ぁ!!//

 

千夜「ごめんなさい、リゼちゃんが微笑ましいからつい」

 

リゼ「うぅ…………くっ……//

 

千夜「今度、二人でこっそりやってみない?」

 

リゼ「するか!もう騙されないぞ!//

 

千夜「あら、本気よ?」

 

リゼ「えっ……!?//

 

千夜「なーんて♪」

 

リゼ「っ……!こいつめ!//」ワシャワシャ

 

千夜「きゃっ……ふふ//

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

千夜「ここまででいいわ」

 

リゼ「いや、どうせなら甘兎庵まで」

 

千夜「ここでいいの。ねっ?」

 

リゼ「……?わかった」

 

千夜「今夜はありがとう、リゼちゃん」

 

リゼ「ああ、また時間がある時に来てくれ」

 

千夜「あら、構ってくれるの?」

 

リゼ「違う、わたしが千夜と遊びたいだけだ」

 

千夜「!」

 

リゼ「疎遠になんてさせないぞ、これからも」

 

千夜「…………」

 

リゼ「また、ゆっくり遊ぼうな」

 

千夜「……リゼちゃん?」

 

リゼ「んっ?」

 

千夜「やっぱり、首輪しちゃダメ?」

 

リゼ「何言ってるんだ……いいから早く帰れよ//

 

千夜「リゼちゃんがわたしにじゃなくて、わたしがリゼちゃんには?」

 

リゼ「ダメだ、わたしは千夜のペットじゃない//

 

千夜「そう、残念」

 

リゼ「千夜、大丈夫か?熱でもあるのか?//

 

千夜「平気よ。――それじゃあ、代わりに」スッ

 

リゼ「?」

 

千夜「ゆびきり、しましょう?」

 

リゼ「いいけど……何を約束するんだ?」スッ

 

千夜「さっきのリゼちゃんの、疎遠にさせないって言葉」

 

リゼ「……ああ、指切りげんまんだ」

 

千夜「いいの?嘘ついたら針千本よ」

 

リゼ「いいよ、破らないし」

 

千夜「…………」

 

リゼ「約束だ」

 

千夜「……」ポスッ

 

リゼ「おっと……」

 

千夜「…………」ギュッ

 

リゼ「千夜……?」

 

千夜「…………」

 

リゼ「……心配するなって」ナデナデ

 

千夜「うん……」

 

リゼ「……大丈夫か?」

 

千夜「ええ――おやすみなさい、リゼちゃん」

 

リゼ「あ、ああ……おやすみ、千夜」

 

千夜「♪」フリフリ

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――PM10:00 シャロ宅――

 

 

千夜「あら、もうこんな時間……そろそろおいとまするわね」

 

千夜「シャロちゃん、おやすみなさい。明日もアルバイト頑張って」

 

シャロ「……千夜、今日なにかあった?」

 

千夜「えっ?」

 

シャロ「なんとなくだけど、嬉しそうだから」

 

千夜「………………」

 

千夜「……そうね」

 

千夜「シャロちゃんが、みんなが、いつも構ってくれるから」ニコッ

 

シャロ「構う?なによそれ、別に千夜のこと構ってなんて――」

 

千夜「そうよね。ありがとうシャロちゃん」

 

シャロ「……?千夜って時々変なこと言うわよね……もう慣れたけど」

 

千夜「また明日も、来ていい?」

 

シャロ「んっ……当たり前でしょ。……待ってるから」

 

千夜「!……うん//」ニコッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    細かいところでお互いを気遣いあってて2人の優しさが見えますね
    自分もリゼちゃんのベッドで眠くなってみたいっ!

    ふぇひへ~

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      仲良くなってもやっぱり人一倍気遣いあっちゃう千夜ちゃんとリゼちゃん……きらいじゃないわっ!
      そしてここあちゃんみたいにこっそりリゼちゃんの枕をハスハス--ってこら相棒!

      • 匿名 より:

        確実に見破られてしまいますな…

        バレなきゃ(ハスハス)
        犯罪じゃ(ハスハス)
        ないんですぜ…(ハスハス)

        • 砂水クジラ砂水クジラ より:

          相棒はそんなこと言わなーいっ!!
          でも嫌いじゃないわっ!!
          次回作に、そのアイデア組みこみます!フンス

  2. ラビットタンク より:

    千夜ちゃんみたいな彼女が出来たら俺はどれだけその子に尽くせることか……千夜ちゃん俺はいつでも空いてるよーー!(届かぬ想い)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      母性愛溢れる千夜ちゃんも可愛いですが、かまってちゃんな千夜ちゃんも素敵ですよね!
      このシリーズでは千夜ちゃんには今後も優しいリゼちゃんに思う存分甘えてもらいましょう。

  3. Beyond the Average より:

    いつも元気で頼りになる千夜も、実はこんな一面もあるんですね~。
    それにしてもリゼは心の底から優しいひとですね!読んでるこちらまで心が癒されます。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      リゼちゃんは優しすぎるので損しちゃうタイプなのでしょう……故にそれを察することができる千夜ちゃんとは意外と合わせやすかったりします。
      幼いココアシリーズを始め、当シリーズ『ションボリ千夜ちゃん』でもメインキャラなリゼちゃんは正に万能キャラです。
      ションボリしている元気のない千夜ちゃん、ギャップでとっても可愛いですよね。

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